(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189082
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221215BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097449
(22)【出願日】2021-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084BB26
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
5F004AA15
5F004BA06
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BB29
5F004CA06
(57)【要約】
【課題】パーティクルを抑制するプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】チャンバ筐体及び前記チャンバ筐体の上部開口を閉じる天部を有するチャンバを備える、プラズマ処理装置であって、前記天部は、上部電極と、前記上部電極の周囲に設けられ、前記上部電極と前記チャンバ筐体とを電気的に絶縁する絶縁部材と、を有し、前記絶縁部材の下部は、前記絶縁部材の上部よりも外周側に配置される、プラズマ処理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ筐体及び前記チャンバ筐体の上部開口を閉じる天部を有するチャンバを備える、プラズマ処理装置であって、
前記天部は、
上部電極と、
前記上部電極の周囲に設けられ、前記上部電極と前記チャンバ筐体とを電気的に絶縁する絶縁部材と、を有し、
前記絶縁部材の下部は、前記絶縁部材の上部よりも外周側に配置される、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記上部電極の下部側面は、前記上部電極の上部側面よりも外周側に配置され、
前記絶縁部材の下部内周面は、前記絶縁部材の上部内周面よりも外周側に配置され、
前記上部電極の下部側面は、前記絶縁部材の上部内周面よりも外周側に配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記天部は、
前記絶縁部材の周囲に設けられ、前記チャンバ筐体と導通する導通部材と、を有し、
前記絶縁部材の下部外周面は、前記絶縁部材の上部外周面よりも外周側に配置され、
前記導通部材の下部内周面は、前記導通部材の上部内周面よりも外周側に配置され、
前記絶縁部材の下部外周面は、前記導通部材の上部内周面よりも外周側に配置される、
請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記チャンバ内に基板を支持する基板支持部を備え、
前記上部電極と前記絶縁部材の隙間は、前記基板支持部よりも外周側で前記チャンバ内の空間に連通する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上部電極に電圧又は電流を印加するプラズマ処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、減圧可能な内部空間の中でプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、前記内部空間をその中に提供するチャンバと、前記内部空間の中に設けられており、その上に載置される基板を支持するように構成された支持台と、各々が、前記チャンバに含まれるか、前記チャンバとは別体である一つ以上の第1部材であり、各々の少なくとも一部が、前記内部空間を含む減圧環境に晒されるように設けられた、該一つ以上の第1部材と、各々が、前記チャンバに含まれるか、前記チャンバとは別体である一つ以上の第2部材であり、各々が、前記一つ以上の第1部材のうち対応の第1部材に接し、各々の少なくとも一部が、大気圧環境下に配置された、該一つ以上の第2部材と、各々が前記一つ以上の第2部材のうち対応の第2部材の中に設けられた空洞に冷媒を供給するように構成された一つ以上の供給器と、を備える、プラズマ処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているプラズマ処理装置において、チャンバは、有底略円筒形状のチャンバ本体と、チャンバ本体の上部開口を閉じる天部と、を有している。天部は、上部電極と、チャンバ本体の側壁の上に設けられる略環状の金属部材と、上部電極と金属部材との間に設けられる絶縁部材と、を有している。天部の部材間の隙間からパーティクルが生じ、ウエハ上に付着するおそれがある。
【0006】
一の側面では、本開示は、パーティクルを抑制するプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、チャンバ筐体及び前記チャンバ筐体の上部開口を閉じる天部を有するチャンバを備える、プラズマ処理装置であって、前記天部は、上部電極と、前記上部電極の周囲に設けられ、前記上部電極と前記チャンバ筐体とを電気的に絶縁する絶縁部材と、を有し、前記絶縁部材の下部は、前記絶縁部材の上部よりも外周側に配置される、プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一の側面によれば、パーティクルを抑制するプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るプラズマ処理システムの構成例を示す図。
【
図2】一実施形態に係るプラズマ処理装置の上部電極の構造を説明する断面模式図の一例。
【
図3】参考例に係るプラズマ処理装置の上部電極の構造を説明する断面模式図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理システムの構成例を示す図である。
【0012】
