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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022191955
(43)【公開日】2022-12-28
(54)【発明の名称】積層体および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20221221BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20221221BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B32B15/08 A
B32B27/18 B
C09K21/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100496
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】山中 翔
(72)【発明者】
【氏名】豊原 匡志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幹彌
(72)【発明者】
【氏名】米澤 豊
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 久史
【テーマコード(参考)】
4F100
4H028
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AB01C
4F100AB03B
4F100AB03C
4F100AB04B
4F100AB04C
4F100AB09B
4F100AB09C
4F100AB10B
4F100AB10C
4F100AB12B
4F100AB12C
4F100AB31B
4F100AB31C
4F100AK01A
4F100AK03A
4F100AK53G
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CA08A
4F100EC18
4F100JB16A
4F100JJ07
4F100YY00A
4H028AA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた難燃性を有する新たな積層体および積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】(B)金属板-(A)樹脂版-(B)金属板の順に積層させた構造を有し、樹脂板は、熱可塑性樹脂およびリン酸塩系難燃剤を含有し、リン酸塩系難燃剤は、一般式(1)、(3)で表される化合物の少なくともいずれか一方を含有する。


nおよびrは1~100の数を、Xはアンモニアまたは特定の構造のトリアジン誘導体を、pは0<p≦n+2を満たす数を、Yは〔RN(CHNR〕、ピペラジン、またはピペラジン環を含むジアミンを表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板とを、(B)-(A)-(B)の順に積層させた構造を有する積層体であって、
(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂および(A2)リン酸塩系難燃剤を含有し、
(A2)リン酸塩系難燃剤は、下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物および下記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物の少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする積層体。
一般式(1)中、nは1~100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。
一般式(2)中、ZおよびZは、それぞれ独立に、-NR基、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~6の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはメチロール基を表す。
一般式(3)中、rは1~100の数を表し、Yは〔RN(CHNR〕、ピペラジン、またはピペラジン環を含むジアミンを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、mは1~10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。
【請求項2】
(A2)難燃剤が、
前記一般式(1)におけるXがメラミンであるリン酸塩化合物と、
前記一般式(3)におけるYがピペラジンであるリン酸塩化合物と、
を含有する請求項1記載の積層体。
【請求項3】
(A2)難燃剤が、
前記一般式(1)におけるnが2であるリン酸塩化合物と、
前記一般式(3)におけるrが2であるリン酸塩化合物と、
を含有する請求項1または2記載の積層体。
【請求項4】
(A1)熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂を含有する請求項1~3のうちいずれか1項記載の積層体。
【請求項5】
(A)樹脂板中の(A2)リン酸塩系難燃剤の含有量が、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、10~400質量部である請求項1~4のうちいずれか1項記載の積層体。
【請求項6】
2枚の(B)金属板はそれぞれ独立して、普通鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタンおよびチタン合金から選択される1種以上の金属を含有する金属材料からなる請求項1~5のうちいずれか1項記載の積層体。
【請求項7】
(A)樹脂板の厚さが1~5mmである請求項1~6のうちいずれか1項記載の積層体。
【請求項8】
(A)樹脂板の密度が0.5~1.6g/cmである請求項1~7のうちいずれか1項記載の積層体。
【請求項9】
(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板とを、(B)-(A)-(B)の順に積層させる積層体の製造方法であって、
(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂および(A2)リン酸塩系難燃剤を含有し、
(A2)リン酸塩系難燃剤は、下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物および下記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物の少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする積層体の製造方法。
