(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018595
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】自動分析装置、自動分析システム及び安全データシートの表示方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
G01N35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121805
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 紘子
(72)【発明者】
【氏名】牛久 恵美子
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GD07
(57)【要約】
【課題】ユーザが面倒な情報を入力することなく常に最新のSDSを入手することを可能とする自動分析装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動分析装置は、検体試料を自動分析する自動分析装置であって、試薬または洗剤のSDS(安全データシート)を示すSDS情報231と、試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報232とを記憶する記憶部23と、同体情報により認証し、SDS情報を外部サーバから取得するSDS取得部28と、SDS情報を表示する表示部22と、を備えるようにした。詳しくは、記憶部は、前記SDSの項目ごとに、表示するユーザレベルを記憶するか、同体情報は、据付時に設定された自動分析装置の装置識別情報であるか、または、記憶部は、SDSのバージョン番号を記憶し、SDS取得部は、記憶部のSDSよりバージョン番号が新しい外部サーバのSDSのSDS情報を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体試料を自動分析する自動分析装置であって、
試薬または洗剤のSDS(安全データシート)を示すSDS情報と、前記試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報とを記憶する記憶部と、
前記同体情報により認証し、前記SDS情報を外部サーバから取得するSDS取得部と、
前記SDS情報を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記記憶部は、前記SDS情報を前記SDSの項目ごとに記憶し、
前記表示部は、ユーザレベルに応じて所定の項目のSDS情報を表示する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記記憶部は、前記SDSの項目ごとの表示するユーザレベルの設定を、所定のユーザレベルを有するユーザが設定する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記表示部は、ユーザレベル1では所定の項目のSDS情報を表示するとともに、ユーザレベル2では全項目のSDS情報を表示し、
前記SDS取得部は、ユーザレベル1では所定の項目のSDS情報に関する取得要求を前記外部サーバに行い、ユーザレベル2では全項目のSDS情報に関する取得要求を前記外部サーバに行う
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記同体情報は、据付時に設定された当該自動分析装置の装置識別情報である
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記記憶部は、前記SDSのバージョン番号を記憶し、
前記SDS取得部は、前記記憶部のSDSよりバージョン番号が新しい前記外部サーバのSDSのSDS情報を取得する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動分析装置において、
前記SDS取得部が前記外部サーバのSDSのバージョン番号が前記記憶部のSDSのバージョン番号より新しいことを検知した際に、前記表示部は画面にSDS更新の通知する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
自動分析装置と前記自動分析装置で使用する試薬または洗剤のSDSを提供する外部サーバとを備える自動分析システムにおいて、
前記自動分析装置から通知され、前記自動分析装置で使用する試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報により前記自動分析装置を認証して、前記SDSを示すSDS情報と前記SDSのバージョン番号を前記自動分析装置に通知する外部サーバと、
前記同体情報により認証された際に、当該自動分析装置に記憶するSDSに対応し前記外部サーバに記憶するSDSのバージョン番号を前記外部サーバから取得し、外部サーバから取得したバージョン番号が、当該自動分析装置に記憶するSDSのバージョン番号より新しい場合に、前記外部サーバからSDS情報を取得する前記自動分析装置と、
を備えることを特徴とする自動分析システム。
【請求項9】
請求項8に記載の自動分析システムにおいて、
前記自動分析装置は、他の自動分析装置を接続し、
前記自動分析装置は、
前記他の自動分析装置から所定の前記SDSのSDS情報の取得要求を受けた際に、前記外部サーバに所定の前記SDSのバージョン番号の取得要求を行い、
外部サーバから取得した前記バージョン番号が、当該自動分析装置に記憶する所定の前記SDSのバージョン番号と等しい場合には、当該自動分析装置に記憶する所定の前記SDSのSDS情報を前記他の自動分析装置に通知する
