(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189252
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ポンプユニットおよびその製造方法ならびに排水システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20221215BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F04B53/00 H
F04D29/60 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097739
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】面川 一畝
(72)【発明者】
【氏名】早川 淳一
【テーマコード(参考)】
3H071
3H130
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB03
3H071CC32
3H071CC35
3H071DD83
3H071DD89
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB60
3H130AC30
3H130BA91A
3H130BA95A
3H130CA24
3H130CA27
3H130EA01A
3H130EA07A
3H130EB01A
3H130EB02A
3H130ED01A
(57)【要約】
【課題】据え付けた後でも、ポンプ設備の点検作業を行いやすいようにする。
【解決手段】吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部と、前記少なくとも一部を囲う筐体と、を備え、前記筐体は、前記少なくとも一部が載置される筐体下部と、前記筐体下部に対して着脱可能に接続される筐体上部と、を有する、ポンプユニットが提供される。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部と、
前記少なくとも一部を囲う筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記少なくとも一部が載置される筐体下部と、
前記筐体下部に対して着脱可能に接続される筐体上部と、を有する、ポンプユニット。
【請求項2】
前記筐体上部は、上方に延びる、側面に第1凹部が設けられた複数の支柱を有し、
前記筐体下部の上面には第2凹部が設けられ、
前記筐体は、前記第1凹部と対向する第1開口と、前記第2凹部に対向する第2開口と、が設けられたL字形状の接続治具を有し、
前記第1開口を貫通して前記第1凹部に達する第1ボルトと、前記第2開口を貫通して前記第2凹部に達する第2ボルトと、によって、前記筐体上部は前記筐体下部に対して着脱可能に接続される、請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項3】
前記筐体上部は、
所定方向に延びており、前記複数の支柱のうちの第1支柱と第2支柱とを接続する第1接続部材と、
前記所定方向に延びており、前記複数の支柱のうちの前記第1支柱および前記第2支柱とそれぞれ対向する第3支柱と第4支柱とを接続する第2接続部材と、を有し、
前記第1接続部材および前記第2接続部材は、前記所定方向に伸縮可能である、請求項2に記載のポンプユニット。
【請求項4】
前記第1接続部材および前記第2接続部材のそれぞれは、
内部が空洞になっており、一側面から対向する側面まで達する複数の開口が設けられ、前記所定方向に延びる第1骨部と、
少なくとも一部が前記空洞に嵌まり、一側面から対向する側面まで達する複数の開口が設けられ、前記所定方向に延びる第2骨部と、を有し、
前記第1骨部に設けられた複数の開口のいずれかと、前記第2骨部に設けられた複数の開口のいずれかと、を貫通するボルトによって前記第1骨部と前記第2骨部とが固定される、請求項3に記載のポンプユニット。
【請求項5】
前記筐体上部は、上方に延びる複数の支柱を有し、
前記支柱の下面には上方に向かって窪んだ凹部が設けられ、かつ、前記凹部を介して前記支柱の一側面から対向する側面まで達する第1開口が設けられ、
前記筐体下部の上面には、前記支柱の凹部に嵌まる、上方に向かって突出した凸部が設けられ、かつ、前記凸部を貫通する第2開口が設けられ、
前記第1開口および前記第2開口を貫通するボルトによって、前記筐体上部は前記筐体下部に対して着脱可能に接続される、請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項6】
