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特開2022-188199GPR6のテトラヒドロピリドピラジンモジュレーター
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  • 特開-GPR6のテトラヒドロピリドピラジンモジュレーター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188199
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】GPR6のテトラヒドロピリドピラジンモジュレーター
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20221213BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/15 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/435 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/13 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/616 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/603 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/433 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20221213BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C07D471/04 120
C07D471/04 CSP
A61K31/4985
A61K45/00
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/30
A61P43/00 111
A61K31/198
A61K31/15
A61K31/353
A61K31/435
A61K31/381
A61K31/428
A61K31/4045
A61K31/13
A61K31/53
A61K31/616
A61K31/415
A61K31/196
A61K31/603
A61K31/407
A61K31/192
A61K31/405
A61K31/137
A61K31/553
A61K31/496
A61K31/135
A61K31/5513
A61K31/343
A61K31/5415
A61K31/55
A61K31/5517
A61K31/433
A61K31/4015
A61K31/195
A61K31/40
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160819
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2019563277の分割
【原出願日】2018-06-15
(31)【優先権主張番号】62/520,430
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/591,247
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/649,856
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/672,261
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェイソン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒッチコック,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】キクチ,ショウタ
(72)【発明者】
【氏名】モネスチェイン,ホルガ―
(72)【発明者】
【氏名】リチャード,ホーリー
(72)【発明者】
【氏名】シュライヒャー,クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】サン,フイカイ
(72)【発明者】
【氏名】マックリン,トッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Gタンパク質共役受容体6(GPR6)に関連する疾患、傷害および病状を治療するための化合物、それらを含有する組成物を提供する。
【解決手段】式1の化合物およびその医薬的に許容される塩を開示する。本開示はまた、式1の化合物を調製するための材料および方法、それを含有する医薬組成物、ならびにGPR6に関連する疾患、障害および病状を治療するためのその使用に関する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
20%鏡像体過剰率(ee)と同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項3】
40%eeと同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項4】
60%eeと同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項5】
80%eeと同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項6】
90%eeと同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項7】
98%eeと同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項8】
99%eeと同等またはそれ以上の鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項9】
100%eeに等しい鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項10】
前記化合物が遊離形態として存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項11】
(a)請求項1~10のいずれか一項に規定されるような化合物または医薬的に許容される塩;および
(b)医薬的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項12】
薬剤として使用するための、請求項11に規定されるような医薬組成物。
【請求項13】
パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される疾患、障害または病状の治療に使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
被検体における疾患、障害または病状を治療する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に規定される化合物または医薬的に許容される塩を被検体に投与すること
を含む方法。
【請求項15】
前記疾患、障害または病状が、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物が、約40mg/kg~約60mg/kgの用量で投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物または医薬的に許容される塩が、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約45mg/kg~約55mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約55mg/kg~約65mg/kgおよび約60mg/kg~約70mg/kgからなる群から選択される範囲内の用量で投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物または医薬的に許容される塩が、約50mg/kgの用量で投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項19】
前記投与工程が経口で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
請求項11に規定されるような医薬組成物および少なくとも1つの更なる薬理活性剤を含む併用療法。
【請求項21】
前記更なる薬理活性剤が、レボドパ、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン作動薬、抗コリン作動薬、選択的モノアミンオキシダーゼB阻害剤およびカテコールO-メチルトランスフェラーゼ阻害剤からなる群から選択される、請求項20に記載の併用療法。
【請求項22】
前記更なる薬理活性剤がアマンタジンである、請求項21に記載の併用療法。
【請求項23】
前記更なる薬理活性剤が、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤と組み合わせたレボドパである、請求項21に記載の併用療法。
【請求項24】
前記更なる薬理活性剤が、カルビドパ、ベンセラジド、メチルドパ、α-ジフルオロメチル-DOPA、3’,4’,5,7-テトラヒドロキシ-8-メチルイソフラボン、塩酸アポモルフィン、ブロモクリプチン、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、トリヘキフェニジル、メシル酸ベンズトロピン、サフィナミド、セレジリン、ラサギリン、エンタカポンおよびトルカポンからなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項25】
前記更なる薬理活性剤が、β-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)からなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項26】
前記非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が、アパゾン、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック(ミソプロストール含有および非含有)、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸コリンおよびマグネシウム、サルサレート、ならびにスリンダクからなる群から選択される、請求項25に記載の併用療法。
【請求項27】
前記更なる薬理活性剤が、ドネペジル、リバスチグミン、メマンチンおよびガランタミンからなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項28】
前記更なる薬理活性剤が、鎮痛剤、催眠薬、抗不安薬、抗精神病薬および精神安定剤からなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項29】
前記更なる薬理活性剤が、アミトリプチリン、アモキサピン、アリピプラゾール、アセナピン、ブプロピオン、クロルジアゼポキシ、シタロプラム、クロルプロマジン、クロザピン、デシプラミン、デスベンラファキシン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、イロペリドン、イミプラミン、イソカルボキサジド、ラモトリジン、レボミルナシプラン、ルラシドン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、オランザピン、パリペリドン、パロキセチン、ペルフェナジ、フェネルジン、プロトリプチリン、クエチアピン、リスペリドン、サフィナミド、セレギリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、ビラゾドン、ボルチオキセチンおよびジプラシドンからなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項30】
前記更なる薬理活性剤が、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバゼパム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラム、ヒドロキシジン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、およびゾピクロン、およびブスピロンからなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項31】
前記更なる薬理活性剤が、アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリジン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリンおよびゾニサミドからなる群から選択される、請求項21に記載の併用療法。
【請求項32】
被検体におけるパーキンソン病を治療する方法であって、
(a)請求項11に定義されるような医薬組成物を被検体に投与すること
を含む方法。
【請求項33】
前記化合物の投与が前記被検体の運動障害を改善する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記投与工程が経口で行われる、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1~10のいずれか一項に規定されるような化合物または医薬的に許容される塩および医薬的に許容される賦形剤を含む剤形であって、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約45mg/kg~約55mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約55mg/kg~約65mg/kgおよび約60mg/kg~約70mg/kgからなる群から選択される範囲内の用量での前記化合物または医薬的に許容される塩の経口投与に適合される、剤形。
【請求項36】
前記用量が約40mg/kg~約60mg/kgの範囲内である、請求項35に記載の剤形。
【請求項37】
前記用量が50mg/kgである、請求項35に記載の剤形。
【請求項38】
前記用量が、35mg/kg、36mg/kg、37mg/kg、38mg/kg、39mg/kg、40mg/kg、41mg/kg、42mg/kg、43mg/kg、44mg/kg、45mg/kg、46mg/kg、47mg/kg、48mg/kg、49mg/kg、50mg/kg、51mg/kg、52mg/kg、53mg/kg、54mg/kg、55mg/kg、56mg/kg、57mg/kg、58mg/kg、59mg/kg、60mg/kg、61mg/kg、62mg/kg、63mg/kg、64mg/kgおよび65mg/kgからなる群から選択される、請求項35に記載の剤形。
【請求項39】
被検体のGPR6に関連する疾患、疾病または病状を治療する方法であって、請求項1~10のいずれか一項に規定されるような有効量の式1の化合物またはその医薬的に許容される塩を被検体に投与することを含む方法。
【請求項40】
前記式1の化合物またはその医薬的に許容される塩が経口投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
薬剤として使用するための、請求項1~10のいずれか一項に規定されるような化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項42】
GPR6に関連する疾患、疾病または病状の治療用薬剤の製造に使用するための、請求項1~10のいずれか一項に規定されるような化合物または医薬的に許容される塩。
【請求項43】
前記疾患、疾病または病状が、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される、請求項41または42に規定されるような化合物または医薬的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年6月15日に出願された米国仮特許出願第62/520,430号、2017年11月28日に出願された米国仮特許出願第62/591,247号、2018年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/649,856号および2018年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/672,261号に対する優先権を主張するものであり、それら各々の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、Gタンパク質共役受容体6(GPR6)のモジュレーターであるテトラヒドロピリドピラジン誘導体、それらを含有する医薬組成物、およびGPR6に関連する疾患、傷害および病状を治療するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
GPR6は、膜貫通受容体のGタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーメンバーである。GPR6は、Gタンパク質(Gs)経路を介してシグナル伝達する。GPR6は、中枢神経系(CNS)、特に線条体の中型有棘ニューロン(MSN)で高度に発現し、周辺組織で最小の発現を呈する。ドーパミン作動性神経支配の主要な線条体標的は、線条体淡蒼球系(間接)および線条体黒質(直接)出力経路のMSNにある。直接出力経路のMSNはD1ドーパミン受容体を発現し、一方で、間接経路におけるMSNはD2受容体を発現する。GPR6は線条体のD2受容体発現MSNにおいて富化され、ここではGPR6活性が、D2受容体シグナル伝達に機能的に反対する細胞内第二メッセンジャーcAMPのレベルを増加させる。Gs共役GPR6の拮抗作用または逆作動性(inverse agonism)は、MSNにおけるcAMPを減少させ、故にD2受容体のドーパミン介在性活性化に対する機能的代替策となる。
【0004】
WO2015/095728A1(その全内容を参照により本明細書に援用する)には、GPR6のモジュレーターである多数のテトラヒドロピリドピラジン誘導体が記載されている。これらの化合物には、(S)-1-(2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-3-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-7,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-6(5H)-イル)エタン-1-オン(「化合物A」)が含まれる。化合物Aは、潜在的に有効なGPR6モジュレーターであるが、hERG(ヒト遅延整流性カリウムイオンチャンネル遺伝子)活性の阻害に対する次善の安全なマージンを有する。例えば、X. Yao et al., British Journal of Pharmacology(2008) 154:1446-56を参照のこと。hERGの阻害は、潜在的なQT間隔延長および不整脈に関連する1つの要因である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、テトラヒドロピリドピラジン誘導体およびそれを含有する医薬組成物を提供する。テトラヒドロピリドピラジン誘導体は、GPR6モジュレーターであり、パーキンソン病などの神経障害を含めた、GPR6に関連する疾患、傷害および病状を治療するために使用することができる。
