(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191267
(43)【公開日】2022-12-27
(54)【発明の名称】フォトレジストリムーバ組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/22 20060101AFI20221220BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20221220BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20221220BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20221220BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221220BHJP
G03F 7/42 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C11D1/22
C11D3/20
C11D3/43
C11D1/72
H01L21/304 647B
H01L21/304 651B
H01L21/304 642A
H01L21/304 651L
G03F7/42
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022151512
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2020539825の分割
【原出願日】2019-01-23
(31)【優先権主張番号】62/621,760
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アレント・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】リン・グァンヤン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広い範囲の異なるパターン化フォトレジストフィルムを除去する改善された剥離用組成物、および該組成物をレジストリムーバとして使用する方法を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、カンフルスルホン酸、及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択されるスルホン酸成分、シュウ酸、有機溶剤成分からまたは有機溶剤成分と水との混合物から本質的になる溶剤成分から本質的になる組成物であって、前記有機溶剤成分が、約100重量%~約85重量%の前記溶剤成分からなり、更に、前記有機溶剤成分が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の特定の溶剤から選択される少なくとも二種の有機溶剤の混合物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンフルスルホン酸、及び構造(I)(式中、RはHまたはC1~C18n-アルキルである)のベンゼンスルホン酸、
【化1】
からなる群から選択されるスルホン酸成分;及び
構造(II)を有するジカルボン酸、
【化2】
有機溶剤成分から、または有機溶剤成分と水との混合物から本質的になる溶剤成分、
を含む、またはから本質的になる、またはからなる組成物であって、
前記有機溶剤成分が、約100重量%~約85重量%の前記溶剤成分からなり、更に、前記有機溶剤成分が、溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)(式中、Rは、-(-O-CH
2-CH
2-)
n’-OH、-OH、及び-O-C(=O)-CH
3からなる群から選択され、ここでn’は1、2、3または4に等しい)、(VII)(式中、RaはHまたはC1~C4アルキル部分である)、(VIII)、(IX)(式中、RbはC1~C18アルキル部分である)、(X)、及び(XI)からなる群から選択されるか、またはこの群から選択される少なくとも溶剤の混合物である、前記組成物:
【化3】
【請求項2】
カンフルスルホン酸、及び構造(I)(式中、RはHまたはC1~C18n-アルキルである)のベンゼンスルホン酸、
【化4】
からなる群から選択されるスルホン酸成分;及び
構造(II)を有するジカルボン酸、
【化5】
有機溶剤成分、または有機溶剤成分と水との混合物を含む、またはから本質的になる、またはからなる溶剤成分、
及び界面活性剤、
を含む、またはから本質的になる、またはからなる組成物であって、
前記有機溶剤成分が、約100重量%~約85重量%の前記溶剤成分からなり、更に、前記有機溶剤成分が、溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)(式中、Rは、-(-O-CH
2-CH
2-)
n’-OH、-OH及び-O-C(=O)-CH
3からなる群から選択され、ここでn’は1、2、3または4に等しい)、(VII)(式中、RaはHまたはC1~C4アルキル部分である)、(VIII)、(IX)(式中、RbはC1~C18アルキル部分である)、(X)、及び(XI)からなる群から選択されるか、またはこの群から選択される少なくとも二種の有機溶剤の混合物である、前記組成物:
【化6】
【請求項3】
前記界面活性剤が、構造(XIII)を有するポリマー型界面活性剤であり、ここでn’’’はポリマー繰り返し単位の数であり、そしてnaはCH
2スペーサ部分の数であり、8~14の整数である、請求項2に記載の組成物。
【化7】
【請求項4】
前記ポリマー型界面活性剤が構造(XIIIa)を有する、請求項3に記載の組成物。
【化8】
【請求項5】
前記界面活性剤が構造(XIII)を有するものである、請求項2に記載の組成物。
【化9】
【請求項6】
前記界面活性剤が、約0.005重量%~約3重量%で存在する、請求項2~5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
前記スルホン酸成分がカンフルスルホン酸である、請求項1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
前記スルホン酸成分がベンゼンスルホン酸である、請求項1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
前記スルホン酸成分がトルエンスルホン酸である、請求項1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
前記スルホン酸成分が構造(I)のベンゼンスルホン酸である、請求項1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
前記スルホン酸成分が構造(Ia)のアルキルベンゼンスルホン酸であり、ここでnは0~16の整数である、請求項1~6または10のいずれか一つに記載の組成物。
【化10】
【請求項12】
前記アルキルベンゼンスルホン酸(Ia)において、nが8~16の整数である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記アルキルベンゼンスルホン酸(Ia)において、nが8~14の整数である、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
前記アルキルベンゼンスルホン酸(Ia)に関して、nが8~10の整数である、請求項11~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項15】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、これが構造(Ib)を有する、請求項11~13のいずれか一つに記載の組成物。
【化11】
【請求項16】
前記アルキルベンゼンスルホン酸(Ia)に関して、nが0~10の整数である、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、nが0~5の整数である、請求項11~16のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項18】
前記アルキルベンゼンスルホン酸(Ia)に関して、nが0~2の整数である、請求項11または16~17のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項19】
前記アルキルベンゼンスルホン酸が構造(Ic)を有する、請求項11または16~18のいずれか一つに記載の組成物。
【化12】
【請求項20】
上記アルキルベンゼンスルホン酸が構造(Id)を有し、ここでnbが0~16の整数である、請求項1~6または11のいずれか一つに記載の組成物。
【化13】
【請求項21】
nbが10~14の整数である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
nbが8~10の整数である、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記アルキルベンゼンスルホン酸が構造(Ie)を有する、請求項20~22のいずれか一つに記載の組成物。
【化14】
【請求項24】
nbが0~10の整数である、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
nbが0~5の整数である、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記アルキルベンゼンスルホン酸が構造(If)を有する、請求項20に記載の組成物。
【化15】
【請求項27】
前記スルホン酸が、前記組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する、請求項1~26のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項28】
前記スルホン酸が、前記組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する、請求項15または23に記載の組成物。
【請求項29】
前記スルホン酸が、前記組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
前記スルホン酸が、前記組成物の約0.5重量%~約2.5重量%で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項31】
構造(II)の前記ジカルボン酸であるシュウ酸が、全組成物の約1重量%~約10重量%で存在する、請求項1~30のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項32】
構造(II)の前記ジカルボン酸であるシュウ酸が、全組成物の約2重量%~約5重量%で存在する、請求項1~31のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項33】
前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比が約0.01~約0.6である、請求項1~32のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項34】
