(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022186259
(43)【公開日】2022-12-15
(54)【発明の名称】水中モータポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 13/08 20060101AFI20221208BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
F04D13/08 F
F04D29/58 E
F04D29/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094395
(22)【出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】平本 和也
(72)【発明者】
【氏名】黒沼 隆行
(72)【発明者】
【氏名】大石 洋平
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB23
3H130AB42
3H130AC07
3H130AC08
3H130AC10
3H130BA33G
3H130CA21
3H130DC02X
3H130DC20X
3H130DD01Z
3H130DF02X
(57)【要約】
【課題】内蔵したインバータ装置を効果的に冷却できる水中モータポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】水中モータポンプ100は、出力軸11に回転力を与える電動モータ12を収容するモータケース10と、吐出配管24を有し、出力軸11に設けられた第1インペラ21を収容するポンプケース20と、電動モータ12を制御するインバータ装置31を収容するインバータケース30と、を備えている。そして、インバータケース30は、ポンプケース20とモータケース10との間に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸に回転力を与える電動モータを収容するモータケースと、
吐出配管を有し、前記出力軸に設けられた第1インペラを収容するポンプケースと、
前記電動モータを制御するインバータ装置を収容するインバータケースと、を備え、
前記インバータケースは、前記ポンプケースと前記モータケースとの間に配置される
ことを特徴とする水中モータポンプ。
【請求項2】
前記インバータ装置は、前記インバータケースの下部隔壁に接して配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水中モータポンプ。
【請求項3】
前記インバータ装置は、前記インバータケースの上部隔壁及び下部隔壁から離間して配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水中モータポンプ。
【請求項4】
前記出力軸を回転自在にシールするメカニカルシール部と、前記メカニカルシール部を潤滑する潤滑液と、を収容するメカニカルシールケースを備え、
前記インバータケースは、前記メカニカルシールケースと前記モータケースとの間に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水中モータポンプ。
【請求項5】
前記出力軸を回転自在にシールするメカニカルシール部と、前記メカニカルシール部を潤滑する潤滑液と、を収容するメカニカルシールケースを備え、
前記インバータケースは、前記メカニカルシールケースと前記ポンプケースとの間に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水中モータポンプ。
【請求項6】
前記出力軸は、前記メカニカルシールケースの内側に配置され、前記潤滑液を前記インバータケースに向けて流す第2インペラを有する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の水中モータポンプ。
【請求項7】
前記インバータケースは、前記出力軸を回転自在にシールするメカニカルシール部と、前記メカニカルシール部を潤滑する潤滑液と、を収容し、
前記インバータ装置は、前記インバータケースの内側に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水中モータポンプ。
【請求項8】
前記出力軸は、前記インバータケースの内側に配置され、前記潤滑液を前記インバータケースに向けて流す第2インペラを有する
ことを特徴とする請求項7に記載の水中モータポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中モータポンプに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水槽に貯留した汚水、排水又は河川水等の水を排水するため、水槽内に設置されて水に浸かった状態で使用される水中モータポンプがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の水中モータポンプは、制御ユニットの冷却に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、内蔵したインバータ装置を効果的に冷却できる水中モータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
