(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191753
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/00 20060101AFI20221221BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20221221BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221221BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B05C11/00
B05C5/00 101
B05C11/10
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100184
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越智 学
(72)【発明者】
【氏名】堀江 陽介
(72)【発明者】
【氏名】三枝 高志
(72)【発明者】
【氏名】川原 鉄士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 健士郎
【テーマコード(参考)】
2G058
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2G058ED03
2G058GB10
4F041AA03
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA22
4F042AA11
4F042BA08
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】1枚の画像から、分注装置のノズルの先端と目標停止位置との2方向のずれ量を検出する技術を提供する。
【解決手段】本開示の撮像装置は、液体を吸引及び吐出するノズルと、ノズルを保持し、ノズルを回転動作によって移動させるアームと、を有する分注装置に設置される撮像装置であって、撮像素子及びレンズを有するカメラと、第1の反射面を有する第1のミラー及び第2の反射面を有する第2のミラーを含む一対のミラーと、を備える。一対のミラーは、第1の反射面と第2の反射面とが対向するように、ノズルの先端とアームの底面との間において、アームの回転軸及びノズルの中心軸を含む平面を挟んだ両側に1枚ずつ配置される。第1のミラーが、第2のミラーよりもアームに近い側に配置され、第1の反射面がノズルの先端側を向いており、第2の反射面がカメラ側を向いている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸引及び吐出するノズルと、前記ノズルを保持し、前記ノズルを回転動作によって移動させるアームと、を有する分注装置に設置される撮像装置であって、
撮像素子及びレンズを有するカメラと、
第1の反射面を有する第1のミラー及び第2の反射面を有する第2のミラーを含む一対のミラーと、を備え、
前記一対のミラーは、前記第1の反射面と前記第2の反射面とが対向するように、前記ノズルの先端と前記アームの底面との間において、前記アームの回転軸及び前記ノズルの中心軸を含む平面を挟んだ両側に1枚ずつ配置され、
前記第1のミラーが、前記第2のミラーよりも前記アームに近い側に配置され、前記第1の反射面が前記ノズルの先端側を向いており、前記第2の反射面が前記カメラ側を向いていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第2のミラーは、前記第1のミラーよりも前記平面に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2のミラーは、前記第1のミラーよりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置は、前記分注装置に対し着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記カメラの光軸は、前記アームの回転軸と前記ノズルの中心軸を含む前記平面の面外に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記ノズルの基端部近傍に前記カメラが位置するように前記アームに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記レンズは、第1の視点から見た前記ノズルの先端部からの光が直接入射するように配置され、