【0006】
本発明の1つの態様は、式1:
【化1】

の化合物およびその医薬的に許容される塩を提供する。式1は、化合物(R)-1-(2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-3-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-7,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-6(5H)-イル)エタン-1-オンを表す。
【0007】
特定実施形態において、式1の化合物または医薬的に許容される塩は、20%鏡像体過剰率(ee)以上、40%ee以上、60%ee以上、80%ee以上、90%ee以上、98%ee以上、99%ee以上、または100%eeの鏡像体純度を有する。特定実施形態において、当該化合物は遊離形態として存在する。
【0008】
本発明の更なる態様は、本明細書に記載されるような式1の化合物またはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明の更なる態様は、薬剤として使用するための、本明細書に記載されるような式1の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。特定実施形態において、当該医薬組成物は、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病の治療において使用するためのものである。特定実施形態において、当該医薬組成物は更にアマンタジンを含む。本発明の別の態様は、GPR6に関連する疾患、傷害または病状の治療として使用するための当該医薬組成物を提供する。
【0010】
本明細書に記載される本発明の様々な実施形態は、本明細書に記載されるような式1の化合物またはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。特定実施形態において、当該医薬組成物は薬剤として使用するためのものである。特定実施形態において、当該医薬組成物の使用は、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される疾患、傷害または病状の治療である。
【0011】
本発明の更なる態様は、GPR6に関連する疾患、傷害または病状の治療用薬剤を製造するための、式1の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。特定実施形態において、当該疾患、傷害または病状は、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される。
【0012】
本発明の更なる態様は、有効量の本明細書に記載されるような式1の化合物またはその医薬的に許容される塩を被検体に投与することを含む、GPR6に関連する疾患、傷害または病状を治療する方法を提供する。特定実施形態において、当該式1の化合物またはその医薬的に許容される塩は、経口投与される。
【0013】
本発明の別の態様は、有効量の当該式1の化合物またはその医薬的に許容される塩を被検体に投与することを含む、当該被検体における疾患、傷害または病状を治療する方法であって、当該疾患、傷害または病状が、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病から選択される、方法を提供する。
【0014】
特定実施形態において、本明細書に記載される当該方法において投与される当該式1の化合物またはその医薬的に許容される塩は、約0.1mg/kg~約1.0mg/kgまたは約0.5mg/kg~約5.0mg/kgの範囲から選択される用量で投与される。特定実施形態において、当該化合物または医薬的に許容される塩は、約40mg/kg~約60mg/kgの範囲内の用量で投与される。特定実施形態において、本明細書に記載される方法において投与される当該式1の化合物またはその医薬的に許容される塩は、約5mg/kg~約15mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約15mg/kg~約25mg/kg、約20~約30mg/kg、約25mg/kg~約35mg/kg、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kgおよび約45mg/kg~約55mg/kgからなる群における範囲から選択される用量で投与される。特定実施形態において、当該用量は、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約45mg/kg~約55mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約55mg/kg~約65mg/kgおよび約60mg/kg~約70mg/kgからなる群から選択される範囲内である。特定実施形態において、当該用量は約50mg/kgであり得る。特定実施形態において、当該用量は約1mg/kg以上であり得る。特定実施形態において、当該用量は約1mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は、約50mg/kg~約100mg/kg、約100mg/kg~約150mg/kg、約150mg/kg~約200mg/kg、約200mg/kg~約250mg/kg、約250mg/kg~約350mg/kg、約300mg/kg~約350mg/kg、約350mg/kg~約400mg/kg、約400mg/kg~約450mg/kg、約450mg/kg~約500mg/gからなる群から選択される範囲内である。特定実施形態において、当該用量は約500mg/kgである。あるいは、当該用量は500mg/kg未満である。
【0015】
特定実施形態において、当該用量は35mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は36mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は37mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は38mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は39mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は40mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は41mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は42mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は43mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は44mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は45mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は46mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は47mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は48mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は49mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は50mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は51mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は52mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は53mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は54mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は55mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は56mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は57mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は58mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は59mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は60mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は61mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は62mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は63mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は64mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は65mg/kgである。特定実施形態において、当該投与工程は経口で行われる。
【0016】
本発明の更なる態様は、有効量の当該医薬組成物および少なくとも1つの更なる薬理活性剤を含む併用療法を提供する。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、レボドパ、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン作動薬、抗コリン作動薬、選択的モノアミンオキシダーゼB阻害剤およびカテコールO-メチルトランスフェラーゼ阻害剤からなる群から選択される。他の実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤と組み合わせたレボドパである。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、カルビドパ、ベンセラジド、メチルドパ、α-ジフルオロメチル-DOPA、3’,4’,5,7-テトラヒドロキシ-8-メチルイソフラボン、塩酸アポモルフィン、ブロモクリプチン、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、トリヘキフェニジル、メシル酸ベンズトロピン、サフィナミド、セレジリン、ラサギリン、エンタカポンおよびトルカポンからなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、β-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)からなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、アパゾン、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック(ミソプロストール含有および非含有)、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸コリンおよびマグネシウム、サルサレート、ならびにスリンダクからなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、ドネペジル、リバスチグミン、メマンチンおよびガランタミンからなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、鎮痛剤、催眠薬、抗不安薬、抗精神病薬および精神安定剤からなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、当該更なる薬理活性剤は、アミトリプチリン、アモキサピン、アリピプラゾール、アセナピン、ブプロピオン、クロルジアゼポキシ、シタロプラム、クロルプロマジン、クロザピン、デシプラミン、デスベンラファキシン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、イロペリドン、イミプラミン、イソカルボキサジド、ラモトリジン、レボミルナシプラン、ルラシドン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、オランザピン、パリペリドン、パロキセチン、ペルフェナジ、フェネルジン、プロトリプチリン、クエチアピン、リスペリドン、サフィナミド、セレギリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、ビラゾドン、ボルチオキセチンおよびジプラシドンからなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバゼパム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラム、ヒドロキシジン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、およびゾピクロン、およびブスピロンからなる群から選択される。特定実施形態において、当該更なる薬理活性剤は、アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリジン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリンおよびゾニサミドからなる群から選択される。
【0017】
本明細書中の発明の様々な実施形態は、本明細書に定義されるような医薬組成物を被験体に投与することを含む、当該被験体におけるパーキンソン病を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、当該医薬組成物の投与は、被検体の運動症状を改善する。特定実施形態において、当該投与工程は経口で行われる。
【0018】
本明細書中の発明の様々な実施形態は、約0.1mg/kg~約1.0mg/kgまたは約0.5mg/kg~約5.0mg/kgからなる群における範囲から選択される用量での式1の化合物またはその医薬的に許容される塩の経口投与に適合される、当該化合物またはその医薬的に許容される塩の剤形を提供する。特定実施形態において、当該化合物または医薬的に許容される塩は、約40mg/kg~約60mg/kgの範囲内の用量で投与される。特定実施形態において、当該式1の化合物またはその医薬的に許容される塩は、約5mg/kg~約15mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約15mg/kg~約25mg/kg、約20~約30mg/kg、約25mg/kg~約35mg/kg、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kgおよび約45mg/kg~約55mg/kgからなる群の範囲から選択される用量である。特定実施形態において、当該用量は、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約45mg/kg~約55mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約55mg/kg~約65mg/kgおよび約60mg/kg~約70mg/kgからなる群から選択される範囲内である。特定実施形態において、当該用量は約50mg/kgであり得る。特定実施形態において、当該用量は約1mg/kg以上であり得る。特定実施形態において、当該用量は約1mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は、約50mg/kg~約100mg/kg、約100mg/kg~約150mg/kg、約150mg/kg~約200mg/kg、約200mg/kg~約250mg/kg、約250mg/kg~約350mg/kg、約300mg/kg~約350mg/kg、約350mg/kg~約400mg/kg、約400mg/kg~約450mg/kg、約450mg/kg~約500mg/gからなる群から選択される範囲内である。特定実施形態において、当該用量は約500mg/kgである。あるいは、当該用量は500mg/kg未満である。
【0019】
特定実施形態において、当該用量は35mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は36mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は37mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は38mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は39mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は40mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は41mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は42mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は43mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は44mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は45mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は46mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は47mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は48mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は49mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は50mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は51mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は52mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は53mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は54mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は55mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は56mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は57mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は58mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は59mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は60mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は61mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は62mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は63mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は64mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は65mg/kgである。
