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特開2022-189689窒化物蛍光体、その製造方法及び発光装置
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  • 特開-窒化物蛍光体、その製造方法及び発光装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189689
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】窒化物蛍光体、その製造方法及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/64 20060101AFI20221215BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20221215BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20221215BHJP
   C09K 11/59 20060101ALI20221215BHJP
   C09K 11/79 20060101ALI20221215BHJP
   C09K 11/73 20060101ALI20221215BHJP
   C09K 11/66 20060101ALI20221215BHJP
   C09K 11/61 20060101ALI20221215BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221215BHJP
【FI】
C09K11/64
C09K11/08 B
C09K11/08 J
C09K11/80
C09K11/59
C09K11/79
C09K11/73
C09K11/66
C09K11/61
H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168122
(22)【出願日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2021098090
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】細川 昌治
【テーマコード(参考)】
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
4H001CA02
4H001CA05
4H001CF02
4H001XA03
4H001XA07
4H001XA08
4H001XA09
4H001XA11
4H001XA12
4H001XA13
4H001XA14
4H001XA15
4H001XA17
4H001XA19
4H001XA20
4H001XA31
4H001XA35
4H001XA37
4H001XA38
4H001XA39
4H001XA55
4H001XA56
4H001XA64
4H001XA65
4H001XA71
4H001XB32
4H001XB41
4H001XB42
4H001YA25
4H001YA58
4H001YA63
5F142AA02
5F142DA03
5F142DA12
5F142DA43
5F142DA44
5F142DA45
5F142DA48
5F142DA73
5F142GA11
5F142GA21
5F142GA40
(57)【要約】
【課題】より高い発光強度を有する窒化物蛍光体を提供する。
【解決手段】Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、組成におけるAlのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体である。窒化物蛍光体は、CuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンにおいて、2θが17°以上19°以下の範囲に第1ピークと、2θが34°以上35.5°以下の範囲に第2ピークと、を有し、第1ピークに対する第2ピークの強度比が1以上6以下であり、第2ピークの半値幅が0.09°以上0.1°未満である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、
前記組成におけるAlのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下であり、
CuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンにおいて、2θが17°以上19°以下の範囲に第1ピークと、2θが34°以上35.5°以下の範囲に第2ピークと、を有し、
前記第1ピークに対する第2ピークの強度比が1以上6以下であり、
前記第2ピークの半値幅が0.09°以上0.1°未満である窒化物蛍光体。
【請求項2】
下記式(I)で表される組成を有する請求項1に記載の窒化物蛍光体。
a SrEuSiAl (I)
(式(I)中、Mは、Mg、Ca及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素であり、s、t、u、v、w及びxは、0≦s<1、0≦t<1、0.002≦u≦0.08、0.8≦s+t+u≦1.1、0.8≦v≦1.2、0.8≦w≦1.2、1.8≦v+w≦2.2、2.5≦x≦3.2を満たす。)
【請求項3】
前記式(I)中、s、t及びuは、0.94≦s+t+u≦1.10を満たす請求項2に記載の窒化物蛍光体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の窒化物蛍光体を含む蛍光部材と、365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、を備える発光装置。
【請求項5】
前記蛍光部材は、下記式のいずれかで表される組成を有する蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種を更に含む請求項4に記載の発光装置。
(Y,Gd,Tb,Lu)(Al,Ga)12:Ce (IIa)
(Ca,Sr,Ba)SiO:Eu (IIb)
Si6-pAl8-p:Eu(0<p≦4.2) (IIc)
(Ca,Sr)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (IId)
(La,Y,Gd,Lu)Si11:Ce (IIe)
(Ca,Sr,Ba)Si:Eu (IIg)
(Ca,Sr,Ba)LiAl:Eu (IIh)
(Ca,Sr,Ba)10(PO(F,Cl,Br):Eu (IIi)
【請求項6】
前記蛍光部材は、下記式のいずれかで表される組成を有する蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種を更に含む請求項4または5に記載の発光装置。
[M 1-bMn] (IIj)
(式(IIj)中、Aは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種を含む。Mは、少なくともSi及びGeの少なくとも一方を含み、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を更に含んでもよい。bは0<b<0.2を満たし、cは[M 1-bMn]イオンの電荷の絶対値であり、dは5<d<7を満たす。)
[M 1-eMn] (IIk)
(式(IIk)中、Aは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種を含む。Mは、少なくともSi及びAlを含み、第4族元素、第13族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を更に含んでもよい。eは0<e<0.2を満たし、fは[M 1-eMn]イオンの電荷の絶対値であり、gは5<g<7を満たす。)
【請求項7】
Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、
前記組成が、Alのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体の製造方法であって、
第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1200℃以上1600℃以下の温度で第1熱処理して第1熱処理物を得ることと、
前記第1熱処理物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で第2熱処理して第2熱処理物を得ることと、を含む窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項8】
前記第2熱処理の前に前記第1熱処理物を解砕処理することをさらに含む請求項7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項9】
前記原料混合物は、金属フッ化物をさらに含む請求項7または8に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項10】
Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、
前記組成が、Alのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体の製造方法であって、
第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、金属フッ化物と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で熱処理して熱処理物を得ることを含む窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項11】
