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特開2022-20573相補的にドープされた領域を有する半導体装置及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022020573
(43)【公開日】2022-02-01
(54)【発明の名称】相補的にドープされた領域を有する半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220125BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220125BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220125BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20220125BHJP
   H01L 21/266 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
H01L29/78 658A
H01L29/78 655A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652N
H01L21/265 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021113907
(22)【出願日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】20186280
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フェルケル, アンドレアス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】相補的にドープされた領域を有する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法であって、第1のハードマスクを半導体ボディ100の第1の表面101上に形成する。第1の導電型のドーパントを、第1の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入する。第2の導電型のドーパントを、第2の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入する。第1の表面部及び第2の表面部を覆う第2のハードマスク420を形成する。第2のハードマスク内の第3の開口421は、第3の表面部603を露出し、第4の開口422は、第4の表面部604を露出する。第1の導電型のドーパントを、第3の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入し、第2の導電型のドーパントを、第4の開口を通して前記半導体ボディ内へ選択的に注入する。
【選択図】図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置(500)を製造する方法において、前記方法は、
半導体ボディ(100)の第1の表面(101)上に第1のハードマスク(410)を形成することであって、前記第1のハードマスク(410)内の第1の開口(411)は第1の表面部(601)を露出し、第2の開口(412)は第2の表面部(602)を露出する、前記第1のハードマスク(410)を形成すること;
第1の導電型のドーパントを選択的に前記第1の開口(411)を通して、第2の導電型のドーパントを選択的に前記第2の開口(412)を通して、前記半導体ボディ(100)内へ注入することであって、前記第1及び第2のドーパントは相補的な導電型を有する、前記第1及び第2のドーパントを注入すること;
前記第1の表面部及び第2の表面部(601、602)を覆う第2のハードマスク(420)を形成することであって、前記第2のハードマスク(420)内の第3の開口(421)は第3の表面部(603)を露出し、第4の開口(422)は第4の表面部(604)を露出する、前記第2のハードマスク(420)を形成すること;及び、
前記第1の導電型のドーパントを選択的に前記第3の開口(421)を通して、前記第2の導電型のドーパントを選択的に前記第4の開口(422)を通して、前記半導体ボディ(100)内へ注入すること、を含む方法。
【請求項2】
前記半導体ボディ(100)は炭化珪素層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の開口(411)、前記第2の開口(412)又は前記第1及び第2の開口(411、412)は、第1の横方向(901)に沿った長手方向に延びる縞模様をなす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の表面部(601)及び前記第2の表面部(602)は、前記第1の方向(901)に直交する水平な第2の方向(902)に沿って交互にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1、第2、第3、及び第4の開口(411、412、421、422)のうちの最外開口を通して注入されたドーパントの導電型は、前記第1、第2、第3、及び第4の開口(411、412、421、422)のうちの第2の最外開口を通して注入されたドーパントの導電型と相補的である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のハードマスク(410)は中央マスク部(415)及び周囲マスク部(416)を含み、
前記中央マスク部(415)及び前記周囲マスク部(416)は、前記第1の方向(901)に沿って形成され、
前記周囲マスク部(416)内の前記第1及び第2の開口(411、412)は、前記中央マスク部(415)内の前記第1及び第2の開口(411、412)に対して横方向にシフトされる、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の導電型の前記ドーパントを前記第1の表面部(601)内へ注入することに先立って、前記第2の開口(412)を覆う及び/又は埋めるとともに前記第1の開口(411)を露出する第1の補助マスク(430)を形成すること、及び、
前記第2の導電型の前記ドーパントを前記第2の表面部(602)内へ注入することに先立って、前記第1の開口(411)を覆う及び/又は埋めるとともに前記第2の開口(412)を露出する第2の補助マスク(440)を形成すること、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のハードマスク(420)は、前記第1のハードマスク(410)の前記第1及び第2の開口(411、412)内に形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の開口(411、412)を通って前記ドーパントを注入することに先立って、前記第1のハードマスク(410)内の前記第1及び第2の開口(411、412)の横幅を低減すること、及び/又は
