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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185698
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】衛生物品の収容体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/26 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
B65D75/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093473
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 誠
(72)【発明者】
【氏名】デリ リダ ライナ
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB83
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067EA05
3E067EB17
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】開封口を繰り返し開閉することが可能な紙製の衛生物品収容体を提供する。
【解決手段】
衛生物品(100)と、衛生物品(100)を複数収容可能な収容部材(10)とを備え、収容部材(10)の少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体(1)であって、収容部材(10)は、衛生物品(100)を取り出すための開封口(30)と、開封口(30)を封止するための封止部(50)と、を有し、封止部(50)は、粘着剤が設けられた係合部(60)を有し、係合部(60)は、収容部材(10)の被係合部(70)に引き剥がし可能に係合しており、被係合部(70)の少なくとも一部を覆う被覆層(16)が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生物品と、前記衛生物品を複数収容可能な収容部材とを備え、
前記収容部材の少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体であって、
前記収容部材は、収容された前記衛生物品を取り出すための開封口と、前記開封口を封止するための封止部と、を有し、
前記封止部は、粘着剤が設けられた係合部を有し、
前記係合部は、前記収容部材の被係合部に引き剥がし可能に係合しており、
前記被係合部の少なくとも一部を覆う被覆層が設けられている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の衛生物品の収容体であって、
前記係合部と前記被係合部との繰り返し剥離強度は、0.5N以上、5.0N以下である、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記収容部材を構成する基材シートが、前記上下方向の上側から下側、且つ、前記前後方向の前側から後側に折り返された折り返し部を有し、
前記折り返し部は、前記前後方向に対向する面と接合された折り返し基部と、前記折り返し基部の下側に隣接する前記封止部とを有し、
前記封止部の下端部に前記係合部が設けられており、
前記封止部が、前記開封口を前記前後方向の後側から覆うことによって前記開封口が封止され、
前記封止部が、前記折り返し基部との境界線に沿って折り曲げられることにより、前記開封口が開口される、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項4】
請求項3に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記折り返し部において、前記封止部と前記折り返し基部との境界線上に、前記左右方向に沿った折り誘導線が設けられている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項5】
請求項4に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の前記折り返し部と前記前後方向に対向する面において、前記折り誘導線と対応する位置に、前側折り誘導線が設けられている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項6】
請求項3~5の何れか1項に記載の衛生物品の収容体であって、
前記折り返し基部と、前記折り返し基部と前記前後方向に対向する面との接合強度は、
前記係合部と前記被係合部との係合強度よりも高い、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項7】
請求項3~6の何れか1項に記載の衛生物品の収容体であって、
前記封止部の前記上下方向における長さは、前記折り返し基部の前記上下方向における長さよりも長い、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材は、紙製の層と、樹脂製の層とが積層された基材シートによって構成されており、
前記収容部材の全体重量に対する前記紙製の層の重量の割合が50%以上である、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項9】
請求項8に記載の衛生物品の収容体であって、
前記基材シートの厚さ方向において、前記樹脂製の層の表側に前記紙製の層が設けられており、前記紙製の層の表側に前記被覆層が設けられている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項10】
請求項8または9に記載の衛生物品の収容体であって、
前記基材シートの厚さ方向における最も外側の面の表面粗さは、前記基材シートの厚さ方向における最も内側の面の表面粗さよりも粗い、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項11】
請求項8~10の何れか1項に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記基材シートは、前記樹脂製の層が内側に対向するように前記左右方向の一端側にて折り曲げられており、前記左右方向の他端側及び前記上下方向の下端側にて対向する前記樹脂製の層同士が熱融着されている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項12】
請求項11に記載の衛生物品の収容体であって、
前記衛生物品は、本体部と耳掛け部とを有する使い捨てマスクであり、
前記使い捨てマスクは、前記耳掛け部と前記本体部との境界部にて折り曲げることにより、前記耳掛け部と前記本体部とが厚さ方向に重なるように折り畳まれ、
折り畳まれた状態の前記使い捨てマスクは、前記境界部が前記収容部材の前記左右方向の前記他端側に位置するように前記収容部材に収容されている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項13】
請求項11に記載の衛生物品の収容体であって、
前記衛生物品は、本体部と耳掛け部とを有する使い捨てマスクであり、
前記使い捨てマスクは、前記耳掛け部と前記本体部との境界部にて折り曲げることにより、前記耳掛け部と前記本体部とが厚さ方向に重なるように折り畳まれ、