プラズマ処理システムは、容量結合プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ(チャンバ)10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13(
図2で後述する上部電極51ともいう。)を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間10sからガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口10eとを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0013】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0014】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0015】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0016】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0017】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0018】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0019】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。また、プラズマ処理装置1は、バッフル板14を有している。バッフル板14は、側壁10aと基板支持部11の間に設けられ、プラズマ処理空間10sからガス排出口10eへのガスの流れを調整する。
【0020】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0021】
次に、プラズマ処理装置1のプラズマ処理チャンバ10について、
図2を用いて更に説明する。
図2は、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の構造を説明する断面模式図の一例である。なお、
図2において、後述する上部電極51、絶縁部材52、導通部材53間の隙間は、誇張して図示している。
【0022】
プラズマ処理チャンバ10は、側壁10aを有し上部が開口するチャンバ筐体と、チャンバ筐体の上部開口を閉じる天部と、を有している。天部は、上部電極51(
図1に示すシャワーヘッド13ともいう)と、絶縁部材52と、導通部材53と、を有している。
【0023】
上部電極51は、導電性部材で形成され、電源30(
図1参照)から信号が入力される。また、上部電極51には、ガス供給口13a、ガス拡散室13b(
図1参照)、ガス導入口13c(
図1参照)が形成されている。また、上部電極51は、円柱状の上部51aと、上部51aよりも拡径した円柱状の下部51bと、を有する。即ち、下部51bの側面(外周面)は、上部51aの側面(外周面)よりも外周側に(径方向外側に)配置される。
【0024】
上部電極51の周囲には、絶縁部材52が設けられる。絶縁部材52は、絶縁部材で形成され、上部電極51と導通部材53との間に設けられる。これにより、絶縁部材52は、上部電極51と導通部材53とを絶縁する。即ち、絶縁部材52は、上部電極51(
図1に示すシャワーヘッド13)とチャンバ筐体とを絶縁する。また、絶縁部材52は、円環状の上部52aと、円環状の下部52bと、を有する。ここで、絶縁部材52の下部52bは、絶縁部材52の上部52aよりも外周側に配置されている、また、下部52bの内周面は上部52aの内周面よりも外周側に(径方向外側に)配置され、下部52bの外周面は上部52aの外周面よりも外周側に(径方向外側に)配置される。
【0025】
絶縁部材52の周囲には、導通部材53が設けられる。導通部材53は、導電性部材で形成され、チャンバ筐体の側壁10aの上に設けられ、チャンバ筐体と電気的に接続される。また、導通部材53は、円環状の上部53aと、上部53aの内周面よりも拡径した内周面を有する円環状の下部53bと、を有する。ここで、導通部材53の下部53bの内周面は、導通部材53の上部53aの内周面よりも外周側に(径方向外側に)配置される。なお、下部52bの外周面及び上部52aの外周面は、側壁10aの外周面と一致するように生成されていてもよい。
【0026】
また、上部電極51の下部51bの側面(外周面)は、絶縁部材52の上部52aの内周面よりも外周側に(径方向外側に)配置される。このような構成により、上部電極51の下部51bの上面51cと、絶縁部材52の上部52aの下面52cと、が当接する。そして、上部電極51は、図示しないボルト等の固定部材によって絶縁部材52に固定される。例えば、上部電極51の下部51bと絶縁部材52の上部52aとが固定部材によって固定される。
【0027】
また、絶縁部材52の下部52bの外周面は、導通部材53の上部53aの内周面よりも外周側に(径方向外側に)配置される。このような構成により、絶縁部材52の下部52bの上面52dと、導通部材53の上部53aの下面53cと、が当接する。そして、絶縁部材52は、図示しないボルト等の固定部材によって導通部材53に固定される。例えば、絶縁部材52の下部52bと導通部材53の上部53aとが固定部材によって固定される。そして、導通部材53は、チャンバ筐体の側壁10aの上に固定される。
【0028】
これにより、上部電極51と絶縁部材52との隙間は、上部電極51の上部51a外周面と絶縁部材52の上部52a内周面との間の円筒形状の隙間と、上部電極51の下部51bの上面51cと絶縁部材52の上部52aの下面52cとの間の円環形状の隙間と、上部電極51の下部51b外周面と絶縁部材52の下部52b内周面との間の円筒形状の隙間と、を有する。
【0029】
また、上部電極51と絶縁部材52との隙間は、プラズマ処理チャンバ10の外からプラズマ処理空間10sに向かって、プラズマ処理チャンバ10の中心軸から外側を向く構造となっている。即ち、下部51b外周面と下部52b内周面との間の円筒形状の隙間は、上部51a外周面と上部52a内周面との間の円筒形状の隙間よりも拡径している。また、上部電極51と絶縁部材52との隙間をプラズマ処理チャンバ10の外からプラズマ処理空間10sへと見た場合、上部電極51の上面51cと絶縁部材52の下面52cとの間の隙間は、径方向外側に向かって延びている。
