IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-複合構造回転体 図1
  • 特開-複合構造回転体 図2
  • 特開-複合構造回転体 図3
  • 特開-複合構造回転体 図4
  • 特開-複合構造回転体 図5
  • 特開-複合構造回転体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187141
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】複合構造回転体
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/06 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
F16H55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094994
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】田原 伸一
(72)【発明者】
【氏名】角田 大
【テーマコード(参考)】
3J030
【Fターム(参考)】
3J030AA01
3J030BA01
3J030BB17
3J030BC01
3J030BC08
(57)【要約】
【課題】製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能な複合構造回転体を提供する。
【解決手段】複合構造ギヤ1は、環状の金属製ブッシュ3と、金属製ブッシュ3の周囲に設けられ金属製ブッシュ3と同軸の樹脂製環状部材5と、樹脂製環状部材5の周囲に設けられ金属製ブッシュ3と同軸の金属製環状部材7と、を備える。樹脂製環状部材5は、周方向及び径方向に沿って複数設けられた薄肉部55と、一対の薄肉部55の間に設けられ薄肉部55よりも厚い厚肉部57と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の金属製ブッシュと、
前記金属製ブッシュの周囲に設けられ、前記金属製ブッシュと同軸の樹脂製環状部材と、
前記樹脂製環状部材の周囲に設けられ、前記金属製ブッシュと同軸の金属製環状部材と、を備え、
前記樹脂製環状部材は、
周方向及び/又は径方向に沿って複数設けられた第1肉厚部と、
一対の前記第1肉厚部の間に設けられ、軸方向の厚さが前記第1肉厚部よりも厚い第2肉厚部と、を有する、複合構造回転体。
【請求項2】
前記第2肉厚部は、前記第1肉厚部よりも軸方向に突出するように設けられ、前記金属製ブッシュと同軸の環状厚肉部を含む、請求項1に記載の複合構造回転体。
【請求項3】
前記環状厚肉部は、軸方向から見て、前記金属製ブッシュと前記金属製環状部材との間にて円環状に延びる、請求項2に記載の複合構造回転体。
【請求項4】
前記第2肉厚部は、前記第1肉厚部よりも軸方向に突出するように設けられ、放射状に延びる放射状厚肉部を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の複合構造回転体。
【請求項5】
前記放射状厚肉部は、周方向に等間隔で並ぶように複数設けられ、径方向に沿って延びる、請求項4に記載の複合構造回転体。
【請求項6】
前記樹脂製環状部材は、前記金属製ブッシュと係合する内周部と、前記金属製環状部材と係合する外周部と、を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の複合構造回転体。
【請求項7】
前記樹脂製環状部材における軸方向の一方側又は他方側の何れかにおいて、前記第2肉厚部は、軸方向から見て径方向又は周方向に膨らむように屈曲する曲がり部を含む、請求項1~6の何れか一項に記載の複合構造回転体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合構造回転体に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造回転体に関する技術として、例えば特許文献1に記載された歯車が知られている。特許文献1に記載された歯車は、外周部に歯が形成された金属製環状体(金属製環状部材)と、環状の金属製ブッシュと、金属製環状体と金属製ブッシュとを連結する樹脂製ウェブ(樹脂製環状部材)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-61059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような複合構造回転体部品では、例えば樹脂製環状部材にクラック等の製造不良(成形不良)が生じることを抑制するために、樹脂製環状部材の体積を小さくする場合が考えられる。しかし、樹脂製環状部材の体積が小さくなるほど、金属製環状部材と金属製ブッシュとの間を伝播する振動(以下、単に「振動」ともいう)の減衰性は低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能な複合構造回転体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る複合構造回転体は、環状の金属製ブッシュと、金属製ブッシュの周囲に設けられ、金属製ブッシュと同軸の樹脂製環状部材と、樹脂製環状部材の周囲に設けられ、金属製ブッシュと同軸の金属製環状部材と、を備え、樹脂製環状部材は、周方向及び/又は径方向に沿って複数設けられた第1肉厚部と、一対の第1肉厚部の間に設けられ、軸方向の厚さが第1肉厚部よりも厚い第2肉厚部と、を有する。