【0020】
前述および他の目的、特徴および利点は、添付の図面に示されるように、本発明の特定実施形態の以下の説明から明らかであろう。図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ、本発明の様々な実施形態の原理を例証することに重点を置いている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】パーキンソン病の6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)モデルに対する治療の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願はWO2015/095728に関するものであり、その全内容を参照により本明細書に援用する。
【0023】
I.定義
別段の指示がない限り、本開示では以下に提供される定義が使用される。
【0024】
「約」または「およそ」は、測定可能な数値変数と関連して用いられる際、変数の示す値を指し、示す値の実験誤差内または示す値の±10パーセント以内のいずれか大きい方である変数のすべての値を指す。
【0025】
「鏡像体過剰率」または「ee」は、全体のパーセンテージとして表される、一方の鏡像体の他方の鏡像体に対する過剰率を指し、鏡像体を含有するサンプルの鏡像体(キラル)純度の尺度である。例えば、サンプルが過剰なR鏡像体を含有する場合、eeは以下の式から決定することができる:
【数1】

式中、AおよびAは、サンプルにおけるRおよびS鏡像体の量である。
【0026】
「併用療法」は、2つ以上の物理療法モダリティを包含する疾患、傷害または病状を治療するためのアプローチを指す。例えば、当該物理療法モダリティは、2つ以上の医薬組成物もしくは医薬活性剤、またはその組み合わせであってもよい。物理療法モダリティを、同時に、順にまたは任意の順序で投与してもよい。物理療法モダリティを、異なる投薬量で、異なる投薬頻度で、または異なる経路を介して(それらのうち、いずれか好適なもの)投与してもよい。物理療法モダリティのモル比は、特に制限されない。
【0027】
「運動症状」は、パーキンソン病などのGPR6に関連する疾患、傷害および病状を伴う被検体において生じる活性の低下を指す。
【0028】
「実質的に純粋な鏡像体」およびその変形は、90%ee以上でサンプルに存在する鏡像体を指す。
【0029】
「純粋な鏡像体」およびその変形は、98%ee以上でサンプルに存在する鏡像体を指す。
【0030】
「被検体」は、ヒトを含めた哺乳動物を指す。
【0031】
「医薬的に許容される」物質は、被検体への投与に適する物質を指す。
【0032】
「治療する」は、このような用語が適用される疾患、傷害または病状を逆転させる、緩和する、その進行を阻害する、または予防すること、またはこのような疾患、傷害または病状の1つ以上の症状を逆転させる、緩和する、その進行を阻害する、または予防することを指す。
【0033】
「治療」は、直前に定義されるような「治療する」行為を指す。
【0034】
「薬物」、「薬物物質」、「活性医薬成分」などは、治療を必要とする被験体を治療するために使用し得る化合物(例えば、式1の化合物)を指す。
【0035】
薬物の「有効量」、薬物の「治療的有効量」などは、被験体を治療するために使用され得る薬物の量を指し、とりわけ、被検体の体重および年齢ならびに投与経路に応じて変化し得る。
【0036】
「賦形剤」は、薬物のための任意の希釈剤またはビヒクルを指す。
【0037】
「医薬組成物」は、1つ以上の薬物物質と1つ以上の賦形剤との組み合わせを指す。
【0038】
「薬物製品」、「医薬剤形」、「剤形」、「最終剤形」などは、治療を必要とする被検体を治療するのに適した医薬組成物を指し、一般には、粉末もしくは顆粒、溶液または懸濁液を含有する錠剤、カプセル、サシェ、パッチ、フィルム剤などの形態であってもよい。
【0039】
「GPR6と関連する病状」および同様の句は、GPR6の拮抗作用または逆作動性を含めた、調節GPR6が治療的または予防的利益を与え得る被検体の疾患、傷害または病状を指す。
【0040】
明細書中で下記の略語を使用することができる。Ac(アセチル);ACN(アセトニトリル);AIBN(アゾ-ビス-イソブチロニトリル);API(活性医薬成分);aq(水性);BINAP(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル);Boc(tert-ブトキシカルボニル);Cbz(カルボベンジルオキシ);dba(ジベンジリデンアセトン);DCC(1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド);DCE(1,1-ジクロロエタン);DCM(ジクロロメタン);DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ヒューニッヒ塩基);DMA(N,N-ジメチルアセタミド);DMAP(4-ジメチルアミノピリジン);DME(1,2-ジメトキシエタン);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);dppf(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン);DTT(ジチオトレイトール);EC50(半最大応答での有効濃度);EDA(エトキシル化ドデシルアルコール、BRIJ(登録商標)35);EDC(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);ee(鏡像体過剰率);eq(当量);Et(エチル);EtN(トリエチルアミン);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);HATU(2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(V));HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸);HOAc(酢酸);HOBt(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール);IC50(50%阻害濃度);IPA(イソプロパノール);iPrOAc(酢酸イソプロピル);IPE(イソプロピルエーテル);Ki(阻害定数;リガンドが存在しない場合、受容体の50%を占める競合アッセイにおける競合リガンドの濃度);LDA(リチウムジイソプロピルアミド);LiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド);mCPBA(m-クロロ過安息香酸);Me(メチル);MeOH(メタノール);MTBE(メチルtert-ブチルエーテル);mp(融点);NaOt-Bu(ナトリウムt-ブトキシド);NMM(N-メチルモルホリン);NMP(N-メチル-ピロリドン);OTf(トリフラート);PE(石油エーテル);Ph(フェニル);pEC50(-log10(EC50)、ここで、EC50はモル(M)単位で表す);pIC50(-log10(IC50)、ここで、IC50はモル(M)単位で表す);Pr(プロピル);c-Pr(シクロプロピル);i-Pr(イソプロピル);PTFE(ポリテトラフルオロエチレン);RT(室温;およそ20℃~25℃);T3P(2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-三酸化物);TCEP(tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン);TFA(トリフルオロ酢酸);TFAA(2,2,2-トリフルオロ酢酸無水物);THF(テトラヒドロフラン);TMEDA(N,N,N,N-テトラメチルエタン-1,2-ジアミン);TMS(トリメチルシリル);およびTris緩衝液(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール緩衝液)。
【0041】
II.本発明の化合物
以下に記載されるように、本開示は、式1の化合物およびその医薬的に許容される塩に関する。本開示はまた、式1の化合物を調製するための材料および方法、それを含有する医薬組成物、ならびにパーキンソン病を含めたCNSの疾患、傷害または病状およびGPR6と関連する他の疾患、傷害または病状を治療するための、当該式1の化合物およびその医薬的に許容される塩の(場合により他の薬理活性剤と組み合わせた)使用に関する。
【0042】
式1の化合物は、塩、錯体、溶媒和物、水和物および液晶として存在し得る。同様に、式1の化合物の塩は、錯体、溶媒和物、水和物および液晶として存在し得る。
【0043】
式1の化合物は、医薬的に許容される塩を形成し得る。これらの塩には酸付加塩(二酸を含む)および塩基塩が含まれる。医薬的に許容される酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無機酸に由来する塩、および有機酸に由来する無毒の塩、例えば、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸など。このような塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラメート、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオネート、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプチル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ピログルタメート、サッカレート、ステアレート、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシレート、トリフルオロ酢酸塩およびキシノホ酸塩を挙げることができる。
【0044】
医薬的に許容される塩基塩としては、塩基に由来する塩、例えば、金属カチオン(アルカリまたはアルカリ土類金属カチオン)およびアミンを挙げることができる。好適な金属カチオンの例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛およびアルミニウムを挙げることができる。好適なアミンの例としては、アルギニン、N、N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、グリシン、リジン、N-メチルグルカミン、オラミン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチルプロパン-1,3-ジオールおよびプロカインを挙げることができる。有用な酸付加塩および塩基塩の考察のために、S. M. Berge et al., J. Pharm. Sci.(1977) 66:1-19;およびStahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use(2002)(その全内容を参照により本明細書に援用する)も参照のこと。
【0045】
医薬的に許容される塩は、様々な方法を用いて調製することができる。例えば、式1の化合物を適切な酸または塩基と反応させて所望の塩を取得してもよい。あるいは、式1の化合物の前駆体を酸または塩基と反応させて酸もしくは塩基不安定保護基を除去するか、または前駆体のラクトンもしくはラクタム基を開環してもよい。更に、適切な酸もしくは塩基での処理またはイオン交換樹脂との接触により、式1の化合物の塩を別の塩(または遊離形態)に変換してもよい。反応後、塩が溶液から沈殿している場合には、濾過により塩を単離してもよいし、または蒸発により塩を回収してもよい。塩のイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで様々であり得る。
【0046】
式1の化合物は、完全な非晶性から完全な結晶性までの固体状態の連続体で存在してもよい。「非晶性」という用語は、材料が、分子レベルで長距離秩序がない状態を指し、これは、温度に応じて、固体または液体の物理的性質を呈し得る。典型的に、このような材料は、特有のX線回析パターンをもたらさず、固体の特性を呈するものの、より正式には液体と表現される。加熱すると、固体特性から液体特性への変化が起こり、これは、典型的には二次の状態変化(「ガラス転移」)を特徴とする。「結晶性」という用語は、材料が、分子レベルで規則正しい秩序のある内部構造を有し、ピークが明確な特有のX線回析パターンをもたらす固相を指す。このような材料も、十分に加熱すると、液体の特性を示すが、固体から液体への変化は、典型的には一次の相変化(「融点」)を特徴とする。
【0047】
式1の化合物はまた、非溶媒和形態および溶媒和形態で存在してもよい。「溶媒和物」という用語は、当該化合物と、1つ以上の医薬的に許容される溶媒分子(例えば、エタノール)とを含む分子錯体を意味する。「水和物」という用語は、溶媒が水である溶媒和物である。医薬的に許容される溶媒和物としては、溶媒が同位体で置換され得るものを含む(例えば、DO、アセトン-d、DMSO-d)。
【0048】
有機化合物の溶媒和物および水和物について現在容認されている分類システムは、隔離部位(isolated site)、チャンネルならびに金属イオン配位溶媒和物および水和物を識別するものである。例えば、K.R.Morris(H.G.Brittain ed.) Polymorphism in Pharmaceutical Solids(1995)(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。隔離部位溶媒和物および水和物は、溶媒(例えば、水)分子が、介在する有機化合物の分子により互いとの直接接触から隔離されているものである。チャンネル溶媒和物の場合、溶媒分子は、これらが他の溶媒分子に隣接している格子チャンネル内にある。金属イオン配位溶媒和物では、溶媒分子は、金属イオンと結合している。
【0049】
溶媒または水が緊密に結合している場合、錯体は、湿度とは独立に明確な化学量論を有する。しかしながら、チャンネル溶媒和物および吸湿性化合物のように、溶媒または水が弱く結合していると、水または溶媒含有量は、湿度および乾燥状態に応じて変動する。このような場合、一般に、非化学量論が認められるであろう。
【0050】
式1の化合物はまた、当該化合物(薬物)と、少なくとも1つの他の成分が化学量論的または非化学量論的量で存在する多成分錯体(塩および溶媒和物以外)として存在してもよい。この種の錯体としては、クラスレート(薬物ホスト包接錯体)および共結晶が挙げられる。後者は、典型的に、非共有結合性相互作用により互いに結合している中性分子成分の結晶性錯体として定義されるが、中性分子と塩の錯体であってもよい。共結晶は、溶融結晶化により、溶媒からの再結晶により、または成分を一緒に物理的に粉砕することにより、調製することができる。例えば、O.Almarsson and M.J.Zaworotko, Chem. Commun.(2004) 17:1889-1896(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。多成分錯体の一般論については、J.K.Haleblian, J. Pharm. Sci.(1975) 64(8):1269-88(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0051】
好適な条件に供した場合、式1の化合物は、中間状態(中間相または液晶)としても存在し得る。中間状態は、真の結晶状態と真の液体状態(融液もしくは溶液のいずれか)の間にある。温度変化の結果として発生する中間状態は、「サーモトロピック」と称され、水もしくは別の溶媒などの第2の成分の添加によって生じる中間状態は、「リオトロピック」と記載される。リオトロピック中間相を形成する可能性を有する化合物は、「両親媒性」と記載され、極性イオン性部分(例えば、-COONa、-COO、-SO Na)または極性非イオン性部分(例えば、-N(CH)を有する分子を含む。例えば、N.H.Hartshorne and A.Stuart, Crystals and the Polarizing Microscope(4th ed, 1970)(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0052】
式1の化合物は、多形として存在してもよく、同位体で標識してもよいし、プロドラッグの投与から生成されるか、または投与後に代謝物を形成し得る。
【0053】
「プロドラッグ」は、薬理活性がほとんどまたは全くないが、インビボで代謝されると、所望の薬理活性を有する化合物に変換され得る化合物を指す。プロドラッグは、薬理活性化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、H.Bundgaar,Design of Prodrugs(1985)(その全内容を参照により本明細書に援用する)に記載されているような「プロ部分(pro-moieties)」で置き換えることにより調製することができる。プロドラッグの例としては、カルボン酸、ヒドロキシまたはアミノ官能基をそれぞれ有する、式1の化合物のエステル、エーテルまたはアミド誘導体が挙げられる。プロドラッグについての更なる考察のために、例えば、T.Higuchi and V.Stella “Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” ACS Symposium Series 14(1975)およびE.B.Roche ed., Bioreversible Carriers in Drug Design(1987)(それらの全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0054】
