(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190380
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221219BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20221219BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20221219BHJP
B24B 47/22 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01L21/78 C
B24B27/06 M
B24B49/12
B24B47/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098677
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】大久保 広成
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB32
3C034BB73
3C034BB82
3C034BB93
3C034CA04
3C034CB01
3C034DD07
3C034DD10
3C158AA03
3C158AA13
3C158AA16
3C158AB03
3C158AB04
3C158AC02
3C158BA07
3C158CB03
3C158DA17
5F063AA29
5F063CA04
5F063CA06
5F063DD01
5F063DD25
5F063DE01
5F063DE33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウエーハのマップを容易に作成することができる加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置の制御手段14は、第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部22と、第一の分割予定ラインの間隔を設定する第一の分割予定ライン間隔設定部24と、第二の分割予定ラインの間隔を設定する第二の分割予定ライン間隔設定部26と、第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとによって囲まれた1個のデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部28と、複数のデバイス画像を取得し、取得した複数のデバイス画像を位相限定相関によって連結して複数個のデバイスとTEGとを含むレチクル画像を抽出して記憶するレチクル画像抽出部30と、複数のレチクル画像を位相限定相関によって連結してウエーハのマップを作成するマップ作成部32とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向に延びる第一の分割予定ラインと第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインとによって複数のデバイスが区画されると共にTEGが表面に形成されたウエーハにおいて、ウエーハのマップを作成する加工装置であって、
ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、該X軸送り手段と該Y軸送り手段とを操作するための操作手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備え、
該制御手段は、
該チャックテーブルに保持されたウエーハを該撮像手段によって撮像した第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求め該チャックテーブルを回転させて第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部と、
該Y軸送り手段を作動させて次の第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出し第一の分割予定ラインの間隔を設定する第一の分割予定ライン間隔設定部と、
該X軸送り手段を作動させて第二の分割予定ラインに対応する直線領域を隣接して2本検出して第二の分割予定ラインの間隔を設定する第二の分割予定ライン間隔設定部と、
隣接する一対の第一の分割予定ラインと、隣接する一対の第二の分割予定ラインとによって囲まれた1個のデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部と、
該撮像手段が撮像する領域をX軸方向、Y軸方向に移動させながら複数のデバイス画像を取得し、取得した複数のデバイス画像を位相限定相関によって連結して複数個のデバイスとTEGとを含むレチクル画像を抽出して記憶するレチクル画像抽出部と、
複数のレチクル画像を位相限定相関によって連結してウエーハのマップを作成するマップ作成部と、
を備える加工装置。
【請求項2】
