(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190822
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】接着用樹脂組成物および光デバイス
(51)【国際特許分類】
C09J 163/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
C09J163/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099275
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 涼音
(72)【発明者】
【氏名】須山 健一
(72)【発明者】
【氏名】早水 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】石毛 悠太
(72)【発明者】
【氏名】岡田 彪利
(72)【発明者】
【氏名】望月 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中島 康雄
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC031
4J040EC041
4J040EC151
4J040EC152
4J040HB35
4J040HD18
4J040HD32
4J040JB02
4J040JB08
4J040KA12
4J040KA13
4J040KA16
4J040KA28
4J040LA02
4J040LA10
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】例えば、接着剤による光の吸収によって不都合な事象が生じるのを抑制することが可能な、接着用樹脂組成物および光デバイスを得る。
【解決手段】接着用樹脂組成物は、例えば、接着剤として用いられる接着用樹脂組成物であって、接着用樹脂組成物は、硬化性組成物(A)を含むとともに、当該硬化性組成物(A)を硬化する硬化剤(B)を当該硬化性組成物(A)100質量部に対して1質量部以上5質量部以下含み、硬化性組成物(A)は、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)を10質量部以上80質量部以下含み、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)を20質量部以上90質量部以下含み、かつ、芳香環を有するエポキシ化合物(C)を0質量部以上20質量部以下含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤として用いられる接着用樹脂組成物であって、
前記接着用樹脂組成物は、硬化性組成物(A)を含むとともに、当該硬化性組成物(A)を硬化する硬化剤(B)を当該硬化性組成物(A)100質量部に対して1質量部以上5質量部以下含み、
前記硬化性組成物(A)は、
芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)を10質量部以上80質量部以下含み、
フッ素化されたエポキシ化合物(A2)を20質量部以上90質量部以下含み、かつ、
芳香環を有するエポキシ化合物(C)を0質量部以上20質量部以下含む、接着用樹脂組成物。
【請求項2】
光学部品と他の部材とを接着する、請求項1に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を10質量部以上80質量部以下含む、請求項1に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項4】
前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、脂環式エポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含む、請求項1に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項5】
前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、脂環式エポキシ化合物を含まずに、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を、10質量部以上20質量部以下、または50質量部以上60質量部以下含む、請求項1に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項6】
前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を含まずに、脂環式エポキシ化合物を15質量部以上25質量部以下含む、請求項1に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項7】
前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含み、かつ、脂環式エポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含む、請求項1に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項8】
前記硬化剤(B)として、光酸発生剤および熱酸発生剤のうち少なくとも一方を含む、請求項1~7のうちいずれか一つに記載の接着用樹脂組成物。
【請求項9】
波長が450[nm]である光の透過率が90[%]以上である、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の接着用樹脂組成物。