前記凸部は、前記筐体下部の一辺に沿って延びており、かつ、複数の前記第2開口が設けられ、
前記ボルトは、前記第1開口と、前記複数の第2開口のいずれかと、を貫通する、請求項5に記載のポンプユニット。
【請求項7】
前記筐体上部は、上方に延びる複数の支柱を有し、
前記支柱の下面には下方に向かって突出した第1凸部が設けられ、かつ、前記第1凸部を貫通する第1開口が設けられ、
前記筐体下部の上面には、互いに対向するように設けられた上方に向かって突出した第2凸部および第3凸部が設けられ、前記第2凸部と前記第3凸部との間に前記第1凸部が嵌まる凹部が形成され、
前記凹部を介して前記第2凸部の一側面から前記第3凸部の対向する側面まで達する第2開口が設けられ、
前記第1開口および前記第2開口を貫通するボルトによって、前記筐体上部は前記筐体下部に対して着脱可能に接続される、請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項8】
前記第2凸部および前記第3凸部は、前記筐体下部の一辺に沿って延びており、かつ、複数の前記第2開口が設けられ、
前記ボルトは、前記第1開口と、前記複数の第2開口のいずれかと、を貫通する、請求項7に記載のポンプユニット。
【請求項9】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備のポンプおよび吐出管を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のポンプユニット。
【請求項10】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備の原動機および減速機を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のポンプユニット。
【請求項11】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備のプーリをさらに含む、請求項10に記載のポンプユニット。
【請求項12】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備のポンプ、吐出管および減速機を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のポンプユニット。
【請求項13】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備の吸込管、ポンプ、吐出管、原動機および減速機を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のポンプユニット。
【請求項14】
吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部を、筐体の筐体下部に載置する工程と、
前記筐体下部に対して筐体上部を着脱可能に接続する工程と、を含む、ポンプユニットの製造方法。
【請求項15】
吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部を、筐体下部に載置し、前記筐体下部に対して筐体上部を着脱可能に接続することによって、ポンプユニットを製造する工程と、
前記ポンプユニットをポンプ設備の設置場所に運搬して設置する工程と、
前記設置場所において、前記筐体上部を前記筐体下部から取り外す工程と、を含む、排水システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニットおよびその製造方法ならびに排水システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水を排水する目的で設置された排水機場において、排水能力を超える降雨があると、雨水を排水しきれずに河川の氾濫や都市の浸水被害が発生するおそれがある。特に近年では、気候変動に伴って降雨量が増大する傾向にあり、その危険性が高まっている。
【0003】
排水能力を増強するためには、既存の排水ポンプ設備より大型の排水ポンプ設備を設置するのが一案である。しかしながら、使用条件や設置場所の制約に応じた排水ポンプ設備を設計、製作するのは膨大な費用および時間が必要になるという問題がある。また、大型の排水ポンプ設備を設置した場合、排水ポンプ設備の整備時や故障時に排水能力が著しく低下するため、危険分散の観点においても問題がある。
【0004】
