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特開2022-187075グリス供給方法及びグリス供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187075
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】グリス供給方法及びグリス供給システム
(51)【国際特許分類】
   F16N 29/00 20060101AFI20221212BHJP
   F16N 7/38 20060101ALI20221212BHJP
   F16N 13/02 20060101ALI20221212BHJP
   F16N 13/10 20060101ALI20221212BHJP
   F16N 21/00 20060101ALI20221212BHJP
   F16N 29/02 20060101ALI20221212BHJP
   F16C 17/24 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F16N29/00 C
F16N7/38 B
F16N13/02
F16N13/10
F16N21/00
F16N29/02
F16C17/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094884
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】酒井 風馬
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豪
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011BA02
3J011KA02
3J011MA23
(57)【要約】
【課題】すべり軸受の耐久性を高めることができるグリス供給方法及びグリス供給システムを提供することを目的とする。
【解決手段】グリス供給方法は、回転軸23と回転軸23のすべり軸受1とのクリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を供給する。グリス供給方法は、クリアランス11と、グリス12をクリアランス11に送出する供給ポンプPとを、チャンバCを途中に設けた供給管Sで連通する。そして、計測したチャンバCの内圧に基づいて、グリス12の供給量を調節する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と前記回転軸のすべり軸受とのクリアランスに充填された既存グリスを置換するグリスを供給するグリス供給方法であって、
前記クリアランスと、前記グリスを前記クリアランスに送出する供給ポンプとを、チャンバを途中に設けた供給管で連通し、
計測した前記チャンバの内圧に基づいて、前記グリスの供給量を調節する
ことを特徴とするグリス供給方法。
【請求項2】
回転軸と前記回転軸のすべり軸受とのクリアランスに充填された既存グリスを置換するグリスを供給するグリス供給システムであって、
前記グリスを前記クリアランスに送出する供給ポンプと、
前記クリアランスと前記供給ポンプとを連通する供給管と、
前記供給管の途中に設けられたチャンバと、
前記チャンバの内圧を計測する圧力計と、
前記供給ポンプを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記内圧に基づいて、前記供給ポンプを制御する
ことを特徴とするグリス供給システム。
【請求項3】
前記供給ポンプは、前記グリスを間欠的に送出する容積式ポンプであり、
前記制御装置は、前記グリスの送出1回当たりの前記内圧の増分が増分閾値を超えないように、送出1回当たりの供給量を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のグリス供給システム。
【請求項4】
前記供給ポンプは、前記グリスを間欠的に送出する容積式ポンプであり、