前記料混合物を、1800℃以上2100℃以下の温度で熱処理する前に、タングステン製の密閉容器中で、1200℃以上1800℃以下の温度で熱処理することをさらに含む請求項10に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項12】
前記窒化物蛍光体が、下記式(I)で表される組成を有する請求項7から11のいずれか1項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
a SrEuSiAl (I)
(式(I)中、Mは、Mg、Ca及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素であり、s、t、u、v、w及びxは、0≦s<1、0≦t<1、0.002≦u≦0.08、0.8≦s+t+u≦1.1、0.8≦v≦1.2、0.8≦w≦1.2、1.8≦v+w≦2.2、2.5≦x≦3.2を満たす。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化物蛍光体、その製造方法及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下「LED」と呼ぶ。)と蛍光体とを組み合わせた発光装置は、照明装置、液晶表示装置のバックライト等へと盛んに応用されている。発光装置に用いられる蛍光体として、組成に窒素を含む窒化物蛍光体が挙げられ、その一例として、CaAlSiNを母体結晶としてEu2+で賦活された赤色蛍光体(以下、「CASN蛍光体」と呼ぶ。)及びCASN蛍光体のCaの一部をSrに置換した(Sr,Ca)AlSiN:Eu(以下、「SCASN蛍光体」と呼ぶ。)が知られている。CASN蛍光体及びSCASN蛍光体では、その組成に応じて600nmから670nmと幅広い範囲内に発光ピーク波長が含まれる。これらの窒化物蛍光体は、照明装置の演色性の改善に有用である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光強度を向上させることを目的とする窒化物蛍光体の製造方法として、蛍光体の原料の仕込み組成を調整する製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/001860号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様は、より高い発光強度を有する窒化物蛍光体、その製造方法及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、前記組成におけるAlのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体である。窒化物蛍光体は、CuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンにおいて、2θが17°以上19°以下の範囲におけるピーク強度の最大値で、2θが34°以上35.5°以下の範囲におけるピーク強度の最大値を除した値が3.0以上5.5以下である。
【0007】
第二の態様は、前記第一の態様の窒化物蛍光体を含む蛍光部材と、365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、を備える発光装置である。
【0008】
第三の態様は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、前記組成が、Alのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体の製造方法である。窒化物蛍光体の製造方法は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1200℃以上1600℃以下の温度で第1熱処理して第1熱処理物を得ることと、第1熱処理物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で第2熱処理して第2熱処理物を得ることと、を含む。
【0009】
第四の態様は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、前記組成が、Alのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体の製造方法である。窒化物蛍光体の製造方法は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、金属フッ化物と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で熱処理して熱処理物を得ることを含む。
【0010】
第五の態様は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、前記組成におけるAlのモル含有量に対する、前記第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であり、Euのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であり、Siのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であり、SiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下である窒化物蛍光体である。窒化物蛍光体は、CuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンにおいて、2θが17°以上19°以下の範囲に第1ピークと、2θが34°以上35.5°以下の範囲に第2ピークと、を有し、第1ピークに対する第2ピークの強度比が1以上6以下であり、第2ピークの半値幅が0.09°以上0.1°未満である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、より高い発光強度を有する窒化物蛍光体、その製造方法及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】発光装置の一例を示す概略断面図である。
図2】実施例1に係る窒化物蛍光体の走査電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。
図3】比較例1に係る窒化物蛍光体のSEM画像の一例である。
図4】実施例1、比較例1及び比較例2に係る窒化物蛍光体のX線回折(XRD)パターンの一例である。
図5】実施例2、実施例3、比較例3及び比較例4に係る窒化物蛍光体のXRDパターンの一例である。
図6】実施例4、実施例5及び比較例5に係る窒化物蛍光体のXRDパターンの一例である。
図7】発光装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図8】発光装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図9A】波長変換部材を主面側から見た概略平面図である。
図9B】波長変換部材を側面側から見た概略側面図及びその部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、当該数値を任意に選択して組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、窒化物蛍光体及びその製造方法を例示するものであって、本発明は、以下に示す窒化物蛍光体及びその製造方法に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0014】
窒化物蛍光体
窒化物蛍光体は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含む。窒化物蛍光体の組成におけるAlのモル含有量に対する、第2族元素とEuの総モル含有量の比は0.8以上1.1以下であってよく、Euのモル含有量の比は0.002以上0.08以下であってよく、Siのモル含有量の比は0.8以上1.2以下であってよく、SiとAlの総モル含有量の比は1.8以上2.2以下であってよい。また、窒化物蛍光体は、CuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンにおいて、2θが17°以上19°以下の範囲におけるピーク強度の最大値で、2θが34°以上35.5°以下の範囲におけるピーク強度の最大値を除した値が3.0以上5.5以下であってよい。
【0015】
また、前記組成を有する窒化物蛍光体は、CuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンにおいて、2θが17°以上19°以下の範囲に第1ピークと、2θが34°以上35.5°以下の範囲に第2ピークと、を有していてよい。窒化物蛍光体は、第1ピークに対する第2ピークの強度比が1以上6以下であり、第2ピークの半値幅が0.09°以上0.1°未満であってよい。
【0016】
特定の組成を有し、特定の粉末X線回折パターンを示す窒化物蛍光体は、より高い発光強度を示すことができる。これは、例えば、後述する製造方法により、特定の密閉容器内で熱処理を行うことにより、熱処理に用いる密閉容器内から原料が飛散することが抑制されること、及び、熱処理に用いる密閉容器と原料との反応が抑制されることから、窒化物蛍光体が均一に合成されるためと考えられる。
【0017】
