(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190829
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】基板処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221220BHJP
H01L 21/00 20060101ALI20221220BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20221220BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
H01L21/304 644F
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/304 648G
H01L21/304 621D
H01L21/304 622Q
H01L21/00
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099286
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑多
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広毅
(72)【発明者】
【氏名】中村 顕
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和英
(72)【発明者】
【氏名】松尾 尚典
(72)【発明者】
【氏名】神子島 隆仁
【テーマコード(参考)】
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
5F057AA19
5F057AA21
5F057BA15
5F057DA03
5F057DA39
5F057FA37
5F057GA02
5F057GA03
5F057GA06
5F057GA07
5F057GA08
5F057GA16
5F057GA28
5F057GB03
5F057GB04
5F057GB21
5F057GB24
5F057GB25
5F157AA96
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA14
5F157BA31
5F157BB37
5F157CB14
5F157CB15
5F157CB32
5F157CD05
5F157CD07
5F157CD32
5F157CD46
5F157CE82
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF52
5F157DB02
5F157DB32
5F157DC21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板が不良品であるか否かを推定する基板処理装置及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】基板の研磨中及び/又は洗浄中及び/又は乾燥中において対象の物理量を検出する少なくとも一つのセンサと、学習済みの機械学習モデルに対して、センサが検出する研磨中及び/又は洗浄中及び/又は乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部と、特徴量を含む対象データを前記モデルに入力することで、対象の基板の欠陥の数、欠陥のサイズ及び欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する推論部と、を備える。機械学習モデルは、対象の生産ライン若しくは同種の生産ラインにおいて検出されたセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし、且つ、基板の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データとする学習データセットを用いて学習される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中において対象の物理量を検出する少なくとも一つのセンサと、
学習済みの機械学習モデルに対して、前記センサによって検出された研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部と、
前記特徴量を含む対象データを学習済みの機械学習モデルに入力することによって、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する推論部と、
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルは、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データとする学習データセットを用いた学習されたものである
基板処理装置。
【請求項2】
前記機械学習モデルの学習時の入力データには、更に基板処理装置に含まれるユニット毎に計数された当該ユニットに滞在する滞在時間が含まれており、
当該基板処理装置に含まれるユニット毎に、当該ユニットに滞在する滞在時間を計数するユニット滞在時間計数部を更に備え、
前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に前記ユニット滞在時間計数部によってユニット毎に計数された当該ユニットに滞在する滞在時間が含まれる
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記機械学習モデルの学習時の入力データには、更に研磨または洗浄に用いられる部材の位置が変換された第2特徴量が含まれており、
前記変換部は、研磨または洗浄に用いられる部材の位置を第2特徴量に変換し、
前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に前記変換部によって変換された部材毎の第2特徴量が含まれている
請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記機械学習モデルの学習時の入力データには、基板処理装置に含まれるユニットに対する指令値を含むレシピ情報が更に含まれており、
前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に当該基板処理装置に含まれるユニットに対する指令値を含むレシピ情報が更に含まれる
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