【0007】
この複合構造回転体では、第2肉厚部よりも薄い複数の第1肉厚部によって樹脂製環状部材の体積を効果的に小さくし、製造不良の発生を抑制すると共に、第1肉厚部よりも厚い第2肉厚部によって、振動の減衰性が低下し過ぎることを抑制することができる。すなわち、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様に係る複合構造回転体では、第2肉厚部は、第1肉厚部よりも軸方向に突出するように設けられ、金属製ブッシュと同軸の環状厚肉部を含んでいてもよい。本発明の一態様に係る複合構造回転体では、環状厚肉部は、軸方向から見て、金属製ブッシュと金属製環状部材との間にて円環状に延びていてもよい。この場合、環状厚肉部により、振動の減衰性を効果的に高めることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る複合構造回転体では、第2肉厚部は、第1肉厚部よりも軸方向に突出するように設けられ、放射状に延びる放射状厚肉部を含んでいてもよい。本発明の一態様に係る複合構造回転体では、放射状厚肉部は、周方向に等間隔で並ぶように複数設けられ、径方向に沿って延びていてもよい。この場合、放射状厚肉部により、樹脂製環状部材の剛性を効果的に高めることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る複合構造回転体では、樹脂製環状部材は、金属製ブッシュと係合する内周部と、金属製環状部材と係合する外周部と、を有していてもよい。この場合、内周部により樹脂製環状部材を金属製ブッシュと接続すると共に、外周部により樹脂製環状部材を金属製環状部材と接続することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る複合構造回転体では、樹脂製環状部材における軸方向の一方側又は他方側の何れかにおいて、第2肉厚部は、軸方向から見て径方向又は周方向に膨らむように屈曲する曲がり部を含んでいてもよい。この場合、例えば樹脂製環状部材が樹脂成形により得られる場合において、曲がり部の内側の空間を、当該成形の際に突き当てるエジェクタピンの逃げに利用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能な複合構造回転体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る複合構造ギヤの正面図である。
図2図2は、図1の複合構造ギヤの背面図である。
図3図3は、図1のA-A線に沿った断面図である。
図4図4は、第1変形例に係る複合構造ギヤの正面図である。
図5図5は、第2変形例に係る複合構造ギヤの正面図である。
図6図6は、第3変形例に係る複合構造ギヤの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、複合構造ギヤ1の正面図である。図2は、複合構造ギヤ1の背面図である。図3は、図1のA-A線に沿った断面図である。図1図2及び図3に示されるように、複合構造ギヤ1は、樹脂及び金属からなる所謂ハイブリッドギヤであって、例えば車両用及び産業用等のギヤとして用いられる。複合構造ギヤ1は、金属製ブッシュ3と、樹脂製環状部材5と、金属製環状部材7と、を備える。複合構造ギヤ1は、平歯車である。
【0016】
金属製ブッシュ3は、例えば不図示の回転軸に取り付けられる部材である。金属製ブッシュ3は、環状である。金属製ブッシュ3は、例えば、炭素鋼等の金属で形成されている。金属製ブッシュ3には、貫通孔3hが設けられている。貫通孔3hは、金属製ブッシュ3を軸方向に貫通する。貫通孔3hには、回転軸が挿入される。金属製ブッシュ3の外周面には、凸部31が周方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。凸部31は、樹脂製環状部材5に入り込んでいる。凸部31は、金属製ブッシュ3に対する樹脂製環状部材5の回り止め及び抜け防止の機能を有する。
【0017】
樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3と金属製環状部材7との間に設けられている。樹脂製環状部材5は、例えば金属製環状部材7と金属製ブッシュ3との間を伝播する振動を減衰する部材である。振動には、複合構造ギヤ1が他の歯車と噛み合うことで発生する衝撃によるものが含まれる。樹脂製環状部材5は、その弾性変形によって振動を吸収して減衰する。樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3と同軸の環状である。樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3の周囲に設けられている。ここでの樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3の外周面に接するように設けられている。なお、金属製ブッシュ3の周囲に設けられることには、金属製ブッシュ3の周りに接するように設けられることだけでなく、金属製ブッシュ3の周りに他の部材を介して設けられることも含む。
