(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191723
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】処置具起立機構及び超音波内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20221221BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20221221BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/018 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100120
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】森本 康彦
(72)【発明者】
【氏名】福澤 常夫
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF39
4C161FF40
4C161FF42
4C161FF43
4C161FF47
4C161HH24
4C161LL02
4C601BB22
4C601EE11
4C601EE20
4C601FE02
4C601GB04
(57)【要約】
【課題】内視鏡の太径化を抑え、負荷に耐え得る処置具起立機構及び超音波内視鏡を提供する。
【解決手段】処置具起立機構は、回転軸を中心に回転可能に支持された回転軸部と、回転軸部の一端に、回転軸部と一体に回転可能に連結された起立台と、回転軸部の他端に、回転軸部と一体に回転可能に連結された起立レバーと、を備え、起立レバーに回転力が与えられ、回転軸部を介して回転力が起立台に伝達され、起立レバーと起立台の少なくとも一方の被嵌合部材は、回転軸部の方向に開口する嵌合凹部を有し、回転軸部は、嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する嵌合凸部を有し、嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸から偏心した位置に重心を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転可能に支持された回転軸部と、
前記回転軸部の一端に、前記回転軸部と一体に回転可能に連結された起立台と、
前記回転軸部の他端に、前記回転軸部と一体に回転可能に連結された起立レバーと、
を備え、前記起立レバーに回転力が与えられ、前記回転軸部を介して前記回転力が前記起立台に伝達される処置具起立機構であって、
前記起立レバーと前記起立台の少なくとも一方の被嵌合部材は、前記回転軸部の方向に開口する嵌合凹部を有し、
前記回転軸部は、前記嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する嵌合凸部を有し、
前記嵌合凸部は、前記回転軸に垂直な断面において前記回転軸から偏心した位置に重心を有する、
処置具起立機構。
【請求項2】
前記被嵌合部材は前記起立台である、
請求項1に記載の処置具起立機構。
【請求項3】
前記起立台は、前記回転軸から前記回転軸に直交する方向に延在した処置具支持部を有し、
前記嵌合凸部は、前記回転軸に垂直な断面において前記回転軸から前記処置具支持部の延在方向に偏心した位置に重心を有する、
請求項2に記載の処置具起立機構。
【請求項4】
前記被嵌合部材は前記起立レバーである、
請求項1に記載の処置具起立機構。
【請求項5】
前記起立レバーは、前記回転軸から前記回転軸に直交する方向に延在したレバー部を有し、
前記嵌合凸部は、前記回転軸に垂直な断面において前記回転軸から前記レバー部の延在方向に偏心した位置に重心を有する、
請求項4に記載の処置具起立機構。
【請求項6】
前記被嵌合部材は前記起立台及び前記起立レバーであり、
前記嵌合凹部は、前記起立台に設けられ且つ前記回転軸部の方向に開口する第1嵌合凹部と、前記起立レバーに設けられ且つ前記回転軸部の方向に開口する第2嵌合凹部と、を有し、
前記嵌合凸部は、前記回転軸部の前記一端に設けられ且つ前記第1嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する第1嵌合凸部と、前記回転軸部の前記他端に設けられ且つ前記第2嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する第2嵌合凸部と、を有し、
前記第1嵌合凸部及び前記第2嵌合凸部は、前記回転軸に垂直な断面において前記回転軸から偏心した位置に重心を有する、
請求項1に記載の処置具起立機構。
【請求項7】
前記起立台は、前記回転軸から前記回転軸に直交する方向に延在した処置具支持部を有し、
前記起立レバーは、前記回転軸から前記回転軸に直交する方向に延在したレバー部を有し、
前記第1嵌合凸部は、前記回転軸に垂直な断面において前記回転軸から前記処置具支持部の延在方向に偏心した位置に重心を有し、
前記第2嵌合凸部は、前記回転軸に垂直な断面において前記回転軸から前記レバー部の延在方向に偏心した位置に重心を有する、
請求項6に記載の処置具起立機構。
【請求項8】
前記起立台と前記起立レバーとの間にシール部を備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の処置具起立機構。
【請求項9】
前記回転軸部を回転可能に保持する保持孔を有する保持部を備え、
前記シール部は、前記回転軸部の外周面と前記保持孔の内周面との間に配置される、