折り畳まれた状態の前記使い捨てマスクは、前記境界部が前記収容部材の前記左右方向の前記一端側に位置するように前記収容部材に収容されている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項14】
請求項12または13に記載の衛生物品の収容体であって、
折り畳まれた状態の前記使い捨てマスクにおいて、前記耳掛け部と前記本体部とが重なっている部分の面積は、前記使い捨てマスクの上下方向における中央位置よりも上側の方が下側よりも大きく、
前記使い捨てマスクの上下方向における中央位置よりも上側の方が下側よりも、前記開封口に近くなるように、前記収容部材の内部に収容されている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記開封口の前記左右方向の両端部における前記上下方向の位置よりも、
前記開封口の前記左右方向の中央部における前記上下方向の位置の方が低い、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【請求項16】
請求項1~15の何れか1項に記載の衛生物品の収容体であって、
前記収容部材の表面の剛軟度は、JIS L 1096:2010 8.21.1 A法に準拠した測定において、60mm以上である、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生物品の収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の使い捨てマスク等の衛生物品が収容部材の内部に収容された衛生物品の収容体が知られている。このような衛生物品の収容体として、近年、脱プラ等の環境配慮の観点や、形状の安定性の観点から、紙を用いた紙パッケージの製品が注目されている。例えば、特許文献1には、紙層とフィルム層とが積層された積層体によって形成された平行六面体形状の可撓性ガセットパッケージの内部に、複数の物品を収容したパッケージ製品に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-59552号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使い捨てマスク等の衛生物品を収容する収容体には、通常、複数個の衛生物品が収容される場合が多い。そして、そのような収容体から衛生物品を1つずつ取り出して使用する際には、衛生上の観点から、一度開封された開封口を再封止可能であることが必要である。
【0005】
しかしながら、従来の紙パッケージ製品では、開封口を再封止することが出来なかったり、開封口を封止していた粘着面が剥がされることによって紙素材が破壊されてしまい、再度粘着面を貼り付けて再封止することが出来なかったりする場合があった。このような場合、開封口を繰り返して開閉することが困難になるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、開封口を繰り返し開閉することが可能な紙製の衛生物品収容体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、衛生物品と、前記衛生物品を複数収容可能な収容部材とを備え、前記収容部材の少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、収容された前記衛生物品を取り出すための開封口と、前記開封口を封止するための封止部と、を有し、前記封止部は、粘着剤が設けられた係合部を有し、前記係合部は、前記収容部材の被係合部に引き剥がし可能に係合しており、前記被係合部の少なくとも一部を覆う被覆層が設けられている、ことを特徴とする衛生物品の収容体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開封口を繰り返し開閉することが可能な紙製の衛生物品収容体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A及び図1Bは、使い捨てマスク収容体1(収容体1)の概略斜視図である。
図2】収容体1から衛生物品100を取り出す際の様子について説明する図である。
図3】収容部材10を構成する基材シート11の断面構造について説明する図である。
図4図4Aは、展開状態のマスク100の正面図である。図4Bは、収容部材10に収容する際の、マスク100の折り畳み状態について表す図である。
図5図5A図5Cは、収容部材10の形成方法につい説明する図である。
図6図6A図6Cは、収容部材10からマスク100を取り出す際の動作について説明する図である。
図7図7A及び図7Bは、マスク100が収容部材10に収容された状態について、上下方向の下側から見たときの断面状態について説明する図である。
図8】マスク100が収容部材10に収容された状態について、前後方向の後側から見た状態について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
衛生物品と、前記衛生物品を複数収容可能な収容部材とを備え、前記収容部材の少なくとも一部が紙で構成されている、衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、収容された前記衛生物品を取り出すための開封口と、前記開封口を封止するための封止部と、を有し、前記封止部は、粘着剤が設けられた係合部を有し、前記係合部は、前記収容部材の被係合部に引き剥がし可能に係合しており、前記被係合部の少なくとも一部を覆う被覆層が設けられている、ことを特徴とする衛生物品の収容体。
【0011】
このような衛生物品の収容体によれば、収容部材に紙を用いることにより、フィルム等によって構成された従来の収容部材と比較して剛性が高く、形状を崩れ難くすることができる。また、開封口を開閉する際に、被係合部から係合部を引き剥がしたとしても、被覆層が設けられていることによって収容部材表面の紙が破壊され難く、係合部の粘着強度も低下し難い。したがって、開封口の開閉動作を繰り返して行うことができる。
【0012】
かかる衛生物品の収容体であって、前記係合部と前記被係合部との繰り返し剥離強度は、0.5N以上、5.0N以下である、ことが望ましい。
【0013】
このような衛生物品の収容体によれば、繰り返し剥離強度が0.5N以上であるため、被係合部と係合部との係合・引き剥がし動作を少なくとも5回繰り返したとしても、係合部の粘着力が低下し難い。また、繰り返し剥離強度が5.0N以下であるため、被係合部から係合部を引き剥がすために過度に大きな力をかける必要がなく、被覆層が剥がれてしまったり、収容部材が破れてしまったりすることを抑制できる。
【0014】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記収容部材を構成する基材シートが、前記上下方向の上側から下側、且つ、前記前後方向の前側から後側に折り返された折り返し部を有し、前記折り返し部は、前記前後方向に対向する面と接合された折り返し基部と、前記折り返し基部の下側に隣接する前記封止部とを有し、前記封止部の下端部に前記係合部が設けられており、前記封止部が、前記開封口を前記前後方向の後側から覆うことによって前記開封口が封止され、前記封止部が、前記折り返し基部との境界線に沿って折り曲げられることにより、前記開封口が開口される、ことが望ましい。
【0015】
このような衛生物品の収容体によれば、封止部が、折り返し基部に対して折り曲げ可能に構成されているため、当該封止部が所謂フラップ構造を有する蓋のように機能し、開封口の開閉動作を行いやすくすることができる。
