(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188564
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】蛍光体ホイール装置及び発光モジュール
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20221214BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20221214BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221214BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/14 Z
F21V9/40 200
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096699
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 卓史
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA45
2K203GA35
2K203GA41
2K203GA57
2K203HA30
2K203KA38
2K203KA45
2K203KA46
2K203KA52
(57)【要約】
【課題】蛍光体ホイールの回転の向きを検出できる仕組みを有する装置を提供する。
【解決手段】蛍光体ホイール100の第1検出部31及び第2検出部32は、回転軸A1を中心とし少なくとも第1検出部31及び第2検出部32の一方が通過する円周の最小半径の値を第3の値とし、回転軸A1を中心とし少なくとも第1検出部31及び第2検出部32の一方が通過する円周の最大半径を第4の値としたときに、回転軸A1を中心とし半径が第3の値以上第4の値以下の範囲にある第5の値である円周上において、円周上を通過する第1検出部31の長さと第2検出部32の長さとが異なるように配される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、光の波長を変換する1または複数の蛍光体を含み前記基板の上に設けられる波長変換部と、前記基板の上に設けられる第1検出部及び第2検出部と、を有する蛍光体ホイールと、
前記蛍光体ホイールを回転自在に支持する支持部材と、
前記蛍光体ホイールの回転軸を中心に前記蛍光体ホイールを回転させる駆動部と、
を備え、
前記波長変換部は、前記回転軸を中心とし半径が第1の値である第1円周を通過するように配され、
前記第1検出部及び第2検出部は、前記回転軸を中心とし半径が前記第1の値とは異なる第2の値である第2円周を通過するように配され、
前記第1検出部及び第2検出部は、前記回転軸を中心とし少なくとも前記第1検出部及び第2検出部の一方が通過する円周の最小半径の値を第3の値とし、前記回転軸を中心とし少なくとも前記第1検出部及び第2検出部の一方が通過する円周の最大半径を第4の値としたときに、前記回転軸を中心とし半径が第3の値以上第4の値以下の範囲にある第5の値である円周上において、当該円周上を通過する前記第1検出部の長さと、当該円周上を通過する前記第2検出部の長さと、が異なるように配される蛍光体ホイール装置。
【請求項2】
前記第1検出部と前記第2検出部とは、同一円周上における前記蛍光体ホイールの回転方向の幅が異なる請求項1に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項3】
前記波長変換部は、前記基板の上に円環状に設けられ、
前記第1検出部と前記第2検出部とは、前記蛍光体ホイールの半径方向における幅が同じであり、前記円環状の波長変換部に沿って前記波長変換部と一体又は別体に設けられる請求項2に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項4】
前記第1検出部と前記第2検出部とは、前記蛍光体ホイールの半径方向における幅が異なる請求項1に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項5】
前記波長変換部は、前記基板の上に円環状に設けられ、
前記第1検出部と前記第2検出部とは、同一円周上における前記蛍光体ホイールの回転方向の幅が同じであり、前記円環状の波長変換部に沿って前記波長変換部と一体又は別体に設けられる請求項4に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項6】
前記第1検出部及び前記第2検出部の少なくとも一方は、前記蛍光体ホイールの回転方向における幅が、前記蛍光体ホイールの半径方向に一定ではない請求項1に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項7】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記1または複数の蛍光体に含まれる1以上の蛍光体を含む請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項8】
前記第1検出部は、第1蛍光体を含み、
前記第2検出部は、前記第1蛍光体と異なる第2蛍光体を含む請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項9】
前記第1検出部と前記第2検出部とは、透光性の前記基板の表面上に設けられる請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の蛍光体ホイール装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の蛍光体ホイール装置と、
第1波長をピーク波長とする光を前記波長変換部に出射する1または複数の第1発光装置と、
