(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191110
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】連続式洗浄装置の構成方法、及び、連続式洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H01L21/304 648J
H01L21/304 643A
H01L21/304 644B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021099789
(22)【出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 直子
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA99
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB90
5F157BA07
5F157BA08
5F157CC31
5F157CF86
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】 洗浄装置に求められる各種の仕様に柔軟に対応することが可能な新規な技術を提案する。
【解決手段】被洗浄物(ウェーハ10)に対しそれぞれ種類の異なる洗浄が可能であり、隣り合う洗浄装置1~3間でウェーハ10を搬送可能な搬送ユニット13,23,33を備える複数の洗浄装置から任意で選択される複数の洗浄装置1~3を、任意の順で配列することによる連続式洗浄装置50の構成方法とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物に対しそれぞれ種類の異なる洗浄が可能であり、隣り合う洗浄装置間で被洗浄物を搬送可能な搬送ユニットを備える複数の洗浄装置から任意で選択される複数の洗浄装置を、任意の順で配列することによる連続式洗浄装置の構成方法。
【請求項2】
該搬送ユニットは、
上流隣にある洗浄装置から、当該搬送ユニットが設けられる洗浄装置への該被洗浄物の搬送が可能であり、かつ、
当該搬送ユニットが設けられる洗浄装置から、下流隣にある洗浄装置への該被洗浄物の搬送が可能である、ように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続式洗浄装置の構成方法。
【請求項3】
該搬送ユニットは、
下流隣にある洗浄装置へ該被洗浄物を搬出する搬出ユニットと、
上流隣にある洗浄装置の該搬出ユニットから該被洗浄物が受け渡される搬入ユニットと、
を有して構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続式洗浄装置の構成方法。
【請求項4】
該被洗浄物はテープに貼着されるとともに該テープの外周が環状フレームに固定された状態で洗浄され、
該搬送ユニットは、該環状フレームを保持する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の連続式洗浄装置の構成方法。
【請求項5】
被洗浄物に対しそれぞれ種類の異なる洗浄が可能であり、隣り合う洗浄装置間で被洗浄物を搬送可能な搬送ユニットを備える複数の洗浄装置を配列してなる連続式洗浄装置であって、
各洗浄装置は、任意の順で配列可能に構成される、連続式洗浄装置。
【請求項6】
該搬送ユニットは、
上流隣にある洗浄装置から、当該搬送ユニットが設けられる洗浄装置への該被洗浄物の搬送が可能であり、かつ、
当該搬送ユニットが設けられる洗浄装置から、下流隣にある洗浄装置への該被洗浄物の搬送が可能である、ように構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の連続式洗浄装置。
【請求項7】
該搬送ユニットは、
下流隣にある洗浄装置へ該被洗浄物を搬出する搬出ユニットと、
上流隣にある洗浄装置の該搬出ユニットから該被洗浄物が受け渡される搬入ユニットと、
を有して構成される、
ことを特徴とする請求項6に記載の連続式洗浄装置。
【請求項8】
該被洗浄物はテープに貼着されるとともに該テープの外周が環状フレームに固定された状態で洗浄され、
該搬送ユニットは、該環状フレームを保持する、
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の連続式洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の洗浄装置から連続式洗浄装置を構成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体デバイスの製造工程では、被加工物であるウェーハに対し、裏面研削、ブレード切削、レーザ加工等の各種加工が行われ、加工後に加工で生じた加工屑を除去するために洗浄される。
