(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188854
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221215BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20221215BHJP
B01D 53/72 20060101ALI20221215BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20221215BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
B01D53/68 200
B01D53/72 200
B01D53/78 ZAB
B01D53/18 140
B01D53/18 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097100
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津賀尾 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】奥村 智則
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
5F157
【Fターム(参考)】
4D002AA13
4D002AA23
4D002AA40
4D002AC07
4D002BA02
4D002CA01
4D002CA02
4D002DA70
4D002EA03
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB06
4D002GB11
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4D020AA10
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4D020DA01
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4D020DB03
4D020DB05
4D020DB06
4D020DB20
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157CE77
5F157CF20
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF80
5F157DA11
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】溶解液の使用量を削減すること。
【解決手段】基板処理装置は、複数の処理部と、排気経路と、気体処理装置と、制御部とを備える。複数の処理部は、薬品を用いて基板を処理する。排気経路は、複数の処理部から排出される気体が通流する。気体処理装置は、排気経路に設けられ、排気経路を通流する気体に含まれる対象成分を気体から除去する。制御部は、複数の処理部及び気体処理装置を制御する。気体処理装置は、ダクトと、仕切板と、液供給部とを備える。ダクトは、気体が通過する流路を内部に有する。仕切板は、流路を複数の空間に仕切る仕切板であって、気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成される。液供給部は、仕切板に気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する。制御部は、複数の処理部の稼働状況を示す稼働情報に応じて、液供給部から仕切板に供給される溶解液の流量を調整する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品を用いて基板を処理する複数の処理部と、
前記複数の処理部から排出される気体が通流する排気経路と、
前記排気経路に設けられ、前記排気経路を通流する前記気体に含まれる対象成分を前記気体から除去する気体処理装置と、
前記複数の処理部及び前記気体処理装置を制御する制御部と
を備え、
前記気体処理装置は、
前記気体が通過する流路を内部に有するダクトと、
前記流路を複数の空間に仕切る仕切板であって、前記気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成された仕切板と、
前記仕切板に前記気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する液供給部と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の処理部の稼働状況を示す稼働情報に応じて、前記液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の流量を調整する、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の処理部のうち最初に稼働する処理部に対して前記薬品の供給を開始させる信号を送信する時点で、前記液供給部からの前記溶解液の供給を開始させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記基板の処理が終了したことを示す信号を全ての前記処理部から受信した時点で、前記液供給部からの前記溶解液の供給を停止する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記気体処理装置は、
複数の前記ダクトを備え、
複数の前記ダクトは、
前記気体が上方から下方に向けて通過する第1流路を内部に有する第1ダクトと、
前記気体が下方から上方に向けて通過する第2流路を内部に有する第2ダクトと
を含み、
前記仕切板は、前記第1流路及び前記第2流路それぞれに配置され、前記第1流路及び前記第2流路それぞれを複数の空間に仕切り、
前記気体処理装置は、
前記第1流路の下流側と前記第2流路の上流側とを接続し、前記仕切板から落下する前記溶解液を貯留する貯留槽をさらに備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記液供給部は、
溶解液供給源から供給される前記溶解液を前記仕切板に供給する第1液供給部と、
前記貯留槽に貯留された前記溶解液が循環経路を介して循環されて得られる循環液を前記仕切板に供給する第2液供給部と
を有し、
前記制御部は、前記稼働情報に応じて、前記第1液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の流量と、前記第2液供給部から前記仕切板に供給される前記循環液の流量とを調整する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記稼働情報は、時間帯ごとに稼働すべき前記処理部の数を含むレシピ情報であり、
前記制御部は、
前記レシピ情報に含まれる前記処理部の数に基づき、前記第1液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の流量と、前記第2液供給部から前記仕切板に供給される前記循環液の流量とを調整する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記気体処理装置は、
前記気体に含まれる対象成分の濃度を検出する濃度検出部をさらに備え、
前記制御部は、
