(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191941
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221221BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20221221BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
H01L21/68 N
H01L21/78 Y
H01L21/78 L
H01L21/78 P
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100478
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】木内 逸人
(72)【発明者】
【氏名】小田中 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】北原 信康
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA11
5F063BA07
5F063BA11
5F063BA31
5F063BA32
5F063CA02
5F063CA04
5F063CA06
5F063CA08
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5F063CB06
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5F063CB29
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5F063DG03
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5F063EE38
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5F063EE43
5F063EE44
5F131AA02
5F131BA31
5F131BA52
5F131EC32
5F131EC43
5F131EC67
(57)【要約】
【課題】デバイス層のみからなるデバイスを製造する新規なプロセスを実現することができるデバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】デバイスの製造方法は、デバイスが形成されたデバイス層を基材上に備えたデバイスウェーハを準備するウェーハ準備ステップ1001と、デバイス層の表面に表面側保護部材を配設する表面側保護部材配設ステップ1003と、基材を除去してデバイス層の裏面を露出させる基材除去ステップ1004と、デバイス層を個々のデバイスに分割する分割溝を形成するデバイス層分割ステップ1002と、デバイス層の裏面に裏面側保護部材を配設する裏面側保護部材配設ステップ1005と、裏面側保護部材配設ステップ1005を実施した後、表面側保護部材を除去する表面側保護部材除去ステップ1006とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの製造方法であって、
交差する複数の分割予定ラインで区画された領域にデバイスが形成されたデバイス層を基材上に備えたデバイスウェーハを準備するウェーハ準備ステップと、
該デバイス層の表面に表面側保護部材を配設する表面側保護部材配設ステップと、
該表面側保護部材配設ステップを実施した後、研削、研磨、エッチングの少なくともいずれかで該基材を除去して該デバイス層の裏面を露出させる基材除去ステップと、
該基材除去ステップを実施した後、または該表面側保護部材配設ステップを実施する前に、該分割予定ラインに沿って少なくとも該デバイス層を個々のデバイスに分割する分割溝を形成するデバイス層分割ステップと、
を備えたデバイスの製造方法。
【請求項2】
表面に該表面側保護部材が配設されるとともに個々のデバイスに分割され該基材が除去された該デバイス層の裏面に裏面側保護部材を配設する裏面側保護部材配設ステップと、
該裏面側保護部材配設ステップを実施した後、該表面側保護部材を除去する表面側保護部材除去ステップと、
を備えた請求項1に記載のデバイスの製造方法。
【請求項3】
該裏面側保護部材配設ステップを実施した後、該表面側保護部材除去ステップを実施する前又は後に、該裏面側保護部材を該分割予定ラインに沿って分割して個片化された裏面側保護部材上にデバイスが配設された状態とする裏面側保護部材分割ステップと、
該裏面側保護部材分割ステップを実施する前または後で該表面側保護部材除去ステップを実施する前に、該裏面側保護部材の裏面側にテープを貼着するテープ貼着ステップと、
該表面側保護部材除去ステップを実施した後、該テープから個片化された該裏面側保護部材とともに該デバイスをピックアップするデバイスピックアップステップと、を備えた、請求項2に記載のデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の薄型化に伴い、デバイスも100μm以下に薄化することが求められ、例えば、デバイスウェーハのデバイスに対応した領域のみを薄化して外周部は厚いまま残存させることでハンドリング時の破損を防止する技術が広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デバイスウェーハにはシリコン等の基材上にSiO2からなるBOX層(Buried Oxide Layer)と呼ばれる絶縁層が形成され、その上にデバイスを構成する再配線層を含むデバイス層を形成する所謂SOI(Silicon on Insulator)ウェーハがある。
【0005】
近年、このSOIデバイスウェーハのシリコン等の基材を完全に除去してデバイス層のみからなるデバイスとすることでデバイスの更なる薄化を実現したいという要望がある。
【0006】
本発明の目的は、デバイス層のみからなるデバイスを製造する新規なプロセスを実現することができるデバイスの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のデバイスの製造方法は、デバイスの製造方法であって、交差する複数の分割予定ラインで区画された領域にデバイスが形成されたデバイス層を基材上に備えたデバイスウェーハを準備するウェーハ準備ステップと、該デバイス層の表面に表面側保護部材を配設する表面側保護部材配設ステップと、該表面側保護部材配設ステップを実施した後、研削、研磨、エッチングの少なくともいずれかで該基材を除去して該デバイス層の裏面を露出させる基材除去ステップと、該基材除去ステップを実施した後、または該表面側保護部材配設ステップを実施する前に、該分割予定ラインに沿って少なくとも該デバイス層を個々のデバイスに分割する分割溝を形成するデバイス層分割ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記デバイスの製造方法において、表面に該表面側保護部材が配設されるとともに個々のデバイスに分割され該基材が除去された該デバイス層の裏面に裏面側保護部材を配設する裏面側保護部材配設ステップと、該裏面側保護部材配設ステップを実施した後、該表面側保護部材を除去する表面側保護部材除去ステップと、を備えても良い。
【0009】