【0016】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材の前記折り返し部において、前記封止部と前記折り返し基部との境界線上に、前記左右方向に沿った折り誘導線が設けられている、ことが望ましい。
【0017】
このような衛生物品の収容体によれば、折り誘導線を基準として、封止部が、折り返し基部に対して簡単に折り曲げ可能となるため、開封口の開閉動作をより行いやすくすることができる。
【0018】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材の前記折り返し部と前記前後方向に対向する面において、前記折り誘導線と対応する位置に、前側折り誘導線が設けられている、ことが望ましい。
【0019】
このような衛生物品の収容体によれば、収容部材の折り返し部のうち、折り返し基部と前後方向に対向する面(前側折り返し基部)を前側折り誘導線を基準として前側に折り曲げることが可能となる。前側折り返し基部と共に折り返し基部を前側に折り曲げることで、開封口上方の空間が開放され、収容されているマスクを上方に引き出す動作を行いやすくすることができる。
【0020】
かかる衛生物品の収容体であって、前記折り返し基部と、前記折り返し基部と前記前後方向に対向する面との接合強度は、前記係合部と前記被係合部との係合強度よりも高い、ことが望ましい。
【0021】
このような衛生物品の収容体によれば、開封口の開封動作と封止動作とを繰り返したとしても、折り返し基部と、当該折り返し基部に対向する前側折り返し基部との接合が剥がれ難くなり、封止部の開閉動作を安定して行うことができる。
【0022】
かかる衛生物品の収容体であって、前記封止部の前記上下方向における長さは、前記折り返し基部の前記上下方向における長さよりも長い、ことが望ましい。
【0023】
このような衛生物品の収容体によれば、封止部の上下方向における長さが長いため、支点と力点との距離が長くなり、封止部の下端部を掴んで上方に折り曲げる際に過度に大きな力をかける必要が不要となる。また、開封口を覆う封止部の長さが長いので、その分開封口を大きくすることができる。これにより、開封口を開封する動作や、開封口からマスクを取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0024】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、紙製の層と、樹脂製の層とが積層された基材シートによって構成されており、前記収容部材の全体重量に対する前記紙製の層の重量の割合が50%以上である、ことが望ましい。
【0025】
このような衛生物品の収容体によれば、紙の重量割合を50%以上とすることで、収容体が環境に優しい製品であることを、ユーザーに認識させやすくすることができる。
【0026】
かかる衛生物品の収容体であって、前記基材シートの厚さ方向において、前記樹脂製の層の表側に前記紙製の層が設けられており、前記紙製の層の表側に前記被覆層が設けられている、ことが望ましい。
【0027】
このような衛生物品の収容体によれば、被覆層が設けられていることにより、外層が紙で構成されていたとしても、係合部を係合させたり、引き剥がしたりする動作を繰り返しても当該紙製の外層が破けたり傷んだりすることを抑制できる。
【0028】
かかる衛生物品の収容体であって、前記基材シートの厚さ方向における最も外側の面の表面粗さは、前記基材シートの厚さ方向における最も内側の面の表面粗さよりも粗い、ことが望ましい。
【0029】
このような衛生物品の収容体によれば、収容部材を手で掴んで中に収容されているマスクを取り出す際に、収容部材の外側は滑り難く、収容部材の内側はマスクが引っ掛かり難くなる。したがって、外側よりも内側の方が、表面粗さが粗い場合と比較して、マスクを取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0030】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記基材シートは、前記樹脂製の層が内側に対向するように前記左右方向の一端側にて折り曲げられており、前記左右方向の他端側及び前記上下方向の下端側にて対向する前記樹脂製の層同士が熱融着されている、ことが望ましい。
【0031】
このような衛生物品の収容体によれば、袋状に形成された収容部材のうち、左右方向の両端部と、上下方向の下端部において隙間が生じ難くなり、収容部材の内側を外側(大気)から遮蔽しやすくなる。これにより、収容部材の防湿性が向上すると共に、内部に収容されているマスクの衛生状態を保ちやすくすることができる。
【0032】
かかる衛生物品の収容体であって、前記衛生物品は、本体部と耳掛け部とを有する使い捨てマスクであり、前記使い捨てマスクは、前記耳掛け部と前記本体部との境界部にて折り曲げることにより、前記耳掛け部と前記本体部とが厚さ方向に重なるように折り畳まれ、折り畳まれた状態の前記使い捨てマスクは、前記境界部が前記収容部材の前記左右方向の前記他端側に位置するように前記収容部材に収容されている、ことが望ましい。
【0033】
このような衛生物品の収容体によれば、収容部材において前後方向の前側と後側との間隔が狭い側(左右方向において基材シート同士が熱溶着されている側)に、厚みのあるマスクの境界部(マスク本体部と耳掛け部との折り曲げ部)が位置するようにすることで、当該マスクの境界部が収容部材の前側部と後側部との間に挟まれて、位置ずれが生じ難くなる。これにより、収容部材の内部で複数のマスクが移動してしまうことが抑制される。
【0034】
かかる衛生物品の収容体であって、前記衛生物品は、本体部と耳掛け部とを有する使い捨てマスクであり、前記使い捨てマスクは、前記耳掛け部と前記本体部との境界部にて折り曲げることにより、前記耳掛け部と前記本体部とが厚さ方向に重なるように折り畳まれ、折り畳まれた状態の前記使い捨てマスクは、前記境界部が前記収容部材の前記左右方向の前記一端側に位置するように前記収容部材に収容されている、ことが望ましい。
【0035】
このような衛生物品の収容体によれば、厚みのあるマスクの境界部(マスク本体部と耳掛け部との折り曲げ部)が、収容部材において前後方向の前側と後側との間隔が狭い側(左右方向において基材シート同士が熱溶着されている側)とは反対の側に位置することになる。したがって、収容部材のうち前後方向(厚さ方向)の前側と後側との間隔が狭い側において、収容されているマスクによって、収容部材の前側部と後側部とが厚さ押し広げられてしまうことが抑制され、熱溶着された部分が剥がれ難くなる。これにより、収容部材の形状を維持しやすくすることができる。
【0036】
かかる衛生物品の収容体であって、折り畳まれた状態の前記使い捨てマスクにおいて、前記耳掛け部と前記本体部とが重なっている部分の面積は、前記使い捨てマスクの上下方向における中央位置よりも上側の方が下側よりも大きく、前記使い捨てマスクの上下方向における中央位置よりも上側の方が下側よりも、前記開封口に近くなるように、前記収容部材の内部に収容されている、ことが望ましい。
【0037】
このような衛生物品の収容体によれば、開封口と近い位置に、厚みの厚いマスク上下方向の上側の部分が位置していることにより、マスクの耳掛け部が収容部材の前側部や後側部に引っかかり難くなり、収容部材からマスクを取り出す際に、マスクの折り畳み形状が崩れ難くなる。