これらの問題に対して、既存の排水ポンプ設備に比べて設計、製作が容易で小型の排水ポンプ設備を数多く設置することで、危険分散をしつつ、排水能力を増強することも考えられる。
【0005】
その場合、施工期間を可能な限り短くすることが望まれる。施工期間短縮の1つの手法として、ポンプ設備のユニット化が挙げられる。すなわち、ポンプ設備を構成する機器を組み合わせたポンプユニットを工場で予め製造することで、現場での精度良い据え付けが可能になるとともに、接続を簡素化でき、施工期間を短縮することが可能となる。
【0006】
ポンプユニットを工場で製造して現場へ運搬するためには、ポンプユニットを収容する筐体が必要となる。しかしながら、現場で据え付けたポンプユニットが筐体に収容されたままでは、ポンプ設備の点検作業が容易ではないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
据え付けた後でも、ポンプ設備の点検作業を行いやすいようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部と、
前記少なくとも一部を囲う筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記少なくとも一部が載置される筐体下部と、
前記筐体下部に対して着脱可能に接続される筐体上部と、を有する、ポンプユニットが提供される。
【0010】
前記筐体上部は、上方に延びる、側面に第1凹部が設けられた複数の支柱を有し、
前記筐体下部の上面には第2凹部が設けられ、
前記筐体は、前記第1凹部と対向する第1開口と、前記第2凹部に対向する第2開口と、が設けられたL字形状の接続治具を有し、
前記第1開口を貫通して前記第1凹部に達する第1ボルトと、前記第2開口を貫通して前記第2凹部に達する第2ボルトと、によって、前記筐体上部は前記筐体下部に対して着脱可能に接続されてもよい。
【0011】
前記筐体上部は、
所定方向に延びており、前記複数の支柱のうちの第1支柱と第2支柱とを接続する第1接続部材と、
前記所定方向に延びており、前記複数の支柱のうちの前記第1支柱および前記第2支柱とそれぞれ対向する第3支柱と第4支柱とを接続する第2接続部材と、を有し、
前記第1接続部材および前記第2接続部材は、前記所定方向に伸縮可能であってもよい。
【0012】
前記第1接続部材および前記第2接続部材のそれぞれは、
内部が空洞になっており、一側面から対向する側面まで達する複数の開口が設けられ、前記所定方向に延びる第1骨部と、
少なくとも一部が前記空洞に嵌まり、一側面から対向する側面まで達する複数の開口が設けられ、前記所定方向に延びる第2骨部と、を有し、
前記第1骨部に設けられた複数の開口のいずれかと、前記第2骨部に設けられた複数の開口のいずれかと、を貫通するボルトによって前記第1骨部と前記第2骨部とが固定されてもよい。
【0013】
前記筐体上部は、上方に延びる複数の支柱を有し、
前記支柱の下面には上方に向かって窪んだ凹部が設けられ、かつ、前記凹部を介して前記支柱の一側面から対向する側面まで達する第1開口が設けられ、
前記筐体下部の上面には、前記支柱の凹部に嵌まる、上方に向かって突出した凸部が設けられ、かつ、前記凸部を貫通する第2開口が設けられ、
前記第1開口および前記第2開口を貫通するボルトによって、前記筐体上部は前記筐体下部に対して着脱可能に接続されてもよい。
【0014】
前記凸部は、前記筐体下部の一辺に沿って延びており、かつ、複数の前記第2開口が設けられ、
前記ボルトは、前記第1開口と、前記複数の第2開口のいずれかと、を貫通してもよい。
【0015】
前記筐体上部は、上方に延びる複数の支柱を有し、
前記支柱の下面には下方に向かって突出した第1凸部が設けられ、かつ、前記第1凸部を貫通する第1開口が設けられ、
前記筐体下部の上面には、互いに対向するように設けられた上方に向かって突出した第2凸部および第3凸部が設けられ、前記第2凸部と前記第3凸部との間に前記第1凸部が嵌まる凹部が形成され、
前記凹部を介して前記第2凸部の一側面から前記第3凸部の対向する側面まで達する第2開口が設けられ、
前記第1開口および前記第2開口を貫通するボルトによって、前記筐体上部は前記筐体下部に対して着脱可能に接続されてもよい。
【0016】
前記第2凸部および前記第3凸部は、前記筐体下部の一辺に沿って延びており、かつ、複数の前記第2開口が設けられ、
前記ボルトは、前記第1開口と、前記複数の第2開口のいずれかと、を貫通してもよい。
【0017】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備のポンプおよび吐出管を含んでもよい。