「代謝物」は、薬理活性化合物を投与するとインビボで形成される化合物を指す。例としては、メチル、アルコキシ、第三級アミノ、第二級アミノ、フェニルおよびアミド基をそれぞれ有する、式1の化合物のヒドロキシメチル、ヒドロキシ、第二級アミノ、第一級アミノ、フェノールおよびカルボン酸誘導体が挙げられる。
【0055】
式1の化合物は、様々な同位体を有していてもよく、少なくとも1つの原子が、原子数は同じであるが、天然に通常存在する原子質量とは異なる原子質量を有する原子により置き換えられている。式1の化合物への組込みに適する同位体としては、例えば、HおよびHなどの水素の同位体;11C、13Cおよび14Cなどの炭素の同位体;13Nおよび15Nなどの窒素の同位体;15O、17Oおよび18Oなどの酸素の同位体;18Fなどのフッ素の同位体が挙げられる。同位体変種(例えば、重水素、H)を用いることにより、優れた代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増大または必要投薬量の低減によって特定の治療上の利点を得ることができる。更に、開示する化合物のある同位体変種は、放射性同位体(例えば、トリチウム、H、または14C)を含んでもよく、これは、薬物および/または組織基質分布研究において有用となりうる。11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放射同位体による置換は、基質受容体占有率を調べるためのポジトロン断層法(PET)試験において有用となりうる。同位体標識化合物は、非標識試薬の代わりに、適切な同位体標識試薬を用いて、本開示の他所に記載されるものと類似の方法により調製することができる。
【0056】
III.本発明の組成物の作成方法
式1の化合物は、以下の技術を用いて調製することができる。スキームおよび実施例のあるものについては、有機化学の当業者には公知である、酸化、還元などの一般的反応、分離方法(抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、研和、結晶化など)、ならびに解析手順の詳細を省く場合もある。このような反応および技術の詳細は、多数の論文に見出すことができ、このような論文としては、以下のものが挙げられる:Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations(1999)およびthe multi-volume series edited by Michael B. Smith and others, Compendium of Organic Synthetic Methods(1974 et seq.)(それらの全内容を参照により本明細書に援用する)。出発材料および試薬は、市販のものから入手してもよいし、文献に記載の方法を用いて調製してもよい。反応スキームの中には、化学的変換により生成された微量の生成物(例えば、エステルの加水分解からのアルコール、二酸の脱カルボン酸からのCO)を無視してよいものもある。更に、場合によっては、反応中間物を単離または精製せずに(すなわち、インサイチュで)次の工程で用いてもよい。
【0057】
反応スキームおよび以下の実施例の一部において、特定の化合物は、保護基を用いて調製してもよく、これにより、そうでなければ反応性である部位における望ましくない化学的反応を防ぐ。また、保護基は、化合物の溶解度を高めるか、または、その物理的性質を改変するために用いてもよい。保護基戦略の考察、保護基を導入および除去するための材料および方法の記載、ならびに、アミン、カルボン酸、アルコール、ケトン、アルデヒドなどの一般的官能基に有用な保護基についての資料については、T. W. Greene and P.G. Wuts;Protective Groups in Organic Chemistry;3rd edition;John Wiley & Sons, Inc.;New York(1999)およびP. Kocienski, Protective Groups, Georg Thieme, Stuttgart(2000)(それらの全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0058】
一般に、本明細書全体を通して記載される化学変換は、実質的に化学量論的量の反応体を用いて実施してもよいが、反応によっては、過剰量の1つ以上の反応体を用いることによって利益を得るものもある。更に、本明細書全体を通して記載される反応の多くは、ほぼ室温(RT)および周囲圧力で実施してよいが、反応動力学、収率などに応じて、反応によっては、より高い圧力で実施するか、またはより高い温度(例えば、還流条件)もしくはより低い温度(例えば、-78℃~0℃)を使用する場合もある。本開示および特許請求の範囲において、化学量論範囲、温度範囲、pH範囲などについての言及には、「範囲」という単語を明確に用いているか否かにかかわらず、表示した終点も含まれる。
【0059】
大半の化学変換はまた、1つ以上の相溶性溶媒も使用してもよく、これは、反応速度および収率に影響を与え得る。反応体の性質に応じて、1つ以上の溶媒は、極性プロトン性溶媒(水を含む)、極性非プロトン性溶媒、非極性溶媒、またはある組合せであってもよい。代表的な溶媒として、以下のものが挙げられる:飽和脂肪族炭化水素(例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン);ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、三塩化炭素);脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、ブタン-1-オール、2-メチル-プロパン-1-オール、ブタン-2-オール、2-メチル-プロパン-2-オール、ペンタン-1-オール、3-メチル-ブタン-1-オール、ヘキサン-1-オール、2-メトキシ-エタノール、2-エトキシ-エタノール、2-ブトキシ-エタノール、2-(2-メトキシ-エトキシ)-エタノール、2-(2-エトキシ-エトキシ)-エタノール、2-(2-ブトキシ-エトキシ)-エタノール);エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジ-イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシ-エタン、1,2-ジエトキシ-エタン、1-メトキシ-2-(2-メトキシ-エトキシ)-エタン、1-エトキシ-2-(2-エトキシ-エトキシ)-エタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン);ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン);エステル(酢酸メチル、酢酸エチル);窒素含有溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N-メチル-ピロリドン、ピリジン、キノリン、ニトロベンゼン);イオウ含有溶媒(例えば、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロ-チオフェン-1,1-ジオキシド):ならびにリン含有溶媒(例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド)。
【0060】
IV.製剤および投与
式1の化合物(その医薬的に許容される錯体、塩、溶媒和物および水和物を含む)は、適切な剤形および投与経路を選択するために、溶解度およびpHによる溶液安定性、透過性などの生物製剤特性を評価すべきである。医薬用途を目的とする化合物は、結晶性または非晶性製品として投与してもよく、例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾燥、マイクロ波乾燥、または高周波乾燥などの方法により、固体プラグ、粉末、もしくはフィルム剤として得ることもできる。
【0061】
式1の化合物は、単独で、または1つ以上の薬理活性化合物と組み合わせて投与してもよい。一般に、これら化合物の1つ以上は、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を伴う医薬組成物(製剤)として投与される。賦形剤の選択は、とりわけ、具体的な投与モード、溶解度および安定性への賦形剤の影響、剤形の性質に応じて異なる。有用な医薬組成物およびその調製方法は、例えばA. R. Gennaro(ed.), Remington: The Science and Practice of Pharmacy(20th ed., 2000)に見出すことができる。
【0062】
式1の化合物は、経口投与してもよい。経口投与は、嚥下を伴うものでもよく、その場合、化合物は、胃腸管を介して血流に進入する。あるいは、または加えて、経口投与は、化合物が口腔粘膜を介して血流に進入するような粘膜投与(例えば、口腔、舌下、舌上投与)を伴うものであってもよい。
【0063】
経口投与に好適な製剤としては、固体、半固体および液体系、例えば、錠剤;マルチ-またはナノ粒子、液体、もしくは粉末を含有する軟質もしくは硬質カプセル;液体が充填され得るロゼンジ;チュアブル錠(chews);ゲル;速分散性剤形;フィルム剤;オビュール剤(ovules);スプレー剤;および口腔もしくは粘膜付着性パッチが挙げられる。液体製剤としては、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。このような製剤は、軟質または硬質カプセル(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースから製造される)中の充填剤として用いてもよく、典型的には、担体(例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または好適な油)と、1つ以上の乳化剤、懸濁剤またはその両方とを含む。液体製剤は、固体(例えば、サシェから)の再構成によって調製することもできる。
【0064】
式1の化合物は、Liang and Chen, Expert Opinion in Therapeutic Patents(2001) 11(6):981-986(その全内容を参照により本明細書に援用する)において記載されているものなどの速溶性、速崩壊性の剤形で使用することもできる。
【0065】
錠剤剤形の場合、用量に応じて、活性薬成分(API)は、剤形の約1重量%~約80重量%、より典型的には剤形の約5重量%~約60重量%を構成し得る。APIに加えて、錠剤は、1つ以上の崩壊剤、結合剤、希釈剤、界面活性剤、滑剤、潤滑剤、酸化防止剤、着色料、香味料、防腐剤および矯味剤を含有し得る。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、C1~6アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の約1重量%~約25重量%、または約5重量%~約20重量%を構成することになる。
【0066】
結合剤は、一般に、錠剤製剤に粘着性を付与するために使用される。好適な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥した一水和物、無水物)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物などの希釈剤を含有していてもよい。
【0067】
錠剤はまた、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに、二酸化ケイ素およびタルク等の滑剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、存在する場合、錠剤の約0.2重量%~約5重量%を占め、滑剤は、錠剤の約0.2重量%~約1重量%を構成し得る。
【0068】
錠剤は更に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物等の潤滑剤を含有していてもよい。潤滑剤は、錠剤の約0.25重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約3重量%を構成し得る。
【0069】
錠剤配合物を直接、またはローラ圧縮により圧縮して、錠剤を形成することができる。あるいは、錠剤配合物または配合物の一部分を、湿式、乾式もしくは溶融顆粒化、溶融凝固または押出した後、錠剤化してもよい。必要に応じて、配合の前に、1つ以上の成分を、スクリーニングもしくはミル粉砕またはその両方によってサイズ分けすることができる。最終剤形は、1つ以上の層を含んでいてもよく、コーティングされていても、コーティングされていなくても、またはカプセル化されていてもよい。例示的な錠剤は、最大約80重量%のAPI、約10重量%~約90重量%の結合剤、約0重量%~約85重量%の希釈剤、約2重量%~約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%~約10重量%の潤滑剤を含有し得る。配合、顆粒化、ミル粉砕、スクリーニング、錠剤成形、コーティング、ならびに別の製薬方法の考察のためには、A. R. Gennaro(ed.), Remington: The Science and Practice of Pharmacy(20th ed., 2000);H. A. Lieberman et al.(ed.), Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1-3(2d ed., 1990);およびD.K.Parikh & C.K.Parikh, Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology, Vol. 81(1997)(それらの全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0070】
ヒトまたは動物用の消費可能な経口フィルム剤は、柔軟な水溶性または吸水膨潤性の薄膜剤形であり、これは、速溶性または粘膜付着性であってもよい。APIに加えて、典型的フィルム剤は、1つ以上のフィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調節剤および溶媒を含む。他のフィルム成分としては、酸化防止剤、着色料、香味料および調味料、防腐剤、唾液分泌促進剤、冷却剤、共溶媒(油など)、エモリエント剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤および矯味剤が挙げられる。製剤の成分の中には、2つ以上の機能を果たすものがあり得る。
【0071】
投薬要件に加えて、フィルム剤中のAPIの量は、その溶解度に応じて変動し得る。水溶性であれば、APIは、典型的には、フィルム剤中の非溶媒成分(溶質)の約1重量%~約80重量%またはフィルム剤中の溶質の約20重量%~約50重量%を構成する。溶解度が低いAPIは、組成物のより大きな割合、典型的には、フィルム剤中の非溶媒成分の最大約88重量%を構成し得る。
【0072】
フィルム形成ポリマーは、天然の多糖、タンパク質、または合成ヒドロコロイドから選択してよく、典型的には、フィルム剤の約0.01重量%~約99重量%または約30重量%~約80重量%を構成する。
【0073】
フィルム剤形は、典型的には、剥離可能な支持体または紙にコーティングした薄い水性膜を蒸発乾燥させることにより調製されるが、これは、乾燥オーブンもしくはトンネル乾燥機(例えば、コーティング-乾燥複合器)、凍結乾燥装置、または真空オーブン内で実施してもよい。
【0074】
経口投与に有用な固体製剤としては、即時放出製剤および調節放出製剤がある。調節放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラム放出が挙げられる。好適な調節放出製剤の概説については、米国特許第6,106,864号(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。高エネルギー分散および浸透性および被覆粒子などの他の有用な放出技術の詳細については、Verma et al, Pharmaceutical Technology On-line(2001) 25(2):1-14(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0075】
また、式1の化合物は、被験体の血流中、筋肉中、または内臓器官中に直接投与してもよい。非経口投与に好適な技術として、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内および皮下投与が挙げられる。非経口投与に好適なデバイスとしては、マイクロニードル注射器を含む針注射器、無針注射器および注入デバイスが挙げられる。
【0076】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(例えば、pH約3~約9)などの賦形剤を含有し得る水溶液である。しかしながら、用途によって、式1の化合物は、滅菌非水溶液として、または滅菌パイロジェン除去水などの好適なビヒクルと一緒に使用するための乾燥形態として、製剤化する方が好適な場合もある。滅菌条件下での(例えば、凍結乾燥による)非経口製剤の調製は、標準的な製薬技術を用いて容易に達成することができる。
【0077】
非経口溶液の調製に使用される化合物の溶解度は、溶解度増強剤の添加などの適切な製剤化技術によって増大させることができる。非経口投与用製剤は、即時または調節放出となるように製剤化することができる。調節放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が挙げられる。従って、式1の化合物は、活性化合物の調節放出をもたらす埋め込みデポー剤としての投与のために、懸濁液、固体、半固体またはチキソトロープ液体として製剤化することができる。そのような製剤の例としては、薬物コーティングしたステント、ならびに薬物充填ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール)酸(PGLA)マイクロスフィアを含む半固体および懸濁液がある。
【0078】
式1の化合物はまた、皮膚もしくは粘膜に局所的、皮内的または経皮的に投与することもできる。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏、撒布粉、包帯、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ、ウエハー、インプラント、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロ乳剤が挙げられる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。局所製剤は、浸透促進剤を含んでいてもよい。例えば、Finnin and Morgan, J. Pharm. Sci. 88(10):955-958(1999)(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0079】
局所投与の他の手段として、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよびマイクロニードルまたは無針(例えば、Powderject(商標)およびBioject(商標))注射による送達が挙げられる。局所投与用製剤は、前述したように、即時または調節放出となるように製剤化することができる。
