(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022189840
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】フォトマスクペリクル接着剤残留物の除去
(51)【国際特許分類】
G03F 1/82 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G03F1/82
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160813
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2021500109の分割
【原出願日】2019-06-12
(31)【優先権主張番号】62/694,310
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ウー バンキウ
(72)【発明者】
【氏名】ダガン イーライ
(57)【要約】
【課題】フォトマスクから接着剤残留物を除去するための装置および方法を提供する。
【解決手段】ペリクルをフォトマスクから除去するときに、接着剤残留物が露出することがある。新しいペリクルをフォトマスクに付着させることが可能となる前に、接着剤残留物を除去することができる。接着剤残留物を除去するために、レンズを通してレーザビームを投射し、接着剤残留物の表面に集束させることができる。接着剤残留物は、レーザビームによってフォトマスクからアブレーションされ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクからペリクルを除去して、接着剤残留物を露出させるステップと、
前記接着剤残留物を有する前記フォトマスクをレーザビームの経路に位置決めするステップと、
前記接着剤残留物の表面に前記レーザビームを集束させるステップと、
前記接着剤残留物を前記レーザビームでアブレーションして、前記フォトマスクから前記接着剤残留物を除去するステップと
を含む、接着剤除去方法。
【請求項2】
前記フォトマスクが前記レーザビームによって実質的に改質されず、前記フォトマスクの温度が前記接着剤残留物のアブレーション中に実質的に一定である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザビームを前記レーザビームの光源と前記フォトマスクとの間に位置決めされたレンズによって前記接着剤残留物の前記表面に集束させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レンズが約50mm~約100mmの焦点距離を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フォトマスクの前記接着剤残留物とは反対側の面に配置されたコーティングが前記レーザビームによって実質的に改質されない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
フォトマスクからペリクルを除去するステップと、
接着剤残留物が配置された前記フォトマスクをレーザビームの経路に位置決めするステップと、
レーザ源と前記フォトマスクとの間に位置決めされたレンズを通して前記レーザビームを投射するステップと、
前記レーザビームを、前記レンズを用いて前記接着剤残留物の表面上の焦点に集束させるステップと、
前記レーザビームを集束させた前記接着剤残留物を昇華させるステップと
を含む、接着剤除去方法。
【請求項7】
前記フォトマスクから前記接着剤残留物をアブレーションするステップであって、前記フォトマスクが前記レーザビームによって実質的に改質されない、ステップ
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤残留物がエポキシ材料を含み、前記フォトマスクの温度が前記接着剤残留物のアブレーション中に実質的に一定である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記レンズが前記レーザビーム源と前記フォトマスクとの間に位置決めされ、前記レンズが約50mm~約100mmの焦点距離を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトマスクの前記接着剤残留物とは反対側の面に配置されたコーティングが前記レーザビームによって実質的に改質されない、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
フォトマスクから接着剤残留物を洗浄するための装置であって、
内部に第1の容積を画定するチャンバ本体およびリッドアセンブリと、
前記第1の容積内に配置され、前記フォトマスクを支持することができるペデスタルと、
前記第1の容積内のアブレーション装置であり、
第2の容積を取り囲む側壁、および
前記フォトマスクから接着剤残留物をアブレーションするために、前記第2の容積を通してレーザビームを放射するように構成されたレーザ源
を備える、アブレーション装置と
を備える、装置。
【請求項12】
前記レーザ源が、
約100nm~約400nmの範囲の波長で前記レーザビームの電磁エネルギーを生成するように構成されたパルスレーザ源を備え、前記アブレーション装置が、
前記電磁エネルギーの伝搬経路に配置された透明窓、および