前記蛍光体ホイールの回転によって前記第1検出部及び第2検出部が通過する位置に検出光を出射する発光部と、前記検出光を受光する受光部と、を有する回転検出ユニットと、
を備える発光モジュール。
【請求項11】
前記第1波長と異なる第2波長をピーク波長とする光を前記波長変換部に出射する1または複数の第2発光装置をさらに備え、
前記波長変換部は、前記1または複数の第1発光装置から出射された光が照射される第1波長変換領域と、前記1または複数の第2発光装置から出射された光が照射される第2波長変換領域と、を有する請求項10に記載の発光モジュール。
【請求項12】
前記第1波長変換領域及び前記第2波長変換領域は、互いに重ならない円環状の領域である請求項11に記載の発光モジュール。
【請求項13】
前記1または複数の第1発光装置は、複数の第1半導体レーザ素子を含み、
前記1または複数の第2発光装置は、複数の第2半導体レーザ素子を含む請求項11又は請求項12に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光体ホイール装置及び発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子と蛍光体ホイール装置とを備え、発光素子からの光を蛍光体ホイールに入射させて、蛍光を取り出す技術が知られている。また、特許文献1には、蛍光体層が設けられた回転板の異常を検出するために、検出パターンからの光を検出する検出器が設けられる照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、蛍光体ホイールの回転の向きを検出できる仕組みを有する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される蛍光体ホイール装置は、基板と、光の波長を変換する1または複数の蛍光体を含み前記基板の上に設けられる波長変換部と、前記基板の上に設けられる第1検出部及び第2検出部と、を有する蛍光体ホイールと、前記蛍光体ホイールを回転自在に支持する支持部材と、前記蛍光体ホイールの回転軸を中心に前記蛍光体ホイールを回転させる駆動部と、を備え、前記波長変換部は、前記回転軸を中心とし半径が第1の値である第1円周を通過するように配され、前記第1検出部及び第2検出部は、前記回転軸を中心とし半径が前記第1の値とは異なる第2の値である第2円周を通過するように配され、前記第1検出部及び第2検出部は、前記回転軸を中心とし少なくとも前記第1検出部及び第2検出部の一方が通過する円周の最小半径の値を第3の値とし、前記回転軸を中心とし少なくとも前記第1検出部及び第2検出部の一方が通過する円周の最大半径を第4の値としたときに、前記回転軸を中心とし半径が第3の値以上第4の値以下の範囲にある第5の値である円周上において、当該円周上を通過する前記第1検出部の長さと、当該円周上を通過する前記第2検出部の長さと、が異なるように配される。
【0006】
また、実施形態に開示される発光モジュールは、実施形態に開示される蛍光体ホイール装置と、第1波長をピーク波長とする光を前記波長変換部に出射する1または複数の第1発光装置と、前記蛍光体ホイールの回転によって前記第1検出部及び第2検出部が通過する位置に検出光を出射する発光部と、前記検出光を受光する受光部と、を有する回転検出ユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、蛍光体ホイールの回転の向きを検出できるため、正しい回転の向きで動作しているかを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る発光モジュールの平面図である。
【
図2】実施形態に係る蛍光体ホイール装置の斜視図である。
【
図3A】実施形態に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【
図3B】
図3Aに示す蛍光体ホイールが時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図3C】
図3Aに示す蛍光体ホイールが反時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図4】
図3Aに示す蛍光体ホイールのIV-IV断面線における断面図である。
【
図5A】変形例に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【
図5B】
図5Aに示す蛍光体ホイールが時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図5C】
図5Aに示す蛍光体ホイールが反時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図6A】変形例に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【
図6B】
図6Aに示す蛍光体ホイールが時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図6C】
図6Aに示す蛍光体ホイールが反時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図7】変形例に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【
図8A】変形例に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【
図8B】
図8Aに示す蛍光体ホイールが時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図8C】
図8Aに示す蛍光体ホイールが反時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図9A】変形例に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【