【0080】
また、式1の化合物は、鼻腔内に、または吸入により、典型的には乾燥粉末、エアゾールスプレーもしくは点鼻薬の形態で投与してもよい。吸入器を用いて、乾燥粉末を投与してもよく、これは、APIを単独で含むか、APIとラクトースなどの希釈剤との粉末配合物、またはAPIと、ホスファチジルコリンなどのリン脂質とを含有する混合成分粒子を含む。鼻腔内使用のために、粉末は、キトサンまたはシクロデキストリンなどの生体付着剤を含んでいてもよい。加圧コンテナ、ポンプ、スプレー、噴霧器、もしくはネブライザーを用いて、APIと、APIの分散、可溶化、もしくはその延長放出のための1種または複数の薬剤(例えば、含水もしくは非含水EtOH)、推進剤の役割を果たす1種または複数の溶媒(例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、ならびにトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む溶液または懸濁液からエアゾールスプレーを生成してもよい。電気流体力学を使用する噴霧器を用いて、霧状ミストを生成することもできる。
【0081】
乾燥粉末または懸濁液製剤に使用する前に、薬物製品は、通常、吸入による送達に好適な粒子サイズ(典型的には、容量に基づき、粒子の90%が、5ミクロン未満の最大粒度を有する)に微粉砕される。これは、スパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、超臨界流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥などの任意の適切なサイズ減少方法によって達成することができる。
【0082】
吸入器または吹き付け器において使用するための、カプセル剤、ブリスターおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製のもの)は、活性化合物、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤、およびL-ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水物であってもよいし、一水和物化してもよい。他の好適な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
【0083】
電気流体力学を使用して微細ミストを生成する噴霧器に用いるための好適な液剤製剤は、作動毎に約1μg~約20mgのAPIを含有してよく、作動容量は、約1μL~約100μlまで変動し得る。典型的な製剤は、式1の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、EtOHおよびNaClを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用することができる別の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0084】
吸入投与、鼻腔内投与、またはその両方のための製剤は、例えば、PGLAを用いた即時または調節放出となるように製剤化することができる。メントールおよびレボメントールなどの好適な香味料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を、吸入/鼻腔内投与が意図される製剤に添加してもよい。
【0085】
乾燥粉末吸入器およびエアゾールの場合、投薬量単位は、計測量を送達する弁を用いて決定される。単位は、典型的に、約10μg~約1000μgのAPIを含有する計測用量または「パフ」を投与するように調整される。1日当たりの総用量は、典型的には、約1mg/kg~約500mg/kgの範囲であり、これは、単回用量で、または、更に通常は、1日を通しての分割用量として投与してよい。
【0086】
活性化合物は、直腸または膣内に、例えば、坐剤、ペッサリーまたは浣腸剤の形態で投与することができる。ココアバターが通常の坐剤基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用してもよい。直腸または膣内投与用の製剤は、前述したように、即時または調節放出となるように製剤化してもよい。
【0087】
また、式1の化合物は、典型的に、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液または溶液の液滴の形態で、眼または耳に直接投与してもよい。眼および耳への投与に好適な他の製剤としては、軟膏、ゲル、生物分解性インプラント(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)、非生物分解性インプラント(例えばシリコーン)、ウエハー、レンズ、および微粒子、またはニオソームもしくはリポソームなどの小胞系が挙げられる。製剤は、1つ以上のポリマーと、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤を含んでいてもよい。典型的なポリマーとしては、架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース)およびヘテロ多糖ポリマー(例えば、ジェランガム)が挙げられる。このような製剤は、イオントフォレーシスによって送達することもできる。眼または耳への投与用の製剤は、前述のように、即時または調節放出となるように製剤化してもよい。
【0088】
溶解度、溶解速度、矯味性、バイオアベイラビリティ、または安定性を改善するために、式1の化合物を、シクロデキストリンおよびその誘導体、ならびにポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性の高分子実体と組み合わせてもよい。例えば、API-シクロデキストリン錯体は、一般に、ほとんどの剤形および投与経路について有用である。包接および非包接錯体の両方を使用することができる。APIとの直接錯体形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加物として、すなわち、担体、希釈剤または可溶化剤として使用してもよい。これらの目的のため、α-、β-およびγ-シクロデキストリンが一般に使用されている。例えば、WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。
【0089】
前述したように、式1の化合物(その医薬的に許容される錯体、塩、溶媒和物および水和物を含む)は、様々な疾患、障害または病状を治療するための1つ以上の他の活性な医薬活性化合物と組み合わせてもよい。このような場合、活性化合物を組み合わせて、前述のような単一剤形としてもよく、または組成物の共投与に好適なキットの形態で提供してもよい。キットは、(1)2つ以上の異なる医薬組成物(そのうちの少なくとも1つは、式1の化合物を含有する);および(2)2つの医薬組成物を個別に保持するデバイス、例えば、分割ボトルまたは分割ホイルパケットを含む。こうしたキットの例は、錠剤またはカプセルのパッケージングに用いられる周知のブリスターパックである。上記キットは、様々なタイプの剤形(例えば、経口および非経口)を投与する、または様々な医薬組成物を個別の投薬間隔で投与する、あるいは、様々な医薬組成物を互いに対して滴定するのに好適である。患者コンプライアンスの助けとなるために、キットは、典型的には、投与の指示書を含み、記憶補助手段を備えていてもよい。
【0090】
ヒト患者への投与の場合、特許請求の範囲に記載される化合物の1日当たりの総用量は、典型的には、約0.1mg/kg~約1.0mg/kgまたは約0.5mg/kg~約5.0mg/kgのおおよその範囲の範囲である。特定実施形態において、当該化合物または医薬的に許容される塩は、約40mg/kg~約60mg/kgの範囲内の用量で投与される。特定実施形態において、本明細書に記載される方法において投与される当該式1の化合物またはその医薬的に許容される塩は、約5mg/kg~約15mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約15mg/kg~約25mg/kg、約20~約30mg/kg、約25mg/kg~約35mg/kg、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kgおよび約45mg/kg~約55mg/kgからなる群における範囲から選択される用量で投与される。特定の実施形態において、当該用量は、約30mg/kg~約40mg/kg、約35mg/kg~約45mg/kg、約40mg/kg~約50mg/kg、約45mg/kg~約55mg/kg、約50mg/kg~約60mg/kg、約55mg/kg~約65mg/kgおよび約60mg/kg~約70mg/kgからなる群から選択される範囲内である。特定実施形態において、当該用量は約50mg/kgであり得る。特定実施形態において、当該用量は約1mg/kg以上であり得る。特定実施形態において、当該用量は約1mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は、約50mg/kg~約100mg/kg、約100mg/kg~約150mg/kg、約150mg/kg~約200mg/kg、約200mg/kg~約250mg/kg、約250mg/kg~約350mg/kg、約300mg/kg~約350mg/kg、約350mg/kg~約400mg/kg、約400mg/kg~約450mg/kg、約450mg/kg~約500mg/gからなる群から選択される範囲内である。特定実施形態において、当該用量は約500mg/kgである。あるいは、当該用量は500mg/kg未満である。
【0091】
特定実施形態において、当該用量は35mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は36mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は37mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は38mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は39mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は40mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は41mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は42mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は43mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は44mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は45mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は46mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は47mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は48mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は49mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は50mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は51mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は52mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は53mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は54mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は55mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は56mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は57mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は58mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は59mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は60mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は61mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は62mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は63mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は64mg/kgである。特定実施形態において、当該用量は65mg/kgである。1日当たりの総用量は、単回または分割用量で投与することができ、医師の判断により、上記の典型的な範囲外であってもよい。これらの投薬量は、質量が約60kg~約70kgの平均的なヒト被検体に基づいているが、医師は、質量がこの質量範囲外である患者(例えば、小児患者)に対して適切な用量を決定することができる。
【0092】
式1の化合物を使用して、GPR6の調節が示される疾患、障害および病状を治療することができる。上述のように、Gs共役GPR6の拮抗作用または逆作動性は、D2受容体のドーパミン介在性活性化に対する機能的代替策となる。このように、GPR6の活性を調節する化合物は、パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシアおよびハンチントン舞踏病のような運動障害、ならびに薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇および鬱病を含む様々な神経学的および精神医学的障害の治療に有用であり得る。特定実施形態において、式1の化合物は、パーキンソン病を治療する被検体の運動症状を改善する。特定実施形態において、式1の化合物は、これらの障害を治療するためのアマンタジンとの併用療法に含まれる。
【0093】
パーキンソン病の病理学的特徴は、黒質における神経細胞の欠損である。黒質線条体経路の変性が、ドーパミンの線条体濃度の低下を引き起こし、これが運動性および非運動性の臨床症状の発現をもたらす。多くのパーキンソン病患者は、ドーパミンのプロドラッグであるレボドパを用いて治療される。レボドパは、誘発性ジスキネシア(LID)、衝動制御障害(ICD)、精神病症状および睡眠障害を含む一般的で深刻な副作用を有する。LIDは進行性疾患であり、パーキンソン病患者の約90%が10年以内にLIDを発症する。不可逆的適応は、直接的経路の過敏症につながる脱感作の減少を含む、LIDのげっ歯類モデルのMSNでのD1受容体シグナル伝達において生じる。D2受容体ではなくD1受容体の遺伝子不活性化は、マウスのLIDを消失させる。しかしながら、D1受容体シグナル伝達の遮断は、レボドパの抗パーキンソン病効果には影響しない。6-OHDAモデルは、ドーパミン神経伝達の喪失および運動障害を含むパーキンソン病の多くの態様を模倣する。
【0094】
特許請求の範囲に記載される化合物を1つ以上の他の医薬的に許容される活性化合物または療法と組み合わせて、GPR6に関連する1つ以上の疾患、障害または病状を治療することができる。このような組み合わせは、副作用の低減、医療サービスを充分に受けていない患者母集団を治療する能力の向上または相乗活性を含む有意な治療的利点を付与し得る。例えば、式1の化合物(その医薬的に許容される錯体、塩、溶媒和物および水和物を含む)は、パーキンソン病などの運動障害を治療するための1つ以上の化合物または療法と組み合わせて、同時に、連続的にまたは別々に投与してもよい。これらの化合物としては、レボドパ;カルビドパ、ベンセラジド、メチルドパ、α-ジフルオロメチル-DOPAおよび3’,4’,5,7-テトラヒドロキシ-8-メチルイソフラボンなどのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤;塩酸アポモルフィン、ブロモクリプチン、ロチゴチン、プラミペキソールおよびロピニロールなどのドーパミン作動薬;アマンタジン;トリヘキフェニジルおよびメシル酸ベンズトロピンなどの抗コリン薬;サフィナミド、セレジリンおよびラサギリンなどの選択的モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤;ならびにエンタカポンおよびトルカポンなどのカテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤が挙げられる。
【0095】
運動障害を治療するために使用する薬物に加えて、式1の化合物は、アルツハイマー病ならびに認知に影響を及ぼす他の疾患、障害および病状を治療するために使用する薬剤と組み合わせてもよい。このような薬剤としては、β-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID、例えば、アパゾン、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック(ミソプロストール含有および非含有)、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸コリンおよびマグネシウム、サルサレートおよびスリンダク)、ビタミンEならびに抗アミロイド抗体が挙げられる。アルツハイマー病を治療するために使用する化合物の具体例としては、ドネペジル、リバスチグミン、メマンチンおよびガランタミンが挙げられる。
【0096】
更にまたはあるいは、式1の化合物を、鎮痛剤、催眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、精神安定剤、および神経または精神疾患の治療に使用する他の薬剤と組み合わせてもよい。例えば、式1の化合物は、アミトリプチリン、アモキサピン、アリピプラゾール、アセナピン、ブプロピオン、クロルジアゼポキシ、シタロプラム、クロルプロマジン、クロザピン、デシプラミン、デスベンラファキシン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、イロペリドン、イミプラミン、イソカルボキサジド、ラモトリジン、レボミルナシプラン、ルラシドン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、オランザピン、パリペリドン、パロキセチン、ペルフェナジ、フェネルジン、プロトリプチリン、クエチアピン、リスペリドン、サフィナミド、セレギリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、ビラゾドン、ボルチオキセチンおよびジプラシドンを含む、鬱病(抗鬱剤)および/または統合失調症(非典型的抗精神病薬または典型的抗精神病薬)を治療するための1つ以上の薬剤と組み合わせてもよい。