【請求項10】
波長が400[nm]以上500[nm]以下である光の透過率が90[%]以上である、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の接着用樹脂組成物。
【請求項11】
ナトリウムD線の波長における屈折率が1.51未満である、請求項1~10のうちいずれか一つに記載の接着用樹脂組成物。
【請求項12】
光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いられる接着用樹脂組成物であって、
硬化性組成物としての、芳香環を含まないエポキシ化合物およびフッ素化されたエポキシ化合物と、
硬化剤と、を含む、接着用樹脂組成物。
【請求項13】
前記硬化性組成物は、芳香環を含むエポキシ化合物を前記硬化性組成物100質量部に対して20質量部以下含む、請求項12に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項14】
支持部材と、
光学部品と、
前記支持部材と前記光学部品とを接着した接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、硬化性組成物(A)を含むとともに、当該硬化性組成物(A)を硬化する硬化剤(B)を当該硬化性組成物(A)100質量部に対して1質量部以上5質量部以下含み、
前記硬化性組成物(A)は、
芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)を10質量部以上80質量部以下含み、
フッ素化されたエポキシ化合物(A2)を20質量部以上90質量部以下含み、かつ、
芳香環を有するエポキシ化合物(C)を0質量部以上20質量部以下含む、光デバイス。
【請求項15】
波長が400[nm]以上500[nm]以下である光を出力あるいは伝送する、請求項14に記載の光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着用樹脂組成物および光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内に複数の光学部品が収容された光デバイスが知られている(例えば、特許文献1)。この種の光デバイスにおいては、例えばレンズのような光学部品が、筐体または当該筐体内の別の部材のような支持部材に、合成樹脂材料で作られた接着剤によって接合される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光デバイスにあっては、例えば漏洩光のような迷光が不本意に接着剤に照射され、接着剤において光の吸収が生じると、接着剤が劣化し、支持部材と光学部品との所要の接合状態を維持できなくなってしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、接着剤による光の吸収によって不都合な事象が生じるのを抑制することが可能な、接着用樹脂組成物および光デバイスを得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接着用樹脂組成物は、例えば、接着剤として用いられる接着用樹脂組成物であって、前記接着用樹脂組成物は、硬化性組成物(A)を含むとともに、当該硬化性組成物(A)を硬化する硬化剤(B)を当該硬化性組成物(A)100質量部に対して1質量部以上5質量部以下含み、前記硬化性組成物(A)は、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)を10質量部以上80質量部以下含み、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)を20質量部以上90質量部以下含み、かつ、芳香環を有するエポキシ化合物(C)を0質量部以上20質量部以下含む。
【0007】
前記接着用樹脂組成物は、光学部品と他の部材とを接着してもよい。
【0008】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を10質量部以上80質量部以下含んでもよい。
【0009】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、脂環式エポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含んでもよい。
【0010】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、脂環式エポキシ化合物を含まずに、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を、10質量部以上20質量部以下、または50質量部以上60質量部以下含んでもよい。
【0011】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を含まずに、脂環式エポキシ化合物を15質量部以上25質量部以下含んでもよい。
【0012】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化性組成物(A)は、前記芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含み、かつ、脂環式エポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含んでもよい。
【0013】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化剤(B)として、光酸発生剤および熱酸発生剤のうち少なくとも一方を含んでもよい。
【0014】
前記接着用樹脂組成物では、波長が450[nm]である光の透過率が90[%]以上であってもよい。