図9B】
図9Aに示す蛍光体ホイールが時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図9C】
図9Aに示す蛍光体ホイールが反時計回りに回転するときの回転検出ユニットにおける受光量の時間変化の例を示すグラフである。
【
図10】変形例に係る発光モジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0010】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0011】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下、左右、表裏、前後、手前と奥などの表現は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関係と一致していなくてもよい。例えば、部品と完成品において、部品の上面が、完成品の側面に位置するように実装される場合でも、その部品にとっての上面は変わらない。
【0012】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
【0014】
<実施形態>
実施形態に係る発光モジュール1000を説明する。
図1乃至
図4は、発光モジュール1000の例示的な一形態を示す平面図である。
図1は、回転検出ユニット60を省略している。また、
図1は、光線の一部を点線で例示している。
図2は、蛍光体ホイール装置200及び回転検出ユニット60の斜視図である。
図3Aは、蛍光体ホイール100を光の出力面側から見た平面図である。
図3Aは、支持部材40の心棒41と、回転検出ユニット60の受光部62とを併せて記している。
図3B、
図3Cは、回転検出ユニット60における受光量の時間変化の一例を示すグラフである。
図4は、
図3Aに示す蛍光体ホイール100のIV-IV断面線における断面図である。
【0015】
発光モジュール1000は、複数の構成要素を備える。複数の構成要素には、1または複数の第1発光装置410、蛍光体ホイール装置200及び回転検出ユニット60が含まれる。発光モジュール1000は、1または複数の第1発光装置410から出射される光に基づき波長変換された光を外部へと出射させる。発光モジュール1000は、筐体600に収納されている。
【0016】
複数の構成要素には、1または複数の光学部材が含まれてもよい。1または複数の光学部材には、例えば、集光レンズ、コリメートレンズ及びミラーが含まれる。なお、これら以外の光学部材を有していてもよい。また、これらの光学部材の一部あるいは全部を有していなくてよい。
図1に例示される発光モジュール1000は、複数の第1発光装置410を有し、複数の第1発光装置410から出射された光を制御する複数の光学部材を有している。複数の光学部材には、第1集光レンズ511、第1コリメートレンズ512及び第1ミラー513が含まれる。
【0017】
発光モジュール1000は、1または複数の第2発光装置420を有して構成することができる。発光モジュール1000は、1または複数の第3発光装置430をさらに有して構成することができる。
図1に例示される発光モジュール1000は、複数の第2発光装置420及び複数の第3発光装置430を有している。そして、複数の第2発光装置420から出射された光を制御する複数の光学部材として、第2集光レンズ521、第2コリメートレンズ522及び第2ミラー523を有し、複数の第3発光装置430から出射された光を制御する光学部材として、第3集光レンズ531、拡散部材300、第3コリメートレンズ532及び第3ミラー533を有している。
【0018】
図1に例示される発光モジュール1000は、複数の第1発光装置410及び複数の第2発光装置420から出射される光を波長変換し、波長変換された光を外部へと出射する。また、発光モジュール1000は、複数の第3発光装置430から出射される光を波長変換せずに外部へと出射する。発光モジュール1000は、これらの光を制御して、それぞれ別個に又は合成して外部へと出射させる。別個の光又は合成された光は、例えば、筐体600に形成される光取出口700から外部へ取り出すことができる。
【0019】
以上述べた各構成要素について説明する。
(第1発光装置410)
1または複数の第1発光装置410は、第1波長をピーク波長とする光を出射する。ここでは、複数の第1発光装置410を同一平面に配置して用いている。第1発光装置410の発光素子は同じ色の光を出射する。なお、異なる色の光を出射してもよい。
【0020】
発光素子には、一例として、半導体レーザ素子が採用される。また、LED、有機EL、などが採用されてもよい。例えば、発光素子は、その発光ピーク波長が365nm~494nmの範囲内にある光を採用することができる。なお、この範囲外のピーク波長を有する光を採用してもよい。また、可視光の波長範囲に限らなくてもよい。また、紫外光の波長範囲にピーク波長を有する光であってもよい。
【0021】
発光素子には、青色の光を出射する発光素子が含まれていてもよい。また、発光素子には、紫色の光を出射する発光素子が含まれていてもよい。なお、これら以外の色の光を出射する発光素子であってもよい。
【0022】
ここでの青色の光は、その発光ピーク波長が430nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。紫色の光は、その発光ピーク波長が365nm~430nmの範囲内にある光をいうものとする。青色、また、紫色の光を発する発光素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。
【0023】
(蛍光体ホイール装置200)
蛍光体ホイール装置200は、蛍光体ホイール100、支持部材40及び駆動部50を有している。蛍光体ホイール装置200は、蛍光体ホイール100が有する波長変換部20により、入射光とは異なる波長の出射光を出力することができる。