前記電磁エネルギーの前記伝搬経路内に、かつ前記伝搬経路に対して垂直に、前記パルスレーザ源と前記透明窓との間に配置されたレンズであって、前記電磁エネルギーを焦点に集束させるように位置決めされたレンズであり、前記焦点が第2の容積の中心軸に沿って前記透明窓に対向して位置決めされている、レンズ
をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記パルスレーザ源の出力が約1ワット未満であり、前記パルスレーザ源の周波数が約30kHz~約120kHzである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記アブレーション装置の前記側壁を貫いて形成された排気口
をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記レンズが複合レンズを含む、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、半導体製造装置の分野に関し、より詳細には、フォトマスクから接着剤残留物を除去するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ中に、フォトマスクを使用して、基板上に配置されたフォトレジストにパターンを転写する。フォトマスクの焦点面に入る粒子は、マスクを損傷する可能性がある。粒子は、パターンの一部として画像化および転写されることもあり、これはフォトマスクのデフォーカスされた、または次善最適化された露光をもたらす。粒子がフォトマスクを損傷し、汚染するのを防ぐために、多くの場合ペリクルがフォトマスク上に配置されている。
【0003】
ペリクルは、フォトマスクを通過する光によって生成されるパターンに影響を与えない薄い透明なフィルムである。一般に、ペリクルは、フォトマスクに接着されている。時間の経過と共に、堆積した粒子がペリクル上に蓄積することがある。堆積した粒子を除去するために、ペリクルが交換される。ペリクルをフォトマスクから除去するときに、接着剤残留物がフォトマスク上に残る。新しいペリクルをフォトマスクに付着させることが可能となる前に、接着剤残留物を除去する。
【0004】
接着剤残留物を除去するための従来の技法は、典型的には、接着剤残留物を溶剤に曝露して、フォトマスクから接着剤残留物を除去することを含む。しかしながら、溶剤は、フォトマスクを損傷し、汚染する可能性がある。熱エネルギーを利用して、接着剤残留物を除去することもできる。しかしながら、従来の熱エネルギー曝露は、望ましくないことにはフォトマスクの温度を上昇させ、しばしばフォトマスクに損傷をもたらす。接着剤を除去するために熱エネルギーを使用しない場合、接着剤残留物の除去は、非効率的であり、時間がかかる。したがって、従来の技法は、ペリクル接着剤残留物を除去し、フォトマスクを洗浄するために、フォトリソグラフィツールのダウンタイムを増加させる。
【0005】
したがって、フォトマスクから接着剤残留物を除去するための改善された技法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、接着剤除去方法が提供される。本方法は、フォトマスクからペリクルを除去して、接着剤残留物を露出させるステップを含む。フォトマスクは、接着剤残留物がレーザビームの経路にあるように位置決めされる。レーザビームを接着剤残留物の表面に集束させる。接着剤残留物をレーザビームでアブレーションして、フォトマスクから接着剤残留物を除去する。
【0007】
別の実施形態では、接着剤除去方法が提供される。本方法は、フォトマスクからペリクルを除去するステップを含む。フォトマスクは、接着剤残留物がレーザビームの経路にある状態で位置決めされる。本方法は、レーザ源とフォトマスクとの間に位置決めされたレンズを通してレーザビームを投射するステップを含むこともできる。レーザビームを、レンズを用いて接着剤残留物の表面の焦点に集束させる。本方法は、レーザビームを集束させた接着剤残留物を昇華させるステップを含むこともできる。
【0008】
さらに別の実施形態では、フォトマスクから接着剤残留物を除去するための装置が提供される。本装置は、約100nm~約400nmの範囲の波長で電磁エネルギーを生成するように構成されたパルスレーザ源を含む。透明窓が電磁エネルギーの伝搬経路に配置される。内部に容積を囲む側壁が電磁エネルギーの伝搬経路に平行に、パルスレーザ源に対向する透明窓に隣接して配置される。レンズは、電磁エネルギーの伝搬経路内に、かつ電磁エネルギーの伝搬経路に対して垂直に、パルスレーザ源と透明窓との間に配置される。レンズは、容積の中心軸に沿って透明窓に対向して位置決めされた焦点に電磁エネルギーを集束させるように位置決めされる。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付図面に示される実施形態を参照することによって上で簡潔に要約された本開示のより詳細な記載を行うことができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定していると考えられるべきではなく、その理由は本開示が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるためであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態によるアブレーション装置の概略断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、フォトマスクから接着剤残留物を除去するための方法の動作である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするために、各図に共通の同一の要素を指定するために、可能な場合は、同一の参照番号が使用された。一実施形態において開示される要素は、特に詳述することなく他の実施形態に関して有益に利用されることがあることが企図されている。