予め決められた回帰分析アルゴリズムに従って、複数のセンサ値それぞれについて、欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置のいずれか一つとの間で相関を表す相関パラメータを出力する回帰分析部と、
機械学習モデルの入力データに含まれる特徴量の基になるセンサ値を出力するセンサを少なくとも一つ受け付ける受付部と、
前記受け付けたセンサのセンサ値が変換された特徴量で再度、前記機械学習モデルを学習させる学習部と、
を備え、
前記推論部は、前記学習部によって再学習後の機械学習モデルを用いて、前記予測値を出力する
請求項1から4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
学習済みの機械学習モデルに対して、基板処理装置が備えるセンサによって検出された、基板の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部と、
前記特徴量を含む対象データを入力することによって、基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する推論部と、
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルは、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データする学習データセットを用いた学習されたものである
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置(例えば研磨装置)の洗浄性能は、例えば研磨、洗浄、乾燥の処理を終えて装置から排出された基板(具体的にはウェハ)を専用の欠陥検査装置で測定することで評価されている(例えば、特許文献1参照)。欠陥検査はコスト(主に時間)を要するため、製造現場では、基板処理(例えば、研磨、洗浄、乾燥)後に全数検査を行うことは困難であり、抜き取り検査を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、検査されなかった基板(具体的にはウェハ)で洗浄不足などにより、不良品が発生する可能性もある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板が不良品であるか否かを推定することを可能とする基板処理装置及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る基板処理装置は、基板の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中において対象の物理量を検出する少なくとも一つのセンサと、学習済みの機械学習モデルに対して、前記センサによって検出された研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部と、前記特徴量を含む対象データを学習済みの機械学習モデルに入力することによって、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する推論部と、を備え、前記学習済みの機械学習モデルは、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データとする学習データセットを用いた学習されたものである。
【0007】
この構成によれば、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値が得られるので、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板が不良品であるか否かを推定することができる。
【0008】
また、上記基板処理装置において、前記機械学習モデルの学習時の入力データには、更に基板処理装置に含まれるユニット毎に計数された当該ユニットに滞在する滞在時間が含まれており、当該基板処理装置に含まれるユニット毎に、当該ユニットに滞在する滞在時間を計数するユニット滞在時間計数部を更に備え、前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に前記ユニット滞在時間計数部によってユニット毎に計数された当該ユニットに滞在する滞在時間が含まれてもよい。
【0009】
また、上記基板処理装置において、前記機械学習モデルの学習時の入力データには、更に研磨または洗浄に用いられる部材の位置が変換された第2特徴量が含まれており、前記変換部は、研磨または洗浄に用いられる部材の位置を第2特徴量に変換し、前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に前記変換部によって変換された部材毎の第2特徴量が含まれてもよい。
【0010】
また、上記基板処理装置において、前記機械学習モデルの学習時の入力データには、基板処理装置に含まれるユニットに対する指令値を含むレシピ情報が更に含まれており、前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に当該基板処理装置に含まれるユニットに対する指令値を含むレシピ情報が更に含まれてもよい。
【0011】
また、上記基板処理装置において、予め決められた回帰分析アルゴリズムに従って、複数のセンサ値それぞれについて、欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置のいずれか一つとの間で相関を表す相関パラメータを出力する回帰分析部と、機械学習モデルの入力データに含まれる特徴量の基になるセンサ値を出力するセンサを少なくとも一つ受け付ける受付部と、前記受け付けたセンサのセンサ値が変換された特徴量で再度、前記機械学習モデルを学習させる学習部と、を備え、前記推論部は、前記学習部によって再学習後の機械学習モデルを用いて、前記予測値を出力してもよい。
【0012】
本発明の別の態様に係る情報処理システムは、学習済みの機械学習モデルに対して、基板処理装置が備えるセンサによって検出された、基板の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部と、前記特徴量を含む対象データを入力することによって、基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する推論部と、を備え、前記学習済みの機械学習モデルは、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データする学習データセットを用いた学習されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値が得られるので、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板が不良品であるか否かを推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る制御部の概略構成の一例を示すブロック図の一例である。