前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比が約0.01~約0.55である、請求項1~33のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項35】
前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比が約0.01~約0.3である、請求項1~34のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項36】
前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比が約0.1~約0.2である、請求項1~35のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項37】
前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比が約0.1~約0.15である、請求項1~36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項38】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が溶剤(III)である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項39】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IV)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項40】
前記有機溶剤成分が溶剤(V)である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項41】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VI)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項42】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VI)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項43】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VI)の範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項44】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤が、構造(VIa)を有するものから選択される有機溶剤であり、ここでn’は1、2、3または4である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化16】
【請求項45】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤が、1、2、3または4のn’の異なる値を有する構造(VIa)を有する少なくとも二種の有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項46】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIb)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化17】
【請求項47】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIc)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化18】
【請求項48】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VId)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化19】
【請求項49】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIe)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化20】
【請求項50】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIf)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化21】
【請求項51】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIg)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化22】
【請求項52】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VII)の範囲に該当する構造を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項53】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VII)の範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項54】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIIa)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化23】
【請求項55】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIIb)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化24】
【請求項56】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIIc)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化25】
【請求項57】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIId)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化26】
【請求項58】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(VIIe)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化27】
【請求項59】
前記溶剤において、前記有機溶剤成分が、構造(VIII)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項60】
前記溶剤において、前記有機溶剤成分が、構造(IX)の範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項61】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IX)の範囲に該当する構造を有し、ここでRbはC1~C12アルキルである、少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項62】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IX)の範囲に該当する構造を有し、ここでRbはC1~C8アルキルである、少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項63】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IX)の範囲に該当する構造を有し、ここでRbはC1~C4アルキルである、少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項64】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IXa)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化28】
【請求項65】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IXb)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化29】
【請求項66】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(IXc)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化30】
【請求項67】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤が、構造(IXd)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【化31】
【請求項68】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(X)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項69】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、構造(XI)を有する単一の有機溶剤である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項70】
前記有機溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、有機溶剤の混合物であり、ここで前記混合物は、有機溶剤(III)と有機溶剤(IV)との混合物のみからなり;ここで前記混合物において、前記有機溶剤(III)は、有機溶剤の前記混合物の約90重量%~約50重量%の範囲である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項71】
前記有機溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、有機溶剤の混合物であり、ここで前記混合物は、有機溶剤(III)と有機溶剤(IV)との混合物のみからなり;ここで前記混合物において、前記有機溶剤(III)は、有機溶剤の前記混合物の約70重量%~約50重量%の範囲である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項72】
前記有機溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、有機溶剤の混合物であり、ここで前記混合物は、有機溶剤(III)と有機溶剤(IV)との混合物のみからなり;ここで前記混合物において、前記有機溶剤(III)は、有機溶剤の前記混合物の約60重量%~約50重量%の範囲である、請求項1~37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項73】