【0003】
洗浄方法としては、高圧流体による高圧洗浄、水とエアーの混合流体を利用した2流体洗浄、超音波洗浄や各種有機溶剤による洗浄等々、様々な洗浄方法があり、被加工物の種類によっては複数の洗浄が施される(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-109324公報
【特許文献2】特開2021-044465号公報
【特許文献3】特開2016-073934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、洗浄方法には様々な方法があり、また、要求される洗浄レベルも被洗浄物の種類や加工種類によって異なるものである。また、設置される工場の製造ラインの設計や、顧客の要求によっても仕様が異なるものであった。
【0006】
このため、従来は様々な要求に個別に対応するために専用の設計をする必要があり、設計のための工数はもちろんのこと、専用に設計された装置は汎用性も低く生産性が悪いという問題がある。また、装置の受注から納品までのリードタイムも長期化するものであり、短期での設置の要求にも応じ難いものとなる。
【0007】
そこで、本発明は以上の問題に鑑み、洗浄装置に求められる各種の仕様に柔軟に対応することが可能な新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
本発明の一態様によれば、被洗浄物に対しそれぞれ種類の異なる洗浄が可能であり、隣り合う洗浄装置間で被洗浄物を搬送可能な搬送ユニットを備える複数の洗浄装置から任意で選択される複数の洗浄装置を、任意の順で配列することによる連続式洗浄装置の構成方法とする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、搬送ユニットは、上流隣にある洗浄装置から、当該搬送ユニットが設けられる洗浄装置への該被洗浄物の搬送が可能であり、かつ、当該搬送ユニットが設けられる洗浄装置から、下流隣にある洗浄装置への該被洗浄物の搬送が可能である、ように構成される、こととする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、該搬送ユニットは、下流隣にある洗浄装置へ該被洗浄物を搬出する搬出ユニットと、上流隣にある洗浄装置の該搬出ユニットから該被洗浄物が受け渡される搬入ユニットと、を有して構成される、こととする。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、該被洗浄物はテープに貼着されるとともに該テープの外周が環状フレームに固定された状態で洗浄され、該搬送ユニットは、該環状フレームを保持する、こととする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、被洗浄物に対しそれぞれ種類の異なる洗浄が可能であり、隣り合う洗浄装置間で被洗浄物を搬送可能な搬送ユニットを備える複数の洗浄装置を配列してなる連続式洗浄装置であって、各洗浄装置は、任意の順で配列可能に構成される、連続式洗浄装置とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
即ち、本発明の一態様によれば、種類の異なる洗浄方法に対応する複数の洗浄装置を予め準備し、被洗浄物の種類に応じて洗浄方法と洗浄順番を選定し、選定した洗浄方法と順番に応じて準備しておいた洗浄装置を連結することで、連続式洗浄装置を構成するものとする。これにより、種類の異なる複数の洗浄工程を、任意の順番で組合せて一つの連続式洗浄装置を構成することができ、洗浄装置に求められる各種の仕様に柔軟に対応することが可能となる。また、各洗浄装置をユニット化して、部品の共通化を図ることにより、汎用性、生産性も高くすることができ、短納期での設置の要求にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】被洗浄物の一例であるダイシング加工後のウェーハについて示す図。
【
図2】複数の洗浄装置を配列し連続式洗浄装置を構成する例について示す平面概要図。
【
図3】複数種類の洗浄工程が行われる例について示す図。
【
図4】ウェーハユニットを仮置する仮置テーブルを設けた洗浄装置の例について示す平面概要図。
【
図5】ウェーハ単体でハンドリングされる例について示す図。
【
図6】(A)は、パッド洗浄について説明する図。(B)は、純水による洗浄について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は被洗浄物の一例であるダイシング加工後のウェーハ10について示すものである。