【0097】
同様に、式1の化合物は、ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバゼパム、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、エスタゾアム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパムおよびトリアゾラム)、抗ヒスタミン剤(ヒドロキシジン)、非ベンゾジアゼピン(エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデムおよびゾピクロン)ならびにブスピロンを含む、不安症(抗不安薬)を治療するための1つ以上の薬剤と組み合わせてもよい。
【0098】
また、式1の化合物は、アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリジン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリンおよびゾニサミドを含む、癲癇(抗癲癇薬または抗痙攣薬)を治療するための1つ以上の薬剤と組み合わせてもよい。
【0099】
生物学的活性
GPR6モジュレーターとしての化合物の活性は、インビトロおよびインビボ方法を含む様々な方法によって測定することができる。
【0100】
I.cAMPのインビトロ阻害(EC50)
この細胞ベースのアッセイは、試験化合物がCHO-K1細胞に発現するGPR6受容体の構成cAMP活性を阻害する能力を測定する。CHO細胞はGPR6受容体を安定して発現し、その発現はテトラサイクリン誘導性要素により制御される。細胞を、F12K、10%FBS、1%Penn/Strep、200μg/mLのハイグロマイシンを含有する培地で培養した。GPR6受容体発現を、増殖培地中の2μg/mLのドキシサイクリン(Sigma D9891)を用いて20時間誘導する。ドキシサイクリンを添加した後、細胞を、1ウェル当たり細胞450~750の密度で96ウェル半量黒色組織培養プレート(Costar)において平板培養し(plated)、cAMPアッセイ前に、20時間、インキュベーター(37℃、5%CO)中に静置する。
【0101】
培養培地を細胞から除去し、50μl/ウェルのリンガー緩衝液(MgCl 0.047mg/mL、NaHPO 0.18mg/mL、NaHPO 0.1mg/mL、KCl 0.34mg/mL、NaHCO 1.26mg/mL、D-グルコース 1.8mg/mL、NaCl 7mg/mL、pH=7.4)で洗浄する。DMSO中に懸濁した試験化合物を、0.5%脂肪酸不含BSAおよび300μMの3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)を含有するリンガー緩衝液中に希釈し、37℃および5%COにて細胞上で45分間インキュベートする。インキュベーション後、細胞を、PerkinElmer LANCE(登録商標) Ultra cAMPアッセイキット(TRF0263)のEu-cAMPトレーサー溶液を用いて室温で10分間調整する。次いで、LANCE(登録商標)キットからのULIGHT(商標)-抗cAMP溶液を添加し、PerkinElmer EnVisionプレートリーダーにおける均一時間分解蛍光(HTRF)検出前1時間、室温にてシェーカー上でインキュベートする。GraphPad Prism 5.03を用いる4つのパラメータのロジスティック方程式により、EC50曲線を生成する。
【0102】
II.cAMPのインビトロ阻害(IC50)
この細胞ベースのアッセイは、化合物がCHO-K1細胞に発現するGPR6受容体の構成cAMP活性を阻害する能力を測定する。CHO細胞はGPR6受容体を安定して発現し、その発現はテトラサイクリン誘導性要素により制御される。当該細胞を、F12K、10%FBS、1%Penn/Strep、200μg/mLのハイグロマイシンを含有する培地で培養する。GPR6受容体発現を、増殖培地中の1μg/mLのドキシサイクリン(Sigma D9891)を用いて20時間誘導する。ドキシサイクリンを添加した後、細胞を、1ウェル当たり細胞250~500の密度で半量黒色透明底プレート(Costar)において平板培養し(plated)、cAMPアッセイ前に、20時間、インキュベーター(37℃、5%CO)中に静置する。
【0103】
培養培地を細胞から除去し、50μlのリンガー緩衝液(MgCl 0.047mg/mL、NaHPO 0.18mg/mL、NaHPO 0.1mg/mL、KCl 0.34mg/mL、NaHCO 1.26mg/mL、D-グルコース 1.8mg/mL、NaCl 7mg/mL、pH=7.4)で洗浄する。DMSO中に懸濁した化合物を、0.5%脂肪酸不含BSAを含有するリンガー緩衝液中に希釈し、37℃および5%COにて細胞上で45分間インキュベートする。インキュベーション後、細胞を、PerkinElmer LANCE(登録商標) Ultra cAMPアッセイキット(TRF0264)のEu-cAMPトレーサー溶液を用いて室温で10分間インキュベートする。次いで、LANCE(登録商標)キットからのULIGHT(商標)-抗cAMP溶液を添加し、BMG POLARSTAR(登録商標)OmegaプレートリーダーにおけるHTRF検出前1時間、室温にてシェーカー上でインキュベートする。GraphPad Prism 5.03を用いる4つのパラメータのロジスティック方程式により、IC50曲線を生成する。
【0104】
III.GPR6に対するインビトロ競合的結合(Ki)
濾過ベースのフォーマットを使用する競合的結合アッセイを用いて、GPR6逆作動薬の結合特性を検討する。当該方法は、ドキシサイクリン誘発性プロモーターにより駆動されるヒトGPR6cDNAを発現するCHO-K1細胞から調製した膜を使用する。試験化合物の段階希釈物(試験リガンド1μL/ウェル)を含有するアッセイレディ96ウェルプレート(651201、Greiner、米国)を、液体ハンドラ(5μM、最終アッセイ最高濃度)を用いてDMSOにおいて調製する。アッセイ緩衝液(50mM Tris、pH7.4、50mM NaCl、6mM MgCl、脂肪酸不含0.1%BSA、1:100プロテイナーゼ阻害剤カクテル、Sigma、米国)を加え(39μL/ウェル)、プレートをプレートシェーカー上で10分間混合する。GPR6特異的H放射性リガンドをアッセイ緩衝液中で調製し、各ウェルに加える(40μL、2.4nM最終アッセイ濃度)。
【0105】
結合反応を開始するため、ヒトGPR6受容体を発現する細胞から得られた総膜を40μL加える。アッセイ緩衝液中で膜を調製し、最終アッセイ濃度15μg/ウェルになるように各ウェルに加える。プレートを封止し、300RPMで30秒間混合し、室温で2時間インキュベートする。その後、反応混合物をフィルターメイト(1450-421、filtermate A、PerkinElmer、米国)を通して濾過し、TomtecのHARVERSTER96(商標)器具を用いて緩衝液(50mM Tris、pH7.4、50mM NaCl、6mM MgCl脂肪酸不含0.1%BSA)で5回洗浄する。フィルターを電子レンジで乾燥させる。シンチレーターシート(1450-411、PerkinElmer、米国)をフィルター上で溶解し、熱封止してから、CPM/ウェルをMICROBETA(登録商標)Trilux器具(PerkinElmer、米国)において定量した。使用の前に、フィルターメイトを、軽く振とうしつつ0.5%ポリエチレンイミン溶液に3時間予浸し、次いで一晩風乾させる。Prism(GraphPad、米国)で非線形回帰を用いて分析IC50およびKi値を算出する。標準放射性リガンド飽和実験において、Kd値を測定する。
【0106】
IV.インビボパーキンソン病モデル-ハロペリドール誘発性カタレプシー
パーキンソン病の運動症状としては、運動低下症、運動緩慢、強直、振戦および姿勢異常が挙げられ、線条体ドーパミン作動性細胞の損失および線条体ドーパミンレベルの低下と関連している。げっ歯類へのハロペリドールの投与は、レボドパおよびパーキンソン病を治療するために臨床的に検証された他の薬物の投与により回復する一過性のパーキンソン病様状態を導く。Duty, S. & Jenner, P. Br. J. Pharmacol. 164:1357-1391(2011)(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと。ハロペリドールは、運動回路の間接的および直接的経路を含む中型有棘ニューロンにおいて、それぞれ、ドーパミンD2受容体、およびより少ない程度で、ドーパミンD1受容体を拮抗する。結果として得られる線条体ドーパミン伝達の遮断は、筋肉の硬直およびカタレプシーの症状として発現する基底核回路内での異常な下流燃焼をもたらす。カタレプシーがパーキンソン病の臨床的特徴をもたらすと仮定されており、それにより、患者は、運動を開始する能力がないと感じる。
【0107】
体重25~35gの雄性C57Bl6マウスを使用する。垂直グリッド試験において動物を試験する少なくとも30分前に、ドーパミン受容体拮抗薬ハロペリドール(0.45mg/kg)を皮下(sc)投与することによって、カタレプシーを誘発する。この試験のために、ベンチテーブルに対して約70度の角度で設置した25cm×43cmのプレキシグラスケージのワイヤメッシュカバーの上に、ラットまたはマウスを置く。被験体を、4本全ての脚を外転させ伸長させた状態(「カエルの姿勢」)でグリッド上に設置する。このような不自然な姿勢を用いることは、カタレプシーの当該試験の特異性には不可欠である。ラットについては、足を置いてから一本の足を最初に完全に引っ込めるまでのタイムスパン(降下潜伏時間)を最大120秒間測定する。マウスについては、プレキシガラスプラットホーム上で2”に上げた水平な金属バー上にマウスの前足を置き、時間を試験ごとに最大30秒記録する。動物の前足をプラットホームに戻した時点か、または30秒後に試験を終了する。試験を三回繰り返し、三回の試験の平均をカタレプシーの強度指標として報告する。投薬から30分後に評価した動物を、ハロペリドールの投薬から60分または90分後に再評価する。
【0108】
ハロペリドール誘発性カタレプシーを逆転させるGPR6モジュレーターの効能を、GPR6モジュレーター試験化合物と共にハロペリドール0.45mg/kg(ip)(腹腔内注射))で被検体に投薬してから30分、60分および/または90分後に測定する。式1の化合物を、ハロペリドールと併せて0.1~100mg/kg(0.5%メチルセルロース中、経口で)の範囲の用量で投与する。陽性対照として、アデノシンA2A拮抗薬SCH420814(プレラデナント(preladenant))を3mg/kg(ip)で投薬する。
【0109】
V.パッチクランプ法によるヒトhERGの阻害
自動化全細胞パッチクランプシステム(QPATCH(登録商標)16)を用いて、単一細胞から外向きカリウム電流を記録する。アッセイは、ヒトhERG cDNAを安定にトランスフェクトしたCHO-K1(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を使用する。細胞をトリプシン処理により収穫し、無血清培地中に室温で維持してから、記録する。細胞を洗浄し、細胞外溶液で再懸濁してから、自動化パッチクランプサイトに適用する。パッチクランプアッセイの日に、水性細胞外溶液(137mM NaCl、4mM KCl、1.8mM CaCl、1mM MgCl、10mM D(+)-グルコース、10mM HEPES、NaOHで7.4に調整したpH)中で試験溶液を調製する。7種の濃度(0.03、0.1、0.3、1、3、10および30μM)の試験化合物を用いてIC50を測定する。水性細胞内溶液は、130mM KCl、10mM NaCl、1mM MgCl、10mM EGTA、5mM MgATPおよび10mM HEPES(KOHで7.2に調製したpH)を含有する。
【0110】
全細胞構成を達成した後、細胞を-80mVで保持する。50msパルスを-40mVまで送出して漏れ電流を測定し、これをオンラインで末尾電流から差し引く。次いで、細胞を+20mVまで2分間脱分極し、その後、-40mVまで1秒間パルスを送出してhERG末尾電流を明らかにする(reveal)。このパラダイムを5秒に一回送出して電流増幅をモニタリングする。室温でアッセイを行う。細胞外溶液(対照)を最初に適用し、5分間細胞を溶液中で安定化させる。次いで、試験化合物を同じ細胞上に低濃度から高濃度まで順に適用する。細胞を5分間各試験濃度でインキュベートする。参照化合物E-4031(N-(4-(1-(2-(6-メチルピリジン-2-イルエチル)ピペリジン-4-カルボニル)フェニル)メタンスルホンアミド)を複数濃度で同時に試験してIC50値を得る。化合物適用前後の末尾電流増幅(電流差を対照に対して正規化する)を比較することによって、hERGチャンネルの阻害パーセントを算出する。
【0111】
実施例
以下の実施例は説明のためのものであって、限定ではなく、本発明の具体例を示す。
【0112】
I.H核磁気共鳴(NMR)
以下の実施例における化合物の多くについて、H NMRスペクトルを得た。特徴的な化学シフト(δ)は、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)およびbr(ブロード)を含む主要なピークの名称に関する従来の略語を用いて、テトラメチルシランからの100万分の1のダウンフィールドで表される。一般的な溶媒に関して、以下の略語を使用する:CDCl(ジュウテロクロロホルム)、DMSO-d(ジュウテロジメチルスルホキシド)、CDOD(ジュウテロメタノール)、CDCN(ジュウテロアセトニトリル)およびTHF-d(ジュウテロテトラヒドロフラン)。エレクトロスプレーイオン化(ESI-MS)または大気圧化学イオン化(APCI-MS)質量分析のいずれかを用いて質量スペクトル([M+H]についてはm/z)を記録した。
【0113】
II.高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)
示されている場合、質量トリガHPLC(例えば、ポンプ:WATER(商標)2525;MS:ZQ(商標);ソフトウェア:MASSLYNX(商標))、フラッシュクロマトグラフィーまたは分取薄層クロマトグラフィー(TLC)によって特定の調製および実施例の生成物を精製する。典型的には、CHCN、ならびに0.035%および0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)をそれぞれ含有する水移動相で溶出する酸性条件(「酸モード」)、または水および20/80(v/v)水/アセトニトリル移動相で溶出する塩基条件(「塩基モード」)(いずれも10mM NHHCOを含有する)下、カラム(例えば、Phenomenex GEMINI(商標) 5μ、C18、30mm×150mm;AXIA(商標)、5μ、30mm×75mm)上で逆相クロマトグラフィーを実施する。典型的にはシリカゲル60F254プレート上で分取TLCを実施する。クロマトグラフィーによる単離後、溶媒を除去し、遠心エバポレーター(例えば、GeneVac(商標))、ロータリーエバポレーター、排気したフラスコなどでの乾燥により生成物を得る。典型的には、約1大気圧(14.7psi)の圧力にて、不活性(例えば、窒素)または反応性(例えば、H)雰囲気での反応を実施する。
【0114】
III.合成
調製1:(R)-2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリド[3,4-b]ピラジン-3-アミン
【化2】

(R)-テトラヒドロフラン-3-アミン(ArkPharm、AK-75910、ロットWZG082316-PB01)(5.32mL、61.0mmol)を、DMSO(50mL)中の3-クロロ-2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)ピリド[3,4-b]ピラジン(10g、26.5mmol)の溶液に加えた。溶液を70℃で10時間加熱した後、水(300mL)で希釈し、iPrOAc(300mL)で抽出した。水相を更にiPrOAc(100mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和NHCl水溶液(300mL)および塩水(200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮し、ハウスバキュームで乾燥させて、淡黄色の固体(11.4g)を得た。固体を撹拌および加熱還流しながらiPrOAc(55mL)に溶解した。沈殿を防ぐために、ヘプタン(33mL)をゆっくりと少しずつ加熱しながら加えた。次に、溶液を攪拌しながら(約400rpm)20℃に冷却させ、その間に沈殿物が形成された。混合物をゆっくりと周囲温度まで冷却させ、一晩撹拌した。固体を真空濾過により収集し、ヘプタン中の氷冷20%iPrOAcですすぎ、フィルターケーキを通して少なくとも30分間真空引きすることにより乾燥させ、収集して、表題化合物を淡黄色固体として得た(9.771g、86%)。H NMR(500MHz,DMSO-d) δppm 1.84-1.96(m,2H),2.01-2.16(m,3H),2.20-2.31(m,1H),3.22-3.31(m,2H),3.64-3.80(m,4H),3.85-3.93(m,1H),4.00(dd,J=9.28,6.35Hz,1H),4.55-4.67(m,2H),6.94(d,J=5.86Hz,1H),6.99-7.06(m,1H),7.25-7.37(m,2H),7.46(d,J=5.37Hz,1H),8.31(d,J=5.37Hz,1H),8.79(s,1H);ESI-MS m/z [M+H] 428。
【0115】
調製2:(S)-2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリド[3,4-b]ピラジン-3-アミン
【化3】

(S)-テトラヒドロフラン-3-アミン(AstaTechカタログ番号37021)(0.578mL、6.64mmol)を、DMSO(5mL)中の3-クロロ-2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)ピリド[3,4-b]ピラジン(1.0g、2.65mmol)の溶液に加えた。溶液を、密封されたマイクロ波バイアル内で70℃にて22時間加熱し、その時点でHPLC-MSは反応が完了したことを示した。反応混合物(5mL)を水(150mL)で希釈し、iPrOAc(150mL)で抽出した。水相を更にiPrOAc(50mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和NHCl水溶液(150mL)および塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、CELITE(登録商標)で真空濃縮した。粗生成物をヘプタン中0~60%EtOAcの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィー(30g NHシリカゲルカラム)により精製し、白色固体として表題化合物を得た(1.05g、93%)。H NMR(500MHz,DMSO-d) δppm 1.90(td,J=8.54,3.91Hz,2H),2.01-2.