ことを特徴とする自動分析システム。
【請求項10】
自動分析装置が使用する試薬または洗剤の安全データシートの表示方法であって、
SDS(安全データシート)を提供する外部サーバに前記試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報を通知して認証を行うステップと、
前記外部サーバに認証された際に、表示するSDSのバージョン番号を取得依頼するステップと、
取得したSDSのバージョン番号が記憶するSDSのバージョン番号より新しい場合に、前記外部サーバから新しいバージョンのSDSのSDS情報を取得するステップと、
前記取得したSDS情報をSDSの項目ごとに記憶するステップと、
ユーザレベルに応じて選択されSDSの項目を表示するステップと、
を含むことを特徴とする安全データシートの表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置、自動分析システム及び自動分析装置に関する安全データシートの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査用の自動分析装置は、試料を自動分析する装置である。自動分析装置では、反応セルや試料プローブや試薬プローブの洗浄のために、様々な洗剤が使用される。例えば、洗浄部位の汚れの種類に応じて酸性洗剤またはアルカリ性洗剤を使用している。
【0003】
自動分析装置で使用される試薬や洗剤の中には、有害性のおそれのある化学物質及び化学物質を含む混合物を含むものがあり、譲渡または提供する際にその化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取扱いに関する情報を相手方に提供するため、安全データシート(以下、SDS:Safety Data Sheetと呼ぶ)が作成される。
【0004】
このSDSは、国際的に標準化されている。
日本国内におけるSDSに関する法規制は、「労働安全衛生法(以下、安衛法)」のほか、「毒物及び劇物取締法(以下、毒劇法)」、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(以下、化管法)」があり、それぞれの法令において指定される化学物質に関しては、定められた形式のSDSの作成・配布が義務付けられている。
【0005】
SDSの危険有害性に関しては、化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づく分類を行い、その内容をSDSに記載することになっている。また、日本国内では日本工業規格(JIS)の記載項目に準拠してSDSを作成することになっている。
【0006】
例えば特許文献1には、マルチウェルプレートで分析するためのキットが、補助プレートに乾燥アッセイ試薬を含むこと、キットの有するアッセイ情報には、アッセイ試薬の位置やSDSの情報が含まれていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動分析装置におけるSDSは、ユーザが必要時に販売元に問い合わせて入手することが多い。SDSの入手に当たっては、自動分析装置や試薬のユーザであることを照合するため、ユーザの会社名・部署名・氏名・電話番号・メールアドレスのほか、装置のシリアルNo、見積・受注番号などの入力を要求される場合があり、入手性がよくない。
【0009】
SDSに関する法規制である安衛法・毒劇法・化管法やJISが改正されSDSが改訂になった場合に、ユーザは、SDSが改訂されたことに気が付かず、既に入手している古いバージョンのSDSを使用し続けてしまう可能性がある。
また、改訂を知ったとしても、販売元から入手する際には、手続きに手間が生じ、ユーザの負担となる。
【0010】
本発明の目的は、ユーザが面倒な情報を入力することなく最新のSDSを入手することを可能とする自動分析装置、自動分析システム及び安全データシートの表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の自動分析装置は、検体試料を自動分析する自動分析装置であって、試薬または洗剤のSDS(安全データシート)を示すSDS情報と、前記試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報とを記憶する記憶部と、前記同体情報により認証し、前記SDS情報を外部サーバから取得するSDS取得部と、前記SDS情報を表示する表示部と、を備えるようにした。
【0012】
また、本発明の自動分析システムは、自動分析装置と前記自動分析装置で使用する試薬または洗剤のSDSを提供する外部サーバとを備える自動分析システムにおいて、前記自動分析装置から通知され、前記自動分析装置で使用する試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報により前記自動分析装置を認証して、前記SDSを示すSDS情報と前記SDSのバージョン番号を前記自動分析装置に通知する外部サーバと、前記同体情報により認証された際に、当該自動分析装置に記憶するSDSに対応し前記外部サーバに記憶するSDSのバージョン番号を前記外部サーバから取得し、外部サーバから取得したバージョン番号が、当該自動分析装置に記憶するSDSのバージョン番号より新しい場合に、前記外部サーバからSDS情報を取得する前記自動分析装置と、を備えるようにした。
【0013】
