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特開2022-187190アジテータ車の洗浄方法、および、アジテータ車用洗浄水
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  • 特開-アジテータ車の洗浄方法、および、アジテータ車用洗浄水 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187190
(43)【公開日】2022-12-19
(54)【発明の名称】アジテータ車の洗浄方法、および、アジテータ車用洗浄水
(51)【国際特許分類】
   B28C 5/42 20060101AFI20221212BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20221212BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B28C5/42
B60P3/16 C
B08B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095073
(22)【出願日】2021-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
【テーマコード(参考)】
3B201
4G056
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201BB87
3B201BB92
4G056AA06
4G056CD44
4G056CD64
(57)【要約】
【課題】ドラム型容器内の生コンクリートを効果的に洗浄することができるアジテータ車の洗浄方法を提供することを課題とする。
【解決手段】生コンクリートを収容するドラム型容器を備えるアジテータ車の洗浄方法であって、ドラム型容器内に洗浄水を供給してドラム型容器を洗浄する洗浄工程を備えており、洗浄水は、炭酸水から構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートを収容するドラム型容器を備えるアジテータ車の洗浄方法であって、
ドラム型容器内に洗浄水を供給してドラム型容器を洗浄する洗浄工程を備えており、
洗浄水は、炭酸水から構成される、
アジテータ車の洗浄方法。
【請求項2】
炭酸水は、二酸化炭素濃度が0.2g/l~1.7g/lである、
請求項1に記載のアジテータ車の洗浄方法。
【請求項3】
洗浄工程は、ドラム型容器内に炭酸水を供給する供給工程と、ドラム型容器内の炭酸水を攪拌する攪拌洗浄工程およびドラム型容器内の炭酸水を攪拌せずに静置する静置洗浄工程の少なくとも一方とを備える、
請求項1または2に記載のアジテータ車の洗浄方法。
【請求項4】
洗浄工程では、ドラム型容器内の炭酸水の体積がドラム型容器の容積に対して12%以上となるようにドラム型容器に炭酸水を供給する、
請求項1~3の何れか一項に記載のアジテータ車の洗浄方法。
【請求項5】
ドラム型容器内から、炭酸水と生コンクリートとの混合水を排出する排出工程をさらに備えており、
該排出工程は、洗浄工程と並行して、または、洗浄工程の後に、行う、
請求項1~4の何れか一項に記載のアジテータ車の洗浄方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のアジテータ車の洗浄方法でドラム型容器に供給する洗浄水であって、
炭酸水から構成される、
アジテータ車用洗浄水。
【請求項7】
二酸化炭素濃度が0.2g/l~1.7g/lである、
請求項6に記載のアジテータ車用洗浄水。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートを運搬するアジテータ車の洗浄方法、および、該洗浄方法で用いるアジテータ車用洗浄水に関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリートを運搬するアジテータ車は、生コンクリートを収容するためのドラム型容器を備える。斯かるアジテータ車では、ドラム型容器から生コンクリートを排出した後、ドラム型容器内に残る生コンクリートを、固化する前に洗浄する必要がある。ドラム型容器内に残る生コンクリートを洗浄する方法としては、特許文献1に記載のように、ドラム型容器内に水道水等を供給する方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002-541005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような洗浄方法では、ドラム型容器内の生コンクリートを効果的に洗浄することができないため、より効果的な洗浄方法が要求されている。