前記制御装置は、前記グリスの送出1回当たりの前記内圧の最大値が内圧閾値を超えないように、送出1回当たりの供給量を制御する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のグリス供給システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記内圧の増分が増分閾値を超えないように、前記グリスの供給流量を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のグリス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリス供給方法及びグリス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械の多関節フロントの関節部に設けるすべり軸受に間歇的に給脂する建設機械のすべり軸受給脂管理方法があった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-162944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の給脂方法は、温度センサを埋め込んだ特殊なすべり軸受を用いて、すべり軸受の温度を直接検出することを前提とするものであった。
【0005】
本発明は、すべり軸受の耐久性を高めることができるグリス供給方法及びグリス供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
(1)本発明に係る一態様のグリス供給方法は、回転軸と前記回転軸のすべり軸受とのクリアランスに充填された既存グリスを置換するグリスを供給するグリス供給方法であって、前記クリアランスと、前記グリスを前記クリアランスに送出する供給ポンプとを、チャンバを途中に設けた供給管で連通し、計測した前記チャンバの内圧に基づいて、前記グリスの供給量を調節する。
(2)本発明に係る一態様のグリス供給システムは、回転軸と前記回転軸のすべり軸受とのクリアランスに充填された既存グリスを置換するグリスを供給するグリス供給システムであって、前記グリスを前記クリアランスに送出する供給ポンプと、前記クリアランスと前記供給ポンプとを連通する供給管と、前記供給管の途中に設けられたチャンバと、前記チャンバの内圧を計測する圧力計と、前記供給ポンプを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記内圧に基づいて、前記供給ポンプを制御する。
(3)上記(2)において、前記供給ポンプは、前記グリスを間欠的に送出する容積式ポンプであり、前記制御装置は、前記グリスの送出1回当たりの前記内圧の増分が増分閾値を超えないように、送出1回当たりの供給量を制御してよい。
(4)上記(2)又は(3)において、前記供給ポンプは、前記グリスを間欠的に送出する容積式ポンプであり、前記制御装置は、前記グリスの送出1回当たりの前記内圧の最大値が内圧閾値を超えないように、送出1回当たりの供給量を制御してよい。
(5)上記(2)において、前記制御装置は、前記内圧の増分が増分閾値を超えないように、前記グリスの前記供給流量を制御してよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、すべり軸受の耐久性を高めることができるグリス供給方法及びグリス供給システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るグリス供給システムの説明図である。
図2】すべり軸受の説明図である。
図3】すべり軸受の温度とチャンバの内圧との関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、実施形態に係るグリス供給方法及びグリス供給システム100を説明する。図1は、実施形態に係るグリス供給システム100の説明図である。図2は、すべり軸受1の説明図である。図3は、すべり軸受1の温度とチャンバの内圧との関係を表す図である。
【0010】
(グリス供給方法)
図1に示すように、実施形態に係るグリス供給方法は、例えば、重力に逆らって水等の流体を汲み上げる揚水ポンプ等のポンプ200に適用できる。
ポンプ200は、水等の流体が流れる管20と、管20の管軸21に沿って延び、インペラ22を有する回転軸23と、回転軸23を回転させるモータ24を備えている。回転軸23は、すべり軸受1によって回転自由に支持されている。回転軸23とすべり軸受1とのクリアランスには、既存グリスが充填されている。なお、以下、グリスとは、原料基油に、石けん系又は非石けん系の増ちょう剤を分散させて半固体または固体化したものをいう。
【0011】
図1及び図2に示すように、実施形態に係るグリス供給方法は、回転軸23と回転軸23のすべり軸受1とのクリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を供給するものである。そして、グリス供給方法は、まず、クリアランス11と、グリス12をクリアランス11に送出する供給ポンプPとを、チャンバCを途中に設けた供給管Sで連通する。
【0012】
ここで、すべり軸受1の温度とチャンバCの内圧との関係を調べた。
