(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191163
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20221220BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20221220BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20221220BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/038 601
G03F7/004 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081348
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2021099189
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197AA10
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197DB06
2H197GA01
2H197HA03
2H197HA10
2H197JA21
2H197JA22
2H225AF16P
2H225AF22P
2H225AF23P
2H225AF24P
2H225AF28P
2H225AF29P
2H225AF48P
2H225AF54P
2H225AF56P
2H225AF68P
2H225AF73P
2H225AF99P
2H225AH11
2H225AH14
2H225AH19
2H225AH32
2H225AH38
2H225AH39
2H225AH40
2H225AJ13
2H225AJ47
2H225AJ48
2H225AJ54
2H225AJ55
2H225AJ58
2H225AJ60
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN44P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
(57)【要約】
【課題】ポジ型であってもネガ型であっても、高感度であり、LWR及びCDUが改善されたレジスト材料、並びにこれを用いるパターン形成方法を提供する。
【解決手段】下記式(a1)又は(a2)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含むレジスト材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a1)又は(a2)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含むレジスト材料。
【化1】
(式中、R
Aは、水素原子又はメチル基である。
X
1は、単結合、エステル結合、アミド結合又は-X
1A-X
1C-X
1B-である。X
1A及びX
1Bは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。X
1Cは、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基、炭素数6~10のアリーレン基又はこれらを組み合わせて得られる基であり、その-CH
2-の一部がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ラクトン環含有基又はスルトン環含有基で置換されていてもよく、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。
X
2は、単結合、エーテル結合、エステル結合又は-X
2A-X
2C-X
2B-である。X
2A及びX
2Bは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。X
2Cは、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基、炭素数6~10のアリーレン基又はこれらを組み合わせて得られる基であり、その-CH
2-の一部がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ラクトン環含有基又はスルトン環含有基で置換されていてもよく、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。
Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf
1及びRf
2が合わさってカルボニル基を形成してもよい。
R
1は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。
R
2~R
6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R
2及びR
3が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
mは、0~3の整数であり、nは、1又は2である。)
【請求項2】
式(a1)で表される繰り返し単位が下記式(a1-1)で表されるものであり、式(a2)で表される繰り返し単位が下記式(a2-1)で表されるものである請求項1記載のレジスト材料。
【化2】
(式中、R
A、X
1、Rf
1~Rf
4、R
1~R
6、m及びnは、前記と同じ。)
【請求項3】
前記ポリマーが、更に、下記式(b1)又は(b2)で表される繰り返し単位を含む請求項1又は2記載のレジスト材料。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
Y
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。
Y
2は、単結合又はエステル結合である。
R
11及びR
12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
R
13は、炭素数1~4の飽和ヒドロカルビル基、ハロゲン原子、炭素数2~5の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基又は炭素数2~5の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。
R
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。
aは、0~4の整数である。)
【請求項4】
化学増幅ポジ型レジスト材料である請求項3記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記ポリマーが、酸不安定基を含まないものである請求項1又は2記載のレジスト材料。
【請求項6】
化学増幅ネガ型レジスト材料である請求項5記載のレジスト材料。
【請求項7】
更に、有機溶剤を含む請求項1~6のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項8】
更に、クエンチャーを含む請求項1~7のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項9】
更に、界面活性剤を含む請求項1~8のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で前記レジスト膜を露光する工程と、現像液を用いて前記露光したレジスト膜を現像する工程とを含むパターン形成方法。
【請求項11】
前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー光、波長248nmのKrFエキシマレーザー光、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線である請求項10記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。5Gの高速通信と人工知能(artificial intelligence、AI)の普及が進み、これを処理するための高性能デバイスが必要とされているためである。最先端の微細化技術としては、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーによる5nmノードのデバイスの量産が行われている。更には、次世代の3nmノード、次次世代の2nmノードデバイスにおいてもEUVリソグラフィーを用いた検討が進められている。
【0003】
パターンの微細化とともに、ラインパターンのエッジラフネス(LWR)及びホールパターンやドットパターンの寸法均一性(CDU)が問題視されている。ベースポリマーや酸発生剤の偏在及び凝集の影響や、酸拡散の影響が指摘されている。さらに、レジスト膜の薄膜化にしたがってLWRやCDUが大きくなる傾向があり、微細化の進行に伴う薄膜化によるLWR及びCDUの劣化は深刻な問題になっている。
【0004】
EUVレジスト材料においては、高感度化、高解像度化及び低LWR化を同時に達成する必要がある。酸拡散距離を短くするとLWRやCDUは向上するが、低感度化する。例えば、ポストエクスポージャーベーク(PEB)温度を低くすることによってLWRやCDUは向上するが、低感度化する。クエンチャーの添加量を増やしてもLWRやCDUは向上するが、低感度化する。感度とLWRとのトレードオフの関係を打ち破ることが必要である。
【0005】
酸の拡散を抑えるために、露光によってポリマー主鎖に結合したスルホン酸を発生する酸発生剤を含むレジスト材料が提案されている(特許文献1、2)。ポリマーに結合した酸発生剤(ポリマー結合型酸発生剤)は極めて酸拡散が短く、これによってLWRを改善することができる。
【0006】
ポリマー主鎖とスルホン酸基との間にヨウ素原子又は臭素原子を有するスルホン酸を発生する酸発生剤を含むレジスト材料が提案されている(特許文献3、4)。これらは、EUVの吸収を高めることやイオン化させることによって、露光中の二次電子の発生効率を高めて感度を向上させることや、吸収するフォトンの量を増やして物理的なコントラストを向上させることを狙ったものであるが、酸拡散を制御するものではないため、より一層の酸拡散制御が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4425776号公報
【特許文献2】特許第4893580号公報
【特許文献3】特開2018-197853号公報
【特許文献4】特開2019-8280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のレジスト材料よりも高感度で、かつラインパターンのLWR及びホールパターンのCDUを改善することが可能なレジスト材料の開発が望まれている。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、ポジ型であってもネガ型であっても、高感度であり、LWR及びCDUが改善されたレジスト材料、並びにこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ポリマー結合型酸発生剤として、重合性不飽和結合を有し、該重合性不飽和結合とフルオロスルホン酸部位との連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を有するスルホニウム塩又はヨードニウム塩に由来する繰り返し単位を含むポリマーを用いることによって、高感度であり、LWR及びCDUが改善され、コントラストが高く、解像性に優れ、プロセスマージンが広いレジスト材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、下記レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