【0018】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備の原動機および減速機を含んでもよい。
【0019】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備のプーリをさらに含んでもよい。
【0020】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備のポンプ、吐出管および減速機を含んでもよい。
【0021】
前記ポンプ設備の少なくとも一部は、前記ポンプ設備の吸込管、ポンプ、吐出管、原動機および減速機を含んでもよい。
【0022】
本発明の一態様によれば、吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部を、筐体の筐体下部に載置する工程と、
前記筐体下部に対して筐体上部を着脱可能に接続する工程と、を含む、ポンプユニットの製造方法が提供される。
【0023】
本発明の一態様によれば、吐出管、ポンプ、原動機および減速機を有するポンプ設備の少なくとも一部を、筐体下部に載置し、前記筐体下部に対して筐体上部を着脱可能に接続することによって、ポンプユニットを製造する工程と、
前記ポンプユニットをポンプ設備の設置場所に運搬して設置する工程と、
前記設置場所において、前記筐体上部を前記筐体下部から取り外す工程と、を含む、排水システムの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
据え付けた後でも、ポンプ設備の点検作業を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3A】ポンプユニット101の概略構成を示す上面図。
【
図3B】ポンプユニット101の概略構成を示す側面図。
【
図4A】別のポンプユニット102の概略構成を示す上面図。
【
図4B】別のポンプユニット102の概略構成を示す側面図。
【
図5A】ポンプユニット102の変形例であるポンプユニット102’を示す上面図。
【
図5B】ポンプユニット102の変形例であるポンプユニット102’を示す側面図。
【
図6A】別のポンプユニット103の概略構成を示す上面図。
【
図6B】別のポンプユニット103の概略構成を示す側面図。
【
図7A】別のポンプユニット104の概略構成を示す上面図。
【
図7B】別のポンプユニット104の概略構成を示す側面図。
【
図8A】第1実施形態に係る筐体12の概略斜視図。
【
図8B】
図8Aの筐体12の枠材212および支柱221の概略斜視図。
【
図8D】
図8Aの筐体12の筐体上部22が筐体下部21から取り外された状態を示す図。
【
図9A】第2実施形態に係る筐体12の接続部材222の概略斜視図。
【
図9B】第2実施形態に係る筐体12の接続部材222の概略斜視図。
【
図10A】第3実施形態に係る筐体12の概略斜視図。
【
図11A】第4実施形態に係る筐体12の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
まずは、排水機場などに設置されるポンプ設備10の概略構成を説明する。
【0027】
図1Aおよび
図1Bは、それぞれポンプ設備10の概略構成を示す上面図および側面図である。このポンプ設備10は吸込水槽の水を吐出水槽に排水するものであり、吸込管1と、ポンプ2と、吐出管3と、吐出弁4、原動機5と、入力軸6aおよび出力軸6bを有する減速機6とを備えている。
【0028】
吸込管1は、一端側の開口(下部開口)が吸込水槽側にあり、他端側の開口がポンプ2に接続される。ポンプ2は、一端側の開口が吸込管1に接続され、他端側の開口が吐出管3に接続される、吐出管3は、一端側の開口がポンプ2に接続され、他端側の開口は吐出水槽側にある。吐出弁4は吐出管3に設けられる。
【0029】
原動機5は減速機6の入力軸6aに接続され、減速機6の入力軸6aを回転させる。減速機6は、入力軸6aの回転に伴い、入力軸6aの回転数と出力軸6bの回転数との比が所定値となるよう入力軸6aの回転数を減速させて、出力軸6bを回転させる。減速機6の出力軸6bはポンプ2の主軸(不図示)に連結されており、減速機6の出力軸6bの回転に伴ってポンプ2の主軸が回転する。
【0030】
これにより、ポンプ2の主軸に連結されたインペラ(不図示)が回転し、吸込管1側から吐出管3側に水が導かれる。吐出管3に導かれた水は吐出水槽に排出される。
【0031】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ
図1Aおよび