一般式(1)中、nは1~100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。
一般式(2)中、ZおよびZは、それぞれ独立に、-NR基、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~6の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはメチロール基を表す。
一般式(3)中、rは1~100の数を表し、Yは〔RN(CHNR〕、ピペラジン、またはピペラジン環を含むジアミンを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、mは1~10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および積層体の製造方法に関し、詳しくは、優れた難燃性を有する新たな積層体および積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板で樹脂層を挟み込んだ構造の積層体は、単体の金属板と比較して軽量性および加工性に優れ、さらに単体の樹脂板と比較して剛性や耐衝撃性などの機械強度に優れることから、各種用途に広く用いられている。そして、このような積層体材料の樹脂層に対して難燃性を付与し、火災時の安全性を高める技術について、これまで様々な開発がなされてきた。この種の技術としては、例えば、特許文献1、2に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、難燃剤として金属水酸化物を配合した発泡樹脂板からなる芯材に金属シートを接合して難燃性積層体を形成する技術が提案されている。また、特許文献2では、水酸化アルミニウムを高充填した樹脂シートの両面に金属シートが接合されてなる難燃性積層体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-58212号公報
【特許文献2】特開平8-109291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが検討した結果、積層体の樹脂層に金属水酸化物を用いた場合、火災時に着火した場合の総発熱量および最大発熱速度が大きく、さらに、燃焼時の熱で溶融した樹脂が加熱で変形した金属板の隙間から漏出するという課題が見出された。したがって、樹脂シートの両面に金属シートが接合されてなる難燃性積層体の難燃性能には、さらなる改良が求められているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、優れた難燃性を有する新たな積層体および積層体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、樹脂層に添加する難燃剤につき、さらなる検討の余地があること見出した。そして、本発明者らは、樹脂層に特定のリン酸塩系難燃剤を配合することにより、着火した場合の総発熱量および最大発熱速度が従来のものより大幅に抑制されること、さらに、加熱による溶融樹脂の漏出抑制が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の積層体は、(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板とを、(B)-(A)-(B)の順に積層させた構造を有する積層体であって、
(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂および(A2)リン酸塩系難燃剤を含有し、
(A2)リン酸塩系難燃剤は、下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物および下記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物の少なくともいずれか一方を含有することを特徴とするものである。
一般式(1)中、nは1~100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。
一般式(2)中、ZおよびZは、それぞれ独立に、-NR基、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~6の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはメチロール基を表す。
一般式(3)中、rは1~100の数を表し、Yは〔RN(CHNR〕、ピペラジン、またはピペラジン環を含むジアミンを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、mは1~10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。
【0009】
本発明の積層体においては、(A2)難燃剤が、
前記一般式(1)におけるXがメラミンであるリン酸塩化合物と、
前記一般式(3)におけるYがピペラジンであるリン酸塩化合物と、
を含有することが好ましい。
【0010】
本発明の積層体においては、(A2)難燃剤が、
前記一般式(1)におけるnが2であるリン酸塩化合物と、
前記一般式(3)におけるrが2であるリン酸塩化合物と、
を含有することが好ましい。
【0011】
本発明の積層体においては、(A1)熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
【0012】
本発明の積層体においては、(A)樹脂板中の(A2)リン酸塩系難燃剤の含有量が、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、10~400質量部であることが好ましい。
【0013】
本発明の積層体においては、2枚の(B)金属板はそれぞれ独立して、普通鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタンおよびチタン合金から選択される1種以上の金属を含有する金属材料からなることが好ましい。
【0014】
本発明の積層体においては、(A)樹脂板の厚さが1~5mmであることが好ましい。
【0015】
本発明の積層体においては、(A)樹脂板の密度が0.5~1.6g/cmであることが好ましい。
【0016】
また、本発明の積層体の製造方法は、(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板とを、(B)-(A)-(B)の順に積層させる積層体の製造方法であって、
(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂および(A2)リン酸塩系難燃剤を含有し、