該マップ作成部は、該撮像手段が撮像する領域をX軸方向、Y軸方向に移動させながら複数のレチクル画像を取得し、取得した複数のレチクル画像を位相限定相関によって連結してウエーハのマップを作成する請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハのマップを作成可能な加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ダイシング装置は、ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、X軸送り手段とY軸送り手段とを操作するための操作手段と、チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し切削すべき領域を検出する撮像手段と、撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備える。
【0004】
ダイシング装置においては、撮像手段によって切削すべき分割予定ラインを検出して、分割予定ラインに切削ブレードを位置づけてウエーハを切断し、高精度にウエーハを個々のデバイスチップに分割することができる(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、レーザー加工装置も同様に、撮像手段によってレーザー加工すべき分割予定ラインを検出して、レーザー光線を集光する集光器を分割予定ラインに位置づけてウエーハにレーザー光線を照射し、高精度にウエーハを個々のデバイスチップに分割することができる(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-315444号公報
【特許文献2】特開2004-322168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ダイシング装置またはレーザー加工装置によってウエーハに加工を施した後、切削加工またはレーザー加工によってウエーハに形成した加工溝を撮像手段によって撮像し、加工状態を確認することが行われている。この時、分割予定ライン上に金属膜で形成されたTEG(Test Element Group)のない領域と、分割予定ライン上にTEGのある領域とを選択して撮像するためにウエーハのマップ情報が必要となる。
【0008】
ウエーハのマップを作成する際は、撮像手段によって撮像した複数の画像をオペレータが手動で連結させることにより、ウエーハのマップ情報を作成して記憶手段に記憶させているが、このような作業は相当の時間を要し煩に耐えないという問題がある。
【0009】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、ウエーハのマップを作成することができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の加工装置が提供される。すなわち、
第一の方向に延びる第一の分割予定ラインと第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインとによって複数のデバイスが区画されると共にTEGが表面に形成されたウエーハにおいて、ウエーハのマップを作成する加工装置であって、
ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、該X軸送り手段と該Y軸送り手段とを操作するための操作手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備え、
該制御手段は、
該チャックテーブルに保持されたウエーハを該撮像手段によって撮像した第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求め該チャックテーブルを回転させて第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部と、
該Y軸送り手段を作動させて次の第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出し第一の分割予定ラインの間隔を設定する第一の分割予定ライン間隔設定部と、
該X軸送り手段を作動させて第二の分割予定ラインに対応する直線領域を隣接して2本検出して第二の分割予定ラインの間隔を設定する第二の分割予定ライン間隔設定部と、
隣接する一対の第一の分割予定ラインと、隣接する一対の第二の分割予定ラインとによって囲まれた1個のデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部と、
該撮像手段が撮像する領域をX軸方向、Y軸方向に移動させながら複数のデバイス画像を取得し、取得した複数のデバイス画像を位相限定相関によって連結して複数個のデバイスとTEGとを含むレチクル画像を抽出して記憶するレチクル画像抽出部と、
複数のレチクル画像を位相限定相関によって連結してウエーハのマップを作成するマップ作成部と、
を備える加工装置が提供される。
【0011】
好ましくは、該マップ作成部は、該撮像手段が撮像する領域をX軸方向、Y軸方向に移動させながら複数のレチクル画像を取得し、取得した複数のレチクル画像を位相限定相関によって連結してウエーハのマップを作成する
【発明の効果】
【0012】
