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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185560
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】搬送装置及び成膜装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20221207BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221207BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221207BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20221207BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C23C14/56 G
H05B33/10
H05B33/14 A
H01L21/68 A
B65G49/07 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000668
(22)【出願日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2021093131
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝宗
(72)【発明者】
【氏名】足立 将樹
(72)【発明者】
【氏名】相澤 雄樹
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107GG32
3K107GG42
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BD01
4K029CA01
4K029DB06
4K029DB14
4K029DB18
4K029HA04
4K029JA01
4K029JA06
4K029KA01
4K029KA09
5F131AA03
5F131AA10
5F131AA21
5F131AA23
5F131AA33
5F131BA03
5F131BB13
5F131CA07
5F131CA18
5F131DA05
5F131DA09
5F131DA33
5F131DA42
5F131DC22
5F131EA03
5F131EA17
5F131EB11
5F131EB75
5F131FA10
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA37
5F131GA05
5F131GA22
5F131GA26
5F131GA32
5F131GA68
5F131GB04
5F131GB12
5F131JA33
(57)【要約】
【課題】搬送対象物の搬送精度に対するチャンバの変形の影響を低減する。
【解決手段】真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、前記チャンバ内で搬送対象物を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送方向に対する前記搬送対象物の幅方向の位置を規制する規制手段と、前記規制手段を前記幅方向に移動してその位置を変更可能な位置変更手段と、前記チャンバ内に配置され、前記規制手段の前記幅方向の位置の基準となる基準手段と、前記基準手段を支持する支持手段と、を備え、前記支持手段は、前記チャンバ内に前記チャンバと分離して配置され、前記基準手段が搭載される架台部と、前記チャンバ外に前記チャンバと分離して配置されたベース部と、前記チャンバの壁部に形成した開口部を通って前記架台部と前記ベース部とを接続する接続部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向に対する前記搬送対象物の幅方向の位置を規制する規制手段と、
前記規制手段を前記幅方向に移動してその位置を変更可能な位置変更手段と、
前記チャンバ内に配置され、前記規制手段の前記幅方向の位置の基準となる基準手段と、
前記基準手段を支持する支持手段と、を備え、
前記支持手段は、
前記チャンバ内に前記チャンバと分離して配置され、前記基準手段が搭載される架台部と、
前記チャンバ外に前記チャンバと分離して配置されたベース部と、
前記チャンバの壁部に形成した開口部を通って前記架台部と前記ベース部とを接続する接続部と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記搬送対象物は、基板を保持する基板キャリアであり、
前記規制手段は、前記基板キャリアの側部に対向する周面を有するガイドローラを備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記搬送対象物は、基板及びマスクを保持する基板キャリアであり、
前記規制手段は、前記マスクの側部に対向する周面を有するガイドローラを備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記基準手段は、前記位置変更手段による前記規制手段の位置変更範囲に配置され、前記規制手段と当接可能な当接部材である、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送装置であって、
前記位置変更手段は、前記当接部材に前記規制手段が当接した位置を基準として前記規制手段を規制位置に移動する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記チャンバは、該チャンバに対する前記規制手段の位置合わせのための指標を有する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置であって、
前記チャンバは、第一の部分と、前記第一の部分よりも前記搬送空間が大気圧下にある場合と真空である場合との変形量が小さい第二の部分と、を含み、