また、本発明の安全データシートの表示方法は、自動分析装置が使用する試薬または洗剤の安全データシートの表示方法であって、SDS(安全データシート)を提供する外部サーバに前記試薬または洗剤の正規ユーザであることを示す同体情報を通知して認証を行うステップと、前記外部サーバに認証された際に、表示するSDSのバージョン番号を取得依頼するステップと、取得したSDSのバージョン番号が記憶するSDSのバージョン番号より新しい場合に、前記外部サーバから新しいバージョンのSDSのSDS情報を取得するステップと、前記取得したSDS情報をSDSの項目ごとに記憶するステップと、ユーザレベルに応じて選択されSDSの項目を表示するステップと、を含むようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが面倒な情報を入力することなく、最新のSDSを入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の自動分析装置及び自動分析システムの構成を説明する図である。
【
図2】自動分析装置の分析機構部の構成を説明する図である。
【
図4】SDS情報の初期設定フローを説明する図である。
【
図5】最新のSDSを取得する処理フローを説明する図である。
【
図6A】SDSの自動更新タイミングを設定する画面を示す図である。
【
図6B】SDSの手動更新を行う画面を示す図である。
【
図8】ユーザのパスワードを登録する画面を示す図である。
【
図9】SDSを表示する際の表示項目ごとの公開範囲を設定する画面を示す図である。
【
図10A】ユーザがSDSの表示依頼する操作画面を示す図である。
【
図10B】SDSを全文表示する際の、ユーザ認証画面を示す図である。
【
図11】表示するSDSの選択画面を示す図である。
【
図12】簡易SDS表示または全文SDS表示を行う際の表示部の制御フロー図である。
【
図13A】ユーザレベル1のSDSページ表示の一例を示す図である。
【
図13B】ユーザレベル1のSDSページ表示の他例を示す図である。
【
図14A】ユーザレベル2のSDSページ表示の一例を示す図である。
【
図14B】ユーザレベル2のSDSページ表示の他例を示す図である。
【
図15】SDSの更新通知メッセージを表示する画面を示す図である。
【
図16】サブ装置のSDS取得シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態の自動分析装置及び自動分析システムの構成を説明する図である。
【0017】
実施形態の自動分析装置100は、外部から投入される検体試料及び試薬を用いて、医用に係る分析等を自律的に実行する自動分析装置である。
実施形態の自動分析システムが、少なくとも1台の自動分析装置100と外部サーバ110とを、インターネット120を介して接続して構成される。外部サーバ110は、自動分析装置100で使用する試薬または洗剤の提供者のサーバである。
【0018】
自動分析装置100は、反応セルや試料及び試薬プローブの洗浄に使用される洗剤または試薬のSDSを表示することができる。その際、表示するSDSは、自動分析装置100の同定情報(認証情報)により、外部サーバ110がSDS保管DB26で保持する最新のSDSを表示する。
【0019】
つぎに、自動分析装置100の構成を説明する。
自動分析装置100は、自動的に試料に試薬を分注して反応させ、吸光度を計測する分析機構部27と、吸光度を分析するとともに、分析結果の表示及び装置の管理を行う全体管理コンピュータ21とから構成される。
分析機構部27の詳細は、
図2により説明する。
【0020】
全体管理コンピュータ21は、SDS取得部28と、制御部25と、SDS情報231と同定情報232とを記憶する記憶部23と、分析機構部27の吸光度を分析する分析部24と表示部22とから構成される。
【0021】
詳しくは、SDS取得部28は、処理部と通信部とから構成され、詳細を後述する同定情報232を外部サーバ110に通知して認証し、外部サーバ110のSDS保管DB26から所定のSDSの最新情報を取得する。
【0022】
制御部25は、自動分析装置100の全体制御を行うとともに、SDS取得部28で取得したSDSを項目別に分割し、試薬または洗剤の種別ごとにSDS情報231として記憶する。
【0023】
表示部22は、表示処理部と表示装置とから構成され、分析パラメータの設定や分析結果を表示装置に表示するとともに、ユーザレベルに応じて、所定項目のSDS情報を表示装置に表示する。
表示部22の表示例の詳細は、後述する。
【0024】
具体的には、全体管理コンピュータ21の制御部25と分析部24と表示部22の表示処理部とSDS取得部28の処理部は、全体管理コンピュータ21を構成するCPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。このプログラムは、記憶部23を構成するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体に記憶してもよい。
【0025】
また、自動分析装置100は、ローカルネットワーク121を介して、上記と同様の構成を備える自動分析装置101(他の自動分析装置)と接続できるようにしてもよい。
詳細は後述するが、自動分析装置101は、外部サーバ110に替えて自動分析装置100から最新のSDSを取得する。自動分析装置100は、自動分析装置101から要求された試薬または洗剤の最新のSDSを保持していない場合に、外部サーバ110のSDS保管DB26から最新のSDSを取得し、自動分析装置101に通知する。
【0026】
ここで、
図2により、自動分析装置100の分析機構部27の構成を説明する。
自動分析装置100では、反応ディスク1に血液または尿などの試料と試薬とを混合する複数の反応容器2が円周上に並んでいる。試薬ディスク9の中には複数の試薬ボトル(試薬容器)10が円周上に載置可能である。反応ディスク1と試薬ディスク9の間には回転及び上下動可能な試薬分注機構7、8が設置されており、試薬分注機構7、8は、試薬プローブ7a、8aを備えている。試薬プローブ7a、8aには試薬用シリンジ18が接続されている。試薬分注機構7、8は、試薬ボトル10から試薬を吸引し、反応容器2に試薬を分注(吐出)する。