前記第3及び第4の開口(421、422)を通って前記ドーパントを注入することに先立って、前記第2のハードマスク(420)内の前記第3及び第4の開口(421、422)の横幅を低減することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記注入されたドーパントを活性化することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の導電型の前記注入されたドーパントは、前記第1及び第3の表面部(601、603)の下の前記半導体ボディ(100)内に第1のドープ領域(170)を形成し、
前記第2の導電型の前記注入されたドーパントは、前記第2及び第4の表面部(602、604)の下の前記半導体ボディ(100)内に第2のドープ領域(180)を形成し、
前記第1のドープ領域(170)のうちの1つを通り、且つ、及び前記第2のドープ領域(180)のうちの直接隣接する1つを通る水平線に沿って、積分ドナー密度が前記積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%だけ逸脱する、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ドーパントを注入した後に、エピタキシャル層(190)を前記半導体ボディ(100)の前記第1の表面(101)上に形成することをさらに含み、
前記エピタキシャル層(190)は前記半導体ボディ(100)の一部となり、
前記エピタキシャル層(190)を形成した後、前記エピタキシャル層(190)の露出された上面(191)が前記半導体ボディ(100)の前記第1の表面(101)を形成する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を繰り返すことをさらに含み、
前記ドーパントは前記エピタキシャル層(190)内へ注入される、方法。
【請求項13】
第1の導電型の縞模様状の第1のドープ領域(170)及び相補的な第2の導電型の縞模様状の第2のドープ領域(180)を含む半導体装置であって、
前記第1及び第2のドープ領域(170、180)の長手軸は、水平な第1の方向(901)に平行に走り、
前記第1のドープ領域(170)及び前記第2のドープ領域(180)は、前記第1の方向(901)に直交する水平な第2の方向(902)に沿って交互にあり、
前記第1及び第2のドープ領域(170、180)の2つの最外領域(179、189)間の前記第1及び第2のドープ領域(170、180)は、第1の延在幅(we1)を有し、
前記第1及び第2のドープ領域(170、180)の前記2つの最外領域(179、189)は、第2の延在幅(we2)を有し、
前記第2の延在幅(we2)は前記第1の延在幅(we1)の25%~75%の範囲内である、半導体装置。
【請求項14】
前記第1のドープ領域(170)のうちの1つを通り、且つ、及び前記第2のドープ領域(180)のうちの直接隣接する1つを通る前記第2の方向(902)に平行な線に沿って、積分ドナー密度が前記積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%だけ逸脱する、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
第1の導電型の縞模様状の第1のドープ領域(170)及び相補的な第2の導電型の縞模様状の第2のドープ領域(180)を含む炭化珪素装置であって、
前記第1及び第2のドープ領域(170、180)は炭化珪素ボディ(105)内に形成され、
前記第1及び第2のドープ領域(170、180)の水平方向長手軸は水平な第1の方向(901)に平行に走り、
前記第1のドープ領域(170)及び前記第2のドープ領域(180)は、前記第1の方向(901)に直交する水平な第2の方向(902)に沿って交互にあり、
前記第1及び第2のドープ領域(170、180)は前記第2の方向(902)に沿って第1の延在幅(we1)を有し、
前記第1のドープ領域(170)の1つを通る前記第2の方向(902)と平行な線に沿って、又は、前記第2のドープ領域(180)の1つを通る前記第2の方向(902)と平行な線に沿って、
ドーパント濃度は、前記第1の延在幅(we1)の少なくとも75%にわたって15%以下だけ、前記線に沿って、平均ドーパント濃度から逸脱し、
最大ドーパント濃度は前記平均ドーパント濃度から20%以下だけ逸脱し、
最大ドーパント濃度の位置は前記ドープ領域(170、180)の横方向中心から前記第1の延在幅(we1)の10%以下だけ逸脱する、炭化珪素装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、相補的にドープされた縞模様状領域を有する半導体装置を製造する方法に関し、特に、電荷補償構造を含む半導体装置であってドーパントが低拡散率を有する半導体材料で提供される半導体装置に関する。他の例は、相補的にドープされた縞模様状領域を有する半導体装置、特に電荷補償構造を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、一連の交互にドープされた領域を含む半導体構造であって反対導電型のドープ領域のドーパントの量の比が所定境界条件に整合し得る半導体構造を含み得る。例えば、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などの電力半導体スイッチは、高降伏電圧能力及び低オン抵抗を兼ね備えることを容易にする電荷補償構造を含み得る。電荷補償構造は、遮断状態において完全に空乏化するp型列及びn型列のパターンを含む。肝要な装置パラメータ及び装置信頼性は、どれだけ精密にp型列内のドーパントの量とn型列内のドーパントの量との比が所定条件に整合するかに強く依存する。交互に配置されたnドープ領域及びpドープ領域を有する半導体装置を製造する方法を改善する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施形態は半導体装置を製造する方法に関する。第1のハードマスクが半導体ボディの第1の表面上に形成され、第1のハードマスク内の第1の開口が第1の表面部を露出し、第2の開口は第2の表面部を露出する。第1の導電型のドーパントは第1の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入され、第2の導電型のドーパントは第2の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入される。第1及び第2のドーパントは相補的な導電型を有する。第1の表面部及び第2の表面部を覆う第2のハードマスクが形成され、第2のハードマスク内の第3の開口が第3の表面部を露出し、第4の開口は第4の表面部を露出する。第1の導電型のドーパントは第3の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入され、第2の導電型のドーパントは第4の開口を通して半導体ボディ内へ選択的に注入される。
【0004】