前記指標は、前記第二の部分に設けられている、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項6に記載の搬送装置であって、
前記チャンバは、前記搬送対象物の搬入口及び搬出口を有し、
前記指標は、前記搬入口の周壁及び前記搬出口の周壁の少なくともいずれ一方に設けられている、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記チャンバ内で前記搬送対象物を昇降する昇降手段を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記位置変更手段は、
前記チャンバ外に配置され、前記規制手段を前記幅方向に移動する駆動力を発揮する駆動手段と、
前記チャンバの壁部に形成した開口部を通って前記規制手段と前記駆動手段とを接続する駆動軸と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記搬送方向に配列され、前記搬送対象物を下から支える複数の搬送ローラを備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
基板に成膜を行うインライン型の成膜装置であって、
前記基板を搬送する請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の搬送装置を含む、
ことを特徴とする成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送対象物の幅方向の位置精度が要求される搬送装置では、搬送対象物の幅方向の位置を規制する構造が採用されている。例えば、インライン型の成膜装置では、基板キャリアやマスクを搬送する搬送装置がこうした構造を備えている。特許文献1には基板とマスクを搬送する搬送トレイの幅方向の位置を規制するガイドローラが開示されている。ガイドローラは駆動部によってガイド位置と待避位置とに進退可能とされている。搬送対象物と、上記のガイドローラのような規制構造との隙間が大きすぎると搬送精度が悪化し、また、小さすぎると搬送対象物と規制構造との接触によってパーティクルが発生する場合がある。よって、適切な隙間の設定が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-248249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
真空下で搬送対象物を搬送する場合、搬送空間を形成するチャンバの周壁が内外の気圧差によって変形し得る。上記のガイドローラのような規制構造は、この周壁の変形の影響を受け、規制構造と搬送対象物との隙間が変動し得る。チャンバの剛性を高めて変形を抑制する手法は、チャンバの製造コストの点で不利であり、特に、大型の搬送対象物を対象とする場合、チャンバも大型化するので一層不利である。
【0005】
本発明は、搬送対象物の搬送精度に対するチャンバの変形の影響を低減する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
真空に維持される搬送空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内で搬送対象物を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向に対する前記搬送対象物の幅方向の位置を規制する規制手段と、
前記規制手段を前記幅方向に移動してその位置を変更可能な位置変更手段と、
前記チャンバ内に配置され、前記規制手段の前記幅方向の位置の基準となる基準手段と、
前記基準手段を支持する支持手段と、を備え、
前記支持手段は、
前記チャンバ内に前記チャンバと分離して配置され、前記基準手段が搭載される架台部と、
前記チャンバ外に前記チャンバと分離して配置されたベース部と、
前記チャンバの壁部に形成した開口部を通って前記架台部と前記ベース部とを接続する接続部と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送対象物の搬送精度に対するチャンバの変形の影響を低減する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る成膜装置のレイアウト図。
図2】蒸着装置の説明図。
図3】アライメント装置の説明図。
図4】搬送ユニットの説明図。
図5】キャリアガイドユニット及びマスクガイドユニットの周辺の構造を示す説明図。
図6】(A)及び(B)は指標の例を示す図。
図7】(A)及び(B)は指標の例を示す図。
図8】(A)は有機EL表示装置の全体図、(B)は1画素の断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<成膜装置の概要>
図1は本発明の一実施形態に係る成膜装置1のレイアウト図である。なお、各図において矢印Zは上下方向(重力方向)を示し、矢印X及び矢印Yは互いに直交する水平方向を示す。成膜装置1は、基板Gに蒸着物質を成膜する装置であり、マスクMを用いて所定のパターンの蒸着物質の薄膜を形成する。特に本実施形態の成膜装置1は、基板Gの搬送しながら、蒸着装置により基板Gに蒸着物質を蒸着する成膜方法を実行可能な、インライン型の成膜装置である。
【0011】
成膜装置1で成膜が行われる基板Gの材質は、ガラス、樹脂、金属等の材料を適宜選択可能であり、ガラス上にポリイミド等の樹脂層が形成されたものが好適に用いられる。蒸着物質としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などの物質である。成膜装置1は、例えば表示装置(フラットパネルディスプレイなど)や薄膜太陽電池、有機光電変換素子(有機薄膜撮像素子)等の電子デバイスや、光学部材等を製造する製造装置に適用可能であり、特に、有機ELパネルを製造する製造装置に適用可能である。
【0012】