前記デバイスの製造方法において、該裏面側保護部材配設ステップを実施した後、該表面側保護部材除去ステップを実施する前又は後に、該裏面側保護部材を該分割予定ラインに沿って分割して個片化された裏面側保護部材上にデバイスが配設された状態とする裏面側保護部材分割ステップと、該裏面側保護部材分割ステップを実施する前または後で該表面側保護部材除去ステップを実施する前に、該裏面側保護部材の裏面側にテープを貼着するテープ貼着ステップと、該表面側保護部材除去ステップを実施した後、該テープから個片化された該裏面側保護部材とともに該デバイスをピックアップするデバイスピックアップステップと、を備えても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、デバイス層のみからなるデバイスを製造する新規なプロセスを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るデバイスの製造方法の加工対象のデバイスウェーハの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたデバイスウェーハの断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示されたデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップを模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示されたデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図3に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいてデバイスウェーハの基材を研削する状態を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図3に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて研削後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図3に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて基材が除去された後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図3に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図3に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップを模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、
図3に示されたデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップを模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップを模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップを模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態2に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、
図16に示さされたデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、
図16に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割起点形成ステップを模式的に示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図16に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割起点形成ステップで形成されるシールドトンネルを模式的に示す平面図である。
【
図20】
図20は、
図16に示されたデバイスの製造方法のテープ貼着ステップを模式的に示す断面図である。
【
図21】
図21は、
図16に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップを模式的に示す断面図である。
【
図22】
図22は、
図16に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割ステップを模式的に示す断面図である。
【
図23】
図23は、
図16に示されたデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップを模式的に示す断面図である。
【
図24】
図24は、実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、実施形態3に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図26】
図26は、
図25に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図27】
図27は、
図25に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいてデバイスウェーハの基材を研削する状態を模式的に示す斜視図である。
【
図28】
図28は、
図25に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて研削後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
【
図29】
図29は、
図25に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて基材が除去された後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
【
図30】
図30は、
図25に示されたデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
【
図31】
図31は、
図25に示されたデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップの要部を模式的に示す断面図である。
【
図32】
図32は、実施形態4に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図33】
図33は、実施形態4に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図34】
図34は、実施形態4に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【
図35】
図35は、実施形態4に係るデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るデバイスの製造方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るデバイスの製造方法の加工対象のデバイスウェーハの斜視図である。
図2は、
図1に示されたデバイスウェーハの断面図である。
図3は、実施形態1に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0014】
実施形態1に係るデバイスの製造方法は、
図1に示されたデバイスウェーハ1の加工方法である。実施形態1に係るデバイスの製造方法の加工対象のデバイスウェーハ1は、
図1及び
図2に示すように、デバイス層2をシリコンで構成された基材3上に備えた円板状の半導体ウェーハ等のデバイスウェーハである。デバイスウェーハ1は、デバイス層2と基材3とを備える。
【0015】
デバイス層2は、