前記一対のミラーは、前記第1の視点とは異なる第2の視点における前記ノズルの先端部からの光が前記第1のミラーに反射された後前記第2のミラーに反射され、前記レンズに入射するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の視点の方向は、前記第2の視点の方向と直交することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像素子により撮影された画像を処理する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記画像のうち前記第1の視点に対応する領域に映し出された前記ノズルと前記ノズルの目標停止位置とのずれ量を算出し、
前記画像のうち前記第2の視点に対応する領域に映し出された前記ノズルと前記目標停止位置とのずれ量を算出することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置において検体又は試薬の分注に用いられるノズルは、分注精度の維持の観点から、定期的に交換される。分注の際は、検体容器、試薬容器又は洗浄孔などの複数の狭い空間にノズルの先端を挿入する必要がある。したがって、ノズルを交換するたびに、検体容器、試薬容器又は洗浄孔などの目標停止位置に対して、ノズルの先端の位置を調整する必要がある。
【0003】
特許文献1には、「移動部位の移動経路の複雑さにかかわらず移動部位の位置調整を従来に比して容易且つ正確に行うことができる検体処理装置を提供する。」ことを課題として、「検体分析装置に異常が発生したときに、検体分析装置に設けられたカメラ23dによって異常が生じた機構(試薬分注ユニット23)の調整に用いられる対象物(キュベット)が撮像される。撮像により得られた画像に基づいて、試薬分注ユニット23の調整量が検出され、検出された調整量によって試薬分注ユニット23の調整が行われる。」という技術が開示されている(特許文献1の要約参照)。
【0004】
特許文献2には、「ノズル先端の破損や異物混入の発生のない、マイクロメートルオーダの正確な位置情報を精度よく計測することができるノズル先端位置計測装置を得る。」ことを課題として、「基台のXY平面に対して互いに直交するXYZ3軸方向に相対移動可能な移動手段に備えられたノズルの先端位置を計測する装置であって、前記ノズル先端が前記基台上の予め定められた基準エリア内の画像を撮影する基準エリア撮像手段を備え、この基準エリア内に予め定められた基準位置に前記ノズル先端を移動させた際の撮影画像により、前記ノズル先端の基準位置からの位置ズレを計測するもの。」という技術が開示されている(特許文献2の要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-32310号公報
【特許文献2】特開2005-49197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、目標停止位置でピペットの先端を撮像し、取得した画像の中心線と目標停止位置との左右方向のずれを調整量として検出する。しかしながら、画像の奥行方向のずれ量については検出することができない。したがって、画像上でピペットの先端と目標停止位置の両方が画像の中心軸と一致している場合でも、目標停止位置から奥行方向にずれた位置にノズルの先端が調整されてしまう可能性がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、ノズルの先端位置を調整するための基準位置は目標停止位置そのものではないため、検体容器、試薬容器、洗浄孔などの目標停止位置側にずれがある場合に、ノズルの先端を目標停止位置に調整できない可能性がある。
【0008】
そこで、本開示は、1枚の撮影画像から分注装置のノズルの先端と目標停止位置との、異なる2方向のずれ量を検出可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の撮像装置は、液体を吸引及び吐出するノズルと、前記ノズルを保持し、前記ノズルを回転動作によって移動させるアームと、を有する分注装置に設置される撮像装置であって、撮像素子及びレンズを有するカメラと、第1の反射面を有する第1のミラー及び第2の反射面を有する第2のミラーを含む一対のミラーと、を備え、前記一対のミラーは、前記第1の反射面と前記第2の反射面とが対向するように、前記ノズルの先端と前記アームの底面との間において、前記アームの回転軸及び前記ノズルの中心軸を含む平面を挟んだ両側に1枚ずつ配置され、前記第1のミラーが、前記第2のミラーよりも前記アームに近い側に配置され、前記第1の反射面が前記ノズルの先端側を向いており、前記第2の反射面が前記カメラ側を向いていることを特徴とする。