前記溶剤成分において、水が約0~約15重量%の範囲である、請求項1~72のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項74】
前記溶剤成分において、水が約3~約8重量%の範囲である、請求項1~72のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項75】
次のステップ:
i)おおよそ室温から約100℃までである温度で請求項1~74のいずれか一つに記載の組成物を加熱するステップ;
ii)パターン化されたフォトレジストフィルムでコーティングされた基材を、前記の加熱された組成物中に約1分間~約60分間の時間、浸漬した基材からフォトレジストフィルムが除去されるまで、浸漬するステップ;
iii)浸漬ステップii)の後、フォトレジストフィルムが除去された前記の浸漬した基材を、イソプロピルアルコール、水、またはイソプロプルアルコールと水との混合物のいずれかですすいで、浸漬ステップii)からの残留組成物を除去して、クリーンな基材を生成するステップ;
iv)上記のクリーンな基材を、それを空気中でスピン乾燥するか、またはそれを乾燥するために窒素もしくは空気の流れを用いて乾燥するステップ;
を含む、方法。
【請求項76】
ステップi)において、前記組成物を約40℃~約80℃に加熱する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
ステップii)において、基材が金属である、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
ステップii)において、基材が銅である、請求項75~77のいずれか一つに記載の方法。
【請求項79】
ステップii)において、基材を約5分間~約30分間浸漬する、請求項75~78のいずれか一つに記載の方法。
【請求項80】
ステップiii)において、すすぎを水で行う、請求項75~79のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のスルホン酸、シュウ酸、及び特定の有機溶剤、これらの混合物、またはこれらの有機溶剤の混合物及び有機溶剤と水との混合物からなる溶剤成分からなる、低pKaリムーバ溶液の組成物に関する。本発明は、前記の成分の他に、界面活性剤成分も含むリムーバ溶液にも関する。これらのリムーバ溶液は、基材からフォトレジストパターンを綺麗に除去し、粒状物の形成または堆積物の無い、除去されたレジストパターンの完全な溶解を示す。更に、基材が銅などの金属である場合には、追加的に、パターン化レジストの除去は、金属製基材の顕著な腐食を引き起こさない。
【背景技術】
【0002】
本発明は、金属製基材の顕著な腐食を促進しないが、驚くべきことに、腐食を防止するために、不飽和酸無水物(例えばフマル酸)で変性された金属保護性のロジン化合物、または荷電錯化特性を持つポリマーの存在も必要としない、新規リムーバ組成物を用いて架橋ポリマーコーティングを除去する化学的ストリッパ組成物に関する。
【0003】
これらの新規調合物によって除去される材料には、ポジトーン及びネガトーンの化学増幅型(例えばエポキシ)コーティング及び酸で触媒された光画像形成可能なコーティングなどが挙げられる。微細電子コーティング用の多くの商品化されたストリッパは、最小の製造上の要件を満たすようには十分に機能しない。本発明は、銅などの金属を含むデバイス上に通常観察される有害なエッチング及びダメージ効果は生じさせずに酸性媒体中で応答するが、同時に、除去/剥離プロセス中に粒状物を有害に形成する虞がある、不飽和酸無水物(例えばフマル酸)で変性された金属キレート化ロジン、または荷電錯化性のポリマーは含まない、架橋系のためのリムーバ製品を作り出すための商業的枠組みを提供する。
【0004】
他の場合には完全硬化(full-cure)と称されるハードベークまでの及びそれを含む様々な加工条件のために、該組成物は、化学増幅された反応した化合物を、銅などの敏感な金属に対するダメージ効果無く、数分間内で、高められた温度下に慣用の浸漬条件を用いて除去及び溶解する。このような完全硬化コーティングは、US6,551,973(特許文献1)(2003年、Mooreら)に例示されるようなアルカリ性成分を通常含む慣用の有機ストリッパに対して耐性があることが確認されている。これらの慣用のストリッパを用いた場合、溶解は起こらない。その代わりに、これらの慣用のアルカリ性ストリッパは、リフティングまたは小片への解体という機序によってコーティングを除去することが観察される。このリフトオフ機序は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイスで通常見られるような複雑な三次元トポグラフィからの不完全な除去を招く。未溶解の材料は、浴中を循環する粒状物を生成し、デバイスの他の領域上への未溶解小片の再堆積を引き起こす。これらの小さく、コンピュータ制御されたギア、センサ、スプリング、ポンプ及び関連するマイクロもしくはナノスケール装備品に起こるこのような汚染の結果、汚染とデバイスの故障が生じる。本発明の課題の一つは、所与の剥離及び除去期間の間に望ましくないポリマー材料の完全な溶解を達成することである。
【0005】
架橋されたコーティングを除去する一部の低pKaシステムは、リフトオフではなく、完全な溶解によってこれを為すが、これらのリムーバ材料は、顕著な腐食を防止するために、荷電錯化特性のポリマー、または不飽和酸無水物で変性されたロジン(例えばフマレート化ロジン)(金属保護性ロジン)を含んでいてよい。これらのタイプの化合物の添加は、予期できないことに、基材からレジスト基材を除去する時のそれらの析出の故の粒状物の問題を引き起こす。低pKaリムーバ中のこれらのタイプの化合物によって形成された粒状物は、デバイスの他の領域上に堆積し、最終のデバイスの性能に悪影響を及ぼす。このようなフマレートロジン化合物を含むこのような低pKaリムーバシステムの非限定的な例は、WO2016/142507(特許文献2)に記載されている。
【0006】
これらの超小型回路または超小型デバイスの製造の間、様々な無機系基材、例えば単及び多結晶性ケイ素、ハイブリッド半導体、例えばヒ化ガリウム、及び金属を有機コーティング(「フォトレジスト」またはレジスト)でコーティングし、この有機コーティングは、永続的なまたは一次的な設計の耐性フレームワークを形成し、そしてフォトリソグラフィプロセスを経た後にパターンを示す。このフォトレジストは、導体を絶縁するか、または基材表面、例えばケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウムの選択された領域を、湿式(化学的)及び乾式(プラズマ)形態両方での化学品の作用から保護するために利用し得る。材料がフォトレジストとして使用される場合は、基材の暴露された領域には、望ましいエッチング(除去)または堆積(付加)プロセスを行ってよい。この作業の完了後及びその後の洗浄またはコンディショニングの後は、レジスト及び任意のアプリケーションポストエッチング残渣を除去して、本質的な仕上げ作業を可能にする必要がある。フォトレジストを除去すると、特定の微細なエッチングまたは堆積パターンが後に残る。マスク化及びパターン化プロセスは、最終のデバイスの技術を含む層状配列を製造するために何度か繰り返される。最終形態のデバイスが比較的高い収率で製造されそして満足に機能することを保証するためには、各々のステップは完全なレジスト剥離及び溶解を必要とする。活性領域中へのこのプロセスの間の粒状物の堆積は、デバイスの収率及び性能の両方に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US6,551,973
【特許文献2】WO2016/142507
【特許文献3】US6,576,394
【特許文献4】US7601472
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Diazonaphthoquinone-based Resists,Chapter 2,Basic Chemistry of DNQ/Novolak resists,SPIE Optional Engineering Press volume TT11,p.9,1993
【非特許文献2】H.Ito,Adv Polym Sci 2005 I72 p37
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題の一つは、異なるタイプのネガ型及びポジ型レジストシステムの両方から生じるものを始めとした広い範囲の異なるパターン化フォトレジストフィルムを除去する改善された剥離用組成物を提供することである。これらの異なるタイプのうち、例としては、可視光線、ブロードバンドi線、g線、h線、UV、248nm、193nm、193nm液浸、ディープUV、EUV、電子またはe-ビームによって画像形成可能なレジストが挙げられる。どのタイプが使用されるかに依存して、これらの材料は、光活性化合物(例えばDNQ)、光酸発生剤(PAG)及び光ラジカル発生剤などの、粒状物を形成し易い添加剤を含み得る。その結果、本発明が、これらのタイプのレジストから形成されたパターンを除去して、粒状物を形成することなく、全ての成分、樹脂及び添加剤を数時間ではなく数分間で完全に除去できるようにすることも課題の一つである。荷電錯化特性のポリマーまたは不飽和酸無水物によって変性された金属保護性ロジン(例えばフマレート化ロジン)を、顕著な腐食を防止するための化合物として使用せずに、下にある暴露された銅並びに他の金属への浸食なしに、基材からのこのようなフォトレジストの除去を行うことも本発明の課題の一つである。というのも、これらのタイプの添加剤は、基材からの樹脂パターンの除去の間に粒状物の形成を促進するためである。また、作業者または環境に対して害を及ぼさない安全で規定対象外の化学品を使用し、かつ低い引火点の有機溶剤、特に沸点が約150℃未満の有機溶剤の使用を避けることによって、このフォトレジストパターンの除去及び金属の保護を行うことが更なる課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本新規リムーバ組成物は、多くの様々なタイプのレジストからなるパターンから、リフトオフされたレジストフィルムを形成するのではなく、フォトレジストパターンを、または樹脂もしくは添加剤のいずれかから生じた粒状物を、沸点が150℃超の安全でかつ規制対象外の溶剤を用いて完全に溶解することによって、これらの有利な性質を付与するものである。また同時に、予期できないことには、これらの新規リムーバ組成物は、低pKa成分、選択されたスルホン酸成分、シュウ酸、及び選択された有機溶剤成分からなる有機溶剤成分、及び水を含みつつ、荷電錯化特性のポリマーや、不飽和酸無水物によって変性されたロジンである金属保護性ロジン(例えばフマレート化ロジン化合物)の存在を必要とせず、銅及び類似物などの金属製基材の顕著な腐食を防止する。その結果、これらの新規組成物を用いた場合は、除去プロセスの間に金属保護性ロジン型化合物または荷電錯化特性のポリマーの析出が伴うという問題は存在しない。これらの新規リムーバ組成物及びそれの使用方法が、半導体ウェハ、MEMSデバイス及びディスプレーの製造に特に有用であることが見出された。
[発明の態様]
【0011】