1.下記式(a1)又は(a2)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含むレジスト材料。
【化1】
(式中、R
Aは、水素原子又はメチル基である。
X
1は、単結合、エステル結合、アミド結合又は-X
1A-X
1C-X
1B-である。X
1A及びX
1Bは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。X
1Cは、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基、炭素数6~10のアリーレン基又はこれらを組み合わせて得られる基であり、その-CH
2-の一部がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ラクトン環含有基又はスルトン環含有基で置換されていてもよく、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。
X
2は、単結合、エーテル結合、エステル結合又は-X
2A-X
2C-X
2B-である。X
2A及びX
2Bは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。X
2Cは、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基、炭素数6~10のアリーレン基又はこれらを組み合わせて得られる基であり、その-CH
2-の一部がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ラクトン環含有基又はスルトン環含有基で置換されていてもよく、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。
Rf
1~Rf
4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf
1及びRf
2が合わさってカルボニル基を形成してもよい。
R
1は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。
R
2~R
6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R
2及びR
3が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
mは、0~3の整数であり、nは、1又は2である。)
2.式(a1)で表される繰り返し単位が下記式(a1-1)で表されるものであり、式(a2)で表される繰り返し単位が下記式(a2-1)で表されるものである1のレジスト材料。
【化2】
(式中、R
A、X
1、Rf
1~Rf
4、R
1~R
6、m及びnは、前記と同じ。)
3.前記ポリマーが、更に、下記式(b1)又は(b2)で表される繰り返し単位を含む1又は2のレジスト材料。
【化3】
(式中、R
Aは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
Y
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。
Y
2は、単結合又はエステル結合である。
R
11及びR
12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
R
13は、炭素数1~4の飽和ヒドロカルビル基、ハロゲン原子、炭素数2~5の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基又は炭素数2~5の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。
R
14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。
aは、0~4の整数である。)
4.化学増幅ポジ型レジスト材料である3のレジスト材料。
5.前記ポリマーが、酸不安定基を含まないものである1又は2のレジスト材料。
6.化学増幅ネガ型レジスト材料である5のレジスト材料。
7.更に、有機溶剤を含む1~6のいずれかのレジスト材料。
8.更に、クエンチャーを含む1~7のいずれかのレジスト材料。
9.更に、界面活性剤を含む1~8のいずれかのレジスト材料。
10.1~9のいずれかのレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で前記レジスト膜を露光する工程と、現像液を用いて前記露光したレジスト膜を現像する工程とを含むパターン形成方法。
11.前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー光、波長248nmのKrFエキシマレーザー光、電子線(EB)又は波長3~15nmのEUVである10のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0012】
重合性不飽和結合を有し、該重合性不飽和結合とフルオロスルホン酸部位との連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を有するスルホニウム塩又はヨードニウム塩に由来する繰り返し単位を含むポリマーを含むレジスト膜は、ニトロ基が酸拡散を抑制するという特徴を有する。これによって、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止でき、LWR及びCDUを改善することが可能である。さらに、本発明のレジスト材料は、EUV露光中にニトロ基の非極在の電子雲から二次電子が発生し、酸発生剤にエネルギー移動して高感度化する、自己増感型レジスト材料である。ニトロ基と酸発生剤とは、同一繰り返し単位中の極近傍に存在するので、二次電子の拡散による像のぼけが発生しない。これによって、高感度であり、LWR及びCDUが改善されたレジスト材料を構築することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、ポリマー結合型酸発生剤を含むものである。具体的には、ポリマー結合型酸発生剤として、重合性不飽和結合を有し、該重合性不飽和結合とフルオロスルホン酸部位との連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を有するスルホニウム塩又はヨードニウム塩に由来する繰り返し単位を含むポリマーを含むものである。本発明のレジスト材料には、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する前記ポリマー結合型酸発生剤以外の酸発生剤を添加してもよい。
【0014】
本発明で用いるポリマー結合型酸発生剤と、これよりも弱酸のスルホン酸又はカルボン酸が発生するスルホニウム塩を混合した状態で光照射を行うと、連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を含むポリマー型フルオロスルホン酸と、これよりも弱酸のスルホン酸又はカルボン酸が発生する。酸発生剤は全て分解しているわけではないので、近傍に分解していないスルホニウム塩が存在している。ここで連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を含むポリマー型フルオロスルホン酸と、弱酸のスルホン酸又はカルボン酸のスルホニウム塩とが共存すると、連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を含むポリマー型フルオロスルホン酸と弱酸のスルホン酸又はカルボン酸のスルホニウム塩とのイオン交換が起こり、連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を含むポリマー型フルオロスルホン酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩が生成し、弱酸のスルホン酸又はカルボン酸がリリースされる。これは、酸としての強度が高い連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を含むポリマー型フルオロスルホン酸塩の方が安定であるためである。一方、連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を含むポリマー型フルオロスルホン酸のスルホニウム塩と、弱酸のスルホン酸又はカルボン酸とが存在していてもイオン交換は起こらない。この酸強度の序列によるイオン交換は、スルホニウム塩だけでなく、ヨードニウム塩の場合でも同様に起こる。フルオロスルホン酸の酸発生剤と組み合わせた場合、弱酸のスルホニウム塩又はヨードニウム塩はクエンチャーとして機能する。また、露光中にニトロ基の非局在化した電子雲から二次電子が発生し、酸発生剤に二次電子のエネルギーが移動することによって分解が促進され、これによって高感度化する。本発明のポリマー結合型酸発生剤によって、低酸拡散かつ高感度を達成することができる。
【0015】
本発明で用いるポリマー結合型酸発生剤は、アニオン部分がポリマー主鎖に結合しているだけでなく、ニトロ基が導入されているために拡散が小さく、酸の発生効率が高い。酸発生剤はポリマー重合前のモノマーの段階で混合するため、ポリマー中に酸発生剤が均一に分散しており、これによってLWRやCDUを向上させることができる。
【0016】
本発明で用いるポリマー結合型酸発生剤によるLWRやCDUの向上効果は、アルカリ水溶液現像によるポジティブパターン形成やネガティブパターン形成においても、有機溶剤現像におけるネガティブパターン形成のいずれにおいても有効である。
【0017】
[ポリマー結合型酸発生剤]
本発明で用いるポリマー結合型酸発生剤、具体的には、重合性不飽和結合を有し、該重合性不飽和結合とフルオロスルホン酸部位との連結部分にニトロ基で置換されたベンゼン環を有するスルホニウム塩又はヨードニウム塩に由来する繰り返し単位を含むポリマーは、下記式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)又は下記式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)を含むものである。
【化4】
【0018】
式(a1)及び(a2)中、RAは、水素原子又はメチル基である。
【0019】
式(a1)及び(a2)中、X1は、単結合、エステル結合、アミド結合又は-X1A-X1C-X1B-である。X1A及びX1Bは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。X1Cは、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基、炭素数6~10のアリーレン基又はこれらを組み合わせて得られる基であり、その-CH2-の一部がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ラクトン環含有基又はスルトン環含有基で置換されていてもよく、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。