本開示の別の実施形態は半導体装置に関する。半導体装置は、第1の導電型の縞模様状の第1のドープ領域及び相補的第2の導電型の縞模様状の第2のドープ領域を含む。第1及び第2のドープ領域の長手軸は水平な第1の方向と平行に走る。第1のドープ領域及び第2のドープ領域は第1の方向に直交する水平な第2の方向に沿って交互にある。第1及び第2のドープ領域の2つの最外領域間の第1及び第2のドープ領域は第1の延在幅を有する。第1及び第2のドープ領域の2つの最外領域は第2の延在幅を有する。第2の延在幅は第1の延在幅の25%~75%の範囲内である。
【0005】
本開示の別の実施形態は炭化珪素装置に関する。炭化珪素装置は第1の導電型の縞模様状の第1のドープ領域及び相補的第2の導電型の縞模様状の第2のドープ領域を含む。第1及び第2のドープ領域は炭化珪素ボディ内に形成される。第1及び第2のドープ領域の水平方向長手軸は水平な第1の方向と平行に走る。第1のドープ領域及び第2のドープ領域は第1の方向に直交する水平な第2の方向に沿って交互にある。第1及び第2のドープ領域は第2の方向に沿って第1の延在幅を有する。第1のドープ領域の1つを通る第2の方向と平行な線に沿って及び/又は第2のドープ領域の1つを通る第2の方向と平行な線に沿って以下の条件が満足される:ドーパント濃度は同線に沿った平均ドーパント濃度から第1の延在幅の少なくとも75%にわたって15%以下だけ逸脱する。最大ドーパント濃度は平均ドーパント濃度から20%以下だけ逸脱する。最大ドーパント濃度の位置はドープ領域の横方向中心から第1の延在幅の10%以下だけ逸脱する。
【0006】
当業者は、以下の詳細な明細書を読み添付図面を見ると追加の特徴及び利点を認識することになる。
【0007】
添付図面は、実施形態をさらに理解するために含まれ、本明細書に援用されその一部を構成する。添付図面は、半導体装置及び半導体装置を製造する方法の実施形態を示し、本明細書と併せて実施形態の原理について説明することに役立つ。別の実施形態が以下の詳細な明細書及び特許請求の範囲において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】一実施形態による反対にドープされた領域を有する半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図1B】一実施形態による反対にドープされた領域を有する半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図1C】一実施形態による反対にドープされた領域を有する半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図1D】一実施形態による反対にドープされた領域を有する半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図1E】一実施形態による反対にドープされた領域を有する半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図1F】一実施形態による反対にドープされた領域を有する半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図2A図1A~1Fに示す方法において使用される第1のハードマスク及び第2のハードマスクを示すための半導体ボディの一部分の概略平面図を示す。
図2B図1A~1Fに示す方法において使用される第1のハードマスク及び第2のハードマスクを示すための半導体ボディの一部分の概略平面図を示す。
図3A】いくつかの実施形態の理解に役立つ背景を論述するための半導体ボディ部分の概略垂直方向断面図を示す。
図3B】いくつかの実施形態の理解に役立つ背景を論述するための半導体ボディ部分の概略垂直方向断面図を示す。
図3C】いくつかの実施形態の理解に役立つ背景を論述するための半導体ボディ部分の概略垂直方向断面図を示す。
図4A】いくつかの実施形態の効果を論述するための半導体ボディ部分の概略垂直方向断面図を示す。
図4B】いくつかの実施形態の効果を論述するための半導体ボディ部分の概略垂直方向断面図を示す。
図4C】いくつかの実施形態の効果を論述するための半導体ボディ部分の概略垂直方向断面図を示す。
図5】いくつかの実施形態の効果を論述するための電荷補償構造の処理窓を示す概略図を示す。
図6A】第1のハードマスクに対し自己整合されて形成された第2のハードマスクに関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図6B】第1のハードマスクに対し自己整合されて形成された第2のハードマスクに関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図6C】第1のハードマスクに対し自己整合されて形成された第2のハードマスクに関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図7A】第2のハードマスク内の開口の側壁に沿ったマスクスペーサの形成に関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図7B】第2のハードマスク内の開口の側壁に沿ったマスクスペーサの形成に関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図8】第2のハードマスクの除去後のエピタキシャル層の成長に関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図9A】中央領域と周囲領域との間の遷移領域に関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図9B】中央領域と周囲領域との間の遷移領域に関する一実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略垂直方向断面図を示す。
図10A】別の実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略平面図及び2つの平行な垂直方向断面図を示す。
図10B】別の実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略平面図及び2つの平行な垂直方向断面図を示す。
図10C】別の実施形態による半導体装置を製造する方法を示すための半導体ボディの一部分の概略平面図及び2つの平行な垂直方向断面図を示す。
図11】別の実施形態による縞模様状ドープ領域を有する半導体装置の概略垂直方向断面図を示す。
図12】単一注入区域から形成された最外ドープ領域を有する一実施形態による縞模様状ドープ領域を有する半導体装置の概略平面図を示す。
図13A】別の実施形態による縞模様状ドープ領域を有する半導体装置の一部分の概略平面図を示す。
図13B】別の実施形態による縞模様状ドープ領域を有する半導体装置の一部分の概略平面図を示す。
図13C】別の実施形態による縞模様状ドープ領域を有する半導体装置の一部分の概略平面図を示す。