この観点の一つでは、本発明は、カンフルスルホン酸、及び構造(I)(式中、RはHまたはC1~C18n-アルキル)のベンゼンスルホン酸;
【0012】
【化1】
からなる群から選択されるスルホン酸成分、
及び構造(II)を有するジカルボン酸、
【0013】
【化2】
有機溶剤成分である第一の成分及び水である第二の成分から本質的になる溶剤成分、
から本質的になる組成物であって、前記有機溶剤成分が、約95重量%~約85重量%の前記溶剤成分からなり、更に、前記有機溶剤成分が、有機溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)(式中、Rは、-(-O-CH
2-CH
2-)
n’-OH、-OH及び-O-C(=O)-CH
3からなる群から選択され、n’は1、2、3または4に等しい)、(VII)(式中、RaはHまたはC
1~C
4アルキル部分である)、(VIII)、(IX)(式中、RbはC1~C18アルキル部分である)、(X)、及び(XI)からなる群から選択されるか、またはこの群から選択される少なくとも二種の有機溶剤の混合物である、組成物に関する:
【0014】
【化3】
他の態様の一つでは、この組成物は、追加的に、界面活性剤成分からも本質的になる。
【0015】
最後に、この発明は、前記のいずれかの組成物を、パターン化フォトレジストを基材から除去するために使用することにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を減縮するものではないと理解するべきである。本願において、単数形の使用は複数を包含し、他に具体的に記載がなければ、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分の両方を包含する。他に指示がなければ、ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0017】
(メタ)アクリレートという用語は、アクリレート及びメタクリレートの両方を一つの用語に統合する用語である。
【0018】
「ストリッパ」及び「リムーバ」という用語は同義語である。
【0019】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0020】
他に記載がなければ、「金属保護性ロジン」という用語は、不飽和環状ジカルボキシレート無水物で処理されたロジン化合物を指す。これの非限定的な一例は、フマレート無水物で処理されたロジン化合物である。
【0021】
重量%の表現で全体として該新規組成を言うときは、いずれの場合も、不純物などの非本質的な成分も含んだ全ての成分の重量%は合計して100重量%を超えることはないと理解される。全ての本質的成分の組成は、この組成が、少量の非本質的汚染物または不純物を含む場合には、合計して100重量%未満である場合もある。他の場合は、相当量の非本質的不純物が存在しない場合には、全ての本質的成分の組成は本質的に合計して100重量%となると理解される。同様に、該新規組成物の溶剤成分中の成分の重量%に言及する場合は、水成分及び選択された有機溶剤成分の重量%の合計は、不純物が存在しない場合には、合計して本質的に100重量%となるものと解される。この場合もまた、該溶剤成分の全ての本質的な成分、すなわち水及び選択された有機溶剤成分の組成は、溶剤成分組成物が、非本質的な汚染物または不純物を少量含む場合には、合計して100重量%未満ともなり得る。
【0022】
本発明は、カンフルスルホン酸、及び構造(I)(式中、RはHまたはC1~C18n-アルキルである)のベンゼンスルホン酸;
【0023】
【化4】
からなる群から選択されるスルホン酸成分;
及び
【0024】
【化5】
有機溶剤成分から、または有機溶剤と水との混合物から本質的になる溶剤成分、
を含むまたはから本質的になるまたはからなる、組成物であって、前記有機溶剤成分が、約100重量%~約85重量%の前記溶剤成分からなり、更に、前記有機溶剤成分が、溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)(式中、Rは、-(-CH
2-CH
2-)
n’-OH、-OH及び-O-C(=O)-CH
3からなる群から選択され、そしてn’は1、2、3または4に等しい)、(VII)(式中、RaはHまたはC1~C4アルキル部分である)、(VIII)、(IX)(式中、RbはC1~C18アルキル部分である)、(X)、及び(XI)からなる群から選択されるか、あるいはこの群から選択される少なくとも二種の化合物の混合物である、組成物に関する:
【0025】
【化6】
本発明は、カンフルスルホン酸、及び構造(I)(式中、RはHまたはC1~C18n-アルキルである)のベンゼンスルホン酸;
【0026】
【化7】
からなる群から選択されるスルホン酸成分;及び
構造(II)を有するジカルボン酸;
【0027】
【化8】
有機溶剤成分からまたは有機溶剤成分と水との混合物を含むまたはから本質的なるまたはからなる組成物であって、
前記有機溶剤成分が、約100重量%~約85重量%の前記溶剤成分からなり、更に、前記有機溶剤成分は、有機溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)(式中、Rは、-(-O-CH
2-CH
2-)
n’-OH、-OH及び-O-C(=O)-CH
3からなる群から選択され、n’は1、2、3または4である)、(VII)(式中、RaはHまたはC
1~C
4アルキル部分である)、(VIII)、(IX)(式中、RbはC1~C18アルキル部分である)、(X)、及び(XI)からなる群から選択されるか、またはこの群から選択される少なくとも二種の有機溶剤の混合物である、組成物に関する:
【0028】
【化9】
前記の態様において、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(III)(DPGMEA)は、CAS No.34590-94-8を有する異性体化合物の混合物である。この混合物は、(CH
3O)C
3H
6OC
3H
6(OH)の一般式を有する。この混合物は、ジプロピレングリコールメチルエーテルという同義語も有する。ジプロピレングリコールモノメチルエーテルは、以下の異性体化合物を含む:以下の構造を有する、1-(2-メトキシプロポキシ)-2-プロパノール(CAS13429-07-7)(IIIa);1-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-プロパノール(CAS20324-32-7)(IIIb)、2-(2-メトキシプロポキシ)-1-プロパノール(CAS13588-28-8)(IIIc);2-(2-(2-メトキシプロポキシ)-1-プロパノール(CAS55956-21-3)(IIId):
【0029】
【化10】
界面活性剤を含む前記の態様において、界面活性剤には特に制限はなく、そしてそれの例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303及びEF352(Jemco Inc.製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90及びR94(Dainippon Ink & Chemicals,Inc.製)、Florad FC-430、FC-431、FC-4430及びFC-4432(Sumitomo 3M Ltd.製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol E1004、KH-10、KH-20、KH-30及びKH-40(Asahi Glass Co.,Ltd.製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092及びX-70-093(Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflow No.75及びNo.95(Kyoeisha Yushikagaku Kogyo K.K.製)などが挙げられる。
【0030】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、前記界面活性剤は、該組成物の全重量の1重量%未満の量で存在する。他の態様の一つでは、界面活性剤は0.1重量%未満の量で存在する。
【0031】
前記の本発明による組成物の他の態様の一つでは、界面活性剤は構造(XII)を有するポリマー型界面活性剤であり、ここでn’’’は、ポリマー繰り返し単位の数であり、そしてnaは、CH2スペーサ部分の数であり、8~14の整数である。
【0032】
【化11】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、界面活性剤は、構造(XII)を有するポリマー型界面活性剤であり、界面活性剤は構造(XIIa)を有する。
【0033】
【化12】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、界面活性剤は、構造(XIV)を有するものである。
【0034】
【化13】
構造(XII)を有する界面活性剤を含む本発明の態様では、これは、約0.005重量%~約3重量%で組成物中に存在し得る。他の態様の一つでは、約0.01重量%~約2.5重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、約0.1重量%~約2.5重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、約0.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.75重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.75重量%~約2.2重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.8重量%~約2.1重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.85重量%~約2.1重量%、約1.9重量%~約2.0重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約2重量%で存在し得る。
【0035】
構造(XIIa)を有する界面活性剤を含む本発明の態様では、これは、約0.005重量%~約3重量%で組成物中に存在し得る。他の態様の一つでは、約0.01重量%~約2.5重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、約0.1重量%~約2.5重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、約0.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.75重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.75重量%~約2.2重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.8重量%~約2.1重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.85重量%~約2.1重量%、約1.9重量%~約2.0重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約2重量%で存在し得る。