(A2)リン酸塩系難燃剤は、下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物および下記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物の少なくともいずれか一方を含有することを特徴とするものである。
一般式(1)中、nは1~100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。
一般式(2)中、ZおよびZは、それぞれ独立に、-NR基、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~6の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはメチロール基を表す。
一般式(3)中、rは1~100の数を表し、Yは〔RN(CHNR〕、ピペラジン、またはピペラジン環を含むジアミンを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、mは1~10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、優れた難燃性を有する新たな積層体および積層体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の積層体とその製造方法を、これらの好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。本発明の積層体は、(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板とを、(B)-(A)-(B)の順に積層させた構造を有する積層体であって、(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂および(A2)リン酸塩系難燃剤を含有する。以下、(A)樹脂板および(B)金属板について、詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る(A1)熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン-1、ポリ-3-メチルペンテン、ポリ-4-メチルペンテン等のα-オレフィン重合体またはエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル-アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレンおよび/またはα-メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂、MABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステルおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2-オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を挙げることができる。また、(A1)熱可塑性樹脂は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ニトリル系熱可塑性エラストマー、ナイロン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等のエラストマーであってもよい。本発明の積層体において、これらの(A1)熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、(A1)熱可塑性樹脂はアロイ化されていてもよい。
【0020】
これらの(A1)熱可塑性樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
【0021】
これらの(A1)熱可塑性樹脂の中でも、本発明に係る(A2)リン酸塩系難燃剤との併用により優れた難燃性を付与できる点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびそれらの共重合体からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリオレフィン系樹脂がより好ましく、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンがさらにより好ましく、それらと熱可塑性エラストマーを併用する場合も好ましい。
【0022】
本発明に係る(A)樹脂板においては、(A)樹脂板の全質量を基準として、(A1)熱可塑性樹脂の含有量の下限が40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更により好ましい。これにより、熱可塑性樹脂本来の物性を十分に発揮することができる。
【0023】
(A2)リン酸塩系難燃剤は、下記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物および下記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物の少なくともいずれか一方を含有する。
【0024】
【0025】
一般式(1)中、nは1~100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を表し、pは0<p≦n+2を満たす数を表す。
【0026】
【0027】
一般式(2)中、ZおよびZは、それぞれ独立に、-NR基、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1~10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、フェニル基およびビニル基からなる群より選択される何れかの基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~6の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはメチロール基を表す。
【0028】
【0029】
一般式(3)中、rは1~100の数を表し、Yは〔RN(CHNR〕、ピペラジン、またはピペラジン環を含むジアミンを表し、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、mは1~10の整数であり、qは0<q≦r+2を満たす数を表す。
【0030】