図14】一実施形態による半導体装置の縞模様状ドープ領域内の水平方向ドーパント分布を示す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、実施形態の一部をなす添付図面であって半導体装置及び半導体装置を製造する方法が実行され得る特別な実施形態が例示として示される添付図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用され得るとともに構造的又は論理的変更がなされ得るということを理解すべきである。例えば、一実施形態の例示又は説明される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために他の実施形態において又は他の実施形態とともに使用され得る。本開示はこのような修正及び変形を含むように意図されている。これらの例は特定言語を使用して説明されるが、特定言語は添付の特許請求の範囲を制限するものと解釈されてはならない。図はスケーリングされていなく、例示目的のためだけの図である。対応要素は、別途記載のない限り、様々な図において同じ参照符号により指定される。
【0010】
用語「有する」、「含む」などは、開放型であり、述べられた構造、要素又は特徴の存在を示すが、追加要素又は特徴の存在を排除するものではない。単数形式の不定冠詞及び冠詞は文脈が明確に指示しない限り単数だけでなく複数のものも含むように意図されている。
【0011】
用語「電気的に接続された」は、電気的に接続された要素間の恒久的低抵抗接続(例えば、当該要素間の直接接触、又は金属及び/又は高ドープ半導体材料を介した低抵抗接続)を説明する。用語「電気的に接続された」は、信号及び/又は電力送信に適合化された1つ又は複数の介在要素が、電気的に接続された要素(例えば、第1の状態において低抵抗接続を与え第2の状態において高抵抗電気的減結合を一時的に与えるように制御可能な要素)間に接続され得るということを含む。
【0012】
添付図面は、ドーピングタイプ「n」又は「p」の次に「-」又は「+」を示すことにより相対的ドーピング濃度を示す。例えば、「n-」は「n」ドーピング領域のドーピング濃度より低いドーピング濃度を意味し、一方「n+」ドーピング領域は「n」ドーピング領域より高いドーピング濃度を有する。同じ相対的ドーピング濃度のドーピング領域は同じ絶対的ドーピング濃度を必ずしも有しない。例えば、2つの異なる「n」ドーピング領域が同じ又は異なる絶対的ドーピング濃度を有し得る。
【0013】
物理的寸法のために与えられる範囲は境界値を含む。例えば、パラメータa~bのyの範囲はa≦y≦bと読む。同じことは、「最大で」及び「少なくとも」のような1境界値を有する範囲に当てはまる。
【0014】
コンフォーマル(conformal)層はコンフォーマル層が形成される基部への界面に沿ってほぼ同じである厚さを有する。コンフォーマル層は、基部の端、段差又は他の要素に沿った臨界厚さ偏差を呈示し得るが、それにもかかわらず厚さ偏差の大きさがコンフォーマル層の平均厚さと比較して低ければコンフォーマル層と見做される。コンフォーマル層は、CVD(化学気相蒸着:chemical vapor deposition)、メッキ、又はALD(原子層蒸着:atomic layer deposition)などの薄膜蒸着方法により形成され得る。
【0015】
用語「の上に」は、「の上に直接に」だけを意味すると解釈されてはならない。むしろ、1つの要素が別の要素の「上に」配置されれば(例えば、層が別の層「の上に」又は基板「の上に」在れば)、別の部品(例えば別の層)が2つの要素間に在り得る(例えば、別の層は、層が前記基板「の上に」あれば層と基板との間に在り得る)。
【0016】
半導体ボディ内に形成される構造及びドープ領域に関して、第2の領域は、第2の領域と半導体ボディの前側における第1の表面との間の最小距離が第1の領域と第1の表面との間の最大距離より大きければ第1の領域「の下に」在る。第2の領域又は接合は、第1の表面内への第1及び第2の領域の垂直突出部又は第1の領域及び接合の垂直突出部が重なる第1の領域「の直下に」在る。垂直突出部は第1の表面に直交する突出部である。「水平面」は、平坦な第1の表面と平行な面又は第1の表面のコプラナー表面部と平行な面である。
【0017】
一実施形態によると、半導体装置を製造する方法は半導体ボディの第1の表面上に第1のハードマスクを形成することを含み得、ここで第1のハードマスクの第1の開口は第1の表面部を露出し、第2の開口は第2の表面部を露出する。
【0018】
半導体ボディは、ほぼ同じ形状及び寸法を有し得る2つの本質的に平行な主表面を有し得る。半導体ボディは半導体基板(例えば半導体ウェーハ)の基本的部分であり得る。半導体基板は、行及び列で並んで形成されるとともに直線切り込み路により互いに分離された複数の同一又はほぼ同一な半導体ボディを含み得る。
【0019】
半導体ボディは2つの水平方向に沿った表面延在部を有し得る。水平方向はx軸及びy軸と平行であり、x軸とy軸とは互いに直交する。半導体ボディは、水平方向に対し垂直な垂直方向に沿った厚さを有し得る。垂直方向はx軸及びy軸に直交するz軸と平行である。以下では、水平方向は横方向とも呼ばれる。前側における主表面は第1の表面と呼ばれる。半導体ボディの反対側の主表面は第2の表面と呼ばれる。
【0020】
半導体ボディは単結晶半導体から形成された半導体部分を含む。半導体は、一例としてIV族原子半導体(例えば珪素(Si)若しくはゲルマニウム(Ge))、IV族化合物半導体(例えば炭化珪素(SiC)若しくはゲルマニウム珪素(SiGe))、又は窒化ガリウム(GaN)若しくは砒化ガリウム(GaAs)などのIII-V族化合物半導体であり得る。例えば、半導体は2H-SiC、4H-SiC又は6H-SiCのような六方晶ポリタイプを有するSiCであり得る。主組成(例えば珪素(Si)及び炭素(C))に加えて、半導体はドーパント原子(例えば窒素(N)、燐(P)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)及び/又はガリウム(Ga))を含み得る。半導体はまた、水素(H)、フッ素(F)、及び/又は酸素(O)などの別の不純物を含み得る。
【0021】
半導体部分に加えて、半導体ボディは、多結晶珪素、誘電体、元素金属、金属化合物、及び/又は合金のような他の材料で形成された機能性構造を含み得る。機能性構造は、第1又は第2の表面から半導体部分内へ延在するトレンチ内に形成されてもよいし、第1の表面及び/又は第2の表面上に形成されてもよい。
【0022】
第1の導電型のドーパントは第1の開口を通じて半導体ボディ内へ選択的に注入され得る。第2の導電型のドーパントは第2の開口を通じて半導体ボディ内へ選択的に注入され得る。第1及び第2のドーパントは相補的な導電型を有する。加えて、別のドーパントが、第1のハードマスクの第1及び第2の開口両方を通じて注入され得る。
【0023】
第2のハードマスクが形成され得る。第2のハードマスクは第1の表面部及び第2の表面部を覆い得る。第2のハードマスク内の第3の開口は第1の表面の第3の表面部を露出し得る。第2のハードマスク内の第4の開口は第1の表面の第4の表面部を露出し得る。
【0024】
第2のハードマスクは第1の表面部及び第2の表面部の全表面積の少なくとも90%を覆い得る。例えば、第2のハードマスクは第1の表面部及び第2の表面部を完全に覆い得る。第2のハードマスクは第1の表面部及び第2の表面部を排他的に覆い得る。代替的に、第1の表面部及び第2の表面部上の第2のハードマスクの部分は、第1及び/又は第2の表面部に直接接する第1の表面の部分全体にわたって横方向に延在し得る。