窒化物蛍光体は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素を組成に含む。窒化物蛍光体の組成に含まれる第2族元素は、Ca及びSrの少なくとも一方を含んでいてよく、少なくともCaを含んでいてよい。窒化物蛍光体の組成に含まれる第2族元素の総モル含有量に対するCa及びSrの総モル含有量の比は、例えば0.8以上であってよく、好ましくは0.9以上であってよく、実質的にCa及びSrのみであってよい。ここで実質的にとは、不可避的に混入するCa及びSr以外の第2族元素を排除しないことを意味する。Ca及びSrの総モル含有量に対するCa及びSr以外の第2族元素のモル含有量の比は、例えば0.1以下であってよく、好ましくは0.08以下であってよい。
【0018】
窒化物蛍光体の組成は、Alのモル含有量に対する第2族元素とEuの総モル含有量の比が、好ましくは0.94以上1.1以下、又は0.95以上1.05以下であってよい。窒化物蛍光体の組成は、Alのモル含有量に対するEuのモル含有量の比が、好ましくは0.002以上0.08以下、又は0.004以上0.07以下であってよい。窒化物蛍光体の組成は、Alのモル含有量に対するSiのモル含有量の比が、好ましくは0.8以上1.2以下、又は0.9以上1.1以下であってよい。窒化物蛍光体の組成は、Alのモル含有量に対するSiとAlの総モル含有量の比が、好ましくは1.8以上2.2以下、又は1.9以上2.1以下であってよい。窒化物蛍光体の組成は、蛍光X線(XRF)分析により求めることができる。
【0019】
窒化物蛍光体は、例えば下記式(I)で表される組成を有していてもよい。
a SrEuSiAl (I)
【0020】
式(I)中、Mは、Mg、Ca及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素であり、Ca及びSrの少なくとも一方を含んでいてよく、好ましくは少なくともCaを含んでいてよい。s、t、u、v、w及びxは、0<s<1、0≦t<1、0.002≦u≦0.08、0.8≦s+t+u≦1.1、0.8≦v≦1.2、0.8≦w≦1.2、1.8≦v+w≦2.2、2.5≦x≦3.2を満たしていてよい。また、s、t及びuは、0.94≦s+t+u≦1.10を満たしていてよい。
【0021】
窒化物蛍光体は、CuKα線(波長:1.54184Å)を用いて測定される粉末X線回折(XRD)パターンにおいて、2θが17°以上19°以下、好ましくは17.5°以上18.5°以下の範囲に第1ピークを有し、2θが34°以上35.5°以下、好ましくは34.5°以上35.0°以下の範囲に第2ピークを有していてよい。第1ピークは、例えばミラー指数が(200)であるピークであってよく、第2ピークは、例えばミラー指数が(002)であるピークであってよい。また、第1ピークのピーク強度の最大値をIとし、第2ピークのピーク強度の最大値をIとすると、ピーク強度の比I/Iは、例えば3以上5.5以下であってよく、好ましくは3.05以上5.4以下、又は3.1以上5.3以下であってよい。また一態様において、ピーク強度の比I/Iは、例えば1以上6以下であってよく、好ましくは1.2以上、1.4以上、又は1.6以上であってよく、また好ましくは5.8以下、5.6以下、又は5.5以下であってよい。
【0022】
窒化物蛍光体の組成が第2族元素とEuの総モル含有量に対するSrのモル含有量の比が0.85以上の場合、ピーク強度の比I/Iは、例えば1以上6以下であってよく、好ましくは1.5以上5.8以下、2.5以上5.6以下、又は3以上5.6以下であってよい。また、窒化物蛍光体の組成が第2族元素とEuの総モル含有量に対するSrのモル含有量の比が0.85未満の場合、ピーク強度の比I/Iは、1以上5.5以下であってよく、好ましくは1.5以上3.5以下であってよい。
【0023】
第2ピークの半値幅は、例えば0.09°以上0.1°未満であってよい。第2ピークの半値幅は、好ましくは0.0930°以上、0.0940°以上、又は0.0950°以上であってよく、また好ましくは0.0995°以下、0.0990°以下、又は0.0988以下であってよい。第2ピークの半値幅が所定値以下であると、より高い発光強度を示す傾向がある。これは例えば以下のように考えることができる。第2ピークの半値幅が所定値以下であることは、窒化物蛍光体の結晶構造において、組成がより均一な状態になっていることを示しており、これにより発光強度が向上すると考えられる。なお、粉末X線回折パターンにおけるピークの半値幅は、最大回折強度に対して回折強度が50%となる粉末X線回折パターンの波長幅(半値全幅;FWHM)を意味する。
【0024】
窒化物蛍光体のCuKα線を用いて測定される粉末X線回折パターンは、2θが34°以上37°以下の範囲に、好ましくは34.5°以上36.5°以下の範囲に最大ピークを有していてもよい。
【0025】
窒化物蛍光体の体積平均粒径は、例えば10μm以上であってよく、発光効率の観点から、好ましくは13μm以上、又は15μm以上であってよい。また体積平均粒径は例えば30μm以下であってよく、好ましくは28μm以下であってよい。窒化物蛍光体の体積平均粒径は大きいほうが、励起光の吸収率及び発光効率がより高くなる傾向がある。このように、光学特性に優れる窒化物蛍光体を後述する発光装置に適用することにより、発光装置の発光効率がより向上する。また窒化物蛍光体は、上記の体積平均粒径値を有する窒化物蛍光体粒子が、頻度高く含まれていることが好ましい。すなわち、粒度分布は狭い範囲に分布していることが好ましい。粒度分布のバラツキが小さい窒化物蛍光体を用いることにより、より色ムラが抑制され、より良好な色調を有する発光装置が得られる。
【0026】
なお、窒化物蛍光体の体積平均粒径は、コールター原理に基づく細孔電気抵抗法(電気的検知帯法)による粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、粒度分布における短径側からの体積累積50%に相当するメジアン径として測定される。
【0027】
窒化物蛍光体は、600nm以上675nm以下の範囲に発光ピーク波長を有していてよい。窒化物蛍光体の発光ピーク波長は、好ましくは605nm以上、又は610nm以上であってよく、また好ましくは670nm以下、又は665nm以下であってよい。
【0028】
窒化物蛍光体の製造方法
窒化物蛍光体の製造方法は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で1800℃以上2100℃以下の温度で熱処理して熱処理物を得ることを含んでいてよい。
【0029】
窒化物蛍光体の製造方法で製造される窒化物蛍光体は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素と、Euと、Siと、Alと、Nと、を組成に含み、Alのモル含有量に対する第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であってよく、Alのモル含有量に対するEuのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であってよく、Alのモル含有量に対するSiのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であってよく、Alのモル含有量に対するSiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下であってよい組成を有していてよい。また、製造される窒化物蛍光体は上述した窒化物蛍光体であってよい。
【0030】
原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で所定の温度で熱処理することで、より高い発光強度を示すことができる窒化物蛍光体を効率的に製造することができる。
【0031】
窒化物蛍光体の製造方法に用いる原料混合物は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、を含んでいてよい。
【0032】
原料混合物に含まれる第2族元素源における第2族元素は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種であり、Ca及びSrの少なくとも一方を含んでいてよく、少なくともCaを含んでいてよい。
【0033】
第2族元素源としては、第2族元素を含む金属化合物、第2族元素を金属単体、第2族元素を含む合金等が挙げられる。第2族元素を含む金属化合物としては、第2族元素を含む水素化物、酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、塩化物、アミド化合物、イミド化合物等を挙げることができ、水素化物、窒化物等が好ましい。また第2族元素源は、Li、Na、K、B、Al等を含んでいてもよい。
【0034】
第2族元素を含む金属化合物は、購入して準備してもよく、所望の第2族元素を含む金属化合物を製造して用いてもよい。例えば、窒化カルシウムは、原料となるカルシウムを不活性ガス雰囲気中で粉砕し、得られた粉体を窒素雰囲気中で熱処理して窒化することで得ることができる。熱処理温度は、例えば600℃以上900℃以下であり、熱処理時間は、例えば1時間以上20時間以下である。得られた窒化カルシウムには、例えば、不活性ガス雰囲気中で粉砕処理を行うことができる。また窒化ストロンチウムは、窒化カルシウムと同様にして得ることができるが、窒化カルシウムの場合と異なり、含まれる窒素量を製造条件によって変更することができる。
【0035】
第2族元素源(例えば、第2族元素を含む金属化合物)の純度は、例えば95重量%以上であり、99.5重量%以上が好ましい。純度を所定値以上とすることにより、不純物の影響を少なくして窒化物蛍光体の発光強度をより向上することができる。
【0036】