【0005】
そこで、本発明は、ドラム型容器内の生コンクリートを効果的に洗浄できるアジテータ車の洗浄方法、および、アジテータ車用洗浄水を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアジテータ車の洗浄方法は、生コンクリートを収容するドラム型容器を備えるアジテータ車の洗浄方法であって、ドラム型容器内に洗浄水を供給してドラム型容器を洗浄する洗浄工程を備えており、洗浄水は、炭酸水から構成される。
【0007】
炭酸水は、二酸化炭素濃度が0.2g/l~1.7g/lであってもよい。
【0008】
洗浄工程は、ドラム型容器内に炭酸水を供給する供給工程と、ドラム型容器内の炭酸水を攪拌する攪拌洗浄工程およびドラム型容器内の炭酸水を攪拌せずに静置する静置洗浄工程の少なくとも一方とを備えてもよい。
【0009】
洗浄工程では、ドラム型容器内の炭酸水の体積がドラム型容器の容積に対して12%以上となるようにドラム型容器に炭酸水を供給してもよい。
【0010】
本発明に係るアジテータ車の洗浄方法は、ドラム型容器内から、炭酸水と生コンクリートとの混合水を排出する排出工程をさらに備えてもよく、該排出工程は、洗浄工程と並行して、または、洗浄工程の後に、行ってもよい。
【0011】
本発明に係るアジテータ車用洗浄水は、上記のアジテータ車の洗浄方法でドラム型容器に供給する洗浄水であって、炭酸水から構成される。
【0012】
アジテータ車用洗浄水は、二酸化炭素濃度が0.2g/l~1.7g/lであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、ドラム型容器内の生コンクリートを効果的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に係るアジテータ車の洗浄方法で洗浄するアジテータ車の概略を示した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において同一又は相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0016】
本実施形態に係るアジテータ車の洗浄方法は、図1に示すように、生コンクリートを収容するドラム型容器1を備えるアジテータ車10を洗浄するものである。ドラム型容器1は、収容された生コンクリートを攪拌可能である。具体的には、ドラム型容器1は、内側に、生コンクリートを攪拌する攪拌装置(例えば、らせん状の攪拌翼等)(図示せず)を備える。また、ドラム型容器1は、軸線Lを軸に、回転可能である。これにより、ドラム型容器1は、回転することで、収容された生コンクリートを攪拌することができる。ドラム型容器1の容積としては、特に限定されず、例えば、2.5m~10mであってもよく、6m~10mであってもよい。
【0017】
生コンクリートは、流動性を有するものである。また、生コンクリートは、少なくとも粗骨材と細骨材と水とが混練されて形成されるものであってもよく、少なくとも細骨材と水とが混練されて形成されるものであって粗骨材を含まないもの(所謂、モルタル)であってもよい。
【0018】
セメントとしては、特に限定されず、市場で入手できる種々のセメントを用いることができる。具体的には、セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、シリカセメント及びフライアッシュセメント等の各種混合セメントが挙げられる。また、他のセメントとしては、例えば、白色ポルトランドセメント、アルミナセメントが挙げられる。また、さらに他のセメントとしては、例えば、カルシウムアルミネート系、カルシウムサルフォアルミネート系、カルシウムフルオロアルミネート系等の超速硬セメントが挙げられる。そして、セメントとしては、上記の各セメントの一つを用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
【0019】
粗骨材は、5mmのふるい目を通過しないものが85質量%以上となるサイズのものを用いることができる。具体的には、粗骨材としては、砂岩砕石、玉砂利(川砂利)、天然軽量粗骨材(パーライト、ヒル石等)、副産軽量粗骨材、人工軽量粗骨材、再生骨材等が挙げられる。セメントに対する粗骨材の使用量としては、特に限定されるものではなく、例えば、180質量%以上210質量%以下であってもよく、190質量%以上200質量%以下であってもよい。
【0020】