図1に示すように、交差する複数の分割予定ライン4で区画された領域にデバイス5が形成されている。デバイス5は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、パワーデバイス、又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。
【0016】
デバイス層2は、
図2に示すように、基材3の表面31上に形成された絶縁層6と、絶縁層6上に形成されたシリコン層7と、シリコン層7上に形成された再配線層8とを含む。絶縁層6は、SiO
2からなるBOX層(Buried Oxide Layer)と呼ばれるものである。シリコン層7は、シリコンにより構成されている。再配線層8は、デバイス5を構成するものである。
【0017】
このように、実施形態1では、デバイスウェーハ1は、基材3の表面31上にデバイス層2を形成する所謂SOI(Silicon on Insulator)ウェーハである。実施形態1では、デバイスウェーハ1は、基材3が除去され、分割予定ライン4に沿って個々のデバイス5に分割される。実施形態1では、個々に分割されるデバイス5は、デバイス層2のみで構成され、厚みが10μm程度である。
【0018】
実施形態1に係るデバイスの製造方法は、デバイスウェーハ1の基材3を除去し、分割予定ライン4に沿って分割して、個々のデバイス5を製造する方法である。デバイスの製造方法は、
図3に示すように、ウェーハ準備ステップ1001と、デバイス層分割ステップ1002と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、裏面側保護部材配設ステップ1005と、表面側保護部材除去ステップ1006と、デバイスピックアップステップ1007とを備える。
【0019】
(ウェーハ準備ステップ)
ウェーハ準備ステップ1001は、前述した構成のデバイスウェーハを準備するステップである。ウェーハ準備ステップ1001では、前述した構成のデバイスウェーハ1を準備する。
【0020】
(デバイス層分割ステップ)
図4は、
図3に示されたデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップを模式的に示す斜視図である。
図5は、
図3に示されたデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002は、表面側保護部材配設ステップ1003を実施する前に、分割予定ライン4に沿って少なくともデバイス層2を個々のデバイス5に分割する分割溝9を形成するステップである。
【0021】
実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002では、周知のマウンタが、
図4に示すように、デバイスウェーハ1の基材3の表面31の裏側の裏面32にデバイスウェーハ1よりも大径な円板状のテープ11を貼着するとともに、テープ11の外周縁に内径がデバイスウェーハ1の外径よりも大きな環状のフレーム12を貼着して、デバイスウェーハ1を環状のフレーム12の内側の開口内に支持する。
【0022】
実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、チャックテーブル41の保持面42にテープ11を介してデバイスウェーハ1の基材3の裏面32側を吸引保持する。実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、レーザビーム43の集光点44をデバイス層2に設定し、チャックテーブル41をレーザビーム照射ユニット45に対して分割予定ライン4に沿って相対的に移動させながらレーザビーム照射ユニット45からデバイスウェーハ1に対して吸収性を有する波長のレーザビーム43をデバイスウェーハ1の分割予定ライン4に照射して、デバイスウェーハ1にアブレーション加工を施す。
【0023】
実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、デバイスウェーハ1の分割予定ライン4にアブレーション加工を施して、デバイス層2を個々のデバイス5毎に分割する分割溝9を形成する。実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40は、
図5に示すように、デバイスウェーハ1の全ての分割予定ライン4に分割溝9を形成する。
【0024】
なお、実施形態1において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、デバイスウェーハ1の分割予定ライン4にアブレーション加工を施して分割溝9を形成したが、本発明では、デバイス層分割ステップ1002において、切削装置が、デバイスウェーハ1のデバイス層2の分割予定ライン4に切削ブレードを切り込ませて分割溝9を形成しても良い。また、本発明では、デバイス層分割ステップ1002において、デバイスウェーハ1のデバイス層2の分割予定ライン4にウェットエッチングやドライエッチング等のエッチングを施して分割溝9を形成しても良い。
【0025】
(表面側保護部材配設ステップ)
図6は、
図3に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。表面側保護部材配設ステップ1003は、デバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設するステップである。
【0026】
実施形態1において、表面側保護部材配設ステップ1003では、デバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21に第1の外的刺激が付与されることにより接着力が低下する第1の仮接着剤14が塗布され、
図6に示すように、第1の仮接着剤14に表面側保護部材13が貼着されて、デバイス層2の表面21に表面側保護部材13が配設されるとともに、テープ11が裏面32から剥離される。なお、実施形態1において、第1の外的刺激が付与されることは、紫外線が照射されることである。
【0027】
実施形態1では、表面側保護部材13は、硬質な材質で構成され、デバイスウェーハ1と同径の円板状に形成されている。実施形態1では、表面側保護部材13は、基材除去ステップ1004においてウェットエッチング又はドライエッチングが行われるので、これらのエッチングに対して耐性を有する材質により構成されるのが望ましく、ガラスにより構成されている。
【0028】
また、本発明では、表面側保護部材13は、デバイス層2の表面21に液状樹脂(ディスコ社製、ResiFlat(登録商標))が塗布され、液状樹脂が硬化して形成されても良い。また、本発明では、表面側保護部材13は、基材と糊層とからなる表面保護テープでも良く、金属、セラミクス、シリコン等の硬質な材料で構成された円板状のプレートを第1の仮接着剤14を介してデバイス層2の表面21に配設してもよい。
【0029】
(基材除去ステップ)
図7は、
図3に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいてデバイスウェーハの基材を研削する状態を模式的に示す斜視図である。
図8は、
図3に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて研削後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
図9は、
図3に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて基材が除去された後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
【0030】