【0010】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本開示の技術によれば、1枚の撮影画像から、分注装置のノズルの先端と目標停止位置との、異なる2方向のずれ量を検出することができる。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】撮像装置を取り付けた分注装置の側面図である。
【
図3】撮像装置を取り付けた分注装置の撮像装置周辺の背面図である。
【
図4A】撮像素子に入射する物体光の光路を説明するための図である。
【
図4B】撮像素子に入射する物体光の光路を説明するための図である。
【
図5】ノズルを撮像装置で撮影した画像の一例を示す模式図である。
【
図6】撮像装置を取り付けた分注装置の撮像装置周辺の背面図である。
【
図7】撮像装置を取り付けた分注装置の撮像装置周辺の底面図である。
【
図8A】撮像素子に入射する物体光の光路を説明するための図である。
【
図8B】撮像素子に入射する物体光の光路を説明するための図である。
【
図9】ノズルを撮像装置で撮影した画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
<自動分析装置の構成例>
図1は、医用自動分析装置10の概略構成図である。医用自動分析装置10は、試薬ディスク12、反応ディスク13、複数の試薬分注装置14、複数の検体分注装置15、搬送ライン16、洗浄槽17、制御装置100を備える。
【0014】
試薬ディスク12は、複数の試薬容器11を保持する。反応ディスク13は、回転可能に構成され、複数の反応セル20を周方向に配列して保持する。搬送ライン16は、ラック18を搬送する。ラック18は、複数の検体容器19を保持する。試薬分注装置14は、試薬容器11に収容された試薬(液体)を分注するためのノズル141を有し、ノズル141を水平方向及び上下方向に移動可能に構成されている。試薬分注装置14は、ノズル141に試薬を吸引し、反応セル20に吐出する。検体分注装置15は、検体容器19に収容された検体(液体)を分注するためのノズル151を有し、ノズル151を水平方向及び上下方向に移動可能に構成されている。検体分注装置15は、ノズル151に検体を吸引し、反応セル20に吐出する。検体は、例えば、血清若しくは全血などの血液由来、又は、尿由来の生体試料などである。反応セル20に分注された試薬及び検体が不図示の攪拌装置により攪拌されることにより、反応液が得られる。洗浄槽17は、検体分注装置15のノズル151を洗浄する。
【0015】
試薬分注装置14は、試薬容器11から試薬を吸引するための停止位置、反応セル20に試薬を吐出するための停止位置、及び、不図示の洗浄槽でノズル141に付着した試薬を洗い流すための停止位置へ、ノズル141を移動する。同様に、検体分注装置15は、検体容器19から検体を吸引するための停止位置、反応セル20に検体を吐出するための停止位置、及び、洗浄槽17でノズル151の先端に付着した検体を洗い流すための停止位置へ、ノズル151を移動する。試薬分注装置14は、各停止位置の高さに合わせてノズル141を昇降する。検体分注装置15は、各停止位置の高さに合わせてノズル151を昇降する。
【0016】
制御装置100は、コンピュータ装置により構成することができ、プロセッサ101、記憶装置102、入力装置103及び出力装置104を備える。プロセッサ101は、記憶装置102に格納されたプログラムに従って、医用自動分析装置10の動作を制御し、反応セル20内の反応液についての分析を行う。記憶装置102は、例えば内部メモリ又は外部ストレージなどにより構成することができ、プロセッサ101の処理に必要なプログラム及びパラメータを記憶する。入力装置103は、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどにより構成することができる。出力装置104は、例えばディスプレイ、スピーカ、タッチパネルなどにより構成することができる。
【0017】
<分注装置の構成例>
図2は、撮像装置200を取り付けた試薬分注装置14の側面図である。試薬分注装置14は、ノズル141、アーム142及び143、並びにシャフト144を有する。ノズル141の基端部は、アーム142の一端部に保持されている。アーム142は、アーム143に対し回転可能に連結されている。
