IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

特開2022-188558基板処理システム、及び基板処理方法
<>
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図1
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図2
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図3
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図4
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図5
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図6
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図7
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図8
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図9
  • 特開-基板処理システム、及び基板処理方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188558
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】基板処理システム、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221214BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221214BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20221214BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20221214BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L21/304 622N
H01L21/304 622Q
H01L21/68 N
H01L21/304 643A
H01L21/02 C
B24B37/00 Z
B24B1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096689
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 聡美
【テーマコード(参考)】
3C049
3C158
5F057
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
3C049AA07
3C049AB04
3C049AC05
3C049CB06
3C158AA07
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED00
5F057AA21
5F057BA11
5F057CA12
5F057CA14
5F057CA21
5F057CA24
5F057CA25
5F057CA36
5F057DA38
5F057FA28
5F057FA37
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA33
5F131BA37
5F131BA43
5F131CA12
5F131DA02
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB37
5F131DB52
5F131DB58
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131EA05
5F131EA06
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB42
5F131EB63
5F131EB81
5F131EC21
5F131EC62
5F131EC72
5F131EC77
5F131GA14
5F131GA19
5F131HA28
5F131JA23
5F131JA24
5F131JA25
5F131JA27
5F131JA28
5F131JA32
5F131JA35
5F157AA15
5F157AA42
5F157AA76
5F157AA96
5F157AB14
5F157AB90
5F157BB22
5F157BB33
5F157BB66
5F157BE12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE43
(57)【要約】
【課題】処理対象である被処理面の裏面の変形および汚染等を防止できる基板処理システム、及び基板処理方法を提案する。
【解決手段】基板の被処理面に処理を施すための基板処理システムであって、前記基板処理システムは、前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形成するための保護膜形成部と、前記基板の前記被処理面に処理を施すための基板処理部と、前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去するための保護膜除去部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の被処理面に処理を施すための基板処理システムであって、
前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形成するための保護膜形成部と、
前記基板の前記被処理面に処理を施すための基板処理部と、
前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去するための保護膜除去部と、
を備える基板処理システム。
【請求項2】
前記保護膜形成部は、前記基板の前記裏面に液状の保護材を付して乾燥させることにより前記保護膜を形成する、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記保護膜形成部は、前記基板の回転を伴って当該基板の前記裏面に前記保護膜を形成する、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記保護膜形成部は、前記基板の前記裏面にフィルムを貼り付けることにより前記保護膜を形成する、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記保護膜除去部は、除去液を前記保護膜に作用させることにより前記保護膜を除去する、請求項1から4の何れか1項に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記保護膜除去部は、前記基板の前記裏面から前記保護膜を剥離させることにより前記保護膜を除去する、請求項1から5の何れか1項に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記基板処理システムは、前記基板を洗浄するための基板洗浄部を有し、