【0038】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記開封口の前記左右方向の両端部における前記上下方向の位置よりも、前記開封口の前記左右方向の中央部における前記上下方向の位置の方が低い、ことが望ましい。
【0039】
このような衛生物品の収容体によれば、開封口が切り欠き形状であることにより、当該切り欠きの部分に指が引っ掛かりやすくなり、開封口を前後に開く動作を行いやすくなる。また、左右方向両側の部分が支柱のように機能して、開封口が開いた状態を維持しやすくなる。
【0040】
かかる衛生物品の収容体であって、前記収容部材の表面の剛軟度は、JIS L 1096:2010 8.21.1 A法に準拠した測定において、60mm以上である、ことが望ましい。
【0041】
このような衛生物品の収容体によれば、剛軟度の低いフィルム製の収容部材等と比較して、収容部材の形状が崩れ難く、また、開封口の形状も維持されやすくなるため、マスクの取り出し動作を行いやすくすることができる。
===実施形態===
【0042】
<衛生物品収容体1の基本構成>
本発明に係る衛生物品の収容体として、使い捨てマスクを収容する使い捨てマスク収容体1(以下、単に「収容体1」とも呼ぶ)を例に挙げて実施形態を説明する。但し、収容体1に収容される衛生物品は使い捨てマスクには限られず、使い捨てナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品や、ガーゼ・包帯等も含まれる。
【0043】
図1は、使い捨てマスク収容体1(収容体1)の概略斜視図である。図1Aは斜め前方から見た状態を表し、図1Bは斜め後方から見た状態を表している。図2は、収容体1から衛生物品100を取り出す際の様子について説明する図である。収容体1は、袋状の部材である収容部材10と、該収容部材10の内部に収容される1以上(複数)の衛生物品100(以下、「マスク100」とも呼ぶ)とを有している。また、収容体1(収容部材10)は、図1及び図2に示されるように、互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向と、を有している。
【0044】
(収容部材10)
収容部材10は、図1に示されるような長方形状の袋型容器であり、該収容部材10を構成するシート部材である基材シート11を折り曲げて、所定の部位を接合することによって形成される。基材シート11を用いて、図1のような長方形状の収容部材10を形成する具体的な方法については後で説明する(図5参照)。
【0045】
収容部材10は、図1Aに示される前後方向における前側の面(以下、「前側部S1」とも呼ぶ)と、図1Bに示される前後方向における後側の面(以下、「後側部S2」とも呼ぶ)とを有している。また、後側部S2の上端部付近には、収容部材10の内部に収容されたマスク100を取り出すための開封口30が設けられている(図1B及び図2参照)。また、収容部材10の上下方向の上端(後述する図5の第2折り曲げ位置F2)にて基材シート11が上側から下側、且つ前側から後側に折り返され、後側面S2の上端部に対して前後方向の後側から重ねられた面(以下、「折り返し部S3」とも呼ぶ)を有している。この折り返し部S3の一部が、開封口30を覆うことにより、収容部材10が封止される(開封口30が閉じられる)。
【0046】
折り返し部S3は、上端部の折り返し基部40と、当該折り返し基部40の下側に隣接し、開封口30を封止する封止部50とを備えている。折り返し基部40は、前側部S1の上端部において、折り返し基部40と前後方向に対向する部分である前側基部45に接合されている。一方、封止部50は前側部S1及び後側部S2の何れとも接合されておらず、折り返し基部40との境界線(FL)に沿って上側に折り曲げることが可能である。そして、図2のように、境界線(FL)に沿って封止部50を折り曲げることにより、後側部S2において開封口30が開封され、マスク100を取り出すことが可能となる。
【0047】
本実施形態において、折り返し基部40と封止部50との境界線上には、封止部50を折り曲げる際の基準となる折り誘導線FLが設けられている。折り誘導線FLは、例えば、折り返し部S3のうち折り返し基部40と封止部50との境界となる部分(境界線)に沿って基材シート11を厚さ方向に圧搾することによって形成される。このような折り誘導線FLが設けられることで基材シート11に折り癖が付きやすくなり、封止部50を簡単に折り曲げることが可能となる。すなわち、開封口30を開いてマスク100を取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0048】
封止部50の先端部(図2においては、封止部50の上端で斜線表示されている部分)の内側面(後側部S2と対向する側の面)には、係合部60が設けられている。係合部60には粘着剤が塗布されており、封止部50は、当該係合60を介して、後側部S2の被係合部70に引き剥がし可能に係合することができる。つまり、封止部50を折り曲げ状態(図2参照)から元の状態(図1B参照)に戻して、封止部50の内側面に設けられた係合部60を後側部S2の外側面に設けられた被係合部70に係合させることで、開封口30を再び封止することができる。このように封止部50が収容部材10の蓋のように機能して、開封口30を繰り返し開閉可能であることにより、収容部材10に収容されている複数のマスク100を衛生的に使用することができる。例えば、開封口30を開封して複数のマスク100の中から一枚だけ取り出した後に、開封口30を再封止することで、残りのマスク100を良好な衛生状態に保つことができる。
【0049】
収容部材10の前側部S1及び後側部S2の表面(外側の面)には、複数の図柄15が設けられている。図柄15は、収容体1(マスク100)に関する各種情報をユーザーに視認させるために設けられる。例えば、内部に収容されているマスク100の名称(例えば、ブランド名及びサブブランド名)や特徴(例えば、マスク100の素材や形状、ろ過性能)、マスク100をイメージさせるグラフィック(例えば、マスクの絵)、収容個数等に関する種々の情報が図柄15として設けられている。また、図柄15として各種認証マークの表示(不図示)が設けられていても良い。図柄15は、主に印刷によって形成される。
図3は、収容部材10を構成する基材シート11の断面構造について説明する図である。基材シート11は、複数のシート部材が厚さ方向に積層されてなる積層シート部材である。本実施形態の基材シート11は、厚さ方向の外側(収容部材10の表面側)に配置された外層11aと、厚さ方向の内側(収容部材10の裏面側)に配置された内層11bとの2層構造を有している。但し、基材シート11は、3層以上の層を有していても良い。
【0050】
外層11aは、少なくとも一部分が、紙で構成されている。ここで「紙」とは、植物繊維その他を膠着させて製造したものであり、広義には、素材として合成高分子物質を用いて製造した合成紙のほか,繊維状無機材料を配合した紙も含むものとする。外層11aが紙素材であることにより、収容体1が、石油由来の材料を削減した所謂「脱プラ」製品であることをユーザーに認識させやすく、環境に優しいイメージをユーザーに与えることができる。本実施形態における外層11aは、パルプ繊維等の植物繊維からなる「紙」によって構成されていることが望ましく、外層11aの全体が再生紙によって構成されていることがより望ましい。
【0051】
内層11bは、少なくとも一部分が樹脂で構成されている。ここで「樹脂」とは、高分子化合物からなる合成樹脂であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂を使用できる。紙製の外層11aの内側に樹脂による層が設けられていることにより、大気中に含まれる水分(シャワールームの水滴等も含む)が収容体1の外側から内側に浸入することが抑制され、内部に収容されたマスク100の防湿性を維持しやすくすることができる。