【0020】
式(a1)及び(a2)中、X2は、単結合、エーテル結合、エステル結合又は-X2A-X2C-X2B-である。X2A及びX2Bは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合又はエステル結合である。X2Cは、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基、炭素数6~10のアリーレン基又はこれらを組み合わせて得られる基であり、その-CH2-の一部がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ラクトン環含有基又はスルトン環含有基で置換されていてもよく、その芳香環上の水素原子の一部又は全部が炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。
【0021】
X1C及びX2Cで表される炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、2-メチルブタン-1,2-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等の炭素数1~12のアルカンジイル基;シクロプロパン-1,2-ジイル基、シクロブタン-1,2-ジイル基、シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,1-ジイル基、シクロペンタン-1,2-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,2-ジイル基、シクロヘキサン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、アダマンタン-1,3-ジイル基、ノルボルナン-2,3-ジイル基、ノルボルナン-2,6-ジイル基等の炭素数3~12の環式飽和ヒドロカルビレン基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。X1C及びX2Cで表される炭素数6~10のアリーレン基としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,3-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,6-ナフチレン基、1,7-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基等が挙げられる。
【0022】
式(a1)及び(a2)中、Rf1~Rf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf1及びRf2が合わさってカルボニル基を形成してもよい。
【0023】
式(a1)及び(a2)中、R1は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキルオキシ基、炭素数2~5のアルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。前記アルキル基並びにアルキルオキシ基及びアルキルカルボニルオキシ基のアルキル部としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0024】
繰り返し単位a1又はa2を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化5】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
式(a1)及び(a2)中、R2~R6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。
【0044】
R2~R6で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0045】
R2~R6で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の炭素数1~20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3~20の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~20のアルケニル基;シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数2~20の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2~20のアルキニル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基等の炭素数6~20のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~20のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0046】
また、R
2及びR
3が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、以下に示す構造のものが好ましい。
【化24】
(式中、破線は、R
4との結合手である。)
【0047】
繰り返し単位a1のスルホニウムカチオンとしては、下記式(M-1)又は(M-2)で表されるものが好ましく、繰り返し単位a2のヨードニウムカチオンとしては、下記式(M-3)で表されるものが好ましい。
【化25】
【0048】
式(M-1)~(M-3)中、RM1、RM2、RM3、RM4及びRM5は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1~14のヒドロカルビル基、炭素数1~14のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~14のヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~14のヒドロカルビルカルボニルオキシ基、炭素数2~14のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数1~14のヒドロカルビルチオ基である。
【0049】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。前記炭素数1~14のヒドロカルビル基並びに炭素数1~14のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~14のヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~14のヒドロカルビルカルボニルオキシ基、炭素数2~14のヒドロカルビルオキシカルボニル基及び炭素数1~14のヒドロカルビルチオ基のヒドロカルビル部は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、チエニル基、4-ヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、n-ブトキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0050】
また、前記ヒドロカルビル基中の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。また、前記ヒドロカルビル基中の-CH2-が、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-又は-N(RN)-で置換されていてもよい。RNは、水素原子又は炭素数1~10のヒドロカルビル基であり、該ヒドロカルビル基中の水素原子が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ハロアルキル基等を含んでいてもよく、また、該ヒドロカルビル基中の-CH2-が、-O-、-C(=O)-又は-S(=O)2-で置換されていてもよい。
【0051】
式(M-2)中、Xは、単結合、-CH2-、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-又は-N(RN)-である。RNは、前記と同じである。
【0052】
式(M-1)~(M-3)中、k1、k2、k3、k4及びk5は、それぞれ独立に、0~5の整数である。k1が2以上のとき、各RM1は互いに同一でも異なっていてもよく、2つのRM1が互いに結合してこれらが結合するベンゼン環上の炭素原子と共に環を形成してもよい。k2が2以上のとき、各RM2は互いに同一でも異なっていてもよく、2つのRM2が互いに結合してこれらが結合するベンゼン環上の炭素原子と共に環を形成してもよい。k3が2以上のとき、各RM3は互いに同一でも異なっていてもよく、2つのRM3が互いに結合してこれらが結合するベンゼン環上の炭素原子と共に環を形成してもよい。k4が2以上のとき、各RM4は互いに同一でも異なっていてもよく、2つのRM4が互いに結合してこれらが結合するベンゼン環上の炭素原子と共に環を形成してもよい。k5が2以上のとき、各RM5は互いに同一でも異なっていてもよく、2つのRM5が互いに結合してこれらが結合するベンゼン環上の炭素原子と共に環を形成してもよい。
【0053】
繰り返し単位a1のスルホニウムカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化26】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
繰り返し単位a2のヨードニウムカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化50】
【0078】
【0079】
式(a1)及び(a2)中、mは、0~3の整数であり、nは、1又は2である。
【0080】
繰り返し単位a1及びa2としては、それぞれ下記式(a1-1)及び(a2-1)で表されるものが好ましい。
【化52】
(式中、R
A、X
1、Rf
1~Rf
4、R
1~R
6、m及びnは、前記と同じ。)
【0081】
繰り返し単位a1又はa2を与えるモノマーは、例えば、特許第5201363号公報に記載された重合性アニオンを有するスルホニウム塩と同様の方法で合成することができる。
【0082】
前述したポリマー結合型酸発生剤は、ベースポリマーとしても機能することができる。このとき、前記ポリマー結合型酸発生剤は、化学増幅ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を有する繰り返し単位を含む。酸不安定基を有する繰り返し単位としては、下記式(b1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位b1ともいう。)又は下記式(b2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位b2ともいう。)が好ましい。
【化53】
【0083】