【0027】
反応ディスク1の近くに試験管などの試料が収容された試料容器15を載せた試料収納容器16を移動する搬送機構36、37が設置されている。反応ディスク1と搬送機構36、37の間には、回転及び上下動可能な試料分注機構11、35が設置されており、試料プローブ11a、12aを備えている。
【0028】
試料プローブ11a、12aには試料用シリンジ19が接続されている。試料プローブ11a、12aは回転軸を中心に円弧を描きながら移動して試料容器15から反応容器2への試料の吸引吐出を行う。
【0029】
反応ディスク1の周囲には、洗浄機構3、光源(図示せず)、分光光度計4、攪拌機構5、6、試薬ディスク9、搬送機構36、37が配置され、洗浄機構3には洗浄用ポンプ20が接続されている。試薬分注機構7、8、試料分注機構11、35、攪拌機構5、6の動作範囲上に洗浄槽13、14、30、31、32、33がそれぞれ設置されている。
試料容器15には試料が含まれ、試料容器15は試料収納容器16に載せられて搬送機構36、37によって運ばれる。
【0030】
光源(図示せず)から照射された光は、反応容器2内で混合された試料と試薬の混合液に照射される。照射された光は分光光度計4により受光され、全体管理コンピュータ21は、分析部24を備え、分析部24が、分光光度計4により受光された光量(混合液の透過光や散乱光の光量)から試料に含まれる所定成分の濃度を算出し、試料を分析する。なお、測定項目によって用いられる試薬が異なる。このようにして自動分析が行われる。
【0031】
上述の装置構成では、反応容器2、試薬プローブ7a、8a、試料プローブ11a、12a、攪拌機構5、6は、自動洗浄されて繰り返し測定に使用される。以下に、洗浄方法を示す。
【0032】
測定が終了すると、反応容器2内の反応液は、洗浄機構3の吸引ノズル(図示せず)により吸引され、装置外へ排出される。空になった反応容器2には、洗浄機構3の洗剤注入ノズル(図示せず)から反応容器用洗浄液が吐出され、洗浄される。さらに、反応容器2内の反応容器用洗浄液は、洗浄機構3の吸引ノズル(図示せず)により吸引され、装置外へ排出される。
つぎに、洗浄用ポンプ20の動作で洗浄機構3から洗浄水が反応容器2に吐出されたのち、吸引ノズル(図示せず)により吸引され装置外へ排出される。この洗浄水による洗浄を複数回繰り返すことで、反応容器2は次の分析に再利用される。一方、試料プローブ11a、12a及び試薬プローブ7a、8aは、試料または試薬を反応容器2に吐出した後、プローブの外壁及び内壁が洗浄水により洗浄されて、次の分析に再利用される。また攪拌機構5、6は、反応容器2内の試料と試薬を攪拌した後、攪拌機構の外壁が洗浄水により洗浄されて、次の分析に再利用される。
【0033】
しかし、この通常の方法だけでは、洗浄が不十分であることがあらかじめ分かっている場合もある。この場合は、キャリーオーバー回避洗浄を設定しておくことで、洗浄工程を追加することができる。反応容器2、試薬プローブ7a、8a、攪拌機構5、6については、試薬ディスク9に設置された洗剤を試薬プローブ7a、8aで吸引し、通常の方法で洗浄した後の反応容器2に吐出し、攪拌機構5、6で反応容器2内の洗剤を攪拌することにより、反応容器2、試薬プローブ7a、8a、攪拌機構5、6が洗浄されるなお、洗浄に使用する洗剤の種類、吸引量、回数は、汚れの種類や程度によって任意に設定されている。
【0034】
つぎに、自動分析装置100のSDS取得部28が、最新のSDSを取得する処理フローを詳細に説明する。
フローの説明に先立ち、
図3により、SDS情報231の構成を説明する。
【0035】
上記のように、自動分析装置100では様々な試薬や洗剤が使用されている。このため、SDS情報231は、試薬または洗剤のひとつのSDSに関する情報をレコードとし、複数のレコードを有するデータ構造になっている。
【0036】
ひとつのレコードは、
図3に示すように、SDSを特定するSDS番号と、SDSの対象である化学品の名称と、試薬または洗剤を識別するパーツ番号と、SDSの版管理の番号であるSDSバージョン番号と、SDS提供元の外部サーバに関するURL(Uniform Resource Locator)等の接続情報と、SDS情報とから構成する。
【0037】
SDS情報は、外部サーバから取得した際に、日本工業規格(JIS)等の法規に準拠した項目番号ごとに分解して、記録する。
【0038】
そして、項目(項目番号)ごとに、SDS項目を表示する表示レベルを設定する。例えば、自動分析装置100の使用者(ユーザレベル1)と管理者(ユーザレベル2)に区分し、使用者が自動分析装置100を使用している際には、表示レベルにユーザレベル1が設定されたSDS項目のみ表示し、管理者が自動分析装置100を使用している際には、表示レベルにユーザレベル1とユーザレベル2が設定されたSDS項目を表示する。
なお、
図3のSDS情報では、レコードごとに表示レベルを設定することを示しているが、複数のレコードで共通に、SDS情報の項目の表示レベルを設定するようにしてもよい。
【0039】
自動分析装置100の使用開始時や新規の試薬や洗剤の使用開始時には、SDS情報231には、SDSが記憶されていない。
図4により、自動分析装置100におけるSDS情報231の初期設定フローを説明する。
【0040】
ステップS41で、制御部25は取得するSDSの特定情報及び外部サーバの接続情報を設定する。より詳細には、制御部25は、表示部22を制御して、取得するSDSのSDS番号、化学品の名称、またはパーツ番号のいずれかの入力、及び、外部サーバの接続情報の入力をユーザに促す。
【0041】