【0018】
樹脂製環状部材5は、樹脂材料により形成される。樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂では、フェノール樹脂、ポリアミノアミド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性樹脂では、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカ―ボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、非晶ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いることができる。樹脂製環状部材5は、樹脂成形手法を用いて製造することができる。樹脂成型手法は特に限定されず、種々の公知手法を用いることができる。樹脂製環状部材5の端面は、金属製ブッシュ3の端面と段差なく連なる。
【0019】
金属製環状部材7は、他の歯車と噛み合う部材である。金属製環状部材7は、金属製ブッシュ3と同軸の環状である。金属製環状部材7は、例えば、炭素鋼等の金属で形成されている。金属製環状部材7は、金属製ブッシュ3の周囲、ひいては、樹脂製環状部材5の周囲に設けられている。ここでの金属製環状部材7は、樹脂製環状部材5の外周面に接するように設けられている。なお、樹脂製環状部材5の周囲に設けられることには、樹脂製環状部材5の周りに直接接するように設けられることだけでなく、樹脂製環状部材5の周りに他の部材を介して設けられることを含む。金属製環状部材7の外周部には、歯形7aが形成されている。歯形7aは、金属製環状部材7の周方向において、所定の間隔をあけて複数形成されている。
【0020】
金属製環状部材7は、金属製ブッシュ3よりも軸方向の厚さ(軸方向における寸法、以下、単に「厚さ」ともいう)が大きい。金属製環状部材7の内周面には、凸部71が周方向に所定の間隔をあけて複数形成されている。凸部71は、樹脂製環状部材5に入り込んでいる。凸部71は、金属製環状部材7に対する樹脂製環状部材5の回り止め及び抜け防止の機能を有する。金属製環状部材7の端面は、樹脂製環状部材5の端面と段差なく連なる。
【0021】
本実施形態の複合構造ギヤ1において、樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3と係合する内周部51と、金属製環状部材7と係合する外周部53と、周方向及び径方向に沿って複数設けられた第1肉厚部としての薄肉部55と、厚さが薄肉部55よりも厚い第2肉厚部としての厚肉部57と、を有する。
【0022】
内周部51は、樹脂製環状部材5の内周側の円筒状の部分であり、金属製ブッシュ3と同じ厚さを有する。内周部51は、金属製ブッシュ3の外周面に当接する。内周部51には、金属製ブッシュ3の凸部31が入り込んでいる。内周部51は、金属製ブッシュ3の外周面に接合されている。
【0023】
外周部53は、樹脂製環状部材5の外周側の円筒状の部分であり、金属製環状部材7と同じ厚さを有する。外周部53は、金属製環状部材7の内周面に当接する。外周部53には、金属製環状部材7の凸部71が入り込んでいる。外周部53は、金属製環状部材7の内周面に接合されている。
【0024】
薄肉部55は、内周部51と外周部53との間に設けられている。薄肉部55は、隣接する厚肉部57により区切られた部分である。薄肉部55は、軸方向から見て、周方向において等間隔で例えば8つ配置されている。薄肉部55は、軸方向から見て、径方向において例えば2つ配置されている。薄肉部55は、軸方向から見て、環状扇形(アーチ形)を呈する。薄肉部55は、厚さが厚肉部57の最小厚さよりも薄い。薄肉部55は、一定の厚さを有する。
【0025】
厚肉部57は、隣接する一対の薄肉部55の間に設けられている。厚肉部57は、内周部51と外周部53との間において薄肉部55よりも軸方向に突出するように設けられている。厚肉部57は、金属製ブッシュ3と同軸の環状厚肉部57aと、放射状に延びる複数の放射状厚肉部57bと、を含む。環状厚肉部57aは、軸方向から見て、金属製ブッシュ3と金属製環状部材7との間の中央にて円環状に延びる。放射状厚肉部57bは、軸方向から見て、径方向に沿って延び、周方向に等間隔で並ぶように複数設けられている。厚肉部57は、径方向外側に行くに連れて厚さが薄くなるように設けられている(図3参照)。厚肉部57の端面は、径方向外側に行くに連れて軸方向の内側に傾く傾斜面である。
【0026】
図1に示されるように、樹脂製環状部材5における軸方向の一方側のみにおいて、厚肉部57は、軸方向から見て径方向外側に膨らむように屈曲する曲がり部57cを含む。曲がり部57cは、環状厚肉部57aにおいて、周方向に隣接する放射状厚肉部57bの間の中央に位置するように複数設けられている。軸方向から見て、曲がり部57cの径方向内側に区画された薄肉部55の端面の領域には、その樹脂成形の際にエジェクタピンが突き当てられた当て面58が形成されている。