【0025】
第1の導電型のドーパントは第3の開口を通じて半導体ボディ内へ選択的に注入され得る。第2の導電型のドーパントは第4の開口を通じて半導体ボディ内へ選択的に注入され得る。加えて、別のドーパントが第2のハードマスクの第3の開口及び第4の開口両方を通じて注入され得る。
【0026】
一例として、第1の開口の幅及び第2の開口の幅は等しくてもよいしほぼ等しくてもよく、第1及び第2の開口の幅間の差は第1及び第2の開口の幅の和の20%以下ある。第3の開口及び第4の開口の幅は等しくてもよいしほぼ等しくてもよく、第3の開口の幅と第4の開口の幅との差は第3及び第4の開口の幅の和の20%以下ある。第3及び第4の開口の平均幅は、第1及び第2の開口の平均幅から最大で50%だけ逸脱し得る。
【0027】
第1のハードマスク内の第1の開口を通じて注入された第1の導電型のドーパント及び第2のハードマスク内の第3の開口を通じて注入された第1の導電型のドーパントは組み合わされた第1の注入区域を形成し得る。注入されたドーパントの活性化は組み合わされた第1の注入区域を第1のドープ領域へ変換する。第1のハードマスク内の第2の開口を通じて注入された第2の導電型のドーパント及び第2のハードマスク内の第4の開口を通じて注入された第2の導電型のドーパントは組み合わされた第2の注入区域を形成し得る。注入されたドーパントの活性化は組み合わされた第2の注入区域を第2のドープ領域へ変換する。
【0028】
第1のハードマスク内の第1の開口の幅と第3のハードマスク内の第3の開口の幅との和が第1のドープ領域を形成するための実効マスク幅を与える。
【0029】
第3の開口の幅は第1の開口の幅に応じ、第3の開口の幅は第1の開口の幅が増加するのと同じスケールで減少し得、第3の開口の幅は第1の開口の幅が減少するのと同じスケールで増加し得る。
【0030】
第1のドープ領域を形成するための実効マスク幅は第1のマスク開口部の幅の揺らぎとは極めて無関係である。マスク開口を通じて注入されたドーパントの量はマスク開口の断面積に依存するので、そして第3のマスク開口の幅の固有変化が第1のマスク開口の幅の揺らぎを補償するので、第1及び第3の開口を通じた注入により画定される第1のドープ領域内のドーパントの量は、第1及び第2のマスク開口の幅に影響を与える処理揺らぎとは概ね無関係である。同じことは第2のドープ領域に当てはまる。
【0031】
一実施形態によると、半導体ボディは炭化珪素層を含み得る。例えば、半導体ボディは真性又は低ドープエピタキシアル炭化珪素層を含み得る炭化珪素ボディであり得る。第1及び第2のドーパントは炭化珪素ボディ内へ(例えば真性又は低ドープエピタキシアル炭化珪素層内へ)注入され得る。炭化珪素では、ドーパントイオンの拡散係数は低い。注入されたドーパントの僅かな横方向相互拡散が発生する。したがって、組み合わされた注入区域の横方向延在部を高精度に画定することが可能である。
【0032】
一実施形態によると、第1の開口、第2の開口又は第1及び第2の開口は、x軸に平行である第1の横方向に沿って長手方向に延在する縞模様をなし得る。
【0033】
第1のハードマスクはx軸に沿った長手方向に延在するマスク縞模様を含み得、各マスク縞模様は第1の開口と第2の開口とを横方向に分離し得る。第2のハードマスクは、x軸に沿った長手方向に延在するマスク縞模様を含み得、各マスク縞模様は第3の開口と第4の開口とを横方向に分離し得る。
【0034】
一実施形態によると、第1の表面部及び第2の表面部は第1の方向に直交する水平な第2の方向に沿って厳密に交互にあり得る。第2の方向はy軸に平行である。第1及び第2のドーパントを注入することで縞模様状nドープ及びpドープ領域を生じる。縞模様状nドープ及びpドープ領域は電荷補償構造のnドープ及びpドープ列部分であり得、nドープ列部分内のドーパントの量及びpドープ列部分内のドーパントの量は高精度に調整され得る。
【0035】
一実施形態によると、第1、第2、第3、及び第4の開口の最外領域を通じて注入されるドーパントの導電型は、第1、第2、第3、及び第4の開口の第2の最外領域を通じて注入されるドーパントの導電型に対して相補的である。
【0036】
例えば、縞模様状の第1、第2、第3、及び第4の開口により、最外縞模様の幅は他の縞模様の幅の約1/2であり得る。この結果、平行な縞模様状ドーパント領域を有するフィールドでは、最外ドーパント領域は他の縞模様状ドーパント領域の幅の約1/2であり得る。平行な縞模様状ドーパント領域を含む電荷補償構造では、予め定められた程度の電荷補償が電荷補償構造の端においてすら少ない追加努力で高精度に達成され得る。
【0037】
一実施形態によると、第1のハードマスクは中央マスク部及び周囲マスク部を含み得る。中央マスク部及び周囲マスク部は第1の方向(x軸)に沿って形成され得る。換言すれば、周囲マスク部は、中央マスク部のマスク開口及びマスク縞模様の水平長手方向突出部内に形成される。周囲マスク部は中央マスク部の両側に2つの副部分を含み得る。
【0038】
周囲マスク部内の第1及び第2の開口は、第2の方向に沿った中央マスク部内の第1及び第2の開口に対し横方向にシフトされ得る。
【0039】
中央マスク部内の第1のマスク開口及び周囲マスク部内の第1のマスク開口は同じ幅を有し得る。中央マスク部内の第2のマスク開口及び周囲マスク部内の第2のマスク開口は同じ幅を有し得る。
【0040】
加えて又はその代わりに、中央マスク部内の第1のマスク開口及び周囲マスク部内のマスク縞模様は同じ幅を有し得、中央マスク部内の第2のマスク開口及び周囲マスク部内のマスク縞模様は同じ幅を有し得る。例えば、x軸に沿って、周囲マスク部内の第1及び第2の開口は中央マスク部のマスク縞模様において終了し得る。中央マスク部内の第1及び第2の開口は周囲マスク部のマスク縞模様において終了し得る。
【0041】
周囲マスク部及び中央マスク部は並んで形成され得る。例えば、周囲マスク部及び中央マスク部は、周囲マスク部のマスク縞模様の前端部及び中央マスク部のマスク縞模様の前端部が同じ垂直面内で終了するように互いに並置されて形成され得る。別の例によると、周囲マスク部及び中央マスク部は、周囲マスク部のマスク縞模様が中央マスク部のマスク縞模様間で終了するように若干重なり得る。別の例によると、周囲マスク部及び中央マスク部は、周囲マスク部のマスク縞模様及び中央マスク部のマスク縞模様が接触することなく且つx軸に沿って重ならないように互いに若干離間され得る。
【0042】
一実施形態によると、第2の開口を覆う及び/又は埋めるとともに第1のハードマスク内の第1の開口を露出する第1の補助マスクが、第1の導電型のドーパントを第1の表面部内へ注入することに先立って形成され得る。第2の導電型のドーパントを第2の表面部内へ注入することに先立って、第1の開口を覆う及び/又は埋めるとともに第1のハードマスク内の第2の開口を露出する第2の補助マスクが形成され得る。第1の補助マスクは、第2の補助マスクを形成することに先立って除去され得る。第1及び第2の補助マスクは、第1のハードマスクに対し高選択性でもって除去され得る材料から形成され得る。
【0043】