図3は、すべり軸受1の温度とチャンバCの内圧との関係を表す図である。図3において、横軸は、時間t(時間:分:秒)であり、左縦軸は、温度上昇量ΔT(℃)であり、右縦軸はチャンバCの内圧(kPa)である。図3において、太線は、すべり軸受1の温度(クリアランス11に充填されたグリスの温度)を表し、細線は、チャンバCの内圧を表す。
すべり軸受1で支持された回転軸23を一定の回転数で回転させた状態で、すべり軸受1のクリアランス11に充填されたグリスの温度を熱電対で測定し、チャンバCの内圧をブルドン管圧力計で測定した。
容積式ポンプである供給ポンプPによって、まず、送出1回当たりのグリス12の供給量を第1供給量(例えば、200cc)に設定し、0時間12分00秒から送出を開始した(S1)。そして、1時間42分00秒までグリス12を、6分に1回の頻度で、間欠的に送出した(S2)。その後、減圧した(S3)。
次に、送出1回当たりのグリス12の供給量を、第1供給量の2倍となる第2供給量(例えば、400cc)に設定し、2時間12分00秒から送出を開始した(S4)。そして、2時間48分00秒までグリス12を、6分に1回の頻度で、間欠的に送出した(S5)。その後、減圧した(S6)。
この結果、図3に示すように、すべり軸受1の温度とチャンバCの内圧(又は送出1回当たりの内圧の最大値)とは、正の相関性があることが確認できた。また、第1供給量を所定の頻度で供給した場合、第2供給量を同じ頻度で供給した場合と比べて、温度上昇を抑えることができることが確認できた。
このように、既存グリスが充填されたクリアランス11にグリス12を供給する際、すべり軸受1の温度とチャンバCの内圧とは、正の相関性を有することの知見が得られた。したがって、すべり軸受1の温度が大きく上昇しないようにするには、チャンバCの内圧が大きく上昇しないように、グリス12の供給量又は供給流量を調節すればよいことがわかった。
【0013】
そこで、実施形態に係るグリス供給方法は、計測したチャンバCの内圧に基づいて、グリス12の供給量を調節する。例えば、グリス12を供給する際にチャンバCの内圧が高くなる場合、すべり軸受1の温度は高いので、すべり軸受1の温度を所望の温度以下に維持するために、供給ポンプPの送出1回当たりのグリス12の供給量(容積)の小さいものに変える等して、グリス12の供給量を小さくする。
このように、実施形態に係るグリス供給方法では、すべり軸受1の温度と正の相関性を有するチャンバCの内圧に基づいて、グリス12の供給量を調節する。このため、すべり軸受1の温度を直接測定する必要がない。したがって、すべり軸受1を、温度センサを埋設したものにする等、特殊なものにすることがなく、構造を単純にでき、故障リスクを低減できる。また、クリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を適切な量に調節して供給ポンプPにより送出できる。このため、すべり軸受1の温度上昇によって生じる、回転軸23の焼付き、オイルシールの寿命の低下等を含む悪影響を抑制できる。よって、すべり軸受1の耐久性を高めることができるグリス供給方法を提供することができる。
【0014】
グリス12の供給量は、供給ポンプPが容積式ポンプであり、容積式ポンプによる送出1回当たりの容量が定まっている場合、送出回数を時間で除した送出頻度を変えて調節してよい。
グリス12の供給量は、供給ポンプPが容積式ポンプであり、容積式ポンプによる送出頻度が定まっている場合、容積式ポンプによる送出1回当たりの容量を変えて調節してよい。
グリス12の供給量は、供給ポンプPが可変流量式ポンプである場合、グリス12の流量を変えて調節してよい。
【0015】
(グリス供給システム)
次に、実施形態に係るグリス供給システム100について説明する。
図1に示すように、実施形態に係るグリス供給システム100は、例えば、重力に逆らって水等の流体を汲み上げる揚水ポンプ等のポンプ200に適用できる。ポンプ200は、水等の流体が流れる管20と、管20の管軸21に沿って延び、インペラ22を有する回転軸23と、回転軸23を回転させるモータ24を備えている。
【0016】
図1及び図2に示すように、回転軸23は、すべり軸受1で回転自在に支持されている。すべり軸受1は、回転軸23からのラジアル力を受ける。なお、回転軸23は、すべり軸受1で支持されていることに加えて、適宜、すべり軸受1以外の軸受で支持されていてもよい。
【0017】
グリス供給システム100は、図1及び図2に示すように、回転軸23と回転軸23のすべり軸受1とのクリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を供給する。グリス供給システム100は、グリス12をクリアランス11に送出する供給ポンプPと、クリアランス11と供給ポンプPとを連通する供給管Sと、供給管Sの途中に設けられたチャンバCと、チャンバCの内圧を計測する圧力計Bと、供給ポンプPを制御する制御装置30と、を備えている。