請求項8に記載の処置具起立機構。
【請求項10】
前記回転軸に直交する面に前記嵌合凸部と前記回転軸部を投影した場合、前記嵌合凸部は、前記回転軸部の形成領域に包含される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の処置具起立機構。
【請求項11】
前記嵌合凹部は、前記回転軸に垂直な断面において閉じた形状である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の処置具起立機構。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の処置具起立機構を備えた超音波内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処置具起立機構及び超音波内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡において、体腔内に挿入される挿入部の先端部に起立台を備え、処置具挿通チャンネルを挿通させて先端部の処置具導出部から導出させる処置具を起立台により起立させるとともに、起立台の起立角度を変更して処置具の導出方向を調整することができるものが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、処置具導出部に起立台が設けられ、その起立台の回転軸部を介して起立レバーを連結し、起立レバーに連結された操作ワイヤを操作部の操作により押し引きしすることで、起立台を変位させる超音波内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
起立レバーと起立台とは、例えば、起立レバー又は起立台の一方に設けられた回転軸部の嵌合軸と、起立レバー又は起立台の他方に設けられた嵌合孔とを嵌合させて連結される。
【0006】
しかしながら、近年、使用する処置具が多機能化、太径化してきたことにより、起立台を動かす際に、嵌合軸及び嵌合孔に加えられる負荷が大きくなっている。耐負荷性を改善するため、嵌合軸を大きくすることも考えられるが、嵌合軸を大きくすることで内視鏡が太径化し、患者負担が増える懸念がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内視鏡の太径化を抑え、耐負荷性を向上できる処置具起立機構及び超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様の処置具起立機構は、回転軸を中心に回転可能に支持された回転軸部と、回転軸部の一端に、回転軸部と一体に回転可能に連結された起立台と、回転軸部の他端に、回転軸部と一体に回転可能に連結された起立レバーと、を備え、起立レバーに回転力が与えられ、回転軸部を介して回転力が起立台に伝達される処置具起立機構であって、起立レバーと起立台の少なくとも一方の被嵌合部材は、回転軸部の方向に開口する嵌合凹部を有し、回転軸部は、嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する嵌合凸部を有し、嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸から偏心した位置に重心を有する。
【0009】
第2態様の処置具起立機構において、被嵌合部材は起立台である。
【0010】
第3態様の処置具起立機構において、起立台は、回転軸から回転軸に直交する方向に延在した処置具支持部を有し、嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸から処置具支持部の延在方向に偏心した位置に重心を有する。
【0011】
第4態様の処置具起立機構において、被嵌合部材は起立レバーである。
【0012】
第5態様の処置具起立機構において、起立レバーは、回転軸から回転軸に直交する方向に延在したレバー部を有し、嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸からレバー部の延在方向に偏心した位置に重心を有する。
【0013】
第6態様の処置具起立機構において、被嵌合部材は起立台及び起立レバーであり、嵌合凹部は、起立台に設けられ且つ回転軸部の方向に開口する第1嵌合凹部と、起立レバーに設けられ且つ回転軸部の方向に開口する第2嵌合凹部と、を有し、嵌合凸部は、回転軸部の一端に設けられ且つ第1嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する第1嵌合凸部と、回転軸部の他端に設けられ且つ第2嵌合凹部と相対回転不能に嵌合する第2嵌合凸部と、を有し、第1嵌合凸部及び第2嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸から偏心した位置に重心を有する。
【0014】
第7態様の処置具起立機構において、起立台は、回転軸から回転軸に直交する方向に延在した処置具支持部を有し、起立レバーは、回転軸から回転軸に直交する方向に延在したレバー部を有し、第1嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸から処置具支持部の延在方向に偏心した位置に重心を有し、第2嵌合凸部は、回転軸に垂直な断面において回転軸からレバー部の延在方向に偏心した位置に重心を有する。
【0015】
第8態様の処置具起立機構において、起立台と起立レバーとの間にシール部を備える。
【0016】
第9態様の処置具起立機構において、回転軸部を回転可能に保持する保持孔を有する保持部を備え、シール部は、回転軸部の外周面と保持孔の内周面との間に配置される。