【0036】
構造(XIII)を有する界面活性剤を含む本発明の態様では、これは、約0.005重量%~約3重量%で組成物中に存在し得る。他の態様の一つでは、約0.01重量%~約2.5重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、約0.1重量%~約2.5重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、約0.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.75重量%~約2.5重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.75重量%~約2.2重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.8重量%~約2.1重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約1.85重量%~約2.1重量%、約1.9重量%~約2.0重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約2重量%で存在し得る。
【0037】
該新規組成物中の前記スルホン酸成分については、この成分は、該組成物の全重量の約0.1重量%~約10重量%で存在し得る。他の態様の一つでは、これらは、約0.5重量%~約2.5重量%で存在し得る。
【0038】
前記の新規組成物の一つの態様では、前記スルホン酸成分はカンフルスルホン酸である。
【0039】
前記の新規組成物の他の態様一つでは、前記スルホン酸成分はベンゼンスルホン酸である。
【0040】
前記の新規組成物の一つの態様では、前記スルホン酸成分はトルエンスルホン酸である。
【0041】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Ia)のベンゼンスルホン酸であり、ここで前記スルホン酸成分は、構造(Ia)のアルキルベンゼンスルホン酸であり、ここでnは0~16の整数である。
【0042】
【化14】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Ia)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnは8~16の整数である。
【0043】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Ia)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnは8~14の整数である。
【0044】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Ia)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnは8~10の整数である。
【0045】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Ia)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnは8~16の整数である。この態様の他の観点の一つでは、該組成物は、前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、nが8~14の整数であるものである。この観点の更に別の態様の一つでは、前記アルキルベンゼンスルホン酸は、nが8~10の整数であるものである。
【0046】
スルホン酸が構造(Ia)を有するものであるこの組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、このスルホン酸は、溶液の全重量中で、約0.1重量%~約10重量%の範囲の重量%含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.5重量%~約8重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.5重量%~約6重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約0.5重量%~約4重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約0.5重量%~約3重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約0.5重量%~約2.5重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約5重量%である。前記のいずれかの組成範囲の他の観点の一つにおいて、アルキルスルホン酸は、構造(Ia)を有し、ここでnは8~16の整数であるものである。他の観点の一つでは、nは8~14の整数である。更に別の観点の一つでは、nは8~10の整数である。この態様の更に別の観点の一つでは、nは8~10の整数である。この態様の更に別の態様の一つは、アルキルベンゼンスルホン酸が構造(1b)を有するものである。
【0047】
アルキルベンゼンスルホン酸が前記のより具体的な構造(Ia)を有するこの組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、より具体的な態様の一つにおいて、nは0~10の整数である。この態様の更に別の観点の一つでは、nは0~5の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、nは0~2の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、nは0~1の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、この酸は、より具体的な構造(Ic)を有する。この態様の他の観点の一つでは、前記スルホン酸は、約1重量%~約10重量%の含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1重量%~約6重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1重量%~約5重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1重量%~約3重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%~約3重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2.67重量%である。
【0048】
【化15】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Id)のベンゼンスルホン酸であり、ここで前記スルホン酸成分は、構造(Id)のアルキルベンゼンスルホン酸であり、ここでnbは0~16の整数である。
【0049】
【化16】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Id)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnbは10~14の整数である。
【0050】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Id)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnbは8~10の整数である。
【0051】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Id)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnbは0~10の整数である。
【0052】
前記新規組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(Id)のベンゼンスルホン酸であり、ここでnbは0~5の整数である。
【0053】
前記の新規組成物の他の態様一つでは、前記スルホン酸成分は構造(Ie)のベンゼンスルホン酸である。
【0054】
【化17】
前記の新規組成物の他の態様一つでは、前記スルホン酸成分は構造(If)のベンゼンスルホン酸である。
【0055】
【化18】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、構造(Id)を有するアルキルベンゼンスルホン酸成分は、溶液の全重量中で、約0.1重量%~約10重量%の範囲の重量%含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.5重量%~約8重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.5重量%~約6重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約0.5重量%~約4重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約0.5重量%~約3重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約0.5重量%~約2.5重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約5重量%である。前記のいずれかの組成範囲の他の観点の一つにおいて、アルケンスルホン酸は、構造(Id)を有し、ここでnbは8~16の整数であるものである。他の観点の一つでは、nbは8~14の整数である。更に別の観点の一つでは、nbは8~10の整数である。この態様の更に別の観点の一つでは、nbは8~10の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、これは、構造(Ie)を有する。
【0056】
アルキルベンゼンスルホン酸が前記のより具体的な構造(Id)を有するこの組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、より具体的な態様において、nbは0~10の整数である。この態様の更に別の観点の一つでは、nbは0~5の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、nは0~2の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、nは0~1の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、この酸は、より具体的な構造(If)を有する。この態様の他の観点の一つでは、前記スルホン酸は、約1重量%~約10重量%の含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1重量%~約6重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1重量%~約5重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1重量%~約3重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%~約3重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2.67重量%である。