(1)本発明に係る一態様の水中モータポンプは、出力軸に回転力を与える電動モータを収容するモータケースと、吐出配管を有し、前記出力軸に設けられた第1インペラを収容するポンプケースと、前記電動モータを制御するインバータ装置を収容するインバータケースと、を備え、前記インバータケースは、前記ポンプケースと前記モータケースとの間に配置される。
(2)上記(1)において、前記インバータ装置は、前記インバータケースの下部隔壁に接して配置されてよい。
(3)上記(1)において、前記インバータ装置は、前記インバータケースの上部隔壁及び下部隔壁から離間して配置されてよい。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記出力軸を回転自在にシールするメカニカルシール部と、前記メカニカルシール部を潤滑する潤滑液と、を収容するメカニカルシールケースを備え、前記インバータケースは、前記メカニカルシールケースと前記モータケースとの間に配置されてよい。
(5)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記出力軸を回転自在にシールするメカニカルシール部と、前記メカニカルシール部を潤滑する潤滑液と、を収容するメカニカルシールケースを備え、前記インバータケースは、前記メカニカルシールケースと前記ポンプケースとの間に配置されてよい。
(6)上記(4)又は(5)において、前記出力軸は、前記メカニカルシールケースの内側に配置され、前記潤滑液を前記インバータケースに向けて流す第2インペラを有してよい。
(7)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記インバータケースは、前記出力軸を回転自在にシールするメカニカルシール部と、前記メカニカルシール部を潤滑する潤滑液と、を収容し、前記インバータ装置は、前記インバータケースの内側に配置されてよい。
(8)上記(7)において、前記出力軸は、前記インバータケースの内側に配置され、前記潤滑液を前記インバータケースに向けて流す第2インペラを有してよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内蔵したインバータ装置を効果的に冷却できる水中モータポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る水中モータポンプの側面図である。
【
図2】第2実施形態に係る水中モータポンプの側面図である。
【
図3】第3実施形態に係る水中モータポンプの側面図である。
【
図4】第4実施形態に係る水中モータポンプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る水中モータポンプ100を説明する。
図1は、第1実施形態に係る水中モータポンプ100の側面図である。なお、
図1から
図4において、鉛直方向を矢印Z、水平方向を矢印X及び矢印Yで示す。
【0010】
図1に示すように、第1実施形態に係る水中モータポンプ100は、例えば、汚水、排水、又は、河川水等の水を汲み上げるポンプに適用できる。水中モータポンプ100は、通常、水が水位Lまで貯められた水槽の底面Gに載置され、水中に浸かった状態で用いられる。
【0011】
水中モータポンプ100は、出力軸11に回転力を与える電動モータ12を収容するモータケース10と、吐出配管24を有し、出力軸11に設けられた第1インペラ21を収容するポンプケース20と、電動モータ12を制御するインバータ装置31を収容するインバータケース30と、を備えている。なお、水中モータポンプ100の電動モータ12及びインバータ装置31は、適宜、水密性を保ってインバータケース30を貫通する電源ケーブルCを介して不図示の電源に接続されている。
【0012】
モータケース10は、ポンプケース20の上方に設けられている。これにより、水位Lが低下してモータケース10が水槽に貯められた水の水面から露出しても、水中モータポンプ100の運転を継続できる。また、水中モータポンプ100の平面寸法をコンパクトにできる。
モータケース10とポンプケース20との間は、出力軸11を回転自由に軸支した状態でシールされている。
【0013】
モータケース10は、ロータ及びステータを有する電動モータ12を水密的に収容している。電動モータ12は、水中モータポンプ100の外部にある電源に接続されている。また、電動モータ12は、インバータ装置31に接続されている。そして、ステータは、電磁気学的な作用により、ロータに回転力を与える。ロータは、第1インペラ21が設けられた出力軸11と機械的に連結されており、ロータの回転力は出力軸11に伝達される。
【0014】
モータケース10とポンプケース20との間は、出力軸11を回転自由に軸支した状態でシールされている。