第4の開口を覆う及び/又は埋めるとともに第2のハードマスク内の第3の開口を露出する第3の補助マスクが、第1の導電型のドーパントを第3の表面部内へ注入することに先立って形成され得る。第2の導電型のドーパントを第4の表面部内へ注入することに先立って、第3の開口を覆う及び/又は埋めるとともに第2のハードマスク内の第4の開口を露出する第4の補助マスクが形成され得る。第3の補助マスクは第4の補助マスクを形成することに先立って除去され得る。第3及び第4の補助マスクは、第2のハードマスクに対し高選択性でもって除去され得る材料から形成され得る。
【0044】
例えば、補助マスクはネガ又はポジフォトレジスト材料から形成され得る。
【0045】
一実施形態によると、第2のハードマスクは第1のハードマスクの第1及び第2の開口内に形成され得る。
【0046】
第2のハードマスク内の第3の開口及び第4の開口の幅は第1のハードマスクのマスク縞模様の幅に直接結び付けられ得る。第1及び第2の開口の幅の揺らぎはほぼ完全に補償され得る。
【0047】
例えば、第1のハードマスクは第1のマスク材料を含んでもよいしそれから構成されてもよく、第2のハードマスクは第2のマスク材料を含んでもよいしそれから構成されてもよく、第1のハードマスク材料及び第2のハードマスク材料は、第1のマスク材料が第2のマスク材料に対して高選択性で除去され得るように組成及び/又は内部構成が異なる。第2のハードマスクはダマシン(Damascene)処理により形成され得、第1のハードマスクの除去は第2のハードマスク材料に影響を与えない又は非常に再現可能な程度に影響を与える。代替的に、第2のハードマスクは第1のハードマスクの除去後に形成され得る。
【0048】
一実施形態によると、第1のハードマスク内の第1及び第2の開口の横幅は、第1及び第2の開口を通じてドーパントを注入することに先立って減少され得る。その代わりに又はそれに加えて、第2のハードマスク内の第3及び第4の開口の横幅は、第3及び第4の開口を通じてドーパントを注入することに先立って減少され得る。
【0049】
例えば、側壁スペーサが第1及び第2の開口の垂直方向側壁に沿って形成され得る。側壁スペーサは、第1及び第2の開口のより狭い方の幅の1/2未満の厚さを有する高度コンフォーマル層を蒸着することにより形成され得る。側壁スペーサは、第1のハードマスク内の第1及び/又は第2の開口を通じてドーパントを注入した後に除去され得る。その代わりに又はそれに加えて、側壁スペーサは第2のハードマスク内の第3及び第4の開口の垂直方向側壁に沿って形成され得る。
【0050】
側壁スペーサは、第2のハードマスクのマスク縞模様の横方向凹部を補償することを容易にし得る及び/又は注入の横方向距離を増加しそして反対にドープされた領域間の相互拡散を低減するために使用され得る。
【0051】
一実施形態によると、注入されたドーパントは活性化され得る。活性化により、第1の導電型の注入されたドーパントは第1及び第3の表面部の下の半導体ボディ内の第1のドープ領域を形成し得、第2の導電型の注入されたドーパントは第2及び第4の表面部の下の半導体ボディ内の第2のドープ領域を形成し得る。
【0052】
縞模様状nドープ及びpドープ領域は電荷補償構造のnドープ及びpドープ列部分であり得、nドープ列部分内のドーパントの量及びpドープ列部分内のドーパントの量は高精度に調整され得る。
【0053】
第1のドープ領域のうちの1つそして第2のドープ領域のうちの直接隣接する1つを通る水平線に沿って、積分ドナー密度は同線に沿った積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%又は最大で10%だけ逸脱し得る。例えば、少なくとも第1のドープ領域のうちの1つ及び第1の表面に対し所定距離における第2のドープ領域のうちの直接隣接するものを通る1つの水平線に沿って、積分アクセプタ密度は同線に沿った積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大1%だけ逸脱し得る。
【0054】
一実施形態によると、ドーパントを注入した後、エピタキシャル層が半導体ボディの第1の表面上に形成され得る。エピタキシャル層は半導体ボディの一部分を形成し得、エピタキシャル層を形成した後、エピタキシャル層の露出上面が半導体ボディの第1の表面を形成する。機能性要素のドープ領域がエピタキシャル層内に形成され得る。機能性要素は一例としてショットキーダイオード又はトランジスタセルを含み得る。
【0055】
一実施形態によると、第1のハードマスクを形成し、第1のハードマスク内の第1の開口を通して第1のドーパントを注入し、第1のハードマスク内の第2の開口を通して第2のドーパントを注入し、第2のハードマスクを形成し、第2のハードマスク内の第3の開口を通して第1のドーパントを注入し、そして第2のハードマスク内の第4の開口を通して第2のドーパントを注入する処理が繰り返され得、別のドープ領域がエピタキシャル層内に形成され得る。
【0056】
相補ハードマスクを使用してエピタキシャル層を形成し、エピタキシャル層内のドープ構造を形成する処理が数回繰り返され得る。本方法は、最大注入深さより深い垂直方向広がりを有するドープ構造の形成を、ドーパント原子が低拡散係数を有する材料においてすら容易にし得る。
【0057】
別の実施形態は、半導体装置、例えばIGBT、MOSFET、ショットキーダイオードなどの電力半導体装置又はMGD(MOSゲートダイオード)例えばSiCショットキーダイオードのSiC-MOSFETを参照する。半導体装置は、第1の導電型の縞模様状の第1のドープ領域及び相補的第2の導電型の縞模様状の第2のドープ領域を含み得る。第1及び第2のドープ領域の長手軸は水平な第1の方向に平行(すなわち、x軸に平行)に走り得る。第1のドープ領域及び第2のドープ領域は第1の方向に直交する水平な第2の方向に沿って(すなわちy軸に沿って)交互にある。第1及び第2のドープ領域の2つの最外領域間の第1及び第2のドープ領域は第1の延在幅を有する。第1及び第2のドープ領域の最外領域は第2の延在幅を有する。第2の延在幅は25%~75%の範囲内(例えば第1の延在幅の45%~55%の範囲内)であり得る。
【0058】
第1の延在幅と第2の延在幅との比は第1及び第2のドープ領域内のドーパント密度に依存し得る。例えば、第1及び第2のドープ領域の最外領域のうちの1つ及び隣接する第1又は第2のドープ領域のうちの直接隣接するものを通って第2の方向に平行な線に沿って、積分ドナー密度は積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%(例えば最大で10%)だけ逸脱し得る。
【0059】
一実施形態によると、第1のドープ領域のうちの1つ及び第2のドープ領域のうちの直接隣接する1つを通る第2の方向に平行な線に沿って、積分ドナー密度は積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%だけ逸脱し得る。
【0060】
