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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185727
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】供給液体製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 21/00 20220101AFI20221208BHJP
   B01F 35/90 20220101ALI20221208BHJP
【FI】
B01F1/00 A
B01F15/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093515
(22)【出願日】2021-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】荒木 裕二
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AA01
4G035AE13
4G035AE15
4G035AE17
4G037CA03
4G037EA10
(57)【要約】
【課題】 ガス溶解液(供給液体)を高濃度化することのできる供給液体製造装置を提供する。
【解決手段】 供給液体製造装置1は、原料ガスを供給する原料ガス供給部2と、原料液体を供給する原料液体供給部3と、原料ガスと原料液体を混合して原料ガス溶解液を生成する気液混合部4と、気液混合部4により生成されたガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される未溶解ガスとに分離する気液分離部11と、気液混合部4と気液分離部11との間に配置されている気液接触部12を備える。気液接触部12の充填部17に充填されている充填物を用いて、気液接触部12に導入されたガス溶解液と未溶解ガスとを接触させてガス溶解液に未溶解ガスを溶解させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス溶解液の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記ガス溶解液の原料となる原料液体を供給する原料液体供給部と、
前記原料ガスと前記原料液体を混合して前記ガス溶解液を生成する気液混合部と、
前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される未溶解ガスとに分離する気液分離部と、
前記気液混合部と前記気液分離部との間に配置されている気液接触部と、
を備え、
前記気液接触部は、
前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液が導入されるガス溶解液入口部と、
前記気液分離部により分離された前記未溶解ガスが導入される未溶解ガス入口部と、
前記ガス溶解液入口部から導入された前記ガス溶解液と前記未溶解ガス入口部から導入された前記未溶解ガスとを接触させて前記ガス溶解液に前記未溶解ガスを溶解させる充填物が充填されている充填部と、
前記充填部によって前記未溶解ガスが溶解された前記ガス溶解液を前記気液分離部へ送出するガス溶解液出口部と、
前記充填部によっても前記ガス溶解液に溶解されなかった前記未溶解ガスを前記排気口へ送出する未溶解ガス出口部と、
を備えることを特徴とする供給液体製造装置。
【請求項2】
前記供給液体製造装置は、
前記未溶解ガス出口部から送出された前記未溶解ガスを昇圧するポンプを備え、
前記気液分離部は、
前記ユースポイントに供給される供給液体が溜められる供給液体貯蔵部と、
前記供給液体に溶解していない前記未溶解ガスが溜められる未溶解ガス貯蔵部と、
を備え、
前記供給液体貯蔵部には、前記ポンプにより昇圧された前記未溶解ガスが導入される昇圧ガス入口部が設けられている、請求項1に記載の供給液体製造装置。
【請求項3】
前記供給液体製造装置は、
前記未溶解ガス出口部から送出された前記未溶解ガスを昇圧するポンプを備え、
前記気液分離部は、
前記ユースポイントに供給される供給液体が溜められる供給液体貯蔵部と、
前記供給液体に溶解していない前記未溶解ガスが溜められる未溶解ガス貯蔵部と、
を備え、
前記未溶解ガス貯蔵部には、前記ポンプにより昇圧された前記未溶解ガスが導入される昇圧ガス入口部が設けられ、
前記昇圧ガス入口部から導入された前記未溶解ガスは、前記未溶解ガス入口部から前記気液接触部に導入される、請求項1に記載の供給液体製造装置。
【請求項4】
前記充填部を冷却する冷却部を備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の供給液体製造装置。
【請求項5】
前記気液接触部と前記気液分離部は、一体に構成され、
前記気液接触部は、前記気液分離部の上部に配置されている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の供給液体製造装置。