【0024】
(蛍光体ホイール100)
蛍光体ホイール100は、基板10を有する。蛍光体ホイール100はさらに、基板10の上に設けられる、波長変換部20、第1検出部31及び第2検出部32を有する。蛍光体ホイール100は回転軸A1を有し、回転軸A1を中心に回転している状態で使用される。蛍光体ホイール100の一方の面は光の入力面であり、入力面の反対面は光の出力面である。
【0025】
(基板10)
基板10は板状の部材である。基板10の形状は例えば円盤状である。蛍光体ホイール100では、
図2に示すように、基板10は円盤状の透光性基板である。透光性基板には、例えばサファイヤ基板を採用することができる。
【0026】
(第1検出部31及び第2検出部32)
図3Aに示すように、検出部30は、照射される光を遮り又は反射する領域である。検出部30は、第1検出部31及び第2検出部32を含む。また、検出部30はさらに、第3検出部を含む場合もある。検出部30は、照射される光のうち特定の波長の光を遮り又は反射できればよい。検出部30は、波長変換部20と同じ材料で形成することができる。例えば、検出部30に照射される赤外光に対し、YAG蛍光体で形成される検出部30を採用することができる。第1検出部31と第2検出部32とは、例えば、透光性の基板10の表面上に設けられる。
【0027】
(波長変換部20)
波長変換部20は、光の波長を変換する1または複数の蛍光体を含む。蛍光体は、波長が特定の範囲にある光を励起光として吸収し、吸収した光とは異なる波長の光を蛍光として放出する性質を有する。青色の光を励起光とする蛍光体としては、例えばYAGやLAGなどのガーネット系蛍光体を採用することができる。
【0028】
波長変換部20は、蛍光体の励起光となる波長範囲にある光を波長変換して出射する。ただし、励起光となる波長範囲であっても、一部の光が波長変換されずに透過される場合がある。このため、波長変換部20から出射される光には、波長変換部20を透過する入射光が含まれる場合がある。
【0029】
波長変換部20は、例えば円環状や多角形の環状とすることができる。また、波長変換部20は、複数の波長変換領域を有して構成することができる。
図3Aに例示される蛍光体ホイール100では、第1波長変換領域21A及び第2波長変換領域22Aが、互いに重ならない円環状の領域で形成されている。第1波長変換領域21Aは、第2波長変換領域22Aの外側に設けられている。第1波長変換領域21Aと第2波長変換領域22Aは、互いに異なる種類の蛍光体を含む。なお、互いに同じ種類の蛍光体を含んでもよい。例えば、第1波長変換領域21AはLAG蛍光体を含み、第2波長変換領域22AはYAG蛍光体を含むことができる。
【0030】
波長変換部20、第1検出部31及び第2検出部32は、基板10の上に設けられる。蛍光体ホイール100が回転軸A1を中心に回転するとき、波長変換部20、第1検出部31及び第2検出部32は、回転軸A1を中心とする円周を描く。
【0031】
図3Aに示すように、回転軸A1を原点とする半径Rの座標軸が記載されている。第1波長変換領域21Aは、回転軸A1を中心とし半径が第1の値R1である第1円周を通過するように配されている。なお、第2波長変換領域22Aは、回転軸A1を中心として、第2波長変換領域22Aを通過する円周の半径の値を第1の値R1としてもよい。第2波長変換領域22Aを通過する円周の半径の値は、第1波長変換領域21Aを通過する円周の半径の値よりも小さな値である。第1検出部31及び第2検出部32は、回転軸A1を中心とし半径が第1の値R1とは異なる第2の値R2である第2円周を通過するように配されている。ここで、第1検出部31及び第2検出部32の少なくとも一方が通過する円周のうち、最小半径である円周の半径を第3の値R3とし、最大半径である円周の半径を第4の値R4とする。第2の値R2は、第3の値R3以上、第4の値R4以下となる。
【0032】
図3Aに例示する蛍光体ホイール100では、波長変換部20は、回転軸A1を中心に円環状に設けられている。そして、第1検出部31と第2検出部32とは、蛍光体ホイール100の回転方向における幅が異なり半径方向における幅が同じであるように、円環状の波長変換部20に沿って波長変換部20と一体に設けられている。
【0033】
第1検出部31及び第2検出部32は、一例として、第2波長変換領域22Aに接続して形成されている。第1検出部31、第2検出部32及び第2波長変換領域22Aは、一体的に形成することができる。なお、別体に形成されてもよい。
【0034】
第1検出部31及び第2検出部32は、蛍光体ホイール100の回転方向に沿って配置されており、異なる形状になるように形成されている。第1検出部31及び第2検出部32は、回転方向に対して長さが異なる。ここでは、一例として、第1検出部31及び第2検出部32を、第2波長変換領域22Aの内周側に形成している。また、第1検出部31及び第2検出部32は、回転方向に離隔しており、かつ、回転方向の長さが異なるように形成されている。
【0035】
図4に例示されるように、蛍光体ホイール100は、基板10を透光性とし、基板10の両面にフィルタ層11を有して構成することができる。蛍光体ホイール100は、入力面から入射光L01、L02が入射され、出力面から出射光L1、L2を出射する。フィルタ層11の特性は、入射光を透過し、波長変換部20による波長変換後の光を反射するように設定される。フィルタ層11は、例えば誘電体多層膜である。波長変換部20は、蛍光体ホイール100の出力面側のフィルタ層11上に配置される。蛍光体ホイール100の入力面は、波長変換部20が配置されていない側の面である。このように配置することで、入射光L01、L02は、フィルタ層11により反射が抑えられ、透光性の基板10を透過して波長変換部20に到達することができる。そして、波長変換部20による波長変換後の光の一部が基板10側に向けて出射されても、フィルタ層11により出力面側に反射させて取り出すことができる。