【0015】
前記接着用樹脂組成物では、波長が400[nm]以上500[nm]以下である光の透過率が90[%]以上であってもよい。
【0016】
前記接着用樹脂組成物では、ナトリウムD線の波長における屈折率が1.51未満であってもよい。
【0017】
本発明の接着用樹脂組成物は、例えば、光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いられる接着用樹脂組成物であって、硬化性組成物としての、芳香環を含まないエポキシ化合物およびフッ素化されたエポキシ化合物と、硬化剤と、を含む。
【0018】
前記接着用樹脂組成物では、前記硬化性組成物は、芳香環を含むエポキシ化合物を前記硬化性組成物100質量部に対して20質量部以下含んでもよい。
【0019】
本発明の光デバイスは、例えば、支持部材と、光学部品と、前記支持部材と前記光学部品とを接着した接着剤と、を備え、前記接着剤は、硬化性組成物(A)を含むとともに、当該硬化性組成物(A)を硬化する硬化剤(B)を当該硬化性組成物(A)100質量部に対して1質量部以上5質量部以下含み、前記硬化性組成物(A)は、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)を10質量部以上80質量部以下含み、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)を20質量部以上90質量部以下含み、かつ、芳香環を有するエポキシ化合物(C)を0質量部以上20質量部以下含む。
【0020】
前記光デバイスは、波長が400[nm]以上500[nm]以下である光を出力あるいは伝送してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば、接着剤による光の吸収によって不都合な事象が生じるのを抑制することが可能な、接着用樹脂組成物および光デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態の光デバイスの模式的かつ例示的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0024】
図1は、光デバイス100の平面図である。光デバイス100は、発光モジュール10と、レンズ41と、を備えている。
【0025】
発光モジュール10は、発光ユニット30と、当該発光ユニット30を収容したケース20と、を有している。
【0026】
ケース20は、直方体状の箱であり、発光ユニット30を収容している。ケース20は、壁部材21と、窓部材22と、を有している。壁部材21は、例えば金属材料で作られている。
【0027】
また、ケース20は、ベース21aを有している。ベース21aは、板状の形状を有している。ベース21aは、例えば、壁部材21の一部(底壁)である。ベース21aは、例えば、無酸素銅のような、熱伝導率が高い金属材料で作られている。無酸素銅は、銅系材料の一例である。なお、ベース21aは、壁部材21とは別に設けられてもよい。
【0028】
壁部材21のX方向の端部に設けられた開口部には、レーザ光Lを透過する窓部材22が取り付けられている。窓部材22は、X方向と交差しかつ直交している。発光ユニット30から出射されたレーザ光Lは、窓部材22を通過して、発光ユニット30の外へ出る。すなわち、レーザ光は、発光モジュール10から出力される。
【0029】
壁部材21(ケース20)を構成する複数の部材(不図示)の境界部分、ならびに壁部材21と窓部材22との間の境界部分などは、気体が通過できないようにシールされている。すなわち、ケース20は、気密封止されている。なお、窓部材22は、壁部材21の一部でもある。
【0030】
発光ユニット30は、サブマウント31と、発光素子32と、を有している。
【0031】
サブマウント31は、例えば、窒化アルミニウム(AIN)や、セラミック、ガラスのような、熱伝導率が比較的高い絶縁材料で作られうる。サブマウント31上には、発光素子32に電力を供給する電極として、メタライズ層(不図示)が形成されている。
【0032】
サブマウント31は、ベース21aの頂面21c上に実装されている。発光素子32は、サブマウント31の頂面31a上に実装されている。すなわち、発光素子32は、サブマウント31を介してベース21aに実装されている。
【0033】
発光素子32は、例えば、速軸(FA)と遅軸(SA)とを有した半導体レーザ素子である。発光素子32は、長手方向の一端に設けられた出射開口(不図示)から、レーザ光を出射する。
図1の例では、例えば、速軸は、紙面と垂直な方向に沿い、遅軸は、紙面の上下方向に沿っている。レーザ光は、紙面において右方に出力される。
【0034】
レンズ41は、凸面としての入射面41aと、凸面としての出射面41bとを有している。レンズ41は、例えば、集光レンズや、コリメートレンズである。
【0035】
レンズ41は、発光モジュール10のケース20に接着剤50を介して支持されている。一例として、接着剤50は、ケース20の角部21fと、レンズ41のレーザ光の光路から外れた周縁部との間に介在し、当該角部21fと周縁部とを接合している。このような構成により、ケース20を利用して、レンズ41の取付構造を、比較的簡素な構成によって実現することができる。ケース20を有した発光モジュール10は、筐体または筐体に固定された部材の表面(不図示)上に取り付けられており、当該表面から突出している。発光モジュール10は、突出部とも称されうる。レンズ41は、光学部品の一例であり、ケース20は、他の部材および支持部材の一例である。
【0036】