【
図3】本実施形態に係る各ユニットにおける滞在時間の例を示すグラフである。
【
図4】機械学習モデルに入力される入力データに含まれる特徴量のデータ構造の一例である。
【
図5】機械学習モデルに入力される入力データに含まれるユニット毎の滞在時間のデータ構造の一例である。
【
図6A】機械学習モデルの学習工程の一例を説明するための模式図である。
【
図6B】機械学習モデルの推論工程の一例を説明するための模式図である。
【
図7】欠陥の数の実測値と欠陥の数の予測値とを比較するグラフの一例である。
【
図8A】機械学習モデルの学習工程の変形例1を説明するための模式図である。
【
図8B】機械学習モデルの推論工程の変形例1を説明するための模式図である。
【
図9A】機械学習モデルの学習工程の変形例2を説明するための模式図である。
【
図9B】機械学習モデルの推論工程の変形例2を説明するための模式図である。
【
図10A】機械学習モデルの学習工程の変形例3を説明するための模式図である。
【
図10B】機械学習モデルの推論工程の変形例3を説明するための模式図である。
【
図11A】本実施形態の変形例1に係る概略構成図である。
【
図11B】本実施形態の変形例2に係る概略構成図である。
【
図12A】本実施形態の変形例3に係る概略構成図である。
【
図12B】本実施形態の変形例4に係る概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。本実施形態では、基板処理装置の一例として、基板Wの表面を平坦に化学機械研磨(CMP: Chemical Mechanical Polishing)する研磨装置について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る基板処理装置の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、シリコンウェハ(以下、単にウェハともいう)等の基板Wの表面を平坦に化学機械研磨(CMP: Chemical Mechanical Polishing)する研磨装置である。
【0017】
図1に示すように基板処理装置1は例えば、矩形箱状のハウジング2を備える。ハウジング2は、平面視で略長方形に形成されている。ハウジング2は、その中央に長手方向に延在する基板搬送路3を備える。基板搬送路3の長手方向の一端部には、ロード/アンロード部10が配設されている。基板搬送路3の幅方向、すなわち平面視で長手方向と直交する方向の一方側には、研磨部20が配設され、他方側には、洗浄部30が配設されている。基板搬送路3には、基板Wを搬送する基板搬送部40が設けられている。また、基板処理装置1は、ロード/アンロード部10、研磨部20、洗浄部30及び基板搬送部40の動作を統括的に制御する制御部50を備える。
【0018】
ロード/アンロード部10は、基板Wを収容するフロントロード部11を備える。フロントロード部11は、ハウジング2の長手方向の一方側の側面に複数設けられている。複数のフロントロード部11は、ハウジング2の幅方向に配列されている。フロントロード部11は、例えば、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド又はFOUP(Front Opening Unified Pod)が搭載されている。SMIF及びFOUPは、いずれも内部に基板Wのカセットが収納され、隔壁で覆われている密閉容器であり、外部空間とは独立した環境を保つことができる。
【0019】
また、ロード/アンロード部10は、フロントロード部11から基板Wを出し入れする二台の搬送ロボット12と、各搬送ロボット12をフロントロード部11の並びに沿って走行させる走行機構13とを備える。各搬送ロボット12は、上下に二つのハンドを備えており、基板Wの処理前と基板Wの処理後とこれら二つのバンドを使い分けている。例えば、各搬送ロボット12は、フロントロード部11に基板Wを戻す場合には、上側のハンドを使用し、フロントロード部11から処理前の基板Wを取り出す場合には、下側のハンドを使用する。
【0020】
研磨部20は、基板Wを研磨する複数の研磨装置21(21A、21B、21C、21D)を備える。複数の研磨装置21は、基板搬送路3の長手方向に配列されている。研磨装置21は、研磨面を有する研磨パッド22を回転させる研磨テーブル23と、基板Wを保持し、かつ、基板Wを研磨テーブル23上の研磨パッド22に押圧しながら研磨するためのトップリング24と、研磨パッド22に研磨液、ドレッシング液等を供給するための研磨液供給ノズル25と、研磨パッド22の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ26と、純水等の液体と窒素ガス等の気体の混合流体又は純水等の液体を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ27とを備える。
【0021】
研磨装置21は、研磨液供給ノズル25から研磨液を研磨パッド22上に供給しながら、トップリング24により基板Wを研磨パッド22に押し付け、トップリング24と研磨テーブル23とを相対的に移動させることにより、基板Wを研磨して基板Wの表面を平坦にする。また、トップリング24は、同心円状に配置されている複数の加減圧エリア(例えばエアバッグ)を備えている。トップリング24は、これら複数の加減圧エリア内の圧力を調整することにより、研磨パッド22への基板Wの押し付け具合を調整する。
【0022】
ドレッサ26は、研磨パッド22に接触する先端の回転部にダイヤモンド粒子やセラミック粒子等の硬質な粒子が固定され、当該回転部を回転させつつ揺動させることにより、研磨パッド22の研磨面全体を均一にドレッシングし、平坦な研磨面を形成する。
【0023】
アトマイザ27は、研磨パッド22の研磨面に残留する研磨屑、砥粒等を高圧の流体により洗い流すことにより、研磨面の浄化及びドレッサ26による研磨面の目立て作業、すなわち研磨面の再生を実行する。
【0024】
洗浄部30は、基板Wを洗浄する複数の洗浄装置31(31A、31B)と、洗浄した基板Wを乾燥させる基板乾燥装置32とを備える。複数の洗浄装置31及び基板乾燥装置32は、基板搬送路3の長手方向に配列されている。洗浄装置31Aと洗浄装置31Bとの間には、第1搬送室33が設けられている。第1搬送室33には、基板搬送部40、洗浄装置31A及び洗浄装置31Bの間で基板Wを搬送する搬送ロボット35が設けられている。