式(b1)及び(b2)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Y1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合、エーテル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y2は、単結合又はエステル結合である。R11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。R13は、炭素数1~4の飽和ヒドロカルビル基、ハロゲン原子、炭素数2~5の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、シアノ基又は炭素数2~5の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基である。R14は、単結合又は炭素数1~6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基は、エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。aは、0~4の整数である。
【0084】
繰り返し単位b1としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
11は、前記と同じである。
【化54】
【0085】
繰り返し単位b2としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
A及びR
12は、前記と同じである。
【化55】
【0086】
式(b1)及び(b2)中、R11及びR12で表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報、特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0087】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(AL-1)~(AL-3)で表されるものが挙げられる。
【化56】
【0088】
式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~40の飽和ヒドロカルビル基が好ましく、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基がより好ましい。
【0089】
式(AL-1)中、bは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0090】
式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0091】
式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0092】
前記ポリマー結合型酸発生剤がベースポリマーとしても機能する場合、更に、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化57】
【0093】
前記ポリマー結合型酸発生剤がベースポリマーとしても機能する場合、更に、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、スルトン環、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、シアノ基又はカルボキシ基を含む繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、R
Aは、前記と同じである。
【化58】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
前記ポリマー結合型酸発生剤がベースポリマーとしても機能する場合、更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位eを含んでもよい。繰り返し単位eを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化67】
【0103】
前記ポリマー結合型酸発生剤がベースポリマーとしても機能する場合、更に、インダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位fを含んでもよい。
【0104】
前記ポリマー結合型酸発生剤は、繰り返し単位a1及びa2以外の重合性不飽和結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位gを含んでもよい。このような繰り返し単位gとしては、特開2017-008181号公報の段落[0060]に記載されたもの等が挙げられる。
【0105】
ポジ型レジスト材料用のベースポリマーとしては、繰り返し単位a1及び/又はa2、及び酸不安定基を有する繰り返し単位b1及び/又はb2を必須単位とする。この場合、繰り返し単位a1、a2、b1、b2、c、d、e、f及びgの含有比率は、好ましくは0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦b1<1.0、0≦b2<1.0、0<b1+b2<1.0、0≦c≦0.9、0≦d≦0.9、0≦e≦0.8、0≦f≦0.8、及び0≦g≦0.4であり、より好ましくは0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.02≦a1+a2≦0.7、0≦b1≦0.9、0≦b2≦0.9、0.1≦b1+b2≦0.9、0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0≦e≦0.7、0≦f≦0.7、及び0≦g≦0.3であり、更に好ましくは0≦a1≦0.5、0≦a2≦0.5、0.03≦a1+a2≦0.5、0≦b1≦0.8、0≦b2≦0.8、0.1≦b1+b2≦0.8、0≦c≦0.7、0≦d≦0.7、0≦e≦0.6、0≦f≦0.6、及び0≦g≦0.2である。なお、a1+a2+b1+b2+c+d+e+f+g=1.0である。
【0106】
一方、ネガ型レジスト材料用のベースポリマーとしては、酸不安定基は必ずしも必要ではなく、繰り返し単位a1及び/又はa2を必須単位とし、更に繰り返し単位c、d、e、f及び/又はgを含むものが挙げられる。これらの繰り返し単位の含有比率は、好ましくは0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦c≦1.0、0≦d≦0.9、0≦e≦0.8、0≦f≦0.8、及び0≦g≦0.4であり、より好ましくは0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.02≦a1+a2≦0.7、0.2≦c≦1.0、0≦d≦0.8、0≦e≦0.7、0≦f≦0.7、及び0≦g≦0.3であり、更に好ましくは0≦a1≦0.5、0≦a2≦0.5、0.03≦a1+a2≦0.5、0.3≦c≦1.0、0≦d≦0.75、0≦e≦0.6、0≦f≦0.6、及び0≦g≦0.2である。なお、a1+a2+c+d+e+f+g=1.0である。
【0107】
前記ポリマー結合型酸発生剤を合成するには、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行えばよい。
【0108】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50~80℃である。反応時間は、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~20時間である。
【0109】
ヒドロキシ基を含むモノマーを共重合する場合は、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0110】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後前記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレン単位やヒドロキシビニルナフタレン単位にしてもよい。
【0111】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0112】
前記ポリマー結合型酸発生剤は、溶剤としてTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~30,000である。Mwが前記範囲であれば、レジスト膜の耐熱性が良好である。
【0113】
また、前記ポリマー結合型酸発生剤において分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するため、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。パターンルールが微細化するに従って、MwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、前記ポリマー結合型酸発生剤の分子量分布は、1.0~2.0、特に1.0~1.5と狭分散であることが好ましい。
【0114】
前記ポリマー結合型酸発生剤は、組成比率、Mw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0115】
[有機溶剤]
本発明のレジスト材料は、有機溶剤を含んでもよい。前記有機溶剤は、前述した各成分及び後述する各成分が溶解可能なものであれば、特に限定されない。前記有機溶剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。
【0116】
本発明のレジスト材料中、前記有機溶剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、100~10,000質量部が好ましく、200~8,000質量部がより好ましい。前記有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0117】
[クエンチャー]
本発明のレジスト材料は、クエンチャーを含んでもよい。なお、クエンチャーとは、レジスト材料中の酸発生剤より発生した酸をトラップすることで未露光部への拡散を防ぐことができる化合物を意味する。
【0118】
前記クエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物、特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0119】
また、前記クエンチャーとして、α位がフッ素化されていないスルホン酸の、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸は、カルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸又はカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないため、クエンチャーとして機能する。
【0120】
また、下記式(1)で表されるカルボン酸オニウム塩もクエンチャーとして好適に使用できる。
【化68】
【0121】