本発明の加工装置は、第一の方向に延びる第一の分割予定ラインと第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインとによって複数のデバイスが区画されると共にTEGが表面に形成されたウエーハにおいて、ウエーハのマップを作成する加工装置であって、ウエーハを保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハに加工を施す加工手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段と、該チャックテーブルと該加工手段とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段と、該X軸送り手段と該Y軸送り手段とを操作するための操作手段と、該チャックテーブルに保持されたウエーハを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された領域を表示する表示手段と、制御手段とを備え、該制御手段は、該チャックテーブルに保持されたウエーハを該撮像手段によって撮像した第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域から第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出してX軸方向との角度を求め該チャックテーブルを回転させて第一の分割予定ラインに対応する直線領域をX軸方向に位置づけるX軸方向位置付け部と、該Y軸送り手段を作動させて次の第一の分割予定ラインに対応する直線領域を検出し第一の分割予定ラインの間隔を設定する第一の分割予定ライン間隔設定部と、該X軸送り手段を作動させて第二の分割予定ラインに対応する直線領域を隣接して2本検出して第二の分割予定ラインの間隔を設定する第二の分割予定ライン間隔設定部と、隣接する一対の第一の分割予定ラインと、隣接する一対の第二の分割予定ラインとによって囲まれた1個のデバイス画像を作成し記憶するデバイス画像作成部と、該撮像手段が撮像する領域をX軸方向、Y軸方向に移動させながら複数のデバイス画像を取得し、取得した複数のデバイス画像を位相限定相関によって連結して複数個のデバイスとTEGとを含むレチクル画像を抽出して記憶するレチクル画像抽出部と、複数のレチクル画像を位相限定相関によって連結してウエーハのマップを作成するマップ作成部と、を備えているので、ウエーハのマップを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に従って構成された加工装置の斜視図。
【
図2】
図1に示す撮像手段によってウエーハを撮像している状態を示す斜視図。
【
図3】
図1に示す制御手段の構成を表すブロック図。
【
図4】(a)ウエーハの第一の分割予定ラインとX軸方向とのなす角度がθである状態において、第一の分割予定ラインと第二の分割予定ラインとの交差領域を撮像した画像を示す模式図、(b)(a)に示す状態からチャックテーブルを角度θ回転させた状態を示す画像の模式図。
【
図5】第一の分割予定ラインの間隔を設定している状態を示す模式図。
【
図6】第二の分割予定ラインの間隔を設定している状態を示す模式図。
【
図8】複数のデバイス画像を連結した画像の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された加工装置の好適実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1において全体を符号2で示す加工装置は、ウエーハWを保持する回転可能なチャックテーブル4と、チャックテーブル4に保持されたウエーハWに加工を施す加工手段6と、チャックテーブル4と加工手段6とを相対的にX軸方向に加工送りするX軸送り手段(図示していない。)と、チャックテーブル4と加工手段6とを相対的にY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段(図示していない。)と、X軸送り手段とY軸送り手段とを操作するための操作手段8と、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段10と、撮像手段10によって撮像された領域を表示する表示手段12と、加工装置2の作動を制御する制御手段14とを備える。
【0016】
なお、X軸方向は
図1に矢印Xで示す方向であり、Y軸方向は
図1に矢印Yで示す方向であってX軸方向に直交する方向である。また、X軸方向およびY軸方向が規定するXY平面は実質上水平である。
【0017】
加工装置2によって加工が施されるウエーハWは、円板状であり、シリコン等の適宜の半導体材料から形成され得る。
図2に示すとおり、ウエーハWの表面Waには、直線領域である分割予定ラインが複数設けられており、複数の分割予定ラインは全体として格子状に組み合わされている。格子状の分割予定ラインは、第一の方向に延びる複数の第一の分割予定ラインL1と、第一の方向と直交する第二の方向に延びる第二の分割予定ラインL2とを含む。そして、第一・第二の分割予定ラインL1、L2によってウエーハWの表面Waが複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはIC、LSI等のデバイスDが形成されている。また、
図8を参照することによって理解されるとおり、第一の分割予定ラインL1(L1a、L1b、L1c)および第二の分割予定ラインL2(L2a、L2b、L2c)のそれぞれには、所定の周期パターンをもって複数のTEG34が配置されている。