【0018】
すべり軸受1は、管20の内部の流路に配置され、管20等に支持されたケーシング13と、ケーシング13の内面に設けられ、回転軸23に対してグリス12が充填された微小なクリアランス11を介して対向するブッシュ14と、ケーシング13の軸方向における両端部と回転軸23との間をシールするシール15と、を備えている。
【0019】
ケーシング13及びブッシュ14は、それぞれ、供給管Sからクリアランス11まで貫通する通孔16を有している。なお、通孔16は、すべり軸受1の周方向に、例えば、等間隔で、複数設けられていてもよい。なお、通孔16が複数ある場合、供給管Sは、それぞれの通孔16に対応して、チャンバCから複数に分岐して設けられていてもよい。
【0020】
すべり軸受1は、上述のような構造となっているので、供給管Sから供給されたグリス12は、図3において矢印で示すように、通孔16を通り、既存グリスをシール15と回転軸23との隙間から押し出し、既存グリスと置換され、クリアランス11に充填される。
【0021】
グリス12は、原料基油に、石けん系又は非石けん系の増ちょう剤を分散させて半固体または固体化したものである。グリス12は、クリアランス11からチャンバCまでの流路に充填されている。
【0022】
供給管Sは、チャンバCとすべり軸受1のケーシング13に設けられた通孔16に連通している。なお、供給管Sは、通孔16の数に応じて、複数有していてよい。供給管Sは、通孔16の数に応じて、複数に分岐されていてよい。
【0023】
チャンバCは、供給管Sの流路と連続する内部空間を有する室である。チャンバCは、供給管Sの途中、すなわち、供給ポンプPとすべり軸受1との間に設けられている。
【0024】
圧力計Bは、チャンバCの内圧を計測する。圧力計Bは、例えば、ブルドン管式圧力計である。圧力計Bは、チャンバCの内圧を計測するので、すべり軸受1のクリアランス11からチャンバCまでの流路に充填されたグリス12の圧力を計測できる。圧力計Bで計測したチャンバCの内圧のデータは、制御装置30に送られる。
【0025】
供給ポンプPは、グリス12をすべり軸受1に供給するポンプである。供給ポンプPは、例えば、容積式ポンプ、非容積式ポンプ又は可変流量式ポンプであってよい。供給ポンプPは、例えば、供給ポンプPの構造(送出1回当たりの供給量に対応する容積等)、供給速度(送出ピッチ、回転数等)を変えることにより、グリス12の供給量又は供給流量を調節できる。供給ポンプPは、グリス12の供給量又は供給流量を制御装置30によって制御できるようになっていてもよい。
【0026】
制御装置30は、供給ポンプPを制御することで、グリス12の供給量又は供給流量を制御する。制御装置30は、メモリ、CPUを有している。メモリには、プログラムに加えて、あらかじめ設定された内圧閾値又は増分閾値が記憶されている。メモリは、圧力計Bで計測された内圧を、所定の時間間隔で一時的に記憶する。制御装置30は、プログラムに従い、メモリから内圧と、内圧閾値又は増分閾値とを呼び出し、内圧と内圧閾値とを比較する。または、制御装置30は、プログラムに従い、メモリから内圧の増分ΔPと増分閾値をと比較する。そして、制御装置30は、比較した結果に基づいて、供給ポンプPを制御する。例えば、内圧が内圧閾値を超える場合、供給ポンプPの駆動を停止して、グリス12の供給を停止する。例えば、内圧が内圧閾値を超えてから、内圧閾値を下回った場合、供給ポンプPを再び駆動して、グリス12の供給を再開する。
【0027】
このように、制御装置30は、チャンバCの内圧に基づいて、供給ポンプPを制御する。
すなわち、実施形態に係るグリス供給システム100では、すべり軸受1の温度と正の相関性を有するチャンバCの内圧に基づいて、制御装置30が供給ポンプPを制御する。このため、すべり軸受1の温度を直接測定する必要がない。したがって、すべり軸受1を、温度センサを埋設したものにする等、特殊なものにすることがなく、構造を単純にでき、故障リスクを低減できる。また、クリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を適切な量に調節して供給ポンプPにより送出できる。このため、すべり軸受1の温度上昇によって生じる、回転軸23の焼付き、オイルシールの寿命の低下等を含む悪影響を抑制できる。よって、すべり軸受1の耐久性を高めることができるグリス供給システム100を提供することができる。
【0028】