ウェーハ10はシリコンウェーハ等であって、格子状に設定された分割予定ライン10sに沿ってダイシング加工が施され、チップ10cに個片化されている。各チップ10cの表面には、ICやLSI等のデバイス10dが形成される。
【0019】
ウェーハ10は、環状の環状フレームFの内側に配設され、テープTを介して環状フレームFに一体に支持され、ウェーハユニットUを構成する。
【0020】
テープTは、いわゆるダイシングテープであり、基材の片面に、粘着層が形成されたものが用いられる。基材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等の合成樹脂シートが挙げられる。また、粘着層を形成する粘着材は、感圧糊の他、紫外線の照射を受けることにより硬化する紫外線硬化型の樹脂が用いられ、テープTが感圧型や紫外線硬化型の粘着テープとして構成される。
【0021】
なお、ダイシング加工について、
図1の例では切削加工がされて分割起点が形成されたウェーハを示すものであるが、この他、レーザ加工によるアブレーション加工や、ウェーハ内部に改質層を形成するSD加工などであってもよい。また、ウェーハは研削加工が施されたものあってもよい。また、被洗浄物としては、シリコンウェーハの他、ガラス、樹脂、セラミクス、LT/LN基板等でもよい。また、ウェーハは環状フレームに固定されずに、ウェーハ単体でハンドリングされるものであってもよい。
【0022】
図2は、複数の洗浄装置を組み合わせて連続式洗浄装置50を構成する例について示す平面概要図である。
図2に示すように、本発明は、被洗浄物であるウェーハ10に対しそれぞれ種類の異なる洗浄が可能であり、隣り合う洗浄装置1~3間でウェーハ10を搬送可能な搬送ユニット13,23,33を備える複数の洗浄装置から任意で選択される複数の洗浄装置1~3を、任意の順で配列することによる連続式洗浄装置50の構成方法を実施するものである。
【0023】
図2の例では、第1洗浄装置1と、第2洗浄装置2と、第3洗浄装置3の3つの洗浄装置を組み合わせて連続式洗浄装置50が構成されるものであり、
図3に示すように、ウェーハユニットUが第1洗浄装置1、第2洗浄装置2、第3洗浄装置3の順に搬送されて、複数の洗浄工程を経るように構成される。なお、洗浄装置の台数については特に限定されるものではなく、少なくとも2台の洗浄装置を組み合わせることで本発明が実施される。
【0024】
図2に示すように、各洗浄装置1~3では、それぞれ異なる洗浄が実行されるものである。洗浄の種類としては、例えば、純水とドライエアーを混合した2流体による2流体洗浄、高圧洗浄、アルカリ洗浄、パッド洗浄、純水超音波洗浄、などである。
【0025】
図2は、各洗浄装置1~3を上からみた平面概要図であり、各洗浄装置1~3の筐体11,21,31に形成された洗浄空間11a,21a,31a内には、ウェーハユニットUを保持するとともに、水平面内で回転させるための保持テーブル12,22,32がそれぞれ設けられる。保持テーブル12,22,32は、ウェーハユニットUを下側から保持してウェーハ10を上方に露出させ、ウェーハ10の上面を洗浄可能とする。なお、この他にウェーハを保持する形態として、ウェーハユニットUを吊り下げるように保持し、ウェーハ10を下方に向けて露出させて逆さ洗浄が実施される形態なども採用し得る。
【0026】
各洗浄装置1~3には、保持テーブル12,22,32に対しウェーハユニットUを搬入、搬出するための搬送ユニット13~33がそれぞれ設けられる。搬送ユニット13は、基端部が筐体11に昇降可能、かつ、回動可能に支持される第一旋回アーム13aと、第一旋回アーム13aの先端に連結される第二旋回アーム13bと、第二旋回アーム13bの先端に吊設されるフレーム保持機構13cと、を有して構成される。各構成部は図示せぬモータにより駆動され、角度変更や昇降動作がなされる。他の搬送ユニット23,33も搬送ユニット13と同様に構成される。
【0027】
フレーム保持機構13cは、略H字型のブラケット13dの4箇所の先端に吸着パッド13eを有して構成される。吸着パッド13eは、ウェーハユニットUの環状フレームFを吸着保持する。
【0028】
各洗浄装置はユニット化され、任意の順番で配列した場合にも、ウェーハユニットを搬送できるように構成される。また、各洗浄装置を構成する各種部品は、共通のものを使用することにより、汎用性、生産性も高くすることができる。例えば、筐体、搬送ユニット、保持テーブル等は、各洗浄装置で共通の構成とすることができ、部品調達、製造、メンテナンスの観点を考慮した構成が実現される。また、隣り合う洗浄装置を物理的に連結や、位置出しをするために、筐体に連結用の係合部や、位置決め用のアンカーを設けることとしてもよい。
【0029】
以上の構成において、ウェーハユニットUの搬送は、次のようにして行われる。