成膜装置1は、基板キャリア100を用いて基板G及びマスクMを搬送する装置を含む。基板キャリア100は、例えば、基板Gを保持する機構及びマスクMを保持する機構を備える。基板Gを保持する機構は例えば静電チャックであり、マスクMを保持する機構は例えば磁気吸着チャックである。マスクMは基板Gと重なるように基板キャリア100に保持され、基板Gは基板キャリア100とマスクMとの間に保持される。基板キャリア100、基板G及びマスクMは板状の形態であり、水平姿勢で搬送される。
【0013】
マスクM及び基板キャリア100は、図1の矢印で示す方向に循環的に搬送され、複数の基板Gに対して繰り返し利用される。基板Gは成膜装置1の外部から基板搬入室110に搬入される。基板Gは基板搬入室110から組込室111へ搬送される。組込室111にはキャリア室120から基板キャリア100が搬送され、基板Gは組込室111において基板キャリア100に重ねられ、保持される。基板Gを保持した基板キャリア100を図1では基板キャリア100Gと表示している。
【0014】
基板キャリア100Gは、準備室112に搬送される。準備室112にはマスク室121からマスクMが搬送され、マスクMと基板キャリア100Gとは、上下に並んだ状態となる。基板キャリア100GとマスクMとは準備室112からアライメント装置113へ搬送される。アライメント装置113では基板100とマスクMとのX-Y方向の位置合わせが行われ、マスクMが基板100と重なるようにして基板キャリア100Gに保持される。基板GとマスクMを保持した基板キャリア100を図1では基板キャリア100GMと表示している。
【0015】
基板キャリア100GMは、アライメント装置113から蒸着装置114Aに搬送される。ここで基板Gに蒸着物質が成膜される。その後、基板キャリア100GMはリターン室115を経て蒸着装置115Bに搬送される。ここでも基板Gに蒸着物質が成膜される。成膜済みの基板Gを保持した基板キャリア100GMは、分離室116でマスクMが基板キャリア100から上下に分離される。分離されたマスクMは、搬送室117でマスク室121へ搬送され、基板キャリア100Gは分離室118へ搬送される。分離室118で、成膜済みの基板Gが基板キャリア100から分離され、基板Gは搬出室119へ、基板キャリア100はキャリア室120へ、それぞれ搬送される。成膜済みの基板Gは搬出室119から成膜装置1の外部へ搬出される。以上の処理を繰り返すことで成膜処理が順次行われる。
【0016】
<蒸着装置>
図2は蒸着装置114Aの説明図である。なお、蒸着装置114Bも蒸着装置Aと同様の構成を有している。蒸着装置114Aは、基板G及びマスクMを保持した基板キャリア100を搬送する搬送空間2aを形成する搬送チャンバ2と、複数のソースチャンバ3とを備える。複数のソースチャンバ3はX方向に並べて配置されており、搬送空間2aはこれらソースチャンバ3の上方に位置している。
【0017】
搬送空間2aは使用時に真空に維持され、そのX方向の一端部には搬入口2bが、他端部には搬出口2bが設けられている。基板G及びマスクMを保持した基板キャリア100は、搬入口2bから搬送空間2a内に搬入され、処理後に搬出口2cから外部へ搬出される。搬入口2b及び搬出口2cにはゲートバルブ(不図示)が設けられる。
【0018】
搬送空間2aには、X方向に配列された複数の搬送ローラ2dが設けられている。この搬送ローラ2dの列は、Y方向に離間して二列配置されており、マスクMを下方から支持する。各搬送ローラ2dはY方向の回転軸周りに回転する。基板キャリア100は、二列の搬送ローラ2dの列に、そのY方向の両端部が載置され、搬送ローラ2dの回転によってX方向に水平姿勢で搬送される。
【0019】
搬送空間2aには、また、X方向に配列された複数のガイドローラ2eが設けられている。このガイドローラ2eの列は、Y方向に離間して二列配置されており、ガイドローラ2eはマスクMのY方向の位置を規制する。ガイドローラ2eはその周面がマスクMのY方向の側部に対向するように配置されており、各ガイドローラ2eはZ軸方向の回転軸周りに自由回転する。
【0020】
各ソースチャンバ3a内は、使用時に真空に維持される内部空間を形成する。ソースチャンバ3aは、上部に開口部が形成された箱型を有しており、開口部を介して、搬送空間2aとソースチャンバ3aの内部空間とが連通している。各ソースチャンバ3aには上方に蒸着物質を放出する蒸着源3aが設けられている。本実施形態の蒸着源3aはいわゆるラインソースであり、Y方向に延設されている。蒸着源3aは蒸着物質の原材料を収容する坩堝や、坩堝を加熱するヒータ等を備え、原材料を加熱してその蒸気である蒸着物質を搬送空間2aへ放出する。
【0021】
蒸着装置114Aは、搬送チャンバ2内で基板G及びマスクMを保持した基板キャリア100を搬送しながら、蒸着源3aにより基板Gに蒸着物質を蒸着する。本実施形態では、複数のソースチャンバ3が基板キャリア100の搬送方向に配置されている。3つのソースチャンバ3から異なる種類の蒸着物質を放出する場合、基板Gに異なる蒸着物質を連続的に蒸着することができる。なお、ソースチャンバ3の数は3つに限られず、1つあるいは2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0022】
<アライメント装置>
アライメント装置113の構成について図3を参照して説明する。アライメント装置113は、搬送装置4、架台5及びアライメントユニット6を含む。搬送装置4は、架台5を介して工場等の床面に設置される。搬送装置4は、チャンバ40、キャリア搬送ユニット41、マスク搬送ユニット42、キャリアガイドユニット43、及び、マスクガイドユニット44を含む。
【0023】
チャンバ40は、真空に維持される搬送空間40aを形成する箱型の部材である。基板Gを保持した基板キャリア100は、搬送空間40a内でキャリア搬送ユニット41によりX方向に搬送され、マスクMは、搬送空間40a内で基板キャリア100の下方においてマスク搬送ユニット42によりX方向に搬送される。
【0024】
キャリア搬送ユニット41は、本実施形態の場合、ローラコンベアである。しかし、キャリア搬送ユニット41は磁気浮上式の搬送ユニット等、他の種類の搬送ユニットであってもよい。キャリア搬送ユニット41は、Y方向に離間して二組設けられている。
【0025】