基材除去ステップ1004は、表面側保護部材配設ステップ1003を実施した後、研削、研磨、エッチングの少なくともいずれかで基材3を除去してデバイス層2の裏面22を露出させるステップである。実施形態1において、基材除去ステップ1004では、研削装置50が、表面側保護部材13を介してデバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21側をチャックテーブル51の保持面52に吸引保持する。
【0031】
基材除去ステップ1004では、
図7に示すように、研削装置50が、スピンドル53により研削ホイール54を軸心回りに回転しかつチャックテーブル51を軸心回りに回転させ、図示しない研削液ノズルから研削液を供給しつつ、研削ホイール54の研削砥石55をデバイスウェーハ1の基材3の裏面32に当接させて研削ホイール54をチャックテーブル51に所定の送り速度で近づけて、研削砥石55でデバイスウェーハ1の裏面32側を研削する。
【0032】
実施形態1において、基材除去ステップ1004では、研削装置50が、
図8に示すように、基材3が若干残る状態までデバイスウェーハ1の基材3の裏面32を研削する。実施形態1において、基材除去ステップ1004では、デバイスウェーハ1の基材3の裏面32にウェットエッチング又はドライエッチング等のエッチングを実施して、
図9に示すように、デバイスウェーハ1の基材3を完全に除去して、デバイスウェーハ1を個々のデバイス5に分割して、デバイスウェーハ1を個々のデバイス5に個片化する。
【0033】
なお、実施形態1において、基材除去ステップ1004では、デバイスウェーハ1の基材3を完全に除去したが、本発明では、これに限らず、基材3を僅かに残しても良い。また、実施形態1では、基材除去ステップ1004では、デバイスウェーハ1に研削とエッチングとを順に実施したが、本発明では、これに限らず、研磨等を実施しても良い。要するに、本発明で、基材除去ステップ1004において、デバイスウェーハ1に研削、研磨、エッチングの少なくともいずれかを実施して、基材3を除去すれば良い。
【0034】
(裏面側保護部材配設ステップ)
図10は、
図3に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。裏面側保護部材配設ステップ1005は、表面21に表面側保護部材13が配設されるとともに個々のデバイス5に分割され基材3が除去されたデバイスウェーハ1のデバイス層2の裏面22に裏面側保護部材15を配設するステップである。
【0035】
実施形態1において、裏面側保護部材配設ステップ1005では、周知のマウンタ等が、
図10に示すように、デバイスウェーハ1よりも大径な円板状の裏面側保護部材15のテープ16の基材層上の第2の外的刺激が付与されることにより接着力が低下する糊層をデバイスウェーハ1のデバイス層2の裏面22に貼着し、テープ16の糊層の外周縁に内径がデバイスウェーハ1の外径よりも大きな環状のフレーム17を貼着して、デバイスウェーハ1を環状のフレーム17の内側の開口内に支持する。実施形態1では、テープ16とフレーム17が、裏面側保護部材15を構成する。こうして、実施形態1において、裏面側保護部材配設ステップ1005では、デバイスウェーハ1のデバイス層2の裏面22に裏面側保護部材15を配設する。なお、実施形態1において、第2の外的刺激が付与されることは、加熱されることである。また、本発明は、裏面側保護部材配設ステップ1005では、裏面側保護部材15として、ハードプレートを仮接着剤を介して貼着しても良い。
【0036】
(表面側保護部材除去ステップ)
図11は、
図3に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップを模式的に示す断面図である。表面側保護部材除去ステップ1006は、裏面側保護部材配設ステップ1005を実施した後、表面側保護部材13を除去するステップである。
【0037】
実施形態1において、表面側保護部材除去ステップ1006では、第1の仮接着剤14に第1の外的刺激を付与して、第1の仮接着剤14の接着力を低下させる。実施形態1において、表面側保護部材除去ステップ1006では、表面側保護部材13越しに第1の仮接着剤14に紫外線を照射して、第1の仮接着剤14の接着力を低下させる。実施形態1において、表面側保護部材除去ステップ1006では、第1の仮接着剤14の接着力を低下させた後、
図11に示すように、表面側保護部材13を第1の仮接着剤14とともにデバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21から剥離して、第1の仮接着剤14とともに表面側保護部材13を除去する。
【0038】
(デバイスピックアップステップ)
図12は、
図3に示されたデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップを模式的に示す断面図である。デバイスピックアップステップ1007は、表面側保護部材除去ステップ1006を実施した後、裏面側保護部材15から個片化されたデバイス5をピックアップするステップである。
【0039】
実施形態1において、デバイスピックアップステップ1007では、裏面側保護部材15のテープ16の糊層に第2の外的刺激を付与(加熱)して、糊層の接着力を低下させる。実施形態1において、デバイスピックアップステップ1007では、裏面側保護部材15のテープ16の糊層の接着力を低下させた後、
図12に示すように、ピッカー60がデバイス5を吸引保持するなどして、テープ16からデバイス5を一つずつピックアップする。
【0040】
以上、説明した実施形態1に係るデバイスの製造方法は、デバイス層分割ステップ1002において分割予定ライン4に沿ってデバイス層2を個々のデバイス5に分割する分割溝9を形成し、表面側保護部材配設ステップ1003においてデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、基材除去ステップ1004において表面側保護部材配設ステップ1003を実施した後、基材3を除去してデバイス層2の裏面22を露出させる。
【0041】
このために、デバイスの製造方法は、基材除去ステップ1004において、デバイスウェーハ1を基材3を除去しながらも、デバイスウェーハ1をデバイス層2のみからなる個々のデバイス5に分割することができる。その結果、デバイスの製造方法は、デバイス層2のみからなるデバイス5を製造する新規なプロセスを実現することができるという効果を奏する。
【0042】
〔変形例〕
本発明の実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法を図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
図14は、実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップを模式的に示す断面図である。
図15は、実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップを模式的に示す断面図である。なお、
図13、
図14及び
図15は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法は、裏面側保護部材配設ステップ1005においてデバイス層2の裏面22に配設する裏面側保護部材15-1が、実施形態1と異なること以外、実施形態1と同じである。
【0044】
実施形態1の変形例において、裏面側保護部材配設ステップ1005では、デバイスウェーハ1のデバイス層2の裏面22に第2の外的刺激が付与されることにより接着力が低下する第2の仮接着剤16-1が塗布され、
図13に示すように、第2の仮接着剤16-1に裏面側保護部材15-1が貼着されて、デバイス層2の裏面22に裏面側保護部材15-1が配設される。変形例では、裏面側保護部材15-1は、硬質な材質で構成され、デバイスウェーハ1と同径の円板状に形成されている。変形例は、裏面側保護部材15-1は、表面側保護部材13と同様に、ガラスにより構成されている。なお、本発明は、裏面側保護部材15-1として、PET樹脂に糊層を宥したテープでも良く、シート状の樹脂(LCテープ)でも良い。