【0052】
また、基材シート11の表面(すなわち、外層11aの厚さ方向における外側の面)の一部には、上述した図柄15が設けられている。そして、基材シート11の厚さ方向における最も外側には、基材シート11の外層11aを被覆する被覆層16が設けられている。本明細書中では、このような被覆層16も基材シート11の一部であるものとして説明を行う。
【0053】
被覆層16は、基材シート11の表面の全体に亘って所定の液体を塗工することで形成される層である。塗工される液体としては、例えば、水溶性Acrylateに添加剤を加えた水溶性インクを例示できる。また、被覆層16は、厚さが不均一で表面に微細な凹凸が形成されていることが望ましい。このような被覆層16を形成することにより、基材シート11の表面の光沢度を調整し、所謂マット(つや消し)調とすることができる。すなわち、被覆層16はマットコーティング層とすることができる。なお、図3では、図柄15の厚さ方向の表面側に被覆層16を形成する例について示したが、図柄15と被覆層16とが同じタイミングで形成されても良いし。被覆層16が形成された後で図柄15が形成されるのであっても良い。
【0054】
(衛生性物品100)
続いて、収容部材10に収容される衛生物品100(マスク100)について説明する。図4Aは、展開状態のマスク100の正面図である。図4Bは、収容部材10に収容する際の、マスク100の折り畳み状態について表す図である。図4A及び図4Bにおいて、マスク100は、互いに交差するマスク上下方向と、マスク左右方向と、厚さ方向とを有するものとする。また、着用状態において着用者の肌と対向する側を厚さ方向の肌側(肌面側)とし、その反対側を厚さ方向の非肌側(非肌面側)とする。
【0055】
マスク100は、所謂、使い捨てマスクであり、少なくとも着用者の口元及び鼻孔を覆うことができるマスク本体部110と、着用者の耳に掛けられる耳掛け部120とを有する。マスク本体部110は、着用者の右顔面及び左顔面をそれぞれ覆う一対のシート部113,114と、一対のシート部113,114を互いに接合する接合部115と、マスク本体部110を着用者の顔面形状に合わせて立体的に変形させた状態を保持するための形状保持部材116と、一対のシート部113,114に耳掛け部120を接合する接合部117を有する。接合部115,117は、溶着、圧搾、接着剤等の周知の方法で接合できる。
【0056】
マスク本体部110のシート部113,114は、ウィルス飛沫や細菌飛沫や花粉等の微粒子の捕集効果が高いフィルタ機能を備えた部材を備えている。フィルタ機能を備えた部材としては、ポリオレフィン系繊維からなる不織布が誘電分極された(エレクトレット処理された)シートを例示できる。エレクトレット処理によって、ポリオレフィン系繊維表面に所定量の正電荷或いは負電荷を与えて分極させた誘電状態が形成され、捕集機能が得られる。
【0057】
耳掛け部120は、耳を掛けるための開口部121が形成された伸縮性シートであり、例えば伸縮不織布が用いられる。耳掛け部50は、図4Aに示すように、接合部117によって、マスク本体部110の肌側面に接合されている。
【0058】
マスク100を折り畳む際には、マスク本体部110のシート部113,114の肌側面同士が対向するように、マスク本体部110を左右方向の中央部(接合部115付近)にて折り曲げて、シート部113と114とを厚さ方向に重ね合わせる。そして、マスク本体部110と耳掛け部120との境界部130付近にて、耳掛け部120を折り曲げ、マスク本体部110と耳掛け部120とが厚さ方向に重なり合うようにする。このようにすることで、マスク100は図4Bに示されるような折り畳み状態となる。
【0059】
折り畳み状態のマスク100は、マスク上下方向の上側が、収容部材10の上下方向の上側に揃うようにして、厚さ方向に複数重ねられた状態で収容部材10に収容される(図2参照)。なお、複数のマスク100を収容部材10に収容する際には、マスク100を図4Bのような折り畳み状態にしてから厚さ方向に複数重ねても良いし、図4のような展開状態のマスク100を厚さ方向に複数重ねてから折り畳むのであっても良い。また、マスク100の構成や形状は図4に示される例には限られず、収容部材10に収容可能なものであれば、適宜変形可能である。
【0060】
<収容部材10の効果>
続いて、本実施形態の収容部材10の効果について説明する。先ず、基材シート11を用いて袋状の収容部材10を形成する方法について簡単に説明する。図5A図5Cは、収容部材10の形成方法につい説明する図である。なお、図5Aは、展開状態の収容部材10を厚さ方向の内側(上述した基材シート11の内層11bが設けられている側)から見たときの平面図であり、図5Cは、袋状に形成された収容部材10を前後方向の後側から見たときの平面図である。
【0061】
初めに、基材シート11をカッティングする等により、図5Aに示すような平面形状とする。上述したように、基材シート11は、収容部材10の前後方向の前側の面となる前側部S1と、前後方向の後側の面となる後側部S2と、開封口30を開閉可能に封止する折り返し部S3とを有している。
【0062】
次いで、図5Bのように、前側部S1と後側部S2と境界を第1折り曲げ位置F1として基材シート11を左右方向に折り曲げ、前側部S1の厚さ方向の内側面と後側部S2の厚さ方向の内側面とが対向するように重ね合わせる。そして、左右方向において第1折り曲げ位置F1とは反対側の端部(側端部17とする)において、前側部S1と後側部S2との対向する面同士(内層11b同士)を熱溶着する。同様に、上下方向における下端部(底部18とする)において、前側部S1と後側部S2との対向する面同士(内層11b同士)を熱溶着する。
【0063】
基材シート11の内層11bは熱可塑性の樹脂であるため、収容部材10を形成する際に、当該内側面同士を熱溶着(ヒートシール)することで、厚さ方向に対向する面同士を強固に接合し、高い防湿性を実現することができる。本実施形態の収容部材10では、左右方向の一方側(右側)の端(第1折り曲げ位置F1)にて基材シート11が折り曲げられており、左右方向の他方側(左側)の端部(側端部17)及び上下方向の下端部(底部18)にて基材シート11の内層11b同士が熱溶着されている。したがって、収容部材10の内部は、上下方向の上端部に設けられている開封口30以外の部分において外気からしっかりと遮蔽されるため、高い防湿性を確保すると共に、収容物の衛生状態を保ちやすくすることができる。
【0064】
そして、折り返し部S3(封止部50)の上端部に、粘着剤が塗布されることにより左右方向に沿った係合部60が形成される。また、折り返し基部40と封止部50との境界線上に圧搾加工が施され、左右方向に沿った折り誘導線FLが形成される。なお、係合部60や折り誘導線FLは、図5Aの段階で形成されていても良い。
【0065】
次いで、図5Cのように、折り返し部S3と前側部S1と境界を第2折り曲げ位置F2として基材シート11を上下方向に折り曲げ、折り返し部S3の厚さ方向の内側面(折り返し基部40)と前側部S1の厚さ方向の内側面(前側基部45)とが対向するように重ね合わせる。そして、上下方向の上端部(上端部19とする)において、折り返し基部40と前側基部45との対向する面同士(内層11b同士)を熱溶着する。そして、折り返し部S3のうち、封止部50に設けられている係合部60を後側部S2の被係合部70に係合させる。これにより、開封口30が折り返し部S3(封止部50)によって封止される。