前記濃度検出部の検出結果を前記稼働情報として監視し、前記濃度検出部の検出結果に基づき、前記第1液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の流量と、前記第2液供給部から前記仕切板に供給される前記循環液の流量とを調整する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記濃度検出部によって検出される濃度が予め定められた上限値よりも大きい閾値を上回るか否かを判定し、前記濃度検出部によって検出される濃度が前記閾値を上回ると判定した場合、前記複数の処理部から排出される気体の流量を減少させる制御を行う、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記稼働情報は、時間帯ごとに前記複数の処理部から排出される気体に含まれる対象成分の量又は濃度を含むレシピ情報であり、
前記制御部は、
前記レシピ情報に含まれる前記対象成分の量又は濃度に基づき、前記液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の流量を調整する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記レシピ情報は、前記対象成分の種類をさらに含み、
前記制御部は、
前記レシピ情報に含まれる前記対象成分の種類に基づき、前記液供給部から前記仕切板に供給すべき前記溶解液の種類を変更する、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記レシピ情報に含まれる前記対象成分の種類に基づき、前記液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の温度を調整する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記液供給部は、各前記空間に少なくとも1つ配置され、
前記制御部は、
前記稼働情報に応じて、複数の前記液供給部のうち、前記仕切板への前記溶解液の供給を行う液供給部の数を増減する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
薬品を用いて基板を処理する複数の処理部と、
前記複数の処理部から排出される気体が通流する排気経路と、
前記排気経路に設けられ、前記排気経路を通流する前記気体に含まれる対象成分を前記気体から除去する気体処理装置と、
を備え、
前記気体処理装置は、
前記気体が通過する流路を内部に有するダクトと、
前記流路を複数の空間に仕切る仕切板であって、前記気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成された仕切板と、
前記仕切板に前記気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する液供給部と
を備える基板処理装置の制御方法であって、
前記複数の処理部の稼働状況を示す稼働情報に応じて、前記液供給部から前記仕切板に供給される前記溶解液の流量を調整する、基板処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハなどの基板を処理する基板処理装置から排出される排ガスには、基板の処理に使用された薬品の成分、たとえば酸成分やアルカリ成分や有機成分が含まれている場合がある。
【0003】
薬品の成分を含んだ排ガスは、大気中に放出されることで環境や人体に影響を与えるおそれがある。そこで、基板処理装置における排ガスの排気経路には、排ガスから薬品成分を除外するスクラバと呼ばれる除去装置が設置される場合がある。
【0004】
特許文献1には、排ガスに含まれる薬品成分を溶解する溶解液を噴霧するノズルが内部に設けられた筐体を有し、ノズルから噴霧される溶解液を筐体の内部に導入される排ガスと接触させることにより、排ガスから薬品成分を除去するスクラバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、溶解液の使用量を削減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による基板処理装置は、複数の処理部と、排気経路と、気体処理装置と、制御部とを備える。複数の処理部は、薬品を用いて基板を処理する。排気経路は、複数の処理部から排出される気体が通流する。気体処理装置は、排気経路に設けられ、排気経路を通流する気体に含まれる対象成分を気体から除去する。制御部は、複数の処理部及び気体処理装置を制御する。気体処理装置は、ダクトと、仕切板と、液供給部とを備える。ダクトは、気体が通過する流路を内部に有する。仕切板は、流路を複数の空間に仕切る仕切板であって、気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成される。液供給部は、仕切板に気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する。制御部は、複数の処理部の稼働状況を示す稼働情報に応じて、液供給部から仕切板に供給される溶解液の流量を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、溶解液の使用量を削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る処理ユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る処理ユニットの排気経路の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る気体処理装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る気体処理装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る流量調整処理における各部の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る気体処理装置の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、第3の実施形態に係る流量調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置及び基板処理装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る基板処理システムの構成について
図1を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0014】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0015】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0016】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0017】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
【0018】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
【0019】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0020】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0021】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0022】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0023】
次に、処理ユニット16及び処理ユニット16の排気経路の構成について