【0057】
前記のいずれかの新規組成物の他の態様の一つにおいて、前記スルホン酸は、構造(Ib)または(Ie)を有し、そして前記組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、前記スルホン酸は構造(Ie)を有する。この態様の他の観点の一つでは、前記スルホン酸は、約0.5重量%~約2.5重量%で存在する。
【0058】
前記のいずれかの新規組成物の他の態様の一つにおいて、前記スルホン酸は、構造(Ic)または(If)を有し、そして前記組成物の約0.1重量%~約10重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、前記スルホン酸は構造(If)を有する。この態様の他の観点の一つでは、前記スルホン酸は、約1重量%~約3重量%で存在する。
【0059】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、構造(II)を有するジカルボン酸であるシュウ酸は、約0.5重量%~約15重量%で存在する。この態様の他の観点の一つでは、前記シュウ酸は、約1重量%~約12重量%で存在する。更に別の態様の一つでは、前記シュウ酸は、約2重量%~約10重量%で存在する。更に別の態様の一つでは、前記シュウ酸は、約3重量%~約8重量%で存在する。更に別の態様の一つでは、前記シュウ酸は、約3重量%~約5重量%で存在する。更に別の態様の一つでは、前記シュウ酸は、約2重量%~約5重量%で存在する。
【0060】
前記のいずれかの新規組成物の他の態様の一つでは、前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比は約0.01~約0.6である。この態様の他の観点の一つでは、前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比は約0.01~約0.55である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比は約0.01~約0.3である。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比は約0.1~約0.2である。この態様の更に別の観点の一つでは、前記ジカルボン酸に対する前記スルホン酸のモル比は約0.1~約0.15である。
【0061】
前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)及び(XI)の表示を有する有機溶剤から選択されるか、またはこれらの有機溶剤のうちの少なくとも二種の混合物であり、本発明の他の観点の一つは、前記溶剤またはこれらの溶剤の混合物は、全て大気圧下に少なくとも150℃の沸点を有して、該組成物が高温の引火点を有することを保証する。例えば、溶剤(III)のジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)(CAS34590-94-8)は190℃の沸点を有する。スルホラン(IV)(CAS126-33-0)は285℃の沸点を有する。溶剤(V)の1,2-プロピレングリコール(CAS57-55-6)は188.2℃の沸点を有する。構造(VI)に該当する溶剤の一つであるテトラグリコール(テトラヒドロフルフリルジエチレングリコールエーテル(CAS52818-38-7)は302.7℃の予測沸点(predicted boiling point)を有する。同様に、構造(VI)の範囲に該当する他の有機溶剤であるテトラヒドロフルフリルアルコール(CAS97-99-4)及びテトラヒドロフルフリルアセテート(CAS637-64-9)は、それぞれ、大気圧下に178℃及び193℃の沸点を有する。同様に、構造(VII)(Ra=H)に該当する溶剤の一つであるジヒドロ-2(3H)-フラノン(CAS96-48-0)は204℃の沸点を有する溶剤であり;この構造(Ra=CH3)に該当する他の溶剤の一つであるジヒドロ-5-メチル-2(3H)-フラノン(CAS108-29-2)は208℃の沸点を有し;Rがより高級のアルキル基であるこの構造に該当する他の溶剤は、R=メチルであるものよりも高い沸点を有する。同様に、構造(VIII)を有する溶剤である3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(CAS56539-66-3)は175℃の沸点を有する溶剤である。同様に、構造(IX)(Rb=CH3)に該当する溶剤の一つである1-メチル-2-ピロリジノン(CAS670)(NMP)は202℃の沸点を有する溶剤であり;高級アルキルであるアルキル置換基をRbとして有する一般構造式を有する他の溶剤は、更により高い沸点を有することが予測される溶剤である。構造(XI)を有する溶剤である2-プロポキシ-エタノール(CAS2807-30-9)は、150℃の沸点を有する溶剤である。最後に、構造(XI)を有する溶剤であるビス(2-メトキシエチル)エーテル(CAS111-96-6)は162℃の沸点を有する。
【0062】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、単一の有機溶剤(III)(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)である。
【0063】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、前記有機溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(IV)を有する単一の有機溶剤(テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド)である。
【0064】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、前記有機溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(V)を有する単一の有機溶剤である。
【0065】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、先に定義した構造(VI)の範囲内に該当する構造を有する単一の有機溶剤である。
【0066】
この組成物のいずれかの観点の他の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、先に定義した構造(VI)の範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である。
【0067】
この組成物の前記のいずれかの観点の他の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機成分は、構造(VIa)においてn’が1、2、3または4である少なくとも一種の有機溶剤である。
【0068】
前記の新規組成物の一つの態様において、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIa)を有し、ここでn’は1、2、3または4である。
【0069】
【化19】
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、1、2、3または4のn’の異なる値を有する構造(VIa)を有する少なくとも二種の溶剤の混合物である。
【0070】
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記溶剤成分は、構造(VIb)を有する単一の有機溶剤である。
【0071】
【化20】
(VIb)
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIc)を有する単一の有機溶剤である。
【0072】
【化21】
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VId)を有する単一の有機溶剤である。
【0073】
【化22】
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIe)を有する単一の有機溶剤である。
【0074】
【化23】
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIf)を有する単一の有機溶剤である。
【0075】
【化24】
前記新規組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIg)を有する単一の有機溶剤である。
【0076】
【化25】
前記の本発明の組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VII)について先に定義した範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる溶剤の混合物である。
【0077】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIIa)を有する単一の有機溶剤である。
【0078】
【化26】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIIb)を有する単一の有機溶剤である。
【0079】
【化27】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIIc)を有する単一の有機溶剤である。
【0080】
【化28】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIId)を有する単一の有機溶剤である。
【0081】
【化29】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIIe)を有する単一の有機溶剤である。
【0082】
【化30】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(VIII)を有する単一の有機溶剤である。
【0083】
上記の本発明の組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、先に定義した構造(IX)の範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である。
【0084】
上記の本発明の組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、RbがC1~C12アルキルである構造(IX)の範囲に該当する構造を有する少なくとも二つの異なる有機溶剤の混合物である。この態様の他の観点の一つでは、RbはC1~C8アルキルである。この観点の更に別の態様の一つでは、RbはC1~C4アルキルである。
【0085】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(IXa)を有する単一の有機溶剤である。
【0086】
【化31】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(IXb)を有する単一の有機溶剤である。
【0087】