【請求項6】
供給液体製造装置で行われる供給液体製造方法であって、
前記供給液体製造装置は、
ガス溶解液の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記ガス溶解液の原料となる原料液体を供給する原料液体供給部と、
前記原料ガスと前記原料液体を混合して前記ガス溶解液を生成する気液混合部と、
前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される未溶解ガスとに分離する気液分離部と、
前記気液混合部と前記気液分離部との間に配置されている気液接触部と、
を備え、
前記供給液体製造方法は、
前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液を、前記気液接触部に導入することと、
前記気液分離部により分離された前記未溶解ガスを、前記気液接触部に導入することと、
前記気液接触部の充填部に充填されている充填物を用いて、前記気液接触部に導入された前記ガス溶解液と前記未溶解ガスとを接触させて前記ガス溶解液に前記未溶解ガスを溶解させることと、
前記充填部によって前記未溶解ガスが溶解された前記ガス溶解液を前記気液分離部へ送出することと、
前記充填部によっても前記ガス溶解液に溶解されなかった前記未溶解ガスを前記排気口へ送出することと、
を含むことを特徴とする供給液体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガスと原料液体を混合してガス溶解液(供給液体)を製造する供給液体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイス工場や液晶などの電子部品製造工場における製品の洗浄は、製造プロセスの複雑化、回路パターンの微細化に伴なってますます高度化している。例えば、機能水(超純水など)に高純度ガスまたは高純度ガスと薬品を溶解した特殊な液体(洗浄液と呼ばれる)を使用して、シリコンウエハに付着した微粒子、金属、有機物などを除去している。
【0003】
洗浄処理方式としては、複数のシリコンウエハを同時に浸漬及び洗浄する操作を繰り返す“バッチ処理方式”のほかに、多品種少量生産の製品に対応して1枚のウエハごとに薬品洗浄及び超純水洗浄を行う“枚葉処理方式”が採用される。枚葉処理方式は、バッチ処理方式と比べて、ウエハ1枚当たりの洗浄工程時間(タクトタイム)が長く、洗浄液の使用量が多くなるために、タクトタイムの短縮及び洗浄液使用量の低減が求められている。現状、短時間での効果的な洗浄及び洗浄液使用量を低減するために、複数の機能水及び薬品を単独でまたは同時に使用して、短時間で洗浄工程を切り替える高度な洗浄プロセスが行われている。
【0004】
機能水としては、例えば、超純水にオゾンガスを溶解したオゾン水が用いられる。超純水に溶解させたオゾンは、低い濃度(数ppm)でも酸化力が非常に強いため、有機物や金属の除去を行うことが可能である。このオゾン水は、一般的にオゾン水製造装置で製造される。例えば、従来の供給液体製造装置は、気液混合部でオゾンガス(原料ガス)と超純水(原料液体)を混合してオゾン水(供給液体)が生成される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-127861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の供給液体製造装置においては、気液混合部で原料ガスと原料液体を混合してオゾン水(供給液体)が生成されてから気液分離部に送られるまでに、オゾンガスと水が分離してしまい、オゾンガスの溶解効率をさらに高める(オゾン水をさらに高濃度化する)ことが困難であった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、原料ガスと原料液体を混合してガス溶解液(供給液体)を製造する供給液体製造装置において、ガス溶解液(供給液体)を高濃度化することのできる供給液体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の供給液体製造装置は、ガス溶解液の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記ガス溶解液の原料となる原料液体を供給する原料液体供給部と、前記原料ガスと前記原料液体を混合して前記ガス溶解液を生成する気液混合部と、前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される未溶解ガスとに分離する気液分離部と、前記気液混合部と前記気液分離部との間に配置されている気液接触部と、を備え、前記気液接触部は、前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液が導入されるガス溶解液入口部と、前記気液分離部により分離された前記未溶解ガスが導入される未溶解ガス入口部と、前記ガス溶解液入口部から導入された前記ガス溶解液と前記未溶解ガス入口部から導入された前記未溶解ガスとを接触させて前記ガス溶解液に前記未溶解ガスを溶解させる充填物が充填されている充填部と、前記充填部によって前記未溶解ガスが溶解された前記ガス溶解液を前記気液分離部へ送出するガス溶解液出口部と、前記充填部によっても前記ガス溶解液に溶解されなかった前記未溶解ガスを前記排気口へ送出する未溶解ガス出口部と、を備えている。