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態に係る処理ユニット16の構成を示す図である。
【0024】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0025】
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21には、給気管22を介して気体供給源23が接続される。FFU21は、気体供給源23から給気管22を介して供給される気体をチャンバ20内の上方から下方に向けて供給することにより、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0026】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0027】
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
【0028】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成される。排液口51には、排液管52が接続され、回収カップ50によって捕集された処理液は、排液口51から排液管52を通って処理ユニット16の外部へ排出される。
【0029】
また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口53が形成される。排気口53には、排気管54が接続され、FFU21から処理ユニット16に供給された気体は、排気口53から排気管54を通って処理ユニット16の外部へ排出される。
【0030】
ここで、処理ユニット16から排出される気体(以下、「排ガス」と記載する)には、処理流体供給部40から供給される処理流体の成分が含まれている場合がある。たとえば、処理流体が酸系、アルカリ系あるいは有機系の薬品である場合には、それぞれ酸成分、アルカリ成分、有機成分が排ガスに含まれる場合がある。
【0031】
なお、酸系の薬品としては、たとえばDHF(希フッ酸)やBHF(フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液)等がある。また、アルカリ系の薬品としては、たとえばSC1(アンモニア、過酸化水素水および水の混合液)がある。また、有機系の薬品としては、たとえばIPA(イソプロピルアルコール)がある。薬品は、液体に限らず、気体である場合もある。
【0032】
上記成分を含んだ排ガスは、大気中に放出されることで環境や人体に影響を与えるおそれがある。そこで、第1の実施形態に係る基板処理システム1は、処理ユニット16から排出された排ガスから酸成分、アルカリ成分、有機成分のうち少なくともいずれか一つを含む対象成分を除去する気体処理装置100(
図3参照)を備える。気体処理装置100は、基板処理システム1が備える排気経路に設けられる。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る処理ユニット16の排気経路の構成を示す図である。
図3に示すように、第1の実施形態に係る基板処理システム1は、複数の排気管54を備える。複数の排気管54の一端は、複数の処理ユニット16の排気口53に接続され、他端は、集合排気管55に接続される。
【0034】
図3に示すように、気体処理装置100は、集合排気管55に設けられる。集合排気管55は、基板処理システム1が備える排気経路の一部を構成するものであり、基板処理システム1の内部に設けられる。そして、気体処理装置100も、基板処理システム1の内部に設けられる。気体処理装置100によって対象成分が除去された排ガスは、集合排気管55を通って基板処理システム1から排出される。なお、集合排気管55が基板処理システム1の外部に延びている場合、気体処理装置100は、基板処理システム1の外部に設けられてもよい。また、複数の基板処理システム1にそれぞれ設けられる複数の集合排気管55が一つの合流排気管に接続される場合、気体処理装置100は、かかる合流排気管に設けられてもよい。
【0035】
次に、気体処理装置100の構成について
図4を参照して説明する。
図4は、第1の実施形態に係る気体処理装置100の構成を示す図である。なお、
図4においては、排ガスの流れを破線の矢印で示し、溶解液の流れを実線の矢印で示している。
【0036】
図4に示すように、気体処理装置100は、第1ダクト110と、第2ダクト120と、仕切板130と、液供給部140と、気体導入部150と、気体排出部160と、貯留槽170と、液排出部180とを備える。
【0037】
第1ダクト110は、第1流路F1を内部に有し、第2ダクト120は、第2流路F2を内部に有する。第1ダクト110及び第2ダクト120は、上下方向(Z軸方向)に延びるように配置される。第1ダクト110及び第2ダクト120の形状は、例えば、円筒形状や角筒形状等の任意の形状であってよい。
【0038】
気体導入部150は、集合排気管55のうち気体処理装置100よりも上流側に位置する上流側集合排気管55a(
図3参照)と第1ダクト110とを接続し、上流側集合排気管55aを流れる排ガスを第1流路F1に導入する。また、気体排出部160は、集合排気管55のうち気体処理装置100よりも下流側に位置する下流側集合排気管55b(
図3参照)と第2ダクト120とを接続し、第2流路F2を通過した排ガスを第2ダクト120から排出して下流側集合排気管55bへ送る。第1ダクト110の下端側、すなわち、第1流路F1の下部と、第2ダクト120の下端側、すなわち、第2流路F2の下部とは、貯留槽170を介して接続されている。
【0039】
具体的には、気体導入部150は、第1ダクト110の上端側に接続され、第1ダクト110の上端側(すなわち、第1流路F1の上部)から第1流路F1に排ガスを導入する。また、気体排出部160は、第2ダクト120の上端側に接続され、第2ダクト120の上端側(すなわち、第2流路F2の上部)から下流側集合排気管55bに排ガスを排出する。したがって、第1流路F1には、上方から下方に向かう排ガスの流れが形成され、貯留槽170には、第1流路F1の下部から第2流路F2の下部に向かう排ガスの流れが形成され、第2流路F2には、下方から上方に向かう排ガスの流れが形成される。
【0040】
第1ダクト110の第1流路F1及び第2ダクト120の第2流路F2それぞれには、仕切板130が配置される。仕切板130は、第1流路F1及び第2流路F2それぞれを上下方向に隣接する複数の空間Sに仕切る。
【0041】
仕切板130は、排ガスを透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成された多孔質部材である。仕切板130を形成する多孔質材としては、例えば、多孔質のセラミックスが用いられる。多孔質のセラミックスは、少なくともシリコン(Si)及びシリコンカーバイド(SiC)を含むセラミックスである。多孔質のセラミックスは、シリコン(Si)からなる3次元の骨格がシリコンカーバイド(SiC)により補強されて形成される。多孔質のセラミックスは、さらに窒化アルミニウムや窒化シリコンを含んでもよい。
【0042】
仕切板130は、第1流路F1及び第2流路F2それぞれの複数の空間Sのサイズを調整可能な複数の取り付け位置に脱着可能に取り付けられる。例えば、第1流路F1及び第2流路F2には、水平方向に延びるレールが上下方向に等間隔で複数形成されており、仕切板130は、第1流路F1及び第2流路F2の複数のレールのうち所望のレールに対して脱着可能に取り付けられる。第1流路F1及び第2流路F2の全てのレールに対して仕切板130を取り付けることにより、複数の空間Sのサイズが同一となる。全てのレールのうち一部のレールから仕切板130を取り外すことにより、一部の空間Sのサイズを増大させることができる。複数の空間Sのサイズは、第1ダクト110と第2ダクト120との間で同一であっても、異なってもよい。また、複数の空間Sのサイズは、第1ダクト110又は第2ダクト120において同一であっても、異なってもよい。