【化32】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(IXc)を有する単一の有機溶剤である。
【0088】
【化33】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(IXd)を有する単一の有機溶剤である。
【0089】
【化34】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(XI)を有する単一の有機溶剤である。
【0090】
前記の本発明による組成物の態様の一つでは、前記溶剤成分において、前記有機溶剤成分は、構造(XI)を有する単一の有機溶剤である。
【0091】
前記有機溶剤成分が、有機溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)及び(XI)から選択される少なくとも二種の溶剤の混合物である該新規組成物の上記の態様において、可能な態様の非限定的な例は次のものである:
構造(VI)によって示される構造から選択される溶剤の二元、三元またはより多元の混合物、または構造(VI)に示される構造を有するこれらの有機溶剤の任意のものと単一の有機溶剤(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VIII)、(IX)、(X)または(XI)の任意のものとの二元、三元またはより多元の混合物。構造(VII)を有する有機溶剤、またはこれらの有機溶剤と構造(III)、(IV)、(V)、(VI)、(IX)、(X)または(XI)を有する有機溶剤との混合物から選択される、構造(VII)を有する有機溶剤の二元または三元混合物。構造(IX)を有する有機溶剤、またはこれらの有機溶剤と構造(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(X)または(XI)を有する有機溶剤との混合物から選択される、構造(VII)を有する有機溶剤の二元または三元混合物。具体的な有機溶剤混合物の一つの態様は、異なるn’の値を有する一般構造(VIa)を有する異なる溶剤の混合物である。本発明のこの観点の非限定的な例は、例えば、(VIb)、(VIc)、(VId)及び(VIe)の四元混合物;(VIc)、(VId)及び(VIe)、または(VIb)、(Ic)及び(VIe)、または(VIb)、(VId)及び(VIe)の三元混合物、及び類似の混合物;(VIb)及び(VIc)、または(VIb)及び(VId)、または(VIb)及び(VIe)、または(VIc)及び(VId)、または(VIc)及び(VIe)、または(VId)及び(VIe)の二元混合物である。上記の構造(VII)を有する異なる溶剤の混合物を、有機溶剤(VIf)、(VIg)、(III)、(IV)、(V)、(VIII)、(IX)、(X)及び(XI)からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶剤と組み合わせてもよい。
【0092】
溶剤成分は、ここに記載の有機溶剤成分の他に、0重量%よりも僅かに多い量から約15重量%までの量で水を含んでいてもよい。特定の態様の一つでは、水は約3~約8重量%の範囲である。
【0093】
具体的な態様の一つでは、前記有機溶剤成分の有機溶剤成分は、複数種の有機溶剤の混合物であり、前記混合物は、構造(III)の有機溶剤(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)と構造(IV)の有機溶剤(テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド)との混合物のみからなり、ここで前記混合物において、構造(III)の前記有機溶剤は、有機溶剤の前記混合物の約90重量%~約50重量%の範囲である。この混合物のこの態様の他の観点の一つでは、溶剤(III)は約70重量%~約50重量%の範囲である。この混合物のこの態様の他の観点の一つでは、溶剤(III)は、溶剤の前記混合物の約60重量%~約50重量%の範囲である。
【0094】
該新規リムーバ組成物は、ディップまたはスプレープロセスのいずれかを用いてレジストを除去するために使用でき、ここで、該リムーバ溶液は、おおよそ室温から約100℃までの間の温度で施与され;他の態様の一つでは、これは約40~80℃で施与し得る。
【0095】
この発明の他の態様の一つは、次のステップ:
i)おおよそ室温から約100℃である温度で上記の組成物のいずれか一つを加熱するステップ;
ii)パターン化されたフォトレジストフィルムでコーティングされた基材を、前記の加熱された組成物中に約1分間~約60分間の時間、浸漬した基材からフォトレジストフィルムが除去されるまで、浸漬するステップ;
iii)浸漬ステップii)の後、フォトレジストフィルムが除去された前記の浸漬した基材を、イソプロピルアルコール、水、またはイソプロプルアルコールと水との混合物のいずれかですすいで、浸漬ステップii)からの残留組成物を除去して、クリーンな基材を生成するステップ;
iv)上記のクリーンな基材を、それを空気中でスピン乾燥するか、またはそれを乾燥するために窒素もしくは空気の流れを用いて乾燥するステップ;
を含む、方法である。
【0096】
前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、これは、ステップi)において、組成物を約40℃~約80℃に加熱する方法である。
【0097】
前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、これは、ステップii)において、基材が金属である方法である。この態様の一つの観点では、金属は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、銅、チタン、タングステン及びニッケルから選択される。該方法のこの態様の他の観点の一つでは、金属は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、及び銅から選択される。前記の本発明の方法の更に別の態様の一つでは、これは、ステップii)において、基材が銅である方法である。
【0098】
上記の本発明の方法の他の態様の一つでは、これは、ステップii)において、基材が、約5分間から約30分間まで浸漬される方法である。
【0099】
前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、これは、ステップiii)において、すすぎが水を用いて行われる方法である。
【0100】
該新規リムーバプロセスを用いたスプレープロセスは、上述のような類似の温度及びタイムフレームを使用し得る。
【0101】
該新規リムーバ組成物は、次の通り、前記の本発明の方法において、多くの異なるタイプのフォトレジストパターンからパターンを除去するために使用し得る。
【0102】
該新規リムーバは、アプリケーション、ICデバイス、ICデバイスインターコネクト、回路基板、はんだ基板適用、MEM、ディスプレーなどに依存して様々な厚さを有するパターン化レジストフィルムを除去するために使用し得る。典型的には、厚さは、従来技術のICでの約数10ナノメータから始まって、より大きなICデバイスでは数マイクロメータ範囲、MEMなどの非常に大きなデバイスでは10~500マイクロメータの製造されるデバイスのサイズに応じて決まる。
【0103】
本開示のリムーバは、様々なタイプの放射線を用いてパターンを形成し得るものから選択し得る、パターンを形成することができるネガ型及びポジ型フォトレジスト材料から生じたレジストパターンに使用することができる。例えば、非限定的な例としては、除去されるレジストパターンは、i線フォトレジスト、g線フォトレジスト、248nmフォトレジスト、193nmフォトレジスト、極端紫外線フォトレジスト、電子ビームフォトレジスト及びパーティクルビームフォトレジストから形成し得る。本開示のリムーバは、パターンを得るために使用されるケミストリーのタイプによって以下のように更に分類し得るフォトレジストから生じ得るフォトレジストパターンに使用することができる。
【0104】
例えば、本開示のリムーバは、ノボラック樹脂及びジアゾナフトキノン型(DNQ)感光剤材料をベースとするフォトレジストの可視光、i線、h線及びg線による露光及び水性塩基使用による現像の結果生じるポジ型パターンを除去するために使用でき、ここで、これらのタイプの樹脂系は、トーンリバースプロセスを介してネガ型画像も生成することもできる。ジアゾナフトキノンノボラックベースのレジストは、(Diazonaphthoquinone-based Resists,Chapter 2,Basic Chemistry of DNQ/Novolak resists,SPIE Optional Engineering Press volume TT11,p.9,1993(非特許文献1))に記載されている。この文献の内容は、全て本明細書中に掲載されたものとする。
【0105】
本開示のリムーバは、化学増幅されそして水性塩基で現像可能なネガ型またはポジ型フォトレジストの両方から生じるレジストを除去するために使用することができる。典型的には、レジストパターンは、より高い解像度パターンを可能するために248nm、193nm、EUVで形成されるが、レジストパターンは、より長い波長、例えば可視光、ブロードバンドUV、i線、g線及びh線を用いて生成することもできる。
【0106】
本開示のリムーバは、ポジトーン化学増幅化型レジスト、潜在的に水性塩基可溶性であり、水性塩基可溶化部分をマスクする酸開裂性基を脱保護することによって水性塩基可溶性にされる樹脂、例えば(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン系コポリマー、ノボラック、フェノール系樹脂から生じるレジストパターンを除去するために使用できる。塩基可溶化部分は、カルボン酸類、フェノール類、または典型的には11未満のpKaを有して、水性塩基が殆どそれらをイオン化する他の部分であり得る。酸は、光酸発生化合物によりフォトレジストフィルムの露光領域中に生成する。この酸は、アシドリシスまたはヒドロリシスのプロセスを介して酸開裂性基を脱保護して、フリー塩基可溶化部分を放出し、露光された領域においてフォトレジストフィルムが水性塩基可溶性となることを可能にする。
【0107】
本開示のリムーバは、本質的な水性塩基可溶性が保護基によってマスクされていないネガトーン化学増幅レジストから生じるレジストパターンを除去するために使用し得る。この方策ではむしろ、本質的に塩基可溶性の樹脂(バインダー樹脂)、例えば水性塩基可溶性の(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン系コポリマー、ノボラック及び類似物をベースとするものは、酸架橋性部分を介して光酸による触媒作用により架橋される。これらの部分は、バインダー樹脂自体に懸垂すること、架橋性添加剤(架橋剤)上に存在すること、または樹脂及び添加剤の両方上に存在することができる。露光された領域における酸触媒架橋は、PAGによって生成した光酸を介して影響されて、その結果、水性塩基現像の後にネガトーン画像となる。典型的には、架橋性添加剤が使用される場合は、これは、光酸と相互作用した時にカルボニウムイオンを形成することができる部分、例えばアミノプラストであるか、または酸架橋可能基を含む添加剤、例えばエポキシ化合物である。同様に、架橋性部分が樹脂上に存在する場合は、これは、酸とカルボニウムイオンを形成できる部分、または酸と架橋できる部分、例えばエポキシ部分のいずれかであることができる。以下の文献は、化学増幅型レジストの論評である:(H.Ito,Adv Polym Sci 2005 I72 p37(非特許文献2))。