【0025】
搬送ロボット35は、上下に二つのハンドを備えており、基板Wの洗浄装置31Aにおける洗浄前と基板Wの洗浄装置31Aにおける洗浄後で、これら二つのバンドを使い分けている。例えば、搬送ロボット35は、後述する仮置き台(ウェハステーションともいう)47から洗浄前の基板Wを取り出して洗浄装置31Aに搬送する場合には、下側のハンドを使用し、洗浄後に洗浄装置31Aから基板Wを取り出して洗浄装置31に搬送する場合には、上側のハンドを使用する。
【0026】
また、洗浄装置31Bと基板乾燥装置32との間には、第2搬送室34が設けられている。第2搬送室34には、洗浄装置31Bと基板乾燥装置32との間で基板Wを搬送する搬送ロボット36が設けられている。
【0027】
洗浄装置31は、ロールスポンジ(以下、ロールともいう)型の洗浄モジュールを備え、この洗浄モジュールを使用して基板Wを洗浄する。なお、洗浄装置31A及び洗浄装置31Bは、同一のタイプであってもよいし、異なるタイプの洗浄モジュールであってもよい。また、洗浄装置31A及び洗浄装置31Bは、ロールスポンジ型の洗浄モジュールの代わりに、例えば、ペンシルスポンジ(以下、ペンともいう)型の洗浄モジュール、二流体ジェット型の洗浄モジュールを備えていてもよい。ここで二流体ジェット型の洗浄モジュールの場合、二流体は例えば窒素(N2)と純水との混合である。
【0028】
基板乾燥装置32は、例えば、窒素ガス(N2)乾燥や、イソプロピルアルコール(IPA:Iso-Propyl Alcohol)を使用したロタゴニ乾燥を実行する乾燥モジュールを備える。基板Wは、ロタゴニ乾燥が実行された後、基板乾燥装置32とロード/アンロード部10との間の隔壁に設けられたシャッタ1aが開かれ、搬送ロボット12によって基板乾燥装置32から搬出される。
【0029】
基板搬送部40は、リフター41と、第1リニアトランスポータ42と、第2リニアトランスポータ43と、スイングトランスポータ44とを備える。基板搬送路3には、ロード/アンロード部10側から順番に第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、第4搬送位置TP4、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、第7搬送位置TP7が設定されている。
【0030】
リフター41は、第1搬送位置TP1において基板Wを上下に搬送する機構である。リフター41は、第1搬送位置TP1においてロード/アンロード部10の搬送ロボット12から基板Wを受け取る。そして、リフター41は、搬送ロボット12から受け取った基板Wを第1リニアトランスポータ42に受け渡す。第1搬送位置TP1とロード/アンロード部10との間の隔壁には、シャッタ1bが設けられており、基板Wの搬送時にはシャッタ1bが開かれて搬送ロボット12からリフター41に基板Wが受け渡される。
【0031】
第1リニアトランスポータ42は、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3及び第4搬送位置TP4のうちの二つの間で基板Wを搬送する機構である。第1リニアトランスポータ42は、複数の搬送ハンド45(45A、45B、45C、45D)と、各搬送ハンド45を複数の高さで水平方向に移動させるリニアガイド機構46とを備える。
【0032】
搬送ハンド45Aは、リニアガイド機構46によって、第1搬送位置TP1から第4搬送位置TP4の間を移動する。搬送ハンド45Aは、リフター41から基板Wを受け取り、当該基板Wを第2リニアトランスポータ43に受け渡すためのパスハンドである。
【0033】
搬送ハンド45Bは、リニアガイド機構46によって、第1搬送位置TP1と第2搬送位置TP2との間を移動する。搬送ハンド45Bは、第1搬送位置TP1でリフター41から基板Wを受け取り、第2搬送位置TP2で研磨装置21Aに基板Wを受け渡す。搬送ハンド45Bには、昇降駆動部が設けられており、基板Wを研磨装置21Aのトップリング24に受け渡すときは上昇し、トップリング24に基板Wを受け渡した後は下降する。なお、搬送ハンド45C及び搬送ハンド45Dにも、同様の昇降駆動部が設けられている。
【0034】
搬送ハンド45Cは、リニアガイド機構46によって、第1搬送位置TP1と第3搬送位置TP3との間を移動する。搬送ハンド45Cは、第1搬送位置TP1でリフター41から基板Wを受け取り、第3搬送位置TP3で研磨装置21Bに基板Wを受け渡す。また、搬送ハンド45Cは、第2搬送位置TP2で研磨装置21Aのトップリング24から基板Wを受け取り、第3搬送位置TP3で研磨装置21Bに基板Wを受け渡すアクセスハンドとしても機能する。
【0035】
搬送ハンド45Dは、リニアガイド機構46によって、第2搬送位置TP2と第4搬送位置TP4との間を移動する。搬送ハンド45Dは、第2搬送位置TP2又は第3搬送位置TP3で、研磨装置21A又は研磨装置21Bのトップリング24から基板Wを受け取り、第4搬送位置TP4でスイングトランスポータ44に基板Wを受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。
【0036】
スイングトランスポータ44は、第4搬送位置TP4と第5搬送位置TP5との間を移動可能なハンドを有しており、第1リニアトランスポータ42から第2リニアトランスポータ43へ基板Wを受け渡す。また、スイングトランスポータ44は、研磨部20で研磨された基板Wを洗浄部30に受け渡す。スイングトランスポータ44の側方には、基板Wの仮置き台47が設けられている。スイングトランスポータ44は、第4搬送位置TP4又は第5搬送位置TP5で受け取った基板Wを上下反転して仮置き台47に載置する。仮置き台47に載置された基板Wは、洗浄部30の搬送ロボット35によって第1搬送室33に搬送される。
【0037】
第2リニアトランスポータ43は、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6及び第7搬送位置TP7のうちの二つの間で基板Wを搬送する機構である。第2リニアトランスポータ43は、複数の搬送ハンド48(48A、48B、48C)と、各搬送ハンド45を複数の高さで水平方向に移動させるリニアガイド機構49とを備える。搬送ハンド48Aは、リニアガイド機構49によって、第5搬送位置TP5から第6搬送位置TP6の間を移動する。搬送ハンド45Aは、スイングトランスポータ44から基板Wを受け取り、当該基板Wを研磨装置21Cに受け渡すアクセスハンドとして機能する。
【0038】