【0036】
また、波長変換部20の上面及び側面と蛍光体ホイール100の側面とは、被覆層12によって被覆されてもよい。被覆層12により、波長変換部20のフィルタ層11及び基板10に対する固着強度が高められる。被覆層12は、透光性の材料で形成されている。
【0037】
(支持部材40)
支持部材40は、心棒41及び支持板42を有する。支持板42は、心棒41を一定の向き及び位置に支持する。支持部材40は、蛍光体ホイール100を回転自在に支持する。
【0038】
(駆動部50)
駆動部50は回転軸のまわりにトルクを発生させる。回転の速さ及び向きは、外部から制御することができる。駆動部50は、例えば電力が供給されることにより作動する電気モーターである。
図2に例示する蛍光体ホイール装置200では、駆動部50の回転軸は支持部材40の心棒41と重なる。
【0039】
(回転検出ユニット60)
回転検出ユニット60は、蛍光体ホイール100の回転の速さ及び向きを検出する。回転検出ユニット60は、一例として、発光部61及び受光部62を有する。発光部61は、発光素子を有し、検出のための所定の波長の光(以下、検出光と呼ぶものとする。)を出射する。受光部62は、発光部61からの検出光を受光素子で受光し受光量に対応する信号を出力する。回転検出ユニット60は、回転する蛍光体ホイール100の検出部30が通過する位置に検出光を照射する。発光部61及び受光部62は、例えば
図2に示すように、蛍光体ホイール100を挟んで向かい合って配置される。このように配置することによって、受光部62は、発光部61から出射され蛍光体ホイール100を透過した検出光を検出することができる。
【0040】
発光部61から出射された光は、蛍光体ホイール100に入射する。蛍光体ホイール100が回転軸A1を中心に回転すると、発光部61から出射された光の蛍光体ホイール100上における軌跡は、回転軸A1を中心とし半径が第5の値R5である第5円周を描く。この光の軌跡上に、第1検出部31及び第2検出部32が設けられている。したがって、第5の値R5は、第3の値R3以上第4の値R4以下の範囲にある。第1検出部31と第2検出部32とは、第5円周上を通過する長さが異なるように配される。ここで、長さが異なるとは、一方の長さが0である場合も含む。なお、第5の値R5は、第3の値R3以上第4の値R4以下の範囲に含まれていればよく、第2の値R2と同じ値であってもよい。
【0041】
蛍光体ホイール装置200は、蛍光体ホイール100の回転の速さ及び向きを検出するために、回転検出ユニット60を使用する。回転検出ユニット60は、発光部61が出射する光を回転する蛍光体ホイール100に照射し、その透過光又は反射光を受光部62で受光する。受光部62の受光量の時間変化から、蛍光体ホイール100の回転の速さ及び向きを検出することができる。
【0042】
図2に示す回転検出ユニット60では、発光部61から出射される光の波長に対して、第1検出部31及び第2検出部32の透過率は、同じ円周上の他の領域の透過率よりも小さい。このため、蛍光体ホイール100が回転すると、受光部62による受光量は、第1検出部31及び第2検出部32が通過しているときは小さくなり、通過していないときは大きくなる。
【0043】
図3A~3Cにより、受光部62の受光量の時間変化について説明する。
図3Aに例示する蛍光体ホイール100では、回転検出ユニット60は、蛍光体ホイール100の1回転(1周期T)につき2回の検出状態の変化が生じる。1回は第1検出部31を通過することによる検出状態の変化で、残りの1回は第2検出部32を通過することによる検出状態の変化である。第1検出部31と第2検出部32とでは同一円周上における蛍光体ホイール100の回転方向の幅が異なるため、一定の速さで回転する蛍光体ホイール100において、各検出状態が維持される時間の長さが異なる。なお、第1検出部31及び第2検出部32をまとめて検出部30として説明する場合がある。
【0044】
図3B、
図3Cは、蛍光体ホイール100が一定の速さで回転するときに、回転検出ユニット60が出力する信号の時間変化の例であり、受光部62による受光量の時間変化に対応している。受光部62の受光量が相対的に大きいときが信号のHレベルに対応し、相対的に小さいときが信号のLレベルに対応している。すなわち、Lレベルが、検出光が検出部30上に入射している状態、Hレベルが、検出光が検出部30上に入射していない状態である。
図3Bの検出状態に対して、蛍光体ホイール100の回転方向が逆になった場合の検出状態が
図3Cである。
【0045】
図3B及び
図3Cのいずれも、蛍光体ホイール100が一回転する間(1周期Tの間)に2回、Lレベルの状態が検出される。1回目のLレベルの検出状態が検出されてからT
1時間経過後に2回目のLレベルの検出状態が検出される。また、
図3Bの場合、2回目のLレベルの検出状態が終わってから、次の周期の1回目のLレベルの検出状態が検出されるまでの時間(T
2時間)は、T
1時間よりも長い。なお、T
1時間とT
2時間はその違いが明確に検出できるだけの十分な時間差があればよく、T
2時間の方がT
1時間より短くてもよい。
【0046】
図3Bでは、1回目のLレベルの検出状態が維持される時間よりも2回目のLレベルの検出状態が維持される時間の方が長い。一方で、
図3Cでは、1回目のLレベルの検出状態が維持される時間よりも2回目のLレベルの検出状態が維持される時間の方が短い。このように、蛍光体ホイール100は、Lレベルの検出状態の長短の順序から回転の向きを検出することができる。なお、Hレベルの検出状態の長短の順序から回転の向きを検出することもできる。
【0047】