【0018】
また、
図2に示すように、図示のウエーハWの裏面WbはダイシングテープTに貼り付けられており、ダイシングテープT の周縁は環状フレームFに固定されている。すなわち、ウエーハWは、ダイシングテープTを介して環状フレームFに支持されている。
【0019】
図1に示すとおり、チャックテーブル4の上端部分には、吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状吸着チャック16が配置されている。チャックテーブル4は、吸引手段で吸着チャック16に吸引力を生成し、上面に載せられたウエーハWを吸引保持する。また、チャックテーブル4の周縁には、環状フレームFを固定するための複数のクランプ18が周方向に間隔をおいて配置されている。このようなチャックテーブル4は、上記X軸送り手段によってX軸方向に加工送りされると共に、上下方向を軸心としてチャックテーブル用モータ(図示していない。)によって回転されるようになっている。
【0020】
図示の実施形態の加工装置2は、本発明の加工装置の一例としてのダイシング装置であり、加工手段6は、ウエーハWに対して切削加工を施す切削手段として構成されている。加工手段(切削手段)6は、チャックテーブル4に吸引保持されたウエーハWを切削する環状の切削ブレード20を含む。切削ブレード20は、X軸方向に沿って配置され、Y軸方向を軸心として回転可能に構成されている。
【0021】
X軸送り手段は、チャックテーブル4に連結されX軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する。X軸送り手段においては、ボールねじによりモータの回転運動を直線運動に変換してチャックテーブル4に伝達し、加工手段6に対してチャックテーブル4をX軸方向に加工送りする。
【0022】
Y軸送り手段は、加工手段6に連結されY軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを含む。そして、Y軸送り手段は、ボールねじによりモータの回転運動を直線運動に変換して加工手段6に伝達し、チャックテーブル4に対して加工手段6をY軸方向に割り出し送りするようになっている。
【0023】
操作手段8は、X・Y軸送り手段等の作動条件を入力するための入力機器(たとえば、キーボード、タッチパネル)を有する。操作手段8から入力された作動条件は制御手段14に送られ、X・Y軸送り手段等の作動が制御手段14により制御される。
【0024】
撮像手段10は、チャックテーブル4の軌道の上方に配置されている。撮像手段10は、加工手段6に連結されていて、Y軸送り手段により、チャックテーブル4に対して加工手段6と共にY軸方向に割り出し送りされる。また、撮像手段10においては、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像する際の倍率を変更できるようになっている。
【0025】
表示手段12には、撮像手段10によって撮像された画像に加え、
図4に示すとおり、X軸方向を示すX軸ラインLxと、Y軸方向を示すY軸ラインLyとが表示されるようになっている。X軸ラインLxは、表示手段12の縦方向中央において横方向に沿って表示される。Y軸ラインLyは、表示手段12の横方向中央において縦方向に沿って表示される。
【0026】
コンピュータから構成される制御手段14は、図示していないが、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)とを備える。
【0027】
図3に示すとおり、制御手段14は、X軸方向位置付け部22と、第一の分割予定ライン間隔設定部24と、第二の分割予定ライン間隔設定部26と、デバイス画像作成部28と、レチクル画像抽出部30と、マップ作成部32とを含む。
【0028】
X軸方向位置付け部22は、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像手段10によって撮像した第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域から、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出し、検出した直線領域とX軸方向との角度を求めると共に、求めた角度の分だけチャックテーブル4を回転させる。このようにして、X軸方向位置付け部22は、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域をX軸方向に位置づける。なお、X軸方向位置付け部22は、ハフ変換等の公知の技術によって直線領域を検出するようになっている。
【0029】
第一の分割予定ライン間隔設定部24は、撮像手段10によってウエーハWを撮像しながらY軸送り手段を作動させて、次の第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出し、第一の分割予定ラインL1の間隔を求め設定するようになっている。
【0030】
第二の分割予定ライン間隔設定部26は、撮像手段10によってウエーハWを撮像しながらX軸送り手段を作動させて、第二の分割予定ラインL2に対応する直線領域を隣接して2本検出して、第二の分割予定ラインL2の間隔を求め設定する。なお、第一・第二の分割予定ライン間隔設定部24、26においても、X軸方向位置付け部22と同様に、ハフ変換等によって直線領域を検出する。