搬送ハンド48Bは、第6搬送位置TP6と第7搬送位置TP7との間を移動する。搬送ハンド48Bは、研磨装置21Cから基板Wを受け取り、当該基板Wを研磨装置21Dに受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。搬送ハンド48Cは、第7搬送位置TP7と第5搬送位置TP5との間を移動する。搬送ハンド48Cは、第6搬送位置TP6又は第7搬送位置TP7において研磨装置21C又は研磨装置21Dのトップリング24から基板Wを受け取り、第5搬送位置TP5でスイングトランスポータ44に基板Wを受け渡すためのアクセスハンドとして機能する。なお、説明は省略するが、搬送ハンド48の基板Wの受け渡し時の動作は、上述した第1リニアトランスポータ42の動作と同様である。
【0039】
基板処理装置1は、基板(例えばウェハ)の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中において対象の物理量を検出する少なくとも一つのセンサ(図示せず)を備える。対象の物理量は例えば、研磨中の場合、以下の通りである。
・研磨テーブル23の回転数及び/またはトルク
・トップリング24の回転数及び/またはトルク
・トップリング24のエアバッグ圧力
・ドレッサ26の回転数及び/または荷重
・スラリ/水の流量
・アトマイザ27の流量
・アトマイザ27における窒素(N2)の流量
【0040】
対象の物理量は例えば、洗浄中の場合、以下の通りである。
・ロール回転数及び/またはトルク及び/または荷重
・ペン回転数及び/またはトルク及び/または荷重
・薬液/水の流量
・ウェハ回転数
・窒素(N2)の流量
【0041】
対象の物理量は例えば、乾燥中の場合、以下の通りである。
・窒素(N2)の流量
・イソプロピルアルコール(IPA)の流量
【0042】
基板処理装置1は、上記のセンサの一例として、テーブル回転数及び/またはトルクを検出するセンサ、トップリング回転数及び/またはトルクを検出するセンサ、トップリングエアバッグ圧力を検出するセンサ、ドレッサ回転数及び/または荷重を検出するセンサ、スラリ/水の流量を検出するセンサ、スラリ/水の流量を検出するセンサを備えてもよい。
また基板処理装置1は、洗浄装置31のロール回転数及び/またはトルク及び/または荷重を検出するセンサ、洗浄装置31のペン回転数及び/またはトルク及び/または荷重検出するセンサ、洗浄装置31の薬液/水の流量を検出するセンサ、洗浄装置31のウェハ回転数を検出するセンサを備えてもよい。
また基板処理装置1は、窒素(N2)の流量を検出するセンサ、イソプロピルアルコール(IPA)の流量を検出するセンサを備えてもよい。
【0043】
以下、ロード/アンロード部10、研磨部20、洗浄部30及び基板搬送部40を構成する部材それぞれをユニットと称する。
【0044】
図2は、本実施形態に係る制御部の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部50は、ユニット制御部51と、プロセッサ6と、記憶部7とを備える。
ユニット制御部51は、ロード/アンロード部10、研磨部20、洗浄部30及び基板搬送部40の各ユニットの動作を統括的に制御する。
【0045】
記憶部7には、学習済みの機械学習モデル71が記憶されている。この学習済みの機械学習モデル71は、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データする学習データセットを用いた学習されたものである。本実施形態では、一例として、学習データセットの出力データは、基板中の欠陥の数であるものとして説明する。ここで、特徴量は、センサの時系列値の平均、最大、最小、合計、中央値、標準偏差、分散、尖度もしくは歪度、またはセンサ値の微分値の時系列データの平均、最大、最小、合計、中央値、標準偏差、分散、尖度もしくは歪度である。
【0046】
プロセッサ6は、記憶部7から所定のプログラムを読み出して実行することによって、ユニット滞在時間計数部61、変換部62、学習部63、推論部64、回帰分析部65、受付部66として機能する。
【0047】
変換部62は、学習済みの機械学習モデルに対して、前記センサによって検出された研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する。
【0048】
学習部63は、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置を少なくとも一つを出力データする学習データセットを用いて、機械学習モデル71を学習させる。
【0049】
推論部64は、前記特徴量を含む対象データを学習済みの機械学習モデルに入力することによって、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する。
【0050】
回帰分析部65は、予め決められた回帰分析アルゴリズムに従って、複数のセンサ値それぞれについて、欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置のいずれか一つとの間で相関を表す相関パラメータ(例えば相関係数)を出力する。ここで、この回帰分析アルゴリズムは、ラッソ(least absolute shrinkage and selection operator:LASSO)回帰、リッジ(Ridge)回帰、サポートベクター回帰(Support Vector Regression:SVR)、ランダムフォレスト回帰(random forest Regression:RFR)、またはLight GBMであってもよい。回帰分析部65は、この相関パラメータ(例えば相関係数)を表示装置8に表示してもよい。これにより、基板処理装置1の作業員もしくはユーザは、相関パラメータ(例えば相関係数)を確認することができる。
【0051】
受付部66は、例えば、前記出力された相関パラメータ(例えば相関係数)を確認した作業員もしくはユーザから、機械学習モデルの入力データに含まれる特徴量の基になるセンサ値を出力するセンサを少なくとも一つ受け付ける。この際、作業員もしくはユーザは例えば、相関が高い特徴量の基になるセンサ値を出力するセンサをユーザが入力もしくは選択する。そして、学習部63は、前記受け付けたセンサのセンサ値が変換された特徴量で再度、前機械学習モデル71を学習させる。推論部64は、学習部63によって再学習後の機械学習モデルを用いて、前記予測値を出力する。この構成によれば、受付部66が、作業員もしくはユーザは例えば、相関が高い特徴量の基になるセンサ値を出力するセンサを受け付けることで、機械学習モデル71の再学習後の予測精度を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では一例として、前記機械学習モデルの学習時の入力データには、更に基板処理装置に含まれるユニット毎に計数された当該ユニットに滞在する滞在時間が含まれている。このことを前提にして、ユニット滞在時間計数部61は、当該基板処理装置1に含まれるユニット毎に、当該ユニットに滞在する滞在時間を計数する。本実施形態では一例として、前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に前記ユニット滞在時間計数部によってユニット毎に計数された当該ユニットに滞在する滞在時間が含まれる。