別の実施形態は炭化珪素装置(例えばSiC IGBT、SiC MOSFET、SiCショットキーダイオード又はSiC MGDなどのSiC電力半導体装置)を参照する。炭化珪素装置は、第1の導電型の縞模様状の第1のドープ領域及び相補的第2の導電型の縞模様状の第2のドープ領域を含み得、第1及び第2のドープ領域は炭化珪素ボディ内に形成され得る。第1及び第2のドープ領域の水平方向長手軸は水平な第1の方向(x軸)に平行に走る。第1のドープ領域及び第2のドープ領域は第1の方向に直交する水平な第2の方向(y軸)に沿って交互にある。第1及び第2のドープ領域は第2の方向に沿った第1の延在幅を有する。第1のドープ領域の1つを通る第2の方向と平行な線に沿って及び/又は第2のドープ領域の1つを通る第2の方向と平行な線に沿って:a)第1の延在幅の少なくとも75%にわたって、ドーパント濃度はそれぞれのドープ領域内の平均ドーパント濃度から15%以下だけ逸脱する、b)最大ドーパント濃度はドープ領域内の平均ドーパント濃度から20%以下だけ逸脱する、c)最大ドーパント濃度の位置はドープ領域の横方向中心から第1の延在幅の10%以下だけ逸脱する。
【0061】
図1A~1Fは縞模様状ドープ領域を有する半導体装置を製造する方法を示す。図示された製造プロセスはウェーハレベルにおいて適用され得る。ウェーハレベルでは、半導体基板(例えば半導体ウェーハ)は行及び列で配置された複数のチップ領域を含む。ダイシング路(切り込み線)が隣接チップ領域を互いに分離する。各チップ領域は、ダイシング路に沿ったダイシング処理が他の半導体ボディから後で分離する半導体ボディ100を表す。
【0062】
半導体ボディ100は前側に第1の表面101と前側に対向する第2の表面とを有する。第1の表面101は半導体基板の前側表面の部分である。第2の表面は半導体基板の後側表面の部分である。第1の表面101及び第2の表面は互いに平行に延在し得、第1の表面101は平坦であってもよいし裂けていてもよい。裂けた第1の表面101の場合、裂けた主表面101全体にわたる平均平面が、簡単のために以下では第1の表面101と見做される。
【0063】
半導体ボディ100は、x軸とx軸に対し直交するy軸とに沿った水平方向の主延在平面に沿って延在する。水平方向は以下では横方向とも呼ばれる。z軸に沿ったそして水平方向に対し垂直な垂直方向において、半導体ボディ100は、主延在平面に沿った半導体ボディ100の延在部に比較し薄い厚さを有する。第1の表面101と第2の表面との間の半導体ボディ100の全厚は、製造された炭化珪素装置の定格遮断能力に関係付けられており、数百nm~数百μmの範囲内であり得る。
【0064】
垂直方向は、半導体ボディ100の主格子方向に一致してもよいし、主格子方向に対し軸外角度だけ傾斜されてもよく、軸外角度は絶対値で2°~8°の範囲内であり得る。例えば、軸外角度は約4°であり得る。
【0065】
半導体ボディ100又は第1の表面101に直接隣接する半導体ボディ100の少なくとも一部分は、低nドープされ得る又は低pドープされ得る又はほぼ真性濃度であり得る。例えば、半導体ボディ100は、より高いドープ基板部分と、基板部分上に形成されるより低ドープされたエピタキシャル層とを含み得る。第1のマスク材料は、第1のハードマスク410を形成するために第1の表面101上に蒸着され、そしてフォトリソグラフィ処理でパターン化される。
【0066】
図1Aは第1の表面101上の第1のハードマスク410を示す。第1のハードマスク410は、1つの材料の均質な構造であってもよいし、異なる材料の2つ以上の副層を含んでもよい。第1のハードマスク410は、酸化珪素、酸窒化珪素、窒化珪素、非晶質炭素、非晶質珪素、多結晶珪素、ダイヤモンド状炭素、及び/又は金属酸化物を含み得る。
【0067】
第1のハードマスク410内の縞模様状の第1の開口411は縞模様状の第1の表面部601を露出し、縞模様状の第2の開口412は第1の表面101の縞模様状の第2の表面部602を露出する。第1の開口411及び第2の開口412の長手軸はx軸に沿って延在する。第1の開口411及び第2の開口412はy軸に沿って交互にある。第1及び第2の開口411、412はy軸沿って同じ幅を有し得る。
【0068】
第1の補助マスク材料は、第1の補助マスク430を形成するために蒸着されフォトリソグラフィ処理でパターン化される。ドナーイオンが、第1の補助マスク430により露出された第1のハードマスク410内の開口を通して注入される。
【0069】
図1Bによると、第1の補助マスク430は図1Aに示す第1のハードマスク410内の第2の開口412を埋め、そして第2の表面部602を覆う。第1の補助マスク430内の開口は第1のハードマスク410内の第1の開口411及び第1の表面部601を露出する。第1の補助マスク430はポジフォトレジスト材料又はネガフォトレジスト材料から構成されてもよいしこれらを含んでもよい。第1の表面部601直下の第1の注入区域171は第1の表面部601を通して注入されたドナーイオンを含む。
【0070】
半導体ボディ100の半導体材料がSiCである場合、第1の注入区域171内の垂直方向ドーパント分布は極めて一様(「箱状」)であり得る。例えば、ドーパントイオンのエネルギー分布は、半導体ボディに入る前にドーパントイオンをエネルギーフィルタに通過させることにより分散され得、注入角度は様々な注入経路について変更され得る及び/又は加速エネルギーは様々な注入経路について変更され得る。
【0071】
第1の補助マスク430は除去される。第2の補助マスク材料は、第2の補助マスク440を形成するためにフォトリソグラフィ処理で蒸着されパターン化される。アクセプタイオンが、第2の補助マスク440により露出された第1のハードマスク410内の開口を通して注入される。
【0072】
図1Cに示すように、第2の補助マスク440は、図1Bに示す第1のハードマスク410内の第1の開口411を埋めそして第1の表面部601を覆う。第2の補助マスク440内の開口は第1のハードマスク410内の第2の開口412及び第2の表面部602を露出する。第2の補助マスク440はポジフォトレジスト材料又はネガフォトレジスト材料で構成され得る又はそれを含み得る。第2の表面部602直下の第2の注入区域181は、第2の表面部602を通して注入されたアクセプタイオンを含む。第2の注入区域181内の垂直方向ドーパント分布は箱状であり得る。
【0073】
第1のハードマスク410を置換する第2のハードマスク420が形成される。第2のハードマスク420は第1のハードマスク410に対し少なくともほぼ相補的である。換言すれば、第2のハードマスク420及び第1のハードマスク410は反転マスクである。第2のハードマスク420のマスク縞模様は、第1のハードマスク410内の第1及び第2の開口411、412の位置にだけ形成される、又はこの位置に少なくとも主に形成される。第2のハードマスク420内の第3及び第4の開口421、422は第1のハードマスク410のマスク縞模様の位置にだけ形成される、又はこの位置に少なくとも主に形成される。第1のハードマスク410及び第2のハードマスク420の実質的組み合わせが隣接層を形成し得る。
【0074】
図1Dに示す実施形態では、第2のハードマスク420は図1Aに示す第1の表面部及び第2の表面部601、602を完全に覆う。第2のハードマスク420内の第1の開口421は第1の表面101の第3の表面部603を露出し、第2の開口422は第4の表面部604を露出する。第1の開口421及び第2の開口422はy軸に沿って交互にある。第3及び第4の開口421、422はy軸沿って同じ幅を有し得る。
【0075】