【0031】
デバイス画像作成部28は、隣接する一対の第一の分割予定ラインL1と、隣接する一対の第二の分割予定ラインL2とによって囲まれた1個分のデバイスDを含む領域を撮像手段10で撮像してデバイス画像(
図7参照)を作成し記憶する。ここでいうデバイス画像には、それぞれデバイスDの周囲に存在する一対の第一の分割予定ラインL1および一対の第二の分割予定ラインL2が含まれる。つまり、デバイス画像には、デバイスDの周囲に存在するTEG34が含まれる。
【0032】
レチクル画像抽出部30は、撮像手段10が撮像する領域をX軸送り手段およびY軸送り手段によってX軸方向、Y軸方向に移動させながら、撮像手段10によってウエーハWを撮像して複数のデバイス画像を取得する。また、レチクル画像抽出部30は、取得した複数のデバイス画像を位相限定相関によって連結し(
図8参照)、複数個のデバイスDとTEG34とを含むレチクル画像52(
図9参照)を抽出して記憶するようになっている。なお、位相限定相関については、公知の画像処理技術であるため、本明細書では説明を省略する。
【0033】
マップ作成部32は、撮像手段10が撮像する領域をX軸送り手段およびY軸送り手段によってX軸方向、Y軸方向に移動させながら、撮像手段10によってウエーハWを撮像して複数のレチクル画像52を取得する。また、マップ作成部32は、取得した複数のレチクル画像52を位相限定相関によって連結してウエーハWのマップ54(
図10参照)を作成する。
尚、図10においてデバイス画像およびTEGの画像を省略している。
【0034】
図1に示すとおり、加工装置2は、さらに、複数のウエーハWを収容したカセット38が置かれる昇降自在なカセット台40と、カセット38から加工前のウエーハWを引き出し仮置きテーブル42まで搬出すると共に、仮置きテーブル42に位置づけられた加工済みのウエーハWをカセット38に搬入する搬出入手段44と、カセット38から仮置きテーブル42に搬出された加工前のウエーハWをチャックテーブル4に搬送する第一の搬送手段46と、加工済みのウエーハWを洗浄する洗浄手段48と、加工済みのウエーハWをチャックテーブル4から洗浄手段48に搬送する第二の搬送手段50とを備える。
【0035】
次に、上述したとおりの加工装置2を用いて、ウエーハWのマップを作成する方法について説明する。
【0036】
オペレータは、まず、第一・第二の分割予定ラインL1、L2が形成された表面Waを上に向けて、チャックテーブル4によってウエーハWを吸引保持させると共に、複数のクランプ18によって環状フレームFを固定する。次いで、オペレータは、操作手段8を操作してX軸送り手段を作動させ、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像手段10の下方に移動させる。そして、オペレータは、操作手段8を操作して、第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域を撮像手段10によって撮像する。
【0037】
そうすると、撮像手段10によって撮像された画像が撮像手段10から制御手段14に送られる。次いで、制御手段14のX軸方向位置付け部22が、撮像手段10から送られた画像において、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出する。また、X軸方向位置付け部22は、検出した第一の分割予定ラインL1とX軸方向との角度θ(
図4(a)参照)を求める。そして、求めた角度θが0°でない場合、X軸方向位置付け部22は、チャックテーブル4を角度θ回転させて、
図4(b)に示すとおり、第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域をX軸方向に位置づける。
【0038】
第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域がX軸方向に位置づけられると、制御手段14の第一の分割予定ライン間隔設定部24による制御が実行される。
【0039】
具体的には、第一の分割予定ライン間隔設定部24は、Y軸送り手段および撮像手段10を作動させ、撮像手段10をY軸方向に動かしながら、チャックテーブル4に保持されたウエーハWを撮像手段10によって撮像する。これによって、第一の分割予定ライン間隔設定部24は、
図5に示すとおり、X軸方向位置付け部22が先に検出した第一の分割予定ラインL1に隣接する次の第一の分割予定ラインL1に対応する直線領域を検出する。
【0040】
図5では、X軸方向位置付け部22が先に検出した第一の分割予定ラインL1は、表示手段12の表示領域から外れているため、二点鎖線(想像線)で示されている。一方、第一の分割予定ライン間隔設定部24が次に検出した第一の分割予定ラインL1は、表示手段12の表示領域内にあるため、実線で示されている。
【0041】
次いで、第一の分割予定ライン間隔設定部24は、先に検出した第一の分割予定ラインL1と、次に検出した第一の分割予定ラインL1とから、第一の分割予定ラインL1の間隔(たとえば5mm)を求め、求めた間隔を第一の分割予定ラインL1の間隔として設定する。
【0042】