また、試薬や洗剤のパッケージまたは添付文書に、SDS番号、化学品の名称、パーツ番号、外部サーバの接続情報を示す2次元バーコードを設け、制御部25が、バーコード・リーダによりこれを読み込んで、SDSの特定情報及び外部サーバの接続情報を設定するようにしてもよい。
【0042】
ステップS42で、SDS取得部28は、取得するSDSに対応し、装置、試薬、または洗剤の正規のユーザであることを示す同定情報を同定情報232から読み出し、認証情報として外部サーバ110に通知する。
【0043】
詳しくは、自動分析装置100を設置した際に、サービスマンが装置や洗剤の同定情報を同定情報232に設定する。また、試薬や他の洗剤は、パッケージまたは添付文書の2次元バーコードに認証コードを設けて、ユーザが同定情報232に設定するようにする。
【0044】
外部サーバ110では、ユーザ情報あるいは製品情報として登録されている認証情報と、自動分析装置100から通知された同定情報とを比較して認証処理を行い、一致していれば、正規のユーザとして認証する。
【0045】
ステップS43で、SDS取得部28は、外部サーバ110で認証されたか否かを判定し、認証された場合には(S43のYes)、ステップS44に進む。認証されなかった場合には(S43のNo)、処理を終了する。
【0046】
ステップS44で、SDS取得部28は、ステップS41で設定されたSDSのSDS番号、化学品の名称、またはパーツ番号のいずれかをSDSの特定情報として外部サーバ110に通知し、SDSの取得要求を行う。
【0047】
外部サーバ110では、通知されたSDSの特定情報に基づいてSDS保管DB26から取得要求されたSDSを読み出し、SDS取得部28に通知するとともに、通知したSDSのSDS番号、化学品の名称、パーツ番号、SDSバージョン番号、改訂日の情報をSDS取得部28に通知する。
【0048】
ステップS45で、SDS取得部28は、外部サーバ110からSDSを取得するとともに、取得したSDSのSDS番号、化学品の名称、パーツ番号、SDSバージョン番号、改訂日の情報を取得する。
【0049】
ステップS46で、制御部25はステップS45で取得したSDSを項目ごとに分割する。
【0050】
ステップS47で、制御部25はステップS45で取得したSDS番号、化学品の名称、パーツ番号、SDSバージョン番号、改訂日の情報に基づいて、SDS情報231にレコードを生成し、ステップS46で分割したSDSの項目ごとの情報を生成したレコードに記憶する。また、制御部25は外部サーバ110の外部サーバの接続情報を生成したレコードに記憶する。
【0051】
つぎに、
図5により、自動分析装置100のSDS取得部28が、SDS保管DB26のSDSの更新状況を確認して、最新のSDSを取得する処理フローを詳細に説明する。
【0052】
図5により説明するSDS取得部28によるSDSの更新処理は、自動分析装置100の立ち上げ時、自動分析装置100の待機時(スタンバイ時)、所定周期、またはユーザ指示時に、SDS情報231(
図3参照)のすべてレコード、あるいは特定のレコードについて行う。
なお、
図5は、ひとつのレコードの更新処理を示している。
【0053】
ステップS51で、SDS取得部28は、SDS情報231を参照して、更新を確認するSDSのSDS番号を設定する。
【0054】
ステップS52で、SDS取得部28は、SDS情報231を参照して、更新を確認するSDSを提供する外部サーバ110の接続情報を取得する。
【0055】
ステップS53で、SDS取得部28は、更新を確認するSDSに対応し、装置、試薬、または洗剤の正規のユーザであることを示す同定情報を同定情報232から読み出し、認証情報として外部サーバ110に通知する。
【0056】
外部サーバ110では、ユーザ情報あるいは製品情報として登録されている認証情報と、自動分析装置100から通知された同定情報とを比較して認証処理を行い、一致していれば、正規のユーザとして認証する。そして、外部サーバ110では、認証結果を自動分析装置100に通知する。
【0057】
ステップS54で、SDS取得部28は、外部サーバ110で認証されたか否かを判定し、認証された場合には(S54のYes)、ステップS55に進む。認証されなかった場合には(S54のNo)、処理を終了する。
【0058】
ステップS55で、SDS取得部28は、外部サーバ110に、ステップS51で設定されたSDS番号で指定されるSDS(更新を確認するSDS)のSDSバージョン番号を要求する。
【0059】
外部サーバ110では、SDS保管DB26を参照して、指定されたSDS番号で特定されるSDSのSDSバージョン番号を取得し、SDS取得部28に通知する。
【0060】
ステップS56で、SDS取得部28は、外部サーバ110から通知されたSDSバージョン番号と、SDS情報231におけるステップS51で設定されたSDS番号で指定されるSDS(更新を確認するSDS)のSDSバージョン番号とを比較し、同一でなければバージョンアップされている(更新されている)として(S56のYes)、ステップS57に進む。同一であればバージョンアップされていない(更新されていない)として(S56のNo)、処理を終了する。
【0061】
ステップS57で、SDS取得部28は、ステップS51で設定されたSDS番号をSDSの特定情報として外部サーバ110に通知し、SDSの取得要求を行う。
【0062】
外部サーバ110では、通知されたSDS番号に基づいてSDS保管DB26から取得要求されたSDSを読み出し、SDS取得部28に通知するとともに、通知したSDSのSDS番号、化学品の名称、パーツ番号、SDSバージョン番号、改訂日の情報をSDS取得部28に通知する。
【0063】
ステップS58で、SDS取得部28は、外部サーバ110からSDSを取得するとともに、取得したSDSのSDS番号、化学品の名称、パーツ番号、SDSバージョン番号、改訂日の情報を取得する。