【0043】
液供給部140は、各空間Sに少なくとも一つ配置される。具体的には、液供給部140は、各空間Sにおいて仕切板130の上方に配置される。液供給部140は、下方の仕切板130に向けて溶解液を供給する。
【0044】
液供給部140は、第1液供給部141と、第2液供給部142とを有する。
【0045】
第1液供給部141は、供給管141aを介して溶解液供給源141bに接続される。供給管141aには、各空間Sの第1液供給部141に対応して供給機器群141cが設けられる。溶解液供給源141bは、排ガスに含まれる対象成分を溶解する溶解液として、例えば純水や市水を供給する。なお、溶解液供給源141bから供給される溶解液は、純水や市水に限定されず、排ガスに含まれる対象成分の種類に応じて適宜選択可能である。供給機器群141cは、例えば、供給管141aを開閉する開閉バルブ、マスフローコントローラ、及び溶解液の温度を調整可能な温度調整器などを含む。なお、
図5では、説明の便宜上、第1ダクト110側の溶解液の供給系(供給管141a、溶解液供給源141b及び供給機器群141c)のみを示すが、第2ダクト120側の溶解液の供給系も第1ダクト110側の溶解液の供給系と同様である。
【0046】
第1液供給部141は、溶解液供給源141bから供給される溶解液を下方の仕切板130に供給する。仕切板130に供給された溶解液は、仕切板130の上面から仕切板130内部の多孔質構造へ染み込んで仕切板130によって一時的に保持される。
【0047】
第2液供給部142は、循環液管142aに接続される。循環液管142aには、ポンプ142bが設けられる。また、循環液管142aには、各空間Sの第2液供給部142に対応して供給機器群142cが設けられる。循環液管142aは、貯留槽170に貯留された使用済みの溶解液、すなわち、排ガスから除去された対象成分を含んだ溶解液に接液される。ポンプ142bは、循環液管142aを介して溶解液を貯留槽170から引き上げて第2液供給部142に向けて圧送する。これにより、貯留槽170に貯留された溶解液が循環液管142a及びポンプ142bから構成される循環経路を介して循環される。供給機器群141cは、例えば、循環液管142aを開閉する開閉バルブ、マスフローコントローラ、及び循環液の温度を調整可能な温度調整器などを含む。なお、
図5では、説明の便宜上、第1ダクト110側の循環液の供給系(循環液管142a及びポンプ142b)のみを示すが、第2ダクト120側の循環液の供給系も第1ダクト110側の循環液の供給系と同様である。
【0048】
第2液供給部142は、貯留槽170に貯留された溶解液が循環経路を介して循環されて得られる循環液を下方の仕切板130に供給する。仕切板130に供給された循環液は、仕切板130の上面から仕切板130内部の多孔質構造へ染み込んで仕切板130によって一時的に保持される。以下では、第2液供給部142から供給される循環液と第1液供給部141から供給される溶解液とを適宜まとめて「溶解液」と呼ぶことがある。
【0049】
液供給部140は、第1ダクト110の内部において第1流路F1の上流側から下方の仕切板130に向けて溶解液を供給し、第2ダクト120の内部において第2流路F2の下流側から下方の仕切板130に向けて溶解液を供給する。第1ダクト110の内部において供給される溶解液と、第2ダクト120の内部において供給される溶解液とは、同一種類の液である。
【0050】
貯留槽170は、第1ダクト110の第1流路F1の下流側と第2ダクト120の第2流路F2の上流側とを接続し、仕切板130から落下する溶解液を貯留する。
【0051】
液排出部180は、貯留槽170に貯留された溶解液を貯留槽170から排出する。液排出部180には、排液管181が接続され、排液管181にはバルブ182が設けられる。
【0052】
また、気体処理装置100は、液量検出部171を備える。液量検出部171は、貯留槽170に設けられ、貯留槽170に貯留された溶解液の液量を検出する。
【0053】
液量検出部171による検出結果は、制御部18に出力される。また、供給機器群141c、142c、ポンプ142b及びバルブ182は、制御部18によって制御される。
【0054】
制御部18は、液量検出部171による検出結果に基づいて、第2液供給部142からの循環液の供給を実行するか否かを判定する。液量検出部171による検出液量、すなわち、貯留槽170に貯留された溶解液の液量が予め定められた上限値を上回ると判定した場合、制御部18は、第2液供給部142からの循環液の供給を実行すると判定する。そして、制御部18は、供給機器群142c及びポンプ142bを制御して、第2液供給部142からの循環液の供給を開始する。
【0055】
また、制御部18は、供給機器群141c、142cを制御することにより、第1液供給部141及び第2液供給部142から仕切板130に供給される溶解液及び循環液の流量及び温度を空間Sごとに調整する。
【0056】
また、制御部18は、液量検出部171による検出結果に基づいて、液排出部180からの溶解液の排出を実行するか否かを判定する。液量検出部171による検出液量、すなわち、貯留槽170に貯留された溶解液の液量が予め定められた上限値を上回ると判定した場合、制御部18は、液排出部180からの溶解液の排出を実行すると判定する。そして、制御部18は、バルブ132を開放する。これにより、液排出部180によって貯留槽170から溶解液が排出され、貯留槽170から排出された溶解液は、排液管181を通って外部に排出される。
【0057】
なお、ここでは、液量検出部171による検出結果に基づいて循環液の供給や溶解液の排出を実行するか否かを判定したが、制御部18は、他の検出部による検出結果に基づいて循環液の供給や溶解液の排出を実行するか否かを判定してもよい。例えば、制御部18は、貯留槽170に貯留された溶解液に含まれる対象成分の濃度を検出する濃度検出部(不図示)による検出結果に基づいて第2液供給部142からの循環液の供給を実行するか否かを判定してもよい。また、例えば、制御部18は、貯留槽170に貯留された溶解液に含まれる対象成分の濃度を検出する濃度検出部(不図示)による検出結果に基づいて液排出部180からの溶解液の排出を実行するか否かを判定してもよい。また、制御部18は、液量検出部171や濃度検出部(不図示)による検出結果に基づいて、第2液供給部142から仕切板130に供給される循環液の流量や、液排出部180から排出される溶解液の流量を調整してもよい。
【0058】
気体処理装置100は、上記のように構成され、気体導入部150から第1ダクト110の第1流路F1へ導入された排ガスは、仕切板130を透過しつつ第1流路F1を上方から下方に向けて通過する。
【0059】
第1流路F1を通過した排ガスは、貯留槽170の内部を経由して第2ダクト120の第2流路F2へ導入された後、仕切板130を透過しつつ第2流路F2を下方から上方に向けて通過する。
【0060】
仕切板130には、溶解液が保持されている。したがって、排ガスは、仕切板130を透過しつつ第1流路F1を上方から下方に向けて通過する間、又は、仕切板130を透過しつつ第2流路F2を下方から上方に向けて通過する間に、仕切板130に保持された溶解液と接触する。
【0061】
排ガスが仕切板130に保持された溶解液に接触することで、排ガスに含まれる対象成分が溶解液中に溶解する。これにより、排ガスから対象成分が除去される。対象成分が除去された排ガスは、気体排出部160によって第2ダクト120の第2流路F2から下流側集合排気管55b(