図1Bの変形例であるポンプ設備10の概略構成を示す上面図および側面図である。
図1Aとの違いとして、
図1Bのポンプ設備10はプーリ7を備えており、減速機6の入力軸6aはプーリ7を介して原動機5と接続される。
【0032】
1以上のポンプ設備10が排水機場に設置されて排水システムを構成する。排水システムは、ポンプ設備10のポンプを排気する真空ポンプや、吐出弁4を制御する制御部を含んでもよい。
【0033】
本実施形態では、ポンプ設備10の少なくとも一部を工場で組み合わせてユニット(以下「ポンプユニット」という。)を形成し、ポンプユニットを用いて排水機場などの現場に設置する。ポンプユニットの例をいくつか挙げる。
【0034】
図3Aおよび
図3Bは、それぞれポンプユニット101の概略構成を示す上面図および側面図である。このポンプユニット101は、ポンプ設備10の一部であるポンプ2および吐出管3と、架台11と、筐体12とを有する。ポンプ設備10の一部として、ポンプ2および/または吐出弁4の補機、吐出管3およびその他配管の少なくとも1つが含まれていてもよい。なお、
図3Aおよび
図3Bにおいて、破線で描かれている部分はポンプユニット101に含まれないことを意味する。
【0035】
架台11にはポンプ2および吐出管3が載置される。そのため、架台11は、例えば鋼製品やコンクリートから形成され、十分な耐荷重(例えば1t程度)を有している。
【0036】
筐体12はポンプ2および吐出管3ならびに架台11を囲う。筐体12をクレーンで吊り下げるなどによって、ポンプユニット101を搬送できる。よって、工場などの任意の製造場所でポンプユニット101を製造し、これを排水機場などの現場まで搬送し、現場で必要最小限の作業を行ってポンプ設備10を製造することができる。筐体12の詳細な構造については後述する。
【0037】
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ別のポンプユニット102の概略構成を示す上面図および側面図である。このポンプユニット102は、ポンプ設備10の一部として、原動機5および減速機6を有する。その他は
図3Aおよび
図3Bのポンプユニット101と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
図5Aおよび
図5Bは、それぞれポンプユニット102の変形例であるポンプユニット102’を示す上面図および側面図である。このポンプユニット102’は、ポンプ設備10の一部として、原動機5、減速機6およびプーリ7(
図2Aおよび
図2B)を有する。その他は
図4Aおよび
図4Bのポンプユニット102と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0039】
図6Aおよび
図6Bは、それぞれ別のポンプユニット103の概略構成を示す上面図および側面図である。このポンプユニット103は、ポンプ設備10の一部として、ポンプ2、吐出管3および減速機6を有する。その他は
図3Aおよび
図3Bのポンプユニット101と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0040】
図7Aおよび
図7Bは、それぞれ別のポンプユニット104の概略構成を示す上面図および側面図である。このポンプユニット104は、ポンプ設備10における吸込管1、ポンプ2、吐出管3、原動機5および減速機6(必要に応じて、さらにプーリ7)を有する。その他は
図3Aおよび
図3Bのポンプユニット101と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0041】
以上述べたポンプユニット101~104は例示にすぎず、ポンプユニットはポンプ設備10の任意の一部または全部を含んで構成されてよい。
【0042】
このようなポンプユニットによれば、ポンプユニットが筐体12に収容されるため、筐体12をクレーンで吊るなどによって運搬が容易となる。しかし、ポンプユニットを一旦設置してしまうと、もはや筐体12は不要であるばかりか、筐体12が邪魔になってポンプ設備10の点検作業などが困難となってしまう。
【0043】
そこで、以下に述べる各実施形態では、ポンプユニットを設置した後、筐体12の少なくとも一部を取り外せるようにするものである。なお、以下に述べる各実施形態は上述したいずれのポンプユニットにも適用可能である。
【0044】
(第1実施形態)