発光モジュール1000は、1または複数の第1発光装置410が、第1波長をピーク波長とする光を出射する。出射された光は、蛍光体ホイール装置200の波長変換部20に照射される。照射された光は、波長変換部20によって波長変換され、蛍光体ホイール装置200は第1の光を出力する。回転検出ユニット60は、蛍光体ホイール100の回転の速さ及び回転の向きを検出する。このため、蛍光体ホイール100の回転の速さ及び回転の向きを監視することができ、想定される通常の動作に対して誤動作を起こしていることがわかる。
【0048】
発光モジュール1000は、第1波長とは異なる第2波長をピーク波長とする光を出射する1または複数の第2発光装置420を備えてもよい。出射された光は、蛍光体ホイール装置200の波長変換部20に照射される。照射された光は、波長変換部20によって波長変換され、蛍光体ホイール装置200は第2の光を出力する。ただし、波長変換部20は、1または複数の第1発光装置410から出射された光が照射される第1波長変換領域21Aと、1または複数の第2発光装置420から出射された光が照射される第2波長変換領域22Aとを有している。このため、1または複数の第1発光装置410から出射された光と、1または複数の第2発光装置420から出射された光とを別個に波長変換することができる。
【0049】
(光学部材)
光学部材は、光を屈折又は反射させることによって、入射される光を制御して出射する部材である。光学部材とは、例えば集光レンズ、拡散部材、コリメートレンズ又はミラーである。
【0050】
(集光レンズ)
第1集光レンズ511、第2集光レンズ521及び第3集光レンズ531は、入射される光を集光するように出射する。これらの各集光レンズは、単レンズでも複数の複合レンズから形成されていてもよい。
(拡散部材)
拡散部材300は、入射される光を拡散させて出射する。拡散部材300は、特定の方向に集中する光を拡散させて光を均一にしている。拡散部材300は、拡散物質を母材に含有させて形成することができる。また、拡散部材300は、表面及び裏面に凹凸を設けて形成することができる。拡散部材300は、光を均一にすることで、使用される目的に適する光としている。
(コリメートレンズ)
第1コリメートレンズ512、第2コリメートレンズ522及び第3コリメートレンズ532は、入射される光を平行光にして出射する。それぞれのコリメートレンズは、単レンズであっても複合レンズであってもよい。
(ミラー)
第1ミラー513、第2ミラー523及び第3ミラー533は、入射される光の一部を反射し、一部を透過させる。それぞれのミラーは、例えば、ダイクロイックミラーを使用することができる。
【0051】
光学部材は、それぞれの発光装置から光取出口700までの光路中に配置されている。
第1集光レンズ511は、第1発光装置410から照射された光を集光して第1波長変換領域21Aに向けて出射する位置に設置されている。第2集光レンズ521は、第2発光装置420から照射された光を集光して第2波長変換領域22Aに向けて出射する位置に設置されている。第3集光レンズ531は、第3発光装置430から照射された光を集光して拡散部材300に向けて出射する位置に設置されている。
拡散部材300で拡散された光は、第3コリメートレンズ532に出射される。
【0052】
第1コリメートレンズ512は、第1波長変換領域21Aで波長変換された光を平行光として第1ミラー513に向かって出射する位置に設置されている。第2コリメートレンズ522は、第2波長変換領域22Aで波長変換された光を平行光として第2ミラー523に向かって出射する位置に設置されている。第3コリメートレンズ532は、拡散部材300で拡散された光を平行光として第3ミラー533に向かって出射する位置に設置されている。
第1ミラー513は、波長変換されて平行光となった第1の光を反射する位置に配置されている。第2ミラー523は、波長変換されて平行光となった第2の光を反射すると共に、第1の光を透過する位置に配置されている。第3ミラー533は、拡散されて平行光となった第3の光を反射すると共に、第1の光及び第2の光を透過する位置に配置されている。
【0053】
(第2発光装置420、第3発光装置430)
すでに述べた第1発光装置410についての説明は、第2発光装置420及び第3発光装置430に共通する。
発光モジュール1000が、1または複数の第1発光装置410と、1または複数の第2発光装置420とを備える場合には、1または複数の第1発光装置410は複数の第1半導体レーザ素子を含み、1または複数の第2発光装置420は複数の第2半導体レーザ素子を含んで構成することができる。第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とは、同じものでもよく、異なっていてもよい。
【0054】
発光モジュール1000が、1または複数の第3発光装置430をさらに備える場合には、1または複数の第3発光装置430は、複数の第3半導体レーザ素子を含んで構成することができる。第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子と第3半導体レーザ素子とは、同じものを含んでいてもよく、互いに異なっていてもよい。
【0055】
次に、
図1に例示される発光モジュール1000について、光の進路に着目して説明する。
第1発光装置410は、第1波長をピーク波長とする第1の光を出射する。出射された第1の光は第1集光レンズ511によって、蛍光体ホイール100の第1波長変換領域21Aに集光される。集光された光は、第1波長変換領域21Aの蛍光体によって波長変換され、蛍光体ホイール装置200から波長変換された第1の光が出射される。さらに、波長変換された第1の光は、第1コリメートレンズ512によって平行光L1Pとなる。平行光L1Pは、第1ミラー513によって反射され、反射された光が光取出口700の方向に進むL1P2である。
【0056】
