(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018939
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】半導体パッケージの製造方法および半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220120BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122398
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】511042854
【氏名又は名称】株式会社SSテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】平井 寿敏
(72)【発明者】
【氏名】大園 満
(72)【発明者】
【氏名】石川 隆稔
(72)【発明者】
【氏名】太田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】岩永 修一
(72)【発明者】
【氏名】原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】小山 賢秀
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061BA07
(57)【要約】
【課題】複数の外郭体が接合する境界での剥離を防止して半導体パッケージの品質を向上させることができる半導体パッケージの製造方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】外部端子12が設置された支持体21の上面に樹脂によるモールドを施すことにより、外部端子12を保持する第1の外郭体22を形成し、第1の外郭体22の上面に外部端子12と電気的に繋がる再配線層13を形成し、再配線層13に半導体素子14をマウントするとともに半導体素子14を再配線層に電気的に接続し、少なくとも第1の外郭体22の側方22aおよび上方22bを覆うように熱硬化性樹脂によるモールドを施して第2の外郭体29を形成することにより、第1の外郭体22と第2の外郭体29を含んで構成される外郭体11により再配線層13および半導体素子14を封止する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に外部端子を設置する外部端子設置工程と、
前記外部端子が設置された前記支持体の上面に樹脂によるモールドを施すことにより、前記外部端子を保持する第1の外郭体を形成する第1のモールド工程と、
前記第1の外郭体の上面に前記外部端子と電気的に繋がる再配線層を形成する再配線層形成工程と、
前記再配線層に半導体素子をマウントするとともに前記半導体素子を前記再配線層に電気的に接続する半導体素子接続工程と、
少なくとも前記第1の外郭体の側方および上方を覆うように熱硬化性樹脂によるモールドを施して第2の外郭体を形成することにより、前記第1の外郭体と前記第2の外郭体を含んで構成される外郭体により前記再配線層および前記半導体素子を封止する第2のモールド工程と、
前記外郭体の下面から前記支持体を除去して前記外郭体の下面に前記複数の外部端子のそれぞれを露出させる支持体除去工程と、を含む半導体パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記外郭体の下面に露出した前記外部端子にバンプを形成するバンプ形成工程をさらに含む請求項1に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記第2のモールド工程において前記第2の外郭体が形成される際、前記熱硬化性樹脂は前記第1の外郭体を覆った状態から硬化収縮する請求項1又は2に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項4】
熱硬化性樹脂から形成されて下面に露出する外部端子を備えた外郭体と、
前記外郭体に封止されて前記外部端子のそれぞれと電気的に繋がる再配線層と、
前記外郭体に封止されて前記再配線層と電気的に接続された半導体素子とを備え、
前記外郭体は、前記外部端子を封止する第1の外郭体と、前記再配線層と前記半導体素子を封止する第2の外郭体とを含み、
前記第2の外郭体は、少なくとも前記第1の外郭体の側方および上方を覆う、半導体パッケージ。
【請求項5】