図2においては、アーム142とアーム143とが一直線上に並んだ状態が示されている。アーム143は、シャフト144により支持されている。シャフト144は、不図示のモータにより回転及び上下動可能に構成されている。なお、アーム143は設けられていなくてもよく、この場合、アーム142がシャフト144に接続される。
【0018】
図2に示すように、本明細書では、シャフト144の長手方向を上下方向とする。また、アーム142の長手方向に平行な方向を前後方向とし、前をFと表し、後ろをBと表す。カメラ220の光軸、すなわち、撮像素子221の中心とレンズ222の主点を通る直線をOとする。
【0019】
撮像装置200は、一対のミラー210及びカメラ220を備える。一対のミラー210は、反射面が対向するように配置された第1のミラー211及び第2のミラー212を含む。なお、反射面が「対向する」とは、第1のミラー211の反射面と第2のミラー212の反射面とが平行に向かい合うことを意味するのではなく、第1のミラー211の反射面から反射した光が第2のミラー212の反射面に入射することを意味する。カメラ220は、撮像素子221及びレンズ222を有する単眼カメラである。撮像装置200は、不図示の取り付け部材によりアーム142に取り付けられる。カメラ220は、アーム142の底面の下方かつノズル141の後方に配置される。第1のミラー211及び第2のミラー212は、ノズル141の先端とアーム142の底面との間に配置されている。取り付け部材は、第1のミラー211及び第2のミラー212をそれぞれ支持する支持部材を有する。
【0020】
図3は、撮像装置200の周辺を後方から見た背面図である。
図3に示すように、本明細書では、アーム142の短手方向(上下方向及び前後方向に垂直な方向)を左右方向とし、右をRと表し、左をLと表す。アーム142の回転軸Qとノズル141の中心軸を含む平面をAとする。撮像素子221の中心とノズル141の中心軸を含む平面をPとする。本実施形態においては、平面A及び平面Pは同一である。
【0021】
第1のミラー211は、平面Aの右Rに配置されている。第2のミラー212は、平面Aの左Lに配置されている。すなわち、第1のミラー211及び第2のミラー212は、平面Aを挟んだ左Lと右Rの両側に1枚ずつ配置されている。第1のミラー211は、反射面がノズル141の先端側を向いている。第2のミラー212は、反射面がノズル141の基端部側を向いている。第1のミラー211は、第2のミラー212よりもノズル141の基端部側、すなわち上側に配置されている。
【0022】
詳細は後述するが、一対のミラー210が上記のように配置されていることにより、撮像素子221には、異なる2方向の視点から見たノズル141の先端部が結像される。撮像素子221は、撮影した画像を制御装置100に出力する。制御装置100は、撮像素子221が撮影した画像を処理して、ノズル141の先端と目標停止位置との2方向のずれ量を算出する。制御装置100は、算出したずれ量に基づいて、ノズル141の位置の調整量を算出し、調整量に基づいて試薬分注装置14のモータの動作量を調整する。
【0023】
<撮影画像について>
図4A及び4Bは、撮像素子221に入射する物体光の光路を説明するための図である。
図4Aは、ノズル141の先端部の前側面で反射した物体光の光路51を示し、
図4Bは、ノズル141の先端部の右側面で反射した物体光の光路52を示す。
図4Aに光路51で示すように、ノズル141の先端部の前側面で反射した物体光は、レンズ222へ直接入射して、撮像素子221のほぼ中央部の第1の領域に結像する。一方、
図4Bに光路52で示すように、ノズル141の先端部の右側面で反射した物体光は、第1のミラー211において一度ノズル141の先端側に向かって反射した後、第2のミラー212においてカメラ220側に向かって反射して、撮像素子221の右端部の第2の領域に結像する。したがって、本実施形態では、1つの撮像素子221上に、異なる2つの視点から見たノズル141の先端部の画像が映し出される。
【0024】
ノズル141の停止位置の一例として、洗浄槽17の底面に配置された洗浄孔が挙げられる。ノズル141は洗浄孔に挿入されて洗浄されるため、ノズル141の位置を洗浄孔の中心に調整する必要がある。
【0025】
図5は、洗浄槽17の洗浄孔171の上方において停止されたノズル141を撮像装置200で撮影した画像の一例を示す模式図である。