【0017】
第10態様の処置具起立機構において、回転軸に直交する面に嵌合凸部と回転軸部を投影した場合、嵌合凸部は、回転軸部の形成領域に包含される。
【0018】
第11態様の処置具起立機構において、嵌合凹部は、回転軸に垂直な断面において閉じた形状である。
【0019】
第12態様の超音波内視鏡は、上記何れかの処置具起立機構を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、内視鏡の太径化を抑え、耐負荷性を向上できる処置具起立機構及び超音波内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、超音波検査システムの構成の一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、挿入部の先端部の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、処置具起立機構の第1実施形態を含む起立台アセンブリの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、起立台アセンブリの全体を左側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、起立台アセンブリの全体を右側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、起立レバーと、起立台と、回転軸部とを回転軸と平行な方向且つ、左側から見た図である。
【
図9】
図9は、処置具起立機構の第2実施形態の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、処置具起立機構の第3実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って実施形態に係る処置具起立機構、及び処置具起立機構を備える超音波内視鏡の好ましい実施形態について説明する。
【0023】
【0024】
超音波検査システム1は、体内の内視鏡画像及び超音波画像を撮影する超音波内視鏡2と、超音波画像を生成する超音波用プロセッサユニット3と、内視鏡画像を生成する内視鏡用プロセッサユニット4と、体内を照明する照明光を超音波内視鏡2に供給する光源装置5と、内視鏡画像及び超音波画像を表示するモニタ6と、を備える。
【0025】
超音波内視鏡2は、コンベックス型の超音波内視鏡であり、先端と基端とを有し、体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端に連設された操作部11と、操作部11に基端部が接続されたユニバーサルコード14とからなる。ユニバーサルコード14の先端部には、超音波用プロセッサユニット3、内視鏡用プロセッサユニット4、及び光源装置5の各々に超音波内視鏡2を接続するためのコネクタ14A、14B、14Cが設けられる。また、超音波検査システム1は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク17Aと、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ17Bとを備えている。
【0026】
挿入部10は、基端から先端に向って順に連設される軟性部15、湾曲部16、及び先端部20から構成される。
【0027】
軟性部15は、可撓性を有し、挿入部10の挿入経路に沿って任意の方向に湾曲する。湾曲部16は、操作部11のアングルノブ21の操作により上下と左右の各々の方向に湾曲する。
【0028】
先端部20は、その先端に超音波を送受して受信した超音波を電気信号である超音波信号に変換して出力する超音波観察部100を備える。超音波観察部100により出力された超音波信号は、ユニバーサルコード14により接続された超音波用プロセッサユニット3に送られ、超音波用プロセッサユニット3において、超音波が照射された体壁部分の深さ方向に存在する細胞組織の断層画像が超音波画像として生成される。
【0029】
また、先端部20は、超音波観察部100よりも基端側において、体内の被観察部位を撮影する内視鏡観察部38を備える。内視鏡観察部38により撮影された画像は、観察画像(内視鏡画像)としてユニバーサルコード14により接続された内視鏡用プロセッサユニット4に送られ、照明部により照射される照明光は、ユニバーサルコード14により接続された光源装置5から超音波内視鏡2内部のライトガイドを通じて伝搬される。
【0030】
更に、先端部20は、超音波観察部100よりも基端側において処置具導出部41を備える。処置具導出部41は、操作部11の処置具導入口25から挿入部10の内部の処置具挿通チャンネルに挿入された処置具150を挿入部10の外部に導出する。処置具導出部41には、処置具150の導出方向を調整する後述の起立台50が設けられる。
【0031】
次に、先端部20の構成について説明する。
図2、
図3は、先端部20の外観を示した斜視図及び平面図(上面図)である。
【0032】
先端部20は、先端部本体に相当する外装ケース30(ハウジングともいう)を備える。外装ケース30は、後述する超音波観察部100及び内視鏡観察部38の各部と、起立台アセンブリ49と、を収容する。
【0033】
この外装ケース30の中で超音波観察部100よりも基端側の部分は、図中上下方向に2分割されている。このため、外装ケース30は、図中下側に位置する外装ケース本体30Aと、図中上側に位置する外装ケース蓋30Bとにより構成される。
【0034】
外装ケース本体30A及び外装ケース蓋30BのR方向側の側面であって、且つ後述のレバー収容部56(