【0009】
この構成によれば、気液混合部と気液分離部との間に配置された気液接触部によって、気液混合部により生成されたガス溶解液(ガス溶解液入口部から導入されたガス溶解液)に気液分離部により分離された未溶解ガス(未溶解ガス入口部から導入された未溶解ガス)を溶解させることができる。これにより、気液分離部で分離された未溶解ガスを再びガス溶解液に溶解させることができ、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。また、未溶解ガスの再利用が可能なため、原料ガス供給部から供給する原料ガスの量を削減することができ、さらに、排気口から排出される排出ガス(未溶解ガス)の量を削減することができる。
【0010】
また、本発明の供給液体製造装置は、前記未溶解ガス出口部から送出された前記未溶解ガスを昇圧するポンプを備え、前記気液分離部は、前記ユースポイントに供給される供給液体が溜められる供給液体貯蔵部と、前記供給液体に溶解していない前記未溶解ガスが溜められる未溶解ガス貯蔵部と、を備え、前記供給液体貯蔵部には、前記ポンプにより昇圧された前記未溶解ガスが導入される昇圧ガス入口部が設けられてもよい。
【0011】
この構成によれば、気液接触部の未溶解ガス出口部から送出された未溶解ガスがポンプによって昇圧されて、気液分離部の供給液体貯蔵部に設けられた昇圧ガス入口部から気液分離部に導入される。これにより、気液接触部から排出された未溶解ガスを気液分離部で再び供給液体(ガス溶解液)に溶解させることができ、供給液体(ガス溶解液)の高濃度化が可能となる。
【0012】
また、本発明の供給液体製造装置は、前記未溶解ガス出口部から送出された前記未溶解ガスを昇圧するポンプを備え、前記気液分離部は、前記ユースポイントに供給される供給液体が溜められる供給液体貯蔵部と、前記供給液体に溶解していない前記未溶解ガスが溜められる未溶解ガス貯蔵部と、を備え、前記未溶解ガス貯蔵部には、前記ポンプにより昇圧された前記未溶解ガスが導入される昇圧ガス入口部が設けられ、前記昇圧ガス入口部から導入された前記未溶解ガスは、前記未溶解ガス入口部から前記気液接触部に導入されてもよい。
【0013】
この構成によれば、気液接触部の未溶解ガス出口部から送出された未溶解ガスがポンプによって昇圧されて、気液分離部の未溶解ガス貯蔵部に設けられた昇圧ガス入口部から気液分離部に導入される。そして、昇圧ガス入口部から導入された未溶解ガスは、未溶解ガス入口部から気液接触部に導入される。これにより、気液接触部から排出された未溶解ガスを再び気液接触部に戻してガス溶解液に溶解させることができ、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。
【0014】
また、本発明の供給液体製造装置は、前記充填部を冷却する冷却部を備えてもよい。
【0015】
この構成によれば、冷却部により充填部を冷却することができる。したがって、原料液体に対する原料ガスの溶解度が温度が高いほど低くなる場合に、充填部を冷却することにより低温状態を保つことができ、原料液体に対する原料ガスの溶解度を高く維持することができる。これにより、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。
【0016】
また、本発明の供給液体製造装置では、前記気液接触部と前記気液分離部は、一体に構成され、前記気液接触部は、前記気液分離部の上部に配置されてもよい。
【0017】
この構成によれば、気液接触部と気液分離部を一体に構成することにより、省スペース化を図ることができる。この場合、気液接触部は、気液分離部の上部に配置することができる。
【0018】
本発明の供給液体製造方法は、供給液体製造装置で行われる供給液体製造方法であって、前記供給液体製造装置は、ガス溶解液の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記ガス溶解液の原料となる原料液体を供給する原料液体供給部と、前記原料ガスと前記原料液体を混合して前記ガス溶解液を生成する気液混合部と、前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される未溶解ガスとに分離する気液分離部と、前記気液混合部と前記気液分離部との間に配置されている気液接触部と、を備え、前記供給液体製造方法は、前記気液混合部により生成された前記ガス溶解液を、前記気液接触部に導入することと、前記気液分離部により分離された前記未溶解ガスを、前記気液接触部に導入することと、前記気液接触部の充填部に充填されている充填物を用いて、前記気液接触部に導入された前記ガス溶解液と前記未溶解ガスとを接触させて前記ガス溶解液に前記未溶解ガスを溶解させることと、前記充填部によって前記未溶解ガスが溶解された前記ガス溶解液を前記気液分離部へ送出することと、前記充填部によっても前記ガス溶解液に溶解されなかった前記未溶解ガスを前記排気口へ送出することと、を含んでいる。