細骨材は、10mmのふるい目をすべて通過し、5mmのふるい目を通過するものが85質量%以上となるサイズのものを用いることができる。具体的には、細骨材としては、山砂、川砂、陸砂、及び、海砂等の天然砂や、砂岩,石灰岩等を人工的に破砕して形成された砕砂(より詳しくは、石灰砕砂等)が挙げられる。セメントに対する細骨材の使用量としては、特に限定されるものではなく、例えば、100質量%以上300質量%以下であってもよく、150質量%以上250質量%以下であってもよい。
【0021】
なお、上記の粗骨材及び細骨材のサイズは、JIS A 1102に従う骨材のふるい分け試験方法によって測定されるもので、JIS Z 8801-1の試験用ふるい目を表したものである。
【0022】
また、生コンクリートに含まる他の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、繊維材(ガラス繊維、鋼繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維、炭素繊維等)、混和材(高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、膨張材等)、混和剤(減水剤、増粘剤、消泡剤等)等が挙げられる。
【0023】
水としては、特に限定されず、例えば、一般的な上水道水を用いることができる。また、水は、例えば、モルタルやコンクリートを混練する際に使用する減水剤等の混和剤、ポリマーディスパージョン液、収縮低減剤、凝結調整剤等を含むものであってもよい。
【0024】
本実施形態に係るアジテータ車の洗浄方法は、ドラム型容器1内に洗浄水を供給してドラム型容器1を洗浄する洗浄工程を備える。該洗浄工程で用いる洗浄水(アジテータ車用洗浄水)は、炭酸水から構成される。炭酸水の二酸化炭素濃度(ドラム型容器1への供給時の二酸化炭素濃度)としては、特に限定されず、例えば、0.2g/l~1.7g/lであることが好ましく、0.9g/l~1.7g/lであることがより好ましい。炭酸水の二酸化炭素濃度は、下記実施例に記載の方法で測定することができる。また、洗浄工程は、ドラム型容器1内の炭酸水の体積(以下では、「ドラム内炭酸水量」とも記す)がドラム型容器1の容積に対して、好ましくは12%以上、より好ましくは35%以上となるように、ドラム型容器1に炭酸水(アジテータ車用洗浄水)を供給して行うことが好ましい。また、ドラム内炭酸水量としては、ドラム型容器1に収容可能な生コンクリートの最大量(最大積載量)に対して25%以上であってもよく、70%以上であってもよい。
【0025】
炭酸水の作製方法としては、特に限定されず、例えば、上水道水に二酸化炭素を吹き込む方法、地下水に二酸化炭素を吹き込む方法、および、生コンクリートの製造工場で発生する回収水に二酸化炭素を吹き込む方法等が挙げられる。回収水は、生コンクリートを収容する設備を洗浄した際に生じる洗浄廃水から粗骨材および細骨材を除いたものである。また、回収水としては、セメントから溶出した水酸化カルシウム等を含み、アルカリ性が比較的高いもの(具体的には、pH10~12であるもの)を用いることができる。また、回収水は、セメント等の固形分を含むスラッジ水であってもよく、スラッジ水から固形分を除去した上澄水であってもよい。炭酸水を作製する際に用いる二酸化炭素としては、例えば、市販されたもの、各種工場(例えば、セメント工場、生コンクリート工場、コンクリート製品の製造工場等)の設備(例えば、ボイラー設備等)で発生するガスに含まれるもの等が挙げられる。炭酸水の作製は、例えば、後述する供給工程の直前に行うことが好ましい。
【0026】
また、洗浄工程は、ドラム型容器1内に炭酸水(アジテータ車用洗浄水)を供給する供給工程を備える。また、洗浄工程は、ドラム型容器1内の炭酸水(アジテータ車用洗浄水)を攪拌する攪拌洗浄工程、および、ドラム型容器内の炭酸水を攪拌せずに静置する静置洗浄工程の少なくとも一方を備える。
【0027】
供給工程は、アジテータ車10が備えるホッパー2から炭酸水(アジテータ車用洗浄水)をドラム型容器1内に供給することで行うことができる。供給工程では、ドラム内炭酸水量が上記の範囲となるように、ドラム型容器1内に炭酸水(アジテータ車用洗浄水)を供給することが好ましい。
【0028】
攪拌洗浄工程は、ドラム型容器1を回転させることで行うことができる。また、攪拌洗浄工程は、ドラム内炭酸水量が上記の範囲で行うことが好ましい。攪拌洗浄工程を行う時間としては、特に限定されず、例えば、30秒~120秒であってもよく、30秒~60秒であってもよい。また、攪拌洗浄工程は、ドラム型容器1の内部を目視で確認し、内部における生コンクリートの付着状況(例えば、付着が無いこと)を確認することで終了するか継続するかを判断することが好ましい。攪拌洗浄工程は、供給工程と並行して行ってもよく、供給工程後に行ってもよい。なお、洗浄工程におけるドラム型容器1の回転とは、軸線Lを軸にドラム型容器1を、一方向へ1回転以上させることであってもよく、360°未満の所定角度だけ一方向へ回転させることであってもよい。また、ドラム型容器1の回転は、一方向への回転と逆方向への回転とを交互に行うことであってもよい。