蛍光体ホイール100は、第1集光レンズ511よりも第1コリメートレンズ512に近い位置に配置されている。蛍光体ホイール100は、第1コリメートレンズ512の近傍に配置されるのが好ましい。波長変換された光は、広い角度範囲で波長変換部20から出射されるため、波長変換部20を第1コリメートレンズ512に近付けることで、光の損失を低減することができる。また、同じ光量の光をコリメートする場合に、第1コリメートレンズ512のレンズ面の面積を小さく設計することができる。
【0057】
第2発光装置420は、第2波長をピーク波長とする第2の光を出射する。出射された第2の光は第2集光レンズ521によって、蛍光体ホイール100の第2波長変換領域22Aに集光される。集光された光は、第2波長変換領域22Aの蛍光体によって波長変換され、蛍光体ホイール装置200から波長変換された第2の光が出射される。さらに、波長変換された第2の光は、第2コリメートレンズ522によって平行光L2Pとなる。平行光L2Pは、第2ミラー523によって反射され、反射された光が光取出口700の方向に進むL2P2である。
【0058】
第3発光装置430は、第3波長をピーク波長とする第3の光を出射する。出射された第3の光は第3集光レンズ531によって、拡散部材300に集光される。拡散部材300は集光された光を拡散して出射する。拡散された第3の光は、第3コリメートレンズ532によって平行光L3Pとなる。平行光L3Pは、第3ミラー533によって反射され、反射された光が光取出口700の方向に進むL3P2である。
図1に例示される発光モジュール1000の各構成要素は、光取出口700の方向に進む光L1P2、L2P2、L3P2の光軸が一致するように配置されている。このため、平行光L1P、L2P、L3Pは、光取出口700から同軸を通る別個の光又は合成された光として取り出すことができる。
【0059】
なお、
図1では、光取出口700を一か所として説明したが、例えば、
図10の発光モジュール1000Aが示すように、筐体600Aに第1光取出口710、第2光取出口720及び第3光取出口730を設けて、個別の光と合成された光とを分けて取り出すようにしてもよい。例えば、第1ミラー513Aが波長変換されて平行光となった第1の光L1Pの50%を反射し、50%を透過するようにして、第1ミラー513Aを透過して進む光L1P1を第1光取出口710から取り出すことができる。同様に、第2ミラー523Aが波長変換されて平行光となった第2の光L2Pの50%を反射し、50%を透過するようにして、第2ミラー523Aを透過して進む光L2P1を第2光取出口720から取り出すことができる。また、第3ミラー533Aが拡散されて平行光となった第3の光L3Pの50%を反射し、50%を透過するようにして、第3ミラー533Aを透過して進む光L3P1を第3光取出口730から取り出すことができる。また、別個の光又は合成された光は、光取出口700から取り出すことができる。
さらに、
図1、
図10において、第1発光装置410、第2発光装置420、第3発光装置430の後方に熱を除去するヒートシンクを設置する構成としてもよい。
【0060】
次に、各構成における変形例1乃至変形例5について、
図5A乃至
図9Cを参照して説明する。
(変形例1)
図5Aに示す蛍光体ホイール101では、波長変換部20は、回転軸A1を中心に円環状に設けられている。そして、第1検出部31A、第2検出部32Aは、蛍光体ホイール101の半径方向における幅が異なり回転方向における幅が同じであるように、円環状の波長変換部20に沿って波長変換部20と一体に設けられている。
図5B、
図5Cは、蛍光体ホイール101が一定の速さで回転するときに、回転検出ユニット60が出力する信号の時間変化の例である。
図3B及び
図3Cでは、Lレベルが検出される時間の違いを利用したが、
図5B及び
図5Cでは、受光部62における検出量の違いを利用する。つまり、検出光が第1検出部31Aを通過しているときに受光部62で受光される光の受光量と、検出光が第2検出部32Aを通過しているときに受光部62で受光される光の受光量とを異ならせる。例えば、第1検出部31A及び第2検出部32Aの一方においてM1レベルであり、他方においてM1レベルよりも低いLレベルとなっている。これは、第1検出部31Aよりも半径方向の幅が大きい第2検出部32Aが、より多くの光を遮るためである。例えば、検出光が照射される領域に対して、第1検出部31Aにおいて検出光の一部の領域だけが遮られ、第2検出部32Aにおいて検出光の全部が遮られるようにする。
【0061】
(変形例2)
図6Aに示す蛍光体ホイール102では、波長変換部20は、回転軸A1を中心に円環状に設けられている。そして、第1検出部31B及び第2検出部32Bの少なくとも一方は、蛍光体ホイール102の回転方向における幅が、半径方向に一定ではない。ここで、回転方向における幅が一定ではないとは、回転方向の両端の回転軸A1を中心とする中心角が一定ではないという意味である。蛍光体ホイール102の第2検出部32Bは、半径が大きくなると中心角が大きくなっており、半径が増加する方向に回転方向における幅が増加している。
第1検出部31B、第2検出部32Bは、円環状の波長変換部20に沿って波長変換部20と一体に形成されている。第1検出部31Bと第2検出部32Bとは、回転方向の端部を除いて半径方向における幅が同じである。そして、第2検出部32Bの回転方向の両端は、半径方向に対する傾きが異なっている。また、第1検出部31B及び第2検出部32Bは、円環状の波長変換部20に沿って波長変換部20と一体に設けられている。
【0062】
図6B及び
図6Cは、互いに回転方向が逆である蛍光体ホイール102が一定の速さで回転するときの、回転検出ユニット60が出力する信号の時間変化の例である。
図6B及び
図6Cにおいても、
図3B及び
図3Cと同様に、検出結果から回転の向きを検出することができる。
【0063】
(変形例3)
時分割式の光源では、蛍光体ホイール装置から出力される複数の波長の光を時分割で取り出して用いる場合もある。このような場合、波長変換部20に含まれる1または複数の蛍光体は、円環状の波長変換部20の回転方向に区画して設けられる。