一般式(2)におけるZおよびZで表される炭素原子数1~10の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、第三ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル等が挙げられ、炭素原子数1~10の直鎖または分岐のアルコキシ基としては、これらアルキル基から誘導される基が挙げられる。また、ZおよびZがとり得る-NR基におけるRおよびRで表される炭素原子数1~6の直鎖または分岐のアルキル基としては、上記アルキル基のうちの炭素原子数1~6のものが挙げられる。
【0031】
一般式(2)で表されるトリアジン誘導体の具体的な例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-エトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-プロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプト-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)で表されるリン酸塩化合物は、単一の化合物でもよく、縮合度または塩の種類が異なる2種以上の混合物でもよい一般式(1)で表されるリン酸塩化合物は、一般式(1)中のXがメラミンであるリン酸塩化合物を含むことが好ましい。また、一般式(1)で表されるリン酸塩化合物は、一般式(1)中のnが2であるピロリン酸塩を含むことが好ましい。混合物で使用する場合は、nが2であるピロリン酸塩の含有割合が高いほど好ましい。これにより、安定的に耐熱性を向上できる。
【0033】
一般式(3)中、Yで表される化合物は、〔RN(CHNR〕、ピペラジンまたはピペラジン環を含むジアミン等が挙げられる。R~Rは同一でも異なってもよく、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
【0034】
~Rで表される炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、例えば、ZおよびZで表されるアルキル基の具体例として挙げたもののうちの炭素原子数1~5のものが挙げられる。
【0035】
ピペラジン環を含むジアミンとしては、例えば、ピペラジンの2、3、5、6位の1箇所以上をアルキル基(好ましくは炭素原子数1~5のもの)で置換した化合物;ピペラジンの1位および/または4位のアミノ基をアルキル基(好ましくは炭素原子数1~5のもの)で置換した化合物が挙げられる。
【0036】
一般式(3)におけるYで表される化合物としては、具体的には、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1、7-ジアミノへプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、ピペラジン、trans-2,5-ジメチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。
【0037】
一般式(3)で表されるリン酸塩化合物は、単一の化合物でもよく、縮合度または塩の種類が異なる2種以上の混合物でもよい。一般式(3)で表されるリン酸塩化合物は、一般式(3)中のYがピペラジンであるリン酸塩化合物を含むことが好ましい。また、一般式(3)で表されるリン酸塩化合物は、一般式(3)中のrが2であるピロリン酸塩を含むことが好ましい。混合物で使用する場合は、rが2であるピロリン酸塩の含有割合が高いほど好ましい。これにより、安定的に耐熱性を向上できる。
【0038】
リン酸塩化合物の製造方法としては、例えばピロリン酸メラミンのようなリン酸類とメラミンとの塩は、ピロリン酸ナトリウムとメラミンとを任意の比率で混合した後、塩酸を加えて反応させ、水酸化ナトリウムで中和して得ることができる。また、例えばリン酸類とピペラジンの塩は、リン酸類とピペラジンとを任意の比率で水中またはメタノール水溶液中で反応させることにより、水難溶性の沈殿として容易に得ることができる。このとき、原料のリン酸類の構成は、特に限定されない。また、一般式(1)または(3)中のnまたはrが2以上のリン酸塩化合物は、nまたはrが1であるオルトリン酸塩を加熱縮合して得てもよい。
【0039】
本発明に係る(A2)リン酸塩系難燃剤は、難燃性の点から、一般式(1)および一般式(3)で表される化合物を含有するものが好ましい。
【0040】
本発明に係る(A2)リン酸塩系難燃剤中に一般式(1)および(3)で表される化合物を含有する場合の両化合物の含有割合は、難燃性の点から、前者と後者の質量比で20:80~60:40であることが好ましく、30:70~50:50であることがより好ましい。
【0041】
本発明に係る(A)樹脂板においては、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(A2)リン酸塩系難燃剤の含有量の下限が10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、25質量部以上であることが更により好ましい。これにより、難燃性向上効果を十分に得ることができる。
【0042】
本発明に係る(A)樹脂板においては、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(A2)リン酸塩系難燃剤の含有量の上限が400質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることが更により好ましい。これにより、熱可塑性樹脂本来の物性を十分に発揮することができる。
【0043】
(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂および(A2)リン酸塩系難燃剤の他に、助剤を含有してもよい。
【0044】
助剤としては、難燃助剤、ドリップ防止助剤、加工性助剤等が挙げられる。
【0045】
難燃助剤は、金属酸化物や多価アルコール化合物を含むことができる。これにより、樹脂の難燃性を向上できる。
【0046】
金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、二酸化錫、二酸化鉛、酸化アンチモン、酸化モリブデン、酸化カドミウム等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これにより、樹脂の難燃性を向上できる。また、粉粒状の難燃剤組成物中において凝集が発生することを抑制できる。なお、難燃性の観点から、酸化亜鉛が好ましい。
【0047】
酸化亜鉛は、表面処理されていてもよく、表面処理されていなくてもよい。
【0048】
酸化亜鉛としては、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属工業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属工業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等の市販品を使用してもよい。