【0053】
本実施形態では一例として、前記機械学習モデルの学習時の入力データには、更に研磨または洗浄に用いられる部材の位置が変換された第2特徴量が含まれている。このことを前提にして、変換部62は、研磨または洗浄に用いられる部材の位置を第2特徴量に変換する。この場合、前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に変換部62によって変換された部材毎の第2特徴量が含まれている。
【0054】
本実施形態では一例として、前記機械学習モデルの学習時の入力データには、基板処理装置に含まれるユニットに対する指令値を含むレシピ情報が更に含まれている。この指令値は、上述した対象の物理量(例えば研磨テーブル23の回転数など)の設定値であり、対象の物理量の設定値それぞれは処理ステップ毎に1つの値である。このことを前提として、前記学習済みの機械学習モデルに入力される前記対象データには、更に当該基板処理装置に含まれるユニットに対する指令値を含むレシピ情報が更に含まれる。
【0055】
続いて
図3を用いて、各ユニットにおける基板の滞在時間を説明する。
図3は、本実施形態に係る各ユニットにおける滞在時間の例を示すグラフである。
図3のグラフにおいて、縦軸は処理ステップ番号であり、横軸は時間である。
図3は、以下の処理における各ユニットの滞在時間を表している。すなわち、搬送ロボット12が基板をリフター41に渡し、その後に第1リニアトランスポータ42の搬送ハンド45Aがリフター41から基板を取り出し、搬送ハンド45Aが第2搬送位置TP2で研磨装置21Aに基板Wを受け渡す。そして研磨装置21Aでの研磨後、第1リニアトランスポータ42の搬送ハンド45Dは研磨装置21Aから基板を受け取り、第四搬送位置TP4でスイングトランスポータ44に基板Wを受け渡し、スイングトランスポータ44は受け取った基板を上下反転して仮置き台47に載置する。その後、搬送ロボット35の下側のハンドが基板Wを受け取り、洗浄装置31Aに搬送する。そして洗浄装置31Aでの洗浄後、搬送ロボット35の上側のハンドが洗浄装置31Aから基板Wを取り出し、洗浄装置31Bに搬送する。そして洗浄装置31Bでの洗浄後、搬送ロボット36のハンドが洗浄装置31Bから基板Wを取り出し、基板乾燥装置32に搬送する。そして基板乾燥装置32での乾燥後、搬送ロボット12が基板乾燥装置32から基板を取り出す。
【0056】
図3において、TRBDsは研磨工程前における搬送ロボット12のハンドにおける基板の滞在時間であり、TLFTはリフター41における基板の滞在時間であり、TLTP1は第1リニアトランスポータ42の搬送ハンド45Aにおける基板の滞在時間であり、TPoliAは、研磨装置21Aにおける基板の滞在時間である。この研磨装置21Aにおける基板の滞在時間TPoliAには、研磨工程の時間だけでなく待機時間も含まれている。この待機時間も、更に機械学習モデルの学習及び推論の入力データとして用いてもよい。TLTP3は、第1リニアトランスポータ42の搬送ハンド45Dにおける基板の滞在時間であり、TSTPはスイングトランスポータ44における基板の滞在時間であり、TWS1は仮置き台における基板の滞在時間であり、TRB1Lは搬送ロボット35の下側のハンドにおける基板の滞在時間であり、TCL1Aは洗浄装置31Aにおける基板の滞在時間であり、TRB1LUは搬送ロボット35の上側のハンドにおける基板の滞在時間であり、TCL3Aは洗浄装置31Bにおける基板の滞在時間であり、TRB3は搬送ロボット36のハンドにおける基板の滞在時間であり、TCL4Aは基板乾燥装置32における基板の滞在時間であり、TRBDeは乾燥後の搬送ロボット12のハンドにおける基板の滞在時間である。
【0057】
図3に示すように、研磨工程には、複数の処理ステップがあり、第1洗浄工程にも複数の処理ステップがあり、第2洗浄工程にも複数の処理ステップがあり、乾燥工程にも複数の処理ステップある。これらのそれぞれに処理ステップには、処理ステップが識別できるように、処理ステップ番号が割り当てられている。ここで、これらの処理ステップが1~N番目(すなわち処理ステップ番号が1~N、Nは自然数)まであるとして以下説明する。
【0058】
続いて
図4及び
図5を用いて、機械学習モデルに入力される入力データに含まれる特徴量のデータ構造の一例について説明する。ここで基板処理装置1において、センサD1~センサDMまでのM個(Mは自然数)のセンサがあるものとして説明する。
図4は、機械学習モデルに入力される入力データに含まれる特徴量のデータ構造の一例である。
図4に示すように、センサD1の値の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。同様に、センサD2の値の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表され、センサDMの値の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。このように、機械学習モデルに入力される入力データに含まれるセンサDi(iは1からMまでの整数)の値の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。
【0059】
ここで、上述した基板処理装置1が備える部材それぞれを、部材U1~UL(Lは自然数)と称するものとして説明する。プロセッサ6は例えば、基板処理装置1が備える部材1~Lの位置を、時系列で記憶部7に記憶する。この部材U1~ULの位置は、ユニット制御部51が部材U1~ULに対する動作を指令する指令信号から予め決められた換算式で算出されてもよいし、指令信号と位置の既知の対応関係から決定されてもよいし、センサで検知された位置であってもよい。