【0045】
実施形態1の変形例において、表面側保護部材除去ステップ1006では、実施形態1と同様に、第1の仮接着剤14に第1の外的刺激を付与して、第1の仮接着剤14の接着力を低下させ、
図14に示すように、表面側保護部材13を第1の仮接着剤14とともにデバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21から剥離して、第1の仮接着剤14とともに表面側保護部材13を除去する。
【0046】
実施形態1の変形例において、デバイスピックアップステップ1007では、第2の仮接着剤16-1に第2の外的刺激を付与(加熱)して、第2の仮接着剤16-1の接着力を低下させ、
図15に示すように、ピッカー60がデバイス5を吸引保持するなどして、裏面側保護部材15-1及び第2の仮接着剤16-1からデバイス5を一つずつピックアップする。
【0047】
実施形態1の変形例に係るデバイスの製造方法は、デバイス層分割ステップ1002において分割予定ライン4に分割溝9を形成し、表面側保護部材配設ステップ1003においてデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、基材除去ステップ1004において基材3を除去するので、デバイスウェーハ1を基材3を除去しながらも、デバイスウェーハ1をデバイス層2のみからなる個々のデバイス5に分割することができる。
【0048】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るデバイスの製造方法を図面に基づいて説明する。
図16は、実施形態2に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図17は、
図16に示さされたデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
図18は、
図16に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割起点形成ステップを模式的に示す断面図である。
図19は、
図16に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割起点形成ステップで形成されるシールドトンネルを模式的に示す平面図である。
図20は、
図16に示されたデバイスの製造方法のテープ貼着ステップを模式的に示す断面図である。
図21は、
図16に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップを模式的に示す断面図である。
図22は、
図16に示されたデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割ステップを模式的に示す断面図である。
図23は、
図16に示されたデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップを模式的に示す断面図である。なお、
図16、
図17、
図18、
図19、
図20、
図21、
図22及び
図23は、実施形態1及び実施形態1の変形例と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
実施形態2に係るデバイスの製造方法は、
図16に示すように、ウェーハ準備ステップ1001と、デバイス層分割ステップ1002と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、裏面側保護部材配設ステップ1005と、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010と、テープ貼着ステップ1011と、表面側保護部材除去ステップ1006と、裏面側保護部材分割ステップ1012と、デバイスピックアップステップ1007-2とを備える。実施形態2に係るデバイスの製造方法は、ウェーハ準備ステップ1001と、デバイス層分割ステップ1002と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004とが、実施形態1と同じである。
【0050】
実施形態2に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ1005は、実施形態1の変形例と同様に、デバイスウェーハ1のデバイス層2の裏面22に第2の外的刺激が付与されることにより接着力が低下する第2の仮接着剤16-1が塗布され、
図17に示すように、第2の仮接着剤16-1に裏面側保護部材15-1が貼着されて、デバイス層2の裏面22に裏面側保護部材15-1が配設される。実施形態2では、実施形態1の変形例と同様に、裏面側保護部材15-1は、硬質な材質で構成され、デバイスウェーハ1と同径の円板状に形成されている。実施形態2では、実施形態1の変形例と同様に、裏面側保護部材15-1は、ガラスにより構成されているが、シリコンにより構成されても良い。また、本発明では、裏面側保護部材15-1は、シート状の樹脂(LCテープともいう)でも良い。
【0051】
実施形態2に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010は、裏面側保護部材15-1に、デバイスウェーハ1の分割予定ライン4に沿って個々のデバイス5毎に分割するための分割起点を形成するステップである。実施形態2において、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010では、レーザ加工装置70が、吸引路76に設けられた開閉弁77を開き、吸引源78によりチャックテーブル71の保持面72を吸引して、チャックテーブル71の保持面72に表面側保護部材13を介して、デバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21側を吸引保持する。
【0052】
実施形態2において、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010では、レーザ加工装置70が、レーザビーム73の集光点74を裏面側保護部材15-1の内部に設定し、
図18に示すように、チャックテーブル71をレーザビーム照射ユニット75に対して分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って相対的に移動させながらレーザビーム照射ユニット75から裏面側保護部材15-1に対して透過性を有する波長のパルス状のレーザビーム73を裏面側保護部材15-1に照射する。
【0053】
実施形態2において、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010では、レーザ加工装置70は、裏面側保護部材15-1の内部に
図19に示す細孔24と細孔24を囲繞する変質領域25とを有する分割起点であるシールドトンネル23を複数形成する。細孔24及び変質領域25は、裏面側保護部材15-1の厚み方向に沿って形成され、細孔24が裏面側保護部材15-1を厚み方向に貫通しているとともに、変質領域25が、裏面側保護部材15-1の厚み方向に沿って細孔24の周囲に形成される。シールドトンネル23は、分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って所定の間隔をあけて複数形成される。
【0054】