前記保護膜除去部は、前記基板洗浄部による前記基板の洗浄中に前記保護膜を除去する、
請求項1から6の何れか1項に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記保護膜が水溶性である、請求項1から7の何れか1項に記載の基板処理システム。
【請求項9】
前記保護膜は、PVA(ポリビニルアルコール)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI(ポリイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PAA(ポリアクリルアミド)、ポリケトン、セルロース混合エステル、ポリビニリデンフロライド、P SQ(ポリスチレン4級アンモニウム塩)、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アミノ基含有カチオン性ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含有カチオン性ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミンアミド-エピクロロヒドリン、ポリアリルアミン、ポリジシアンジアミド、キトサン、カチオン化キトサン、アミノ基含有カチオン化デンプン、アミノ基含有カチオン化セルロース、アミノ基含有カチオン化ポリビニルアルコール及び上記ポリマーの酸塩の1つまたは複数の材料から形成される、請求項1から8の何れか1項に記載の基板処理システム。
【請求項10】
前記除去液は、水、ガス溶存水、アンモニア、アンモニア過水、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、コリン、水酸化アンモニウム、硫酸、硫酸過水、過酸化水素水、オゾン水のうちの少なくとも1つから選択された、請求項5に記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記基板処理部における処理は、基板の研磨処理、研削処理、全面裏面研磨処理、ベベル研磨処理、または基板洗浄処理、のいずれか1つであることを特徴とする、請求項1か
ら10の何れか1項に記載の基板処理システム。
【請求項12】
基板の被処理面に処理を施すための基板処理方法あって、
前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形成し、
前記基板の前記被処理面に処理を施し、
前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去する、
ことを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理システム、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路における配線パターンの微細化を実現するための装置開発が進められている。これらの半導体集積回路を形成する工程においては、微粒子や塵埃などの異物が半導体集積回路に付着することがある。そして、半導体集積回路に付着した異物は、配線間の短絡や回路の不具合を引き起こしてしまう。したがって、半導体集積回路の信頼性を向上させるために、処理対象である基板(例えばウェハ)を洗浄して、基板の処理面の異物を除去することが行われている。
【0003】
ウェハの裏面にも、上述したような微粒子や粉塵などの異物が付着することがある。また、近年セリア砥粒といった微細な粒子を用いた研磨処理の開発が行われているが、セリアは極めて微細であるため、従来の基板洗浄プロセスでは基板面上から十分満足いくレベルにまで除去することが困難な場合もあることが分かってきた。そして、このような異物がウェハの裏面に付着すると、ウェハが露光装置のステージ基準面から離間したりウェハ表面がステージ基準面に対して傾いたりして、結果として、パターニングのずれや焦点距離のずれが生じるおそれがある。また、ウェハは、複数のウェハを積み重ねて保管する場合があり、こうした場合には、近接する複数のウェハ間で、ウェハの裏面に付着した異物がウェハの被処理面(おもて面)に移るおそれがある。このような問題を防止するために、従来、ウェハの裏面を研磨処理ないし洗浄する基板処理装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、基板の裏面側を上向きになるように保持し、基板面に研磨液を供給しながら研磨テープを基板の裏面側に押し付けることにより、基板裏面が研磨処理されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-150178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェハの裏面をロールスポンジ等で洗浄すると、ロールスポンジに蓄積した砥粒などが基板裏面に付着する可能性があり、かえって基板の裏面に微細な異物が生じてしまうことがあり得る。また、基板処理装置では、基板の被処理面に全面裏面研磨処理などの処理を施す際に、基板の裏面を真空吸着する場合がある。こうした場合には、真空吸着によって基板の裏面に凹凸が転写されて裏面が変形しまうおそれがある。さらに、裏面、又はベベルを研磨処理などの処理を施す装置では、被処理面の裏面に、つまりコンタクト配線等が形成されているおもて面に、微細な研磨屑などの異物が生じてしまうことがあり得る。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、処理対象である被処理面の裏面の変形および汚染等を防止できる基板処理システム、及び基板処理方法を提案することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、基板の被処理面に処理を施すための基板処理システムが提案され、前記基板処理システムは、前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形
成するための保護膜形成部と、前記基板の前記被処理面に処理を施すための基板処理部と、前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去するための保護膜除去部と、を備える。こうした基板処理システムによれば、基板の裏面に保護膜を形成した状態で、被処理面に処理を施すことができる。これにより、被処理面の裏面の変形および汚染等を防止できる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、基板の被処理面に処理を施すための基板処理方法が提案され、前記基板処理方法は、前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形成し、前記基板の前記被処理面に処理を施し、前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去する、ことを特徴とする。こうした基板処理方法によれば、上記した基板処理システムと同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の基板処理システムの全体構成の一例を示す平面図である。