【0027】
以上、複合構造ギヤ1では、厚肉部57よりも薄い複数の薄肉部55によって樹脂製環状部材5の体積を効果的に小さくし、製造不良の発生を抑制しながら、薄肉部55よりも厚い厚肉部57によって、振動の減衰性が低下し過ぎることを抑制することができる。すなわち、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能となる。
【0028】
複合構造ギヤ1では、厚肉部57は、薄肉部55よりも軸方向に突出するように設けられた環状厚肉部57aを含む。環状厚肉部57aは、軸方向から見て、金属製ブッシュ3と金属製環状部材7との間にて円環状に延びる。この場合、環状厚肉部57aにより、振動の減衰性を効果的に高めることができる。
【0029】
複合構造ギヤ1では、厚肉部57は、薄肉部55よりも軸方向に突出するように設けられた放射状厚肉部57bを含む。放射状厚肉部57bは、周方向に等間隔で並ぶように複数設けられ、径方向に沿って延びる。この場合、放射状厚肉部57bにより、樹脂製環状部材5の剛性を効果的に高めることができる。
【0030】
複合構造ギヤ1では、樹脂製環状部材5は、金属製ブッシュ3と係合する内周部51と、金属製環状部材7と係合する外周部53と、を有する。この場合、内周部51により樹脂製環状部材5を金属製ブッシュ3と接続すると共に、外周部53により樹脂製環状部材5を金属製環状部材7と接続することができる。
【0031】
複合構造ギヤ1では、樹脂製環状部材5における一端面側(軸方向の一方側)のみにおいて、厚肉部57は曲がり部57cを含む(図1参照)。この場合、樹脂製環状部材5を樹脂成形により成形する場合において、曲がり部57cの内側の空間を、当該成形の際に型から成形品(樹脂製環状部材5)を取り出すために突き当てるエジェクタピンの逃げに利用することができる。
【0032】
複合構造ギヤ1では、薄肉部55及び厚肉部57の存在により、複合構造ギヤ1の一端端面側及び他端面側に複数の凹凸が形成される。このような複数の凹凸により、複合構造ギヤ1が他の歯車と噛み合うことで発生する噛合い音を吸収することも可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0034】
図4は、第1変形例に係る複合構造ギヤ101の正面図である。図4に示されるように、第1変形例に係る複合構造ギヤ101は、放射状厚肉部57bを備えていない点で上記複合構造ギヤ1(図1参照)と異なる。この場合、薄肉部55は、円環状を呈し、径方向に複数設けられる。このような複合構造ギヤ101においても、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能となる。
【0035】
図5は、第2変形例に係る複合構造ギヤ201の正面図である。図5に示されるように、第2変形例に係る複合構造ギヤ201は、環状厚肉部57aを備えていない点で上記複合構造ギヤ1(図1参照)と異なる。この場合、薄肉部55は、環状扇形を呈し、周方向に複数設けられる。このような複合構造ギヤ101においても、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能となる。
【0036】
図6は、第3変形例に係る複合構造ギヤ301の正面図である。図6に示されるように、第3変形例に係る複合構造ギヤ301は、環状厚肉部57aを複数列備える点で上記複合構造ギヤ1(図1参照)と異なる。このように、環状厚肉部57aの数は特に限定されず、複合構造ギヤ301においても、製造不良を抑制することができ、且つ、十分な振動の減衰性を確保することが可能となる。
【0037】
上記実施形態及び変形例では、複合構造ギヤ1が平歯車である形態を一例に説明したが、複合構造ギヤ1は、はすば歯車等であってもよい。上記実施形態及び変形例では、複合構造回転体として、複合構造ギヤ1を説明したが、ギヤに限定されず、例えばフライホイール等であってもよい。上記実施形態及び変形例では、金属製ブッシュ3、樹脂製環状部材5及び金属製環状部材7を円環状としたが、円環状に限定されず、環状であればよい。上記実施形態及び変形例では、樹脂製環状部材5は、複数の部材(ゴム層)により構成されていてもよい。上記実施形態及び変形例では、放射状厚肉部57bの数は限定されず、1つでもよいし複数でもよい。
【0038】
上述した実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した実施形態及び変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1,101,201,301…複合構造ギヤ(複合構造回転体)、3…金属製ブッシュ、5…樹脂製環状部材、7…金属製環状部材、51…内周部、53…外周部、55…薄肉部(第1肉厚部)、57…厚肉部(第2肉厚部)、57a…環状厚肉部、57b…放射状厚肉部、57c…曲がり部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6