【0015】
ポンプケース20は、水槽内に貯められた水の水位Lが低くなっても、水槽に貯められた水に作用して、水中モータポンプ100を機能させるため、水槽の底面Gに載置されている。
ポンプケース20は、吐出配管24と、吸込口22と、を有している。ポンプケース20の内部空間には、出力軸11に設けられた第1インペラ21が収容されている。ポンプケース20は、水槽に貯められた水に浸かっており、水槽の底面Gに接する脚部23を介して支持されている。ポンプケース20は、第1インペラ21によって与えられたエネルギーにより、吸込口22からポンプケース20の内部空間へ水を吸い込み、吸い込まれた内部空間の水を吐出配管24に吐出する。
【0016】
吐出配管24は、ポンプケース20の内部空間の水を吐出する管である。吐出配管24は、一端をポンプケース20に開口し、他端を吸引した水を通す主配管(不図示)に接続している。
【0017】
吸込口22は、水槽に貯められた水を吸い込む開口部である。吸込口22は、下方に向いている。
【0018】
インバータケース30は、内部に、インバータ装置31を収容している。
【0019】
インバータ装置31は、例えば、基板と、基板に搭載されたインバータ回路と、基板に搭載された電源回路と、基板に搭載されたコンデンサ等を有している。
【0020】
ここで、インバータケース30は、ポンプケース20とモータケース10との間に配置されている。すなわち、水槽の底面Gの上にポンプケース20が載置され、そのポンプケース20の上方にインバータケース30が配置され、インバータケース30の上方にモータケース10が配置されている。これにより、第1インペラ21によるポンプケース20の内側の水の流れで、ポンプケース20の上部の隔壁と熱交換できるので、ポンプケース20の上方に配置されたインバータケース30を冷却できる。よって、水中モータポンプ100に内蔵したインバータ装置31を効果的に冷却できる。また、インバータ装置31と電動モータ12との距離を短くできるので、両者の電気配線を短くできる。よって、水中モータポンプ100の構造をコンパクトにできる。
【0021】
また、水中モータポンプ100は、出力軸11を回転自在にシールするメカニカルシール部41と、メカニカルシール部41を潤滑する潤滑液42と、を収容するメカニカルシールケース40を備えていてよい。メカニカルシール部41は、すべり軸受であってよい。メカニカルシール部41は、例えば、合成樹脂製のブッシュであってよい。潤滑液42は、メカニカルシール部41と出力軸11との隙間を潤滑する。これにより、モータケース10とポンプケース20との間のシールを維持しつつ、メカニカルシール部41の摩耗及び過熱を抑制できる。潤滑液42は、メカニカルシールケース40の内側に満たされていることが好ましい。なお、潤滑液42は、例えば、タービンオイルであってよく、絶縁性を有する液状の樹脂であってよい。
【0022】
そして、インバータケース30は、メカニカルシールケース40とモータケース10との間に配置されていてよい。これにより、出力軸11を回転自由に軸支した状態で電動モータ12とポンプケース20との間をシールできるとともに、ポンプケース20の内側を流れる水とインバータケース30に収容されたインバータ装置31とを、インバータケース30に収容された潤滑液42を介して熱交換できる。よって、インバータ装置31を効果的に冷却できる。
【0023】
また、出力軸11は、メカニカルシールケース40の内側に配置され、潤滑液42をインバータケース30に向けて流す第2インペラ43を有してよい。これにより、第2インペラ43によってインバータ装置31に向けて流された潤滑液42は、インバータケース30の下部隔壁30Dと熱交換する。よって、出力軸11の回転を利用して、インバータケース30に収容されたインバータ装置31を効果的に冷却できる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る水中モータポンプ200を説明する。
図2は、第2実施形態に係る水中モータポンプ200の側面図である。なお、第1実施形態に係る水中モータポンプ100と共通する事項については、説明を省略する場合がある。
【0025】
第2実施形態に係る水中モータポンプ200は、第1実施形態に係る水中モータポンプ100と同様に、出力軸11を回転自在にシールするメカニカルシール部41と、メカニカルシール部41を潤滑する潤滑液42と、を収容するメカニカルシールケース40を備えていてよい。
【0026】
ここで、インバータケース30は、メカニカルシールケース40とポンプケース20との間に配置されてよい。これにより、出力軸11を回転自由に軸支した状態で電動モータ12とポンプケース20との間をシールできるとともに、ポンプケース20の内側を流れる水とインバータケース30に収容されたインバータ装置31とをインバータケース30の下部隔壁30Dを介して熱交換でき、メカニカルシールケース40に収容された潤滑液42とインバータケース30に収容されたインバータ装置31とをインバータケース30の上部の隔壁を介して熱交換できる。言い換えると、潤滑液42及びポンプケース20の内側を流れる水により、インバータケース30を上下両側から冷却できる。よって、インバータ装置31を効果的に冷却できる。