供給ポンプPは、グリス12を間欠的に送出する容積式ポンプであってよい。そして、制御装置30は、グリス12の送出1回当たりのチャンバCの内圧の増分ΔP(図3参照)が増分閾値を超えないように、送出1回当たりの供給量を制御してよい。例えば、あらかじめ、増分閾値を20kPaに設定しておき、制御装置30は、チャンバCの内圧の増分がΔPこの増分閾値を超えないように、供給ポンプPによる送出1回当たりのグリス12の供給量を制御する。これにより、すべり軸受1のクリアランス11に、すべり軸受1の温度上昇を抑制しつつ、適切な供給量のグリス12を適切な頻度で供給できる。
【0029】
供給ポンプPは、グリス12を間欠的に送出する容積式ポンプであってよい。そして、制御装置30は、グリス12の送出1回当たりのチャンバCの内圧の最大値Pmax(図3参照)が内圧閾値を超えないように、送出1回当たりの供給量を制御してよい。例えば、あらかじめ、内圧閾値を60kPaに設定しておき、制御装置30は、チャンバCの内圧の最大値Pmaxがこの内圧閾値を超えないように、供給ポンプPによる送出1回当たりのグリス12の供給量を制御する。これにより、すべり軸受1のクリアランス11に、すべり軸受1の温度上昇を抑制しつつ、適切な供給量のグリス12を適切な頻度で供給できる。
【0030】
また、制御装置30は、チャンバCの内圧の増分が増分閾値を超えないように、グリス12の供給流量を制御してよい。ここで、供給流量は、単位時間当たりに供給する供給量である。例えば、あらかじめ、増分閾値を20kPaに設定しておき、制御装置30は、チャンバCの内圧の増分ΔPがこの増分閾値を超えないように、供給ポンプPによるグリス12の供給流量を制御する。これにより、容積式、非容積式、可変容積式等、供給ポンプPの構造に関わらず、すべり軸受1のクリアランス11に、すべり軸受1の温度上昇を抑制しつつ、グリス12を適切な供給流量で供給できる。
【0031】
以上、図面を参照して実施形態について説明したが、本発明は上述のものに限られない。実施形態として挙げられた複数の特徴を、自由に組み合わせてもよい。
【0032】
本実施形態に係るグリス供給方法は、回転軸23と回転軸23のすべり軸受1とのクリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を供給する。グリス供給方法は、クリアランス11と、グリス12をクリアランス11に送出する供給ポンプPとを、チャンバCを途中に設けた供給管Sで連通する。そして、計測したチャンバCの内圧に基づいて、グリス12の供給量を調節する。これにより、すべり軸受1を、温度センサを埋設したものにする等、特殊なものにすることがなく、構造を単純にでき、故障リスクを低減できる。また、クリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を適切な量に調節して供給ポンプPにより送出できる。このため、すべり軸受1の温度上昇によって生じる、回転軸23の焼付き、オイルシールの寿命の低下等を含む悪影響を抑制できる。よって、すべり軸受1の耐久性を高めることができるグリス供給方法を提供することができる。
【0033】
本実施形態に係るグリス供給システム100は、回転軸23と回転軸23のすべり軸受1とのクリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を供給する。グリス供給システム100は、グリス12をクリアランス11に送出する供給ポンプPと、クリアランス11と供給ポンプPとを連通する供給管Sと、供給管Sの途中に設けられたチャンバCと、チャンバCの内圧を計測する圧力計Bと、供給ポンプPを制御する制御装置30と、を備えている。そして、制御装置30は、内圧に基づいて、供給ポンプPを制御する。これにより、すべり軸受1を、温度センサを埋設したものにする等、特殊なものにすることがなく、構造を単純にでき、故障リスクを低減できる。また、クリアランス11に充填された既存グリスを置換するグリス12を適切な量に制御して供給ポンプPにより送出できる。このため、すべり軸受1の温度上昇によって生じる、回転軸23の焼付き、オイルシールの寿命の低下等を含む悪影響を抑制できる。よって、すべり軸受1の耐久性を高めることができるグリス供給システム100を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 軸受
11 クリアランス
12 グリス
13 ケーシング
14 ブッシュ
15 シール
16 通孔
20 管
21 管軸
22 インペラ
23 回転軸
24 モータ
30 制御装置
100 グリス供給システム
200 ポンプ
B 圧力計
C チャンバ
P 供給ポンプ
S 供給管
図1
図2
図3