【0012】
本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態は、一般に、極紫外線(EUV)リソグラフィに使用されるフォトマスクから接着剤残留物を除去するための装置および方法に関することができる。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、フォトマスクおよびペリクルを利用する他のフォトリソグラフィプロセスに利用され得ることが企図される。
【0013】
フォトマスクへの粒子の堆積およびフォトマスクの汚染を防ぐために、ペリクルをフォトマスクに付着させる。ある期間の後、ペリクル上の粒子の蓄積は、フォトレジストに転写されるフォトマスクのパターンと干渉することがある。その場合、ペリクルが交換される。ペリクルをフォトマスクから除去するときに、ペリクルをフォトマスクに付着させるために使用された接着剤からの接着剤残留物がフォトマスク上に残ることがある。新しいペリクルがフォトマスクに十分に付着することを確実にするために、接着剤残留物が除去される。ペリクルは、フォトマスクの定期的な保守または洗浄のためにフォトマスクから除去されることもある。
【0014】
典型的なリソグラフィプロセスでは、ペリクルはアクリル接着剤を使用してフォトマスクに付着されている。フォトマスクからアクリル接着剤残留物を迅速に除去するために溶剤が使用されることがある。しかしながら、極紫外線リソグラフィプロセスでは、一般にエポキシ接着剤を使用してペリクルをフォトマスクに付着させている。エポキシ接着剤の残留物は、溶剤を使用してフォトマスクから除去することができるが、このプロセスは時間がかかり、フォトマスクを溶剤に一定期間曝すと、フォトマスクが損傷する可能性がある。例えば、接着剤残留物を除去するために使用される酸ベースの溶液は、フォトマスクをエッチングし、損傷させる可能性がある。
【0015】
したがって、接着剤残留物を除去するための改善された技法が本明細書に記載される。本明細書に記載される実施形態は、レーザエネルギーを使用してフォトマスクから接着剤残留物を除去するための技法を提供する。レーザ源を使用して、接着剤残留物の温度を上げることなく、フォトマスクから接着剤残留物を除去する。温度が上昇すると、接着剤残留物が軟化することがあり、これによりフォトマスクから接着剤を除去するのが困難になる。
【0016】
接着剤残留物の温度の上昇を防ぐために、紫外線(UV)波長レーザが使用される。UV波長レーザは、接着剤残留物の温度を上げることなく、その化学結合を破壊する。UV波長レーザを使用すると、接着剤残留物を短時間(例えば、約1分未満)でフォトマスクから除去することができる。
【0017】
レーザからのUV放射は、接着剤残留物の下にあるフォトマスクを損傷する可能性がある。約3ワットの出力を有するレーザは、フォトマスクを損傷する可能性がある。フォトマスクへの損傷を防ぐために、一実施形態では、約1ワット未満の低出力レーザが使用される。
【0018】
本明細書で使用されるように、フォトマスクは、透明材料から形成された一体型装置、または透明なフォトマスク基板上に堆積させた薄膜のいずれかを指すことがある。一部の実施形態では、フォトマスク基板は、溶融シリカと二酸化チタンとの混合物を含む。一実施形態では、フォトマスク基板の接着剤残留物とは反対側の表面にコーティングが配置される。本実施形態では、コーティングは、窒化クロム材料を含む。接着剤残留物を除去するときに、レーザは、フォトマスクおよびフォトマスク基板を通って伝搬し、コーティングを損傷させる。コーティングの損傷を防ぐために、低出力レーザを高開口数光学系と組み合わせて使用して、接着剤残留物の表面にレーザを集束させることができる。光学系はまた、レーザがフォトマスクを通って伝搬するときにレーザをデフォーカスして、コーティングの表面に入射するレーザのエネルギー密度を減少させる。
【0019】
図1は、本開示の様々な実施形態を実施するために使用することができるアブレーション装置100の概略断面図である。チャンバ本体150およびリッドアセンブリ158は、容積160を画定する。一実施形態では、チャンバ本体150およびリッドアセンブリ158は、金属材料、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、およびそれらの合金から製造されている。別の実施形態では、チャンバ本体150およびリッドアセンブリ158は、耐紫外線性プラスチック材料から製造されている。アブレーション装置100は、容積160内に配置されている。ペデスタル154も、容積160内に配置されている。一実施形態では、ペデスタル154は、アブレーション装置100に対向して容積160内に配置されている。ペデスタル154は、処理中にフォトマスク126を支持するように構成されている。
【0020】