原料混合物に含まれるEu源としては、ユウロピウム化合物、ユウロピウム金属単体、ユウロピウム合金等が挙げられる。ユウロピウム化合物としては、ユウロピウムを含む酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等を挙げることができる。ユウロピウム化合物として具体的には、酸化ユウロピウム(Eu)、窒化ユウロピウム(EuN)、フッ化ユウロピウム(EuF)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。窒化ユウロピウム(EuN)は、目的とする蛍光体組成の元素のみで構成されているため、不純物の混入をより効果的に抑制できる。また、酸化ユウロピウム(Eu)、フッ化ユウロピウム(EuF)はフラックスとして作用することがあり、好ましく用いられる。ユウロピウム化合物は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0037】
ユウロピウム化合物は、購入して準備してもよく、所望のユウロピウム化合物を製造して用いてもよい。例えば、窒化ユウロピウムは、原料となるユウロピウムを不活性ガス雰囲気中で粉砕し、得られた粉体を窒素雰囲気中、又はアンモニア雰囲気中で熱処理して窒化することで得ることができる。粉砕したユウロピウムの平均粒径は、例えば0.1μm以上10μm以下である。また熱処理温度は、例えば600℃以上1200℃以下であり、熱処理時間は、例えば1時間以上20時間以下である。得られた窒化ユウロピウムに、例えば、不活性ガス雰囲気中で粉砕処理を行うことができる。
【0038】
原料混合物はEu源の少なくとも一部を、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等の希土類元素の金属化合物、金属単体、合金等に置換した混合物であってもよい。金属化合物としては、酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等を挙げることができる。
【0039】
Eu源(例えば、ユウロピウム化合物)の純度は、例えば95重量%以上であり、99.5重量%以上が好ましい。純度を所定値以上とすることにより、不純物の存在による悪影響を少なくして蛍光体の発光強度をより向上することができる。
【0040】
原料混合物に含まれるSi源としては、ケイ素化合物、ケイ素単体、ケイ素合金等を挙げることができる。ケイ素化合物としては、ケイ素を含む酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等を挙げることができる。ケイ素化合物として具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ケイ酸塩等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、窒化ケイ素がより好ましい。窒化ケイ素は目的とする蛍光体組成の元素のみで構成されているため、不純物の混入をより効果的に抑制できる。窒化ケイ素は、例えば、酸素や水素を含むケイ素化合物と比較して、それらの元素の影響を少なくすることができ、金属単体と比較して窒化反応が不要である。ケイ素化合物は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0041】
ケイ素化合物は、購入して準備してもよく、所望のケイ素化合物を製造して用いてもよい。例えば窒化ケイ素は、原料となるケイ素を不活性ガス雰囲気中で粉砕し、得られた粉体を窒素雰囲気中で熱処理して窒化することで得ることができる。熱処理温度は、例えば800℃以上2000℃以下であり、熱処理時間は、例えば1時間以上20時間以下である。得られた窒化ケイ素には、例えば、不活性ガス雰囲気中で粉砕処理を行うことができる。
【0042】
原料混合物はSi源の一部を、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等の第4族又は第14族元素の金属化合物、金属単体、合金等に置換した混合物であってもよい。金属化合物としては、酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等を挙げることができる。
【0043】
Si源(例えば、ケイ素化合物)の純度は、例えば95重量%以上であり、99重量%以上が好ましい。純度を所定値以上とすることにより、不純物の影響を少なくして蛍光体の発光強度をより向上することができる。
【0044】
原料混合物に含まれるAl源としては、アルミニウム化合物、アルミニウム金属単体、アルミニウム合金等を挙げることができる。アルミニウム化合物としては、アルミニウムを含む酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等を挙げることができる。アルミニウム化合物として具体的には、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、窒化アルミニウムがより好ましい。窒化アルミニウムは目的とする蛍光体組成の元素のみで構成されているため、不純物の混入をより効果的に抑制できる。窒化アルミニウムは、例えば、酸素や水素を含むアルミニウム化合物と比較して、それらの元素の影響を少なくすることができ、金属単体と比較して窒化反応が不要である。アルミニウム化合物は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0045】
アルミニウム化合物は、購入して準備してもよく、所望のアルミニウム化合物を製造して用いてもよい。例えば窒化アルミニウムはアルミニウムの直接窒化法等により製造することができる。
【0046】
原料混合物はAl源の少なくとも一部を、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等の第13族元素、バナジウム(V)等の第5族元素、クロム(Cr)等の第6族元素、又はコバルト(Co)等の第9族元素の金属化合物、金属単体、合金等に置換した混合物であってもよい。金属化合物としては、酸化物、水酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物、塩化物等を挙げることができる。
【0047】
Al源(例えば、アルミニウム化合物)の純度は、例えば95重量%以上であり、99重量%以上が好ましい。純度を所定値以上とすることにより、不純物の影響を少なくして蛍光体の発光強度をより向上することができる。
【0048】
原料混合物は、金属フッ化物の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。原料混合物が、金属フッ化物の少なくとも1種を更に含むことで、より高い発光強度を示すことができる窒化物蛍光体が得られる傾向がある。
【0049】
金属フッ化物は、好ましくは第2族元素を含む金属フッ化物、希土類元素を含む金属フッ化物、第4族又は第14族元素を含む金属フッ化物、及び第13族元素を含む金属フッ化物からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
【0050】
金属フッ化物における第2族元素は、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくはSr及びCaの少なくとも一方を含んでいてよく、より好ましくは少なくともCaを含んでいてよい。原料混合物が第2族元素を含む金属フッ化物の少なくとも1種を含む場合、第2族元素を含む金属フッ化物は、第2族元素源の一部であってよい。すなわち、第2族元素源の一部が、第2族元素を含む金属フッ化物に置換されていてもよい。
【0051】
第2族元素源の一部が第2族元素を含む金属フッ化物に置換されている場合、第2族元素源のモル量に対する第2族元素を含む金属フッ化物のモル量の比は、例えば、0.05以上1未満であってよく、好ましくは0.08以上、または0.1以上であってよく、また好ましくは0.8以下、0.6以下、または0.4以下であってよい。
【0052】
金属フッ化物における希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくはEuを含んでいてよい。原料混合物が希土類元素を含む金属フッ化物を含む場合、希土類元素を含む金属フッ化物は、Eu源の一部であってよい。すなわち、Eu源の一部が、希土類元素を含む金属フッ化物に置換されていてもよい。
【0053】
Eu源の一部が希土類元素を含む金属フッ化物に置換されている場合、Eu源のモル量に対する希土類元素を含む金属フッ化物のモル数の比は、例えば、0.05以上1未満であってよく、好ましくは0.08以上、または0.1以上であってよく、また好ましくは0.8以下、0.6以下、または0.4以下であってよい。
【0054】
金属フッ化物における第4族又は第14族元素は、Ge、Sn、Ti、Zr及びHfからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。原料混合物が第4族又は第14族元素を含む金属フッ化物を含む場合、第4族又は第14族元素を含む金属フッ化物は、Si源の一部であってよい。すなわち、Si源の一部が、第4族又は第14族元素を含む金属フッ化物に置換されていてもよい。
【0055】
Si源の一部が第4族又は第14族元素を含む金属フッ化物に置換されている場合、Si源のモル量に対する第4族又は第14族元素を含む金属フッ化物のモル数の比は、例えば、0.05以上1未満であってよく、好ましくは0.08以上、または0.1以上であってよく、また好ましくは0.8以下、0.6以下、または0.4以下であってよい。
【0056】