前記外部端子に形成されたバンプをさらに備えた請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第2の外郭体は、前記第1の外郭体を覆った状態から硬化収縮することで形成される請求項4又は5に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外郭体の下面にバンプを備えて構成される半導体パッケージの製造方法および半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外郭体の下面にバンプを備えた半導体パッケージとして、BGA(Ball Grid Array)が知られている。BGAは一般に、パッケージ基板の上面に半導体素子をマウントするとともにパッケージ基板の回路に電気的に接続した後、熱硬化性樹脂によるモールドを施して半導体素子を封止し、最後にパッケージ基板の下面の外部端子にバンプを取り付けて製造される。また、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)と呼ばれる半導体パッケージも知られている。FOWLPはBGAのようなパッケージ基板を備えないために厚さが薄く、配線長も短いために伝送速度の高速化が図れるという特長があり、近年注目されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1には、第1の支持板上に配置した半導体チップを熱硬化性樹脂から成る第1の樹脂層(外郭体)で埋め込み、次いで第1の支持板を剥離して露出した第1の樹脂層の上面に第2の樹脂層(外郭体)を形成し、次いで第2の支持板で第1の樹脂層を支持した状態の第2の樹脂層上に半導体チップに接続された再配線層を形成し、さらに再配線層上に外部接続端子を形成した半導体装置が開示されている。再配線層は、半導体チップにコンタクトする配線層と、この上層を覆う第3の樹脂層を有しており、その上層に前記した外部接続端子が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1を含む従来技術では、複数の樹脂層(外郭体)が複数の工程を経て各樹脂層の上面に積層されることに起因して次のような問題があった。すなわち、積層される各樹脂層はそれぞれの形成工程で硬化収縮するため、先の形成工程で硬化収縮した樹脂層上に新たな樹脂層を形成する際、樹脂層間で収縮率が異なることによって各樹脂層が接合する境界での剥離が発生しやすくなり、半導体パッケージの品質が低下するという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、複数の外郭体が接合する境界での剥離を防止して半導体パッケージの品質を向上させることができる半導体パッケージの製造方法および半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体パッケージの製造方法は、支持体に外部端子を設置する外部端子設置工程と、前記外部端子が設置された前記支持体の上面に樹脂によるモールドを施すことにより、前記外部端子を保持する第1の外郭体を形成する第1のモールド工程と、前記第1の外郭体の上面に前記外部端子と電気的に繋がる再配線層を形成する再配線層形成工程と、前記再配線層に半導体素子をマウントするとともに前記半導体素子を前記再配線層に電気的に接続する半導体素子接続工程と、少なくとも前記第1の外郭体の側方および上方を覆うように熱硬化性樹脂によるモールドを施して第2の外郭体を形成することにより、前記第1の外郭体と前記第2の外郭体を含んで構成される外郭体により前記再配線層および前記半導体素子を封止する第2のモールド工程と、前記外郭体の下面から前記支持体を除去して前記外郭体の下面に前記複数の外部端子のそれぞれを露出させる支持体除去工程と、を含む。
【0008】
本発明の半導体パッケージは、熱硬化性樹脂から形成されて下面に露出する外部端子を備えた外郭体と、前記外郭体に封止されて前記外部端子のそれぞれと電気的に繋がる再配線層と、前記外郭体に封止されて前記再配線層と電気的に接続された半導体素子とを備え、前記外郭体は、前記外部端子を封止する第1の外郭体と、前記再配線層と前記半導体素子を封止する第2の外郭体とを含み、前記第2の外郭体は、少なくとも前記第1の外郭体の側方および上方を覆う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の外郭体が接合する境界での剥離を防止して半導体パッケージの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの側断面図
【
図2】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の第1のモールド工程までの手順を説明する図
【
図3】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の外部端子設置工程終了時点での上方斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の第1のモールド工程終了時点での上方斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法のビアホール形成工程終了時点での上方斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の(a)銅スパッタ工程終了時点での側断面図(b)銅めっき工程終了時点での側断面図(c)レジスト形成工程終了時点での側断面図