図4に示すように、部材U1の位置の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。同様に、部材U2の位置の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。同様に、部材ULの位置の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。このように、機械学習モデルに入力される入力データに含まれる部材Uj(jは1からLまでの整数)の位置の特徴量は、処理ステップ1~Nまでの特徴量をそれぞれ要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。
【0060】
図5は、機械学習モデルに入力される入力データに含まれるユニット毎の滞在時間のデータ構造の一例である。
図5に示すように、機械学習モデルに入力される入力データに含まれるユニット毎の滞在時間は、上記のユニット毎の基板の滞在時間それぞれを要素としてもつ配列(またはベクトル)で表される。
【0061】
続いて
図6A及び
図6Bを用いて機械学習モデル71の学習工程と推論工程の一例を説明する。
図6Aは、機械学習モデルの学習工程の一例を説明するための模式図である。
図6Bは、機械学習モデルの推論工程の一例を説明するための模式図である。
図6Aに示すように、学習工程では、
図4で上述した、処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が入力データとし基板の欠陥の数を出力データとする学習データセットを用いて機械学習モデル71が学習する。
図6Bに示すように、推論工程では、対象の基板について処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が機械学習モデル71に入力されると、対象の基板の欠陥の数が出力される。ここでこの推論工程での特徴量は、学習工程での特徴量と同種のものである。
【0062】
なお、処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列を、機械学習の入力データとしたが、いずれか一つであってもよいし、いずれか二つの組み合わせであってもよい。
【0063】
図7は、欠陥の数の実測値と欠陥の数の予測値とを比較するグラフの一例である。
図7において、縦軸が欠陥の数の予測値で、横軸が欠陥の数の実測値であり、研磨装置21A、21B、21C、21D毎に、プロットの濃淡を変えてプロットされている。プロット群が破線L1に近づいて分布すればするほど、欠陥の数の予測精度が高い。
図7に示すように、いずれの研磨装置でもプロット群が破線L1に近づいて分布しており、いずれの研磨装置でも欠陥の数の予測精度が高いことが示されている。
【0064】
以上、本実施形態に係る基板処理装置1は、基板の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中において対象の物理量 を検出する少なくとも一つのセンサと、学習済みの機械学習モデルに対して、前記センサによって検出された研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部62と、前記特徴量を含む対象データを学習済みの機械学習モデル71に入力することによって、基板中の欠陥の数の予測値を出力する推論部64と、を備える。この学習済みの機械学習モデル71は、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数を出力データする学習データセットを用いた学習されたものである。
【0065】
この構成によれば、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値が得られるので、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板が不良品であるか否かを推定することができる。
【0066】
<機械学習モデルの変形例1>
続いて
図8A及び
図8Bを用いて機械学習モデル71の学習工程と推論工程の変形例1を説明する。
図8Aは、機械学習モデルの学習工程の変形例1を説明するための模式図である。
図8Bは、機械学習モデルの推論工程の変形例1を説明するための模式図である。
図8Aに示すように、学習工程では、
図4で上述した、処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が入力データとし基板の欠陥の数及び基板の欠陥のサイズを出力データとする学習データセットを用いて機械学習モデル71が学習する。
図8Bに示すように、推論工程では、対象の基板について処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が機械学習モデル71に入力されると、対象の基板の欠陥の数及び対象の基板の欠陥のサイズが出力される。この推論工程での特徴量は、学習工程での特徴量と同種のものである。
【0067】
<機械学習モデルの変形例2>
続いて
図9A及び
図9Bを用いて機械学習モデル71の学習工程と推論工程の変形例2を説明する。
図9Aは、機械学習モデルの学習工程の変形例2を説明するための模式図である。
図8Bは、機械学習モデルの推論工程の変形例2を説明するための模式図である。
図9Aに示すように、学習工程では、
図4で上述した、処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が入力データとし基板の欠陥の数及び基板の欠陥の位置を出力データとする学習データセットを用いて機械学習モデル71が学習する。
図9Bに示すように、推論工程では、対象の基板について処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が機械学習モデル71に入力されると、対象の基板の欠陥の数及び対象の基板の欠陥の位置が出力される。ここでこの推論工程での特徴量は、学習工程での特徴量と同種のものである。
【0068】
<機械学習モデルの変形例3>
続いて
図10A及び
図10Bを用いて機械学習モデル71の学習工程と推論工程の変形例3を説明する。
図10Aは、機械学習モデルの学習工程の変形例3を説明するための模式図である。
図10Bは、機械学習モデルの推論工程の変形例3を説明するための模式図である。
図10Aに示すように、学習工程では、
図4で上述した、処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が入力データとし基板の欠陥の数、基板の欠陥のサイズ及び基板の欠陥の位置を出力データとする学習データセットを用いて機械学習モデル71が学習する。
図9Bに示すように、推論工程では、対象の基板について処理ステップ毎の特徴量の配列1つ以上、レシピ情報、及びユニット毎の滞在時間の配列が機械学習モデル71に入力されると、対象の基板中の欠陥の数、対象の基板中の欠陥のサイズ及び対象の基板中の欠陥の位置が出力される。ここでこの推論工程での特徴量は、学習工程での特徴量と同種のものである。