【0049】
多価アルコールとしては、複数のヒドロキシ基が結合している化合物であり、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、キシロース、スクロース(シュクロース)、トレハロース、イノシトール、フルクトース、マルトース、ラクトース等が挙げられる。これら多価アルコール化合物のうち、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール等の、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの縮合物の群から選ばれる一種以上が好ましく、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの縮合物が特に好ましく、ジペンタエリスリトールが最も好ましい。また、THEICおよびソルビトールも好適に使用できる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
ドリップ防止助剤としては、層状ケイ酸塩、フッ素系ドリップ防止助剤、およびシリコーンゴム類が挙げられる。これにより、樹脂の燃焼時におけるドリップを抑制できる。
【0051】
層状ケイ酸塩は、層状のケイ酸塩鉱物であり、天然または合成のいずれでもよく、特に限定されるものではない。
【0052】
層状ケイ酸塩として、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
ドリップ防止の観点から、これらの中でもサポナイトまたはタルクが好ましく、価格等の経済性の観点から、特にタルクが好ましい。
【0054】
層状のケイ酸塩は、層間にカチオンを有していてもよい。カチオンは、金属イオンであってもよいし、その一部または全部が、有機カチオン、(第4級)アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等の、金属イオン以外のカチオンであってもよい。
【0055】
金属イオンとして、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
【0056】
有機カチオンまたは第4級アンモニウムカチオンとして、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムカチオン、ステアリルトリメチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジメチルアンモニウムカチオン、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジベンジルアンモニウムカチオン等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
フッ素系ドリップ防止助剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ-n-ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ-t-ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ-2-エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物またはパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。中でも、ドリップ防止性の点から、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
加工助剤としては、公知の加工助剤の中から適宜選択することができるが、アクリル酸系加工助剤を含んでもよい。
【0059】
アクリル酸系加工助剤としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレートの単独重合体または共重合体;上記アルキルメタクリレートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートとの共重合体;上記アルキルメタクリレートと、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物との共重合体;上記アルキルメタクリレートと、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物等との共重合体等を挙げることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
助剤を(A)樹脂板に添加するタイミングは特に限定されず、(A)樹脂板を製造する際に添加されてもよく、予め(A1)熱可塑性樹脂または(A2)リン酸塩系難燃剤に含有されていてもよい。
【0061】
(A)樹脂板は、必要に応じて更に、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を含有することが好ましい。
【0062】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-第三ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-第三ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6―ジ-第三ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス〔3-(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の使用量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0063】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-第三ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラキス(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサキス(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、2-エチル-2-ブチルプロピレングリコールと2,4,6-トリ-第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の使用量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0064】