16(m,3H),2.20-2.31(m,1H),3.21-3.32(m,2H),3.63-3.80(m,4H),3.89(q,J=7.49Hz,1H),4.00(dd,J=9.28,6.35Hz,1H),4.54-4.67(m,2H),6.96(d,J=6.35Hz,1H),7.00-7.08(m,1H),7.26-7.39(m,2H),7.46(d,J=5.37Hz,1H),8.31(d,J=5.37Hz,1H),8.79(s,1H);ESI-MS m/z [M+H] 428。
【0116】
実施例1:(R)-1-(2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-3-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-7,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-6(5H)-イル)エタン-1-オン
【化4】

HOAc(80mL)およびTHF(80mL)中(R)-2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリド[3,4-b]ピラジン-3-アミン(16g、37.4mmol)を入れたフラスコへ、窒素下で無水酢酸(17.66mL、187mmol)を加えた。炭素上のパラジウム(10%、Aldrich 205699-10G、ロット番号MKBZ3284V)(3.19g、2.99mmol)を窒素下で添加した。フラスコを水素充填バルーンに接続し、ハウスバキュームで排気し、水素を8回再充填した。反応混合物を水素下で40時間撹拌し、その後、ケーキが乾かないように注意しながら、CELITE(登録商標)のパッドを通して濾過した。フラスコおよびフィルターケーキをEtOAc(48mL)、メタノール(48mL)およびEtOAc(48mL)ですすいだ。濾液を真空下で濃縮して、THF、EtOAcおよびメタノールを除去した(浴温≦40℃)。溶液をヘプタン(480mL)で希釈し、真空下で再濃縮してHOAcを共沸混合物とした(浴温≦45℃)。残渣をiPrOAc(320mL)に取り、10重量%KCO水溶液(320mL、230mmol)(洗浄前pH13、洗浄後pH10)および塩水(240mL、洗浄後pH7)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮し、ハウスバキューム下で少なくとも1時間乾燥させて、淡黄色の固体(16.71g)を得た。粗生成物をエタノール(84mL)に取り、撹拌しながら油浴で加熱した。固体が溶解した後、溶液を攪拌しながら油浴でゆっくりと冷却させ、その間に沈殿物が形成され始め、溶液は白濁した。混合物を油浴で周囲温度まで冷却させ、一晩撹拌した。再結晶後、白色固体を真空濾過によって収集し、氷冷エタノールですすぎ、高真空下で乾燥させて、白色固体として表題化合物を得た(13.34g、75%)。H NMR(500MHz,DMSO-d) δppm 1.81-2.00(m,3H),2.02-2.12(m,5H),2.14-2.24(m,1H),2.60(t,J=5.61Hz,1H),2.72(t,J=5.86Hz,1H),2.84-2.96(m,2H),3.26-3.32(m,2H),3.56(dt,J=8.79,5.13Hz,1H),3.65-3.78(m,3H),3.81-3.94(m,2H),4.33-4.47(m,3H),4.52(tt,J=8.18,4.03Hz,1H),5.91(dd,J=13.42,6.10Hz,1H),6.97-7.05(m,1H),7.24-7.36(m,2H);ESI-MS m/z [M+H] 474;mp150℃(DSCピーク);キラル純度(キラルカラムクロマトグラフィーによる)>98%ee。
【0117】
化合物A:(S)-1-(2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-3-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-7,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-6(5H)-イル)エタン-1-オン
【化5】

HOAc(5mL)およびTHF(5mL)中(S)-2-(4-(2,4-ジフルオロフェノキシ)ピペリジン-1-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリド[3,4-b]ピラジン-3-アミン(1.05g、2.456mmol)を入れたフラスコに、窒素下で無水酢酸(1.159mL、12.28mmol)を加えた。炭素上のパラジウム(10%、Aldrich 205699-10G、ロット番号MKBZ3284V)(0.523g、0.491mmol)を窒素下で添加した。フラスコを水素充填バルーンに接続し、ハウスバキュームで排気し、水素を8回再充填した。反応混合物を水素下で18時間撹拌し、その後、ケーキが乾かないように注意しながら、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過した。フラスコおよびフィルターケーキを、EtOAc(20mL)、メタノール(20mL)およびEtOAc(20mL)ですすぎ、濾液をCELITE(登録商標)で真空濃縮した。粗生成物をヘプタン中0~60%EtOAcの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィー(120g NHシリカゲルカラム、サイズ200)により精製し、白色固体(1.0g)を得た。白色の固体をエタノール(5mL)に取り、攪拌しながら油浴で80℃に加熱した。固体が溶解した後、加熱を停止し、溶液を攪拌しながら油浴中に20℃までゆっくりと冷却させた。混合物を室温で3日間撹拌した。固体を真空濾過により収集し、氷冷エタノールですすぎ、高真空下で乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(848mg、72.9%)。H NMR(500MHz,DMSO-d) δppm 1.82-2.00(m,3H),2.02-2.12(m,5H),2.13-2.24(m,1H),2.60(t,J=5.86Hz,1H),2.72(t,J=5.86Hz,1H),2.83-2.96(m,2H),3.24-3.32(m,2H),3.56(dt,J=8.79,5.25Hz,1H),3.66-3.77(m,3H),3.81-3.94(m,2H),4.33-4.47(m,3H),4.52(tt,J=8.08,3.87Hz,1H),5.93(dd,J=13.30,6.22Hz,1H),6.98-7.06(m,1H),7.24-7.35(m,2H);ESI-MS m/z [M+H] 474;mp 149℃(DSCピーク);キラル純度(キラルカラムクロマトグラフィーによる)>98%ee。
【0118】
IV.cAMPインビトロ阻害(EC50)アッセイ
表1は、CHO-K1細胞で発現したGPR6受容体の構成cAMP活性を阻害する試験化合物の能力(pEC50として報告)を測定する細胞ベースのアッセイに従って試験した式1の化合物(実施例1)および化合物Aの生物学的アッセイデータ(cAMPのインビトロ阻害)を示す。このアッセイは、本明細書中では、「cAMPのインビトロ阻害(EC50)」という見出しの下で記載されている。
【表1】
【0119】
「cAMPのインビトロ阻害(IC50)」という見出しの下で本明細書に記載されているアッセイを使用して化合物のIC50を決定することにより、更なる分析を実施する。
【0120】
V.cAMPインビトロ阻害(IC50)アッセイ
表2は、GPR6競合的結合アッセイからの阻害定数(Ki)と、式1(例1)の化合物および化合物AのhERG機能アッセイからのIC50値を示す。上述のように、各化合物のKiは、ヒトGPR6 cDNAを発現するCHO-K1細胞から調製した膜を利用する濾過ベースのフォーマットを採用する競合結合アッセイを用いて得られ、各化合物のIC50は、ヒトhERG cDNAをトランスフェクトしたCHO-K1細胞を利用する自動全細胞パッチクランプシステムを採用するhERG機能アッセイを用いて得られた。
【0121】
表2のデータは、式1の化合物が化合物Aと比べて有意に強力ではないhERGの阻害剤であることを示している。最大遊離化合物(薬物)濃度でGPR6の50%の占有率を想定する場合、表2に示す比率(hERG IC50)/Kiは、文献(X. Yao et al.,British Journal of Pharmacology(2008) 154:1446-56,50(その全内容を参照により本明細書に援用する)を参照のこと)に定義されるような遊離薬物(「SMフリー」)の安全マージンと見なすことができる。安全マージンを比較すると、式1の化合物は、インビボ研究へ進むために改善されたSMフリーを呈する。300未満のSMフリーは、Yaoらの1452ページ(「300以上のSMフリーは、QTc延長を引き起こす可能性がない化合物を意味し得ることを示唆する教示」)で定義されているように、インビボ研究へ進むのに適していると考えられる。
【表2】
【0122】
式1の化合物(実施例1)および化合物Aのハロペリドール誘発性カタレプシーを逆転させる能力も分析する。これらの化合物は、「インビボパーキンソン病モデル-ハロペリドール誘発性カタレプシー」という見出しの下、本開示に記載されているアッセイに従って試験する。
【0123】
VI.6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)ラットモデルの治療
運動活動を改善する化合物は、パーキンソン病の潜在的な療法として有望であると考えられる。パーキンソン病の6-OHDAモデルのラットに、6-OHDAの線条体への両側注射を施し、前-後(AP):中心-横(ML):背-腹(DV)、1±3、麻酔下のブレグマと比較して-5mmをコーディネートする。ラットを、少なくとも28日後に自発運動について試験した。式1(実施例1)またはビヒクル(対照)を投薬する前に、自発運動ボックス内で30分間動物を馴化した。
【0124】
自発運動は、赤外線ビームのアレイで覆われたオープンフィールドアリーナで測定した。運動をモニタリングするために、AMLOGGERソフトウェアを使用して動物によるビームブレークを処理した。式1(実施例1)は、図1に示すように、50分後にビヒクル(対照)を投与したラットと比較して、いずれの投薬量(5mg/kgおよび10mg/kg)でも自発運動の用量依存性改善を示した。10mg/kgの用量を投与したラットで、活動の有意な増加が観察された。これらのデータは、式1(実施例1)がパーキンソン病患者の症状の改善に効果的であることを示している。
【0125】
VII.遠隔測定を使用した心血管系に対する式1(実施例1)の影響
生後8か月以上、体重7~15kgの意識のあるビーグル犬(Marsahall BioResources、ノースローズ、ニューヨーク州)における式1(実施例1)の潜在的な心血管作用。ビーグル犬には、適切なCharles River Laboratories、モントリオール、QC標準操作手順(TB12-04-06)に従って、DSI PHYSIOTEL(登録商標)Digital L21トランスミッターインプラントからの遠隔測定デバイスを装備させる。生体電位リードを、修正リードII構成に配置する。動物を実験室環境に慣れさせるために、動物の到着から遠隔測定デバイスの外科的移植の開始まで、最低6日間の馴化期間を設ける。手術から治療開始までの最短回復期間は4週間とする。動物室環境の目標条件は、指定された手順中を除き、湿度30~70%で17℃~23℃、明所に12時間および暗所に12時間である。
【0126】
動物は、動物が個別に収容される投薬およびモニタリング期間を除き、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals(8th Ed.,National Academies Press,2111)(その全内容を参照により本明細書に援用する)に記載されている自動給水バルブを備えたステンレス鋼ケージに集団で収容してもよい。
【0127】
DSI PHYSIOTEL(登録商標)Digital L21トランスミッターの外科的移植後、300gのPMI NUTRITION(登録商標)International Certified Canine Chow No.5007と混合したAID処方食1缶(3日間)、および300gのPMI NUTRITION(登録商標)International Certified Canine Chow No.5007と混合したAID処方食1缶(4日間)からなる食物補給を手術後7日間動物に与える。投薬当日、食物は、投薬開始の少なくとも5時間前に提供し、1時間を目標として喫食可能とし、投薬の少なくとも4時間前には撤収する。投薬の4時間前に食物を撤収した後は、ビーフトリートを喫食することはできない。残りの食物は、もしあれば、その日の死亡率/生存率チェックの終わりに提供され、一晩放置される。臨床徴候または他の変化によって保証されるように、補給食を動物に提供する。
【0128】
指定された手順を除き、各動物は、逆浸透および紫外線照射による処理後の水道水を、自動給水システムを介して自由に喫食することができる。必要に応じて、水鉢を提供する。水の定期的な分析を行い、これらの分析結果を試験施設でファイルする。研究の目的を妨げる可能性のある既知の汚染物質は、水中に存在しないと考えられる。
【0129】
投薬開始前に、心血管パラメータおよびECG信号品質を評価するために、少なくとも24時間、Data Sciences International(DSI)PONEMAH(商標)システムを使用してECG、LVP、血圧および体温を収集する。最低30秒のECGを収集し、定性的検討のために心臓病専門医に送る。正常な血液学/臨床化学パラメータおよび正常な血行動態/ECGパラメータを示す動物のみを研究に記録する。
【0130】
動物は、用量製剤投与開始前に少なくとも3日間、強制経口投与手順に馴化させる。ケージ/水道水を、5mL/kgの投与用量でプラスチック製シリンジに取り付けた使い捨てカテーテルを使用して、強制経口投与によって投与する。投与製剤を、投与前および継続的に動物室で少なくとも30分間撹拌する。
【0131】
ULTRAPURE(商標)水(Charles River Laboratories、モントリオール、QC)または試験化合物(30、100、300mg/kg)に2%レシチンおよび0.5%メチルセルロースを含む単回投与のビヒクル(対照)を強制経口投与する。ビヒクルを各投薬セッション用に調製し、4℃に維持された冷蔵庫内にて攪拌プレート上で保存し、光から保護し、必要に応じて調合する。ビヒクルを冷蔵庫から取り出し、投薬前に室温で少なくとも30分間、投薬中に継続的に攪拌する。投薬製剤を、4℃に設定された冷蔵庫内にて攪拌プレート上で保存し、光から保護し、必要に応じて調合する。投薬製剤を冷蔵庫から取り出し、投薬前に室温で少なくとも30分間、投与中に継続的に攪拌する。
【0132】
4頭の雄犬のそれぞれに、ある用量のビヒクルと3種の用量レベルの式1(実施例1)を投与する。各投薬の間は7日間である。モニタリングするパラメータとしては、血圧、左心室圧(LVP)、および心電図波形から得られる心拍数;LVP(ピーク収縮期および拡張終期LVPならびに最大正/負dP/dt値);心電図(PR間隔(PR)、RR変動性(RR”)、QRS複合波(QRS)、QT間隔およびVan de Water方程式QTcv=QT-87(60/HR-1))を使用して計算されたQTcv;ならびに体温が挙げられる。
【0133】