【0019】
この供給液体製造方法によっても、上記の装置と同様に、気液混合部と気液分離部との間に配置された気液接触部によって、気液混合部により生成されたガス溶解液(ガス溶解液入口部から導入されたガス溶解液)に気液分離部により分離された未溶解ガス(未溶解ガス入口部から導入された未溶解ガス)を溶解させることができる。これにより、気液分離部で分離された未溶解ガスを再びガス溶解液に溶解させることができ、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。また、未溶解ガスの再利用が可能なため、原料ガス供給部から供給する原料ガスの量を削減することができ、さらに、排気口から排出される排出ガス(未溶解ガス)の量を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガス溶解液(供給液体)を高濃度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態における供給液体製造装置の説明図である。
図2】第1の実施の形態の供給液体製造装置の変形例の説明図である。
図3】本発明の第2の実施の形態における供給液体製造装置の説明図である。
図4】第2の実施の形態の供給液体製造装置の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の供給液体製造装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、半導体デバイスや液晶などの電子部品の洗浄に用いられるオゾン水などの製造に用いられる供給液体製造装置の場合を例示する。
【0023】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の供給液体製造装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の供給液体製造装置の構成を示す説明図である。図1に示すように、供給液体製造装置1は、ガス溶解液の原料となる原料ガスを供給する原料ガス供給部2と、ガス溶解液の原料となる原料液体を供給する原料液体供給部3と、原料ガスと原料液体を混合してガス溶解液を生成する気液混合部4を備えている。本実施の形態では、オゾン水(ガス溶解液)の原料ガスとしてオゾンガスが用いられ、原料液体として超純水が用いられる。また、気液混合部4としては、溶解ノズルが用いられる。
【0024】
原料ガス供給部2から気液混合部4までの配管5には、原料ガスの供給を開始/停止するためのバルブ6と、原料ガスの流量を測定するための流量計7と、原料ガスの圧力を測定するための圧力センサ8と、原料ガスの圧力を調整する圧力調整バルブ9と、原料ガスの圧力を上昇させるためのポンプ10が設けられている。
【0025】
また、供給液体製造装置1は、気液混合部4により生成されたガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される未溶解ガスとに分離する気液分離部11を備えている。ここで、供給液体はオゾン水であり、未溶解ガスはオゾンガスである。そして、気液混合部4と気液分離部11との間には、気液接触部12が配置されている。また、気液混合部4から気液接触部12までの配管13には、気液混合部4で生成されたガス溶解水の供給を開始/停止するためのバルブ14が設けられている。なお、本実施の形態では、気液接触部12と気液分離部11は、一体に構成されており、より具体的には、気液接触部12は、気液分離部11の上部に配置されている。
【0026】
気液接触部12は、気液混合部4により生成されたガス溶解液が導入されるガス溶解液入口部15と、気液分離部11により分離された未溶解ガスが導入される未溶解ガス入口部16と、ガス溶解液(ガス溶解液入口部15から導入されたガス溶解液)と未溶解ガス(未溶解ガス入口部16から導入された未溶解ガス)とを接触させてガス溶解液に未溶解ガスを溶解させる充填物が充填されている充填部17とを備えている。
【0027】
充填物は、ガス溶解液や未溶解ガスの流れを乱して混合を激しくし、接触面積を増加させることにより、ガス溶解液に未溶解ガスを溶解させるものである。充填物には、空隙率が大きいこと、気体の流れに対する抵抗が少ないこと、気体と液体を向流で流したときにフラッティングや偏流を起こしにくいこと、流す気体や液体に対して耐食性があること、などが要求される。本実施の形態では、充填物として公知のものを利用することができるが、充填物の材料としては、オゾンガスやオゾン水に対して耐食性を有するテフロン(登録商標)などが用いられる。
【0028】