図2】基板処理部を模式的に示す斜視図である。
図3】トップリングの一例を示す断面図である。
図4図4(A)は洗浄ユニット4を示す平面図であり、図4(B)は洗浄ユニット4を示す側面図である。
図5】本実施形態の基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図6】保護膜形成モジュールの一例を模式的に示す図である。
図7】保護膜形成モジュールの別の一例を模式的に示す図である。
図8】保護膜除去モジュールの一例を模式的に示す図である。
図9】保護膜除去モジュールの別の一例を模式的に示す図である。
図10】変形例の研磨装置における研磨処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る基板処理システム、及び基板処理方法の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
<基板処理システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理システムの全体構成を示す平面図である。本実施形態の基板処理ステムは、基板(ウェハ)の被処理面に研磨処理を施す研磨装置(CMP装置)1000として構成されている。なお、基板処理システムは、研磨装置1000に限定されるものではなく、例えば被処理面のバフ処理を行うバフ処理装置、被処理面を洗浄する洗浄装置、又は基板の切り離し処理を行うダイシング装置などであってもよい。
【0012】
また、基板処理システムは、コンタクト配線等が形成されたおもて面を被処理面とするものに限定されず、おもて面に対する背面を被処理面として処理を施すものであってもよい。以下では、「裏面」は、基板処理システムが処理を施す被処理面の裏側の面を意味するものとして説明を行う。つまり、基板処理システムがおもて面に対する背面を被処理面とする場合、コンタクト配線などが形成されたおもて面が「裏面」となる。さらに、以下では、丸型の基板を例に説明するが、基板は、丸型に限定されるものではなく、四角形などの角型であってもよい。また、基板は、半導体基板に限定されず、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイに用いるガラス基板であってもよい。
【0013】
図1に示すように、基板処理システムの一例である研磨装置(CMP装置)1000は
、略矩形状のハウジング1を備える。ハウジング1の内部は、隔壁1a,1bによって、ロード/アンロードユニット2と、研磨ユニット3と、洗浄ユニット4と、に区画される。ロード/アンロードユニット2、研磨ユニット3、及び洗浄ユニット4は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。詳しくは後述するが、洗浄ユニット4は、基板(ウェハ)の裏面に保護膜を形成するための保護膜形成室300と、保護膜を除去するための保護膜除去室400とを備える。また、洗浄ユニット4は、研磨装置に電源を供給する電源供給部と、処理動作を制御する制御装置5と、を備える。
【0014】
<ロード/アンロードユニット>
本発明の一実施形態におけるロード/アンロードユニット2は、多数の基板をストックするウェハカセットが載置される2つ以上(本実施形態では4つ)のフロントロード部20を備える。これらのフロントロード部20は、ハウジング1に隣接して配置され、研磨装置の幅方向(長手方向と垂直な方向)に沿って配列される。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。ここで、SMIF及びFOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0015】
また、ロード/アンロードユニット2には、フロントロード部20の並びに沿って走行機構21が敷設される。走行機構21上には、ウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー、搬送機構)22が設置される。搬送ロボット22は、走行機構21上を移動することによって、フロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。各搬送ロボット22は、上下に2つのハンドを備えている。上側のハンドは、処理されたウェハをウェハカセットに戻すときに使用される。下側のハンドは、処理前のウェハをウェハカセットから取り出すときに使用される。このように、上下のハンドを使い分けることができるようになっている。さらに、搬送ロボット22の下側のハンドは、ウェハを反転させることができるように構成されている。
【0016】
ロード/アンロードユニット2は最もクリーンな状態を保つ必要がある領域であるため、ロード/アンロードユニット2の内部は、研磨装置外部、研磨ユニット3、及び、洗浄ユニット4のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。研磨ユニット3は、研磨液としてスラリーを用いるため最もダーティな領域である。したがって、研磨ユニット3の内部には負圧が形成され、その圧力は洗浄ユニット4の内部圧力よりも低く維持される。ロード/アンロードユニット2には、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ、又は、ケミカルフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられている。フィルタファンユニットからは、パーティクル、有毒蒸気、又は有毒ガスが除去されたクリーンエアが常時吹き出している。
【0017】
<研磨ユニット>
本発明の一実施形態における研磨ユニット3は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域である。研磨ユニット3は、基板処理システムにおける基板処理部の一例である。研磨ユニット3は、第1研磨モジュール3A、第2研磨モジュール3B、第3研磨モジュール3C、及び、第4研磨モジュール3Dを備えている。第1研磨モジュール3A、第2研磨モジュール3B、第3研磨モジュール3C、及び第4研磨モジュール3Dは、図1に示すように、研磨装置の長手方向に沿って配列される。
【0018】
図1に示すように、第1研磨モジュール3Aは、研磨面を有する研磨パッド(研磨具)10が取り付けられた研磨テーブル30Aと、ウェハを保持して研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨するためのトップリング31Aと、研磨パッド10に
研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル32Aと、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ33Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体又は液体(例えば純水)を噴射して研磨面上のスラリーや研磨生成物、及びドレッシングによる研磨パッド残渣を除去するアトマイザ34Aと、を備えている。
【0019】