【0030】
また、上部電極51と絶縁部材52との隙間は、プラズマ処理空間10sと面する位置において、基板支持部11よりも外周側でプラズマ処理空間10sに連通する。また、上部電極51と絶縁部材52との隙間のプラズマ処理空間10s側の端部は、バッフル板14の上方に位置している。
【0031】
同様に、絶縁部材52と導通部材53との隙間は、絶縁部材52の上部52a外周面と導通部材53の上部53a内周面との間の円筒形状の隙間と、絶縁部材52の下部52bの上面52dと導通部材53の上部53aの下面53cとの間の円環形状の隙間と、絶縁部材52の下部52b外周面と導通部材53の下部53b内周面との間の円筒形状の隙間と、を有する。
【0032】
また、絶縁部材52と導通部材53との隙間は、プラズマ処理チャンバ10の外からプラズマ処理空間10sに向かって、プラズマ処理チャンバ10の中心軸から外側を向く構造となっている。即ち、下部52b外周面と下部53b内周面との間の円筒形状の隙間は、上部52a外周面と上部53a内周面との間の円筒形状の隙間よりも拡径している。また、絶縁部材52と導通部材53との隙間をプラズマ処理チャンバ10の外からプラズマ処理空間10sへと見た場合、絶縁部材52の上面52dと導通部材53の下面53cとの間の隙間は、径方向外側に向かって延びている。
【0033】
また、絶縁部材52と導通部材53との隙間は、プラズマ処理空間10sと面する位置において、基板支持部11よりも外周側に配置されている。また、絶縁部材52と導通部材53との隙間は、プラズマ処理空間10sと面する位置において、バッフル板14の上方に位置している。
【0034】
ここで、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の天部を組み立てる一例について説明する。まず、上部電極51、絶縁部材52及び導通部材53を
図2に示す向きから上下逆さにして、導通部材53の内側に絶縁部材52を挿入して組み付ける。更に絶縁部材52の内側に上部電極51を挿入して組み付ける。そして、組み立てられた天部(上部電極51、絶縁部材52及び導通部材53)を
図2に示す向きとなるように上下逆さにして、チャンバ筐体の側壁10aの上に固定する。
【0035】
ここで、参考例に係るプラズマ処理装置1のプラズマ処理チャンバ10について、
図3を用いて更に説明する。
図3は参考例に係るプラズマ処理装置1の構造を説明する断面模式図の一例である。
【0036】
プラズマ処理チャンバ10は、側壁10aを有するチャンバ筐体と、チャンバ筐体の上部開口を閉じる天部と、を有している。天部は、上部電極151(
図1のシャワーヘッド13ともいう)と、絶縁部材152と、金属部材153と、を有している。
【0037】
参考例において、また、上部電極151と絶縁部材152との隙間は、プラズマ処理チャンバ10の外からプラズマ処理空間10sに向かって、プラズマ処理チャンバ10の内側を向く構造となっている。また、絶縁部材152と金属部材153との隙間は、プラズマ処理チャンバ10の外からプラズマ処理空間10sに向かって、プラズマ処理チャンバ10の内側を向く構造となっている。
【0038】
ここで、参考例に係るプラズマ処理装置1の天部を組み立てる一例について説明する。まず、上部電極151、絶縁部材152及び金属部材153を
図3に示す向きにして、金属部材153の内側に絶縁部材152を挿入して組み付ける。更に絶縁部材152の内側に上部電極151を挿入して組み付ける。そして、組み立てられた天部(上部電極151、絶縁部材152及び金属部材153)をチャンバ筐体の側壁10aの上に固定する。
【0039】
次に、参考例に係るプラズマ処理装置1の天部の構造(
図3参照)と対比しつつ、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の天部の構造(
図2参照)について、説明する。
【0040】
ここで、上部電極51(151)と絶縁部材52(152)とは、異なる材料で構成される。また、絶縁部材52(152)と導通部材53(155)は、異なる材料で構成される。このため、圧力変化や温度変化によって、部材同士が擦れ合い、パーティクルが発生するおそれがある。また、反応副生成物が隙間の壁面に付着し、部材同士が擦れ合うことにより、反応副生成物のパーティクルが発生するおそれがある。
【0041】
参考例に係るプラズマ処理装置1の天部の構造(
図3参照)において、天部の隙間はプラズマ処理チャンバ10の中心方向に集まるように構成されている。このため、天部の部材間の隙間で生じたパーティクルは、破線矢印に示すように、プラズマ処理チャンバ10の中心方向に向かい、パーティクルが基板Wの上に乗るおそれがある。
【0042】
これに対し、一実施形態に係るプラズマ処理装置1の天部の構造によれば、天部の部材間の隙間をプラズマ処理チャンバ10の外側方向に向けることができる。これにより、天部の部材間の隙間で生じたパーティクルは、破線矢印に示すように、排気方向(バッフル板14)へと流れるので、パーティクルが基板Wの上に乗ることを抑制することができる。
【0043】
以上、プラズマ処理システムの実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0044】
W 基板
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ(チャンバ)
10a 側壁
10e ガス排出口
10s プラズマ処理空間
11 基板支持部(載置部)
13 シャワーヘッド
14 バッフル板
20 ガス供給部
30 電源
40 排気システム
51 上部電極
51a 上部
51b 下部
51c 上面
52 絶縁部材
52a 上部
52b 下部
52c 下面
52d 上面
53 導通部材
53a 上部
53b 下部
53c 下面