図8Aは、第1実施形態に係る筐体12の概略斜視図である。この筐体12は、筐体下部21と、筐体下部21に対して着脱可能に接続される筐体上部22とを有する。なお、本明細書における「着脱可能に接続される」とは、筐体下部21から筐体上部22を取り外すことができ、かつ、同一または別の筐体下部21に当該取り外した筐体上部22を取り付け可能であること(例えばボルトによる接続)を意味する。言い換えると、筐体下部21に接続された筐体上部22を切断あるいは溶断等によって壊して取り外せるとしても、「着脱可能に接続される」には該当しない。
【0045】
筐体下部21は、矩形の底面211と、その各辺に沿って固定配置された4つの枠材212とを有する。底面211と枠材212、および、枠材212どうしの接続手法に特に制限はないが、例えばボルト接続あるいは溶接接続である(特に断らない限り以下の接続手法も同じ)。
【0046】
底面211にはポンプ設備10の少なくとも一部(例えば、
図3Aおよび
図3Bに示すポンプユニット101であれば、ポンプ2および吐出管3)が載置される。底面211の大きさは、載置物の大きさに応じて、例えば長辺が3m、短辺が2m程度である。また、底面211は、載置物の重量(数t程度)に耐え得るものであり、例えば鋼板製であって、厚みは10mm程度である。
【0047】
筐体上部22は、筐体下部21(の例えば枠材212)から上方に延びる複数(
図8Aでは4本)の支柱221と、支柱221の上端どうしを接続する複数(
図8Aでは4本)の接続部材222とを有する。支柱221および接続部材222の形状に特に制限はないが、例えばH鋼や溝形鋼などの形鋼である。また、支柱221および接続部材222の材質に特に制限はないが、例えばSS材(一般構造用圧延鋼材)である。
【0048】
なお、筐体12は支柱221および接続部材222の間に設けられた側板(不図示)を有してもよい。ただし、ポンプユニットの重量を受けるのは主として支持部材13であるため、側板はなくてもよい。
【0049】
支柱221は、筐体下部21の四隅のそれぞれにおいて、その下端が枠材212に着脱可能に配置される。一例として、以下のようにして筐体上部22の支柱221は筐体下部21に対して着脱可能とされる。
【0050】
図8Bに示すように、筐体下部21(の例えば枠材212)の上面には、支柱221の近傍において、下方に向かって窪んだ凹部212a(ボルト穴)が設けられる。支柱221の下部側面には、凹部221a(ボルト穴)が設けられる。
【0051】
また、
図8Aに示すように、筐体12はL字形状の接続治具23(例えば金具)を有する。
図8Cに示すように、接続治具23には、その底面における、枠材212に設けられた凹部212aと対向する位置に開口23aが設けられ、その側面における、支柱221に設けられた凹部221aと対向する位置に開口23bが設けられる。
【0052】
そして、
図8Aに示すように、接続治具23の底面の開口23aを貫通して枠材212の凹部212aに達するボルト231と、接続治具23の側面の開口23bを貫通して支柱221の凹部221aに達するボルト232とによって、筐体下部21に対して筐体上部22が接続される。このような接続治具23が1つの支柱221に対して2つずつ設けられる。
【0053】
ボルト231,232を抜き取ることによって、
図8Dに示すように、筐体下部21から筐体上部22を取り外すことができる。
【0054】
このようなポンプユニットは、ポンプ設備10の少なくとも一部を筐体12の筐体下部21に載置し、筐体上部22を筐体下部21に対して着脱可能に接続することによって製造される。製造されたポンプユニットはポンプ設備10の設置場所に運搬され、設置場所に設置された後に筐体上部22が筐体下部21から取り外されることによって、排水システムが製造される。なお、筐体下部21は設置場所に留置されてよい。
【0055】
このように、第1実施形態では、筐体12における筐体上部22を筐体下部21から取り外すことができる。そのため、ポンプ設備10の設置後に筐体上部22を取り外すことで、ポンプ設備10の点検作業などの維持管理面において作業性が向上する。また、ポンプ設備10を直接確認できるため、騒音や振動などポンプ設備10の異常に気付きやすくなる。
【0056】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、筐体上部22の大きさは固定であった。しかし、筐体下部21の大きさは載置されるポンプ設備10の少なくとも一部の大きさに依存する。例えば、
図3Aおよび
図3Bに示すポンプユニット101はポンプ2および吐出管3のみを含むため、その筐体下部21は相対的には小さくてよい。一方、例えば
図7Aおよび
図7Bに示すポンプユニット104は、ポンプ2および吐出管3のみならず、原動機5、減速機6およびプーリ7をも含むため、その筐体下部21は相対的大きくする必要がある。