洗浄前のウェーハユニットUは、洗浄装置1の搬送ユニット13により、保持テーブル12へと搬送される。洗浄装置1によって洗浄後、ウェーハユニットUは、隣り合う洗浄装置2の搬送ユニット23により、洗浄装置1の保持テーブル12から洗浄装置2の保持テーブル22へと搬送される。同様に、洗浄装置2によって洗浄後、ウェーハユニットUは、隣り合う洗浄装置3の搬送ユニット33により、洗浄装置2の保持テーブル22から、洗浄装置3の保持テーブル32へと搬送される。同様に、洗浄装置3によって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置3の搬送ユニット33により、洗浄装置3の保持テーブル32から搬出される。
【0030】
このように、
図2に示す構成例では、例えば、搬送ユニット23は、上流隣にある洗浄装置1から、搬送ユニット23が設けられる洗浄装置2への被洗浄物の搬送が可能であり、かつ、搬送ユニット23が設けられる洗浄装置2から、下流隣にある洗浄装置3への被洗浄物の搬送が可能である、ように構成されるものとしている。
【0031】
また、上記に代えて、ウェーハユニットUの搬送は、次のようにして行うことも可能である。
洗浄前のウェーハユニットUは、洗浄装置1の搬送ユニット13により、保持テーブル12へと搬送される。洗浄装置1によって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置1の搬送ユニット13により、洗浄装置1の保持テーブル12から洗浄装置2の保持テーブル22へと搬送される。同様に、洗浄装置2によって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置2の搬送ユニット23により、洗浄装置2の保持テーブル22から、洗浄装置3の保持テーブル32へと搬送される。同様に、洗浄装置3によって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置3の搬送ユニット33により、洗浄装置3の保持テーブル32から搬出される。なお、最初の洗浄が行われる保持テーブル12へは、オペレータによる手作業によりウェーハユニットUが搬入されることとしてもよい。
【0032】
図4は、ウェーハユニットUを仮置する仮置テーブル15,25,35を設けた洗浄装置1A~3Aを組み合わせ、連続式洗浄装置50Aを構成する例について示す図である。
【0033】
この例では、各洗浄装置1A~3Aについて、ウェーハユニットUを仮置する仮置テーブル15,25,35がそれぞれ設けられ、各洗浄装置間を移動する際に、ウェーハユニットUを仮置して、洗浄装置間でウェーハユニットUの受け渡しが行なわれる。
【0034】
洗浄装置1Aには、搬入用の搬入ユニット13Aと搬出用の搬出ユニット13Bが設けられる。搬入ユニット13Aは、第一旋回アーム13Aaと、第一旋回アーム13Aaの先端に連結される第二旋回アーム13Abと、第二旋回アーム13Abの先端に吊設されて環状フレームFを吸着保持するフレーム保持機構13Acと、を有して構成される。他の搬入ユニット23A,33Aも搬入ユニット13Aと同様に構成される。
【0035】
搬出ユニット13Bは、第一旋回アーム13Baと、第一旋回アーム13Baの先端に連結される第二旋回アーム13Bbと、第二旋回アーム13Bbの先端に吊設されて環状フレームFを吸着保持するフレーム保持機構13Bcと、を有して構成される。他の搬出ユニット23B,33Bも搬出ユニット13Bと同様に構成される。
【0036】
以上の構成において、ウェーハユニットUの搬送は、次のようにして行われる。
仮置テーブル15に搬入された洗浄前のウェーハユニットUは、洗浄装置1Aの搬入ユニット13Aにより、保持テーブル12Aへと搬送される。洗浄装置1Aによって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置1Aの搬出ユニット13Bにより、隣り合う洗浄装置2Aの仮置テーブル25へと搬出される。同様に、洗浄装置2Aの搬入ユニット23Aにより、保持テーブル22Aへと搬送される。洗浄装置2Aによって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置2Aの搬出ユニット33Bにより、隣り合う洗浄装置3Aの仮置テーブル35へと搬出される。同様に、洗浄装置3Aの搬入ユニット33Aにより、保持テーブル32Aへと搬送される。洗浄装置3Aによって洗浄後、ウェーハユニットUは、洗浄装置3Aの搬出ユニット33Bにより、洗浄装置3Aの保持テーブル32Aから搬出される。
【0037】
なお、