実施形態2において、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010では、レーザ加工装置70が、デバイスウェーハ1の全ての分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って、裏面側保護部材15-1に分割起点であるシールドトンネル23を形成する。なお、実施形態2において、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010では、レーザ加工装置70が、デバイスウェーハ1の全ての分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って裏面側保護部材15-1に分割起点であるシールドトンネル23を形成したが、本発明では、裏面側保護部材15-1の内部にデバイスウェーハ1の全ての分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って改質層を形成しても良い。
【0055】
なお、改質層とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。改質層は、裏面側保護部材15-1の他の箇所よりも機械的な強度が低い。
【0056】
実施形態2において、テープ貼着ステップ1011は、裏面側保護部材分割ステップ1012を実施する前で表面側保護部材除去ステップ1006を実施する前に、裏面側保護部材15-1のデバイス層2に貼着された面の裏側の裏面15-2にテープ18を貼着するステップである。実施形態2において、テープ貼着ステップ1011では、周知のマウンタが、
図20に示すように、裏面側保護部材15-1の裏面15-2にデバイスウェーハ1よりも大径な円板状のテープ18を貼着するとともに、テープ18の外周縁に内径がデバイスウェーハ1の外径よりも大きな環状のフレーム19を貼着して、デバイスウェーハ1及び保護部材13,15-1を環状のフレーム19の内側の開口内に支持する。
【0057】
実施形態2において、表面側保護部材除去ステップ1006では、実施形態1等と同様に、第1の仮接着剤14に第1の外的刺激を付与して、第1の仮接着剤14の接着力を低下させ、
図21に示すように、表面側保護部材13を第1の仮接着剤14とともにデバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21から剥離して、第1の仮接着剤14とともに表面側保護部材13を除去する。
【0058】
裏面側保護部材分割ステップ1012は、裏面側保護部材配設ステップ1005を実施した後、表面側保護部材除去ステップ1006を実施した後に、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4に沿って分割して個片化された裏面側保護部材15-1上にデバイス5が配設された状態とするステップである。実施形態2において、裏面側保護部材分割ステップ1012では、周知の拡張装置が、テープ18を周方向に拡張して、
図22に示すように、裏面側保護部材15-1をシールドトンネル23を起点に分割予定ライン4に沿って分割する。
【0059】
実施形態2において、裏面側保護部材分割ステップ1012では、周知の拡張装置が、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4に沿って分割し、個片化された裏面側保護部材15上-1に第2の仮接着剤16-1によりデバイス5が配設された状態となる。なお、本発明では、周知のブレーキングにより裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4に沿ってシールドトンネル23を起点に分割しても良い。
【0060】
実施形態2において、デバイスピックアップステップ1007-2は、表面側保護部材除去ステップ1006を実施した後、テープ18から個片化された裏面側保護部材15-1とともにデバイス5をピックアップするステップである。実施形態2において、デバイスピックアップステップ1007-2では、
図23に示すように、ピッカー60がデバイス5を吸引保持するなどして、テープ18からデバイス5を個片化された裏面側保護部材15-1とともに一つずつピックアップする。
【0061】
なお、本発明において、デバイスピックアップステップ1007-2では、裏面側保護部材分割ステップ1012を実施した後、一度転写してデバイス5の表面側にテープを貼着し裏面側保護部材15-1の裏面15-2側に貼着したテープ18を除去した状態で、ピッカー60が裏面側保護部材15-1を吸引保持してピックアップしてもよい。
【0062】
実施形態2に係るデバイスの製造方法は、デバイス層分割ステップ1002において分割予定ライン4に分割溝9を形成し、表面側保護部材配設ステップ1003においてデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、基材除去ステップ1004において基材3を除去するので、デバイスウェーハ1を基材3を除去しながらも、デバイスウェーハ1をデバイス層2のみからなる個々のデバイス5に分割することができる。
【0063】
また、実施形態2に係るデバイスの製造方法は、裏面側保護部材分割ステップ1012において、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って分割して個片化し、デバイスピックアップステップ1007-2においてデバイス5を個片化された裏面側保護部材15-1とともにピックアップするので、後の工程でもデバイス5の取り扱いが容易になる。
【0064】
〔変形例〕
本発明の実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法を図面に基づいて説明する。
図24は、実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。なお、
図24は、実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法は、
図24に示すように、裏面側保護部材分割起点形成ステップ1010を備えずに、ウェーハ準備ステップ1001と、デバイス層分割ステップ1002と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、裏面側保護部材配設ステップ1005と、裏面側保護部材分割ステップ1012と、テープ貼着ステップ1011と、表面側保護部材除去ステップ1006と、デバイスピックアップステップ1007-2とを備え、これらを順に実施する。
【0066】
実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割ステップ1012は、裏面側保護部材配設ステップ1005を実施した後、表面側保護部材除去ステップ1006を実施する前に、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4に沿って分割して個片化された裏面側保護部材15-1上にデバイス5が配設された状態とするステップである。
【0067】
実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材分割ステップ1012では、レーザ加工装置が裏面側保護部材15-1に対して吸収性を有する波長のレーザビームを裏面側保護部材15-1に照射してアブレーション加工を施したり、切削装置が裏面側保護部材15-1に切削ブレードを切り込ませて、実施形態2と同様に、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って分割する。
【0068】
実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法のテープ貼着ステップ1011は、裏面側保護部材分割ステップ1012を実施した後で表面側保護部材除去ステップ1006を実施する前に、裏面側保護部材15-1の裏面15-2側にテープ18を貼着するステップである。