【0057】
そこで、次に述べる第2実施形態では、筐体上部22を伸縮可能な構造とすることで、収容されるポンプ設備10の少なくとも一部に応じた様々な大きさの筐体下部21に適用可能とするものである。以下、第1実施形態との相違点を中心に述べる。
【0058】
第1実施形態で述べたように、
図8Aの筐体12は水平方向に延びる4つの接続部材222を有する。第2実施形態では、この4本の接続部材222のうち少なくとも対向する2つの接続部材222を水平方向に伸縮可能とする。そのような機構の一例を以下に示す。
【0059】
図9Aおよび
図9Bは、第2実施形態に係る筐体12の接続部材222の概略斜視図である。接続部材222は骨部31,32を有する。
【0060】
骨部31は、内部が空洞であり、水平方向に延びる概略直方体である。また、骨部31の一側面から対向する側面まで達する複数の開口31aが設けられている。
【0061】
骨部32は水平方向に延びる概略直方体である。また、骨部32の外郭は骨部31の空洞より小さく、骨部32が骨部31の空洞に嵌まるようになっている。そして、骨部32の一側面から対向する側面まで達する複数の開口32aが設けられている。
【0062】
そして、骨部31の側面に設けられた複数の開口31aのいずれかと、骨部32の側面に設けられた複数の開口32aのいずれかと、を貫通するボルト33によって骨部31と骨部32とが固定される。
【0063】
例えば、
図9Aに示すように、骨部32の大部分が骨部31の空洞に嵌まった状態でボルト33によって固定されると、接続部材222の長さは短くなる。一方、
図9Bに示すように、骨部32のごく一部分のみが骨部31の空洞に嵌まった状態でボルト33によって固定されると、接続部材222の長さは長くなる。このようにして、接続部材222を伸縮させることができる。
【0064】
このように、第2実施形態では、筐体上部22の接続部材222が伸縮可能であるため、様々な大きさの筐体下部21に筐体上部22を流用でき、ポンプユニットの製作期間短縮とコスト削減が可能となる。なお、第2実施形態を後述の第3実施形態や第4実施形態に適用してもよい。
【0065】
(第3実施形態)
次に説明する第3実施形態は、筐体12における筐体下部21と筐体上部22とを着脱可能に接続する手法が第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に述べる。
【0066】
図10Aは、第3実施形態に係る筐体12の概略斜視図である。また、
図10Bは、
図10Aの一部分を詳細に示す概略斜視図である。
【0067】
筐体下部21(の例えば枠材212)の上面には、底面211の長辺(短辺でもよい)に沿って延びており、上方に向かって突出する凸部41(レール)が設けられる。凸部41は底面211の一端部から対向する端部に亘って延びているのが望ましい。
図10Bに示すように、凸部41には、その一側面から対向する側面まで達する1または複数(
図10Bでは8個)の開口41aが設けられている。
【0068】
図10Cに示すように、筐体上部22における支柱221の下面には、上方に向かって窪んだ凹部221bが設けられる。そして、この凹部221bを介して、支柱221の一側面から対向する側面まで達する開口222cが設けられる。同様に、支柱221の上面には下方に向かって窪んだ凹部221dが設けられる。そして、この凹部221dを介して、支柱221の一側面から対向する側面まで達する開口221eが設けられる。
【0069】
図10Aおよび
図10Bに示すように、凸部41の上方にある接続部材222のそれぞれには、下方に向かって突出する凸部42(レール)が設けられる。凸部42は接続部材222の一端部から対向する端部に亘って延びているのが望ましい。凸部42には、その一側面から対向する側面まで達する1または複数の開口(不図示)が設けられている。この開口のそれぞれは筐体下部21の凸部41に設けられた開口41aのそれぞれの上方に位置する。
【0070】
そして、
図10Aおよび
図10Bに示すように、支柱221の下面の凹部221bに筐体下部21の凸部41が嵌まる。そして、
図10Bに示すように、開口41a,221cを貫通するボルト43によって、筐体上部22が筐体下部21に対して着脱可能に接続される。同様に、支柱221の上面の凹部221dに接続部材222の凸部42が嵌まる。そして、接続部材222の開口と支柱221の開口221eを貫通するボルト44によって、接続部材222が支柱221に対して着脱可能に接続される。
【0071】
なお、