アブレーション装置100は、透明窓112および側壁122によって少なくとも部分的に画定される容積110を含む。透明窓112は、側壁122に結合され、側壁122は、透明窓112から延びている。一実施形態では、側壁122は、不透明材料から製造されている。別の実施形態では、側壁122は、透明材料から製造されている。側壁122の製造に適した材料には、アルミニウム、ステンレス鋼、またはそれらの合金などの金属材料が含まれる。側壁122はまた、プラスチック材料などのポリマー材料から製造されてもよい。
【0021】
レーザ源102は、容積160内に配置されている。電源152は、レーザ源102に結合され、そこから放射される電磁エネルギーを制御する。レーザ源102から放射される電磁エネルギーは、レーザビームの形態である。レーザビームは、伝搬経路104に沿って容積110内に進む。一実施形態では、レーザビームは、コヒーレントであり、コリメートされている。別の実施形態では、レーザビームは、空間的および/または時間的に非相関化されて、レーザビームのエネルギー密度を減衰させる。一実施形態では、レーザ源102は、パルス源であり、連続的なレーザパルスを放射する。レーザパルスの周波数は、約30~約120/ミリ秒、または約30kHz~約120kHzである。一実施形態では、パルスレーザの持続時間は、約1ミリ秒である。他の実施形態では、パルスレーザの持続時間は、例えば、約1ナノ秒、約1ピコ秒、または約1フェムト秒である。したがって、レーザ源102は、ミリ秒パルスレーザ、ナノ秒パルスレーザ、ピコ秒パルスレーザ、またはフェムト秒パルスレーザと考えることができる。レーザ源102から放射される電磁エネルギーの波長は、約10nm~約400nm、例えば、約200nm~約375nm、例えば、約355nmである。
【0022】
レーザ源102は、低出力源とすることができる。一実施形態では、レーザ源102は、約1ワット未満の出力を有する。レーザ源102から放射されたレーザビームは、伝搬経路104に沿って伝播し、レンズ106の表面134に入射する。一実施形態では、レンズ106の表面134は、実質的に平坦である。別の実施形態では、レンズ106の表面134は、凹状または凸状である。レーザビームは、レンズ106を通って伝播し、表面136を出る。一実施形態では、表面136は、凹状である。別の実施形態では、表面136は、凸状である。レンズ106は、単一のレンズとして示されているが、レンズ106は、直列の1つまたは複数のレンズ(例えば、複合レンズ)を含んでもよい。一実施形態では、レンズ106は、溶融シリカ材料から製造されている。別の実施形態では、レンズ106は、石英材料から製造されている。
【0023】
レンズ106は、短い焦点距離で高い開口数を有することができる。焦点距離は、約30mm~約110mm、例えば、約50mm~100mm、例えば、約56mmであってもよい。レンズ106の焦点距離は、レンズ106の表面136と焦点138との間で測定することができる。レーザ源102から放射されたレーザビームをレンズ106によって集束させ、集束ビーム108を形成する。集束ビーム108の焦点138は、フォトマスク126から除去される接着剤残留物130の表面132に位置決めされる。
【0024】
フォトマスク126は、ペデスタル154上に配置され、ペデスタル154によって支持されてもよい。ペデスタル154は、フォトマスク126の洗浄中に中心軸の周りを回転するように構成されている。代替としてまたは加えて、ペデスタル154は、XおよびY方向に移動して、接着剤残留物130を集束ビーム108の経路に位置決めするように構成されてもよい。一実施形態では、ペデスタル154は、Z方向に移動して、側壁122とフォトマスク126との間の空間124を増加または減少させるように構成されている。ペデスタル154をZ方向に移動させることにより、接着剤残留物130の表面132に対して集束ビーム108の焦点138を変化させることも可能である。したがって、接着剤残留物130の厚さが不均一である場合、ペデスタル154をZ方向に移動させて、表面132上の焦点138をより細かく位置合わせして、接着剤残留物130のアブレーションを改善することができる。
【0025】
電源156は、ペデスタル154に結合されて、アブレーション装置100に対するペデスタル154の移動を制御する。電源156は、ペデスタル154を中心軸の周りに回転させ、ならびに/またはペデスタル154をX、Y、およびZ方向のいずれかに移動させるように構成された機械的アクチュエータ、電気的アクチュエータ、または空気圧アクチュエータなどであってもよい。一実施形態では、電源156は、ステッピングモータである。一実施形態では、アブレーション装置100は、容積160内で静止しており、一方、ペデスタル154は、接着剤残留物130の表面132が焦点138に位置決めされるように移動するように構成されている。代替として、アブレーション装置100は、ペデスタル154が静止したままの間、容積160と共に移動可能に配置されてもよい。
【0026】
一実施形態では、接着剤残留物130は、エポキシ材料である。レンズ106は、レーザビームのエネルギーを焦点138に集束させ、レーザビームが接着剤残留物130を通って伝播した後にデフォーカスされるように、レーザビームを集束させる。したがって、レーザビームのエネルギー密度は焦点138に集中し、レーザビームのエネルギー密度は、レーザビームが接着剤残留物130およびフォトマスク126を通って伝播するにつれて減少する。
【0027】