【0029】
静置洗浄工程は、ドラム型容器1を、所定時間、回転させないことで行うことができる。また、静置洗浄工程は、ドラム内炭酸水量が上記の範囲で行うことが好ましい。静置洗浄工程を行う時間としては、特に限定されず、例えば、30秒~180秒であってもよく、30秒~90秒であってもよい。静置洗浄工程は、ドラム型容器1の内部を目視で確認し、内部における生コンクリートの付着状況(例えば、付着が無いこと)を確認することで終了するか継続するかを判断することが好ましい。静置洗浄工程は、供給工程と並行して行ってもよく、供給工程後に行ってもよい。また、静置洗浄工程は、複数回行うことが好ましい。具体的には、最初に静置洗浄工程を行った後、ドラム型容器1を360°未満の角度(例えば、45°や180°等)で回転させて、その後、再度静置洗浄工程を行うようにしてもよい。つまり、ドラム型容器1内の炭酸水が静置洗浄工程を行う毎にドラム型容器1の内部の異なる領域に接触するように、静置洗浄工程を複数回行うことが好ましい。
【0030】
洗浄工程では、攪拌洗浄工程および静置洗浄工程のどちらか一方を1回のみ行ってもよく、攪拌洗浄工程および静置洗浄工程を交互に1回以上行ってもよい。攪拌洗浄工程と静置洗浄工程とを交互に行う場合としては、例えば、最初に攪拌洗浄工程を行った後、静置洗浄工程を行う場合、最初に静置洗浄工程を行った後、攪拌洗浄工程を行う場合等が挙げられる。
【0031】
本実施形態に係るアジテータ車の洗浄方法は、ドラム型容器1内から、炭酸水(アジテータ車用洗浄水)と生コンクリートとの混合水を排出する排出工程を備えてもよい。排出工程は、アジテータ車10が備えるシュート3を介して行うことができる。また、排出工程は、洗浄工程後に行ってよく、洗浄工程と並行して行ってもよい。排出工程を洗浄工程と並行して行う場合としては、供給工程後に攪拌洗浄工程または静置洗浄工程を行いつつ排出工程を行う場合、または、供給工程と、攪拌洗浄工程または静置洗浄工程とを行いつつ排出工程を行う場合が挙げられる。また、排出工程を洗浄工程と並行して行う場合、洗浄工程は、ドラム内炭酸水量を上記の範囲に維持しつつ行うことが好ましい。
【0032】
以上のように、本実施形態に係るアジテータ車の洗浄方法およびアジテータ車用洗浄水によれば、ドラム型容器内の生コンクリートを効果的に洗浄することができる。
【0033】
即ち、ドラム型容器1内に洗浄水として炭酸水を供給してドラム型容器1を洗浄する洗浄工程を備えることで、ドラム型容器1内の生コンクリートを効果的に洗浄することができる。
【0034】
また、炭酸水の二酸化炭素濃度が上記の範囲であることで、ドラム型容器1内の生コンクリートをより効果的に洗浄することができる。
【0035】
また、ドラム型容器1内の炭酸水を攪拌する攪拌洗浄工程、および、ドラム型容器1内の炭酸水を攪拌せずに静置する静置洗浄工程の少なくとも一方を備えることで、ドラム型容器1内の生コンクリートをより効果的に洗浄することができる。具体的には、攪拌洗浄工程を行う場合、炭酸水中に二酸化炭素の気泡が比較的多く生じる。このため、斯かる気泡の作用によって、ドラム型容器1の内部に付着した生コンクリートがドラム型容器1から剥がれ易くなる。これにより、ドラム型容器1内の生コンクリートをより効果的に洗浄することができる。また、静置洗浄工程を行う場合、ドラム型容器1の所定箇所において炭酸水との接触時間を比較的長く確保できる。このため、炭酸水(アジテータ車用洗浄水)の作用によって、ドラム型容器1の内部に付着した生コンクリートがドラム型容器1から剥がれ易くなる。これにより、ドラム型容器1内の生コンクリートをより効果的に洗浄することができる。
【0036】
また、ドラム型容器1内の炭酸水の体積がドラム型容器1の容積に対して、上記の割合となるようにドラム型容器1に炭酸水を供給することで、ドラム型容器1内の生コンクリートをより効果的に洗浄することができる。
【0037】