第一の分割予定ラインL1の間隔が設定されると、第二の分割予定ライン間隔設定部26による制御が実行される。第二の分割予定ライン間隔設定部26は、X軸送り手段および撮像手段10を作動させ、チャックテーブル4をX軸方向に動かしながら、撮像手段10によってウエーハWを撮像する。そして、
図6に示すとおり、第二の分割予定ライン間隔設定部26は、第二の分割予定ラインL2に対応する直線領域を隣接して2本検出すると共に、第二の分割予定ラインL2の間隔(たとえば5mm)を求め、求めた間隔を第二の分割予定ラインL2の間隔として設定する。
【0043】
第二の分割予定ラインL2の間隔が設定された後、デバイス画像作成部28による制御が実行される。デバイス画像作成部28は、X・Y軸送り手段と共に撮像手段10を作動させて、ウエーハWと撮像手段10との位置関係を調整し、隣接する一対の第一の分割予定ラインL1と、隣接する一対の第二の分割予定ラインL2とによって囲まれた1個分のデバイスDを含む領域を撮像手段10によって撮像する。
図7を参照することによって理解されるとおり、この場合における撮像手段10の撮像領域には、デバイスDと共に、デバイスDの周囲に存在するTEG34が含まれている。そして、撮像手段10が撮像した画像に基づき、デバイス画像作成部28は、デバイスDの周囲に存在するTEG34を含むデバイスDの画像(デバイス画像)を作成し記憶する。
【0044】
デバイス画像が作成されると、レチクル画像抽出部30による制御が実行される。レチクル画像抽出部30は、まず、Y軸送り手段および撮像手段10を作動させ、撮像手段10が撮像する領域をY軸方向に移動させながら複数のデバイス画像を取得する。
【0045】
詳述すると、レチクル画像抽出部30は、たとえばデバイス画像作成部28による制御の際に撮像したデバイスD(以下「基準デバイスD」という。)を基準として、第一の分割予定ラインL1の間隔だけ撮像手段10をY軸送り手段によってY軸方向に移動させる。これによって、撮像手段10の撮像領域が、Y軸方向において、基準デバイスDの隣に位置する次のデバイスDに位置づけられる。この際の撮像領域には、次のデバイスDの周囲に存在するTEG34が含まれる。次いで、レチクル画像抽出部30は、次のデバイスDと、次のデバイスDの周囲のTEG34とを含む領域を撮像手段10によって撮像し、次のデバイスDに係るデバイス画像を取得する。
【0046】
そして、レチクル画像抽出部30は、第一の分割予定ラインL1の間隔だけ撮像手段10をY軸送り手段によって移動させながら、Y軸方向において、基準デバイスDと同じ列に並んでいるデバイスDを順に撮像手段10によって撮像し、複数のデバイス画像を取得する。また、レチクル画像抽出部30は、取得したデバイス画像と、基準デバイスDのデバイス画像とを比較して同一であるか否かを判断する。このような制御は、基準デバイスDを含むデバイス画像と同一のデバイス画像を取得するまで実行される。これにより、複数の第一の分割予定ラインL1間におけるTEG34の周期パターンを検出することができる。
【0047】
上記のとおり、TEG34は、所定の周期パターンをもって第一・第二の分割予定ラインL1、L2に配置されているが、デバイス画像に含まれるTEG34の配置は、すべてのデバイス画像において共通しているわけではない。
【0048】
たとえば、
図8に示すように、第一の分割予定ラインL1aにおけるTEG34の配置パターンと、その隣の第一の分割予定ラインL1bにおけるTEG34の配置パターンとは異なる。また、第二の分割予定ラインL2aにおけるTEG34の配置パターンと、その隣の第二の分割予定ラインL2bにおけるTEG34の配置パターンとは異なる。このように、TEG34は所定の周期パターンをもって配置されているものの、すべてのTEG34が同一間隔で配置されているわけではない。
【0049】
図示の実施形態においては、たとえば
図8において符号D1で示すデバイスを基準デバイスとすると、基準デバイスD1の2つ下のデバイスD2を含むデバイス画像のTEG34の配置が、基準デバイスD1を含むデバイス画像のTEG34の配置と同一である。つまり、図示の実施形態では、第一の分割予定ラインL1a上のTEG34の配置と、その2本隣の第一の分割予定ラインL1c上のTEG34の配置とが同一である。
【0050】
基準デバイスD1を含むデバイス画像と同一のデバイス画像を取得した後、レチクル画像抽出部30は、X軸送り手段および撮像手段10を作動させ、撮像手段10が撮像する領域をX軸方向に移動させながら複数のデバイス画像を取得する。
【0051】
詳述すると、レチクル画像抽出部30は、たとえばデバイスD2を基準として、第二の分割予定ラインL2の間隔だけチャックテーブル4をX軸送り手段によってX軸方向に移動させる。これによって、撮像手段10の撮像領域が、X軸方向において、デバイスD2の隣に位置する次のデバイスDに位置づけられる。この際の撮像領域には、次のデバイスDの周囲に存在するTEG34が含まれる。次いで、レチクル画像抽出部30は、次のデバイスDと、次のデバイスDの周囲のTEG34とを含む領域を撮像手段10によって撮像し、次のデバイスDに係るデバイス画像を取得する。
【0052】
そして、レチクル画像抽出部30は、第二の分割予定ラインL2の間隔だけチャックテーブル4をX軸送り手段によって移動させながら、X軸方向において、デバイスD2と同じ列に並んでいるデバイスDを順に撮像手段10によって撮像し、複数のデバイス画像を取得する。また、レチクル画像抽出部30は、取得したデバイス画像と、デバイスD2のデバイス画像とを比較して同一であるか否かを判断する。このような制御は、デバイスD2を含むデバイス画像と同一のデバイス画像を取得するまで実行される。これにより、複数の第二の分割予定ラインL2間におけるTEG34の周期パターンを検出することができる。