一実施形態では、焦点138での集束ビーム108のエネルギー密度は、フォトマスク126の接着剤残留物130とは反対側の表面142に配置されたコーティング140における集束ビーム108のエネルギー密度よりも大きい。すなわち、レーザビームを焦点138に集束させ、コーティング140がフォトマスク126に付着されている表面142でデフォーカスする。レーザビームは、表面142でデフォーカスされて、レーザビームが表面142およびコーティング140に入射する位置でのコーティング140の改質を実質的に低減または防止する。
【0028】
レンズ106の表面136を出ると、集束ビーム108は、透明窓112の第1の表面114に進む。一実施形態では、透明窓112は、溶融シリカ材料から製造されている。別の実施形態では、透明窓112は、石英材料から製造されている。一実施形態では、透明窓112は、約1mm~約5mm、例えば、約3mmの厚さを有する。
【0029】
透明窓112は、そこを通って伝搬する集束ビーム108の伝搬経路を実質的に変更しない。したがって、集束ビーム108は、実質的な変更または収差が集束ビーム108に導入されることなく、透明窓112を通って透明窓112の第1の表面114から第2の表面116に伝播する。
【0030】
容積110は、接着剤残留物130のレーザアブレーション中にフォトマスク126から除去される接着剤残留物130の粒子を閉じ込めるように構成されている。例えば、接着剤残留物130のアブレーションは、接着剤残留物130の粒子をフォトマスク126から分離させ、容積110内に移動させることができる。接着剤残留物130の粒子を容積110から排気することにより、フォトマスク126の表面128上への粒子の再堆積を防ぐことができる。
【0031】
一実施形態では、排気口118は、側壁122を貫通して形成されている。排気口118は、チャンバ本体150を通って延びている。排気口118は、排気ポンプ120に流体接続されており、容積110と排気ポンプ120との間の流体連結を可能にする。排気ポンプ120は、容積110内の圧力を低下させることによって容積110から排気ポンプ120への流体流路を生成して、容積110から粒子を排気する。すなわち、容積110内の圧力は、容積110の外部の大気圧よりもわずかに低くてもよい。
【0032】
側壁122は、接着剤残留物130を有するフォトマスク126から離間して配置されている。側壁122とフォトマスク126との間の空間124は、流体が側壁122とフォトマスク126との間を流れて排気口118に入るのを可能にする。空間124から排気口118への流体の流れは、容積110からの接着剤粒子の除去を促進し、フォトマスク126への粒子の再堆積を防止する。側壁122、排気口118、および透明窓112は、共に、容積110から粒子を排出するヒューム抽出フードを形成する。
【0033】
図2は、一実施形態による、フォトマスクから接着剤残留物を除去するための方法200の動作を示す。示されるように、方法200は、ペリクルがフォトマスク126から除去される動作202で始まる。フォトマスク126からペリクルを除去すると、フォトマスク126の表面128上に接着剤残留物130が露出する。
【0034】
動作204において、接着剤残留物130は、レーザビームの伝搬経路104内に位置決めされる。レーザ源102は、レーザ源102とフォトマスク126との間に配置された集束レンズ106を通って伝播するレーザビームを放射する。
【0035】
動作206において、レーザビームをレンズ106によってフォトマスク126上の接着剤残留物130の表面132上の焦点138に集束させる。レーザを焦点138に集束させることにより、フォトマスク126の接着剤残留物130とは反対側の表面142でのレーザのエネルギー密度よりも大きいレーザのエネルギー密度が焦点138に提供される。
【0036】
動作208において、接着剤残留物130をレーザビームによってアブレーションして、フォトマスク126から接着剤残留物130を除去する。接着剤残留物130は、フォトマスク126の温度を上昇させることなくアブレーションされる。上で論じたように、接着剤残留物130の温度は、接着剤残留物130の軟化を防ぐために実質的に一定のままである。したがって、接着剤残留物130がアブレーションされると、接着剤残留物130の粒子がフォトマスク126から除去される。
【0037】
前述の事項は、本開示の実施形態を対象としているが、開示された主題の他のさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、考案されてもよく、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクからペリクルを除去して、接着剤残留物を露出させるステップと、
前記接着剤残留物を有する前記フォトマスクを、レーザ源から放射されたレーザビームの伝搬経路内のペデスタル上に位置決めするステップであって、前記ペデスタルが、チャンバ本体によって画定される第1の容積内に配置され、前記第1の容積内にアブレーション装置が配置され、前記アブレーション装置が、透明窓および側壁によって少なくとも部分的に画定される第2の容積を有する、ステップと、
前記接着剤残留物の表面に前記レーザビームを集束させるステップであって、前記レーザビームが前記伝搬経路に沿って前記第2の容積を通って移動して、前記レーザ源と前記透明窓との間の前記伝搬経路内に、かつ前記伝搬経路に対して垂直に配置されたレンズによって、前記接着剤残留物の前記表面に集束する、ステップと、
前記接着剤残留物を前記レーザビームでアブレーションして、前記フォトマスクから前記接着剤残留物を除去するステップと
を含む、接着剤除去方法。
【請求項2】