ECGセグメントのマーキングは、ECGパターン認識ソフトウェアを使用して行う。各動物のライブラリは、昼と夜の両方のサイクルからの代表的なサイクルで構成され、適切なCharles River Laboratories、モントリオール、QCに従って、定量的評価のための適切なマーキングを保証するためにモニタリングの間中適用される。この種に関する電気生理学的基準を超えるデータ値を、更なる分析から除外する。
【0134】
投薬日の各遠隔測定モニタリング中に、各投薬の前に2回(少なくとも30分間隔)、および投薬からおよそ1(±5分)、2、4、6、8、10、12、15、18および23(±15分)時間後にECGを評価する。各時点で最低30秒を評価する。P-QRS-T波のリズムまたは伝導障害またはその他の異常を検出するために、すべての波形を定性的に評価する。一晩の食物欠乏後、血液サンプルを頸静脈から採取する(臨床化学用)。
【0135】
式1の化合物を投与したビーグル犬(例1)においては、式1(実施例1)を投薬した動物の動脈血圧、収縮性またはPR間隔、QRS複合波、またはQT間隔におけるビヒクルからの結果と比較して、変化は観察されない。
【0136】
等価物および範囲
当業者は、ルーチンの実験を超えるものを用いることなく、本明細書に記載の本発明に従って特定の実施形態の多くの等価物を認識し、または確認することができる。本発明の範囲は上記の説明に限定されることを意図せず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載の通りである。
【0137】
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」のような冠詞は、反対であることが示されていない、または他に文脈から明らかではない限り、1つまたは1つより多いことを意味し得る。1つの群の1つ以上のメンバーの間に「または」を含む特許請求の範囲および明細書は、逆が示されていないまたは文脈から別であることが明らかでない限り、該群の1つの、2つより多くの、または全てのメンバーが、所定の生成物またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはその他で関連する場合に、満たされていると考えられる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所定の生成物またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはその他で関連する実施形態を含む。本発明は、2つより多くのまたは全ての群のメンバーが、与えられた産物またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはその他で関連する実施形態も含む。
【0138】
用語「含む(comprising)」が、開放(open)であることが意図され、かつ追加の要素または工程の包含を許容するが、必要ではないことも注意される。用語「含む」を本明細書中で使用する場合、用語「からなる(consisting of)」も包含され、開示される。
【0139】
範囲が示される場合、終点が包含される。更に、その他のものが示されないか、または文脈および/または当業者の理解からその他のものが明らかではない限り、範囲として表現される値は、文脈が明らかにその他のものを指さない限り、本発明の種々の実施形態において言及された範囲内の、範囲の下限の単位の10分の1(the tenth of the unit of the lower limit of the range)までの、任意の具体的な値または部分範囲であるとみなされ得ることが理解される。
【0140】
加えて、先行技術に属する本発明の任意の特定実施形態が、任意の1つ以上の請求項から明確に除外され得ることが理解される。このような実施形態は当業者に知られていると認められるため、本明細書に除外が明確に示されない場合にもこのような実施形態は除外され得る。本発明の組成物の任意の特定実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療または活性成分;任意の製造方法;任意の使用方法)は、先行技術の存在に関連するか否かに関わらず、いかなる理由であれ、任意の1つ以上の請求項から除外され得る。
【0141】
使用されてきた用語は限定ではなく説明の用語であり、その広義の態様において本発明の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更がなされ得ることを理解されたい。
【0142】
本発明はいくつかの記載される実施形態に関してある程度十分かつある程度詳細に説明されてきたが、任意のこのような詳細または実施形態もしくは任意の特定の実施形態に限定されるべきであることを意図しないが、先行技術を考慮してこのような特許請求の範囲の広い可能な解釈を提供し、したがって、本発明の意図される範囲を効果的に包含するように、添付の特許請求の範囲を参照にして解釈される。本発明は、本明細書の非限定的実施例によって更に説明される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
90%鏡像体過剰率(ee)以上の鏡像体純度を有する、式1:
【化1】
の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
(a)98%ee以上の;および/または、
(b)99%ee以上の;および/または、
(c)100%eeに等しい;
鏡像体純度を有する、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
前記化合物が塩の形態として存在しない、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
(a)請求項1~3のいずれか一項に規定されるような化合物またはその医薬的に許容される塩;および
(b)医薬的に許容される賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項5】
薬剤として使用するための、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
疾患、障害または病状の治療に使用するための、請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
GPR6に関連する疾患、障害または病状の治療に使用するための、請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される疾患、障害または病状の治療に使用するための、請求項4~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
パーキンソン病の治療に使用するための、請求項4~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
被験体におけるパーキンソン病の治療に使用するためであって、前記治療が前記被検体の運動症状を改善する、請求項4~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
パーキンソン病の非運動性の臨床症状の治療に使用するための、請求項4~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記化合物またはその医薬的に許容される塩が:
(a)0.5mg/kg~5.0mg/kgの範囲内の用量での投与;および/または、
(b)経口投与
に適合される、請求項4~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
薬剤としての使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
疾患、障害または病状の治療における使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
GPR6に関連する疾患、障害または病状の治療における使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される、疾患、障害または病状の治療における使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
パーキンソン病の治療における使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
被験体でのパーキンソン病の治療における使用のための、前記治療が前記被検体の運動症状を改善する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
パーキンソン病の、非運動性の臨床症状の治療における使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
前記化合物またはその医薬的に許容される塩が:
(a)0.5mg/kg~5.0mg/kgの範囲内の用量での投与;および/または、
(b)経口投与
に適合される、請求項13~19のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項21】
少なくとも1つの更なる薬理活性剤を更に含む、請求項4~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項4~12のいずれか一項に記載の医薬組成物と、少なくとも1つの更なる薬理活性剤を含む医薬組成物とを含む、キット。
【請求項23】
前記キットが、請求項4~12のいずれか一項に記載の医薬組成物と、少なくとも1つの更なる薬理活性剤を含む医薬組成物とを、同時、連続的、または別々に投与することに適している、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記更なる薬理活性剤が:
(a)レボドパ、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン作動薬、抗コリン作動薬、選択的モノアミンオキシダーゼB阻害剤およびカテコールO-メチルトランスフェラーゼ阻害剤からなる群から選択される;および/または、
(b)アマンタジンである;および/または、
(c)DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤と組み合わせたレボドパである;および/または、
(d)カルビドパ、ベンセラジド、メチルドパ、α-ジフルオロメチル-DOPA、3’,4’,5,7-テトラヒドロキシ-8-メチルイソフラボン、塩酸アポモルフィン、ブロモクリプチン、ロチゴチン、プラミペキソール、ロピニロール、トリヘキフェニジル、メシル酸ベンズトロピン、サフィナミド、セレジリン、ラサギリン、エンタカポンおよびトルカポンからなる群から選択される;および/または、
(e)β-セクレターゼ阻害剤、γ-セクレターゼ阻害剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)からなる群から選択される;および/または、
(f)アパゾン、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック(ミソプロストール含有および非含有)、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸コリンおよびマグネシウム、サルサレート、ならびにスリンダクからなる群から選択される;および/または、
(g)ドネペジル、リバスチグミン、メマンチンおよびガランタミンからなる群から選択される;および/または、
(h)鎮痛剤、催眠薬、抗不安薬、抗精神病薬および精神安定剤からなる群から選択される;および/または、
(i)アミトリプチリン、アモキサピン、アリピプラゾール、アセナピン、ブプロピオン、クロルジアゼポキシド、シタロプラム、クロルプロマジン、クロザピン、デシプラミン、デスベンラファキシン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、イロペリドン、イミプラミン、イソカルボキサジド、ラモトリジン、レボミルナシプラン、ルラシドン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、オランザピン、パリペリドン、パロキセチン、ペルフェナジン、フェネルジン、プロトリプチリン、クエチアピン、リスペリドン、サフィナミド、セレギリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、ビラゾドン、ボルチオキセチンおよびジプラシドンからなる群から選択される;および/または、
(j)アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバゼパム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ヒドロキシジン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、およびゾピクロン、およびブスピロンからなる群から選択される;および/または、
(k)アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、エスリカルバゼピン酢酸塩、エトスクシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリジン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナミド、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、チアガビン、トピラマート、ビガバトリンおよびゾニサミドからなる群から選択される、
請求項21に記載の医薬組成物、または請求項22もしくは23に記載のキット。
【請求項25】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、前記化合物またはその医薬的に許容される塩の経口投与に適合される、医薬組成物。
【請求項26】
前記化合物またはその医薬的に許容される塩の用量が、0.5mg/kg~5.0mg/kgの範囲内である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
疾患、障害または症状の治療用薬剤の製造における、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項28】
GPR6に関連する疾患、障害または症状の治療用薬剤の製造における、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項29】
パーキンソン病、レボドパ誘発性ジスキネシア、ハンチントン舞踏病、薬物依存、摂食障害、認知障害、統合失調症、双極性障害、癲癇、アルツハイマー病、不安症および鬱病からなる群から選択される、疾患、障害または病状の治療用薬剤の製造における、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項30】
パーキンソン病の治療用薬剤の製造における、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項31】
被験体でのパーキンソン病の治療用薬剤の製造における、前記治療が前記被検体の運動症状を改善する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項32】
パーキンソン病の、非運動性の臨床症状の治療用薬剤の製造における、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項33】
前記化合物またはその医薬的に許容される塩が:
(a)0.5mg/kg~5.0mg/kgの範囲内の用量での投与;および/または、
(b)経口投与
に適合される、請求項27~32のいずれか一項に記載の、使用。