各キャリア搬送ユニット41は、X方向に配列された複数の搬送ローラ411と、複数の駆動軸412と、複数の駆動ユニット413とを含む。二組のキャリア搬送ユニット41によって、搬送ローラ411の列はY方向に離間して二列配置されており、基板キャリア100を下方から支持する。各搬送ローラ411は、Y方向に延びる駆動軸412を介して駆動ユニット413に接続されており、各搬送ローラ411の周面は基板キャリア100のY方向の端部の底面に接する。各駆動ユニット413は、駆動軸412を回転軸として、駆動軸412を介して搬送ローラ411をY方向の回転軸周りに回転する。
【0026】
マスク搬送ユニット42は、本実施形態の場合、ローラコンベアである。しかし、マスク搬送ユニット42は磁気浮上式の搬送ユニット等、他の種類の搬送ユニットであってもよい。マスク搬送ユニット42は、Y方向に離間して二組設けられている。
【0027】
各マスク搬送ユニット41は、X方向に配列された複数の搬送ローラ421と、複数の駆動軸422と、複数の駆動ユニット423とを含む。二組のマスク搬送ユニット42によって、搬送ローラ421の列はY方向に離間して二列配置されており、マスクMを下方から支持する。各搬送ローラ421は、Y方向に延びる駆動軸422を介して駆動ユニット423に接続されており、各搬送ローラ421の周面はマスクMのY方向の端部の底面に接する。各駆動ユニット423は、駆動軸422を回転軸として、駆動軸422を介して搬送ローラ421をY方向の回転軸周りに回転する。
【0028】
図4は、キャリア搬送ユニット41の駆動ユニット413及びマスク搬送ユニット42の駆動ユニット423の詳細図である。本実施形態では、アライメントの際、搬送ローラ411が基板キャリア100と干渉することを回避するために、搬送ローラ411がY方向に変位可能に構成されている。具体的には、スライド機構414によって駆動ユニット413、駆動軸412及び搬送ローラ411が一体的にY方向に変位可能に構成されている。この変位によって、搬送ローラ421は実線で示す搬送位置と、基板キャリア100との干渉を回避する、搬送位置よりも外側の退避位置との間で位置変更が可能である。
【0029】
駆動ユニット413は、その駆動源としてモータ413aを含み、モータ413aの出力軸は駆動軸412と連結されている。モータ413aの駆動により搬送ローラ411が回転する。駆動軸412は、チャンバ40の側壁に形成した開口部40dを通過してチャンバ40の内外に延設されている。開口部40dをチャンバ40外の雰囲気に対してシールするために、駆動ユニット413とチャンバ40の側壁との間には、シール構造413bが設けられている。シール構造413bはY方向に伸縮可能な、筒状で蛇腹状のシール部材を含む。
【0030】
駆動ユニット423は、その駆動源としてモータ423aを含み、モータ423aの出力軸は駆動軸422と連結されている。モータ423aの駆動により搬送ローラ421が回転する。駆動軸422は、チャンバ40の側壁に形成した開口部40eを通過してチャンバ40の内外に延設されている。搬送ローラ421は、搬送ローラ411と異なり、その変位を要しない。したがって、駆動ユニット423の位置は固定の位置である。開口部40eには駆動ユニット423のブッシュ部が挿入されており、チャンバ40外の雰囲気からシールされている。
【0031】
図3に戻る。キャリアガイドユニット43は、キャリア搬送ユニット41により搬送される基板キャリア100の位置がY方向にずれないようにガイドする。本実施形態の場合、キャリアガイドユニット43は、Y方向に離間して二組設けられており、これら二組のキャリアガイドユニット43によって、基板キャリア100の搬送経路のY方向の幅が規定される。
【0032】
各キャリアガイドユニット43は、複数の規制ユニット431と、複数の位置変更ユニット434と、を含む。複数の規制ユニット431は、X方向に離間して配置され、基板キャリア100の搬送中、搬送方向(X方向)に対する基板キャリア100の幅方向(本実施形態の場合、Y方向)の位置を規制する。本実施形態の場合、規制ユニット431は、ガイドローラ432と、ガイドローラ432をZ方向の軸周りに回転自在に支持する支持部材433とを含む。ガイドローラ432は、基板キャリア100の側部に対向する周面を有し、支持部材433に自由回転自在に支持されている。基板キャリア100が斜行すると、基板キャリア100がガイドローラ432に当接することで、基板キャリア100のY方向の位置が規制される。ガイドローラ432はX方向で係合部101やアーム部材60とずれた位置に位置している。
【0033】
基板キャリア100と、ガイドローラ432との間の隙間が大きすぎると基板キャリア100の搬送精度は悪化し、小さすぎると基板キャリア100とガイドローラ432との干渉が頻発してパーティクルが発生しやすくなる。位置変更ユニット434は、規制ユニット431を基板キャリア100の幅方向(本実施形態の場合、Y方向)に移動して、その位置を変更可能なユニットである。位置変更ユニット434によって、規制ユニット431の位置を調節することで、Y方向の適切な位置にある基板キャリア100と、ガイドローラ432との間の隙間を適切に設定することができる。
【0034】
本実施形態の位置変更ユニット434は、駆動軸435と、駆動ユニット436とを含む。駆動軸435はY方向に延設されており、規制ユニット431と駆動ユニット436とを接続する。駆動ユニット436は、規制ユニット431と共に駆動軸435をY方向に移動するアクチュエータを含む。詳細は後述する。
【0035】
マスクガイドユニット44は、マスク搬送ユニット42により搬送されるマスクMの位置がY方向にずれないようにガイドする。本実施形態の場合、マスクガイドユニット44は、Y方向に離間して二組設けられており、これら二組のマスクガイドユニット44によって、マスクMの搬送経路のY方向の幅が規定される。
【0036】
なお、本実施形態では、アライメント後に、基板Gを保持した基板キャリア100はマスクM上に重ねられ、基板キャリア100は基板Gに加えてマスクMも保持する。基板G、マスクM及び基板キャリア100の積層体(図2参照)は、アライメント装置113において搬送ユニット42で搬送され、マスクガイドユニット44によりY方向の位置が規制されることになる。