【0053】
図示の実施形態においては、
図8においてデバイスD2の2つ左のデバイスD3を含むデバイス画像のTEG34の配置が、デバイスD2を含むデバイス画像のTEG34の配置と同一である。つまり、図示の実施形態では、第二の分割予定ラインL2a上のTEG34の配置と、その2本隣の第二の分割予定ラインL2c上のTEG34の配置とが同一である。
【0054】
なお、図示の実施形態では、まず、Y軸方向に並んでいるデバイスDを撮像し、次いで、X軸方向に並んでいるデバイスDを撮像しているが、これとは反対に、X軸方向に並んでいるデバイスDを撮像した後に、Y軸方向に並んでいるデバイスDを撮像してもよい。
【0055】
レチクル画像抽出部30は、デバイスD2を含むデバイス画像と同一のデバイス画像を取得した後、取得した複数のデバイス画像を位相限定相関によって連結して、
図9に示すような、複数個のデバイスDとTEG34とを含むレチクル画像52を抽出する。レチクル画像52は、ウエーハWの表面Waにおける周期パターンのひとつの要素(以下「単位レチクル」という。)を示す画像である。
【0056】
図示の実施形態では、上記のとおり、第一の分割予定ラインL1a、L1c上のTEG34の配置が同一であり、第二の分割予定ラインL2a、L2c上のTEG34の配置が同一である。このため、
図9に示すとおり、2本の第一の分割予定ラインL1a、L1bと、2本の第二の分割予定ラインL2a、L2bと、4個のデバイスDとから構成されるレチクル画像52が抽出される。
【0057】
図9に示すレチクル画像52は、4個のデバイス画像を位相限定相関によって連結したものであるが、レチクル画像に含まれるデバイスDの個数は4個に限定されず、TEG34の周期パターンに応じて、任意の個数のデバイスDがレチクル画像に含まれ得る。
【0058】
レチクル画像抽出部30によってレチクル画像52が抽出された後、マップ作成部32による制御が実行される。マップ作成部32は、まず、撮像手段10の撮像領域を任意の単位レチクル(たとえば、基準デバイスD1を含む単位レチクル)に位置づける。次いで、マップ作成部32は、単位レチクルのX軸方向の幅の分だけ、撮像手段10の撮像領域をX軸方向に移動させながら、X軸方向に並んでいる単位レチクルを順に撮像し、複数のレチクル画像52を取得する。
【0059】
撮像手段10の撮像領域がウエーハWの周縁に到達したら、単位レチクルのY軸方向の幅の分だけ、撮像手段10の撮像領域をY軸方向に移動させる。その後、再度、単位レチクルのX軸方向の幅の分だけ、撮像手段10の撮像領域をX軸方向に移動させながら、X軸方向に並んでいる単位レチクルを順に撮像し、複数のレチクル画像52を取得する。これを繰り返し実行することにより、ウエーハW上のすべての単位レチクルの画像(レチクル画像52)を取得する。
【0060】
なお、撮像手段10の撮像領域をY軸方向に移動させながら単位レチクルを順に撮像し、撮像手段10の撮像領域がウエーハWの周縁に到達したら、撮像手段10の撮像領域をX軸方向に移動させてもよい。
【0061】
そして、マップ作成部32は、取得した全レチクル画像52を位相限定相関によって連結することにより、ウエーハWのマップ54(
図10参照)を作成する。このように、図示の実施形態のマップ作成部32は、撮像手段10が撮像する領域をX軸方向、Y軸方向に移動させながら複数のレチクル画像52を取得し、取得した複数のレチクル画像52を位相限定相関によって連結してウエーハWのマップ54を作成するようになっている。
【0062】
あるいは、マップ作成部32は、レチクル画像抽出部30が抽出したレチクル画像52を複製することにより、複数のレチクル画像52を取得し、次いで、取得した複数のレチクル画像52を位相限定相関によって正方形状の画像に連結した後、連結した正方形状の画像をウエーハWの直径に対応させて円形に切り取ることにより、ウエーハWのマップ54を作成してもよい。
【0063】
以上のとおりであり、加工装置2においては、第一の分割予定ラインL1と第二の分割予定ラインL2との交差領域の画像に基づいて制御を実行してウエーハWのマップ54を作成するので、撮像手段10によって撮像した複数の画像をオペレータが連結してウエーハWのマップ情報を作成し記憶手段に記憶させる必要がなく、煩に耐えないという問題が解消する。
【0064】
なお、図示の実施形態では、ウエーハWに切削加工を施すダイシング装置として加工装置2が構成されている例を説明したが、本発明の加工装置は、ウエーハWに対して加工を施すものであればよく、たとえば、ウエーハWにレーザー加工を施すレーザー加工装置としても構成され得る。
【符号の説明】
【0065】
2:加工装置
10:撮像手段
12:表示手段
14:制御手段
22:X軸方向位置付け部
24:第一の分割予定ライン間隔設定部
26:第二の分割予定ライン間隔設定部
28:デバイス画像作成部
30:レチクル画像抽出部
32:マップ作成部
34:TEG
52:レチクル画像
54:マップ
W:ウエーハ
L1:第一の分割予定ライン
L2:第二の分割予定ライン
D:デバイス