なお、光学部品は、レンズ41には限定されず、例えば、ミラーやプリズムのような、他の光学部品であってもよい。また、接着剤50は、光学部品を、例えば、筐体は当該筐体に固定された部材のような、発光モジュール10とは異なる部材に接合するものであってもよい。また、他の部材は、ケース20には限定されない。また、発光モジュール10は、ケース20を有さず当該ケース20に収容されていないチップオンサブマウントであってもよいし、その場合、レンズ41は、支持部材としてのチップオンサブマウントに支持されてもよい。また、光デバイス100は、光を出力するものには限定されず、光を伝送するものであってもよい。
【0037】
以下、上述した接着剤50のような、光デバイスにおいて光学部品と当該光学部品を支持する支持部材とを接合する接着剤として適用可能な、接着用樹脂組成物について、実験的な研究により、好適なスペックを見出したので、これを説明する。本実施形態では、光の吸収による接着剤の劣化を抑制するという観点で好適なスペックが見出される。
【0038】
[接着用樹脂組成物]
本実施形態の接着用樹脂組成物は、硬化性組成物(A)と硬化剤(B)とを含む。また、硬化性組成物(A)は、芳香環を有さないエポキシ化合物(A1)と、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)と、を含む。芳香環を有さないエポキシ化合物(A1)は、可視光の吸収をより少なくする効果をもたらし、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)は、屈折率をより低くする効果をもたらす。
【0039】
[硬化性組成物(A)]
[芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)]
芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)としては、長鎖アルキルエポキシ化合物として1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等から得られる脂肪族エポキシ類、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物としてシクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等から得られる脂環式エポキシ類、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’- エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等のシクロオレフィンと過酢酸から得られる環式脂肪族エポキシ類、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂類等が挙げられる。
【0040】
シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物の水添エポキシ化合物としては、飽和脂肪族環状炭化水素骨格に直接的または間接的に結合したグリシジルエーテル基を有する化合物であることが好ましく、多官能グリシジルエーテル化合物が好適である。このような水添エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物の完全または部分水添物であることが好ましく、より好ましくは、芳香族グリシジルエーテル化合物の水添物であり、更に好ましくは、芳香族多官能グリシジルエーテル化合物の水添物である。具体的には、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物等が好ましい。より好ましくは、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物である。
【0041】
また、ガラス転移点温度を上げるためには脂環式エポキシ化合物を用いるのが望ましい。架橋剤の種類は特に限定されないが、環状脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(DIC社製セロキサイド2021P等や、ハンツマン社製アラルダイトCY179、チッソ社製チッソノックス206);3,4-エポキシシクロヘキシルメチル基と3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシル基の間に少なくとも平均で1以上のε-カプロラクトンが開環重合された構造を有するCEL-2080シリーズ(ダイセル社製CEL-2081、2083、2085等のCEL-2021Pのカプロラクトン変性物)などの環状脂肪族エポキシ基を分子内に2個もつものが挙げられる。分子内に環状脂肪族エポキシ基を1個と、環状骨格外にエポキシ基を1個有するものとしては、1,2,8,9-ジエポキシリモネン(ダイセル社製CEL-3000)等が挙げられる。分子内に1個の環状脂肪族エポキシ基をもつものとして1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン(ダイセル社製CEL-2000)、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール等が挙げられる。
【0042】
[フッ素化されたエポキシ化合物(A2)]
フッ素化されたエポキシ化合物(A2)としては、2,2’-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン-1,6-ジイル)ビス(オキシラン)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロヘプチルオキシラン3-ペルフルオロヘキシル-1,2-エポキシプロパン、2,2’-(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロオクタン-1,8-ジイル)ビス(オキシラン)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1,2-エポキシプロパン、3-ペルフルオロブチル-1,2-エポキシプロパン等が挙げられる。