【0037】
各マスクガイドユニット44は、複数の規制ユニット441と、複数の位置変更ユニット444と、を含む。複数の規制ユニット441は、X方向に離間して配置され、基板キャリア100の搬送中、搬送方向(X方向)に対する基板キャリア100の幅方向(本実施形態の場合、Y方向)の位置を規制する。本実施形態の場合、規制ユニット441は、ガイドローラ442と、ガイドローラ442をZ方向の軸周りに回転自在に支持する支持部材443とを含む。ガイドローラ442は、マスクMの側部に対向する周面を有し、支持部材443に自由回転自在に支持されている。マスクMが斜行すると、マスクMがガイドローラ442に当接することで、マスクMのY方向の位置が規制される。
【0038】
マスクMと、ガイドローラ442との間の隙間が大きすぎるとマスクMの搬送精度は悪化し、小さすぎるとマスクMとガイドローラ442との干渉が頻発してパーティクルが発生しやすくなる。位置変更ユニット444は、規制ユニット441をマスクMの幅方向(本実施形態の場合、Y方向)に移動して、その位置を変更可能なユニットである。位置変更ユニット444によって、規制ユニット441の位置を調節することで、Y方向の適切な位置にあるマスクMと、ガイドローラ442との間の隙間を適切に設定することができる。
【0039】
本実施形態の位置変更ユニット444は、駆動軸445と、駆動ユニット446とを含む。駆動軸445はY方向に延設されており、規制ユニット441と駆動ユニット446とを接続する。駆動ユニット446は、規制ユニット441と共に駆動軸445をY方向に移動するアクチュエータを含む。詳細は後述する。
【0040】
アライメントユニット6は、搬送空間40a内で、基板キャリア100に保持された基板Gと、マスクMとのX-Y平面での位置合わせを行い、基板キャリア100をマスクM上に降下してマスクMも基板キャリア100に保持させる機構である。
【0041】
次に、アライメントユニット6は、基板キャリア100を搬送空間40a内で昇降する昇降ユニット6Aと、昇降ユニット6AをX-Y平面上で移動する移動ユニット6Bと、複数の計測ユニット65とを備える。昇降ユニット6Aは、Z方向に延設された複数のアーム部材60と、複数のアーム部材60を支持する昇降テーブル62と、昇降テーブル62を昇降する駆動ユニット63とを含む。
【0042】
複数のアーム部材60は、X方向及びY方向に離間して配置されており、チャンバ40の天壁に形成された開口部40bを介して、チャンバ40の内外に延設されている。開口部40bを装置外の雰囲気に対してシールするために、アーム部材60とチャンバ40の天壁との間には、シール構造60aが設けられている。シール構造60aはX方向に伸縮可能な、筒状で蛇腹状のシール部材を含む。
【0043】
アーム部材60は、その下端部に爪状の係合部60aを有している。係合部60aが基板キャリア100の側部に形成された係合部101に下から当接することで、複数のアーム部材60の係合部60aに基板キャリア100が載置された状態となる。
【0044】
駆動ユニット63は例えばボールねじ機構を有しており、ボールねじ軸63aに沿って昇降テーブル62を昇降する。昇降テーブル62の昇降によって、複数のアーム部材60の係合部60aに載置された基板キャリア100を昇降することができる。
【0045】
移動ユニット6Bは、複数の支柱64を介して駆動ユニット63に接続されており、駆動ユニット63をX方向、Y方向、θ方向に変位することで昇降ユニット6A全体、つまり、基板キャリア100をX方向、Y方向、θ方向に変位することができる。移動ユニット6Bは、例えば、チャンバ40に固定されたベースプレート、ベースプレートの上方に位置し、複数の支柱64が立設された可動プレート、ベースプレートと可動プレートとの間に配置され、ベースプレートに対して可動プレートを変位させる複数のアクチュエータとを含む。
【0046】
複数の計測ユニット65は、基板キャリア100に保持された基板Gと、マスクMの位置ずれを計測する。本実施形態の計測ユニット65は画像を撮像する撮像装置(カメラ)であり、チャンバ40の天壁に形成された透過部40cを介して搬送空間40a内の基板GとマスクMとを撮影する。基板G及びマスクMには、それぞれアライメントマークが形成されており、計測ユニット65はこれらのアライメントマークを撮像する。そして、基板G及びマスクMの各アライメントマークの位置から、基板G及びマスクMのX方向、Y方向及びθ方向の位置ずれ量を演算することができる。
【0047】
なお、基板キャリア100及びマスクMがY方向に斜行して搬送されていると、基板GとマスクMとの位置ずれ量が大きく、また、各アライメントマークが計測ユニット65の視野内に収まらない場合がある。しかし、本実施形態では基板キャリア100及びマスクMが各ガイドユニット43、44によってY方向の位置が規制されつつ搬送されるため、基板キャリア100及びマスクMがY方向に斜行して搬送されることを防止できる。したがって、アライメント前においても基板GとマスクMとの位置ずれ量が小さく、また、各アライメントマークを計測ユニット65の視野内に収めることができる。すなわち、基板Gを保持した基板キャリア100と、マスクMの各搬送精度を向上することで、アライメント精度も向上することができる。
【0048】
アライメント装置113におけるアライメント動作について説明する。まず、図3に示すようにアーム部材60、搬送ローラ411、規制ユニット431及び441が配置された状態で、基板Gを保持した基板キャリア100及びマスクMを搬送空間40a内に搬送し、所定位置で搬送を停止する。昇降ユニット6Aがアーム部材60を上昇させ、基板キャリア100を搬送ローラ411から持ち上げる。搬送ローラ411は退避位置(図4)へ移動する。昇降ユニット6Aがアーム部材60を降下させ、基板GがマスクMに近接する位置へ基板キャリア100を降下する。なお、これ以降のアライメントは、マスクMを搬送ローラ421を不図示の昇降テーブルによって持ち上げ、昇降テーブルにマスクMを保持した状態で行ってもよい。