式(1)中、R101は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~40のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基等の炭素数3~40の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~40のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数3~40の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、アルキルフェニル基(2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基等)、ジアルキルフェニル基(2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基等)、アルキルナフチル基(メチルナフチル基、エチルナフチル基等)、ジアルキルナフチル基(ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等)等の炭素数6~40のアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等の炭素数7~40のアラルキル基等が挙げられる。
【0122】
また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。前記ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-1-ヒドロキシエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)-1-ヒドロキシエチル基等の含フッ素アルキル基;ペンタフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基等の含フッ素アリール基;チエニル基、インドリル基等のヘテロアリール基;4-ヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、n-ブトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基;ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基;2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等のアリールオキソアルキル基等が挙げられる。
【0123】
前記カルボン酸オニウム塩のアニオンとしては、下記式(1A)で表されものが好ましい。
【化69】
【0124】
R102及びR103は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R104は、水素原子、ヒドロキシ基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~35のヒドロカルビル基である。前記ヘテロ原子を含んでいてもよいヒドロカルビル基としては、R101の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0125】
式(1)中、Mq
+は、オニウムカチオンである。前記オニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はアンモニウムカチオンが好ましく、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンがより好ましい。前記スルホニウムカチオンとしては、式(a1)で表される繰り返し単位のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヨードニウムカチオンとしては、式(a2)で表される繰り返し単位のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0126】
前記クエンチャーの他の例として、特開2008-239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーが挙げられる。これは、レジスト膜表面に配向することによってレジストパターンの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0127】
本発明のレジスト材料が前記クエンチャーを含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましく、0~4質量部がより好ましい。前記クエンチャーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0128】
[その他の成分]
本発明のレジスト材料は、前述した成分に加えて、前記ポリマー結合型酸発生剤以外の酸発生剤(以下、その他の酸発生剤という。)、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤、撥水性向上剤、アセチレンアルコール類等を含んでもよい。
【0129】
前記その他の酸発生剤としては、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいかなるものでも構わないが、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生するものが好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型酸発生剤等がある。光酸発生剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]に記載されているものが挙げられる。
【0130】
また、光酸発生剤として、下記式(2-1)で表されるスルホニウム塩や、下記式(2-2)で表されるヨードニウム塩も好適に使用できる。
【化70】
【0131】
式(2-1)及び(2-2)中、R201~R205は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ハロゲン原子及び炭素数1~20のヒドロカルビル基としては、式(a1)及び(a2)中のR2~R6で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。また、R201及びR202が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき形成される環としては、式(a1)の説明においてR2及びR3が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0132】
式(2-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、繰り返し単位a1のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。また、式(2-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、繰り返し単位a2のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0133】
式(2-1)及び(2-2)中、Xa
-は、下記式(2A)~(2D)から選ばれるアニオンである。
【化71】
【0134】
式(2A)中、Rfaは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、後述する式(2A')中のR211で表されるヒドロカルビル基として例示するものと同様のものが挙げられる。
【0135】
式(2A)で表されるアニオンとしては、下記式(2A')で表されるものが好ましい。
【化72】
【0136】
式(2A')中、RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R211は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~38のヒドロカルビル基である。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記ヒドロカルビル基としては、微細パターン形成において高い解像度を得る点から、特に炭素数6~30であるものが好ましい。
【0137】
R211で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコサニル基等の炭素数1~38のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の炭素数3~38の環式飽和ヒドロカルビル基;アリル基、3-シクロヘキセニル基等の炭素数2~38の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~38のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等の炭素数7~38のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0138】
また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0139】
式(2A')で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007-145797号公報、特開2008-106045号公報、特開2009-7327号公報、特開2009-258695号公報等に詳しい。また、特開2010-215608号公報、特開2012-41320号公報、特開2012-106986号公報、特開2012-153644号公報等に記載のスルホニウム塩も好適に用いられる。
【0140】
式(2A)で表されるアニオンとしては、特開2018-197853号公報の式(1A)で表されるアニオンとして例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0141】
式(2B)中、Rfb1及びRfb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(2A')中のR211で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rfb1及びRfb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfb1とRfb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-N--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfb1とRfb2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0142】
式(2C)中、Rfc1、Rfc2及びRfc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(2A')中のR211で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rfc1、Rfc2及びRfc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfc1とRfc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-C--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfc1とRfc2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0143】