図5に示すように、1枚の画像のうち第1の撮像領域には、ノズル141の先端部の前側面側に視点を置いた画像221Fが写っており、第2の撮像領域には、ノズル141の先端部の右側面側に視点を置いた画像221Rが写っている。したがって、洗浄孔171の中心(目標停止位置)とノズル141の先端との左右方向のずれ量は、画像221Fから、ノズル141の中心軸141FC及びノズル141の先端エッジ141FEの交点と、洗浄孔171の左右方向の中心線171FCとの距離DHとして検出できる。同様に、洗浄孔171の中心とノズル141の先端との前後方向のずれ量は、画像221Rから、ノズル141の中心軸141RC及びノズル141の先端エッジ141REの交点と、洗浄孔171の上下方向の中心線171RCとの距離DVとして検出できる。
【0026】
以上のように、本実施形態の撮像装置200によれば、一対のミラー210が上記のように配置されていることにより、異なる2つの視点から見たノズル141の先端部の画像が1つの撮像素子221上に映し出されるので、ノズル141の先端位置と目標停止位置との、左右方向及び前後方向の2方向のずれを1枚の撮影画像から検出することができる。このように、1枚の撮影画像に含まれる2つの領域の一方から左右方向のずれを検出し、他方の領域から前後方向のずれを検出することにより、1枚の撮影画像のすべての領域を処理する場合と比較して、1度に処理する画素数を削減することができるので、処理速度が向上される。
【0027】
なお、撮像する視点の方向は、左右方向及び前後方向に限定されず、交差する2方向であればよい。特に、直交する2方向の視点を撮像することにより、ノズル141の先端と目標停止位置とのずれを正確に検出することができる。なお、本明細書における「直交」とは、厳密に90°の角度で2方向が交差する態様だけでなく、90°±誤差の範囲内の角度で2方向が交差する態様(略直交)も含むこととする。
【0028】
以上、第1の実施形態において、試薬分注装置14に撮像装置200が取り付けられることについて説明した。撮像装置200は、検体分注装置15にも同様に取り付けることができ、検体分注装置15のノズル151の位置を撮像することにより、2方向のずれを1枚の撮影画像から検出することができる。
【0029】
また、撮像装置200を医用自動分析装置10の分注装置に取り付けることを説明したが、撮像装置200は、その他の装置に搭載される分注装置にも適用可能である。
【0030】
<第1の実施形態の変形例>
撮像装置200は、分注装置に対し着脱可能に構成されていてもよく、ノズルの位置調整時のみ分注装置に取り付けて、通常の分析動作時には取り外してもよい。この場合、分析動作時に撮像装置200の質量がなくなるため、分注装置を駆動するモータへの負荷を軽減できる。結果として、分析のスループットを向上できる。
【0031】
第2のミラー212は、第1のミラー211よりもカメラ220の光軸O側に寄せて配置されていてもよい。この場合、撮影画像上で、第1のミラー211及び第2のミラー212を介して撮影される第2の撮像領域の面積が広くなるので、ノズル141の先端と目標停止位置との前後方向の位置関係の認識に有利である。なお、この場合、撮影画像上のノズル141の位置は、
図5に示した位置と変わらない。
【0032】
レンズ222に単焦点レンズを用いた場合には、ノズル141の先端側に配置された第2のミラー212は、ノズル141の先端部の右側面からの物体光が第1のミラー211及び第2のミラー212を介して第2の撮像領域へ至る光路52上で、第1のミラー211よりもカメラ220に近い位置に配置されているため、第1のミラー211よりも小さくできる。これにより、撮像装置200が医用自動分析装置10内の他の構成要素と衝突することなく、ノズル141は複数の目標停止位置の間を移動できる。
【0033】
光路51上で、かつ光路52の外に、カメラ220の光軸方向に長手方向を有するガラス(屈折率>1)を配置してもよい。この場合、カメラ220のピントを、撮像素子221から光路52の光路長だけ離れた位置に設定する。これにより、画像221Fの光路長と画像221Rの光路長とを等しくすることができるため、画像の分解能を向上することができる。
【0034】
<第1の実施形態のまとめ>
以上のように、第1の実施形態に係る撮像装置200は、液体を吸引及び吐出するノズル141と、ノズル141を保持し、ノズル141を回転動作によって移動させるアーム142と、を有する試薬分注装置14に設置される。撮像装置200は、撮像素子221及びレンズ222を有するカメラ220と、第1のミラー211及び第2のミラー212を含む一対のミラー210と、を備える。一対のミラー210は、第1のミラー211の反射面と第2のミラー212の反射面とが対向するように、ノズル141の先端とアーム142の底面との間において、アーム142の回転軸Q及びノズル141の中心軸を含む平面Aを挟んだ両側に1枚ずつ配置され、第1のミラー211が、第2のミラー212よりもアーム142に近い側に配置され、第1のミラー211の反射面がノズル141の先端側を向いており、第2のミラー212の反射面がカメラ220側を向いている。