【0049】
複数の計測ユニット65により基板G及びマスクMの各アライメントマークを計測し、基板G及びマスクMのX方向、Y方向及びθ方向の位置ずれ量を演算する。演算結果に応じて移動ユニット6Bを駆動し、基板GとマスクMとの位置合わせを行う。昇降ユニット6Aがアーム部材60を降下させ、基板GがマスクMに重なるように基板キャリア100を降下する。なお、マスクMには係合部60aとの干渉を回避する凹部が形成されており、アーム部材60を降下させると係合部60aは凹部に進入する。その後、基板キャリア100によりマスクMを保持する。搬送ローラ421を回転させて、基板G及びマスクMを保持した基板キャリア100をアライメント装置113外へ搬送する。
【0050】
<規制ユニットの位置決め>
本実施形態の場合、搬送空間40aは真空状態に維持される一方、チャンバ40外は大気圧下にある。チャンバ40の周壁は内外の気圧差によって変形し得る。この変形は、基板キャリア100とガイドローラ432との間の隙間や、マスクMとガイドローラ442との間の隙間に影響し得る。すなわち、これらの隙間の調整が、搬送空間40aが大気圧下にある状態で行われると、その後、搬送空間40aが真空引きされると、チャンバ40の周壁の変形によって隙間が変動し得る。以下に述べる本実施形態の構造によれば、チャンバ40の周壁の変形の影響を低減することができる。
【0051】
図5は、キャリアガイドユニット43及びマスクガイドユニット44の周辺の構造を示す説明図である。位置変更ユニット434の駆動軸435はチャンバ40の側壁に形成した開口部40fを通過してチャンバ40の内外に延設されている。開口部40fをチャンバ40外の雰囲気に対してシールするために、駆動軸435とチャンバ40の側壁との間には、シール構造437が設けられている。シール構造437はY方向に伸縮可能な、筒状で蛇腹状のシール部材を含む。駆動ユニット436は、電動シリンダ436aを備え、そのロッド部はジョイント部438を介して駆動軸435に連結されている。ジョイント部438は例えばフローティングジョイントであり、ロッド部と駆動軸435との位置ずれを許容するジョイントである。電動シリンダ436aは伸縮量を制御可能である。
【0052】
位置変更ユニット444の駆動軸445はチャンバ40の側壁に形成した開口部40gを通過してチャンバ40の内外に延設されている。開口部40gをチャンバ40外の雰囲気に対してシールするために、駆動軸445とチャンバ40の側壁との間には、シール構造447が設けられている。シール構造447はY方向に伸縮可能な、筒状で蛇腹状のシール部材を含む。駆動ユニット446は、電動シリンダ446aを備え、そのロッド部はジョイント部448を介して駆動軸445に連結されている。ジョイント部448は例えばフローティングジョイントであり、ロッド部と駆動軸445との位置ずれを許容するジョイントである。電動シリンダ446aは伸縮量を制御可能である。
【0053】
図5には、また、規制ユニット431、441のY方向の各位置の基準となる基準ユニット7と、基準ユニット7を支持する支持ユニット8の構成例が図示されている。基準ユニット7及び支持ユニット8は、規制ユニット431、441のそれぞれについて設けられるが、同様の構成であるため、規制ユニット441に対して設けられた基準ユニット7及び支持ユニット8の構成について説明する。
【0054】
基準ユニット7は、チャンバ40a内に配置され、規制ユニット441のY幅方向の位置の基準となるユニットである。本実施形態の場合、基準ユニット7は、位置変更ユニット444による規制ユニット441の位置変更範囲に配置され、規制ユニット441と当接可能な当接部材である。図5において、実線で示す規制ユニット441は規制位置に位置しており、破線で示す規制ユニット441はリセット位置に位置している。
【0055】
規制位置において規制ユニット441は、マスクMのY方向の位置を規制する。リセット位置は規制ユニット441が基準ユニット7と当接する位置であり、規制ユニット441のY方向の原点位置である。基準ユニット7は規制ユニット441のY方向外側への移動を、支持部材443との物理的な当接によって阻止するストッパということもできる。規制ユニット441が基準ユニット7に当接しているか否かは、電動シリンダ446aの電流値の変化(増大)を電流センサにより検知して判定することができる。リセット位置を基準として電動シリンダ446の伸長量を制御することで、規制ユニット441の規制位置を制御することができる。
【0056】
支持ユニット8は、架台部80と、ベース部81と、接続部82とを含む。架台部80はチャンバ40内においてチャンバ40とは分離して配置された部材である。架台部80には基準ユニット7が搭載されている。基準ユニット7は架台部80に固定されている。本実施形態では、架台部80上にY方向に延設されたガイドレール80aが設けられている。規制ユニット441の支持部材443は、その底部にガイドレール80aと係合する係合部を有しており、規制ユニット441はガイドレール80aによって、規制位置とリセット位置との間の移動が案内される。
【0057】
ベース部81はチャンバ40外においてチャンバ40とは分離して配置された部材であり、本実施形態の場合、架台5に固定されている。ベース部81は架台5ではなく、アライメント装置113が設けられる工場の床上に固定されてもよい。接続部82は、ベース部81と架台部80とを接続し、ベース部81に対して架台部80を支持する支柱部材である。
【0058】
接続部82は、チャンバ40の底壁に形成された開口部40hを通ってチャンバ40の内外にZ方向に延設している。開口部40hをチャンバ40外の雰囲気に対してシールするために、チャンバ40の底壁と架台5との間には、シール構造83が設けられている。シール構造83はZ方向に伸縮可能な、筒状で蛇腹状のシール部材を含む。シール構造83は接続部82とチャンバ40の底壁との間に設けてもよい。
【0059】