図3参照)に排出される。また、排ガスから除去された対象成分を含んだ溶解液は、仕切板130から落下して貯留槽170に貯留された後、液排出部180によって貯留槽170から排出される。
【0062】
このように、気体処理装置100は、排ガスを透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成された仕切板130によって溶解液を保持し、仕切板130に保持された溶解液に排ガスを接触させることにより、排ガスから対象成分を除去することとした。
【0063】
仕切板130に保持された溶解液は、その場に一時的に留まろうとするため、溶解液を絶えず噴霧するスクラバと比較して、溶解液をより長い時間、第1ダクト110及び第2ダクト120に留めておくことができる。したがって、気体処理装置100は、スクラバと比較して溶解液の使用量を削減することができる。
【0064】
上述したように、第1の実施形態に係る気体処理装置(例えば、気体処理装置100)は、ダクト(例えば、第1ダクト110、第2ダクト120)と、仕切板(例えば、仕切板130)と、液供給部(例えば、液供給部140)とを備える。ダクトは、気体(例えば、排ガス)が通過する流路(例えば、第1流路F1、第2流路F2)を有する。仕切板は、流路を複数の空間(例えば、空間S)に仕切る仕切板であって、気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成される。液供給部は、仕切板に気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する。そして、気体処理装置は、仕切板に保持された溶解液に流路を通過する気体を接触させる。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、溶解液の使用量を削減することができる。
【0065】
また、第1の実施形態に係る仕切板は、流路の複数の空間のサイズを調節可能な複数の取り付け位置に脱着可能に取り付けられる。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、複数の空間のサイズを自在に調節することができる。
【0066】
また、第1の実施形態に係る気体処理装置は、複数のダクトを備える。複数のダクトは、気体が上方から下方に向けて通過する第1流路(例えば、第1流路F1)を内部に有する第1ダクト(例えば、第1ダクト110)と、気体が下方から上方に向けて通過する第2流路(例えば、第2流路F2)を内部に有する第2ダクト(例えば、第2ダクト120)とを含む。仕切板は、第1流路及び第2流路それぞれに配置され、第1流路及び第2流路それぞれを複数の空間に仕切る。そして、気体処理装置は、第1流路の下流側と第2流路の上流側とを接続し、仕切板から落下する溶解液を貯留する貯留槽(例えば、貯留槽170)をさらに備える。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、貯留槽に貯留された使用済みの溶解液、すなわち、排ガスから除去された対象成分を含んだ溶解液を再利用することができる。
【0067】
また、第1の実施形態に係る液供給部は、各空間に少なくとも一つ配置される。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、各空間において、仕切板に保持された溶解液に流路を通過する気体を接触させることができることから、溶解液による対象成分の溶解効率を向上させることができる。
【0068】
また、第1の実施形態に係る液供給部は、第1ダクトの内部において第1流路の上流側から仕切板に向けて溶解液を供給し、第2ダクトの内部において第2流路の下流側から仕切板に向けて溶解液を供給する。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、仕切板を透過する排ガスと液供給部から供給される溶解液との接触可能性を高めることができることから、溶解液による対象成分の溶解効率を向上させることができる。
【0069】
また、第1の実施形態に係る第1ダクトの内部において供給される溶解液と、第2ダクトの内部において供給される溶解液とは、同一種類の液である。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、第1ダクト及び第2ダクトにおいて共通する同一種類の溶解液を用いて排ガスから酸成分、アルカリ成分、有機成分のうち少なくともいずれか一つを含む対象成分を除去することが可能である。
【0070】
また、第1の実施形態に係る液供給部は、第1液供給部(例えば、第1液供給部141)と、第2液供給部(例えば、第2液供給部142)とを有する。第1液供給部は、溶解液供給源(例えば、溶解液供給源141b)から供給される溶解液を仕切板に供給する。第2液供給部は、貯留槽に貯留された溶解液が循環経路(例えば、循環液管142a及びポンプ142b)を介して循環されて得られる循環液を仕切板に供給する。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、溶解液供給源から供給される新鮮な溶解液の使用量を削減することができる。
【0071】
また、第1の実施形態に係る第1液供給部及び第2液供給部から仕切板に供給される溶解液及び循環液の流量及び温度は、空間ごとに調整される。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、仕切板に供給される溶解液及び循環液の流量及び温度を空間ごとに対象成分の除去に適した流量及び温度に調整することができる。
【0072】
また、第1の実施形態に係る気体処理装置は、液量検出部(例えば、液量検出部171)と、制御部(例えば、制御部18)とをさらに備える。液量検出部は、貯留槽に貯留された溶解液の液量を検出する。制御部は、液量検出部の検出結果に基づき、第2液供給部からの循環液の供給を実行するか否かを判定する。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、貯留槽に貯留された溶解液の液量が適切な液量に到達するまで循環液の供給を待機することができることから、循環液の過剰使用を抑制することができる。
【0073】
また、第1の実施形態に係る気体処理装置は、貯留槽に貯留された溶解液を貯留槽から排出する液排出部をさらに備える。制御部は、液量検出部の検出結果に基づき、液排出部からの溶解液の排出を実行するか否かを判定する。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、貯留槽に貯留された溶解液の液量が適切な液量に到達するまで溶解液の排出を待機することができることから、再利用すべき溶解液の液量を確保することができる。
【0074】
また、第1の実施形態に係る基板処理装置(例えば、基板処理システム1)は、複数の処理部(例えば、処理ユニット16)と、排気経路(例えば、集合排気管55)と、気体処理装置(例えば、気体処理装置100)とを備える。複数の処理部は、薬品(例えば、処理流体)を用いて基板(例えば、ウェハW)を処理する。排気経路は、複数の処理部から排出される気体(例えば、排ガス)が通流する。気体処理装置100は、排気経路に設けられ、排気経路を通流する気体に含まれる対象成分を気体から除去する。これにより、第1の実施形態に係る基板処理装置によれば、対象成分が除去されたクリーンな排ガスを基板処理装置の外部へ排出することができる。
【0075】