同様に、第2研磨モジュール3Bは、研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bと、を備えている。第3研磨モジュール3Cは、研磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cと、を備えている。第4研磨モジュール3Dは、研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dと、を備えている。
【0020】
第1研磨モジュール3A、第2研磨モジュール3B、第3研磨モジュール3C、及び第4研磨モジュール3Dは、互いに同一の構成を有しているので、以下、第1研磨モジュール3Aについてのみ説明する。
【0021】
図2は、第1研磨モジュール3Aを模式的に示す斜視図である。トップリング31Aは、トップリングシャフト36に支持される。研磨テーブル30Aの上面には研磨パッド10が貼付される。研磨パッド10の上面は、ウェハWを研磨する研磨面を形成する。なお、研磨パッド10に代えて固定砥粒を用いることもできる。トップリング31A及び研磨テーブル30Aは、矢印で示すように、その軸心周りに回転するように構成される。ウェハWは、トップリング31Aの下面に真空吸着により保持される。本実施形態では、ウェハWの裏面(図2中、上面)には保護膜40が形成されており、ウェハWは、保護膜40を介してトップリング31Aに保持されている。保護膜40については、後に詳細に説明する。研磨時には、研磨液供給ノズル32Aから研磨パッド10の研磨面に研磨液が供給された状態で、研磨対象であるウェハWの被処理面(図2中、下面)がトップリング31Aにより研磨パッド10の研磨面に押圧されて研磨される。
【0022】
膜厚センサ70は、研磨テーブル30内に設置されており、研磨テーブル30とともに回転する。膜厚センサ70は、研磨テーブル30が1回転するたびに、ウェハWの中心部を含む複数の領域での膜厚信号を取得するように構成されている。膜厚センサ70の例としては、光学式センサや渦電流センサが挙げられる。ウェハWの研磨中、膜厚センサ70はウェハWの表面を横切りながら膜厚信号を取得する。この膜厚信号は、ウェハWの膜厚を直接または間接に示す指標値であり、ウェハWの膜厚の減少に従って変化する。膜厚センサ70は制御装置5に接続されており、膜厚信号は制御装置5に送られるようになっている。制御装置5は、膜厚信号によって示されるウェハWの膜厚が所定の目標値に達したときに、ウェハWの研磨を終了させる。
【0023】
図3は、一実施形態におけるトップリング31Aを示す断面図である。なお、トップリング31B~31Dはトップリング31Aと同様の構成であるため、トップリング31Aについてのみ説明する。トップリング31Aは、トップリングシャフト36に自由継手19を介して連結されるトップリング本体23と、トップリング本体23の下方に配置されたリテーナリング24(図2では省略)とを備えている。
【0024】
トップリング本体23の下方には、ウェハWの裏面に形成された保護膜40に当接する柔軟なメンブレン(弾性膜)25と、メンブレン25を保持するチャッキングプレート26とが配置されている。メンブレン25とチャッキングプレート26との間には、4つの圧力室C1,C2,C3,C4が設けられている。圧力室C1,C2,C3,C4はメンブレン25とチャッキングプレート26とによって形成されている。中央の圧力室C1は円形であり、他の圧力室C2,C3,C4は環状である。これらの圧力室C1,C2,C3,C4は、同心円状に配列されている。圧力室C1~C4のそれぞれは、図示しない気体供給源に接続され、内部圧力を互いに独立して変化させることができるようになっている。
【0025】
<搬送機構>
次に、ウェハを搬送するための搬送機構について説明する。図1に示すように、第1研磨モジュール3A及び第2研磨モジュール3Bに隣接して、第1リニアトランスポータ6が配置されている。第1リニアトランスポータ6は、研磨モジュール3A,3Bが配列する方向に沿った4つの搬送位置(ロード/アンロードユニット側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4とする)の間でウェハを搬送する機構である。また、第3研磨モジュール3C及び第4研磨モジュール3Dに隣接して、第2リニアトランスポータ7が配置される。第2リニアトランスポータ7は、研磨モジュール3C,3Dが配列する方向に沿った3つの搬送位置(ロード/アンロードユニット側から順番に第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7とする)の間でウェハを搬送する機構である。
【0026】
ウェハは、第1リニアトランスポータ6によって研磨モジュール3A,3Bに搬送される。第1研磨モジュール3Aのトップリング31Aは、トップリングヘッドのスイング動作により研磨位置と第2搬送位置TP2との間を移動する。そして、トップリング31Aへのウェハの受け渡しは第2搬送位置TP2で行われる。同様に、第2研磨モジュール3Bのトップリング31Bは研磨位置と第3搬送位置TP3との間を移動し、トップリング31Bへのウェハの受け渡しは第3搬送位置TP3で行われる。第3研磨モジュール3Cのトップリング31Cは研磨位置と第6搬送位置TP6との間を移動し、トップリング31Cへのウェハの受け渡しは第6搬送位置TP6で行われる。第4研磨モジュール3Dのトップリング31Dは研磨位置と第7搬送位置TP7との間を移動し、トップリング31Dへのウェハの受け渡しは第7搬送位置TP7で行われる。
【0027】
第1搬送位置TP1には、搬送ロボット22からウェハを受け取るためのリフタ11が配置されている。ウェハは、リフタ11を介して搬送ロボット22から第1リニアトランスポータ6に渡される。リフタ11と搬送ロボット22との間に位置してシャッタ(図示せず)が隔壁1aに設けられており、ウェハの搬送時にはシャッタが開かれて搬送ロボット22からリフタ11にウェハが渡されるようになっている。また、第1リニアトランスポータ6と、第2リニアトランスポータ7と、洗浄ユニット4と、の間にはスイングトランスポータ12が配置されている。スイングトランスポータ12は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有している。第1リニアトランスポータ6から第2リニアトランスポータ7へのウェハの受け渡しは、スイングトランスポータ12によって行われる。ウェハは、第2リニアトランスポータ7によって第3研磨モジュール3C及び/又は第4研磨モジュール3Dに搬送される。また、研磨ユニット3で研磨されたウェハはスイングトランスポータ12を経由して洗浄ユニット4に搬送される。
【0028】
第1リニアトランスポータ6、第2リニアトランスポータ7は、特開2010-50436号公報に記載されているように、それぞれ複数の搬送ステージ(図示せず)を有する。これにより、例えば未研磨のウェハを各搬送位置に搬送する搬送ステージと、研磨後のウェハを各搬送位置から搬送する搬送ステージと、を使い分けることができる。これによりウェハを速やかに搬送位置に搬送して研磨を開始し、研磨後のウェハを速やかに洗浄ユニットに送ることができる。
【0029】
<洗浄ユニット>