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、およびペンタエリスリトールテトラキス(β-アルキルメルカプトプロピオネート類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の使用量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~10質量部であることが好ましく、0.05~5質量部であることがより好ましい。
【0065】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第三ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-第三ブチルフェニル-3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ-第三アミルフェニル-3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の使用量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
【0066】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジル)デカンジオアート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ウンデシルオキシピペリジン-4-イル)カーボネート、BASF社製TINUVIN NOR 371等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001~30質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましい。
【0067】
本発明に係る(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合は、ポリオレフィン系樹脂中の触媒残渣を中和するために、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の中和剤を含有することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、エチレンビス(ステアリン酸アミド)、エチレンビス(12-ヒドロキシステアリン酸アミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物、または、ハイドロタルサイト等の無機化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。これらの中和剤の使用量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001~3質量部であることが好ましく、0.01~1質量部であることがより好ましい。
【0068】
本発明に係る(A)樹脂板は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意成分として、充填剤を含有してもよい。
【0069】
充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェートおよびハイドロタルサイト等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長およびアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。また、充填剤は、必要に応じて表面処理したものを用いることができる。
【0070】
充填剤を配合する場合の配合量は、(A1)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、3~80質量部であることがより好ましく、5~50質量部であることがさらにより好ましい。
【0071】
本発明に係る(A)樹脂板には、必要に応じて更に、通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、強化材、上記以外の難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、シリコーンオイル、シランカップリング剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
【0072】
本発明に係る(A)樹脂板は、(A1)熱可塑性樹脂、(A2)リン酸塩系難燃剤およびその他の任意成分を公知の方法によって成形することにより、得ることができる。成形方法は特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール成形、圧縮成形、ブロー成形等を適宜使用することができる。
【0073】
(A)樹脂板の厚さは、強度、軽量性および難燃性の観点から、1~5mmであることが好ましく、1.5~3.5mmであることがより好ましく、2~3mmであることがさらにより好ましい。
【0074】
(A)樹脂板の密度は、軽量性の観点から、0.5~1.6g/cmであることが好ましく、0.7~1.2g/cmであることがより好ましく、0.8~1.15g/cmであることがさらにより好ましい。なお、本明細書において、密度はJIS Z 8807(液中ひょう量法)に準拠して測定されたものをいう。
【0075】
(B)金属板を構成する金属材料は特に限定されないが、例えば、普通鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタンおよびチタン合金等が挙げられる。これらの中でも、機械物性、軽量性および経済性の点から、普通鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金およびマグネシウム合金が好ましく、アルミニウム合金がより好ましい。
【0076】
本発明に係る2枚の(B)金属板の金属材料は、外観や腐食防止等の観点から、塗装されていてもよい。本発明の積層体を建物や輸送機械の内装材として用いる場合は、少なくとも室内側の金属板が塗装されていることが好ましい。
【0077】
(B)金属板の厚さは、強度、軽量性および難燃性の観点から、厚さが0.2~2.0mmであることが好ましく、0.3~1.5mmであることがより好ましく、0.5~1.0mmであることがさらにより好ましい。
【0078】
本発明における表裏2枚の(B)金属板は、同じものを用いてもよく、設置場所や用途を考慮して種類、厚さ、塗装状態などの異なる金属板を用いてもよい。
【0079】
本発明の積層体は、自動車、船舶、航空機、鉄道車両等の輸送機械用内装材や、建築用内装材等の用途に好適に用いることができる。また、これらの用途の中でも、加熱による溶融樹脂の漏出抑制に優れる点から、天井材、壁材として特に好適に用いられる。
【0080】