このように、支持ユニット8はチャンバ40の変形の影響を受けない、チャンバ40とは独立した構造体(独立架台)である。したがって、支持ユニット8に支持されている基準ユニット7もチャンバ40の変形の影響を受けず、その位置はチャンバ40の変形に伴って変動することもない。規制ユニット441のリセット位置は、チャンバ40の変形に影響を受けない位置となる。規制位置をリセット位置からY方向に所定距離だけ規制ユニット441を移動した位置に設定することで、マスクMとガイドローラ442との間の隙間を適切に設定でき、搬送精度を向上できる。チャンバ40の変形により、駆動軸445と駆動ユニット446とに位置ずれが生じても、ジョイント部448によってこれを吸収することができる。このように本実施形態では、マスクMや基板キャリア100といった搬送対象物の搬送精度に対するチャンバ40の変形の影響を低減することができる。
【0060】
次に、規制ユニット431や規制ユニット441の規制位置を設定するにあたって、チャンバ40に何らかの指標があると作業効率が高まる。但し、上記のとおり、チャンバ40はその内部が真空状態か大気圧下によって変形が生じ得る。そこで、指標は、チャンバ40の周壁のうち、他の部分よりも変形量が小さい部分に設けることが好ましい。図6(A)及び図6(B)はその一例を示す。
【0061】
図6(A)は、チャンバ40の前壁4aを示している。前壁4aは、チャンバ40の周壁のうち、基板キャリア100の搬送方向(X方向)で上流側の壁部である(図1参照)。前壁4aには、不図示のゲートバルブによって開閉される搬入口4b、4dが形成されている。搬入口4bは、基板Gを保持した基板キャリア100をチャンバ40内に搬入するための開口部であり、搬入口4dはマスクMをチャンバ40内に搬入するための開口部である。
【0062】
搬入口4bの周壁4cは、チャンバ40の周壁の他の部分よりも部材厚が厚く、剛性が高く設計されており、チャンバ40内部が真空状態か大気圧下による変形量が他の部分よりも小さい。そこで、周壁4cに指標4fが形成されている。この指標4fは、基板キャリア100の搬送経路における基板キャリア100の幅方向(Y方向)の位置に合わせて形成されている。指標4fは本実施形態の場合、切り欠きであるが、塗料の塗布によって形成されたものであってもよい。
【0063】
ガイドローラ432を指標4fに合わせるようにして規制ユニット431の規制位置を設定することができ、特に、X方向に配列された複数の規制ユニット431の各規制位置を揃えることができる。こうした規制位置の調整は、例えば、チャンバ40の内部が大気に開放された状態で行い、リセット位置から規制位置までの距離を記録しておく。そして、チャンバ40を真空状態とした場合には、規制ユニット431をリセット位置に位置させた後、記録していた距離だけ規制ユニット431をY方向に移動すればよい。
【0064】
搬入口4dの周壁4eには指標4gが形成されている。この指標4gは、マスクMの搬送経路におけるマスクMの幅方向(Y方向)の位置に合わせて形成されている。
【0065】
ガイドローラ442を指標4gに合わせるようにして規制ユニット441の規制位置を設定することができ、特に、X方向に配列された複数の規制ユニット441の各規制位置を揃えることができる。
【0066】
図6(B)はチャンバ40の後壁4hを示している。後壁4hは、チャンバ40の周壁のうち、基板キャリア100の搬送方向(X方向)で下流側の壁部である(図1参照)。後壁4hには、不図示のゲートバルブによって開閉される搬出口4iが形成されている。搬出口4iは、基板G及びマスクMを保持した基板キャリア100をチャンバ40から搬出するための開口部である。
【0067】
搬出口4iの周壁4jは、チャンバ40の周壁の他の部分よりも部材厚が厚く、剛性が高く設計されており、チャンバ40内部が真空状態か大気圧下による変形量が他の部分よりも小さい。そこで、周壁4jに指標4kが形成されている。この指標4kは、マスクMの搬送経路におけるマスクMの幅方向(Y方向)の位置に合わせて形成されている。
【0068】
ガイドローラ442を指標4kに合わせるようにして規制ユニット441の規制位置を設定することができ、特に、X方向に配列された複数の規制ユニット441の各規制位置を揃えることができる。
【0069】
図6(A)及び図6(B)の例では、搬入口4b、4dの周壁4c、4eと、搬出口4iの周壁4jとの双方に、対応する指標4f、4g、4kを形成したが、搬入口のみ、或いは、搬出口のみに指標を形成してもよい。
【0070】
図7(A)及び図7(B)は、より具体的な指標の例を示す図である。図7(A)はチャンバ40の壁部に設けられた開口部400の斜視図である。開口部400は例えば搬入口4b、4d又は搬出口4iに相当する。開口部400の周縁部に指標401が形成されている。図示の指標401は、開口部400の周縁部に形成されたU字型の溝である。図7(B)に例示するように、指標401の一端から上下方向に延びる仮想線402を基準として規制ユニット431や441のY方向の位置合わせ(ガイドローラ432、442のY方向の位置合わせ)を行うことができる。
【0071】
<搬送装置の他の構成例>
図3図6(B)の例では、アライメント装置113における搬送装置4について説明したが、搬送装置4の構成は他の装置又は室にも適用可能である。例えば、図2に例示した蒸着装置114Aに適用可能であり、その場合、蒸着装置114Aのガイドローラ2eについて、位置変更ユニット444、基準ユニット7及び支持ユニット8を適用することが可能である。
【0072】
また、図5の例では基準ユニット7を当接部材としたが、基準ユニット7は、当該基準ユニット7に対する規制ユニット431或いは規制ユニット441のY方向の位置を測距可能なセンサであってもよく、例えば、基準ユニット7はレーザ測距計であってもよい。この場合、レーザ測距計の計測結果に基づいて規制位置を設定することでチャンバ40の変形に影響されることなく、規制ユニット431或いは規制ユニット441を適切な規制位置に配置することができる。また、規制ユニット431又は441と基準ユニット7との当接が不要となり、当接によるパーティクルの発生を防止できる。
【0073】