図4(A)は洗浄ユニット4を示す平面図であり、図4(B)は洗浄ユニット4を示す
側面図である。図4(A)及び図4(B)に示すように、洗浄ユニット4は、ここではロール洗浄室190と、第1搬送室191と、ペン洗浄室192と、第2搬送室193と、保護膜形成室300と、第3搬送室195と、保護膜除去室400と、に区画されている。洗浄ユニットは、基板処理システムにおける基板洗浄部の一例である。
【0030】
ロール洗浄室190内には、縦方向に沿って配列された上側ロール洗浄モジュール201A及び下側ロール洗浄モジュール201Bが配置されている。上側ロール洗浄モジュール201Aは、下側ロール洗浄モジュール201Bの上方に配置されている。上側ロール洗浄モジュール201A及び下側ロール洗浄モジュール201Bは、洗浄液をウェハの表裏面に供給しながら、回転する2つのロールスポンジをウェハの表裏面にそれぞれ押し付けることによってウェハを洗浄する洗浄機である。上側ロール洗浄モジュール201Aと下側ロール洗浄モジュール201Bとの間には、ウェハの仮置き台204が設けられている。
【0031】
ペン洗浄室192内には、縦方向に沿って配列された上側ペン洗浄モジュール202A及び下側ペン洗浄モジュール202Bが配置されている。上側ペン洗浄モジュール202Aは、下側ペン洗浄モジュール202Bの上方に配置されている。上側ペン洗浄モジュール202A及び下側ペン洗浄モジュール202Bは、洗浄液をウェハの表面に供給しながら、回転するペンシルスポンジをウェハの表面に押し付けてウェハの径方向に揺動することによってウェハを洗浄する洗浄機である。上側ペン洗浄モジュール202Aと下側ペン洗浄モジュール202Bとの間には、ウェハの仮置き台203が設けられている。なお、スイングトランスポータ12の側方には、図示しないフレームに設置されたウェハWの仮置き台180が配置されている。仮置き台180は、第1リニアトランスポータ6に隣接して配置されており、第1リニアトランスポータ6と洗浄ユニット4との間に位置している。
【0032】
上側ロール洗浄モジュール201A、下側ロール洗浄モジュール201B、上側ペン洗浄モジュール202A、下側ペン洗浄モジュール202B、及び仮置き台203は、図示しないフレームにボルトなどを介して固定される。
【0033】
保護膜形成室300には、上側保護膜形成モジュール(保護膜形成部)300A、及び、下側保護膜形成モジュール(保護膜形成部)300Bが備えられる。上側保護膜形成モジュール300A及び下側保護膜形成モジュール300Bは、研磨装置1000における処理対象であるウェハWの被処理面の裏面に、処理に先立って保護膜40を形成するための機構である。なお、保護膜形成モジュールとして、2つのモジュールが設けられるものに限定されず、1つ、又は3つ以上のモジュールが設けられてもよい。
【0034】
保護膜除去室400には、上側保護膜除去モジュール(保護膜除去部)400A、及び下側保護膜除去モジュール(保護膜除去部)400Bが備えられる。上側保護膜除去モジュール400A及び下側保護膜除去モジュール400Bは、処理が施されたウェハWの裏面から、保護膜40を除去するための機構である。なお、保護膜除去モジュールとして、2つのモジュールが設けられるものに限定されず、1つ、又は3つ以上のモジュールが設けられてもよい。
【0035】
なお、保護膜除去室400には、ウェハWを乾燥させるための乾燥モジュールが更に配置されてもよい。また、洗浄ユニット4には、保護膜除去室400とは別に、ウェハWを乾燥させるための乾燥室が設けられてもよい。さらに、保護膜形成室300と保護膜除去室400とが別々に設けられることに限定されず、同一空間とされてもよい。
【0036】
第1搬送室191には、上下動可能な第1搬送ロボット(搬送機構)209が配置され
る。第2搬送室193には、上下動可能な第2搬送ロボット210が配置される。第3搬送室195には、上下動可能な第3搬送ロボット(搬送機構)213が配置される。第1搬送ロボット209、第2搬送ロボット210、及び、第3搬送ロボット213は、縦方向に延びる支持軸211,212,214にそれぞれ移動自在に支持されている。第1搬送ロボット209、第2搬送ロボット210、及び、第3搬送ロボット213は、内部にモータなどの駆動機構を有しており、支持軸211,212,214に沿って上下に移動自在となっている。第1搬送ロボット209は、搬送ロボット22と同様に、上下二段のハンドを有している。第1搬送ロボット209は、図4(A)の点線で示すように、その下側のハンドが上述した仮置き台180にアクセス可能な位置に配置されている。第1搬送ロボット209の下側のハンドが仮置き台180にアクセスするときには、隔壁1bに設けられているシャッタ(図示せず)が開くようになっている。
【0037】
第1搬送ロボット209は、仮置き台180、上側ロール洗浄モジュール201A、下側ロール洗浄モジュール201B、仮置き台204、上側ペン洗浄モジュール202A、下側ペン洗浄モジュール202B、及び、仮置き台203、の間でウェハWを搬送するように動作する。洗浄前のウェハ(スラリーが付着しているウェハ)を搬送するときは、第1搬送ロボット209は、下側のハンドを用い、洗浄後のウェハを搬送するときは上側のハンドを用いる。
【0038】
第2搬送ロボット210は、上側ロール洗浄モジュール201A、下側ロール洗浄モジュール201B、仮置き台204、上側保護膜形成モジュール300A、及び、下側保護膜形成モジュール300B、の間でウェハWを搬送するように動作する。第2搬送ロボット210は、上下二段のハンドを有している。
【0039】
第3搬送ロボット213は、上側ペン洗浄モジュール202A、下側ペン洗浄モジュール202B、仮置き台203、上側保護膜除去モジュール400A、及び、下側保護膜除去モジュール400B、の間でウェハWを搬送するように動作する。第3搬送ロボット213は、洗浄されたウェハのみを搬送するので、1つのハンドのみを備えている。図1に示す搬送ロボット22は、上側のハンドを用いて上側保護膜除去モジュール400A又は下側保護膜除去モジュール400Bからウェハを取り出し、そのウェハをウェハカセットに戻す。搬送ロボット22の上側ハンドが保護膜除去モジュール400A,400Bにアクセスするときには、隔壁1aに設けられているシャッタ(図示せず)が開くようになっている。
【0040】
なお、洗浄ユニット4の第1搬送ロボット209は、上側ロール洗浄モジュール201A、下側ロール洗浄モジュール201B、上側ペン洗浄モジュール202A、下側ペン洗浄モジュール202B、仮置き台203、及び、仮置き台204の間でウェハWを搬送する。第2搬送ロボット210は、上側ロール洗浄モジュール201A、下側ロール洗浄モジュール201B、上側保護膜形成モジュール300A、下側保護膜形成モジュール300B、及び、仮置き台204の間でウェハWを搬送する。第3搬送ロボット213は、上側ペン洗浄モジュール202A、下側ペン洗浄モジュール202B、上側保護膜除去モジュール400A、下側保護膜除去モジュール400B、及び、仮置き台203の間でウェハWを搬送する。
【0041】