図6参照)に対向する位置には、外装ケース本体30A及び外装ケース蓋30Bに跨るようにレバー収容蓋59が設けられている。
【0035】
ここで、挿入部10の長手軸LAと平行な方向から、挿入部10の基端側から先端側への向きにみた場合に挿入部10の長手軸LAに垂直な方向のうち、超音波観察部100及び処置具導出部41が配置される向きを上、その反対向きを下として、上(U)、下(D)、左(L)及び右(R)の向きに関する用語を使用する。
【0036】
尚、詳細は省略するが、外装ケース30は、その一部をセパレートブロックとして取り外すことができ、セパレートブロックを取り外した状態で各構成部品を所定の収容部に組み付けることができる。各構成部品を収容部に組み付けた後、セパレートブロックを外装ケース30(例えば、外装ケース本体30A、外装ケース蓋30Bなど)に取り付けることによって、各構成部品が収容部に収容保持されて先端部20に固定される。
【0037】
また、外装ケース30は、絶縁性を有する絶縁材料として、例えば、メタクリル樹脂又はポリカーボネイドのようなプラスチック等の樹脂材料により形成される。
【0038】
また、先端部20は、
図2、
図3に示すように基端側の基部32と、基部32から先端側に延設された延部33とから構成される。
【0039】
基部32には内視鏡観察部38が設けられる。延部33には、上面側において上述の超音波観察部100が設けられる。超音波観察部100は、超音波を送受する多数の超音波振動子を凸面状に配列したコンベックス型の超音波トランスデューサ102を有する。
【0040】
内視鏡観察部38は、先端側斜め上方を向く左側の第1斜面40A及び右側の第2斜面40Bと、それらの第1斜面40Aと第2斜面40Bとの間の中央部分に設けられた凹状の処置具導出部41とを有する。
【0041】
第1斜面40Aには、観察窓42、第1照明窓43Aと、送気送水ノズル44が設けられる。第2斜面40Bには、第2照明窓43Bが設けられる。
【0042】
観察窓42は、被写体の光学像を得るためのものであって、被観察部位の画像を観察画像として取得する。観察窓42の背面側となる基部32の内部には、光学観察部の構成要素である結像光学系及び固体撮像素子(CCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の固定撮像素子)が一体的に組み立てられた撮像系ユニットが収容配置される。撮像系ユニットはユニバーサルコード14に接続された内視鏡用プロセッサユニット4に電気的に接続される。
【0043】
第1照明窓43A及び第2照明窓43Bは、被観察部位に照明光を照射する。これらの第1照明窓43A及び第2照明窓43Bの各々の背面側となる基部32の内部には、照明部の構成要素であり、第1照明窓43A及び第2照明窓43Bを介して照明光を出射する光出射部が収容配置される。光出射部はユニバーサルコード14に接続された光源装置5にライトガイドを通じて光学的に接続される。
【0044】
送気送水ノズル44は、操作部11の送気送水ボタン22(
図1参照)の操作によって観察窓42に向けて水又はエアーを噴射し、観察窓42の洗浄等を行う。
【0045】
処置具導出部41には、起立台50が配置される共に、起立台50を配置するスリット状の空間として外装ケース30の側面(上側)に開口部45Aを有する起立台収容空間45が形成され、その基端側に処置具挿通孔55Aが設けられる。
【0046】
処置具挿通孔55Aは、挿入部10の内部を挿通する処置具挿通チャンネル(管路)を通じて操作部11の処置具導入口25(
図1参照)に連通する。従って、処置具導入口25から挿入された処置具は処置具挿通孔55Aから起立台収容空間45に案内される。そして、起立台収容空間45の起立台50により導出方向(導出角度)が曲げられ、処置具導出部41から挿入部10の側方(上側)に向けて導出される。
【0047】
また、処置具挿通チャンネルは吸引チャンネルにも連結されており、操作部11の吸引ボタン23(
図1参照)の操作によって処置具挿通孔55Aからの体液等の吸引が行われる。
【0048】
起立台50は、挿入部10の長手軸LAに直交する方向の成分を含む軸方向の回転軸の周りに回動自在に設けられ、処置具挿通チャンネルから導出された処置具を案内する処置具案内面となる処置具支持部50Aを有する。処置具支持部50Aは、起立台50の上面側において先端部20の基端側から先端側に向かって上方に湾曲する凹面状(円弧状)に形成される。
【0049】
処置具挿通孔55Aから起立台収容空間45に導出された処置具はその処置具支持部50Aに沿って先端部20の軸線方向(挿入部10の長手軸LA方向)に対して上向きに湾曲して処置具導出口となる起立台収容空間45の上側の開口部45Aから外部に導出される。
【0050】
また、起立台50は、操作部11の起立操作レバー24(
図1参照)の操作により起伏動作する構成されており、起立台50を起伏動作させて倒伏状態からの起立角度を調整することにより処置具導出部41から導出する処置具の導出方向(導出角度)を調整することができる。
【0051】
<第1実施形態>
次に、処置具起立機構の第1実施形態について説明する。
図4は、起立台アセンブリ49の分解斜視図であり、
図5は、起立台アセンブリ49を左側から見た斜視図であり、
図6は、起立台アセンブリ49の全体を右側から見た斜視図である。
【0052】
起立台アセンブリ49は
図4から
図6に示すように一体的に組み立てられて、外装ケース30の所定の収容部に収容保持されて先端部20内に固定される。
【0053】