【
図7】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の(a)エッチング工程終了時点での側断面図(b)レジスト除去工程終了時点での側断面図
【
図8】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の再配線層形成工程終了時点での側断面図
【
図9】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の再配線層形成工程終了時点での上方斜視図
【
図10】(a)~(e)本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の再配線層形成工程以後の手順を説明する図
【
図11】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の半導体素子マウント工程終了時点での上方斜視図
【
図12】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法のワイヤボンディング工程終了時点での上方斜視図
【
図13】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の第2のモールド工程終了時点での上方斜視図
【
図14】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法の支持体除去工程終了時点での(a)上方斜視図(b)下方斜視図
【
図15】本発明の一実施の形態における半導体パッケージの製造方法のバンプ形成工程終了時点での(a)上方斜視図(b)下方斜視図
【
図16】(a)~(e)本発明の一実施の形態の変形例における半導体パッケージの製造方法の手順を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態における半導体パッケージの製造方法により製造される半導体パッケージ1を示している。
【0012】
半導体パッケージ1は、熱硬化性樹脂から形成されて下面に露出する複数の外部端子を備えた外郭体11と、外郭体11に封止されて複数の外部端子12のそれぞれと電気的に繋がる再配線層13と、外郭体11に封止されて再配線層13と電気的に接続された半導体素子14と、複数の外部端子12それぞれの下面側に形成された複数のバンプ15とを備えた構成となっている。本実施の形態では、バンプ15は縦および横に複数個ずつマトリクス状に並んでいるものとするが、バンプの数や配列は特に限定されない。
【0013】
次にこの半導体パッケージ1の製造方法を説明する。半導体パッケージ1の製造では、先ず、金属材料から成る支持体21の上面に複数の外部端子12を設置する(
図2(a)。外部端子設置工程)。本実施の形態では、支持体21上における外部端子12の設置は、製造しようとする半導体パッケージ1のバンプ15の配置に対応して、縦および横に複数個ずつ、マトリクス状に配置する(
図3)。支持体21は板状の部材であることが好ましい。また、支持体21は、ここではステンレス鋼(例えばSUS430)から成るものとする。
【0014】
図2(a)において、支持体21の上面に設置された複数の外部端子12のそれぞれの下面側(支持体21の上面に接する部分)には、金めっき12Mが施されている。複数の外部端子12のそれぞれは、上端に鍔部12Tを有している。鍔部12Tは外部端子12の下面(支持体21に接する面)よりも大きい外形を有している。
【0015】
複数の外部端子12を支持体21の上面に設置するには、先ず、支持体21の上面にレジストを塗布し、外部端子12を設置しようとする箇所へ開口を設ける。係る開口は、露光、現像などの処理を行って形成することができる。そして、レジストで覆われていない支持体21の表面(露出領域)に金めっきを施したうえで、開口内でニッケルを成長させる。開口内で成長したニッケルはレジストの上面で広がり、鍔部12Tが形成される。その後レジストを除去すれば、支持体21の上面に、下面側に金めっき12Mが施され、支持体21に接する面よりも大きい外形の鍔部12Tを有した複数の外部端子12が設置された状態となる。
【0016】
支持体21の上面に複数の外部端子12を設置したら、図示しない第1のコンプレッションモールド成形装置を用いて、支持体21の上面に熱硬化性樹脂によるモールドを施す(
図2(b)および
図4。第1のモールド工程)。この工程では、熱硬化性樹脂が加熱されて流動状態となった後、複数の外部端子12を保持した状態で硬化収縮することで、第1の外郭体22が形成される。支持体21の上面に第1の外郭体22が形成されるとき、加熱されて流動状態となった熱硬化性樹脂は各外部端子12の鍔部12Tの下側に流入し、その状態で熱硬化される。このため熱硬化性樹脂が熱硬化した後は、各外部端子12の鍔部12Tは第1の外郭体22によって上下が挟まれた状態となる(