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。本発明の積層体の製造方法は、(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板とを、(B)-(A)-(B)の順に積層させる積層体の製造方法であって、(A)樹脂板と、2枚の(B)金属板として、上述の樹脂板と金属板とを用いることが重要である。本発明の積層体の製造方法においては、積層体を製造する工程については特に制限はなく、樹脂板と金属板との積層体を製造するための既知の方法を採用することができる。また、(A)樹脂板や、(B)金属板の製造方法についても特に制限はなく、既知の方法で製造することができる。
【実施例0081】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0082】
<(A2)成分:リン酸塩系難燃剤の製造>
実施例に用いた(A2)成分を、以下の製造例の方法で製造した。
【0083】
〔製造例1〕
(A2-1)成分:メラミン塩
オルトリン酸メラミンを220℃で6時間、固相状態で加熱縮合反応させて、ピロリン酸メラミンを主成分とするメラミン塩を製造した。メラミン塩は精製せずにそのまま用いた。メラミン塩中のピロリン酸メラミンの純度は、98.5%だった。純度は、イオンクロマトグラフ測定装置ICS-2100(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、Dionex IonPac AS-19カラム(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、電気伝導度検出器を用いて測定した。
【0084】
〔製造例2〕
(A2-2)成分:ピペラジン塩
二リン酸ピペラジンを250℃で1時間、固相状態で加熱縮合反応させて、ピロリン酸ピペラジンを主成分とするピペラジン塩を製造した。ピペラジン塩は精製せずにそのまま用いた。ピペラジン塩中のピロリン酸ピペラジンの純度は、99.0%だった。純度は、イオンクロマトグラフ測定装置ICS-2100(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、Dionex IonPac AS-19カラム(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、電気伝導度検出器を用いて測定した。
【0085】
<樹脂板の作製>
組成物全体の合計量が100質量部となるように調整された量のポリプロピレン樹脂(商品名:プライムポリプロJ754HP、プライムポリマー製、メルトフローレート=14g/10分(JIS K7210、温度230℃、荷重2.16kg))に対し、表1、2に記載の配合量で各化合物を添加・混合し、二軸押出機(装置:株式会社日本製鋼所製TEX30αを用いて押出温度:220℃、スクリュー回転速度:150rpmの条件で溶融混練し、ペレットを作製した。なお、表中の各成分の単位は質量部である。
【0086】
得られたペレットを、射出成形機(日精樹脂工業社製;NEX80-9E)を用いてスクリュー設定温度190~210℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行い、長さ100mm、幅100mm、厚さ3mmの樹脂板を得た。
【0087】
<積層体の作製>
得られた樹脂板を、長さ100mm、幅100mm、厚さ1.0mmの塗装アルミニウム板と長さ100mm、幅100mm、厚さ0.5mmの無塗装アルミニウム板により挟み込み、エポキシ系接着剤で接着し、積層体を作成した。
【0088】
得られた積層体を燃焼試験用の試験片とし、燃焼試験の際は、塗装アルミニウム板が上面(熱源に近い側)となるように試験片を設置した。
【0089】
<密度>
得られた樹脂板の密度を、電子比重計(装置名:ED-120T、ミラージュ貿易株式会社製)を用いて、JIS Z 8807(液中ひょう量法)に準拠して測定した。単位は、g/cmである。
【0090】
<燃焼試験>
得られた試験片に対し、ISO5660-1:2001に準拠し、コーンカロリメータ((株)東洋精機製作所製CONE C4)を用いて、輻射熱量50kW/mにて最大発熱速度評価(Heat ReleaseRate)および総発熱量評価(Total Heat ReleaseRate)を行った。この試験では、最大発熱速度の値が小さいほど、また総発熱量の値が小さいほど難燃性が高いと評価される。
【0091】
試験条件は、輻射熱量50kW/m、グリッドなし、サンプル距離25mmとした。試験開始10分後までの、総発熱量および最大発熱速度を測定した。また、燃焼試験中に変形したアルミニウム板の隙間から樹脂層由来の溶融樹脂の漏出があるかどうかを観察した。試験開始10分後までの、総発熱量が30MJ/m、最大発熱速度が300kW/m以下であり、さらに燃焼試験中の溶融樹脂の漏出がないものを、合格と判定した。評価結果を表1、2に併記する。
【0092】
【表1】
※1:試験開始10分後までの総発熱量
※2:試験開始10分後までの最大発熱速度
【0093】
【表2】
【0094】
表1、2中の各成分の詳細は以下の通りである。
フェノール系酸化防止剤:テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、商品名アデカスタブAO-60、(ADEKA製)
リン系酸化防止剤:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、商品名アデカスタブ2112(ADEKA製)
中和剤:ステアリン酸カルシウム、商品名CS-1(淡南化学工業株式会社製)
(A1):ポリプロピレン樹脂(商品名プライムポリプロJ-754HP(プライムポリマー社製、メルトフローレート=14g/10min(JIS K7210、温度230℃、荷重2.16kg)))
(A2-1):メラミン塩(製造例1で製造したもの)
(A2-2):ピペラジン塩(製造例2で製造したもの)
(A2)’:水酸化マグネシウム(商品名200-06H(協和化学工業株式会社製))
【0095】
実施例1~7では、試験開始10分後までの総発熱量および最大発熱速度が合格基準の範囲内となった。また、実施例1~7では、変形したアルミニウム板の隙間に難燃剤由来の発泡層が生成し、溶融樹脂の漏出と燃焼の拡大を防止できていることが確認された。
【0096】
一方、(A2)リン酸塩系難燃剤を含有しない組成(比較例1)および(A2)成分の比較として水酸化マグネシウムを30質量部含有した組成(比較例2)では、試験開始10分後までの総発熱量および最大発熱速度が基準を超え、さらに溶融樹脂の漏出があり比較的大きな火炎を生じて燃焼したため、不合格だった。水酸化マグネシウムを50質量部含有した組成(比較例3)では、総発熱量および最大発熱速度が合格基準の範囲内だったが、溶融樹脂の漏出および燃焼の拡大が見られたため、不合格だった。
【0097】
以上のように、本発明の積層体は難燃性に優れ、輸送機械用の内装材として好適に使用できることが確認された。