【0043】
[硬化剤(B)]
光硬化剤(光酸発生剤、光重合開始剤)としては、特に限定されないが、例えば光カチオン重合開始剤である、アニオン種が(Rf)nPF6-nであるサンアプロ社のIK-1、またはIK-2(いずれも商品名)を使用することができる。または、アニオン種がPF6であるBASF社のIrgacure250(商品名)を使用してもよい。上述のように本実施の形態のヨードニウム塩系光カチオン重合開始剤のカウンターアニオン種は、特殊リン系((Rf)nPF6-n)、あるいはリン系(PF6)のものが都合が良く、特に特殊リン系のものが接着力が強く好ましい。
【0044】
熱硬化剤(熱酸発生剤、熱重合開始剤)としては、特に限定されないが、熱カチオン重合開始剤である、SbF6-系スルホニウム塩であるSI-80L、SI-100L(いずれも三新化学工業社の商品名)を使用することができる。熱カチオン重合開始剤については、設定した熱硬化温度において反応性が高いものを使用することが好ましい。また、保存時の環境下の放射で生じる光重合開始剤の発熱や環境温度で反応しない反応開始温度のものを使用することが好ましい。
【0045】
[芳香環を有するエポキシ化合物(C)]
硬化性組成物(A)には、当該硬化性組成物(A)100重量部に対する20質量部以下であれば、ビスフェノールF型エポキシ化合物を含めても良い。例えば市販品として、YDF-8170C、YDF-870GS、YDF-170およびYDF-2005RD(以上、日鉄ケミカル&マテリアル社製)、EPICLON-830(DIC社製)、o-クレゾールノボラック型エポキシ化合物などのノボラック型エポキシ化合物、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル類、4官能アミン型ポリグリシジルアミンなどのポリグリシジルアミン類、例えば市販品として、YH-434(東都化成社製)、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよびジグリシジル-p-オキシ安息香酸エステルなどのグリシジルエステル類、あるいは脂環型エポキシ化合物、例えば市販品として、ERL-4234(ユニオンカーバイド社製)等が挙げられる。
【0046】
[フィラー]
接着用樹脂組成物は、粘度調整のため、フィラーを含んでもよい。フィラーとしては、例えば、タルク、シリカ、窒化ホウ素等が挙げられる。フィラー含有によって得られる接着用樹脂組成物の粘度は、塗布厚のコントロールなど作業性の視点から、40000~110000[Pa・s]が好ましく、50000~90000[Pa・s]がより好ましい。
【0047】
[シランカップリング剤]
接着用樹脂組成物は、接着力向上のため、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤は、反応性官能基として、アクリル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、スチリル基、メルカプト基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基等のいずれかを含み、加水分解性基として、メトキシ基(OCH3)、エトキシ基(OC2H5)、アセトキシ基(OCOCH3)等を含む。アクリル基の例は、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。(メタ)アクリル基の例は、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである。エポキシ基の例は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランである。ビニル基の例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランである。アミノ基の例は、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩である。スチリル基の例は、p-スチリルトリメトキシシランである。メルカプト基の例は、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランである。ウレイド基の例は、3-ウレイドプロピルトリエトキシシランである。スルフィド基の例は、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。イソシアネート基の例は、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランである。
【0048】
[酸化防止剤]
接着用樹脂組成物は、加熱時の酸化劣化を防止し、より着色を少なくするため、酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、フェノール系防止剤や、硫黄系防止剤、リン系酸化防止剤等を使用することができる。
【0049】
(フェノール系酸化防止剤)
モノフェノール類;
2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-p-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど
ビスフェノール類;
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど
高分子型フェノール類;