図4に示すように起立台アセンブリ49は、起立台収容空間45を画定し、構成部品を支持するアセンブリ本体51と、処置具起立機構70と、を含んでいる。処置具起立機構70は、回転可能に支持される回転軸部80と、回転軸部80の一端に連結される起立台50と、回転軸部80の他端に連結される起立レバー52と、を備えている。処置具起立機構70では、後述するように、起立レバー52に回転力が与えられと、回転軸部80を介して回転力が起立台50に伝達される。第1実施形態では、起立台50が嵌合凹部61を有する被嵌合部材を構成する。
【0054】
アセンブリ本体51は、アセンブリ本体51の下部を形成する基台部53と、基台部53の右側面の側に配置される仕切部54と、基端部を形成する処置具挿通部55とから構成される。基台部53と仕切部54とは、起立台50と起立レバー52との間の隔壁を構成する。なお、これらの構成部は一体形成されるが別体として構成されて連結されてもよい。
【0055】
基台部53は、起立台アセンブリ49として、
図2及び
図3のように先端部20内(外装ケース30の所定の収容部)に収容された状態における起立台収容空間45の領域を基準にすると、起立台収容空間45の下側に配置される。
【0056】
基台部53の左側面に沿った領域には、凹部53Bが形成される。凹部53Bは、起立台50を回転自在に収容することができる。
【0057】
基台部53の上面53Aの右縁部に沿った位置には、上方に向けて仕切部54が延設され、起立台収容空間45の右側壁面が仕切部54の左側面54Aにより形成される。
【0058】
基台部53及び仕切部54の基端側には、処置具挿通部55が連設され、起立台収容空間45の基端側に処置具挿通部55が配置される。
【0059】
処置具挿通部55には、起立台収容空間45に向けて開口する処置具挿通孔55Aが形成される。処置具挿通部55の基端側には処置具挿通チャンネルを形成する管路部材110が接続され、処置具挿通孔55Aは処置具挿通チャンネルと連通する。
【0060】
基台部53と仕切部54の右側面に沿った領域には、レバー収容部56が設けられている(
図6参照)。基台部53には、レバー収容部56と、基台部53の凹部53Bとを貫通する円柱形状の保持孔57が設けられる。基台部53は回転軸部80を回転可能に保持する保持孔57を有する保持部として機能する。
【0061】
回転軸部80は、一端と他端とを有する円柱形状を有している。起立台50が、回転軸部80の一端に、回転軸部80と一体に回転可能に連結され、起立レバー52が、回転軸部80の他端に、回転軸部80と一体に回転可能に連結される。
【0062】
回転軸部80は、後述する起立台50の嵌合凹部61と相対回転不能に嵌合する嵌合凸部81を備えている。嵌合凸部81は回転軸部80の回転軸ARと平行に突出する。回転軸部80は、外周面に、周方向に沿う収容溝82を備える。収容溝82には、後述するシール部90(
図8参照)が配置される。
【0063】
回転軸部80は、回転軸ARに垂直な断面において円形状である。一方、嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において非円形状であり、その一例として
図4においては略矩形形状を有している。
【0064】
上述した基台部53の保持孔57は、回転軸部80を、回転軸ARを中心に回転可能に保持する。回転軸部80の外径(収容溝82を除く)と、保持孔57の内径とは、略一致する。
【0065】
起立レバー52は、長板状に形成されている。回転軸部80の他端において、起立レバー52が一体に回転可能に連結されている。回転軸部80は、起立レバー52の長手方向の一方の端部側(基端部側)に連結される、さらに、回転軸部80は、仕切部54に対向する起立レバー52の幅広面52Aに対して略直交するよう連結される。なお、起立レバー52と回転軸部80とは一体成形により連結されていてもよく、また、起立レバー52と回転軸部80とを別部材とし、接着剤、ネジ等で固定することで、連結されていてもよい。起立レバー52は、回転軸ARから回転軸ARに直交する方向に延在したレバー部58を備えている。レバー部58には後述するワイヤ連結部116が設けられる。
【0066】
起立台50は、円弧状の処置具支持部50Aが形成された左右対称形状の起立台本体60と、起立台本体60の処置具支持部50Aとは反対側には形成された回転軸部80の方向に開口する嵌合凹部61と、を有している。嵌合凹部61は、回転軸ARに平行な方向から見て、嵌合凸部81と同一の形状の非円形状の矩形形状を有している。
図4においては、嵌合凹部61は、回転軸ARに平行な方向から見て、起立台本体60を貫通する。一方、嵌合凹部61は、回転軸ARに垂直な断面において閉じた形状である。したがって、閉じた形状は、嵌合凹部61の全周が起立台本体60に囲まれ、C字形状又はU字形状のような切り欠かれた箇所を備えていない。
【0067】
図5に示すように、起立台アセンブリ49が一体的に組み立てられる。組み立てでは、起立レバー52に設けられた回転軸部80が、レバー収容部56の側(
図6参照)から凹部53Bに向けて保持孔57に挿入される。回転軸部80が保持孔57に回転可能に支持される。回転軸部80の嵌合凸部81のみが保持孔57から凹部53Bへ突出する(
図8参照)。
【0068】
起立台50が、凹部53B側から配置され、回転軸部80の嵌合凸部81と起立台50の嵌合凹部61とは、相対回転不能に嵌合される。嵌合凸部81と嵌合凹部61と嵌合することにより、起立台50が、回転軸部80の一端に、回転軸部80と一体に回転可能に連結される。回転軸部80を保持孔57に挿入し、回転軸部80の嵌合凸部81と起立台50の嵌合凹部61と嵌合すると、回転軸部80が保持孔57内に位置決めされる。