【0069】
実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法は、デバイス層分割ステップ1002において分割予定ライン4に分割溝9を形成し、表面側保護部材配設ステップ1003においてデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、基材除去ステップ1004において基材3を除去するので、デバイスウェーハ1を基材3を除去しながらも、デバイスウェーハ1をデバイス層2のみからなる個々のデバイス5に分割することができる。
【0070】
また、実施形態2の変形例に係るデバイスの製造方法は、裏面側保護部材分割ステップ1012において、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4即ち分割溝9に沿って分割して個片化し、デバイスピックアップステップ1007-2においてデバイス5を個片化された裏面側保護部材15-1とともにピックアップするので、後の工程でもデバイス5の取り扱いが容易になる。
【0071】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るデバイスの製造方法を図面に基づいて説明する。
図25は、実施形態3に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図26は、
図25に示されたデバイスの製造方法の表面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
図27は、
図25に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいてデバイスウェーハの基材を研削する状態を模式的に示す斜視図である。
図28は、
図25に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて研削後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
図29は、
図25に示されたデバイスの製造方法の基材除去ステップにおいて基材が除去された後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
図30は、
図25に示されたデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ後のデバイスウェーハの要部を模式的に示す断面図である。
図31は、
図25に示されたデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップの要部を模式的に示す断面図である。なお、
図25、
図26、
図27、
図28、
図29、
図30及び
図31において、実施形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
実施形態3に係るデバイスの製造方法は、
図25に示すように、ウェーハ準備ステップ1001と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、デバイス層分割ステップ1002と、デバイスピックアップステップ1007とを備え、ウェーハ準備ステップ1001と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、デバイス層分割ステップ1002と、デバイスピックアップステップ1007を順に実施する。
【0073】
実施形態3に係るデバイスの製造方法のウェーハ準備ステップ1001では、実施形態1と同様に、前述した構成のデバイスウェーハ1を準備する。
【0074】
実施形態3に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材配設ステップ1003では、実施形態1と同様に、デバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21に第1の外的刺激が付与されることにより接着力が低下する第1の仮接着剤14が塗布され、
図26に示すように、第1の仮接着剤14に表面側保護部材13が貼着されて、デバイス層2の表面21に表面側保護部材13が配設される。
【0075】
実施形態3に係るデバイスの製造方法の基材除去ステップ1004では、
図27に示すように、研削装置50が、実施形態1と同様に、研削砥石55でデバイスウェーハ1の基材3の裏面32側を研削し、
図28に示すように、基材3が若干残る状態までデバイスウェーハ1の基材3の裏面32を研削する。
【0076】
実施形態3に係るデバイスの製造方法の基材除去ステップ1004では、実施形態1と同様に、デバイスウェーハ1の基材3の裏面32にウェットエッチング又はドライエッチング等のエッチングを実施して、
図29に示すように、デバイスウェーハ1の基材3を完全に除去し、デバイス層2の裏面22を露出させる。
【0077】
実施形態3に係るデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ1002は、基材除去ステップ1004を実施した後に、分割予定ライン4に沿って少なくともデバイス層2を個々のデバイス5に分割する分割溝9を形成するステップである。実施形態3に係るデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、チャックテーブル41の保持面42に表面側保護部材13を吸引保持して、実施形態1と同様に、デバイスウェーハ1にアブレーション加工を施して、
図30に示すように、デバイス層2を個々のデバイス5毎に分割する分割溝9を形成する。
【0078】
なお、実施形態3において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、デバイスウェーハ1の分割予定ライン4にアブレーション加工を施して分割溝9を形成したが、本発明では、デバイス層分割ステップ1002において、切削装置が、デバイスウェーハ1のデバイス層2の分割予定ライン4に切削ブレードを切り込ませて分割溝9を形成しても良い。また、本発明では、デバイス層分割ステップ1002において、デバイスウェーハ1のデバイス層2の分割予定ライン4にウェットエッチングやドライエッチング等のエッチングを施して分割溝9を形成しても良い。
【0079】
実施形態3に係るデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップ1007は、表面側保護部材13から個片化されたデバイス5をピックアップするステップである。実施形態3に係るデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップ1007では、第1の仮接着剤14に第1の外的刺激を付与して、第1の仮接着剤14の接着力を低下させる。実施形態3に係るデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップ1007では、第1の仮接着剤14の接着力を低下させた後、
図31に示すように、ピッカー60がデバイス5を吸引保持するなどして、表面側保護部材13からデバイス5を一つずつピックアップする。
【0080】
実施形態3に係るデバイスの製造方法は、表面側保護部材配設ステップ1003においてデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、基材除去ステップ1004において基材3を除去し、デバイス層分割ステップ1002において分割予定ライン4に分割溝9を形成するので、デバイスウェーハ1を基材3を除去しながらも、デバイスウェーハ1をデバイス層2のみからなる個々のデバイス5に分割することができる。