【0069】
なお、変形例1~3の出力データの組み合わせだけに限らず、推論部64は、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうちの一つ、もしくはいずれか2つを出力してもよい。このように、推論部64は、前記特徴量を含む対象データを学習済みの機械学習モデルに入力することによって、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力してもよい。
【0070】
本実施形態では、基板処理装置1がプロセッサ6と記憶部7を備えたが、これに限ったものではない。
<本実施形態の変形例1>
図11Aは、本実施形態の変形例1に係る概略構成図である。
図11Aに示すように、基板処理装置1と情報交換可能に接続している情報処理システムS1を備え、情報処理システムS1はプロセッサ6と機械学習モデル71が記憶された記憶部7を有し、このプロセッサ6は、記憶部7からプログラムを読み出して実行することによって、ユニット滞在時間計数部61、変換部62、学習部63、推論部64、回帰分析部65、受付部66として機能してもよい。
【0071】
<本実施形態の変形例2>
図11Bは、本実施形態の変形例2に係る概略構成図である。
図11Bに示すように、基板処理装置1と通信回路網CNを介して情報交換可能に接続している情報処理システムS1を備え、情報処理システムS1はプロセッサ6と機械学習モデル71が記憶された記憶部7を有し、このプロセッサ6は、記憶部7から所定のプログラムを読み出して実行することによって、ユニット滞在時間計数部61、変換部62、学習部63、推論部64、回帰分析部65、受付部66として機能してもよい。
【0072】
<本実施形態の変形例3>
図12Aは、本実施形態の変形例3に係る概略構成図である。
図12Aに示すように、基板処理装置1と通信回路網CNを介して情報交換可能に接続しているサーバ70を備え、基板処理装置1はプロセッサ6と所定のプログラムが記憶された記憶部7aを有し、サーバ70は機械学習モデル71が記憶された記憶部7bを有してもよい。この場合、基板処理装置1のプロセッサ6は、記憶部7aから所定のプログラムを読み出して実行することによって、ユニット滞在時間計数部61、変換部62、学習部63、推論部64、回帰分析部65、受付部66として機能し、推論部64は、サーバ70の学習済みの機械学習モデル71に前記特徴量を含む対象データに入力することによって、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力してもよい。
【0073】
<本実施形態の変形例4>
図12Aは、本実施形態の変形例3に係る概略構成図である。
図12Aに示すように、基板処理装置1と情報処理システムS3を備える構成であってもよく、情報処理システムS3は、基板処理装置1と情報交換可能に接続している情報処理装置60と、情報処理装置60と通信回路網CNを介して情報交換可能に接続しているサーバ70を有してもよい。この場合、情報処理装置60はプロセッサ6と所定のプログラムが記憶された記憶部7aを有し、サーバ70は機械学習モデル71が記憶された記憶部7bを有してもよい。ここで情報処理装置60のプロセッサ6は、記憶部7aから所定のプログラムを読み出して実行することによって、ユニット滞在時間計数部61、変換部62、学習部63、推論部64、回帰分析部65、受付部66として機能し、推論部64は、サーバ70の学習済みの機械学習モデル71に前記特徴量を含む対象データに入力することによって、対象の基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力してもよい。
【0074】
このように情報処理システムS1、S2、S3は、学習済みの機械学習モデルに対して、学習済みの機械学習モデルに対して、基板処理装置1が備えるセンサによって検出された、基板の研磨中及び/または洗浄中及び/または乾燥中のセンサ値を処理ステップ毎に特徴量に変換する変換部62と、前記特徴量を含む対象データを入力することによって、基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、基板中の欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値を出力する推論部64と、を備えてもよい。ここでこの学習済みの機械学習モデルは、対象の生産ラインもしくは当該対象の生産ラインと同種の生産ラインにおいてセンサによって検出された研磨中及び/または洗浄中のセンサ値が処理ステップ毎に変換された特徴量を含む入力データとし且つ基板中の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置を少なくとも一つを出力データする学習データセットを用いた学習されたものである。
【0075】
この構成によれば、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板の欠陥の数、欠陥のサイズ、欠陥の位置のうち少なくとも一つの予測値が得られるので、欠陥検査装置で検査することなく基板処理後の基板が不良品であるか否かを推定することができる。
【0076】
なお、上述した実施形態で説明した情報処理システムS1、S2、S3またはプロセッサ6の少なくとも一部の機能は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムS1、S2、S3またはプロセッサ6の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0077】
また、情報処理システムS1、S2、S3またはプロセッサ6の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0078】
さらに、一つまたは複数の情報機器によって情報処理システムS1、S2、S3を機能させてもよい。複数の情報機器を用いる場合、そのうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムS1、S2、S3の少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0079】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 基板処理装置
50 制御部
51 ユニット制御部
6 プロセッサ
61 ユニット滞在時間計数部
62 変換部
63 学習部
64 推論部
65 回帰分析部
66 受付部
7 記憶部
71 機械学習モデル
8 表示装置
S1、S2、S3 情報処理システム