また、第1の実施形態に係る気体処理装置(例えば、気体処理装置100)は、ダクト(例えば、第1ダクト110、第2ダクト120)と、多孔質部材(例えば、仕切板130)と、液供給部(例えば、液供給部140)とを備える。ダクトは、気体(例えば、排ガス)が通過する流路(例えば、第1流路F1、第2流路F2)を有する。多孔質部材は、流路に配置され、気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成される。液供給部は、多孔質部材に気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する。多孔質部材を形成する多孔質材は、多孔質のセラミックスである。そして、気体処理装置は、多孔質部材に保持された溶解液に流路を通過する気体を接触させる。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、多孔質部材の耐久性を向上させつつ溶解液の使用量を削減することができる。
【0076】
また、第1の実施形態に係る多孔質のセラミックスは、少なくともシリコン(Si)及びシリコンカーバイド(SiC)を含むセラミックスである。これにより、第1の実施形態に係る気体処理装置によれば、多孔質部材が薄型化された場合であっても、多孔質部材の強度を保つことができることから、多孔質部材の耐久性をより向上させることができる。
【0077】
(第2の実施形態)
ところで、基板処理システム1においては、複数の処理ユニット16の稼働状況が時々刻々と変化する。例えば、稼働する処理ユニット16の数、すなわち、処理流体を用いた基板処理を行う処理ユニット16の数は、時間帯ごとに、増減する。
【0078】
仮に、液供給部140から仕切板130に供給される溶解液の流量が稼働する処理ユニット16の数に関わらず一定である場合、例えば、稼働する処理ユニット16の数が減少する時間帯においては、溶解液が必要以上に消費されるおそれがある。
【0079】
そこで、第2の実施形態に係る基板処理システム1は、複数の処理ユニット16の稼働状況を示す稼働情報に応じて、液供給部140(第1液供給部141及び第2液供給部142)から仕切板130に供給される溶解液の流量を調整する流量調整処理を行う。
【0080】
図5は、第2の実施形態に係る気体処理装置100Aの構成を示す図である。なお、
図6においては、
図4と同様に、排ガスの流れを破線の矢印で示し、洗浄液の流れを実線の矢印で示している。また、
図6において、
図4と同じ部分には同じ符号を付す。
【0081】
第2の実施形態に係る基板処理システム1の複数の処理ユニット16及び気体処理装置100Aは、制御部18Aによって制御される。また、上述した流量調整処理は、例えば、記憶部19Aに記憶されたレシピ情報191に応じて実行される。
【0082】
レシピ情報191は、複数の処理ユニット16の稼働状況を示す稼働情報の一例であり、時間帯ごとに稼働すべき処理ユニット16の数を含む情報である。
【0083】
制御部18Aは、レシピ情報191に含まれる処理ユニット16の数に基づき、流量調整処理を行う。すなわち、制御部18Aは、レシピ情報191に含まれる処理ユニット16の数に基づき、第1液供給部141から仕切板130に供給される溶解液の流量と、第2液供給部142から仕切板130に供給される循環液の流量とを調整する。
【0084】
次に、制御部18Aによる溶解液の流量調整処理について
図6を参照して説明する。
図6は、第2の実施形態に係る流量調整処理における各部の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図6において、「溶解液流量」は、第1液供給部141から仕切板130に供給される溶解液の流量の動きを示し、「循環液流量」は、第2液供給部142から仕切板130に供給される循環液の流量の動きを示す。また、
図6において、「貯留液量」は、液量検出部171による検出液量、すなわち、貯留槽170に貯留された溶解液の液量の動きを示す。また、
図6において、「ユニット稼働数」は、レシピ情報191に含まれる処理ユニット16の数を示す。
【0085】
図6の例では、準備処理と、流量調整処理と、待機処理とが順に実施される。まず、制御部18Aは、時間T0から供給機器群141cを動作させて、第1液供給部141から仕切板130に最大の流量で溶解液を供給する準備処理を開始する。かかる準備処理とは、流量調整処理が開始される前に、貯留槽170に再利用すべき溶解液を貯留する処理である。
【0086】
次に、貯留槽170に貯留された溶解液の液量が所定の液量まで到達し、準備処理が終了した時間T1で、制御部18Aは、複数の処理ユニット16のうち最初に稼働する処理ユニット16に対して処理流体の供給を開始させる信号を送信する。これにより、複数の処理ユニット16は、処理流体を用いたウェハWの処理を開始する。
【0087】
また、制御部18Aは、時間T1から、流量調整処理を開始する。具体的には、制御部18Aは、時間T1から供給機器群141c、142c及びポンプ142bを動作させて、液供給部140(第1液供給部141及び第2液供給部142)からの溶解液の供給を開始させる。
【0088】
流量調整処理では、制御部18Aは、まず、時間T1からレシピ情報191に含まれる処理ユニット16の数(ユニット稼働数)が増加するほど、第1液供給部141から供給される溶解液の流量と、第2液供給部142から供給される循環液の流量とを増加させる。
【0089】
レシピ情報191に含まれる処理ユニット16の数、すなわち、稼働中の処理ユニット16の数の増加に応じて仕切板130に対する溶解液及び循環液の供給流量を増加させるほど、仕切板130に保持される溶解液の液量が増加することとなる。これにより、仕切板130を透過する排ガスと仕切板130に保持された溶解液との接触可能性を高めることができることから、溶解液による対象成分の溶解効率を向上させることができる。
【0090】
次に、ユニット稼働数が最大値に到達した時間T2から、第1液供給部141から仕切板130に最大の流量で溶解液を供給するとともに、第2液供給部142から仕切板130の最大の流量で循環液を供給する。
【0091】
次に、時間T2から所定の時間が経過した時間T3から、制御部18Aは、ユニット稼働数が減少するほど、第1液供給部141から供給される溶解液の流量と、第2液供給部142から供給される循環液の流量とを減少させる。
【0092】
レシピ情報191に含まれる処理ユニット16の数、すなわち、稼働中の処理ユニット16の数が減少する時間帯においては、排ガスに含まれる処理流体の成分がそれほど多くない。このような場合には、仕切板130に対する溶解液及び循環液の供給流量を減少させて、溶解液による対象成分の溶解効率を低くすることが可能である。このようにすることで、溶解液の過剰使用を抑制することができることから、溶解液の使用量を削減することができる。
【0093】
次に、制御部18Aは、ウェハWの処理が終了したことを示す信号を全ての処理ユニット16から受信した時間T4で供給機器群141c、142c及びポンプ142bを停止して、液供給部140からの溶解液の供給を停止する。そして、制御部18Aは、時間T4から待機処理を開始する。かかる待機処理とは、複数の処理ユニット16による次の基板処理が開始される間、待機する処理である。
【0094】
かかる待機処理においては、液供給部140からの溶解液の供給が停止された状態が継続する。これにより、溶解液の使用量を削減することができる。
【0095】
なお、ここでは、レシピ情報191は、時間帯ごとに稼働すべき処理ユニット16の数を含む情報である場合を例に示したが、レシピ情報191の内容はこれに限定されない。レシピ情報191は、複数の処理ユニット16の稼働状況を示す情報であれば如何なる情報であってもよい。例えば、レシピ情報191は、時間帯ごとに複数の処理ユニット16から排出される排ガスに含まれる対象成分の量又は濃度を含む情報であってもよい。この場合、制御部18Aは、レシピ情報191に含まれる対象成分の量又は濃度に基づき、液供給部140から仕切板130に供給される溶解液の流量を調整する。