【0069】
回転軸部80を保持孔57に挿入する前に、収容溝82の外周面にOリング等のシール部90が配置される(
図8参照)。
【0070】
図6に示すように、レバー収容部56が基台部53と仕切部54の右側面に沿った領域に設けられ、起立レバー52が、回転軸部80と一体に回転可能に収容される。
【0071】
アセンブリ本体51の処置具挿通部55の基端部分において、レバー収容部56の基端側にはコントロールケーブル112が接続される。コントロールケーブル112は、ガイド管114とガイド管114を挿通する操作ワイヤ113とから構成される。
【0072】
操作ワイヤ113の一方の端部(基端)は操作部11の起立操作レバー24に連結され、起立操作レバー24の操作によって押し引き操作される。操作ワイヤ113の他端(先端)は、レバー収容部56の内部に挿入されてワイヤ連結部116を介して起立レバー52のレバー部58に連結される。
【0073】
なお、
図6において、起立レバー52が収容されるレバー収容部56を覆うレバー収容蓋59は省略されている。
【0074】
処置具起立機構70によれば、起立操作レバー24の操作によって操作ワイヤ113が押し引き操作されると、起立レバー52に回転力が与えられ、起立レバー52と回転軸部80が回転軸ARを中心に一体に回転する。回転力が回転軸部80を介して起立台50に伝達される。起立台50が回転軸部80と一体に回転し、起立台50が起伏動作する。
【0075】
なお、操作ワイヤ113は、操作部11から挿入部10を経由して外装ケース30まで設けられており、起立操作レバー24で生じた変位量を起立レバー52に伝達する伝達部材の一形態である。変位量を起立レバー52に伝達する伝達部材であれば、他の形態であってもよい。
【0076】
図7は、起立レバー52と、起立台50と、回転軸部80と、を回転軸ARから平行な方向、且つ左側から見た図である。
【0077】
図7(A)は、嵌合凹部61と嵌合凸部81とが嵌合される前の状態を示す。起立レバー52からは、回転軸部80が回転軸ARに平行(紙面に直交する方向)に延びている。回転軸部80は円柱形状を有しており、回転軸ARに垂直な断面において円形状であり、回転軸ARは回転軸部80の円形状の断面の中心に一致する。
【0078】
嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において略矩形形状を有している。対向する2辺の長さが等しく、接する2辺の長さが異なっている。
図7(A)に示すように、嵌合凸部81の対向する2辺の中心を結ぶ2本の仮想直線の交点が、嵌合凸部81の重心Gとなる。
図7(A)に示すように、嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心した位置に重心Gを有する。
【0079】
図7(A)に示すように、起立台50は、既述したように、処置具支持部50Aが形成された起立台本体60と、回転軸部80の方向に開口する嵌合凹部61を有している。
【0080】
図7(B)に示すように、嵌合凸部81が嵌合凹部61に相対回転不能に嵌合され、起立レバー52と、回転軸部80と、起立台50とが一体に回転可能に連結された処置具起立機構70が組み立てられる。既述したように、起立操作レバー24を操作して操作ワイヤ113が押し引き動作されることで、起立レバー52に矢印で示す方向に回転力が付与され、回転軸部80が回転軸ARを中心に回転する。回転軸部80を介して回転力が起立台50に伝達される。嵌合凸部81と嵌合凹部61とが相対回転不能に嵌合されるので、起立台50は、起立レバー52の回転方向に連動して変位(起立及び倒伏)する。
【0081】
回転軸部80を介して回転力が起立台50に伝達される際、相対回転不能に嵌合された嵌合凸部81と嵌合凹部61とには負荷がかかる。使用する処置具が多機能化、及び太径化してきたことにより、嵌合凸部81と嵌合凹部61に加えられる負荷がより大きくなっている。
【0082】
従来、嵌合凸部の重心と回転軸とが一致している場合、耐負荷性を向上させるために嵌合凸部を大きくすると、内視鏡が太径化する懸念がある。
【0083】
実施形態では、嵌合凸部81の重心Gを回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心させることで、内視鏡を太径化することなく、回転軸ARに垂直する方向に嵌合凸部81を大きくでき、耐負荷性を向上できる。
【0084】
図7(B)に示すように、起立台50の処置具支持部50Aは、回転軸ARから回転軸ARに直交する方向に延在している。嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において回転軸から処置具支持部50Aの延在方向に偏心した位置に重心Gを有していることが好ましい。処置具支持部50Aの延在方向においては、重心Gを偏心させても、嵌合凸部81と嵌合する嵌合凹部61の周囲の肉厚(回転軸ARに垂直な方向の)を確保でき、耐負荷性の低下を抑制できる。
【0085】
嵌合凸部81は接する2辺の長さが異なる矩形形状であるので、嵌合凹部61と間での滑りにくくでき、起立レバー52の回転力を回転軸部80の嵌合凸部81及び嵌合凹部61を介して確実に起立台50に伝達できる。
【0086】
嵌合凸部81が矩形形状を一例として示したが、嵌合凹部61と相対回転不能に嵌合でき、嵌合凸部81の重心が回転軸ARから偏心できれば、その形状は限定されない。例えば、周囲に凹凸を有する歯車形状、又は多角形状が適用される。
【0087】
既述したように、嵌合凹部61は、回転軸ARに垂直な断面において閉じた形状であるので、嵌合凹部61に負荷がかかった場合も変形が抑制される。