図7に示す蛍光体ホイール103は、蛍光体21B、22B、23Bを回転方向に区画して設けている。
第1検出部31Cと第2検出部32Cとは、蛍光体ホイール103の回転方向における幅が異なり半径方向における幅が同じであるように、円環状の波長変換部20に沿って波長変換部20と一体に設けられている。回転検出ユニット60が出力する信号の時間変化については、
図3B及び
図3Cと同様のことがいえる。なお、第1検出部31Cと第2検出部32Cとで、回転検出ユニット60の発光部61の光の波長における光吸収率が異なるようにすれば、
図5B及び
図5Cと同様のことがいえる。
【0064】
(変形例4)
図8Aに示す蛍光体ホイール104は、蛍光体ホイール103と同様に、蛍光体21B、22B、23Bを回転方向に区画して設けている。そして、第1検出部31D、第2検出部32D及び第3検出部33Dは、円環状の波長変換部20に沿って波長変換部20と一体に設けられ、半径方向における幅が同じであり回転方向の幅も同じである。一方、第1検出部31Dと第2検出部32Dと第3検出部33Dとはそれぞれ、検出光に対する光吸収率が異なる。
図8B及び
図8Cは、蛍光体ホイール104が一定の速さで回転するときに、回転検出ユニット60が出力する信号の時間変化の例である。
図8B及び
図8Cに示すように、検出光が第1検出部31D、第2検出部32D及び第3検出部33Dのいずれを通過しているかは、検出状態のレベルの違いから特定できる。D1回転で回転する
図8Bでは、それぞれ異なるレベルのL、M3、M2が順に現れており、D2回転で回転する
図8Cでは、L、M2、M3が順に現れている。このように、L、M2、M3のレベルが検出される順番から回転の向きを検出することができる。
【0065】
(変形例5)
回転検出ユニット60は、反射光を利用して回転を検出してもよい。
図9Aに示す例では、発光部61が出射する光を回転する蛍光体ホイール105に照射し、その反射光を受光部62で受光する。このため、第1検出部31E及び第2検出部32Eは、光反射性の表面を備え、回転検出ユニット60の発光部61と受光部62とは蛍光体ホイール105の同じ側に配置される。
図9B、
図9Cは、蛍光体ホイール105が一定の速さで回転するときに、回転検出ユニット60が出力する信号の時間変化の例である。
図3B及び
図3Cの場合は、検出光が検出部30を通過しているときに受光量はLレベルであり、検出光が検出部30を通過していないときに受光量はHレベルであったが、
図9B及び
図9Cの場合は、検出光が検出部30を通過しているときに受光量がHレベルとなり、検出光が検出部30を通過していないときに受光量はLレベルとなる。この場合も、同様の原理から、回転の向きを検出することができる。
【0066】
第1検出部及び第2検出部は、波長変換部の1または複数の蛍光体に含まれる1以上の蛍光体を含むようにしてもよい。
実施形態及び変形例において、検出部は、円環状の波長変換部に沿って、それぞれが隣接する波長変換部と同じ材料で一体に形成してもよい。すなわち、検出部は、円環状の波長変換部の内側又は外側に、波長変換部の突起のように設けられてもよい。
【0067】
例えば、実施形態の蛍光体ホイール100において、第1検出部31及び第2検出部32を波長変換部20の第2波長変換領域22Aと同じ材料で、第2波長変換領域22Aの突起のように形成することができる。このようにすれば、第1検出部31及び第2検出部32は、蛍光体ホイール100の材料の種類を増やさずに形成可能である。そして、例えば、波長変換部20がマスクを使用してスクリーン印刷等によって形成される場合には、第1検出部31及び第2検出部32は、工程数を増やさずに同時に形成可能となる。
検出部30は、波長変換部20と同じ材料で別体に形成してもよく、波長変換部20と異なる材料で一体に形成してもよい。
【0068】
また、第1検出部及び第2検出部は、第1検出部が第1蛍光体を含み、第2検出部が第1蛍光体と異なる第2蛍光体を含むようにしてもよい。このように蛍光体を異ならせることによって、第1検出部と第2検出部との光吸収率が異なるようにすることもできる。このため、蛍光体ホイールの材料を増やすことなく、検出状態の長短の順序に加え、レベルの異なる検出状態の順序からも回転の向きを検出することができる。
【0069】
これまでの説明では、第1波長と第2波長とは異なるとした。しかし、第1波長と第2波長とは同じでもよい。例えば、第1発光装置410及び第2発光装置420は青色の光を出射し、第3発光装置430は紫色の光を出射するようにしてもよい。この場合、第1発光装置410及び第2発光装置420の発光素子に青色の光を出射する半導体レーザ素子を採用し、第3発光装置430の発光素子に紫色の光を出射する半導体レーザ素子を採用することができる。
【0070】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る蛍光体ホイール装置及び発光モジュールは、実施形態のものに厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示された蛍光体ホイール装置及び発光モジュールの外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光モジュールの構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【符号の説明】
【0071】
10 基板
20 波長変換部
21A 第1波長変換領域
22A 第2波長変換領域
30 検出部
31 第1検出部
32 第2検出部
40 支持部材
41 心棒
42 支持板
50 駆動部
60 回転検出ユニット
61 発光部
62 受光部
100 蛍光体ホイール
200 蛍光体ホイール装置
300 拡散部材
410 第1発光装置
511 第1集光レンズ
512 第1コリメートレンズ
513 第1ミラー
600 筐体
700 光取出口
710 第1光取出口
1000 発光モジュール