【0096】
また、レシピ情報191は、対象成分の量又は濃度に加えて、対象成分の種類をさらに含んでもよい。この場合、制御部18Aは、レシピ情報191に含まれる対象成分の種類に基づき、液供給部140から仕切板130に供給される溶解液の種類を変更してもよい。これにより、対象成分の種類に応じて溶解液の種類を適宜変更することができる。また、制御部18Aは、レシピ情報191に含まれる対象成分の種類に基づき、供給機器群141c、142cを制御して、液供給部140から仕切板130に供給される溶解液の温度を調整してもよい。これにより、溶解液の温度を対象成分の種類に適した温度に調整可能である。
【0097】
上述したように、第2の実施形態に係る基板処理装置(例えば、基板処理システム1)は、複数の処理部(例えば、処理ユニット16)と、排気経路(例えば、集合排気管55)と、気体処理装置(例えば、気体処理装置100A)と、制御部(例えば、制御部18A)とを備える。複数の処理部は、薬品(例えば、処理流体)を用いて基板(例えば、ウェハW)を処理する。排気経路は、複数の処理部から排出される気体(例えば、排ガス)が通流する。気体処理装置100は、排気経路に設けられ、排気経路を通流する気体に含まれる対象成分を気体から除去する。制御部18Aは、複数の処理部及び気体処理装置を制御する。気体処理装置は、ダクト(例えば、第1ダクト110、第2ダクト120)と、仕切板(例えば、仕切板130)と、液供給部(例えば、液供給部140)とを備える。ダクトは、気体(例えば、排ガス)が通過する流路(例えば、第1流路F1、第2流路F2)を有する。仕切板は、流路を複数の空間(例えば、空間S)に仕切る仕切板であって、気体を透過可能で且つ液体を保持可能な多孔質材で形成される。液供給部は、仕切板に気体に含まれる対象成分を溶解可能な溶解液を供給する。そして、制御部は、複数の処理部の稼働状況を示す稼働情報に応じて、液供給部から仕切板に供給される溶解液の流量を調整する。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、溶解液の使用量を削減することができる。
【0098】
また、第2の実施形態に係る制御部は、複数の処理部のうち最初に稼働する処理部に対して薬品の供給を開始させる信号を送信する時点(例えば、時間T1)で、液供給部からの溶解液の供給を開始させる。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、処理部における薬品の供給と同期して気体処理装置における溶解液の供給を開始させることができる。
【0099】
また、第2の実施形態に係る制御部は、基板の処理が終了したことを示す信号を全ての処理部から受信した時点(例えば、時間T4)で、液供給部からの溶解液の供給を停止する。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、処理部における薬品を用いた基板処理の完了と同期して気体処理装置における溶解液の供給を停止することができる。
【0100】
また、第2の実施形態に係る液供給部は、第1液供給部(例えば、第1液供給部141)と、第2液供給部(例えば、第2液供給部142)とを有する。第1液供給部は、溶解液供給源(例えば、溶解液供給源141b)から供給される溶解液を仕切板に供給する。第2液供給部は、貯留槽に貯留された溶解液が循環経路(例えば、循環液管142a及びポンプ142b)を介して循環されて得られる循環液を仕切板に供給する。制御部は、稼働情報に応じて、第1液供給部から仕切板に供給される溶解液の流量と、第2液供給部から仕切板に供給される循環液の流量とを調整する。
【0101】
具体的には、第2の実施形態に係る稼働情報は、時間帯ごとに稼働すべき処理部の数を含むレシピ情報(例えば、レシピ情報191)である。制御部は、レシピ情報に含まれる処理部の数に基づき、第1液供給部から仕切板に供給される溶解液の流量と、第2液供給部から仕切板に供給される循環液の流量とを調整する。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、溶解液の過剰使用を抑制することができることから、溶解液の使用量を削減することができる。
【0102】
また、第2の実施形態に係る稼働情報は、時間帯ごとに前記複数の処理部それぞれから排出される気体に含まれる対象成分の量又は濃度を含むレシピ情報であってもよい。この場合、制御部は、レシピ情報に含まれる対象成分の量又は濃度に基づき、液供給部から仕切板に供給される溶解液の流量を調整してもよい。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、溶解液の過剰使用を抑制することができることから、溶解液の使用量を削減することができる。
【0103】
また、第2の実施形態に係るレシピ情報は、対象成分の種類をさらに含んでもよい。この場合、制御部は、レシピ情報に含まれる対象成分の種類に基づき、液供給部から仕切板に供給される溶解液の種類を変更してもよい。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、対象成分の種類に応じて溶解液の種類を適宜変更することができる。
【0104】
また、第2の実施形態に係る制御部は、レシピ情報に含まれる対象成分の種類に基づき、液供給部から仕切板に供給される溶解液の温度を調整してもよい。これにより、第2の実施形態に係る基板処理装置によれば、溶解液の温度を対象成分の種類に適した温度に調整可能である。
【0105】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る基板処理システム1は、排ガスに含まれる対象成分の濃度を検出する濃度検出部の検出結果に基づき、流量調整処理を行う点が上記第2の実施形態に係る基板処理システム1とは異なる。
【0106】
図7は、第3の実施形態に係る気体処理装置100Bの構成を示す図である。なお、
図7においては、
図5と同様に、排ガスの流れを破線の矢印で示し、洗浄液の流れを実線の矢印で示している。また、
図7において、
図5と同じ部分には同じ符号を付す。
【0107】
第3の実施形態に係る基板処理システム1の複数の処理ユニット16及び気体処理装置100Bは、制御部18Bによって制御される。
【0108】
第3の実施形態に係る気体処理装置100Bは、第1濃度検出部151と、第2濃度検出部161とを備える。第1濃度検出部151は、気体導入部150に設けられ、気体導入部150によって第1ダクト110の第1流路F1に導入される排ガスに含まれる対象成分の濃度を検出する。また、第2濃度検出部161は、気体排出部160に設けられ、気体排出部160によって第2ダクト120の第2流路F2から排出される排ガスに含まれる対象成分の濃度を検出する。
【0109】
第1濃度検出部151及び第2濃度検出部161による検出結果は、制御部18Bに出力される。
【0110】
制御部18Bは、第1濃度検出部151及び第2濃度検出部161による検出結果を複数の処理ユニット16の稼働状況を示す稼働情報として監視し、第1濃度検出部151及び第2濃度検出部161による検出結果に基づき、流量調整処理を行う。すなわち、制御部18Bは、第1濃度検出部151及び第2濃度検出部161による検出結果に基づき、第1液供給部141から仕切板130に供給される溶解液の流量と、第2液供給部142から仕切板130に供給される循環液の流量とを調整する。
【0111】
次に、制御部18Bによる溶解液の流量調整処理について
図8を参照して説明する。
図8は、第3の実施形態に係る流量調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0112】