図2(b))。なお、第1の外郭体22の径(平面視した外形の長さ寸法)Aは、支持体21の径Bよりも小さく設定する。
【0017】
支持体21の上面に第1の外郭体22が形成されたら、図示しないレーザービア加工装置によって、第1の外郭体22にレーザービア加工を施してビアホール23を形成する(
図2(c)および
図5。ビアホール形成工程)。これにより各外部端子12の上面は上方に露出した状態となる。
【0018】
各外部端子12を上方に露出させるビアホール23を形成したら、図示しない銅スパッタ装置を用いて、第1の外郭体22の上面に銅スパッタを施す(
図6(a)。銅スパッタ工程)。これにより第1の外郭体22の上面(外部端子12の上面を含む)に銅スパッタ膜24Sが形成される。
【0019】
銅スパッタ工程によって第1の外郭体22の上面に銅スパッタ膜24Sが形成されたら、図示しない銅めっき装置を用いて、銅スパッタ膜24Sの上面に銅めっき24Mを施す(
図6(b)。銅めっき工程)。銅めっき工程によって銅スパッタ膜24Sの上面に銅めっき24Mが施されたら、図示しないレジスト塗布装置によるレジスト25の塗布とレジスト露光装置による露光後、現像することによって、ビアホール23の内部およびビアホール23の周辺を含む領域にレジスト25を形成する(
図6(c)。レジスト形成工程)。
【0020】
レジスト形成工程によってビアホール23の内部およびビアホール23の周辺を含む領域にレジスト25を形成したら、図示しないエッチング装置を用いて、銅スパッタ膜24Sと銅めっき24Mをエッチングする(
図7(a)。エッチング工程)。これによりビアホール23の内部およびビアホール23の周辺を含む領域を除き、銅スパッタ膜24Sと銅めっき24Mが除去される。
【0021】
エッチング工程で銅スパッタ膜24Sと銅めっき24Mを除去したら、図示しないレジスト洗浄装置によって、レジスト25を除去(洗浄)する(
図7(b)。レジスト除去工程)。これにより外部端子12の上面、ビアホール23の内壁およびビアホール23の周辺部に、銅スパッタ膜24Sの上面に銅めっき24Mの膜が積層された銅薄膜層が形成された状態となる。
【0022】
なお、ここでは銅薄膜を形成する工法として、銅スパッタ工程→銅めっき工程→レジスト形成工程→エッチング工程→レジスト除去工程の手順によるエッチング配線工法を例示したが、その他の工法を用いてもよい。例えば、従来知られたアディティブ配線工法(銅スパッタ工程→レジスト塗布・開口工程→アディティブ銅めっき工程→レジスト除去工程→銅スパッタ膜エッチング工程の手順)によって銅薄膜層を形成するのであってもよい。
【0023】
外部端子12の上面、ビアホール23の内壁およびビアホール23の周辺部に銅薄膜層が形成されたら、従来知られた工法により、第1の外郭体22の上面に、複数の外部端子12と電気的に繋がる再配線層13を形成する(
図8および
図9。再配線層形成工程)。再配線層13の上部には半導体素子14をマウントするためのマウント領域26と、マウント領域26にマウントされた半導体素子14と電気的に接続される複数の内部端子27が形成される。
【0024】
再配線層形成工程では、各内部端子27の上面にめっき(図示せず)が施される。このめっきは、内部端子27の表面に施されたニッケルめっきと、ニッケルめっきの表面に施された金めっきから成る。係るめっきは、マウント領域26に施しても良い。
【0025】
この再配線層形成工程の終了時点までに製造された半導体パッケージ1の一部は半導体パッケージ1のベース部分をなすものであり、金属材料から成る支持体21と、支持体21の上面に設置された複数の外部端子12と、熱硬化性樹脂から形成されて支持体21の上面に設置された複数の外部端子12を保持する第1の外郭体22と、第1の外郭体22の上面に複数の外部端子12のそれぞれと電気的に繋がる再配線層13とを備えている。この半導体パッケージ1のベース部分を以下、「ベース基板1B」と称する。ベース基板1Bは、従来知られたサブストレート付き半導体パッケージの製造工程におけるサブストレートに相当する。
【0026】
再配線層形成工程によって、第1の外郭体22の上面に再配線層13が形成され(ベース基板1Bが製造され)たら、再配線層13に半導体素子14をマウントするとともに半導体素子14を再配線層13に電気的に接続する半導体素子接続工程を行う。半導体素子接続工程は、ここでは、半導体素子マウント工程(
図10(a)および
図11)と、半導体素子マウント工程の後に行うワイヤボンディング工程(
図10(b)および
図12)から成る。半導体マウント工程では、図示しないマウンタ装置によって、再配線層13の上面に半導体素子14をマウントする。ワイヤボンディング工程では、図示しないワイヤボンディング装置によって、半導体素子14側の端子と内部端子27とをワイヤ28で接続する。
【0027】