【0027】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る水中モータポンプ300を説明する。
図3は、第3実施形態に係る水中モータポンプ300の側面図である。なお、第1実施形態に係る水中モータポンプ100又は第2実施形態に係る水中モータポンプ200と共通する事項については、説明を省略する場合がある。
【0028】
第3実施形態に係る水中モータポンプ300は、第1実施形態に係る水中モータポンプ100又は第2実施形態に係る水中モータポンプ200と異なり、メカニカルシールケース40の機能を兼ねたインバータケース30を備えている。
すなわち、第3実施形態に係る水中モータポンプ300のインバータケース30は、出力軸11を回転自在にシールするメカニカルシール部41と、メカニカルシール部41を潤滑する潤滑液42と、を収容している。そして、インバータ装置31は、インバータケース30の内側に配置されている。これにより、インバータ装置31は、潤滑液42に直接的に接触して熱交換できるので、インバータ装置31を効果的に冷却できる。
【0029】
ここで、インバータ装置31は、インバータケース30の下部隔壁30Dに接して配置されていてよい。これにより、インバータ装置31とポンプケース20の内側の水との熱交換をしやすくできる。インバータ装置31を効果的に冷却できる。
【0030】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る水中モータポンプ400を説明する。
図4は、第4実施形態に係る水中モータポンプ400の側面図である。なお、第1実施形態に係る水中モータポンプ100から第3実施形態に係る水中モータポンプ300と共通する事項については、説明を省略する場合がある。
【0031】
第4実施形態に係る水中モータポンプ400は、第3実施形態に係る水中モータポンプ300と同様に、メカニカルシールケース40の機能を兼ねたインバータケース30を備えている。
【0032】
ここで、インバータ装置31は、インバータケース30の上部隔壁30U及び下部隔壁30Dから離間して配置されていてよい。これにより、インバータ装置31の上下に潤滑液42が循環できるようになるので、インバータ装置31と潤滑液42との熱交換をしやすくできる。よって、インバータ装置31を効果的に冷却できる。
また、出力軸11と撹拌羽根(第2インペラ43)とを、同期させて回転駆動させることにより、潤滑液42を撹拌してインバータ装置31の放熱を促進させることができ、インバータ装置31の冷却に寄与させることができる。
なお、各実施形態に係る水中モータポンプ400は、第2インペラ43を有していなくてもよい。
また、インバータケース30及びメカニカルシールケース40の機能を兼ねて一つのチャンバを有するインバータケース30にまとめた
図3に示す第3実施形態に係る水中モータポンプ300又は
図4に示す第4実施形態に係る水中モータポンプ400によれば、インバータケース30及びメカニカルシールケース40をそれぞれ設けた
図1に示す第1実施形態に係る水中モータポンプ100又は
図2に示す第2実施形態に係る水中モータポンプ200と比べて、インバータケース30とメカニカルシールケース40とを区画する隔壁を有さない分、鉛直方向の寸法(高さ)を短くできる。よって、水中モータポンプ300,400の構造をコンパクトにできる。
【0033】
以上、図面を参照して実施形態について説明したが、本発明は上述のものに限られない。実施形態として挙げられた複数の特徴を、自由に組み合わせてもよい。
【0034】
本実施形態に係る水中モータポンプ100は、出力軸11に回転力を与える電動モータ12を収容するモータケース10と、吐出配管24を有し、出力軸11に設けられた第1インペラ21を収容するポンプケース20と、電動モータ12を制御するインバータ装置31を収容するインバータケース30と、を備えている。そして、インバータケース30は、ポンプケース20とモータケース10との間に配置されている。これにより、第1インペラ21によるポンプケース20の内側の水の流れで、ポンプケース20の上部の隔壁と熱交換できるので、ポンプケース20の上方に配置されたインバータケース30を冷却できる。よって、水中モータポンプ100に内蔵したインバータ装置31を効果的に冷却できる。また、インバータ装置31と電動モータ12との距離を短くできるので、両者の電気配線を短くできる。よって、水中モータポンプ100の構造をコンパクトにできる。
【符号の説明】
【0035】
10 モータケース
11 出力軸
12 電動モータ
20 ポンプケース
21 第1インペラ
22 吸込口
23 脚部
24 吐出配管
30 インバータケース
30D 下部隔壁
30U 上部隔壁
31 インバータ装置
40 メカニカルシールケース
41 メカニカルシール部
42 潤滑液
43 第2インペラ
100,200,300,400 水中モータポンプ
C 電源ケーブル
G 底面
L 水位