式(2D)中、Rfdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(2A')中のR211で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0144】
式(2D)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010-215608号公報及び特開2014-133723号公報に詳しい。
【0145】
式(2D)で表されるアニオンとしては、特開2018-197853号公報の式(1D)で表されるアニオンとして例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0146】
なお、式(2D)で表されるアニオンを含む光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素原子を有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、ベースポリマー中の酸不安定基を切断するのに十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0147】
光酸発生剤として、下記式(3)で表されるものも好適に使用できる。
【化73】
【0148】
式(2)中、R301及びR302は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基である。R303は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビレン基である。また、R301及びR302又はR301及びR303が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(a1)の説明においてR2及びR3が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0149】
R301及びR302で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~30のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の炭素数3~30の環式飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基、アントラセニル基等の炭素数6~30のアリール基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0150】
R303で表されるヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等の炭素数1~30のアルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の炭素数3~30の環式飽和ヒドロカルビレン基;フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、n-プロピルフェニレン基、イソプロピルフェニレン基、n-ブチルフェニレン基、イソブチルフェニレン基、sec-ブチルフェニレン基、tert-ブチルフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基、n-プロピルナフチレン基、イソプロピルナフチレン基、n-ブチルナフチレン基、イソブチルナフチレン基、sec-ブチルナフチレン基、tert-ブチルナフチレン基等の炭素数6~30のアリーレン基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、前記ヒドロカルビレン基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビレン基の-CH2-の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい。
【0151】
式(3)中、LAは、単結合、エーテル結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。前記ヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、R303で表されるヒドロカルビレン基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0152】
式(3)中、XA、XB、XC及びXDは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。ただし、XA、XB、XC及びXDのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0153】
式(3)中、cは、0~3の整数である。
【0154】
式(3)で表される光酸発生剤としては、下記式(3')で表されるものが好ましい。
【化74】
【0155】
式(3')中、LAは、前記と同じ。RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R304、R305及びR306は、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(2A')中のR211で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。x及びyは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、zは、0~4の整数である。
【0156】
式(3)で表される光酸発生剤としては、特開2017-026980号公報の式(2)で表される光酸発生剤として例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0157】
前記光酸発生剤のうち、式(2A')又は(2D)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が小さく、かつレジスト溶剤への溶解性にも優れており、特に好ましい。また、式(3')で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が極めて小さく、特に好ましい。
【0158】
前記光酸発生剤として、ヨウ素原子又は臭素原子で置換された芳香環を有するアニオンを含むスルホニウム塩又はヨードニウム塩を用いることもできる。このような塩としては、下記式(4-1)又は(4-2)で表されるものが挙げられる。
【化75】
【0159】
式(4-1)及び(4-2)中、pは、1≦p≦3を満たす整数である。q及びrは、1≦q≦5、0≦r≦3及び1≦q+r≦5を満たす整数である。qは、1≦q≦3を満たす整数が好ましく、2又は3がより好ましい。rは、0≦r≦2を満たす整数が好ましい。
【0160】
式(4-1)及び(4-2)中、XBIは、ヨウ素原子又は臭素原子であり、p及び/又はqが2以上のとき、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0161】
式(4-1)及び(4-2)中、L1は、単結合、エーテル結合若しくはエステル結合、又はエーテル結合若しくはエステル結合を含んでいてもよい炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基である。前記飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0162】
式(4-1)及び(4-2)中、L2は、pが1のときは単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、pが2又は3のときは炭素数1~20の(p+1)価の連結基であり、該連結基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
【0163】
式(4-1)及び(4-2)中、R401は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素原子、塩素原子若しくはアミノ基、若しくはフッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20のヒドロカルビル基、炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~10のヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20のヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20のヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R401A)(R401B)、-N(R401C)-C(=O)-R401D若しくは-N(R401C)-C(=O)-O-R401Dである。R401A及びR401Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R401Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。R401Dは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基、炭素数6~12のアリール基又は炭素数7~15のアラルキル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。前記脂肪族ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルカルボニル基、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、ヒドロカルビルカルボニルオキシ基及びヒドロカルビルスルホニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。p及び/又はrが2以上のとき、各R401は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0164】
これらのうち、R401としては、ヒドロキシ基、-N(R401C)-C(=O)-R401D、-N(R401C)-C(=O)-O-R401D、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基等が好ましい。
【0165】
式(4-1)及び(4-2)中、Rf11~Rf14は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf11とRf12とが合わさってカルボニル基を形成してもよい。特に、Rf13及びRf14がともにフッ素原子であることが好ましい。
【0166】