【0081】
なお、本発明は、実施形態3において、表面側保護部材13にテープを貼着し、表面側保護部材13もデバイス5毎に分割して、デバイス5を分割された表面側保護部材13とともにテープからピックアップして、表面側保護部材13をデバイス5のハンドリングに用いても良い。
【0082】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係るデバイスの製造方法を図面に基づいて説明する。
図32は、実施形態4に係るデバイスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図33は、実施形態4に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
図34は、実施形態4に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。
図35は、実施形態4に係るデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ後のデバイスウェーハを模式的に示す断面図である。なお、
図32、
図33、
図34及び
図35は、実施形態1、実施形態1の変形例及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0083】
実施形態4に係るデバイスの製造方法は、
図25に示すように、ウェーハ準備ステップ1001と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、裏面側保護部材配設ステップ1005と、表面側保護部材除去ステップ1006と、デバイス層分割ステップ1002と、デバイスピックアップステップ1007とを備え、ウェーハ準備ステップ1001と、表面側保護部材配設ステップ1003と、基材除去ステップ1004と、裏面側保護部材配設ステップ1005と、表面側保護部材除去ステップ1006と、デバイス層分割ステップ1002と、デバイスピックアップステップ1007を順に実施する。
【0084】
実施形態4に係るデバイスの製造方法のウェーハ準備ステップ1001では、実施形態1と同様に、前述した構成のデバイスウェーハ1を準備する。
【0085】
実施形態4に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材配設ステップ1003では、実施形態3と同様に、デバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、実施形態4に係るデバイスの製造方法の基材除去ステップ1004では、実施形態3と同様に、デバイスウェーハ1の基材3を除去し、デバイス層2の裏面22を露出させる。
【0086】
実施形態4に係るデバイスの製造方法の裏面側保護部材配設ステップ1005では、実施形態1の変形例等と同様に、デバイスウェーハ1のデバイス層2の裏面22に第2の外的刺激が付与されることにより接着力が低下する第2の仮接着剤16-1が塗布され、
図33に示すように、第2の仮接着剤16-1に裏面側保護部材15-1が貼着されて、デバイス層2の裏面22に裏面側保護部材15-1が配設される。実施形態5では、実施形態1の変形例と同様に、裏面側保護部材15-1は、硬質な材質で構成され、デバイスウェーハ1と同径の円板状に形成されている。変形例は、裏面側保護部材15-1は、表面側保護部材13と同様に、ガラスにより構成されている。
【0087】
実施形態4に係るデバイスの製造方法の表面側保護部材除去ステップ1006では、実施形態2等と同様に、第1の仮接着剤14に第1の外的刺激を付与して、第1の仮接着剤14の接着力を低下させ、
図34に示すように、表面側保護部材13をデバイスウェーハ1のデバイス層2の表面21から剥離して、表面側保護部材13を除去する。
【0088】
実施形態4に係るデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ1002は、実施形態3と同様に、基材除去ステップ1004を実施した後に、分割予定ライン4に沿って少なくともデバイス層2を個々のデバイス5に分割する分割溝9を形成するステップである。実施形態4に係るデバイスの製造方法のデバイス層分割ステップ1002では、実施形態3と同様に、
図35に示すように、デバイス層2を個々のデバイス5毎に分割する分割溝9を形成する。
【0089】
なお、実施形態4において、デバイス層分割ステップ1002では、レーザ加工装置40が、デバイスウェーハ1の分割予定ライン4にアブレーション加工を施して分割溝9を形成したが、本発明では、デバイス層分割ステップ1002において、切削装置が、デバイスウェーハ1のデバイス層2の分割予定ライン4に切削ブレードを切り込ませて分割溝9を形成しても良い。また、本発明では、デバイス層分割ステップ1002において、デバイスウェーハ1のデバイス層2の分割予定ライン4にウェットエッチングやドライエッチング等のエッチングを施して分割溝9を形成しても良い。
【0090】
実施形態4に係るデバイスの製造方法のデバイスピックアップステップ1007では、第2の仮接着剤16-1に第2の外的刺激を付与して、第2の仮接着剤16-1の接着力を低下させ、ピッカー60がデバイス5を吸引保持するなどして、裏面側保護部材15-1からデバイス5を一つずつピックアップする。なお、実施形態4に係るデバイスの製造方法では、実施形態2と同様に、テープ貼着ステップ1011を実施して裏面側保護部材15-1の裏面15-2にテープ18を貼着し、裏面側保護部材分割ステップ1012を実施して、裏面側保護部材15-1を分割予定ライン4に沿って分割して、デバイスピックアップステップ1007において、テープ18からデバイス5を個片化された裏面側保護部材15-1とともにピックアップしても良い。
【0091】
実施形態4に係るデバイスの製造方法は、表面側保護部材配設ステップ1003においてデバイス層2の表面21に表面側保護部材13を配設し、基材除去ステップ1004において基材3を除去し、デバイス層分割ステップ1002において分割予定ライン4に分割溝9を形成するので、デバイスウェーハ1を基材3を除去しながらも、デバイスウェーハ1をデバイス層2のみからなる個々のデバイス5に分割することができる。
【0092】
なお、本発明は、実施形態4に係るデバイスの製造方法において、実施形態2と同様に、裏面側保護部材15-1にテープ18を貼着し、裏面側保護部材15-1をデバイス5毎に分割して、デバイス5を分割された裏面側保護部材15-1とともにテープからピックアップして、裏面側保護部材15-1をデバイス5のハンドリングに用いても良い。
【0093】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、前述した実施形態等では、第1の外的刺激が紫外線が照射されることであり、第2の外的刺激が加熱されることであるが、第1の外的刺激と第2の外的刺激とが互いに波長の異なる紫外線が照射される事でも良く、互いに異なる温度に加熱されることでも良い。
【符号の説明】
【0094】
1 デバイスウェーハ
2 デバイス層
3 基材
4 分割予定ライン
5 デバイス
9 分割溝
13 表面側保護部材
15,15-1 裏面側保護部材
15-2 裏面
18 テープ
21 表面
22 裏面
1001 ウェーハ準備ステップ
1002 デバイス層分割ステップ
1003 表面側保護部材配設ステップ
1004 基材除去ステップ
1005 裏面側保護部材配設ステップ
1006 表面側保護部材除去ステップ
1007-2 デバイスピックアップステップ
1011 テープ貼着ステップ
1012 裏面側保護部材分割ステップ