半導体素子接続工程が終了したら、図示しない第2のコンプレッションモールド成形装置を用いて、第1の外郭体22の側方22aおよび上方22bを覆うように熱硬化性樹脂によるモールドを施して第2の外郭体29を形成する。すなわち、第2の外郭体29の径Cを、第1の外郭体22の径A(
図2(b))よりも大きくすることで、第1の外郭体22は支持体21と対向する面を除いて第2の外郭体29によって覆い囲まれる。これにより、第1の外郭体22と第2の外郭体29とから成る外郭体11が形成され、この外郭体11によって、再配線層13および半導体素子14が封止される(
図10(c)および
図13。第2のモールド工程)。すなわち、第2のモールド工程において第2の外郭体29が形成される際、第2の外郭体29を構成する熱硬化性樹脂は第1の外郭体22を覆った状態から硬化収縮する。本実施の形態における「第1の外郭体22の側方22a」とは、支持体21の平滑な上面21aに対して交差する方向に面した第1の外郭体22の領域(外周面)を示す。
【0028】
この第2のモールド工程では、支持体21上に供給された熱硬化樹脂は加熱により流動状態となった後、その内部で第1の外郭体22と再配線層13と半導体素子14を保持した状態で硬化収縮する。このとき、第1の外郭体22は先に実行された第1のモールド工程で既に熱硬化していることから、第2のモールド工程での更なる硬化収縮は生じない(仮に生じるとしても、ごく僅かであり、第2の外郭体29を構成する熱硬化性樹脂より収縮率は低い)。したがって、第2の外郭体29は、その内部で保持する第1の外郭体22を内方(
図10(c)に示す矢印d)に押圧しながら形成されるので、第1の外郭体22と第2の外郭体29とが密着する。したがって、第1の外郭体22と第2の外郭体29とが接合する境界30での剥離が防止され、半導体パッケージ1の品質を向上させることができる。
【0029】
本実施の形態では、この第2のモールド工程で使用する熱硬化性樹脂は、第1のモールド工程で第1の外郭体22を形成したときに用いた熱硬化性樹脂と同一(同一種類)のものとする。これにより外郭体11は、その全体が同じ材料(熱硬化性樹脂)から成るものとなる。すなわち外郭体11は、外部端子12を封止する第1の外郭体22と、再配線層13と半導体素子14を封止する第2の外郭体29とを含み、第1の外郭体22と第2の外郭体29は同一の樹脂から形成されている。本明細書において、同一の樹脂とは、物性が同等の樹脂を含む。なお、第1のモールド工程と第2のモールド工程のそれぞれで使用する熱硬化性樹脂は、異なる種類のものであってもよい。
【0030】
外郭体11が形成されたら、外郭体11の下面から支持体21を引き剥して除去する(
図10(d)。支持体除去工程)。これにより、第1の外郭体22と第2の外郭体29のそれぞれの下端側が面一となって形成された外郭体11の下面が露出するともに、外郭体11の下面(第1の外郭体22の下面)に複数の外部端子12のそれぞれが露出する(
図14(a),(b))。ここで、前述したように、第1のモールド工程で支持体21の上面に第1の外郭体22が形成されるとき、熱硬化性樹脂は支持体21の上面に設置された各外部端子12の鍔部12Tの下側に流入して硬化するので、鍔部12Tは第1の外郭体22によって上下が挟まれた状態になっている。このため外郭体11から支持体21を引き剥すとき、鍔部12Tは抜止めとして作用し、外部端子12が外郭体11(第1の外郭体22)から抜け出ることが防止される。
【0031】
支持体除去工程が終了したら、図示しないバンプ形成装置によって、外郭体11の下面に露出した状態となっている複数の外部端子12のそれぞれにバンプ15を形成する(
図10(e)および
図15(a),(b)。バンプ形成工程)。これにより、再配線層13と半導体素子14を封止した外郭体11の下面にバンプ15を備えた半導体パッケージ1が完成する(
図1)。
【0032】
この半導体パッケージ1は、
図15(a),(b)から分かるように、半導体素子14の(マウント領域26の)下方の外側(周囲)の領域だけでなく、半導体素子14の下方の内側の領域内にも外部端子12が設けられており、外部端子12が極めて高密度に配置された構成となっている。これは、本実施の形態における半導体パッケージ1が、再配線層13とこれに繋がるバンプ15を有するものであることに加え、再配線層13を形成する前に、支持体21の上面にバンプ15が形成される外部端子12を設置する工程(外部端子設置工程)およびその外部端子12を保持する第1の外郭体22を製造する工程(第1のモールド工程)とを有していることによって実現されている。
【0033】
上述の実施の形態では、便宜上、1枚の支持体21上にひとつの半導体パッケージ1が製造されるように説明したが、実際には、1枚の支持体21上に複数の半導体パッケージ1がマトリクス状に製造される。そして、外郭体11から支持体21が除去されて各外部端子12にバンプ15が形成された後、個々の半導体パッケージ1に切り出される。
【0034】