なお、本実施形態では、洗浄ユニット4内において、保護膜形成室300、ロール洗浄室190、ペン洗浄室192、及び保護膜除去室400を、ロード/アンロードユニット2から遠い方から順番に並べて配置する例を示したが、これには限られない。保護膜形成室300、ロール洗浄室190、ペン洗浄室192、及び保護膜除去室400の配置態様は、ウェハの品質及びスループットなどに応じて適宜選択し得る。また、本実施形態では、保護膜形成モジュール300A,300B、及び、保護膜除去モジュール400A,400Bを別々に備える例を示すが、これに限らず共通したモジュールを備えていてもよい。また、本実施形態では、ウェハWを洗浄するモジュールとしてロール洗浄モジュール、及び、ペン洗浄モジュールを挙げて説明したが、これに限らず、バフ研磨、2流体ジェット洗浄(2FJ洗浄)、又はメガソニック洗浄を行うこともできる。バフ研磨は、ウェハWに対してバフパッドを接触させながら、ウェハWとバフパッド502を相対運動させ、ウェハWとバフパッドとの間にスラリー等の研磨液を介在させることによりウェハWの処理面を研磨除去するものである。2流体ジェット洗浄は、高速気体に乗せた微小液滴(ミスト)を2流体ノズルからウェハWに向けて噴出させて衝突させ、微小液滴のウェハW表面への衝突で発生した衝撃波を利用してウェハW表面のパーティクル等を除去(洗浄)するものである。メガソニック洗浄は、洗浄液に超音波を加え、洗浄液分子の振動加速度による作用力をパーティクル等の付着粒子に作用させて除去するものである。
【0042】
次に、本実施形態における基板処理方法について説明する。図5は、基板処理方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図5に示す基板処理方法は、予め制御装置5に記憶されたプログラムに従って制御装置5が研磨装置1000の各構成を制御することにより実行されるものとするが、少なくとも一部の工程は作業者等によって実行されてもよい。
【0043】
まず、研磨装置1000は、ウェハWの被処理面の処理に先立って、ウェハ(基板)Wの裏面に保護膜40を形成する(S12)。本実施形態では、この処理は、上側保護膜形成モジュール300A又は下側保護膜形成モジュール300Bにおいて行われる。なお、保護膜形成モジュール300A及び下側保護膜形成モジュール300Bは、保護膜40の形成に先立って、図示しない気体供給口からウェハWの裏面に気体を吹き付けるなどして、ウェハWの裏面から異物等を除去してもよい。保護膜40は、研磨装置1000におけるウェハWの被処理面の処理、及びウェハWの搬送時に、ウェハWの裏面に研磨屑などの異物が付着したり、ウェハWの裏面に凹凸が形成されたりすることを防止するために設けられるものである。ここで、保護膜40は、水溶性の材料で形成されることが好ましい。こうすれば、ウェハWの裏面から保護膜40を除去した後にウェハWを洗浄することで、ウェハWの裏面に保護膜40が残ることを好適に抑制できる。
【0044】
なお、保護膜40としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI(ポリイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PAA(ポリアクリルアミド)、ポリケトン、セルロース混合エステル、ポリビニリデンフロライド、P SQ(ポリスチレン4級アンモニウム塩)、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アミノ基含有カチオン性ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含有カチオン性ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミンアミド-エピクロロヒドリン、ポリアリルアミン、ポリジシアンジアミド、キトサン、カチオン化キトサン、アミノ基含有カチオン化デンプン、アミノ基含有カチオン化セルロース、アミノ基含有カチオン化ポリビニルアルコール及び上記ポリマーの酸塩の1つまたは複数の材料から形成されるものとすることができる。
【0045】
図6は、上側保護膜形成モジュール300Aの一例を模式的に示す図である。なお、図6及び後述する図7では、理解の容易のため、ウェハWの裏面にハッチングを付している。また、下側保護膜形成モジュール300Bは、上側保護膜形成モジュール300Aと同一の構成を有しているので、以下、上側保護膜形成モジュール(単に、「保護膜形成モジュール」と称する)300Aについてのみ説明する。図6に示す例では、保護膜形成モジュール300Aは、ウェハWの外周を支持するための4つの支持部材301と、ウェハWの裏面に液状の保護材を供給するためのノズル306と、を有している。支持部材301は例えばスピンドル、チャック等である。このスピンドル、チャック等の回転により、ウェハWを回転させることができる。図6に示す保護膜形成モジュール300Aは、スピンコート法によってウェハWの裏面に保護膜40を形成するように構成されている。つまり、保護膜形成モジュール300Aは、ノズル306から液状の保護材をウェハWの裏面に供給し、ウェハWを回転させることによりウェハWの裏面に保護材を伸ばす。そして、保護材を乾燥させることにより、保護膜40を形成する。ここで、ノズル306からの保護材の供給速度、ウェハWの回転速度、及び乾燥時間などは、保護材の材質およびウェハWの大きさなどに基づいて、予め実験等により定められればよい。また、別の一例として、保護膜形成モジュール300Aは、ウェハWを回転させながらノズル306をウェハWの中心と端部との間で移動させてノズル306から液状の保護剤を供給して、ウェハWの裏面に保護膜40を形成してもよい。この場合には、ウェハWの中心に近い位置ではノズル306の移動を速くし、ウェハWの中心から離れた位置ではノズル306の移動を遅くすることにより、単位面積当たりの保護剤の供給量の均一化を図ってもよい。
【0046】
図7は、保護膜形成モジュール300Aの別の一例を模式的に示す図である。図7に示す例では、保護膜形成モジュール300Aは、支持部材301によって支持されたウェハWにフィルム41を貼り付けることによって、ウェハWの裏面に保護膜40を形成するように構成されている。ここで、フィルム41は、図示しないハンドなどの治具を使用してウェハWの裏面に貼り付けられるものとしてもよい。また、フィルム41は、真空吸着などによって保持されてウェハWの裏面に貼り付けられるものとしてもよい。なお、図7に示す例では、フィルム41を移動させてウェハWの裏面にフィルム41が貼り付けられるものとしているが、これに代えて又は加えて、ウェハWを移動させてウェハWの裏面にフィルム41が貼り付けられてもよい。また、フィルム41は、フィルム41自体の粘着性によってウェハWの裏面に貼り付けられてもよいし、接着剤を使用してウェハWの裏面に貼り付けられてもよい。なお、接着剤は、水溶性であることが好ましい。こうすれば、ウェハWの裏面から保護膜40を除去した後にウェハWを洗浄することで、ウェハWの裏面に接着剤が残ることを好適に抑制できる。
【0047】