【0108】
本開示のリムーバは、ネガ型化学増幅レジストから生じ得るレジストパターンを除去するために使用でき、ここで、バインダー樹脂は、ノボラック、例えば、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類と縮合された、置換されたフェノール類、例えばオルト-クレゾール;メタ-クレゾール;パラ-クレゾール;2,4-キシレノール;2,5-キシレノール;3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、チモール及びこれらの混合物から誘導されるノボラックを含むことができる。他の方策では、バインダー樹脂は、ポリ(ビニルフェノール)、例えばポリ(パラ-ヒドロキシスチレン);ポリ(パラ-ヒドロキシ-アルファ-メチルスチレン);パラ-ヒドロキシスチレンまたはパラ-ヒドロキシ-アルファ-メチルスチレンとスチレン、アセトキシスチレンまたはアクリル酸及び/もしくはメタクリル酸とのコポリマー;ヒドロキシフェニルアルキルカルビノールホモポリマー;またはノボラック/ポリ(ビニルフェノール)コポリマーも含んでよい。このようなネガ型化学増幅レジストのための架橋性添加剤は、小化合物、有機オリゴマーまたはポリマー内に架橋性官能基を含むエーテル化されたアミノプラストであることができる。このようなアミノプラスとは、酸開裂時にカルボニウムイオンを供し、そして放射線、好ましくは画像形成性放射線によって生成された酸の存在下にバインダー樹脂を架橋するのに役立つ。この架橋は、バインダー樹脂を、露光された領域においてアルカリ性媒体中に不溶性のものとする。このような架橋剤は、複数のヒドロキシル、カルボキシル、アミドまたはイミド基を含む化合物または低分子量ポリマーと組み合わせて様々なアミノプラスとから製造し得る。アミノオリゴマーまたはポリマーの一部の例は、アミン、例えば尿素、メラミンまたはグリコールユリアとアルデヒド、例えばホルムアルデヒドと反応させることによって得られるアミノプラストである。適当なアミノプラストには、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド、及びグリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、及びこれらの任意のものの組み合わせなどが含まれ得る。一部の用途では、アミノプラストはヘキサ(メトキシメチル)メラミンオリゴマーである。このような材料の非限定的な例は、US6,576,394(特許文献3)に記載されている。
【0109】
本開示のリムーバは、光酸発生剤の代わりに光ラジカル発生剤によって開始された架橋をベースとするネガ型架橋性レジストから生じ得る、前記の該新規低pKaリムーバ組成物及び方法で使用するためのネガ型レジストパターンに使用することができる。この例では、化学増幅型ネガ型フォトレジストについて上述したものと同じタイプのバインダー樹脂を使用し得る。しかし、この例では、ラジカル架橋に簡単に影響を受ける少なくとも二つのオレフィン性部分を含む架橋性添加剤が存在する。このような部分の例は、ビニルアリール部分、例えばスチレン類、及びアクリレートまたはメタクリレート部分である。これらのラジカル架橋性添加剤の非限定的なより具体的な例は、目的に応じて、アクリル酸誘導体、例えばアクリル酸エステル、及びメタクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸エステルから適切に選択することができる。これらは、低分子量(モノマー性)または高分子量(オリゴマーもしくはポリマー性)を有することができる。この例では、添加剤は、複数のラジカル架橋可能な部分を含む小分子、オリゴマーまたはポリマーであることができる。これらのラジカル架橋性添加剤の一部は、酸開裂可能な構造をそれらの内に有し得る。このような構造は、パターン化されたフィルムの更なる加工の時に、例えば基材にパターン転写した後にレジストの剥離を容易にするのに使用し得る。このような酸開裂性基の例は、有利な水は使用せずにアシドリシス開裂しやすい第三級エーテル、第三級カルボキシレート及び類似物、または代替的に、レジストフィルム中に光酸有利水で完全なヒドロリシス開裂を容易に受ける酸開裂性部分、例えばアセタール、ケタール、及びアルキルシリルエーテルである。このような材料の非限定的な例は、US7601482(特許文献4)に記載されている。
【実施例0110】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様をサポートする実験結果について説明する。しかし、以下の開示は、例示のみを目的としたものであり、それ故、請求項に記載の発明の範囲を如何様にも限定することを意図したものではない点を指摘しておく。化学品
DDBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸;CAS:68584-22-5)は、Stepan社(22 West Frontage Rd.,Northfield,IL 60093)から入手した。Filtrez 591は、Lawter社(Chicago IL)から入手した。他の全ての化学品は、他に記載がなければ、表1に記載のように、Sigma Aldrich社(3050 Spruce St.,St.Louis,MO 63103)から購入した。
調合手順
表1及び2に記載の調合物は以下のように調製した。共有機溶剤としてスルホランを含む調合物は、スルホランを他の有機溶剤、界面活性剤並びに(存在する場合は)水と一緒に含む原料溶液を用いて開始した。次いで、特定のスルホン酸及びシュウ酸をこの原料溶液に添加、混合した。スルホランを含まない調合物は、各々の組成物の成分を容器(例えばガラスビーカー)中に一緒に加え、そして均一な溶液が得られるまでこれらの成分を互いに混合することによって調製した。
調合物試験
150nmの銅スパッタコーティングを有するケイ素200mm(8’’)ウェハを、金属腐食試験に使用した。銅コートケイ素ウェハクーポンを、予熱したフォトレジストリムーバ溶液中に、フォトレジストを剥離するのに十分以上の期間、浸漬した。腐食の兆候としての表面曇りの存在の目視及び顕微鏡検査によって金属表面の状態を調査するために定期的な検査を行った。表面曇りは、重量分析よりもより高いレベルの感度で確認、確定できる(<10Å/分)。
【0111】
フォトレジスト剥離試験では、他に記載がなければ、150nmの銅をスパッタリングにより施したケイ素ウェハを基材として使用し、このウェハ上に、化学増幅ネガ型フォトレジストAZ-15nXT(EMD Performance Materials,Branchburg,NJ08876の製品)を塗布及び加工した。加工は、12μm厚へのレジストのスピンコート、及び110℃下、180秒間のホットプレート上でのソフトベークの適用からなるものであった。次いで、このレジストは、コンタクトホールパターン化マスクを通して900mJ/cm2の光に露光した。レジストを現像する前に、120℃、60秒間でホットプレート上でポスト露光ベークを完了した。現像は、それぞれ後でDI水ですすいで60秒間の二つのパドルでAZ 300MIF現像剤を使用した。
【0112】
表2(本発明のリムーバ調合物)及び表3(比較リムーバ調合物)に記載の各々の調合物を試験するために、約100~200mLのリムーバを、スターラーバーと一緒にガラス製ビーカー中に入れた。リムーバを所望の温度(通常は25℃~80℃)に加熱し、そして約300rpmで攪拌した。パターン化されたAZ(登録商標)15nXTフォトレジストに被覆された銅ウェハのクーポンを、1分間と30分間との間、前記ビーカー中に沈めた。その後、このクーポンを直接水ですすぎ、次いでN2で風乾した。次いで、このクーポンを、残留レジスト及び銅腐食について検査する。表1に示すように許容可能な結果は、本発明のリムーバを示した。この場合は、レジストは完全に除去され、レジストフィルムのリフトオフなくレジストフィフィルムを完全に溶解しており、また、銅基材の腐食を示さないかまたは僅かな腐食しか示さず、更には、加工後に銅ウェハ上への粒状物の堆積も示さなかった。それ故、該新規組成物は、完全な溶解によりレジストを効果的に除去でき、存在する場合には望ましくない粒状物の堆積を招くことが観察された電荷錯化特性のポリマーまたは不飽和酸無水物によって変性された金属保護性ロジン(例えばフマレート化ロジン)を必要とすることなく、銅腐食を抑制した。特に、金属保護性ロジン成分(Filtrez 5-91A)を含むリムーバ調合物においては剥離後のウェハ上の粒状物の堆積が観察された(表3参照)。本発明による組成に含まれない組成を用いた場合の許容できない結果は表3に纏めて記す。このような許容できない結果は、組成がレジストを全く除去できないかまたはレジストを基材からのリフトオフによって除去したために起こった。完全な溶解ではないこのようなレジストのリフトオフは、マイクロリソグラフィ清浄装置中のフィルターの閉塞を招くために望ましくなかった。表3に観察される他の許容できない結果は、銅の深刻な腐食が観察された一部の調合物についてのものであった。特に、シュウ酸の成分としての排除はリムーバ溶液の機能不全を招いたことが観察される。同様に、シュウ酸を、マロン酸などの他のジカルボン酸に置き換えても、不良のリムーバ性能を招いた。また、本発明のリムーバ組成物の特定の有機溶剤成分を他の有機溶剤成分に置き換えると、リムーバとしてのこれらの比較組成物の機能不全を招いた。
【0113】
纏めると、これらの本発明によるリムーバ組成物は、銅を顕著に浸食せずまたは水で直接すすいだ後に残渣もしくは粒状物を後に残すことなく、完全な溶解によってネガ型架橋フォトレジストを迅速に除去することが確認された。これらは、レジストフィルムを剥離するのではなく、それを迅速に溶解することによって、これらのレジストパターンを除去した。これは、他の場合にはレジストフィルムの剥離を伴って起こる、工業的な湿式清浄ツールにおけるフィルター閉塞を防いだ。本発明によるリムーバ組成物を用いて処理した後、それらのウェハは、溶液からの固形物の析出を起こすことも、中間的なすすぎ処理を予め必要とすることなく、水で直接すすぐことができた。銅基材からレジストを除去する際、本発明によるリムーバ組成物は、銅の顕著な腐食を招くことなく、また驚くべきことに、金属保護性ロジン化合物またはポリマー錯化型化合物を必要とすることなく、それを効果的に為すことができた。金属保護性ロジン型化合物は、存在する場合には、比較例においてレジスト剥離の間に望ましくない粒状物の堆積を生じさせることが観察された。また本発明によるリムーバ組成物は、ネガ型及びポジ型レジスト両方の剥離を成し遂げることができない多くの標準的なネガトーンレジストリムーバとは異なり、パターン化ポジトーンフォトレジストでコーティングされた基材を効果的に剥離できることも観察された。
【0114】
【0115】
【0116】
前記有機溶剤成分において、前記有機溶剤成分が、有機溶剤の混合物であり、ここで前記混合物は、有機溶剤(III)と有機溶剤(IV)との混合物のみからなり;ここで前記混合物において、前記有機溶剤(III)は、有機溶剤の前記混合物の90重量%~50重量%の範囲である、請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。