式(4-1)及び(4-2)中、R402~R406は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(a1)及び(a2)の説明においてR2~R6で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヒドロカルビル基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、スルトン基、スルホン基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、前記ヒドロカルビル基の-CH2-の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、カーボネート結合又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。また、R402及びR403が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(a1)の説明においてR2及びR3が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0167】
式(4-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、繰り返し単位a1のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。また、式(4-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、繰り返し単位a2のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0168】
式(4-1)又は(4-2)で表されるオニウム塩のアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、X
BIは、前記と同じである。
【化76】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
本発明のレジスト材料が前記その他の酸発生剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。前記その他の酸発生剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0192】
前記界面活性剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0165]~[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。本発明のレジスト材料が前記界面活性剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001~10質量部が好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0193】
本発明のレジスト材料がポジ型である場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。前記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0~100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50~100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008-122932号公報の段落[0155]~[0178]に記載されている。
【0194】
本発明のレジスト材料がポジ型であって前記溶解阻止剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。前記溶解阻止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0195】
一方、本発明のレジスト材料がネガ型である場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガティブパターンを得ることができる。前記架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルオキシ基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0196】
前記エポキシ化合物としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0197】
前記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0198】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0199】
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0200】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0201】
アジド化合物としては、1,1'-ビフェニル-4,4'-ビスアジド、4,4'-メチリデンビスアジド、4,4'-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0202】
アルケニルオキシ基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0203】
本発明のレジスト材料がネガ型であって架橋剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。前記架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0204】
前記撥水性向上剤は、レジスト膜表面の撥水性を向上させるものであり、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。前記撥水性向上剤としては、フッ化アルキル基を含むポリマー、特定構造の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を含むポリマー等が好ましく、特開2007-297590号公報、特開2008-111103号公報等に例示されているものがより好ましい。前記撥水性向上剤は、アルカリ現像液や有機溶剤現像液に溶解する必要がある。前述した特定の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を含む繰り返し単位を含むポリマーは、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。本発明のレジスト材料が撥水性向上剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。前記撥水性向上剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0205】
前記アセチレンアルコール類としては、特開2008-122932号公報の段落[0179]~[0182]に記載されたものが挙げられる。本発明のレジスト材料がアセチレンアルコール類を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましい。前記アセチレンアルコール類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0206】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。例えば、パターン形成方法としては、前述したレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含む方法が挙げられる。
【0207】
まず、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi2、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01~2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0208】
次いで、高エネルギー線を用いて、前記レジスト膜を露光する。前記高エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、EB、波長3~15nmのEUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。前記高エネルギー線として紫外線、遠紫外線、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等を用いる場合は、直接又は目的とするパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2程度、より好ましくは10~100mJ/cm2程度となるように照射する。高エネルギー線としてEBを用いる場合は、露光量が好ましくは0.1~100μC/cm2程度、より好ましくは0.5~50μC/cm2程度となるように、直接又は目的とするパターンを形成するためのマスクを用いて描画する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適である。
【0209】
露光後、ホットプレート上又はオーブン中で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間PEBを行ってもよい。
【0210】
露光後又はPEB後、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは2~5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒~3分間、好ましくは5秒~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により露光したレジスト膜を現像することで、基板上に目的のパターンが形成される。ポジ型レジスト材料の場合は、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、ポジ型のパターンが形成される。ネガ型レジスト材料の場合はポジ型レジスト材料の場合とは逆であり、光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。
【0211】
酸不安定基を含むベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガ型パターンを得ることもできる。このときに用いる現像液としては、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0212】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、炭素数8~12のエーテル化合物、炭素数6~12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0213】
具体的に、炭素数3~10のアルコールとしては、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール等が挙げられる。