前記フォトマスクが前記レーザビームによって実質的に改質されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォトマスクの温度が前記接着剤残留物のアブレーション中に実質的に一定である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の容積が、前記レーザビームを用いた前記接着剤残留物のアブレーション中に前記フォトマスクから除去される前記接着剤残留物からの粒子を閉じ込めるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レンズが約50mm~約100mmの焦点距離を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤残留物がエポキシ材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フォトマスクの前記接着剤残留物とは反対側の面に配置されたコーティングが前記レーザビームによって実質的に改質されない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フォトマスクからペリクルを除去するステップと、
接着剤残留物が配置された前記フォトマスクを、レーザ源から放射されたレーザビームの伝搬経路内のペデスタル上に位置決めするステップであって、前記ペデスタルが、チャンバ本体によって画定される第1の容積内に配置され、前記第1の容積内にアブレーション装置が配置され、前記アブレーション装置が、側壁によって取り囲まれる第2の容積を有する、ステップと、
前記レーザ源と前記フォトマスクとの間の前記伝搬経路内に、かつ前記伝搬経路に対して垂直に位置決めされたレンズと、前記伝搬経路に沿って前記レンズと前記第2の容積との間に位置決めされた透明窓とを通して前記レーザビームを投射するステップと、
前記レーザビームを、前記レンズを用いて前記接着剤残留物の表面上の焦点に集束させるステップと、
前記レーザビームを集束させた前記接着剤残留物を昇華させるステップと
を含む、接着剤除去方法。
【請求項9】
前記フォトマスクから前記接着剤残留物をアブレーションするステップであって、前記フォトマスクが前記レーザビームによって実質的に改質されない、ステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトマスクの温度が前記接着剤残留物のアブレーション中に実質的に一定である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記レンズが、前記第2の容積の中心軸に沿って前記透明窓に対向して位置決めされた前記焦点に前記レーザビームを集束させるように位置決めされる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記レンズが約50mm~約100mmの焦点距離を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤残留物がエポキシ材料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記フォトマスクの前記接着剤残留物とは反対側の面に配置されたコーティングが前記レーザビームによって実質的に改質されない、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
接着剤残留物が配置されたフォトマスクを、紫外線波長レーザ源からのレーザビームの伝搬経路内のペデスタル上に位置決めするステップであって、前記ペデスタルが、チャンバ本体によって画定される第1の容積内に配置され、前記第1の容積内にアブレーション装置が配置され、前記アブレーション装置が、透明窓および側壁によって少なくとも部分的に画定される第2の容積を有する、ステップと、
前記紫外線波長レーザ源と前記フォトマスクとの間の前記伝搬経路内に、かつ前記伝搬経路に対して垂直に位置決めされたレンズを通して前記レーザビームを投射するステップと、
前記レーザビームを、前記レンズを用いて前記接着剤残留物の表面上の焦点に集束させて集束レーザビームを形成するステップと、
前記集束レーザビームを、前記レンズと前記フォトマスクとの間の前記伝搬経路に沿って位置決めされた前記透明窓および前記第2の容積を通して投射するステップと、
前記集束レーザビームを用いて前記接着剤残留物を昇華させるステップであって、前記フォトマスクの温度が前記昇華中に実質的に一定であり、前記フォトマスクからペリクルが除去されたときに前記接着剤残留物が露出する、ステップと
を含む、接着剤除去方法。
【請求項16】
前記接着剤残留物の温度が前記接着剤残留物の昇華中に実質的に一定である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フォトマスクの前記接着剤残留物とは反対側の面に配置されたコーティングが前記レーザビームによって実質的に改質されない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記紫外線波長レーザ源の出力が約1ワット未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記レンズが約50mm~約100mmの焦点距離を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接着剤残留物がエポキシ材料を含む、請求項18に記載の方法。
【外国語明細書】