金属フッ化物における第13族元素は、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくはAlを含んでいてよい。原料混合物が第13族元素を含む金属フッ化物を含む場合、第13族元素を含む金属フッ化物は、Al源の一部であってよい。すなわち、Al源の一部が、第13族元素を含む金属フッ化物に置換されていてもよい。
【0057】
Al源の一部が第13族元素を含む金属フッ化物に置換されている場合、Al源のモル量に対する第13族元素を含む金属フッ化物のモル数の比は、例えば、0.05以上1未満であってよく、好ましくは0.08以上、または0.1以上であってよく、また好ましくは0.8以下、0.6以下、または0.4以下であってよい。
【0058】
原料混合物における金属フッ化物の含有量は、Alに対するフッ素原子のモル含有比が、例えば0.01以上0.3以下となる量であり、前記モル含有比は0.01以上0.3未満が好ましく、0.015以上0.2以下がより好ましく、0.02以上0.15以下が更に好ましく、0.025以上0.1以下が更に好ましい。前記モル含有比を上記下限値以上とすることにより、フラックスとしての効果を十分に得ることができる。ある程度の量のフラックスを含むと、フラックスの効果が飽和してしまいそれ以上の量を含んでも効果が見込めないので、上記上限値以下することにより、フラックスを必要以上含ませることなくフラックスの効果を得ることができる。
【0059】
金属フッ化物の純度は、例えば95重量%以上であり、99重量%以上が好ましい。純度を所定値以上とすることにより、不純物の影響を少なくして蛍光体の発光強度をより向上することができる。また第2族源を含む金属フッ化物は、Li、Na、K、B、Al等をさらに含んでいてもよい。金属フッ化物は、購入して準備してもよく、所望の金属フッ化物を製造して用いてもよい。
【0060】
原料混合物が、金属フッ化物を含む場合、金属フッ化物に加えて、それ以外のハロゲン化物等のフラックスを更に含んでいてもよい。ハロゲン化物としては、希土類、アルカリ金属等の塩化物、フッ化物等が挙げられる。原料混合物がフラックスを含む場合、その含有量は金属フッ化物に対して、例えば20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0061】
原料混合物は、必要に応じて別途準備した窒化物蛍光体を更に含んでいてもよい。原料混合物が窒化物蛍光体を含む場合、その含有量は原料混合物の総量中に、例えば1質量%以上50質量%以下とすることができる。
【0062】
原料混合物は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、を所定の量比で混合することで調製できる。原料混合物における各成分の混合比は、例えば、Alのモル含有量に対する第2族元素とEuの総モル含有量の比が0.8以上1.1以下であってよく、好ましくは0.9以上1.05以下であってよい。また、Alのモル含有量に対するEuのモル含有量の比が0.002以上0.08以下であってよく、好ましくは0.004以上0.075以下であってよい。Alのモル含有量に対するSiのモル含有量の比が0.8以上1.2以下であってよく、好ましくは0.9以上1.1以下であってよい。Alのモル含有量に対するSiとAlの総モル含有量の比が1.8以上2.2以下であってよく、好ましくは1.9以上2.1以下であってよい。
【0063】
原料混合物における各成分の混合比は、例えば下記式(Ia)におけるs、t、u、v、w及びxが、式(Ia)に規定する以下の要件を満たすように選択されてもよい。
a SrEuSiAl (Ia)
【0064】
式(Ia)中、Mは、Mg、Ca及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2族元素である。s、t、u、v、w及びxは、0<s<1、0≦t<1、0.002≦u≦0.08、0.8≦s+t+u≦1.1、0.8≦v≦1.2、0.8≦w≦1.2、1.8≦v+w≦2.2、2.5≦x≦3.2を満たしていてよい。また、s、t及びuは、0.94≦s+t+u≦1.10を満たしていてよい。
【0065】
原料混合物は、原料混合物を構成する各成分を所望の配合比になるように計量した後、ボールミルなどを用いる混合方法、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダ―などの混合機を用いる混合方法、乳鉢と乳棒を用いる混合方法などにより各成分を混合することで得ることができる。混合は、乾式混合で行うこともできるし、溶媒等を加えて湿式混合で行うこともできる。
【0066】
得られた原料混合物をタングステン製の密閉容器中で熱処理することで、より高い発光強度を示すことができる窒化物蛍光体を効率的に製造することができる。原料混合物の熱処理を行う密閉容器は、実質的にタングステンで形成されていてよい。ここで実質的にとは、不可避的に混入する不純物を排除しないことを意味する。
【0067】
ここで密閉容器とは、通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形の異物が混入することを防ぐことができる容器をいう(例えば、日本薬局方通則第37条)。密閉容器は、例えば、開口部を有する容器本体と容器本体の開口部を密閉する蓋とから構成され、熱処理条件下で固体の出入りを防ぐことができる。また、密閉容器では、熱処理条件下で気体の出入りが抑制されていればよく、完全には防止されていなくてもよい。密閉容器の容器本体の形状は、例えば、底部と底部を包囲する壁部とを有し、底部に対向する上部は開口部となっていてよい。容器本体の形状は、例えば円筒状、多角柱状、角型等であってよい。タングステン製の密閉容器は、少なくとも原料混合物が接触する部分が実質的にタングステンから形成されていればよく、好ましくは密閉容器全体が実質的にタングステンから形成されていてよい。
【0068】
密閉容器に収容される原料混合物の量は、密閉容器の容量に対して、例えば60体積%以上100体積%以下であってよく、好ましくは75体積%以上99体積%以下であってよい。
【0069】
窒化物蛍光体の製造方法においては、タングステン製の密閉容器を用いることで、原料混合物に含まれる第2族元素源(特に、Sr)、Eu源等が熱処理中に飛散すること、及び、焼成容器と反応することが抑制されてよい。例えば、原料混合物に含まれるSrのモル数(s1)から得られた窒化物蛍光体に含まれるSrのモル数(s2)を差し引いた値を原料混合物に含まれるSrのモル数(s1)で除した値を100倍した値であるSr飛散率((s1-s2)/s1×100;%)が、6.5%以下であってよく、好ましくは6.3%以下、又は6.0%以下であってよい。Sr飛散率が所定値以下であると得られる窒化物蛍光体の発光強度がより向上する傾向がある。
【0070】
熱処理の温度は、例えば1800℃以上2100℃以下であってよく、好ましくは1850℃以上、又は1900℃以上であってよい。また熱処理の温度は、好ましくは2080℃以下、2060℃以下、又は2000℃以下であってよい。上記下限値以上の温度で熱処理することで、Euが結晶中に入り込み易く、所望の窒化物蛍光体が効率よく形成される。また熱処理温度が上記上限値以下であると形成される窒化物蛍光体の分解が抑制される傾向がある。原料混合物の熱処理は、例えばガス加圧電気炉を用いて行うことができる。
【0071】
原料混合物の熱処理における雰囲気は、窒素ガスを含む雰囲気が好ましく、実質的に窒素ガス雰囲気であることがより好ましい。窒素ガスを含む雰囲気とすることにより、原料に含まれるケイ素を窒化させることもできる。また、窒化物である原料や蛍光体の分解を抑制することができる。原料混合物の熱処理の雰囲気が窒素ガスを含む場合、窒素ガスに加えて、水素、アルゴン等の希ガス、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、アンモニアなどの他のガスを含んでいてもよい。また原料混合物の熱処理の雰囲気における窒素ガスの含有率は、例えば90体積%以上であり、95体積%以上が好ましい。窒素以外の元素を含むガスの含有率を所定値以下とすることにより、それらのガス成分が不純物を形成することによる蛍光体の発光強度の低下が抑制される。
【0072】
原料混合物の熱処理における圧力は、例えば、常圧から200MPaとすることができる。生成する窒化物蛍光体の分解を抑制する観点から、圧力は高い方が好ましく、ゲージ圧として0.1MPa以上200MPa以下が好ましく、0.6MPa以上1.2MPa以下が工業的な設備の制約も少なく、より好ましい。
【0073】
原料混合物の熱処理は、単一の温度で行ってもよく、2以上の熱処理温度を含む多段階で行ってもよい。多段階で熱処理を行う場合、例えば1200℃以上1600℃以下、好ましくは1300℃以上1500℃以下で一段階目の熱処理を行い、その後、徐々に昇温して1800℃以上2100℃以下、好ましくは1850℃以上2050℃以下で二段階目の熱処理を行ってもよい。また、多段階での熱処理は、例えば1200℃以上1600℃以下、好ましくは1300℃以上1500℃以下の温度で原料混合物を第1熱処理して第1熱処理物を得ることと、その後、降温して得られる第1熱処理物を1800℃以上2100℃以下、好ましくは1850℃以上2050℃以下の温度で第2熱処理して第2熱処理物を得ることと、を含んでいてよい。さらに第1熱処理物を解砕処理、粉砕処理等することで粉砕物を得ることを含んでいてもよい。多段階での熱処理により、より高い発光強度を示すことができる窒化物蛍光体が得られる傾向がある。
【0074】
原料混合物の熱処理では、例えば室温から所定の温度に昇温して熱処理する。昇温時間は、例えば1時間以上48時間以下であり、2時間以上24時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下であることがより好ましい。昇温時間が上記下限値以上であると、窒化物蛍光体の粒子成長が充分に進行する傾向があり、またEuが窒化物蛍光体の結晶中に入り込み易くなる傾向がある。