なお、本発明に係るアジテータ車の洗浄方法およびアジテータ車用洗浄水は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、他の各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、ドラム型容器1は、内側に攪拌装置(例えば、らせん状の攪拌翼等)を備えるが、これに限定されず、攪拌装置を備えないものであってもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、ドラム型容器1は、回転可能であるが、これに限定されず、例えば、回転しないものであってもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、供給工程は、ホッパー2から炭酸水(アジテータ車用洗浄水)をドラム型容器1内に供給することで行うが、これに限定されるものではない。また、上記実施形態では、排出工程は、シュート3を介して行うが、これに限定されるものではない。例えば、生コンクリートの収容空間を外側に開放する開口部(図示せず)をドラム型容器1が備える場合、該開口部から炭酸水をドラム型容器1内に供給することで供給工程を行ってもよい。また、斯かる開口部から炭酸水(アジテータ車用洗浄水)と生コンクリートとの混合水を排出することで排出工程を行ってもよい。
【実施例0041】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0042】
<モルタル材料>
・セメント:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)
・細骨材:静岡県掛川産陸砂
・増粘剤:マーポローズM-4000(松本油脂社製)
・水:水道水
<洗浄水>
・水:水道水
・模擬回収水:生コンクリートを製造したミキサ、実験器具を洗浄した排水の上澄水(pH11)
・炭酸水1:水道水に炭酸ガスを吹き込んで作製したもの。
・炭酸水2:模擬回収水に炭酸ガスを吹き込んで作製したもの。
【0043】
<モルタル試料の作製>
下記表1の配合で、モルタル試料を作製した。
【0044】
【表1】
【0045】
<静置洗浄効果の確認>
(1)1000mlのプラスティック製の容器に、上記のモルタル試料を600g投入し、容器を上下に20回振とうさせ、容器の内面にモルタル試料を付着させた。
(2)その後、容器に付着していないモルタル試料を除去した。
(3)そして、モルタル試料の付着前の容器の質量と、モルタル試料の付着後の容器の質量との差から、モルタル試料の付着量(洗浄前付着量A)を算出した。
(4)モルタル試料が付着した容器を満たすように洗浄水を注ぎ込み、60秒間静置した(静置洗浄工程)。
(5)静置洗浄工程後、洗浄水とモルタル試料との混合水を容器内から排出した(排出工程)。
(6)そして、モルタル試料の付着前の容器の質量と、排出工程後の容器の質量との差から、モルタル試料の付着量(洗浄後付着量B)を算出した。そして、下記式(1)より、除去率を算出した。炭酸水の二酸化炭素濃度、洗浄前付着量A、洗浄後付着量B、および、除去率は、下記表2に示す。なお、炭酸水の二酸化炭素濃度は、島津製作所社製TOC計を用い、無機炭素量からCO量に換算して求めた。

除去率(%)=1-(洗浄後付着量B/洗浄前付着量A)×100・・・(1)
【0046】
<攪拌洗浄効果の確認>
(1)1000mlのプラスティック製の容器に、上記のモルタル試料を600g投入し、容器を上下に20回振とうさせ、容器の内面にモルタル試料を付着させた。
(2)その後、容器に付着していないモルタル試料を除去した。
(3)そして、モルタル試料の付着前の容器の質量と、モルタル試料の付着後の容器の質量との差から、モルタル試料の付着量(洗浄前付着量A)を算出した。
(4)モルタル試料が付着した容器に500mlの洗浄水を注ぎ込み、所定の回数(3,5,10回)上下に振とうすることで洗浄水を攪拌した(攪拌洗浄工程)。
(5)攪拌置洗浄工程後、洗浄水とモルタル試料との混合水を容器内から排出した(排出工程)。
(6)そして、モルタル試料の付着前の容器の質量と、排出工程後の容器の質量との差から、モルタル試料の付着量(洗浄後付着量B)を算出した。そして、上記式(1)より、除去率を算出した。炭酸水の二酸化炭素濃度、洗浄前付着量A、洗浄後付着量B、および、除去率は、下記表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
<まとめ>
上記の表2を見ると、静置洗浄では、各実施例の方が各比較例よりも除去率が高いことが認められる。また、攪拌洗浄では、各実施例と各比較例の振とう回数が同一のものを比較すると、各実施例の方が除去率が高いことが認められる。つまり、本発明のように、アジテータ車の洗浄において、ドラム型容器に炭酸水を供給して洗浄することで、ドラム型容器内の生コンクリートを効果的に洗浄することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ドラム型容器、2…ホッパー、3…シュート、10…アジテータ車、L…軸線
図1