【0088】
図8は、
図3における8-8線の矢視断面図である。
図8に示すように、起立レバー52と回転軸部80とが、長手軸LAに垂直な断面において略L字形状を有している。
【0089】
回転軸部80は、保持孔57に回転軸ARを中心に回転可能に支持される。リング状のシール部90が、起立レバー52と起立台50との間で、且つ回転軸部80の外周面を構成する収容溝82に配置される。回転軸部80が保持孔57により支持されているので、シール部90は回転軸部80の外周面(収容溝82)と保持孔57の内周面との間に配置される。
【0090】
シール部90により、起立台収容空間45内から保持孔57と回転軸部80との間に血液又は水等の液体(以下、単に液体と略す)が侵入したとしても、レバー収容部56の側に液体が侵入することが抑制され、洗浄が困難な操作ワイヤ113が汚染されることを抑制できる。
【0091】
既述したように、嵌合凸部81は、回転軸部80の回転軸ARから偏心した位置に重心Gを有しているので、太径化せずに、耐負荷性を向上できる。
【0092】
図7及び
図8に示すように、回転軸ARに直交する面に嵌合凸部81と回転軸部80を投影した場合、嵌合凸部81は、回転軸部80の形成領域に包含されることが好ましい。嵌合凸部81が回転軸部80の保持孔57への挿入又は取出しの際に影響を与えないので、組み立て、修理が容易になる。
【0093】
<第2実施形態>
次に、処置具起立機構の第2実施形態について図を参照して説明する。処置具起立機構の第1実施形態と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0094】
図9は、処置具起立機構の第2実施形態の分解斜視図である。
図9に示すように、第2実施形態の処置具起立機構70Aは、処置具起立機構70と同様に、回転可能に支持される回転軸部80と、回転軸部80の一端に連結される起立台50と、回転軸部80の他端に連結される起立レバー52と、を備えている。第2実施形態は、第1実施形態と異なり、起立レバー52が嵌合凹部71を有する被嵌合部材を構成する。
【0095】
回転軸部80は、起立レバー52の嵌合凹部71と相対回転不能に嵌合する嵌合凸部81を備えている。嵌合凸部81は回転軸部80の回転軸ARと平行に突出する。回転軸部80は、外周面に、周方向に沿う収容溝82を備える。収容溝82には、既述したシール部90が配置される。
【0096】
回転軸部80は、回転軸ARに垂直な断面において円形状である。一方、嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において非円形状である。保持孔57は、回転軸部80を、回転軸ARを中心に回転可能に保持する。
【0097】
第1実施形態と同様に、嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心した位置に重心Gを有する。
【0098】
嵌合凸部81の重心Gを回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心させることで、内視鏡を太径化することなく、嵌合凸部81を回転軸ARに垂直する方向に大きくできる。
【0099】
起立レバー52は、長板状に形成され、長手方向の一方の端部側(基端部側)において、回転軸部80の方向に開口する嵌合凹部71を有し、回転軸ARから回転軸ARに直交する方向に延在したレバー部58を備える。嵌合凹部71は、回転軸ARに平行な方向から見て、嵌合凸部81と同一の形状の非円形状の矩形形状を有している。嵌合凹部71は、起立レバー52を貫通する。一方、嵌合凹部71は、回転軸ARに垂直な断面において閉じた形状である。したがって、閉じた形状は、嵌合凹部71の全周が起立レバー52に囲まれ、C字形状又はU字形状のような切り欠かれた箇所を備えていない。
【0100】
起立台50は、円弧状の処置具支持部50Aが形成された左右対称形状の起立台本体60と備えている。起立台本体60の処置具支持部50Aとは反対側において、回転軸部80の一端が起立台50と一体に回転可能に連結されている。なお、起立台50と回転軸部80とは一体成形により連結されていてもよく、また、起立台50と回転軸部80とを別部材とし、接着剤、ネジ等で固定することで、連結されていてもよい。起立台50と回転軸部80とは、長手軸LA(不図示)に垂直な断面において略L字形状を有している。
【0101】
嵌合凸部81が嵌合凹部71に相対回転不能に嵌合されると、回転軸部80の他端に、回転軸部80と一体に回転可能に起立レバー52が連結され、起立レバー52と、回転軸部80と、起立台50とが一体に回転可能に連結された処置具起立機構70が組み立てられる。
【0102】
第2実施形態では、嵌合凸部81は、回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARからレバー部58の延在方向に偏心した位置に重心を有することが好ましい。レバー部58の延在方向においては、重心Gを偏心させても、嵌合凸部81と嵌合する嵌合凹部71の周囲の肉厚(回転軸ARに垂直な方向の)を確保でき、耐負荷性の低下を抑制できる。
【0103】
<第3実施形態>
次に、処置具起立機構の第3実施形態について図を参照して説明する。処置具起立機構の第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成には同様の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0104】
図10は、処置具起立機構の第3実施形態の分解斜視図である。