【0066】
本実施形態の収容部材10では、後側部S2のうち、封止部50の係合部60が係合される部分である被係合部70の厚さ方向における外側には、被覆層16が設けられている(図3参照)。そのため、開封口30を開封する際に、封止部50の係合部60を被係合部70から引き剥がしたとしても、収容部材10の表面(図3における基材シート11の外層11a)を構成している紙が破れたり傷んだりすることが抑制される。したがって、封止部50の係合部60は、後側部S2の被係合部70に対して係合動作と引き剥がし動作とを繰り返し行うことができる。
【0067】
このようにして形成された収容部材10は、基材シート11の外層11aに紙を用いていることにより、フィルム等によって構成された従来の収容部材と比較して剛性が高く、形状が崩れ難い。したがって、開封口30の形状が安定しやすく、内部に収容されているマスク100を取り出しやすくなっている。また、開封口30を封止する封止部50が破れたり傷んだりし難いため、開封口30を一旦開封した後でも、しっかりと再封止することが可能である。その際、被係合部70から係合部60を引き剥がす動作が行われても、被覆層16が設けられていることによって表面の紙が破壊され難く、また係合部60の粘着強度も低下し難いので、開封口30の開封動作及び再封止動作を繰り返して行うことができる。例えば、複数枚のマスク100が収容された収容体1から使用するマスク100を1枚だけ取り出す場合に、開封口30を再封止しておくことで残りのマスク100を良好な衛生状態に保つことができる。
【0068】
なお、本実施形態の収容部材10において、開封口30の繰り返し開閉をスムーズに行うために、係合部60と被係合部70との繰り返し剥離強度は0.5N以上、5.0N以下とすることが望ましい。ここで、繰り返し剥離強度とは、被係合部70に係合された状態の係合部60を引き剥がし、再度被係合部70に係合する動作を複数回(n回)行ったときに、n回後に被係合部70から係合部60を引き剥がすために要する力の大きさ(N)である。
【0069】
例えば、収容部材10に5枚(n枚)のマスク100が収容されている場合、マスク100を1枚ずつ取り出す動作を5回行うために、開封口30を開閉する動作が、最低5回(n回)繰り返されることが想定される。この場合、係合部60を被係合部70から剥がして、再度係合させる動作を5回(n回)繰り返した後であっても、係合部60が被係合部70に対して係合可能であることが要求される。
【0070】
仮に、繰り返し剥離強度が0.5N未満である場合、被係合部70に対する係合部60の係合・引き剥がし動作を5回繰り返す前に、係合部60の粘着力が低下してしっかりと係合することができなくなってしまう。一方、繰り返し剥離強度が5.0Nよりも大きい場合、被係合部70から係合部60を引きはがすために大きな力が必要となり、被覆層16が剥がれてしまったり、収容部材の基材シート11が破れてしまったりするおそれがある。これに対して、繰り返し剥離強度が0.5N以上、5.0N以下であれば、開封口30の開閉動作を5回繰り返したとしても、係合部60は、十分な係合力を維持しつつ、適度な力で被係合部70から引きはがすことが可能となる。
【0071】
なお、繰り返し剥離強度の計測は、市販の引張試験機(例えば、インストロン社製:万能材料試験機 5543)を用いて、以下のようにして行うことができる。先ず、収容部材10から係合部60と被係合部70を所定の幅(例えば25mm)で切り出して試験片とする。次いで、係合させた状態の係合部60及び被係合部70のうち、係合部60の端部を一方側のチャックに挟み、被係合部70の端部を他方側のチャックに挟む。そして、チャック間10mmから20mm、引張速度100mm/minで引張試験機を行い、1回目の剥離強度を測定する。1回目の測定終了後、引張試験機から試験片を外し、平面上に置いて再度係合させ、係合された状態の試験片に対して800gの荷重をかけながらローラーを一往復させる。この状態の試験片について1回目と同様にして2回目の引張試験を行う。この動作をn回(例えば5回)繰り返したときの剥離強度を繰り返し剥離強度とする。
【0072】
また、収容部材10の折り返し部S3では、開封口30を後側から覆う封止部50を、折り返し基部40との境界線に沿って折り曲げることで、開封口30を開封する動作を行うことができる。すなわち、封止部50が、折り返し基部40に対して折り曲げ可能に構成され、所謂フラップ構造を有する蓋のように機能し、開封口30の開閉動作を行いやすくすることができる。したがって、ユーザーは、開封口30を開封してマスク100を取り出した後、再び開封口30を封止する動作を簡単に行うことができる。
【0073】
そして、折り返し基部40と封止部50との境界線上には、折り誘導線FLが設けられている。当該折り誘導線FLを基準として、封止部50が、折り返し基部40に対して自在に折り曲げ可能となることで、開封口30の開閉動作をより行いやすくすることができる。特に、本実施形態の折り返し部S3(収容部材10)は紙を含んで構成されており、フィルム等と比較して剛性が高く折り曲げ難くなっているため、仮に、折り曲げの基準となる折り誘導線FLが設けられていない場合、開封口30の開封動作が行い難くなるおそれがある。これに対して、本実施形態では、折り誘導線FLに沿って封止部50を簡単に折り曲げることができるため、ユーザーは開閉動作を安定して行うことができる。
【0074】
さらに、本実施形態の収容部材10では、折り返し部S3と前後方向(厚さ方向)に対向する前側部S1において、折り誘導線FLと対応する位置に、前側折り誘導線FL’が設けられる。具体的には、前側部S1において前側基部45の下端位置にて左右方向に沿って圧搾された前側折り誘導線FL’が設けられている。前側折り誘導線FL’は、前側部S1を折り曲げやすくするための基準となる線であり、折り誘導線FLと同様にして形成される。
【0075】
図6A図6Cは、収容部材10からマスク100を取り出す際の動作について説明する図である。同図6A~6Cでは、マスク100が収容された状態の収容部材10を左右方向から見たときの概略断面を示している。図6Aでは、封止部50(折り返し部S3)に設けられた係合部60が、後側部S2の被係合部70に係合されることにより、収容部材10において開封口30が封止された状態となっている。この状態から、図6Bのように、係合部60を被係合部70から引き剥がし、折り誘導線FLを基準として封止部50を折り曲げることにより、開封口30が開封され、収容部材10の内部に収容されているマスク100を開封口30から取り出すことが可能となる。
【0076】
しかしながら、図6Bの状態では、開封口30の上方に、折り返し基部40及び前側折り返し基部45が位置している。そのため、マスク100を開封口30から上方に引き出す動作を行う際に、折り返し基部40及び前側折り返し基部45が干渉しやすく、マスク100を取り出しにくい場合がある。このような場合に、図6Cのように、前側折り返し基部45を前側折り誘導線FL’を基準として前側に折り曲げる。すると、折り返し基部40及び前側折り返し基部45が開封口30の上方から前方へ移動するため、開封口30の上方の空間が開放され、マスク100を上方に引き出す動作を行いやすくすることができる。したがって、ユーザーは、収容部材10からマスク100を取り出す動作をより行いやすくなる。
【0077】