【0035】
これにより、第1の視点から見たノズル141の先端部の像が撮像素子221の第1の撮像領域に結像され、第2の視点から見たノズル141の先端部の像が撮像素子221の第2の撮像領域に結像されるので、1枚の撮影画像に異なる2つの視点から見たノズル141の画像が含まれる。したがって、試薬分注装置14のノズル141の先端と目標停止位置との、異なる2方向のずれ量を検出することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、カメラ220と一対のミラー210の位置関係の他の例について説明する。図において第1の実施形態と同一の機能を有する要素については同様の符号を付し、その説明は省略する。
【0037】
図6は、第2の実施形態に係る撮像装置200の周辺を後方から見た背面図である。上述の第1の実施形態においては、カメラ220の光軸Oとノズル141の中心軸が同一の平面A上に配置されていることを説明した。これに対し、本実施形態では、
図6に示すように、第1の実施形態で定義した平面Aに対して、カメラ220の光軸Oが左L側に位置するように、カメラ220が左L側に平行移動した配置となっている。
【0038】
図7は、第2の実施形態に係る試薬分注装置14の撮像装置200周辺の底面図である。
図7に示すように、撮像素子221の中心とノズルの中心軸を含む平面Pの面外にカメラ220の光軸Oが配置されている。
【0039】
図8A及び8Bは、撮像素子221に入射する物体光の光路を説明するための図である。
図8Aは、ノズル141の先端部の前側面で反射した物体光の光路53を示し、
図8Bは、ノズル141の先端部の右側面で反射した物体光の光路54を示す。
図8Aに光路53で示すように、ノズル141の先端部の前側面で反射した物体光は、レンズ222へ直接入射して撮像素子221の左側半分の第1の領域に結像する。一方、
図8Bに光路54で示すように、ノズル141の先端部の右側面で反射した物体光は、第1のミラー211により一度ノズル141の先端側に向かって反射した後、第2のミラー212によりカメラ220側に向かって反射して、撮像素子221の右側半分の第2の領域に結像する。したがって、本実施形態では、1つの撮像素子221上に、異なる視点のノズル141の先端部の画像がほぼ同じ面積で映し出される。
【0040】
図9は、洗浄槽17の洗浄孔171の上方において停止されたノズル141を撮像装置200で撮影した画像の一例を示す模式図である。
図9に示すように、本実施形態では、第1の撮像領域の画像321Fの面積と第2の撮像領域の画像321Rの面積がほぼ等しく、第1の撮像領域と第2の撮像領域のそれぞれの中心付近に、ノズル141の先端部を写し出すことができる。したがって、撮影画像上に無駄な領域がなく、ノズル141の先端と目標停止位置との、左右方向及び前後方向の2方向のずれ量をより正確に検出することができる。このように、本実施形態の撮像装置200によれば、1枚の撮影画像から、ノズル141の先端位置と目標停止位置との左右方向及び前後方向の2方向のずれをより効率的に検出することができる。
【0041】
<第2の実施形態のまとめ>
以上のように、第2の実施形態に係る撮像装置200においては、アーム142の回転軸Qとノズルの中心軸を含む平面Aの面外にカメラ220の光軸Oが配置されている。これにより、撮像素子221の第1の撮像領域の画像321Fの面積と第2の撮像領域の画像321Rの面積とをほぼ等しくすることができるので、ノズル141の先端の2方向のずれ量をより正確に検出することができる。
【0042】
[変形例]
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
【符号の説明】
【0043】
10…医用自動分析装置
11…試薬容器
12…試薬ディスク
13…反応ディスク
14…試薬分注装置
15…検体分注装置
16…搬送ライン
17…洗浄槽
18…ラック
19…検体容器
20…反応セル
51~54…光路
141…ノズル
142、143…アーム
144…シャフト
151…ノズル
171…洗浄孔
200…撮像装置
211…第1のミラー
212…第2のミラー
220…カメラ
221…撮像素子
222…レンズ