図8に示すように、制御部18Bは、第2濃度検出部161による検出濃度、すなわち、気体排出部160を流れる排ガスに含まれる対象成分の濃度が、予め定められた上限値を上回るか否かを判定する(ステップS101)。第2濃度検出部161による検出濃度が予め定められた上限値を上回ると判定した場合(ステップS101;Yes)、制御部18Bは、以下の処理を行う。すなわち、制御部18Bは、供給機器群141c、142cを制御して、第1液供給部141から仕切板130に供給される溶解液の流量と、第2液供給部142から仕切板130に供給される循環液の流量とを増加させる(ステップS102)。
【0113】
仕切板130に対する溶解液及び循環液の供給流量を増加させるほど、仕切板130に保持される溶解液の液量が増加することとなる。これにより、仕切板130を透過する排ガスと仕切板130に保持された溶解液との接触可能性を高めることができることから、溶解液による対象成分の溶解効率を向上させることができる。その結果、気体排出部160から排出される排ガスに含まれる対象成分の濃度を下げることができる。
【0114】
一方、第2濃度検出部161による検出濃度が予め定められた上限値を上回っていない場合(ステップS101;No)、制御部18Bは、第2濃度検出部161による検出濃度が、予め定められた下限値を下回るか否かを判定する(ステップS103)。第2濃度検出部161による検出濃度が予め定められた下限値を下回ると判定した場合(ステップS103;Yes)、制御部18Bは、以下の処理を行う。すなわち、制御部18Bは、供給機器群141c、142cを制御して、第1液供給部141から仕切板130に供給される溶解液の流量と、第2液供給部142から仕切板130に供給される循環液の流量とを減少させる(ステップS104)。
【0115】
ステップS102、S104の処理を終えたとき、或いは、ステップS103において第2濃度検出部161による検出濃度が予め定められた下限値を下回っていない場合(ステップS103;No)、制御部18Bは、処理をステップS101に戻す。これにより、ステップS101~S104の処理が繰り返される。
【0116】
第2濃度検出部161による検出濃度が予め定められた下限値を下回る場合、排ガスから対象成分が必要以上に除去されていることになる。このような場合には、溶解液の流量及び循環液の流量を減少させて、溶解液による対象成分の溶解効率を低下させてもよい。このようにすることで、溶解液の過剰使用を抑制することができる。
【0117】
なお、ここでは、第2濃度検出部161の検出結果に基づいて流量調整を行うこととしたが、制御部18Bは、第1濃度検出部151の検出結果に基づいてステップS101~S104の流量調整処理を行ってもよい。また、制御部18Bは、第1ダクト110の第1流路F1又は第2ダクト120の第2流路F2を通過する排ガスに含まれる対象成分の濃度を検出する第3濃度検出部(図示せず)による検出濃度に基づきステップS101~S104の流量調整処理を行ってもよい。
【0118】
また、制御部18Bは、第1濃度検出部151又は第2濃度検出部161による検出濃度が予め定められた上限値よりも大きい閾値を上回るか否かを判定してもよい。そして、制御部18Bは、第1濃度検出部151又は第2濃度検出部161による検出濃度がかかる閾値を上回ると判定した場合、複数の処理ユニット16から排出される排ガスの流量を減少させる制御を行ってもよい。かかる制御としては、例えば、稼働する処理ユニット16、すなわち、処理流体を用いた基板処理を行う処理ユニット16を制限する制御が挙げられる。また、例えば、処理ユニット16において処理中のウェハWを含むロットの次のロットに対応するウェハWをキャリアCから払い出すことを停止する制御が挙げられる。複数の処理ユニット16から排出される排ガスの流量を減少させる制御を行うことにより、気体導入部150から導入される排ガスに含まれる対象成分の濃度を下げることができる。
【0119】
上述したように、第3の実施形態に係る基板処理装置(例えば、基板処理システム1)の気体処理装置(例えば、気体処理装置100B)は、濃度検出部(例えば、第1濃度検出部151、第2濃度検出部161)を備える。濃度検出部は、気体(例えば、排ガス)に含まれる対象成分の濃度を検出する。そして、第3の実施形態に係る制御部(例えば、制御部18B)は、濃度検出部の検出結果を稼働情報として監視する。制御部は、濃度検出部の検出結果に基づき、第1液供給部(例えば、第1液供給部141)から仕切板(例えば、仕切板130)に供給される溶解液の流量と、第2液供給部(例えば、第2液供給部142)から仕切板に供給される循環液の流量とを調整する。これにより、第3の実施形態に係る基板処理装置によれば、溶解液の過剰使用を抑制することができることから、溶解液の使用量を削減することができる。
【0120】
(その他)
上記各実施形態では、第1ダクト110及び第2ダクト120を上下方向(Z軸方向)に延びるように配置したが、第1ダクト110及び第2ダクト120の配置態様はこれに限られない。例えば、第1ダクト110及び第2ダクト120を上下方向(Z軸方向)に対して傾斜するように配置してもよい。
【0121】
また、上記各実施形態では、貯留槽170は、第1ダクト110の第1流路F1及び第2ダクト120の第2流路F2それぞれに配置された仕切板130から落下する溶解液を貯留する場合を例に説明したが、貯留槽170をダクトごとに区分してもよい。例えば、貯留槽170は、隔壁によって、第1ダクト110に対応する第1貯留部と、第2ダクト120に対応する第2貯留部とに区分されてもよい。この場合、第1貯留部は、第1ダクト110の第1流路F1に配置される仕切板130から落下する溶解液を貯留し、第2貯留部は、第2ダクト120の第2流路F2から落下する溶解液を貯留する。また、貯留槽170が隔壁によって第1貯留部と第2貯留部とに区分される場合、第1ダクト110の内部と第2ダクト120の内部とで異なる種類の溶解液を液供給部140から供給してもよい。
【0122】
また、上記第2の実施形態及び上記第3の実施形態では、稼働情報に応じて溶解液の流量調整処理を行ったが、稼働情報に応じて複数の液供給部140のうち、仕切板130への溶解液の供給を行う液供給部140の数を増減してもよい。例えば、制御部18Aは、供給機器群141c、142cを制御して、レシピ情報191に含まれる処理ユニット16、すなわち、稼働中の処理ユニット16の数が減少するほど、仕切板130への溶解液の供給を行う液供給部140の数を減少させてもよい。これにより、溶解液の使用量を削減することができる。
【0123】
また、上記第2の実施形態及び上記第3の実施形態では、処理ユニット16において処理すべきウェハWを含むロットを特定するロット特定情報に応じて複数の液供給部140のうち、仕切板130への溶解液の供給を行う液供給部140の数を増減してもよい。例えば、制御部18Aは、ロット特定情報により特定されるロットに含まれるウェハWがキャリアCから払い出されない期間に、供給機器群141c、142cを制御して、仕切板130への溶解液の供給を行う液供給部140の数を減少させてもよい。これにより、溶解液の使用量を削減することができる。
【0124】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 基板処理システム
16 処理ユニット
18、18A、18B 制御部
19、19A 記憶部
55 集合排気管
100、100A、100B 気体処理装置
110 第1ダクト
120 第2ダクト
130 仕切板
140 液供給部
141 第1液供給部
142 第2液供給部
150 気体導入部
151 第1濃度検出部
160 気体排出部
161 第2濃度検出部
170 貯留槽
171 液量検出部
180 液排出部
191 レシピ情報
F1 第1流路
F2 第2流路
S 空間