図16(a)~(e)は本実施の形態における半導体パッケージ製造方法の変形例を示している。この変形例では、半導体素子14はフリップチップタイプのものであり、ベース基板1Bの上面(再配線層13の上面)に設けられた内部端子27に接合される複数の接合用バンプ14Bを下面に備えた構成となっている。この変形例では、上述の実施の形態における半導体素子接続工程において、半導体素子14の再配線層13に対するマウントと電気的な接続とが同時に行われる(
図16(a)→
図16(b))。半導体素子接続工程の後、第2のモールド工程と(
図16(c))、支持体除去工程を行い(
図16(d))、次いでバンプ形成工程を行えば(
図16(e))、半導体パッケージ1が製造される。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態(変形例を含む)における半導体パッケージ1の製造方法では、少なくとも第1の外郭体22の側方22aおよび上方22bを覆うように熱硬化性樹脂によるモールドを施して第2の外郭体29を形成することにより、第1の外郭体22と第2の外郭体29を含んで構成される外郭体11により再配線層13および半導体素子を封止した半導体パッケージ1が製造される。この製造方法によれば、第2の外郭体29の形成過程で熱硬化性樹脂が第1の外郭体22を内方に向けて押圧しながら硬化収縮するので、第1の外郭体22と第2の外郭体29とを密着させることができる。また、異なる工程を経て形成された複数の外郭体(第1の外郭体22および第2の外郭体29)が接合する境界での剥離を防止し、その結果として半導体パッケージの品質を向上させることができる。
【0036】
また、本実施の形態(変形例を含む)における半導体パッケージ1の製造方法によれば、再配線層13と半導体素子14を封止した外郭体11の全体が同一(同一種類)の樹脂(本実施の形態では熱硬化性樹脂)から形成された半導体パッケージ1が製造される。このような半導体パッケージ1では、外郭体11の上下面における熱膨脹率に差がなく、熱による反り変形が生じにくいため、基板に実装された後に熱変化を受けた場合であっても、バンプ15が基板から剥がれてしまう不良が発生しにくい。また、外郭体11はその下面にバンプ15が形成される直前まで金属材料から成る硬質の支持体21によって保持されるので加工がし易く、最終的な半導体パッケージ1のサイズを極薄型にすることが可能である。
【0037】
また、本実施の形態における半導体パッケージ1の製造方法により製造された半導体パッケージ1では、前述したように、各外部端子12は鍔部12Tが抜止めとして作用して、外部端子12が外郭体11(第1の外郭体22)から抜け出ることが防止されるので、バンプ15が形成された後も、外部端子12が外郭体11(第1の外郭体22)から下方に抜け出てしまうことがない。このため外郭体11からバンプ15が脱落しにくく、構造信頼性の高い半導体パッケージ1を得ることができる。
【0038】
また、本実施の形態における半導体パッケージ1の製造方法では、前述したように、複数の外部端子12の少なくとも一部が半導体素子14の下方(マウント領域26の下方)の領域内に位置するようにすることができる。このため、外部端子12が高密度に配置された半導体パッケージ1を製造することができる。
【0039】
また、半導体パッケージ1の製造過程において製造されるベース基板1Bは、サブストレート付き半導体パッケージに用いられるサブストレートのように独立して市場を流通させることが可能である。すなわちベース基板1Bを購入した者が、その後の工程(前述の半導体素接続工程、第2のモールド工程、支持体除去工程およびバンプ形成工程)を行うことにより、本実施の形態における半導体パッケージ1を製造することができる。本実施の形態におけるベース基板1Bは、その全体が金属材料から成る支持体21によって保持されているので、流通時においてもその形状を安定的に維持することができる。
【0040】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、支持体21は、ステンレス鋼(例えばSUS430)から成るものとしていたが、これは一例であり、その他の金属材料(例えば銅)から成っていてもよい。特に、支持体21を銅から成る板材とした場合、支持体除去工程では、外郭体11の下面から引き剥して除去する方法のほか、溶解して除去する方法を採用することもできる。また、上述の実施の形態で示したバンプ15の数や配置、再配線層13にマウントされる半導体素子14の個数等は一例に過ぎず、図示したものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
複数の外郭体が接合する境界での剥離を防止して半導体パッケージの品質を向上させることができる半導体パッケージの製造方法および半導体パッケージを提供する。
【符号の説明】
【0042】
1 半導体パッケージ
1B ベース基板
11 外郭体
12 外部端子
13 再配線層
14 半導体素子
15 バンプ
21 支持体
22 第1の外郭体
22a 側方
22b 上方
26 マウント領域
29 第2の外郭体