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t(ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノールなど
【0050】
(硫黄系酸化防止剤)
ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネートなど
【0051】
(リン系酸化防止剤)
ホスファイト類;
トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2-t-ブチル-6-メチル-4-{2-(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイトなど
オキサホスファフェナントレンオキサイド類;
9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドなど
【0052】
なお、酸化防止剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。混合する場合、フェノール系および硫黄系の組み合わせ、またはフェノール系およびリン系の組み合わせが、好ましい。
【0053】
[実験的な評価]
各成分の好適な含有比率を見出すため、成分比率が異なる複数のサンプル(実施例および比較例、表1参照)について、実験的な評価を実施した。
【表1】
【0054】
サンプルの作成にあたっては、まずは自公転ミキサーにより、撹拌、混合しかつ脱泡することにより、均一な樹脂組成物を調製した。これを、スライドガラス上に滴下し、所定厚さ(例えば0.1[mm])に薄く引き延ばし、光の照射や加熱によって硬化することにより、フィルム状に形成した。このようにして作成したフィルム状のサンプルに対し、下記の(1)~(4)の実験的な評価を実施した。
【0055】
実験的な評価を行ったサンプルは、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)としては、エポライト4000E(共栄社化学社製、商品名)を含み、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)としては、2,2‘-(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン-1,6-ジイル)ビス(オキシラン)(東京化成社製)を含み、硬化剤(B)としての光硬化剤としては、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(サンアプロ社製、商品名CPI-101A)を含み、硬化剤(B)としての熱硬化剤としては、2-メチルベンジルメチル-p-ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(三新化学工業社製、商品名サンエイドSI-80L、分解温度80℃)を含む。また、サンプルは、芳香環を含むエポキシ化合物(C)としては、EPICLON-830(DIC社製、商品名)を含む。
【0056】
【0057】
(1)透過率
厚さ0.1[mm]のフィルム状のサンプルの450[nm]での透過率を、分光光度計(日立製作所社製のU-4100)を用いて測定した。透過率は、下記基準により評価した。
×:透過率が90[%]未満
〇:透過率が90[%]以上かつ92[%]未満
◎:透過率が93[%]以上
評価が◎、〇の場合、光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いることができ、◎が特に好ましい。評価が×のものは光学部品を支持部材に接着する接着剤としては好ましくない。
【0058】
(2)耐光性
405[nm]の光を3[min]照射した前後の厚さ0.1[mm]のサンプルの黄変度ΔYIを、色差計(StarNY社製のNR10QC)を用いて測定した。黄変度ΔYIは、下記基準により評価した。なお、標準反射板(スペクトラロン標準反射板)を、標準サンプルとした。
×:黄変度が20以上
〇:黄変度が5以上20未満
◎:黄変度が5未満
評価が◎、〇の場合、光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いることができ、◎が特に好ましい。評価が×のものは光学部品を支持部材に接着する接着剤としては好ましくない。
【0059】
(3)屈折率
ナトリウムD線を光源とし、25[℃]における厚さ0.1[mm]のサンプルの屈折率を、屈折率計(メトリコン社製の2010/M プリズム カプラー)を用いて測定した。屈折率は、下記基準により評価した。石英ガラスで作られた光学部品の接着に用いられることを想定した場合、接着用樹脂組成物の屈折率が、ナトリウムD線に対する当該石英ガラスの屈折率(1.51)よりも低いと、光学部品から接着用樹脂組成物内への光の進入を抑制できる。この観点から、下記基準を設定した。
×:硬化物フィルムの屈折率が1.51以上
〇:硬化物フィルムの屈折率が1.49以上1.51未満
◎:硬化物フィルムの屈折率が1.49未満
評価が◎、〇の場合、光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いることができ、◎が特に好ましい。評価が×のものは光学部品を支持部材に接着する接着剤としては好ましくない。
【0060】
(4)耐熱性
厚さ0.1[mm]のフィルム状に成形した接着用樹脂組成物について、動的粘弾性装置(RSA-G2 TAインスツルメント社製)を用いて-50[℃]から200[℃]の範囲において、ガラス転移温度を測定した。フィルムのガラス転移温度は、下記基準により評価した。下記基準は、光デバイスの要求仕様における接着用樹脂組成物の許容温度が65[℃]である場合を想定して設定した。
×:硬化物フィルムのガラス転移温度が65[℃]未満