また、一つの位置変更ユニット434に対する規制ユニット431の数は一つであっても複数であってもよい。複数の場合、当該複数の規制ユニット431が一つの位置変更ユニット434によって同時に移動されることになる。同様に、一つの位置変更ユニット444に対する規制ユニット441の数は一つであっても複数であってもよい。複数の場合、当該複数の規制ユニット441が一つの位置変更ユニット444によって同時に移動されることになる。
【0074】
また、一つの支持ユニット8に対する基準ユニット7の数は一つであっても複数であってもよい。同様に、一つの支持ユニット8に対する規制ユニット431又は441の数は一つであっても複数であってもよい。
【0075】
<電子デバイス>
次に、電子デバイスの一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成を例示する。
【0076】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図8(A)は有機EL表示装置500の全体図、図8(B)は1画素の断面構造を示す図である。
【0077】
図8(A)に示すように、有機EL表示装置500の表示領域51には、発光素子を複数備える画素52がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。
【0078】
なお、ここでいう画素とは、表示領域51において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。カラー有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子52R、第2発光素子52G、第3発光素子52Bの複数の副画素の組み合わせにより画素52が構成されている。画素52は、赤色(R)発光素子と緑色(G)発光素子と青色(B)発光素子の3種類の副画素の組み合わせで構成されることが多いが、これに限定はされない。画素52は少なくとも1種類の副画素を含めばよく、2種類以上の副画素を含むことが好ましく、3種類以上の副画素を含むことがより好ましい。画素52を構成する副画素としては、例えば、赤色(R)発光素子と緑色(G)発光素子と青色(B)発光素子と黄色(Y)発光素子の4種類の副画素の組み合わせでもよい。
【0079】
図8(B)は、図8(A)のA-B線における部分断面模式図である。画素52は、基板53上に、第1の電極(陽極)54と、正孔輸送層55と、赤色層56R・緑色層56G・青色層56Bのいずれかと、電子輸送層57と、第2の電極(陰極)58と、を備える有機EL素子で構成される複数の副画素を有している。これらのうち、正孔輸送層55、赤色層56R、緑色層56G、青色層56B、電子輸送層57が有機層に当たる。赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。
【0080】
また、第1の電極54は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層55と電子輸送層57と第2の電極58は、複数の発光素子52R、52G、52Bにわたって共通で形成されていてもよいし、発光素子ごとに形成されていてもよい。すなわち、図8(B)に示すように正孔輸送層55が複数の副画素領域にわたって共通の層として形成された上に赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bが副画素領域ごとに分離して形成され、さらにその上に電子輸送層57と第2の電極58が複数の副画素領域にわたって共通の層として形成されていてもよい。
【0081】
なお、近接した第1の電極54の間でのショートを防ぐために、第1の電極54間に絶縁層59が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層600が設けられている。
【0082】
図8(B)では正孔輸送層55や電子輸送層57が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を有する複数の層で形成されてもよい。また、第1の電極54と正孔輸送層55との間には第1の電極54から正孔輸送層55への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成してもよい。同様に、第2の電極58と電子輸送層57の間にも電子注入層を形成してもよい。
【0083】
赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bのそれぞれは、単一の発光層で形成されていてもよいし、複数の層を積層することで形成されていてもよい。例えば、赤色層56Rを2層で構成し、上側の層を赤色の発光層で形成し、下側の層を正孔輸送層又は電子ブロック層で形成してもよい。あるいは、下側の層を赤色の発光層で形成し、上側の層を電子輸送層又は正孔ブロック層で形成してもよい。このように発光層の下側又は上側に層を設けることで、発光層における発光位置を調整し、光路長を調整することによって、発光素子の色純度を向上させる効果がある。
【0084】
なお、ここでは赤色層56Rの例を示したが、緑色層56Gや青色層56Bでも同様の構造を採用してもよい。また、積層数は2層以上としてもよい。さらに、発光層と電子ブロック層のように異なる材料の層が積層されてもよいし、例えば発光層を2層以上積層するなど、同じ材料の層が積層されてもよい。
【0085】
こうした電子デバイスの製造において、上述した成膜装置1が適用可能であり、当該製造方法は、基板Gを搬送する搬送工程と、搬送されている基板Gに蒸着装置114A、114Bによって各層の少なくともいずれか一つの層を蒸着する蒸着工程と、を含むことができる。
【0086】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0087】
1 成膜装置、7 基準ユニット、8 支持ユニット、4 搬送装置、40 チャンバ、41 キャリア搬送ユニット、42 マスク搬送ユニット、431 規制ユニット、441 規制ユニット、434 位置変更ユニット、444 位置変更ユニット、80 架台部、81 ベース部、82 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8