また、収容部材10において、折り返し基部40(後側部S2)と前側折り返し基部45(前側部S1)との対向する面同士の接合強度は、係合部60(折り返し部S3)と被係合部70(後側部S2)との係合強度よりも高いことが好ましい。すなわち、図5Cにおいて、上端部19における接合強度が、係合部60と被係合部70との係合強度よりも強いことが望ましい。仮に、上端部19の接合強度が係合部60と被係合部70との係合強度よりも弱かった場合、開封口30の開封動作と封止動作とを繰り返すうちに折り返し基部40と前側折り返し基部45との接合が剥がれてしまい、開封口30を再封止することができなくなってしまうおそれがある。
【0078】
これに対して、本実施形態では、係合部60と被係合部70との係合は、粘着剤を用いた粘着面を被覆層16に貼り付けることによって行われる。一方、折り返し基部40と前側折り返し基部45との接合は、対向する基材シート11の内層11b(熱可塑性樹脂)同士を熱溶着することによって行われる。したがって、折り返し基部40(後側部S2)と前側折り返し基部45(前側部S1)との接合強度は、係合部60と被係合部70との係合強度よりも高くなっている。これにより、開封口30の開封・封止動作を繰り返したとしても、折り返し基部40と前側折り返し基部45との接合が剥がれてしまうことが抑制され、封止部50の開閉動作を安定して行うことができる。
【0079】
また、図5Cに示されるように、折り返し部S3のうち、封止部50の上下方向における長さL50は、折り返し基部40の上下方向における長さL40よりも長くなっている。上述したように、開封口30を開封する際には、封止部50を折り誘導線FLを基準として折り曲げる動作が行われる。このとき、封止部50の上下方向における長さL50が短いと、支点(折り誘導線FL)と力点(封止部50の下端)との距離が短くなり、封止部50の下端部を掴んで上方に折り曲げる際により大きな力が必要となり、開封動作を行い難くなる。また、上下方向における長さL50が短いと、開封口30を覆う封止部50の面積がその分小さくなるとことから、開封口30自体も小さくする必要が生じ、マスク100を取り出しにくくなるおそれがある。そこで、封止部50の長さL50を、少なくとも折り返し基部40の長さL40よりも長くすることで、封止部50を折り曲げて開封口30を開封する動作を行いやすくすることが可能となり、また、開封口30からマスク100を取り出しやすくすることができる。
【0080】
また、収容部材10において、全体の重量に対する紙の部分の重量の割合は50%以上であることが好ましい。図3の場合、基材シート11は、紙製の外層11aと樹脂製の内層11bの積層構造を有しており、このうち紙製の外層11aの重量が、収容部材10の全体の重量の50%以上となっている。国によっては、紙の重量割合が50%以上の製品は、紙製品であることを表示することが可能となったり、紙ごみとして廃棄可能となったりすることから、紙の重量割合が50%以上であることは、紙パッケージ製品であることの指標となりやすい。したがって、紙の重量割合を50%以上とすることで、本実施形態の収容体1が環境に優しい製品であることを、ユーザーに認識させやすくすることができる。また、収容部材10の内層11bはポリエチレン等の液不透過性の樹脂によって構成されているため、紙製品でありつつも、内部に収容されたマスク100は濡れたり汚れたりし難く、良好な衛生状態を保ちやすくすることができる。
【0081】
さらに、基材シート11の外層11aを構成している紙は、100%再生紙であることがより好ましい。再生紙を用いることで、収容部材10において、紙の風合いや質感を出しやすくなり、且つ、環境に配慮した製品であることをユーザーにより認識させやすくすることができる。また、再生紙は通常の紙と比較して剛性を高めやすいため、袋状の収容部材10の形状が安定しやすく、開封口30の開閉を繰り返しても収容部材10の形状を崩れ難くすることができる。
【0082】
また、紙製の外層11aの厚さ方向の外側(表側)には、水溶性インク等からなる被覆層16(マットコーティング)が設けられている。このような被覆層16が設けられていることにより、外層11aが紙で構成されていたとしても、係合部60を係合させたり、引き剥がしたりする動作を繰り返しても外層11aを傷みにくくすることができる。また、被覆層16によって外層11aの耐水性を高めることが可能となり、収容部材10の外側から水滴等が付着した場合等でも、内部に収容されているマスク100に水分が到達してしまうこと等を抑制することができる。すなわち、収容体1の防湿性を向上させることができる。
【0083】
また、収容部材10の厚さ方向における最も外側(表側)の面の表面粗さは、厚さ方向における最も内側(裏側)の面の表面粗さよりも粗くなっていることが望ましい。本実施形態において、収容部材10を構成している基材シート11の最も外側には水溶性インクからなる被覆層16(マットコーティング)が設けられ、基材シート11の最も内側には樹脂からなる内層11bが設けられている(図3参照)。そして、被覆層16の表面には微細な凹凸が形成されているのに対して、内層11bは比較的平滑に形成されているため、被覆層16は内層11bよりも表面粗さが粗くなっている。このような構成であれば、収容部材10を手で掴んで中に収容されているマスク100を取り出す際に、収容部材10の外側は手で掴んでも滑り難く、収容部材10の内側はマスク100が引っ掛かり難くなる。したがって、被覆層16よりも内層11bの方が、表面粗さが粗くなっている場合と比較して、マスク100を取り出す動作を行いやすくすることができる。
【0084】
基材シート11の外側面及び内側面における表面粗さの比較は、例えば以下のようにして行うことができる。先ず、収容部材10(基材シート11)から10cm×10cm程度の大きさの試験片を複数切り出す。次いで、市販の表面試験機(例えば、カトーテック株式会社製:KES-FB4)を用いて、試験片の表面(測定対象とする側の面)に、10gfの荷重を掛け、かつ、0.5mm径のピアノ線で巻かれた幅0.5cmの接触端子を試料に圧着させる。そして、試験片を0.1cm/secの一定速さで水平に2cm移動させてMMD(平均摩擦係数の変動値)及びSMD(平均摩擦係数の変動値)を求める。MMDの値及びSMDの値が小さいほど表面の凹凸が小さくなることから、各試験片について測定したMMD値若しくはSMD値の大きさを比較することにより、表面粗さの大小を比較することができる。
【0085】
また、収容部材10は、紙の層(外層11a)と熱可塑性樹脂の層(内層11b)とが積層されたし基材シート11によって構成されている。そして、当該基材シート11の左右方向の一方側(右側)の端(第1折り曲げ位置F1)にて樹脂層(内層11b)が内側に対向するように折り曲げられ、左右方向の他方側(左側)の端部(側端部17)にて対向する樹脂層同士が熱溶着されている。同様に、上下方向の下端部(底部18)にて対向する樹脂層同士が熱溶着されている(図5C参照)。したがって、袋状の収容部材10のうち、左右方向の両端部と、上下方向の下端部において隙間が生じ難くなり、収容部材10の内部を外側(大気)から遮蔽しやすくなる。これにより、収容部材10の防湿性が向上すると共に、内部に収容されているマスク100の衛生状態を保ちやすくすることができる。
【0086】
また、本実施形態の収容体1において、マスク100は、収容する方向を調整した上で収容部材10に収容されている。図7A及び図7Bは、マスク100が収容部材10に収容された状態について、上下方向の下側から見たときの断面状態について説明する図である。同図7A及び図7Bにおいて、マスク100は折り畳まれた状態(図4B参照)で、厚さ方向に複数重ねて収容部材10の内部に収容されている。