図10に示すように、第3実施形態の処置具起立機構70Bは、処置具起立機構70及び70Aと同様に、回転可能に支持される回転軸部80と、回転軸部80の一端に連結される起立台50と、回転軸部80の他端に連結される起立レバー52と、を備えている。第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態とは異なり、嵌合凹部として起立台50が回転軸部80の方向に開口する第1嵌合凹部61Aと、起立レバー52が回転軸部80の方向に開口する第2嵌合凹部71Aとを有する。さらに、嵌合凸部として、回転軸部80の一端に設けられ且つ第1嵌合凹部61Aと相対回転不能に嵌合する第1嵌合凸部81Aと、回転軸部80の他端に設けられ且つ第2嵌合凹部71Aと相対回転不能に嵌合する第2嵌合凸部81Bと、を有している。保持孔57(不図示)は、回転軸部80を、回転軸ARを中心に回転可能に保持する。
【0105】
回転軸部80は、一端に設けられた第1嵌合凸部81Aと、他端に設けられた第2嵌合凸部81Bと、を備える。第1嵌合凸部81Aと第2嵌合凸部81Bとは回転軸部80の回転軸ARと平行に突出する。回転軸部80は、外周面に、周方向に沿う収容溝82を備える。収容溝82には、既述したシール部90が配置される。
【0106】
回転軸部80は、回転軸ARに垂直な断面において円形状である。一方、第1嵌合凸部81A及び第2嵌合凸部81Bは、回転軸ARに垂直な断面において非円形状である。
【0107】
起立レバー52は、長板状に形成され、長手方向の一方の端部側(基端部側)において、回転軸部80の方向に開口する第2嵌合凹部71Aを有し、回転軸ARから回転軸ARに直交する方向に延在したレバー部58を備える。第2嵌合凹部71Aは、起立レバー52を貫通する。一方、第2嵌合凹部71Aは、回転軸ARに垂直な断面において閉じた形状である。
【0108】
起立台50は、円弧状の処置具支持部50Aが形成された左右対称形状の起立台本体60と備えている。起立台本体60の処置具支持部50Aとは反対側において、回転軸部80の方向に開口する第1嵌合凹部61Aを有している。第1嵌合凹部61Aは、起立台50を貫通する。一方、第1嵌合凹部61Aは、回転軸ARに垂直な断面において閉じた形状である。
【0109】
第1嵌合凸部81Aが第1嵌合凹部61Aに相対回転不能に嵌合され、第2嵌合凸部81Bが第2嵌合凹部71Aに相対回転不能に嵌合されると、回転軸部80の一端に、回転軸部80と一体に回転可能に起立台50が連結され、回転軸部80の他端に、回転軸部80と一体に回転可能に起立レバー52が連結され、起立レバー52と、回転軸部80と、起立台50とが一体に回転可能に連結された処置具起立機構70Bが組み立てられる。
【0110】
拡大図は、起立台50側から回転軸ARに平行な方向から第1嵌合凸部81Aを見た図である。第3実施形態では、第1嵌合凸部81A及び第2嵌合凸部81Bは、回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心した位置に重心G1及びG2を有する。
【0111】
第1嵌合凸部81Aの重心G1を回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心させることで、内視鏡を太径化することなく、第1嵌合凸部81Aを回転軸ARに垂直する方向に大きくできる。
【0112】
また、第2嵌合凸部81Bの重心G2を回転軸ARに垂直な断面において回転軸ARから偏心させることで、内視鏡を太径化することなく、第2嵌合凸部81Bを回転軸ARに垂直する方向に大きくできる。第1実施形態及び第2実施形態と同様に重心G1は処置具支持部50Aの延在方向に回転軸ARから偏心していることが好ましく、また重心G2はレバー部58の延在方向に回転軸ARから偏心していることが好ましい。
【0113】
以上、本発明について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 超音波検査システム
2 超音波内視鏡
3 超音波用プロセッサユニット
4 内視鏡用プロセッサユニット
5 光源装置
6 モニタ
10 挿入部
11 操作部
14 ユニバーサルコード
14A コネクタ
14B コネクタ
14C コネクタ
15 軟性部
16 湾曲部
17A 送水タンク
17B 吸引ポンプ
20 先端部
21 アングルノブ
22 送気送水ボタン
23 吸引ボタン
24 起立操作レバー
25 処置具導入口
30 外装ケース
30A 外装ケース本体
30B 外装ケース蓋
32 基部
33 延部
38 内視鏡観察部
40A 第1斜面
40B 第2斜面
41 処置具導出部
42 観察窓
43A 第1照明窓
43B 第2照明窓
44 送気送水ノズル
45 起立台収容空間
45A 開口部
49 起立台アセンブリ
50 起立台
50A 処置具支持部
51 アセンブリ本体
52 起立レバー
52A 幅広面
53 基台部
53A 上面
53B 凹部
54 仕切部
54A 左側面
55 処置具挿通部
55A 処置具挿通孔
56 レバー収容部
57 保持孔
58 レバー部
59 レバー収容蓋
60 起立台本体
61 嵌合凹部
61A 第1嵌合凹部
70 処置具起立機構
70A 処置具起立機構
70B 処置具起立機構
71 嵌合凹部
71A 第2嵌合凹部
80 回転軸部
81 嵌合凸部
81A 第1嵌合凸部
81B 第2嵌合凸部
82 収容溝
90 シール部
100 超音波観察部
102 超音波トランスデューサ
110 管路部材
112 コントロールケーブル
113 操作ワイヤ
114 ガイド管
116 ワイヤ連結部
150 処置具
AR 回転軸
G、G1、G2 重心
LA 長手軸