【0075】
原料混合物の熱処理においては所定温度での保持時間を設けてもよい。保持時間は、例えば0.5時間以上48時間以下であり、1時間以上30時間以下が好ましく、2時間以上20時間以下であることがより好ましい。保持時間を上記下限値以上とすることにより均一な粒子成長をより促進することができる。また、保持時間を上記上限値以下とすることにより蛍光体の分解をより抑制することができる。
【0076】
原料混合物の熱処理における所定温度から室温までの降温時間は、例えば0.1時間以上20時間以下であり、1時間以上15時間以下が好ましく、3時間以上12時間以下であることがより好ましい。なお、所定温度から室温まで降温する間に適宜選択される温度での保持時間を設けてもよい。この保持時間は、例えば、窒化物蛍光体の発光強度がより向上するように調節される。降温中の所定の温度における保持時間は例えば、0.1時間以上20時間以下であり、1時間以上10時間以下が好ましい。また保持時間における温度は、例えば1000℃以上1800℃未満であり、1200℃以上1700℃以下が好ましい。
【0077】
原料混合物の熱処理後には、熱処理で得られる窒化物蛍光体を含む熱処理物に解砕、粉砕、分級操作等の処理を組合せて行う整粒工程を含んでいてもよい。整粒工程により所望の粒径の粉末を得ることができる。具体的には、窒化物蛍光体を粗粉砕した後に、ボールミル、ジェットミル、振動ミルなどの一般的な粉砕機を用いて所定の粒径に粉砕することができる。ただし、過剰な粉砕を行うと窒化物蛍光体粒子表面に欠陥が生じて、輝度低下を引き起こすこともある。粉砕で生じた粒径の異なるものが存在する場合には、分級を行い、粒径を整えることもできる。
【0078】
窒化物蛍光体の製造方法における第一態様は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1200℃以上1600℃以下の温度で第1熱処理して第1熱処理物を得ることと、第1熱処理物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で第2熱処理して第2熱処理物を得ることと、を含んでいてよい。
【0079】
窒化物蛍光体の製造方法における第二態様は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、金属フッ化物と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で熱処理して熱処理物を得ることを含んでいてよい。
【0080】
窒化物蛍光体の製造方法における第三態様は、第2族元素源と、Eu源と、Si源と、Al源と、金属フッ化物と、を含む原料混合物を、タングステン製の密閉容器中で、1200℃以上1600℃以下の温度で第3熱処理して第3熱処理物を得ることと、第3熱処理物を、タングステン製の密閉容器中で、1800℃以上2100℃以下の温度で第4熱処理して第4熱処理物を得ることと、を含んでいてよい。
【0081】
発光装置
発光装置の一態様は、既述の窒化物蛍光体を含む蛍光部材と、365nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子と、を備える。本実施形態に係る発光装置100を図1に基づいて詳細に説明する。発光装置100は、表面実装型発光装置の一例である。発光装置100は、発光ピーク波長が380nm以上470nm以下の範囲内にある窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子10と、発光素子10を載置する成形体40と、を有する。成形体40は、第1のリード20及び第2のリード30と、樹脂部42とが一体的に成形されてなるものである。成形体40は底面と側面を持つ凹部を形成しており、凹部の底面に発光素子10が載置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第1のリード20及び第2のリード30とワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は蛍光部材50により被覆されている。蛍光部材50は例えば、発光素子10からの光を波長変換する蛍光体70として第一蛍光体71と第二蛍光体72と樹脂とを含有してなる。
【0082】
発光素子10の発光ピーク波長は、380nm以上470nm以下の範囲内にあり、400nm以上460nm以下の範囲内にあることが好ましい。この範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子10を励起光源として用いることにより、発光素子10からの光と蛍光体70からの蛍光との混色光を発する発光装置100を構成することが可能となる。さらに、発光素子10から放射される光の一部を発光装置から外部に放射される光の一部として有効に利用することができるため、高い発光効率を有する発光装置100を得ることができる。
【0083】
発光素子10の発光スペクトルの半値幅は例えば、30nm以下とすることができる。発光素子10として、例えば、窒化物系半導体を用いた半導体発光素子を用いることが好ましい。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
【0084】
蛍光部材50は、少なくとも第一蛍光体71を含み、必要に応じてその他の蛍光体、樹脂等を含むことができる。第一蛍光体71に含まれる窒化物蛍光体の詳細は既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
【0085】
蛍光部材50は第一蛍光体71に加えて第二蛍光体72を含んでいてもよい。蛍光部材50が第二蛍光体72を含むことで、発光素子10と、第一蛍光体71及び第二蛍光体72が発する光の混合色を発する発光装置100を構成することができる。
【0086】
第二蛍光体72としては、例えば、下記式(IIa)から(IIi)のいずれかで示される組成を有する蛍光体を挙げることができ、これらからなる群から選択される式で示される組成を有する蛍光体の少なくとも1種を含むことが好ましく、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIg)、(IIh)又は(IIi)で示される組成を有する蛍光体の少なくとも1種を含むことがより好ましい。これらの第二蛍光体を含むことにより、演色性及び発光効率が高い発光装置が得られるからである。発光装置は第二蛍光体72を1種単独でも、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
(Y,Gd,Tb,Lu)(Al,Ga)12:Ce (IIa)
(Ca,Sr,Ba)SiO:Eu (IIb)
Si6-pAl8-p:Eu(0<p≦4.2) (IIc)
(Ca,Sr)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (IId)
(La,Y,Gd,Lu)Si11:Ce (IIe)
(Ca,Sr,Ba)Ga:Eu (IIf)
(Ca,Sr,Ba)Si:Eu (IIg)
(Ca,Sr,Ba)LiAl:Eu (IIh)
(Ca,Sr,Ba)10(PO(F,Cl,Br):Eu (IIi)
【0087】
蛍光体の組成を表す式中、コロン(:)の前は母体結晶を構成する元素及びそのモル比を表し、コロン(:)の後は賦活元素を表す。蛍光体の組成を表す式中、カンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、これらの複数の元素のうち少なくとも1種の元素を組成中に含有し、2種以上を組み合わせて含んでいてもよいことを表す。
【0088】
第二蛍光体72としては、例えば、下記式(IIj)及び(IIk)のいずれかで示される組成を有する蛍光体を挙げることもでき、これらからなる群から選択される式で示される組成を有する蛍光体の少なくとも1種を含むこともまた好ましい。これらの第二蛍光体を含むことにより演色性及び発光効率が高い発光装置が得られる点でより好ましい。
[M 1-bMn] (IIj)
[M 1-eMn] (IIk)
【0089】
式(IIj)中、Aは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種を含む。Mは、少なくともSi及びGeの少なくとも一方を含み、第4族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を更に含んでもよい。bは0<b<0.2を満たし、cは、[M 1-bMn]イオンの電荷の絶対値であり、dは5<d<7を満たす。
【0090】
式(IIk)中、Aは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種を含む。Mは、少なくともSi及びAlを含み、第4族元素、第13族元素及び第14族元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を更に含んでもよい。eは0<e<0.2を満たし、fは、[M 1-eMn]イオンの電荷の絶対値であり、gは5<g<7を満たす。
【0091】
第二蛍光体72の平均粒径は、例えば2μm以上35μm以下であり、5μm以上30μm以下であることが好ましい。第二蛍光体72の平均粒径が、上記下限値以上であると、励起光源からの光の吸収率を高くし、より高い発光強度で所望の色度を有する発光を得ることができる。また、第二蛍光体72の平均粒径が上記上限値以下であると、発光装置100の蛍光部材50に第二蛍光体72を含有させる場合に、発光装置100の製造工程における作業性を向上させることができる。
【0092】