【0064】
ステップS59で、制御部25はステップS58で取得したSDSを項目ごとに分割する。
【0065】
ステップS510で、制御部25は、ステップS58で取得したSDSバージョン番号、改訂日の情報、及びステップS59で分割された項目ごとの情報に基づいて、SDS情報231におけるステップS51で設定されたSDS番号で指定されるSDS(更新を確認するSDS)のレコードを更新する。そして、処理を終了する。
【0066】
図5の処理フローにより、SDS情報231に記憶されているSDSは、SDSを提供する外部サーバ110のSDS保管DB26のSDSに更新されるので、自動分析装置100は、最新のSDSを保持することができる。
【0067】
図5のステップS58で、SDS取得部28はSDSの全項目の情報を取得するようにするが、ユーザ操作によりSDS更新を行う際には、SDS情報231の表示レベル(
図3参照)を参照して、更新を指示したユーザレベルに対応する項目の情報を取得するようにしてもよい。この場合には、SDSの項目ごとにバージョンアップの確認を行うようにする。
【0068】
より詳細には、SDS取得部28は、SDSの全項目を表示するユーザレベル2では、外部サーバ110にSDSの全項目の取得要求をして更新し、SDSの所定項目を表示するユーザレベル1では、外部サーバ110に表示する項目のみ取得要求をして更新する。
【0069】
以後、表示部22の表示例を詳細に説明する。
表示部22(表示処理部)は、タブ方式のGUI(Graphical User Interface)で表示装置の画面を階層的に切り替え表示する。
【0070】
図6Aと
図6Bは、
図5により説明したSDS取得部28によるSDSの更新処理の実施タイミングを設定する画面である。
【0071】
図6Aは、自動更新タイミングを設定する画面である。
図6Aの表示画面は、SDSタブ601・SDS更新タブ602・自動更新タブ603を順に選択して表示される。
表示部22は、「装置立ち上げ時」のラジオボタン604と、自動分析装置100のスタンバイ時に更新する「スタンバイ時」のラジオボタン605と、周期的実施を指定するラジオボタン606と、期間を指定するプルダウンリスト607と、登録ボタン608とを画面に表示する。
【0072】
そして、表示部22は、ラジオボタン604、605、606のいずれかが選択された後に、登録ボタン608が押下されると、SDS取得部28によるSDSの更新処理の実施タイミングを選択されたラジオボタンに応じて、「装置立ち上げ時」・「スタンバイ時」・周期的実施(期間はプルダウンリスト607の設定値)のいずれかに設定する。SDS取得部28は、この設定されたタイミングでSDSの更新処理を行う。
【0073】
図6Bは、SDSの更新処理を即時に行う手動更新の画面である。
図6Bの表示画面は、SDSタブ601・SDS更新タブ602・マニュアル更新タブ609を順に選択して表示される。
表示部22は、SDS更新確認ボタン610を画面に表示する。
そして、SDS更新確認ボタン610が押下されると、SDS取得部28は、SDSの更新処理を行う。
【0074】
図7は、装置の同定情報232の登録を行う画面である。
図7の表示画面は、SDSタブ601・サービスタブ611・装置同定情報登録タブ612を順に選択して表示され、例えば、自動分析装置100を設置した際に据付作業者またはサービスマンにより使用される。
表示部22は、「施設名」を入力するテキストボックス613と、「装置モデル名」を入力するテキストボックス614と、自動分析装置100の「製造番号」を入力するテキストボックス615と、登録ボタン616と、を表示装置の画面に表示する。
【0075】
そして、表示部22は、登録ボタン616が押下されると、「施設名」のテキストボックス613の入力情報と「装置モデル名」のテキストボックス614の入力情報と、自動分析装置100の「製造番号」のテキストボックス615の入力情報と、を同定情報232に登録する。
【0076】
SDS取得部28は、設定された同定情報232の情報を外部サーバ110にアクセスする際の認証情報とする。なお、外部サーバ110も同じ情報を記憶している。
図7により設定した同定情報は、自動分析装置100に固有の洗剤等の同定情報としてもよい。
【0077】
図8は、ユーザのパスワードを登録する画面である。
図8の表示画面は、SDSタブ601・ユーザ登録タブ617を順に選択して表示され、後述するユーザレベル2においてユーザ認証する際のパスワードを登録する画面である。
表示部22は、「ユーザID」を入力するテキストボックス618と、「パスワード」を入力するテキストボックス619と、登録ボタン620と、を画面に表示する。
【0078】
そして、表示部22は、登録ボタン620が押下されると、「ユーザID」のテキストボックス618の入力情報と、「パスワード」のテキストボックス619の入力情報を、ユーザレベル2におけるユーザ認証情報として登録する。
【0079】
図9は、SDSを表示する際の表示項目ごとの公開範囲を設定する画面である。
図9の表示画面は、SDSタブ601・サービスタブ611・SDS公開範囲選択タブ621を順に選択して表示する。
表示部22は、ユーザレベル1の表示モードにおいて、SDSの16項目のうち、いずれの項目を表示項目とするか指定するチェックボックス622と、登録ボタン623と、を表示装置の画面に表示する。
【0080】
そして、表示部22は、登録ボタン623が押下されると、チェックボックス622で選択された項目をユーザレベル1の表示モードにおいて表示する項目として、
図3で説明したように、SDS情報231に登録する。
【0081】
図10Aは、ユーザがSDSの表示依頼する操作画面である。