図2に示す構成において、仮置テーブルを設ける構成としてもよい。すなわち、最上流の洗浄装置1と最下流の洗浄装置3に仮置テーブルを設け、間の洗浄装置2には仮置きテーブルがないものとし、連続式洗浄装置50に供給される被洗浄物(ウェーハユニットU)が最上流の洗浄装置1の仮置きテーブルを介して搬入され、連続式洗浄装置50で洗浄された被洗浄物(ウェーハユニットU)が最下流の洗浄装置3の仮置きテーブルに搬出されるようにしてもよい。或いは、
図4に示す構成においても、最上流の洗浄装置1と最下流の洗浄装置3に仮置テーブルを設け、間の洗浄装置2には仮置きテーブルがないものとしてもよい。この場合、洗浄装置1Aの搬出ユニット13Bと、洗浄装置2Aの搬入ユニット23Aによる被洗浄物(ウェーハユニットU)の受け渡しを可能に構成する。
【0038】
図5は、ウェーハ10単体でハンドリングされる場合に適用される組み合わせ洗浄装置50Bついて示す図である。
【0039】
洗浄装置1Bは、ウェーハ10の上面側を非接触で保持するベルヌーイパッド13vを有する搬入ユニット13Cと、ウェーハ10の下面を保持する吸着アーム13wを有する搬出ユニット13Dと、を有して構成される。搬入ユニット13C、及び、搬出ユニット13Dは、それぞれ昇降可能、かつ、旋回可能に構成される。洗浄装置2B,3Bも同様に構成される。
【0040】
洗浄装置1Bの保持テーブル12Bは、ウェーハ10よりも小さい直径を有して構成される。保持テーブル12Bの支持軸に吸着アーム13wのU字状先端を下側から差し込むとともに上方に移動させることで、保持テーブル12Bに保持されたウェーハ10を搬出ユニット13Dにより持ち上げて保持することができる。
【0041】
吸着アーム13wに載置されたウェーハ10は、隣り合う洗浄装置2Bの搬入ユニット23Cによって吸着保持されて受け渡される。このように、
図4の構成においては、隣り合う洗浄装置において、搬出ユニット13Dと搬入ユニット23Cによりウェーハ10の受け渡しを行うものである。
【0042】
このように、
図5に示す構成例では、例えば、洗浄装置2Bにおいては、搬送ユニットは、下流隣にある洗浄装置3Bへ被洗浄物を搬出する搬出ユニット23Dと、上流隣にある洗浄装置1Bの搬出ユニット13Dから被洗浄物が受け渡される搬入ユニット23Cと、を有して構成される、こととしている。
【0043】
以上のように、複数の洗浄装置を順に組み合わせることで、
図1に示すような一つの連続式洗浄装置50を構成するものである。
図1の例では、それぞれ異なる洗浄を行う4種類の洗浄装置が準備され、そのなかから必要な洗浄を遂行するための3種類の洗浄装置1~3を選定して、一つの連続式洗浄装置50が構成されるものとしている。
【0044】
図3の例では、洗浄装置1~3が選定され、パッド洗浄、アルカリ洗浄、2流体洗浄が順に行われるものである。以下、各洗浄について説明する。
【0045】
図6(A)(B)は、洗浄装置1によるパッド洗浄について説明する図である。このパッド洗浄は、
図3に示す1つ目の洗浄装置1で行われるものである。
まず、洗浄装置1の構成について説明すると、筐体11内には、上側が開放される洗浄受け容器61が設けられ、洗浄受け容器61内に保持テーブル12が回転可能に設けられる。保持テーブル12は、電動モータ62の出力軸64の上端に固定され、所定の回転数で回転する。
【0046】
保持テーブル12の上面は、図示せぬ吸引源に接続されて負圧が生じる吸着面として構成され、ウェーハ10がテープTを介して吸着保持される。なお、ウェーハ10はダイシング加工が施された様子を示している。
【0047】
保持テーブル12の周縁部には、円周方向に等間隔でクランプ12aが設けられ、保持テーブル12の回転による遠心力によりクランプ12aが傾いて、ウェーハユニットUの環状フレームFがクランプ12aにより固定される。
【0048】
洗浄受け容器61内であって、保持テーブル12の外側には、ウェーハ10の上面に過酸化水素水、有機酸、防腐剤等に砥粒を含むスラリー71aを供給するためのスラリー供給ノズル71が設けられる。
【0049】
洗浄受け容器61内であって、保持テーブル12の外側には、複数の旋回軸65a,65bが設けられ、洗浄受け容器61の下部には、各旋回軸65a,65bを回転させるためのモータ66a,66bが設けられる。
【0050】
図6(A)に示すように、旋回軸65aの上端には旋回アーム72が水平方向に伸びるように固定され、旋回アーム72の先端には、ウェーハ10の上面に接触させる不織布や発泡ウレタンからなるパッド72aが設けられる。なお、旋回軸65aは、上下移動可能に構成され、ウェーハ10の上面に対するパッド72aの接触圧を変更可能に構成することとしてもよい。
【0051】
図6(B)に示すように、旋回軸65bの上端には旋回アーム73が水平方向に伸びるように固定され、旋回アーム73の先端には、ウェーハ10の上面に純水73bを供給するための純水供給ノズル73aが設けられる。
【0052】