蛍光部材50は、第一蛍光体71に加えて少なくとも1種の樹脂を含むことができる。樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
【0093】
蛍光部材50は、第一蛍光体71に加えてその他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。その他の成分としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等のフィラー、光安定化剤、着色剤等を挙げることができる。蛍光部材50がその他の成分を含む場合、例えば、その他の成分として、フィラーを含む場合、その含有量は樹脂100重量部に対して、0.01から20重量部とすることができる。
【0094】
発光装置の別の構成例を、図面を参照して説明する。図7は、発光装置の構成の一例を示す概略構成図である。発光装置200は、発光素子210と、入射光学系220と、波長変換部材250とを備える。波長変換部材250は、支持体254と、その支持体254上に配置され、蛍光体270を含む蛍光体層280と樹脂276を含む光透過層282とを含む波長変換層252を備える。発光素子210から出射された光は、入射光学系220を通過して、波長変換部材250の支持体254側から入射し、蛍光体270を含む蛍光体層280を通過し、入射光の少なくとも一部が蛍光体270によって波長変換される。あるいは、波長変換された光と、波長変換されなかった入射光の残部がともに波長変換部材250から出射される。この場合、発光装置200が出射する光は、発光素子210からの光と、波長変換された光の混色光となる。
【0095】
図8は、発光装置の構成の一例を示す概略構成図である。発光装置210は、発光素子210と、入射光学系220と、波長変換部材250とを備える。波長変換部材250は、支持体254と、支持体254上に配置され、蛍光体270を含む蛍光体層280と樹脂276を含む光透過層282とがこの順に積層された波長変換層252とを備える。発光素子210から出射した光は、入射光学系220を通過して、波長変換部材250の波長変換層252側から入射し、波長変換層252を通過して、反射された光が波長変換層252から出射される。波長変換層252を通過する光の少なくとも一部は、蛍光体270によって波長変換される。あるいは、波長変換された光と、波長変換されなかった入射光の残部がともに波長変換部材250から出射される。この場合、発光装置210が出射する光は、発光素子210からの光と、波長変換された光の混色光となる。
【0096】
波長変換部材
波長変換部材は、支持体と、その支持体の上に配置され、蛍光体を含む蛍光体層と、を備える。波長変換部材は発光素子と組み合わせて発光装置を構成することができる。蛍光体として既述の窒化物蛍光体を含むことで、発光素子の出力に比例して出力光の発光強度も大きくなる、リニアリティに優れる発光特性を示すことができ、発光特性に優れる。
【0097】
波長変換部材の一例を模式的に図9A及び図9Bに示す。図9Aは、波長変換部材250を主面側から見た概略平面図である。図9Bは、波長変換部材250を側面側から見た概略側面図及びその部分拡大図である。図9Aに示すように波長変換層252は、円盤状の支持体254の円周に沿って配置される。また、図1Bに示すように、支持体254の主面の一方に、蛍光体270を含む蛍光体層280と樹脂276を含む光透過層282とがこの順に積層されて波長変換層252が配置される。
【0098】
発光素子の出力は、例えば、波長変換部材に入射される光パワー密度として、0.5W/mm以上であってよく、好ましくは5W/mm以上、又は10W/mm以上である。発光素子の出力の上限は、例えば、1000W/mm以下であってよく、好ましくは500W/mm以下、又は150W/mm以下である。発光素子の出力が前記範囲であると、波長変換部材は、発光素子の出力に応じたリニアリティにより優れる。
【0099】
プロジェクター用光源装置
プロジェクター用光源装置は、上記発光装置を含んで構成される。高出力における発光特性に優れる発光装置を含むことで、高出力のプロジェクターを構成することができる。
【0100】
本開示における窒化物蛍光体を備える発光装置は、プロジェクター用光源装置としてだけではなく、例えば、シーリングライト等の一般照明装置、スポットライト、スタジアム用照明、スタジオ用照明等の特殊照明装置、ヘッドランプ等の車両用照明装置、ヘッドアップディスプレイ等の投影装置、内視鏡用ライト、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォンなどの撮像装置、パーソナルコンピュータ(PC)用モニター、ノート型パーソナルコンピュータ、テレビ、携帯情報端末(PDX)、スマートフォン、タブレットPC、携帯電話などの液晶ディスプレイ装置等における光源に備えられる発光装置として用いることができる。
【0101】
発光装置を構成する波長変換部材は、蛍光体として既述の窒化物蛍光体の少なくとも1種を含む。波長変換部材は、既述の窒化物蛍光体に加えて、既述の窒化物蛍光体とは構成の異なる他の蛍光体をさらに含んでいてもよい。他の蛍光体として具体的には、例えば、YAl12:Ce、(La,Y)Si11:Ce、(Ca,Sr)AlSiN:Ceなどが挙げられる。
【実施例0102】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0103】
(実施例1)
Ca、SrNx(x=2/3相当)、AlN、Si、EuNを各原料として用い、これらを仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.964:0.030:0.006:1:1になるように、不活性雰囲気のグローブボックス内で計量、混合して原料混合物を得た。原料混合物をタングステン製のルツボに充填し、蓋をして密閉した。窒素ガス雰囲気下で、ゲージ圧0.92MPa、熱処理温度1400℃、保持時間3時間の条件で、一段階目の熱処理を行い、前駆体を得た。この前駆体を不活性雰囲気のグローブボックス内で粉砕することで、均一化して、タングステン製のルツボに充填し、蓋をして密閉した。窒素ガス雰囲気で、ゲージ圧0.92MPa、熱処理温度1950℃、保持時間15時間の二段階目の熱処理を行った。その後、粉砕、分散、分級の各処理を行うことで、実施例1の窒化物蛍光体を得た。
【0104】
(比較例1)
原料中のCa源をCaFに変更したこと、タングステン製のルツボに代えて窒化ホウ素製のルツボを用いたことと、熱処理温度2050℃、保持時間0.5時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の窒化物蛍光体を得た。
【0105】
(比較例2)
熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の窒化物蛍光体を得た。
【0106】
(実施例2)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.937:0.049:0.014:1:1になるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の窒化物蛍光体を得た。
【0107】
(比較例3)
原料中のCa源をCaのモル比がCa:CaF=0.019:0.03の混合物に変更したこと、タングステン製のルツボに代えて窒化ホウ素製のルツボを用いたこと、熱処理温度2050℃、保持時間0.5時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例2と同様にして、比較例3の窒化物蛍光体を得た。
【0108】
(比較例4)
熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例2と同様にして、比較例4の窒化物蛍光体を得た。
【0109】
(実施例3)
原料中のCa源をCaのモル比がCa:CaF=0.034:0.015の混合物に変更したこと、熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3の窒化物蛍光体を得た。
【0110】
(実施例4)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.926:0.049:0.025:1:1になるようにしたこと、原料中のCa源をモル比がCa:CaF=0.034:0.015の混合物に変更したこと、熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の窒化物蛍光体を得た。
【0111】
(実施例5)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.882:0.098:0.02:1:1になるようにしたこと、原料中のCa源をモル比がCa:CaF=0.083:0.015の混合物に変更したこと、熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の窒化物蛍光体を得た。
【0112】
(比較例5)
原料中のCa源をCaのモル比がCa:CaF=0.069:0.029の混合物に変更したこと、タングステン製のルツボに代えて窒化ホウ素製のルツボを用いたこと、熱処理温度2050℃、保持時間0.5時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例5と同様にして、比較例5の窒化物蛍光体を得た。
【0113】
(実施例6)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.965:0.03:0.005:1:1になるようにしたこと、原料中のCa源をモル比がCa:CaF=0.009:0.021の混合物に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の窒化物蛍光体を得た。