また、気液接触部12は、充填部17によって未溶解ガスが溶解されたガス溶解液を気液分離部11へ送出するガス溶解液出口部18と、充填部17によってもガス溶解液に溶解されなかった未溶解ガスを排気口へ送出する未溶解ガス出口部19を備えている。なお、本実施の形態では、未溶解ガス入口部16とガス溶解液出口部18は一体に構成されており、例えば、テフロン製の網などで構成することができる。さらに、気液接触部12は、充填部17を冷却する冷却部20を備えている。冷却部20としては、例えば、冷却水などの冷却媒体が流されている冷却パイプなどが用いられる。
【0029】
未溶解ガス出口部19から排気口までの配管21には、排気口への未溶解ガスの送出を開始/停止するためのバルブ22と、排気口から排出される未溶解ガスを分解するガス分解器23と、排気口から排出されるガス(ガス分解器23により分解されたガス)の圧力を大気圧に調整する圧力調整バルブ24を備えている。また、未溶解ガス出口部19からの配管21は途中で分岐して、気液分離部11に接続されている。そして、未溶解ガス出口部19から気液分離部11までの配管25(配管21から分岐した配管25)には、未溶解ガス出口部19から送出された未溶解ガスを昇圧するポンプ26が設けられている。
【0030】
気液分離部11は、ユースポイントに供給される供給液体が溜められる供給液体貯蔵部27と、供給液体に溶解していない未溶解ガスが溜められる未溶解ガス貯蔵部28を備えている。そして、供給液体貯蔵部27には、ポンプ26により昇圧された未溶解ガスが導入される昇圧ガス入口部29が設けられている。また、供給液体貯蔵部27には、供給液体貯蔵部27に溜められた供給液体をユースポイントへ送出する供給液体出口30が設けられている。
【0031】
供給液体出口30からユースポイントまでの配管31には、気液分離部11からの供給液体の送出を開始/停止するためのバルブ32と、気液分離部11から送出される供給液体の圧力を測定する圧力センサ33と、気液分離部11から送出される供給液体の濃度(原料液体に対する原料ガスの溶解濃度)を測定する濃度計34と、気液分離部11から送出される供給液体の流量を測定する流量計35と、ユースポイントへの送出を開始/停止するためのバルブ36を備えている。
【0032】
このような第1の実施の形態の供給液体製造装置1によれば、気液混合部4と気液分離部11との間に配置された気液接触部12によって、気液混合部4により生成されたガス溶解液(ガス溶解液入口部15から導入されたガス溶解液)に気液分離部11により分離された未溶解ガス(未溶解ガス入口部16から導入された未溶解ガス)を溶解させることができる。これにより、気液分離部11で分離された未溶解ガスを再びガス溶解液に溶解させることができ、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。また、未溶解ガスの再利用が可能なため、原料ガス供給部2から供給する原料ガスの量を削減することができ、さらに、排気口から排出される排出ガス(未溶解ガス)の量を削減することができる。
【0033】
本実施の形態では、気液接触部12の未溶解ガス出口部19から送出された未溶解ガスがポンプ26によって昇圧されて、気液分離部11の供給液体貯蔵部27に設けられた昇圧ガス入口部29から気液分離部11に導入される。これにより、気液接触部12から排出された未溶解ガスを気液分離部11で再び供給液体(ガス溶解液)に溶解させることができ、供給液体(ガス溶解液)の高濃度化が可能となる。
【0034】
また、本実施の形態では、冷却部20により充填部17を冷却することができる。したがって、原料液体に対する原料ガスの溶解度が温度が高いほど低くなる場合に、充填部17を冷却することにより低温状態を保つことができ、原料液体に対する原料ガスの溶解度を高く維持することができる。これにより、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。
【0035】
また、本実施の形態では、気液接触部12と気液分離部11を一体に構成することにより、省スペース化を図ることができる。この場合、気液接触部12は、気液分離部11の上部に配置することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、気液接触部12と気液分離部11を一体に構成する例について説明したが、図2に示すように、気液接触部12と気液分離部11は別体として構成されてもよい。この場合、未溶解ガス入口部16とガス溶解液出口部18も別体として構成される。図2の気液接触部12としては、公知の充填棟を用いることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の供給液体製造装置1について説明する。ここでは、第2の実施の形態の供給液体製造装置1が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0038】