なお、図6及び図7に示す例では、支持部材301は、ウェハWの裏面が上方を向くようにウェハWを支持するものとしているが、こうした例に限定されず、例えばウェハWの裏面が下方を向くようにウェハWを支持してもよい。こうした場合、液状の保護材を供給するためのノズル306は、ウェハWの裏面に保護材を供給するように、その位置および保護材の噴出強度が定められるとよい。また、支持部材301は、ウェハWの外周面を支持する4つの部材で構成されるものとしたが、こうした例に限定されるものではない。例えば、保護膜形成モジュール300Aは、ウェハWの被処理面を支持してもよいし、磁気またはベルヌーイ効果などを利用してウェハWを支持するように構成されてもよい。
【0048】
なお、ウェハWの裏面に保護膜40を形成する方法は、図6図7に示す例に限定されるものではなく、既知の種々の方法が採られてもよい。例えば、溶媒キャスト法、転写法、印刷法等による製膜方法の他、必要に応じて加熱処理や、圧延・延伸などの機械的処理を組み合わせて、ウェハWの裏面に保護膜40を形成してもよい。
【0049】
再び図5を参照する。ウェハWの裏面に保護膜40を形成すると、研磨装置1000は、ウェハWの被処理面に処理を施す(S14)。本実施形態の研磨装置1000では、研磨ユニット3によって、ウェハWの被処理面に研磨処理が施される。本実施形態の研磨装置1000では、ウェハWの裏面に保護膜40が形成されているため、ウェハWの被処理面に処理を施す際に、ウェハWの裏面の汚染を防止できる。また、トップリング31Aによる真空吸着など、ウェハWの保持または搬送の際に、ウェハWの裏面が変形することを防止できる。
【0050】
そして、ウェハWの被処理面に処理を施したら、研磨装置1000は、ウェハWの裏面から保護膜40を除去する(S16)。本実施形態では、この処理は、上側保護膜除去モジュール400A又は下側保護膜除去モジュール400Bにおいて行われる。ここで、上側保護膜除去モジュール400A及び下側保護膜除去モジュール400Bによる保護膜40の除去は、洗浄ユニット4によるウェハWの洗浄中に行われるものとしてもよい。具体的には、保護膜40の除去は洗浄ユニット4によるウェハWの被処理面の洗浄がなされた後に行われ、保護膜40が除去された後にウェハWの裏面が洗浄されるものとしてもよい。また、保護膜40の除去は洗浄ユニット4によるウェハWの被処理面の洗浄および乾燥がなされた後に行われ、保護膜40が除去された後にウェハWの裏面が洗浄されるものとしてもよい。ただし、こうした例に限定されず、保護膜除去モジュール400A,400Bによる保護膜40の除去後に、洗浄ユニット4によるウェハWの洗浄が行われるものとしてもよい。
【0051】
図8は、上側保護膜除去モジュール400Aの一例を模式的に示す図である。なお、下側保護膜除去モジュール400Bは、上側保護膜除去モジュール400Aと同一の構成を有しているので、以下、上側保護膜除去モジュール(単に、「保護膜除去モジュール」と称する)400Aについてのみ説明する。図8に示す例では、保護膜除去モジュール400Aは、ウェハWの外周を支持するための4つの支持部材302と、保護膜40をウェハWの裏面から剥離させるための剥離機構307と、を有する。剥離機構307は、一例として、ハンド、ピンセット、ヘラ等の剥離治具を使用して保護膜40をウェハWの裏面から剥離させるように構成される。なお、保護膜除去モジュール400Aは、保護膜40をウェハWの裏面から剥離させる際に、剥離を円滑にするための薬液などをウェハWと保護膜40との間に供給してもよい。
【0052】
図9は、保護膜除去モジュール400Aの別の一例を模式的に示す図である。図9に示す例では、保護膜除去モジュール400Aは、ウェハWを支持するための4つの支持部材302と、保護膜40を除去するための除去液を保護膜40に作用させるためのノズル308と、を有している。支持部材302は例えばスピンドル、チャック等である。このスピンドル、チャック等の回転により、ウェハWを回転させることができる。除去液は、保護膜40を溶かして除去するための液体であり、保護膜40の材質に基づいて選択される液体を使用することができる。一例として、除去液は、水、ガス溶存水、アンモニア、アンモニア過水、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、コリン、水酸化アンモニウム、硫酸、硫酸過水、過酸化水素水、オゾン水のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。また、保護膜除去モジュール400Aは、除去液を加熱するための加熱器を備えてもよい。なお、除去液を保護膜40に作用させて保護膜40を除去する場合、除去液によって保護膜40を完全に溶かすものに限定されない。例えばその後の洗浄ユニット4における洗浄、例えば下側ロール洗浄モジュール201Bの作用によって、保護膜40を除去可能な程度に保護膜40を溶かすものとしてもよい。また、除去液を保護膜40に作用させるときには、支持部材302によってウェハWを回転させてもよい。こうすれば、保護膜40の全体に除去液を作用させることができると考えられる。なお、図9に示す例では、保護膜除去モジュール400Aは、ノズル308から除去液を保護膜40へ噴出させて作用させるものとしたが、こうした例に限定されない。例えば、保護膜除去モジュール400Aは、除去液が貯められた液槽内にウェハWを浸けることにより、除去液を保護膜40に作用させてもよい。
【0053】
なお、図8及び図9に示す例では、支持部材302は、ウェハWの裏面が下方を向くようにウェハWを支持するものとしているが、こうした例に限定されず、例えばウェハWの裏面が上方を向くようにウェハWを支持してもよい。また、支持部材302は、ウェハWの外周面を支持する4つの部材で構成されるものとしたが、こうした例に限定されるものではない。例えば、保護膜除去モジュール400A,400Bは、ウェハWの被処理面を
支持してもよいし、磁気などを利用してウェハWを支持するように構成されてもよい。また、ウェハWの裏面に保護膜40を除去する方法は、図8図9に示す例に限定されるものではなく、既知の種々の方法が採られてもよい。
【0054】
以上説明した基板処理システムおよび基板処理方法によれば、保護膜形成モジュール300AにおいてウェハWの裏面に保護膜40を形成する。そして、研磨ユニット3においてウェハWの被処理面に処理を施し、保護膜除去モジュール400AにおいてウェハWの裏面から保護膜40を除去する。これにより、ウェハWの裏面の汚染および変形等を防止して、ウェハWの被処理面に処理を施すことができる。また、本実施形態では、保護膜40が水溶性であるため、保護膜40を除去した後にウェハWを洗浄することで、ウェハWの裏面に保護膜40が残ることを好適に抑制できる。
【0055】
(変形例)
なお、上記した実施形態では、ウェハWの裏面に保護膜40を形成するための保護膜形成モジュール300A,300B、及びウェハWの裏面から保護膜40を除去するための保護膜除去モジュール400A,400Bが、洗浄ユニット4に設けられるものとした。しかし、こうした例に限定されるものではなく、保護膜形成モジュール300A,300Bと保護膜除去モジュール400A,400Bとの少なくとも一方は、ロード/アンロードユニット2、又は研磨ユニット3に設けられてもよい。例えば、保護膜形成モジュール300Aは、ウェハWが、上記した搬送ロボット22の下側のハンドに保持されている状態で、ウェハWの裏面に保護膜40を形成するように構成されてもよい。この場合、搬送ロボット22によるウェハWの反転に伴ってウェハWの裏面にフィルム41が貼り付けられることにより保護膜40が形成されるものとしてもよい。また、保護膜形成モジュール300Aは、上記したトップリング31Aを使用して、ウェハWの裏面に保護膜40を貼り付けるように構成されてもよい。つまり、保護膜形成モジュール300Aは、トップリング31Aにフィルム41を保持させ、基板Wの裏面にフィルム41を貼り付けることにより保護膜40が形成されるものとしてもよい。この場合には、圧力室C1~C4内の圧力を制御してウェハWの裏面にフィルム41を貼り付けることができるので、ウェハWとフィルム41との間に空気などが残ってしまうことなどを好適に抑制できると考えられる。