【0087】
このうち、図7Aでは、マスク100のマスク本体部110と耳掛け部120とを折り曲げる境界部130が、収容部材10の左右方向における側端部17側(図7Aの左側)に位置するように、マスク100が収容されている。マスク100を折り畳んだ状態においては、境界部130においてマスク本体部110と耳掛け部120とが厚さ方向に重なり合っているため、マスク左右方向において境界部130が位置している側(図7Aの左側)の方が、他方側(図7Aの右側)よりもマスク100の厚さが厚くなりやすい。
【0088】
また、収容部材10では、左右方向の右側端では、第1折り曲げ位置F1にて基材シート11が折り曲げられているのに対して、左右方向の左側端部(側端部17)では、基材シート11の対向する面同士が接合(熱溶着)されている。したがって、本実施形態の収容部材10では、左右方向において側端部17の側(左側)で対向している前側部S1と後側部S2との前後方向の間隔は、左右方向において側端部17の側とは反対側(右側)で対向している前側部S1と後側部S2との前後方向の間隔よりも狭くなっている。
【0089】
したがって、図7Aのように、前後方向(厚さ方向)の間隔が狭い側端部17側に、厚みのあるマスク100の境界部130が位置するようにすることで、厚みのあるマスク100の境界部130が収容部材10の前側部S1と後側部S2との間に挟まれて、位置ずれが生じ難くなる。これにより、収容部材10の内部で複数のマスク100が移動してしまうことが抑制される。また、複数のマスク100の中から使用するマスク100を一枚だけ取り出そうとする際に、他のマスク100が一緒に引き出されてしまうことを抑制しやすくすることができる。
【0090】
一方、図7Bでは、図7Aの場合とは逆に、マスク100の境界部130が、収容部材10の左右方向における第1折り曲げ位置F1側(図7Bの左側)に位置するように、マスク100が収容されている。つまり、前後方向(厚さ方向)の間隔が広い第1折り曲げ位置F1側に、厚みのあるマスク100の境界部130が位置するようにマスク100が収容されている。この場合、収容部材10の側端部17側(図7Bの右側)では、図7Aの場合と比較して、マスク100と収容部材10の前側部S1及び後側部S2との厚さ方向の間に隙間が生じやすくなる。したがって、収容部材10の側端部17側付近において、マスク100によって前側部S1及び後側部S2を厚さ方向に押し広げようとする力が作用し難くなり、側端部17にて前側部S1と後側部S2との接合部(熱溶着部)が剥がれ難くなる。これにより、収容部材10の袋型形状を維持しやすくすることができる。
【0091】
図8は、マスク100が収容部材10に収容された状態について前後方向の後側から見た状態について説明する図である。マスク100が折り畳まれた状態において、図4Bに示されるように、マスク本体部110と耳掛け部120とが厚さ方向に重なっている部分の面積は、マスク上下の方向の上側の方が、下側よりも大きくなっている。すなわち、折り畳み状態のマスク100では、マスク上下方向の上側の方が下側よりも厚みが厚くなっている。そして、このようなマスク100を収容部材10に収容する際には、厚みの厚いマスク上下方向の上側の領域が、収容部材10の開封口30の近くに位置するように収容される。
【0092】
折り畳み状態のマスク100において、厚みが厚い部分ほど、収容部材10に収容された際に、前側部S1及び後側部S2に接触しやすくなる。仮に、マスク上下方向の上側の部分が、開封口30から遠くなるようにマスク100が収容されていた場合、当該マスク100を取り出す動作において、マスク100の耳掛け部120が前側部S1もしくは後側部S2に引っかかってしまう確率が高くなり、マスク100の折り畳み形状が崩れてしまうおそれがある。これに対して、図8のように、収容部材10の上下方向において、開封口30と近い位置に、厚みの厚いマスク上下方向の上側の部分が位置していることにより、マスク100の耳掛け部120が前側部S1や後側部S2に引っかかり難くなり、マスク100の折り畳み形状を崩さずに収容部材10から取り出す動作が行いやすくなる。なお、マスク上下方向の上側の部分とは、マスク上下方向における中央位置よりも上側の部分を意味し、マスク上下方向の下側の部分とは、マスク上下方向における中央位置よりも下側の部分を意味している。
【0093】
また、収容部材10に設けられる開封口30は、左右方向の中央部における上下方向の位置が、左右方向の両端部における上下方向の位置よりも低くなっている。すなわち、図2に示されるように、開封口30は、左右方向における中央部が下側に窪んだ切り欠き形状となっている。開封口30がこのような切り欠き形状となっていることにより、収容体1を開封した際に、開封口を広げやすくすることができる。例えば、開封口30が切り欠き形状であることにより、当該切り欠きの部分に指が引っ掛かりやすくなり、開封口30を前後に開く動作を行いやすくなる。また、左右方向両側の部分が支柱のように機能して、開封口30が開いた状態を維持しやすくなる。特に、本実施形態の収容部材10は紙の層(外層11a)を有しており、フィルム製の収容部材等と比較して剛性が高く変形し難いため、開封口30を切り欠き形状とすることで、マスク100をスムーズに取り出すことが可能となる。
【0094】
また、収容部材10の表面の剛軟度は、JIS L 1096:2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準拠した測定で60mm以上であることが望ましい。従来のフィルム製収容部材は、剛軟度が25mm程度であり、この場合、収容部材の形状を一定に保つことが困難である。これに対して、剛軟度を60mm以上とすれば、収容部材10の形状を図1図2のような長方形状に保たれやすく、また、開封口30の形状も維持されやすくなるため、マスク100の取り出し動作を行いやすくすることができる。
【0095】
剛軟度の測定は、収容部材を構成する基材シート11から試験片(例えば25mm×200mmのサンプル)を切り出し、カンチレバー剛軟度試験機(例えば、大栄科学精機製作所製:CAN-1MCC)を用いて、上述のJIS法に準拠した試験方法にて測定することができる。
===その他の実施の形態===
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0097】
上述の実施形態では、収容部材10が、単一の基材シート11を折り曲げることによって形成されていたが、収容部材10の構成はこれに限られない。たとえば、複数の基材シート11を接合することによって図1に示されるものと同等の形状を有する収容部材10が形成されるのであっても良い。
【符号の説明】
【0098】
1 使い捨てマスク収容体(収容体)、
10 収容部材、
11 基材シート、
11a 外層、11b 内層、
15 図柄、
16 被覆層、
17 側端部、18 底部、19 上端部、
30 開封口、
40 折り返し基部、
45 前側折り返し基部、
50 封止部、
60 係合部、
70 被係合部、
100 衛生物品(使い捨てマスク)、
110 マスク本体部、
113 シート部、114 シート部、115 接合部、116 形状保持部材、
117 接合部、
120 耳掛け部、
121 開口部、
130 境界部、
S1 前側部、S2 後側部、S3 折り返し部、
FL 折り誘導線、FL’ 前側折り誘導線、
F1 第1折り曲げ位置、F2 第2折り曲げ位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8