〇:硬化物フィルムのガラス転移温度が65[℃]以上110[℃]未満
◎:硬化物フィルムのガラス転移温度が110[℃]以上
評価が◎、〇の場合、光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いることができ、◎が特に好ましい。評価が×のものは光学部品を支持部材に接着する接着剤としては好ましくない。
【0061】
(5)総合評価
上記(1)~(4)について、それぞれ×を0点、〇を1点、◎を2点とし、上記表1の実施例および比較例について、合計点数を算出し、総合評価を下記基準により評価したところ、表2のような結果が得られた。
◎◎:8点
◎:7点
〇:5、6点
×:4点以下
評価が◎◎、◎、〇の場合、光学部品を支持部材に接着する接着剤として用いることができ、○が好ましく、◎がより好ましく、◎◎が特に好ましい。評価が×のものは光学部品を支持部材に接着する接着剤としては好ましくない。
【0062】
以上のように、本実施形態では、接着剤として用いられる接着用樹脂組成物は、硬化性組成物(A)としての、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)およびフッ素化されたエポキシ化合物(A2)と、硬化剤(B)と、を含む。
【0063】
これにより、芳香環を有さないエポキシ化合物(A1)による効果として、可視光の吸収をより少なくすることができ、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)による効果として、屈折率をより低くすることにより光学部品から接着用樹脂組成物への光の進入を抑制し、ひいては可視光の吸収をより少なくすることができる。したがって、このような構成によれば、光の吸収による劣化が生じ難い、光デバイスにおいて光学部品の接合に好適な、より信頼性の高い接着剤を得ることができる。
【0064】
また、本実施形態では、実験的な評価に基づき、硬化性組成物(A)は、当該硬化性組成物(A)100質量部に対して、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)を10質量部以上80質量部以下含むとともに、フッ素化されたエポキシ化合物(A2)を20質量部以上90質量部以下含むのが好ましく、また、芳香環を有するエポキシ化合物(C)を0質量部以上20質量部以下含んでもよいことが判明した。
【0065】
また、本実施形態では、実験的な評価に基づき、硬化性組成物(A)は、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を10質量部以上80質量部以下含むか、あるいは脂環式エポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含むのが好ましいことが判明した。
【0066】
また、本実施形態では、硬化性組成物(A)が、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、脂環式エポキシ化合物を含まずに、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を、10質量部以上20質量部以下、または50質量部以上60質量部以下含む場合に、光デバイスにおいて光学部品の接合により好適な、さらに信頼性の高い接着剤を得ることができる。
【0067】
また、本実施形態では、硬化性組成物(A)が、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を含まずに、脂環式エポキシ化合物を20質量部程度(15質量部以上~25質量部以下)含む場合に、光デバイスにおいて光学部品の接合により好適な、さらに信頼性の高い接着剤を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態では、硬化性組成物(A)が、芳香環を含まないエポキシ化合物(A1)として、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含み、かつ、脂環式エポキシ化合物を10質量部以上30質量部以下含む場合に、光デバイスにおいて光学部品の接合により好適な、さらに信頼性の高い接着剤を得ることができる。特に、シクロヘキサン骨格を含むエポキシ化合物を15質量部以下、かつ脂環式エポキシ化合物を25質量部以上とすることで、光デバイスにおいて光学部品の接合にさらに好適な、特に信頼性の高い接着剤を得ることができる。
【0069】
また、本実施形態では、接着用樹脂組成物の初期特性あるいは経年特性として、波長が450[nm]である光の透過率が90[%]以上、より好ましくは400[nm]以上500[nm]以下である光の透過率が90[%]以上である場合には、光の吸収による接着用樹脂組成物の劣化が生じ難いことが判明した。
【0070】
また、本実施形態では、ナトリウムD線の波長における屈折率が1.51未満であることにより、光学部品が石英ガラスで作られた場合に、当該光学部品から接着剤への光の進入を抑制でき、ひいては、光の吸収による接着用樹脂組成物の劣化を生じ難くすることができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。例えば、硬化剤(B)は、硬化性組成物(A)100質量部に対して、5質量部には限定されず、1質量部以上かつ5質量部以下であればよい。
【符号の説明】
【0072】
10…発光モジュール
20…ケース(他の部材、支持部材)
21…壁部材
21a…ベース
21c…頂面
21f…角部
22…窓部材
30…発光ユニット
31…サブマウント
31a…頂面
32…発光素子
41…レンズ(光学部品)
41a…入射面
41b…出射面
50…接着剤
100…光デバイス
Ax…光軸