【0114】
(実施例7)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.698:0.299:0.003:1:1になるようにしたこと、原料中のCa源をモル比がCa:CaF=0.284:0.015の混合物に変更したこと、熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の窒化物蛍光体を得た。
【0115】
(比較例6)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.697:0.299:0.004:1:1になるようにしたこと、タングステン製のルツボに代えて窒化ホウ素製のルツボを用いたことと、熱処理温度2050℃、保持時間0.5時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例6の窒化物蛍光体を得た。
【0116】
(実施例8)
各原料の仕込み量比としてのモル比が、Sr:Ca:Eu:Al:Si=0.598:0.399:0.015:1:1になるようにしたこと、原料中のCa源をモル比がCa:CaF=0.384:0.015の混合物に変更したこと、熱処理温度1950℃、保持時間15時間の条件で、熱処理を1回のみとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の窒化物蛍光体を得た。
【0117】
評価
組成分析
上記で得られた窒化物蛍光体について、ICP-AES装置(Perkin Elmer社製)、イオンクロマトグラフィーシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック製/旧 日本ダイオネクス株式会社製)により組成分析を行った。組成に含まれるAlを1モルとした場合の各元素のモル含有比を算出した。結果を表1に示す。
【0118】
Sr飛散率
仕込みモル比におけるSrのモル量(s1)から組成分析値におけるSrのモル量(s2)を差し引いた値を、仕込みモル比におけるSrのモル量(s1)で除した値を100倍にして、Sr飛散率((s1-s2)/s1×100;%)を求めた。結果を表1に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
X線回折パターン測定
上記で得られた窒化物蛍光体について、リガク製UltimaIVを用いてX線回折(XRD)パターンを回折幅0.005°、走査速度0.5°/min、回転1rpmの測定条件で測定した。なお、X線源としてはCuKα線(波長:1.54184Å)を用いた。また、ピーク位置を正確に同定するため純珪素(純度99.9%、高純度化学製)を標準試料として用いた。得られたXRDパターンから2θが17°以上19°以下の範囲にある第1ピークと、2θが34°以上35.5°以下の範囲にある第2ピークを特定し、それぞれのピーク強度を求め、第1ピークに対する第2ピークの強度比(I/I)を算出した。また、XRDパターンから第2ピークの半値幅を求めた。結果を表2に示す。また、実施例及び比較例の窒化物蛍光体のXRDパターンを図4から図6に示す。
【0121】
粉体発光特性
窒化物蛍光体の粉体の発光特性は、量子効率測定装置:QE-2000(大塚電子株式会社製)で励起光の波長を450nmとして測定した。実施例1、実施例6及び比較例2の窒化物蛍光体については、比較例1の窒化物蛍光体の発光強度を100%として、相対発光強度(相対ENG:%)を求めた。実施例2、3及び比較例4の窒化物蛍光体については、比較例3の窒化物蛍光体の発光強度を100%として、相対発光強度(相対ENG:%)を求めた。実施例4及び5の窒化物蛍光体については、比較例5の窒化物蛍光体の発光強度を100%として、相対発光強度(相対ENG:%)を求めた。実施例7及び8の窒化物蛍光体については、比較例6の窒化物蛍光体の発光強度を100%として、相対発光強度(相対ENG:%)を求めた。結果を表2に示す。
【0122】
LED発光特性
第一蛍光体71として実施例1から6及び比較例1から5で得られた窒化物蛍光体と、第二蛍光体72としてY(Al,Ga)12:Ceなる組成を有する蛍光体とを発光色の色度座標(x、y)がx=0.435、y=0.404付近(色温度で3000K付近)になるように組合せた蛍光体70及び樹脂を含む蛍光部材50に、発光素子10として発光ピーク波長が455nmのLEDを組合せて、常法により発光装置100を作製した。得られた発光装置100について光束を測定した。なお、発光装置100の光束は、積分式全光束測定装置を用いて測定した。実施例1、実施例6及び比較例2の窒化物蛍光体の窒化物蛍光体を用いて得られた発光装置については、比較例1の窒化物蛍光体を用いて得られた発光装置の光束を100%として、相対光束(相対φe)を求めた。実施例2、3及び比較例4の窒化物蛍光体を用いて得られた発光装置については、比較例3の窒化物蛍光体を用いて得られた発光装置の光束を100%として、相対光束(相対φe)を算出した。実施例4及び5の窒化物蛍光体の窒化物蛍光体を用いて得られた発光装置については、比較例5の窒化物蛍光体を用いて得られた発光装置の光束を100%として、相対光束(相対φe)を求めた。結果を表2に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
表2に示されるように、実施例1及び6の窒化物蛍光体は、比較例1及び2の窒化物蛍光体と比べて、発光強度がより高くなっており、発光装置における光束が高くなった。実施例2及び3の窒化物蛍光体は、比較例3の窒化物蛍光体と比べて、発光強度が大きくなっており、発光装置における光束が高くなった。実施例4及び5の窒化物蛍光体は、比較例5の窒化物蛍光体と比べて、発光強度がより高くなっており、発光装置における光束が高くなった。
【0125】
LD発光特性
実施例7、8及び比較例6で得られた窒化物蛍光体を用いて、以下のようにして図9Aに示すような波長変換部材を作製し、その発光強度を評価した。結着剤であるシリコーン樹脂の100質量部と、窒化物蛍光体の167質量部とを混合して蛍光体ペーストを調製した。支持体としては、アルミニウムを材料とし、板状かつ主面側から平面視して円盤状の金属部材を用いた。支持体の一方の主面に印刷法により、金属部材の円周に沿って所定の幅で、蛍光体ペーストを円環状に配置して波長変換層を形成した。これにより波長変換部材を得た。得られた波長変換部材の蛍光体層の厚みを表3に示す。
【0126】
得られた波長変換部材について、発光強度を以下のように測定した。円盤状の波長変換部材を駆動装置に固定し、回転数7200rpmで回転させながら発光特性を測定した。波長変換部材の励起光源として、発光ピーク波長が455nmであるレーザーダイオード(LD)を準備し、以下の表3に示すように段階的にレーザーダイオードの出力密度(W/mm)を変化させ、各出力密度における波長変換部材からの出射光の発光強度を590nm以上800nm以下の波長範囲で測定した。発光強度については、浜松フォトニクス製Siフォトダイオードを用いて測定し、比較例6で得られた窒化物蛍光体を用いた波長変換部材における発光強度を基準(100%)とする相対発光強度(相対Po%)として表3に示す。
【0127】
【表3】
【0128】
走査電子顕微鏡観察
実施例1及び比較例1で得られた窒化物蛍光体について、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察を行った。実施例1の窒化物蛍光体のSEM画像を図2に示し、比較例1の窒化物蛍光体のSEM画像を図3に示す。
【0129】
実施例1の窒化物蛍光体では、棒状の粒子が多く見られる。一方、比較例1の窒化物蛍光体では、板状の粒子が多く見られる。各実施例において、比較例と比べると、第1ピークに対する第2ピークのピーク強度比が大きくなっていること、棒状の粒子が多く見られることは、窒化物蛍光体を熱処理で得る際に、原料混合物に含まれるSrがルツボの材料と反応したり、Srがルツボから飛散したりすることが少なく、Srが原料混合物中で偏りが少なく分布して、ほぼ均一に他の原料と反応したことに起因すると考えられる。さらに、一段階及び二段階の熱処理をすることや、原料混合物にフッ化物を含むことにより、原料がほぼ均一に反応すると考えられる。仮に、原料混合物に含まれるSrがルツボの材料と反応したり、Srがルツボから飛散したりすると、Srが原料混合物中で偏って存在することで、他の原料と均一に反応し難くなり、窒化物蛍光体の組成に欠陥が多く含まれる虞がある。窒化物蛍光体の組成に欠陥が多く含まれる場合には、板状の粒子が多く形成される傾向があり、板状の粒子が多く含まれる粉体は、窒化物蛍光体としての発光強度が低下すると考えられる。一方、Srの飛散が少ないことで、窒化物蛍光体の組成が仕込み値(理論値)に近くなり、欠陥が少ない組成の窒化物蛍光体が得られる傾向がある。そのため、Srの飛散が少ない各実施例において、窒化物蛍光体の発光強度が高くなり、窒化物蛍光体を用いた発光装置の光束が高くなったと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本開示の窒化物蛍光体を用いた発光装置は、照明用の光源等として好適に利用できる。特に発光ダイオードを励起光源とする発光特性に極めて優れた照明用光源、LEDディスプレイ、液晶用バックライト光源、信号機、照明式スイッチ、各種センサ及び各種インジケータ等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0131】
10:発光素子、50:蛍光部材、71:第一蛍光体、72:第二蛍光体、100:発光装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B