以上の構成により、まず
図6(A)に示すように、保持テーブル12にてウェーハユニットUのテープTを吸着保持するとともに、保持テーブル12を回転させることで、環状フレームFがクランプ12aで固定される。次いで、スラリー供給ノズル71からスラリー71aを供給しつつ、パッド72aをウェーハ10の上面に当てながら旋回アーム72を旋回させることで、ウェーハ10の上面がパッド72aで洗浄される。
【0053】
パッド72aによる洗浄を行った後、
図6(B)に示すように、純水供給ノズル73aから純水73bをウェーハ10の上面に供給しつつ、旋回アーム73を旋回させることで、ウェーハ10の上面が純水73bで洗浄される。
【0054】
パッド洗浄が行われた後は、
図3に示すように、洗浄装置2に搬送されてアルカリ洗浄が行われる。
図7は、洗浄装置2によるアルカリ洗浄について説明する図である。このアルカリ洗浄は、
図3に示す2つ目の洗浄装置2で行われるものである。
【0055】
洗浄装置2では、旋回軸65cの上端に旋回アーム74が水平方向に伸びるように固定され、旋回アーム74の先端には、ウェーハ10の上面に接触させるスポンジ74aが設けられる。旋回アーム74内にはアルカリ水74bの供給路が設けられ、スポンジ74aの内側からアルカリ水74bが放出されるように構成される。その他の構成は、
図6(A)と略同等であるため、説明を省略する。
【0056】
以上の構成により、保持テーブル12にてウェーハユニットUのテープTを吸着保持するとともに、保持テーブル12を回転させることで、環状フレームFがクランプ12aで固定される。次いで、スポンジ74aの中央からアルカリ水を供給しつつ、スポンジ74aをウェーハ10の上面に当てながら旋回アーム74を旋回させることで、ウェーハ10の上面がアルカリ水74bで洗浄される。
【0057】
アルカリ洗浄が行われた後は、
図3に示すように、洗浄装置3に搬送されて2流体洗浄が行われる。
図8は、洗浄装置3による2流体洗浄について説明する図である。この2流体洗浄は、
図3に示す3つ目の洗浄装置3で行われるものである。
【0058】
洗浄装置3では、旋回軸65dの上端に旋回アーム75が水平方向に伸びるように固定され、旋回アーム75の先端には、ウェーハ10の上面に2流体を供給する2流体供給ノズル75aが設けられる。旋回アーム75内には2流体75bの供給路が設けられ、2流体供給ノズル75aから2流体75bが噴射されるように構成される。2流体75bは、エアーの流れに洗浄水(例えば純水)を合流させることで、エアーと洗浄水を混合させたものである。その他の構成は、
図6(A)と略同等であるため、説明を省略する。
【0059】
以上に説明した構成において、例えば、次のようにして連続式洗浄装置を構成することができる。
図1に示すように、被洗浄物に対しそれぞれ種類の異なる洗浄を行う複数の洗浄装置を準備する準備ステップと、被加工物に施すべき2以上の洗浄の種類と、各洗浄の順番を選定する選定ステップと、選定ステップに基づいて被加工物が搬送されるように洗浄装置を配列して複数の洗浄装置からなる連続式洗浄装置を構成する組み付けステップと、を実施するものとする。
【0060】
このように、種類の異なる洗浄方法に対応する複数の洗浄装置を予め準備し、被洗浄物の種類に応じて洗浄方法と洗浄順番を選定し、選定した洗浄方法と順番に応じて準備しておいた洗浄装置を連結することで、連続式洗浄装置を構成するものとする。これにより、種類の異なる複数の洗浄工程を、任意の順番で組合せて一つの連続式洗浄装置を構成することができ、洗浄装置に求められる各種の仕様に柔軟に対応することが可能となる。また、各洗浄装置をユニット化して、部品の共通化を図ることにより、汎用性、生産性も高くすることができ、短納期での設置の要求にも対応できる。
【符号の説明】
【0061】
1 第1洗浄装置
2 第2洗浄装置
3 第3洗浄装置
10 ウェーハ
10c チップ
11 筐体
1 2 保持テーブル
13 搬送ユニット
13a 第一旋回アーム
13b 第二旋回アーム
13c フレーム保持機構
13d ブラケット
13e 吸着パッド
13v 吸着パッド
13w 吸着アーム
15 仮置テーブル
22 保持テーブル
23 搬送ユニット
25 仮置テーブル
32 保持テーブル
33 搬送ユニット
35 仮置テーブル
50 洗浄装置
61 洗浄受け容器
62 電動モータ
64 出力軸
65a 旋回軸
65b 旋回軸
65c 旋回軸
65d 旋回軸
66a モータ
66b モータ
71 スラリー供給ノズル
71a スラリー
72 旋回アーム
72a パッド
73 旋回アーム
73a 純水供給ノズル
73b 純水
74 旋回アーム
74a スポンジ
74b アルカリ水
75 旋回アーム
75a 流体供給ノズル
75b 2流体
T テープ
U ウェーハユニット