図10Aの表示画面は、SDSタブ601・SDS表示依頼タブ624・SDS表示依頼タブ625を順に選択して表示する。
表示部22は、
図9で説明したSDSを表示する際の表示項目ごとの公開範囲を設定する画面で設定したSDSの項目を表示依頼する簡易SDS表示依頼ボタン626と、SDSの全項目を表示依頼する全文SDS表示依頼ボタン627と、を表示装置の画面に表示する。
【0082】
そして、表示部22は、簡易SDS表示依頼ボタン626が押下されると、簡易SDS表示依頼されたことを記録するとともに、
図11の画面に遷移する。また、表示部22は、全文SDS表示依頼ボタン627が押下されると、
図10Bの画面に遷移する。
【0083】
図10Bは、SDSを全文表示する際の、ユーザ認証画面である。自動分析装置100は、ユーザレベル2として登録したユーザに対して、SDSの全文表示を行う。
表示部22は、「ユーザID」を入力するテキストボックス628と、「パスワード」を入力するテキストボックス629と、実行ボタン630と、を画面に表示する。
【0084】
そして、表示部22は、実行ボタン630が押下されると、「ユーザID」のテキストボックス628の入力情報と、「パスワード」のテキストボックス629の入力情報と、を認証情報として、
図8で説明したユーザレベル2の登録認証情報と比較し、ユーザ認証する。
表示部22は、登録ユーザであることを認証すると、全文SDS表示依頼されたことを記録するとともに、
図11の画面に遷移する。
【0085】
上記では、全文SDS表示を行う際に、登録ユーザであることを認証することを説明したが、
図9のSDSを表示する際の公開範囲を設定する際に、登録ユーザであることを認証した後に、
図9の設定画面を表示するようにしてもよい。これにより、管理者等のユーザレベル2のユーザが、SDS表示の公開範囲を設定するようにできる。
【0086】
図11は、表示するSDSの選択画面である。
図11の表示画面は、
図10Aの簡易SDS表示依頼ボタン626の押下、または
図10Aの全文SDS表示依頼ボタン627の押下かつ
図10Bのユーザ認証、による画面遷移、または、SDSタブ601・SDS表示依頼タブ624・SDS選択タブ631を順に選択して表示する。
【0087】
表示部22(表示処理部)は、直接入力またはプルダウンリスト635に指定する「SDS番号」のチェックボックス632と、直接入力またはプルダウンリスト636に指定する「化学品の名称」のチェックボックス633と、直接入力またはプルダウンリスト637に指定する「パーツ番号」のチェックボックス634と、実行ボタン638と、を表示装置の画面に表示する。
【0088】
そして、表示部22は、実行ボタン638が押下されると、チェックされた「SDS番号」「化学品の名称」「パーツ番号」の少なくともひとつを検索条件に、
図3で説明したSDS情報231を検索して、表示するSDSを選択する。
【0089】
図12は、簡易SDS表示または全文SDS表示を行う際の表示部22の制御フロー図である。
【0090】
ステップS121で、表示部22は、
図10Aの簡易SDS表示依頼ボタン626または全文SDS表示依頼ボタン627が押下されたか否かを判定し、押下されればステップS122に進み、そうでなければボタン押下を待機する。
【0091】
ステップS122で、表示部22は、全文SDS表示依頼ボタン627が押下されたか否かを判定し、全文SDS表示依頼ボタン627が押下された場合には(S122のYes)、ステップS123に進む。そうでない場合には(S122のNo)、簡易SDS表示依頼ボタン626が押下されたとして、ステップS126に進む。
【0092】
ステップS123で、表示部22は、
図10Bで説明したSDSを全文表示する際のユーザ認証画面を表示し、ユーザのユーザIDとパスワードを取得する。
【0093】
ステップS124で、表示部22は、ステップS123で取得したユーザIDとパスワードが、登録されたユーザレベル2のユーザのユーザIDとパスワードに一致する否かを判定する。登録ユーザに一致する場合には(S124のYes)、ステップS125に進む。不一致の場合には(S124のNo)、処理を終了する。
【0094】
ステップS125で、表示部22は、SDSの表示レベルをユーザレベル2に設定し、ステップS127に進む。
【0095】
ステップS126で、表示部22は、SDSの表示レベルをユーザレベル1に設定し、ステップS127に進む。
【0096】
ステップS127で、表示部22は、
図11の表示するSDSの選択画面を表示する。そして、表示部22は、チェックされた「SDS番号」「化学品の名称」「パーツ番号」の少なくともひとつを検索条件に、SDS情報231を検索して、表示するSDSのレコードを特定する。
【0097】
ステップS128で、表示部22は、ステップS127で特定したSDS情報231のレコードから、ステップS125またはステップS126で設定された表示レベルに対応する項目を抽出する。
【0098】
ステップS129で、表示部22は、ステップS128で抽出したSDSを表示する。
つぎに、SDSの表示例を説明する。
【0099】
図13A、
図13Bは、表示レベルがユーザレベル1の場合におけるSDSの表示画面である。表示は、SDSタブ601・SDS表示タブ639が選択された画面に行われる。
【0100】
表示するSDSの表示量は、表示選択され項目数による異なり、複数の画面に渡って表示することがある。このため、画面の遷移ボタンとして、次ページボタン641、前ページボタン643を設けて、表示項目640、642を表示する。
【0101】
図14A、
図14Bは、表示レベルがユーザレベル2の場合におけるSDSの表示画面である。表示は、SDSタブ601・SDS表示タブ639が選択された画面に行われる。