【0056】
また、上記した実施形態では、保護膜形成モジュール300A,300B、及び保護膜除去モジュール400A,400Bが、研磨装置1000内に設けられるものとした。しかし、こうした例に限定されるものではなく、ウェハWの裏面に保護膜40を形成するための保護膜形成装置(保護膜形成部)と、ウェハWの裏面から保護膜40を除去するための保護膜除去装置(保護膜除去部)との少なくとも一方が、研磨装置1000とは別に設けられてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態では、研磨パッド10をウェハWに押圧することにより、ウェハWの被処理面が研磨されるものとした。しかしながら、こうした例に限定されるものではなく、一例として、研磨パッド10の使用に代えて、または加えて、ブラスト処理によりウェハWの被処理面が研磨されるものとしてもよい。図10は、変形例の研磨装置における研磨処理の一例を示す図である。図10に示すように、変形例の研磨装置は、ウェハWの被処理面(おもて面)に向けられた複数の噴射口35aを有する噴射機構35を備える。一例として、複数の噴射口35aは、ウェハWの半径方向に沿って直線状に配置されてもよい。ウェハWの回転を伴って、噴射口35aから研磨液(ブラスト材)がウェハWの被処理面に噴きつけられることにより、ウェハWの被処理面の研磨処理(ブラスト処理)が行われる。なお、噴射機構35からの研磨液の噴射は、被処理面における噴射位置を変更しながら行われるように、ウェハWを支持する研磨テーブル30Aと噴射機構35との少なくとも一方の移動を伴って行われてもよい。
【0058】
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、基板の被処理面に処理を施すための基板処理システムであって、前記基板処理システムは、前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形成するための保護膜形成部と、前記基板の前記被処理面に処理を施すための基板処理部と、前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去するための保護膜除去部と、を備える。形態1によれば、基板の裏面に保護膜を形成した状態で、被処理面に処理を施すことができる。これにより、被処理面の裏面の変形および汚染等を防止できる。
【0059】
[形態2]形態2によれば、形態1において、前記保護膜形成部は、前記基板の前記裏面に液状の保護材を付して乾燥させることにより前記保護膜を形成する。
【0060】
[形態3]形態3によれば、形態2において、前記保護膜形成部は、前記基板の回転を伴って当該基板の前記裏面に前記保護膜を形成する。
【0061】
[形態4]形態4によれば、形態1において、前記保護膜形成部は、前記基板の前記裏面にフィルムを貼り付けることにより前記保護膜を形成する。
【0062】
[形態5]形態5によれば、形態1から4において、前記保護膜除去部は、除去液を前記保護膜に作用させることにより前記保護膜を除去する。
【0063】
[形態6]形態6によれば、形態1から5において、前記保護膜除去部は、前記基板の前記裏面から前記保護膜を剥離させることにより前記保護膜を除去する。
【0064】
[形態7]形態7によれば、形態1から6において、前記基板処理システムは、前記基板を洗浄するための基板洗浄部を有し、前記保護膜除去部は、前記基板洗浄部による前記基板の洗浄中に前記保護膜を除去する。
【0065】
[形態8]形態8によれば、形態1から7において、前記保護膜が水溶性である。形態8によれば、基板の裏面から保護膜を除去した後に洗浄することで、基板の裏面に保護膜が残ることを好適に抑制できる。
【0066】
[形態9]形態9によれば、形態1から8において、前記保護膜は、PVA(ポリビニルアルコール)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI(ポリイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PAA(ポリアクリルアミド)、ポリケトン、セルロース混合エステル、ポリビニリデンフロライド、P SQ(ポリスチレン4級アンモニウム塩)、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アミノ基含有カチオン性ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アミノ基含有カチオン性ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミンアミド-エピクロロヒドリン、ポリアリルアミン、ポリジシアンジアミド、キトサン、カチオン化キトサン、アミノ基含有カチオン化デンプン、アミノ基含有カチオン化セルロース、アミノ基含有カチオン化ポリビニルアルコール及び上記ポリマーの酸塩の1つまたは複数の材料から形成される。
【0067】
[形態10]形態10によれば、形態5において、前記除去液は、水、ガス溶存水、アンモニア、アンモニア過水、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、コリン、水酸化アンモニウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0068】
[形態11]形態11によれば、形態1から10において、前記基板処理部における処理
は、基板の研磨処理、研削処理、全面裏面研磨処理、ベベル研磨処理、または基板洗浄処理、のいずれか1つであることを特徴とする。
【0069】
[形態12]形態12によれば、基板の被処理面に処理を施すための基板処理方法であって、前記基板における前記被処理面の裏面に保護膜を形成し、前記基板の前記被処理面に処理を施し、前記基板の前記裏面から前記保護膜を除去する、ことを特徴とする。形態10によれば、上記した形態1の基板処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0071】
3…研磨ユニット
4…洗浄ユニット
5…制御装置
10…研磨パッド
22…搬送ロボット
31A…トップリング
190…ロール洗浄室
192…ペン洗浄室
300…保護膜形成室
300A、300B…保護膜形成モジュール(保護膜形成部)
306…ノズル
307…治具
308…ノズル
400…保護膜除去室
400A、400B…保護膜除去モジュール(保護膜除去部)
1000…研磨装置
W…ウェハ(基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10