図10Bに示すように、凸部41には複数の開口41aが設けられ、同様に接続部材222にも複数の開口が設けられるのが望ましい。いずれの開口にボルト43,44を貫通させるかによって、筐体上部22が伸縮可能となるためである。
【0072】
このように、第3実施形態によっても、筐体12における筐体上部22を筐体下部21から取り外すことができる。
【0073】
(第4実施形態)
次に説明する第3実施形態は、筐体12における筐体下部21と筐体上部22とを着脱可能に接続する手法が第3実施形態とは異なる。第3実施形態では、筐体下部21に凸部41を設け、筐体上部22に凹部221bを設けるものであった。これに対し、次に説明する第4実施形態では、筐体下部21に凹部を設け、筐体上部22に凸部を設けるものである。以下、第3実施形態との相違点を中心に述べる。
【0074】
図11Aは、第4実施形態に係る筐体12の概略斜視図である。また、
図11Bは、
図11Aの一部分を詳細に示す概略斜視図である。
【0075】
筐体下部21の上面には、底面211の長辺(短辺でもよい)に沿って延びており、上方に向かって突出し、互いに間隔を空けて配置される2つの凸部51,52が設けられる。凸部51,52は底面211の一端部から対向する端部に亘って延びているのが望ましい。凸部51と凸部51との間に凹部53が形成される。
【0076】
図11Bに示すように、凸部51には、その一側面から対向する側面まで達する1または複数(
図10Bでは6個)の開口51aが設けられている。凸部52には、その一側面から対向する側面まで達する1または複数(
図10Bでは6個)の開口52aが設けられている。開口52aのそれぞれは開口51aのそれぞれと対向している。よって、開口51a,52aの各組み合わせは凹部53を介して凸部51の一側面から凸部52の対向する側面まで達する開口であるとも言える。
【0077】
図11Cに示すように、筐体上部22における支柱221の下面には、下方に向かって突出した凸部221fが設けられる。そして、この凸部221fの一側面から対向する側面まで達する開口221gが設けられる。同様に、支柱221の上面には上方に向かって突出した凸部221iが設けられる。そして、この凸部221iの一側面から対向する側面まで達する開口221hが設けられる。
【0078】
図11Bに示すように、凸部51,52の上方にある接続部材222のそれぞれには、上方に向かって窪んだ凹部54が設けられる。凹部54は接続部材222の一端部から対向する端部に亘って延びているのが望ましい。この凹部54を介して、接続部材222の一側面から対向する側面まで達する1または複数(
図11Bでは6個)の開口54aが設けられる。この開口54aのそれぞれは筐体下部21の凸部51,52に設けられた開口51a,52aのそれぞれの上方に位置する。
【0079】
そして、
図11Aおよび
図11Bに示すように、筐体下部21の凹部53に支柱221の下面の凸部221fが嵌まる。そして、開口51a,221g,52aを貫通するボルト55によって、筐体上部22が筐体下部21に対して着脱可能に接続される。同様に、接続部材222の凹部54に支柱221の凸部221iが嵌まる。そして、接続部材222の開口54aと支柱221の開口221hを貫通するボルト56によって、接続部材222が支柱221に対して着脱可能に接続される。
【0080】
なお、
図11Bに示すように、凸部51,52には複数の開口51a,52aがそれぞれ設けられ、同様に接続部材222にも複数の開口54aが設けられるのが望ましい。いずれの開口にボルト55,56を貫通させるかによって、筐体上部22が伸縮可能となるためである。
【0081】
このように、第4実施形態によっても、筐体12における筐体上部22を筐体下部21から取り外すことができる。
【0082】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0083】
1 吸込管
2 ポンプ
3 吐出管
4 吐出弁
5 原動機
6 減速機
6a 入力軸
6b 出力軸
7 プーリ
10 ポンプ設備
11 架台
12 筐体
21 筐体下部
211 底面
212 枠材
212a 凹部
22 筐体上部
221 支柱
221a,221b,221d 凹部
221c,221e,221g,221h 開口
221f,221i 凸部
222 接続部材
23 接続治具
23a,23b 開口
231,232 ボルト
31,32 骨部
31a,31b 開口
41,42 凸部
41a 開口
43 ボルト
51,52 凸部
53,54 凹部
54a 開口
55,56 ボルト
101~105 ポンプユニット