【0102】
全項目を表示するために、複数の画面に渡って表示する。このため、画面の遷移ボタンとして、次ページボタン645、前ページボタン647を設けて、表示項目644、646を表示する。
【0103】
SDSには、使用・保管・輸送・廃棄など多くの情報を含む。このため、ユーザは、多くの情報から必要な情報を漏れなく読み取るための労力が必要となる。
実施形態の自動分析装置100によれば、ユーザレベルに応じて設定された情報を表示するため、ユーザのすべての情報から必要な情報を読み取る労力を減らし、ユーザの情報取得を容易にすることができる。
【0104】
具体的には(
図3参照)、化学品及び会社情報(項目1.)や廃棄上の注意(項目13.)や輸送上の注意(項目14.)は、使用者(ユーザレベル1)にとって必要性がない情報であり、管理者(ユーザレベル2)が必要とする情報であるので、ユーザレベル2として表示する(
図14A、
図14Bを参照)。
また、応急処理(項目4.)や火災時の措置(項目5.)は、使用者(ユーザレベル1)にとって有用な情報であるので、ユーザレベル1として表示する(
図13A、
図13Bを参照)
【0105】
ところで、
図5の自動分析装置100のSDS取得部28は、SDS保管DB26のSDSの更新状況を確認して、最新のSDSを取得する処理フローにおいて、SDS保管DB26のSDSがバージョンアップしている場合には(
図5のS56のYes)、ステップS57に進み、SDSの更新を行うことを説明したが、ユーザにSDSの更新の可否を確認するようにしてもよい。
【0106】
例えば、
図5でステップS57に進む前に、表示部22により、
図15に示すSDSの更新通知メッセージ649を表示する画面を表示し、「入手する」ボタン650が押下された際に、SDS取得部28が、
図5のステップS57に進むようにしてもよい。
「入手しない」ボタン651を押下された際には、SDS取得部28が、
図5のSDSの更新処理を終了する。
【0107】
また、SDS保管DB26のSDSがバージョンアップしている場合には(
図5のS56のYes)、表示部22が、お知らせタブ648を点滅させるようにしてもよい。
【0108】
つぎに、
図1において、ローカルネットワーク121を介して、少なくとも1台の自動分析装置101が接続している場合の動作を
図16により説明する。説明に当たって、自動分析装置100をメイン装置、自動分析装置101をサブ装置と称する。
図16は、サブ装置(自動分析装置101)とメイン装置(自動分析装置100)と外部サーバ110との間における、サブ装置のSDS取得シーケンスを示す図である。
【0109】
この際、サブ装置のSDS情報231における外部サーバの接続情報には、メイン装置の接続情報が設定され、サブ装置から見ると、メイン装置が外部サーバ110に相当する装置としている。
【0110】
ステップS161で、サブ装置は、簡易SDS表示、または全文SDS表示する際に、SDS特定情報をメイン装置に通知し、SDS取得要求を行う。これにより、メイン装置は、SDS情報231を参照して、取得要求されたSDSを提供する外部サーバ110の接続情報を取得する。
【0111】
ステップS162で、メイン装置は、外部サーバ110に同定情報232を通知し、認証要求する。これにより、外部サーバ110は、認証要求がSDSを提供できる正規のユーザからのものであるか否を判定する。
【0112】
ステップS163で、外部サーバは、メイン装置に認証Okを通知する。
【0113】
ステップS164で、メイン装置は、サブ装置から取得要求されたSDSのバージョン番号を外部サーバ110に要求する。
【0114】
ステップS165で、外部サーバ110は、SDS保管DB26を参照して、SDSバージョン番号を取得し、メイン装置に通知する。
これにより、メイン装置は、メイ ン装置から通知されたSDSバージョン番号と、SDS情報231に記憶しているサブ装置から取得要求されたSDSのバージョン番号を対比する。
【0115】
ステップS166で、メイン装置は、SDSバージョン番号が一致している場合には、SDS情報231に記憶しているSDSをサブ装置に通知し、処理を終了する。SDSバージョン番号が不一致の場合には、メイン装置は、ステップS166は実施しない。
【0116】
ステップS167で、SDSバージョン番号が不一致の場合に、メイン装置は、外部サーバ110にバージョン番号が一致しなかったサブ装置から取得要求されたSDSの取得要求を行う。
【0117】
ステップS168で、外部サーバ110は、SDS保管DB26を参照して、SDSを取得し、メイン装置に通知する。
【0118】
ステップS169で、メイン装置は、外部サーバ110から通知されたSDSをサブ装置に通知する。この際、メイン装置は、外部サーバ110から通知されたSDSによりSDS情報231を更新する。そして、処理を終了する。
【0119】
上記のシーケンスによれば、メイン装置が外部サーバ110のキャッシュサーバとして機能する(ステップS166)ので、サブ装置で簡易SDS表示または全文SDS表示を行う際の、最新バージョンのSDSを転送する頻度が低下し、インターネット120の負荷低減を図ることができる。
【0120】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明で分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0121】
21 全体管理コンピュータ
22 表示部
23 記憶部
231 SDS情報
232 同定情報
24 分析部
25 制御部
26 SDS保管DB
27 分析機構部
28 SDS取得部
100 自動分析装置
101 自動分析装置
110 外部サーバ
120 インターネット
121 ローカルネットワーク