図3は、本実施の形態の供給液体製造装置1の構成を示す説明図である。図3に示すように、本実施の形態では、気液接触部12の未溶解ガス出口部19から排気口への配管21は途中で分岐して、気液分離部11の未溶解ガス貯蔵部28に接続されている。そして、未溶解ガス出口部19から気液分離部11までの配管25(配管21から分岐した配管25)には、未溶解ガス出口部19から送出された未溶解ガスを昇圧するポンプ26が設けられており、未溶解ガス貯蔵部28には、ポンプ26により昇圧された未溶解ガスが導入される昇圧ガス入口部29が設けられ、昇圧ガス入口部29から導入された未溶解ガスは、未溶解ガス入口部16から気液接触部12に導入される。
【0039】
このような第2の実施の形態の供給液体製造装置1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0040】
すなわち、本実施の形態によっても、気液混合部4と気液分離部11との間に配置された気液接触部12によって、気液混合部4により生成されたガス溶解液(ガス溶解液入口部15から導入されたガス溶解液)に気液分離部11により分離された未溶解ガス(未溶解ガス入口部16から導入された未溶解ガス)を溶解させることができる。これにより、気液分離部11で分離された未溶解ガスを再びガス溶解液に溶解させることができ、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。また、未溶解ガスの再利用が可能なため、原料ガス供給部2から供給する原料ガスの量を削減することができ、さらに、排気口から排出される排出ガス(未溶解ガス)の量を削減することができる。
【0041】
本実施の形態では、気液接触部12の未溶解ガス出口部19から送出された未溶解ガスがポンプ26によって昇圧されて、気液分離部11の未溶解ガス貯蔵部28に設けられた昇圧ガス入口部29から気液分離部11に導入される。そして、昇圧ガス入口部29から導入された未溶解ガスは、未溶解ガス入口部16から気液接触部12に導入される。これにより、気液接触部12から排出された未溶解ガスを再び気液接触部12に戻してガス溶解液に溶解させることができ、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。
【0042】
また、本実施の形態では、冷却部20により充填部17を冷却することができる。したがって、原料液体に対する原料ガスの溶解度が温度が高いほど低くなる場合に、充填部17を冷却することにより低温状態を保つことができ、原料液体に対する原料ガスの溶解度を高く維持することができる。これにより、ガス溶解液の高濃度化が可能となる。
【0043】
また、本実施の形態では、気液接触部12と気液分離部11を一体に構成することにより、省スペース化を図ることができる。この場合、気液接触部12は、気液分離部11の上部に配置することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、気液接触部12と気液分離部11を一体に構成する例について説明したが、図4に示すように、気液接触部12と気液分離部11は別体として構成されてもよい。この場合、未溶解ガス入口部16とガス溶解液出口部18も別体として構成される。図4の気液接触部12としては、公知の充填棟を用いることができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0046】
例えば、上記の実施の形態では、オゾンガスと水を混合する場合について例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。すなわち、原料となるガスはオゾンガスに限られず、また、原料となる液体も純水に限られない。例えば、純水に二酸化炭素を溶解させて炭酸水を製造してもよく、純水に窒素を溶解させて窒素水を製造してもよい。また、純水に水素を溶解させて水素水を製造してもよい。その他、本発明は、機能水を製造するためのガス溶解に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる供給液体製造装置は、ガス溶解液(供給液体)を高濃度化することができるという効果を有し、半導体デバイスや液晶などの電子部品の洗浄等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 供給液体製造装置
2 原料ガス供給部
3 原料液体供給部
4 気液混合部
5 配管
6 バルブ
7 流量計
8 圧力センサ
9 圧力調整バルブ
10 ポンプ
11 気液分離部
12 気液接触部
13 配管
14 バルブ
15 ガス溶解液入口部
16 未溶解ガス入口部
17 充填部
18 ガス溶解液出口部
19 未溶解ガス出口部
20 冷却部
21 配管
22 バルブ
23 ガス分解器
24 圧力調整バルブ
25 配管
26 ポンプ
27 供給液体貯蔵部
28 未溶解ガス貯蔵部
29 昇圧ガス入口部
30 供給液体出口
31 配管
32 バルブ
33 圧力センサ
34 濃度計
35 流量計
36 バルブ
図1
図2
図3
図4