【0214】
炭素数8~12のエーテル化合物としては、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-ペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0215】
炭素数6~12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6~12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6~12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0216】
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0217】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0218】
現像後のホールパターンやトレンチパターンを、サーマルフロー、RELACS技術又はDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト膜からの酸触媒の拡散によってレジスト膜の表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃であり、ベーク時間は、好ましくは10~300秒であり、余分なシュリンク剤を除去し、ホールパターンを縮小させる。
【実施例0219】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
【0220】
合成例で用いたモノマーPM-1~PM-13、cPM-1、AM-1、AM-2及びFM-1は以下のとおりである。
【化99】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
[合成例1]ポリマーP-1の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、メタクリル酸-4-ヒドロキシフェニル3.6g、メタクリル酸3-オキソ-2,7-ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
4,8]ノナン-9-イルを4.5g、モノマーPM-1を7.3g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-1を白色固体として得た。ポリマーP-1の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化103】
【0225】
[合成例2]ポリマーP-2の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、4-ヒドロキシスチレン3.6g、モノマーPM-2を14.8g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-2を白色固体として得た。ポリマーP-2の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化104】
【0226】
[合成例3]ポリマーP-3の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、4-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-3を12.2g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-3を白色固体として得た。ポリマーP-3の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化105】
【0227】
[合成例4]ポリマーP-4の合成
2Lのフラスコに、モノマーAM-1を11.1g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-4を9.8g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-4を白色固体として得た。ポリマーP-4の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化106】
【0228】
[合成例5]ポリマーP-5の合成
2Lのフラスコに、モノマーAM-2を10.2g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-5を11.7g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-5を白色固体として得た。ポリマーP-5の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化107】
【0229】
[合成例6]ポリマーP-6の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-6を14.4g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-6を白色固体として得た。ポリマーP-6の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化108】
【0230】
[合成例7]ポリマーP-7の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-7を14.1g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-7を白色固体として得た。ポリマーP-7の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化109】
【0231】
[合成例8]ポリマーP-8の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-8を11.3g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-8を白色固体として得た。ポリマーP-8の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化110】
【0232】
[合成例9]ポリマーP-9の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-9を11.9g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-9を白色固体として得た。ポリマーP-9の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化111】
【0233】
[合成例10]ポリマーP-10の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-10を13.1g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-10を白色固体として得た。ポリマーP-10の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化112】
【0234】
[合成例11]ポリマーP-11の合成
2Lのフラスコに、メタクリル酸1-メチル-1-シクロペンチル8.4g、3-ヒドロキシスチレン3.6g、モノマーFM-1を3.2g、モノマーPM-11を14.4g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-11を白色固体として得た。ポリマーP-11の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化113】
【0235】
[合成例12]ポリマーP-12の合成
2Lのフラスコに、モノマーAM-1を11.1g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-12を12.8g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-12を白色固体として得た。ポリマーP-12の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化114】
【0236】
[合成例13]ポリマーP-13の合成
2Lのフラスコに、モノマーAM-1を12.2g、3-ヒドロキシスチレン4.2g、モノマーPM-13を7.6g、及び溶剤としてTHF40gを添加した。この反応容器を、窒素雰囲気下、-70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBNを1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、ポリマーP-13を白色固体として得た。ポリマーP-13の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化115】
【0237】
[比較合成例1]比較ポリマーcP-1の合成
モノマーPM-10をモノマーcPM-1に変更した以外は、合成例10と同様の方法で比較ポリマーcP-1を白色固体として得た。比較ポリマーcP-1の組成は
13C-NMR及び
1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化116】
【0238】
[実施例1~13、比較例1]
(1)レジスト材料の調製
界面活性剤としてオムノバ社製PolyFox PF-636を100ppm溶解させた溶剤に、表1に示される組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過し、レジスト材料を調製した。
【0239】
表1中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
EL(乳酸エチル)
DAA(ジアセトンアルコール)
【0240】
【0241】
【0242】
(2)EUVリソグラフィー評価
表1に示す各レジスト材料を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークし、膜厚50nmのレジスト膜を作製した。ASML社製EUVスキャナーNXE3400(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ46nm、+20%バイアスのホールパターンのマスク)を用いて前記レジスト膜を露光し、ホットプレートを用いて表1記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、寸法23nmのホールパターンを形成した。
(株)日立ハイテク製測長SEM(CG6300)を用いて、ホール寸法が23nmで形成されるときの露光量を測定してこれを感度とし、また、このときのホール50個の寸法を測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を寸法バラツキ(CDU)とした。結果を表1に併記する。
【0243】
【0244】
表1に示した結果より、式(a1)又は(a2)で表される繰り返し単位を含むポリマーを含む本発明のレジスト材料は、高感度であり、CDUが良好であることがわかった。