第2のハードマスク420は1つの材料の均質構造であってもよいし異なる材料の2つ以上の副層を含んでもよい。第2のハードマスク420は、一例として酸化珪素、酸窒化珪素、窒化珪素、非晶質炭素、非晶質珪素、多結晶珪素、ダイヤモンド状炭素、及び/又は金属酸化物を含み得る。
【0076】
第1のハードマスク410及び第2のハードマスク420は組成が異なり得る、例えば著しく異なるエッチング特性を有する様々な材料から形成され得る。例えば、第1のハードマスク410及び第2のハードマスクの一方は酸化珪素を含み得る又はそれから構成され得る。第1のハードマスク410及び第2のハードマスク420の他方は、多結晶珪素又は窒化珪素(例えばSi)を含み得る又はそれから構成され得る。
【0077】
第3の補助マスク材料が、第3の補助マスク450を形成するためにフォトリソグラフィ処理で蒸着されパターン化される。ドナーイオンが、第3の補助マスク450内の開口により露出された第2のハードマスク420内の開口を通して注入される。
【0078】
図1Eに示すように、第3の補助マスク450は、図1Dに示す第2のハードマスク410内の第4の開口422を埋めそして第4の表面部604を覆う。第3の補助マスク450内の開口は第2のハードマスク420内の第3の開口421及び第3の表面部603を露出する。第3の補助マスク450はポジフォトレジスト材料又はネガフォトレジスト材料で構成され得る又はそれを含み得る。第3の表面部603直下の別の第1の注入区域172は、第3の表面部603を通して注入されたドナーイオンを含む。別の第1の注入区域172及び第1の注入区域171内の垂直方向ドーパント分布は等しくてもよい又は少なくともほぼ等しくてもよい。
【0079】
示された実施形態では、第1の注入区域171及び別の第1の注入区域172は互いに直接接触している。他の実施形態(不図示)によると、第1の注入区域171及び別の第1の注入区域172は互いに若干分離されてもよいし互いに若干重なってもよい。
【0080】
さらに、示された実施形態では、別の注入区域172及び第2の注入区域181は互いに直接接触している。他の実施形態(不図示)によると、別の第1の注入区域172及び第2の注入区域181は互いに若干分離されてもよいし互いに若干重なってもよい。
【0081】
第3の補助マスク450は除去される。第4の補助マスク材料が、第4の補助マスク460を形成するためにフォトリソグラフィ処理で蒸着されパターン化される。アクセプタイオンが、第4の補助マスク460内の開口により露出された第2のハードマスク420内の開口を通して注入される。熱処理が、注入されたドナー及びアクセプタイオンを活性化し得る。
【0082】
図1Fに示すように、第4の補助マスク460は図1Eに示す第2のハードマスク420内の第3の開口421を埋めそして第3の表面部603を覆う。第4の補助マスク460内の開口は第2のハードマスク420内の第4の開口422及び第4の表面部604を露出する。第4の補助マスク460はポジフォトレジスト材料又はネガフォトレジスト材料で構成され得る又はそれを含み得る。第4の表面部604直下の別の第2の注入区域182は、第4の表面部604を通して注入されたアクセプタイオンを含む。別の第2の注入区域182及び第2の注入区域181内の垂直方向ドーパント分布は等しくてよい又は少なくともほぼ等しくてよい。
【0083】
示された実施形態では、第2の注入区域181及び別の第2の注入区域182は互いに直接隣接する。他の実施形態(不図示)によると、第2の注入区域181及び別の第2の注入区域182は互いに若干分離されてもよいし互いに若干重なってもよい。
【0084】
さらに、示された実施形態では、別の第2の注入区域182及び第1の注入区域171は互いに直接隣接する。他の実施形態(不図示)によると、別の第2の注入区域182及び第1の注入区域171は互いに若干分離されてもよいし互いに若干重なってもよい。
【0085】
ドーパントの活性化は、第1の注入区域171及び別の第1の注入区域172を含む第1のドープ領域170を形成し、そして第2の注入区域181及び別の第2の注入区域182を含む第2のドープ領域180を形成する。
【0086】
図2Aは第1のハードマスク410の平面図を示す。第1のハードマスク410は第1のマスク縞模様413及び第2のマスク縞模様414を含む。第1及び第2のマスク縞模様413、414は、x軸に平行な長手方向延在部を有し、そして均一な中心間距離p1でy軸に沿って厳密に交互にある。第1及び第2のマスク縞模様413、414間に、第1のハードマスク410は縞模様状の第1の開口411及び縞模様状の第2の開口412を含む。第1及び第2の開口411、412は、x軸に平行な長手方向延在部を有し、そして中心間距離p1でy軸に沿って厳密に交互にある。第1の開口411は縞模様状の第1の表面部601を露出する。第2の開口412は縞模様状の第2の表面部602を露出する。
【0087】
第1のマスク縞模様413は第1のマスク縞模様幅w13を有する。第2のマスク縞模様414は第2のマスク縞模様幅w14を有する。第1及び第2のマスク縞模様幅w13、w14は等しくてもよい。第1の開口411は第1の開口幅w11を有する。第2の開口412は第2の開口幅w12を有する。第1及び第2の開く幅w11、w12は等しくてもよい。
【0088】
図2Bは第2のハードマスク420の平面図を示す。第2のハードマスク420は第3のマスク縞模様423及び第4のマスク縞模様424を含む。第3及び第4のマスク縞模様423、424は、x軸に平行な長手方向延在部を有し、そして中心間距離p1でy軸に沿って厳密に交互にある。
【0089】
第2のハードマスク420は縞模様状の第3の開口421及び縞模様状の第4の開口422を含む。第3及び第4の開口421、422は、x軸に平行な長手方向延在部を有し、そして中心間距離p1でy軸に沿って厳密に交互にある第3の開口421は縞模様状の第3の表面部603を露出する。第4の開口422は縞模様状の第4の表面部604を露出する。
【0090】
第3のマスク縞模様423は第3のマスク縞模様幅w23を有する。第4のマスク縞模様424は第4のマスク縞模様幅w24を有する。第3及び第4のマスク縞模様幅w23、w24は等しくてもよい。第3の開口421は第3の開口幅w21を有する。第4の開口422は第2の開口幅w22を有する。第3及び第4の開く幅w21、w22は等しくてもよい。
【0091】
図2Aに示す第1のマスク縞模様幅w13は図2Bに示す第3の開口幅w21の少なくとも80%、例えば少なくとも90%である。図2Aに示す第2のマスク縞模様幅w14は図2Bに示す第4の開口幅w22の少なくとも80%、例えば少なくとも90%である。図2Bに示す第3のマスク縞模様幅w23は図2Aに示す第1の開口幅w11の少なくとも80%、例えば少なくとも90%である。図2Bに示す第4のマスク縞模様幅w24は図2Aに示す第2の開口幅w12の少なくとも80%、例えば少なくとも90%である。
【0092】
図3A図3Cは、補償構造のnドープ領域及びpドープ領域の横方向延在部を画定するための2つの相補的比較ハードマスク480、490を使用した比較例を参照する。簡単のために、nドープ領域170の標的幅a1及びpドープ領域の標的幅a2は等しい。
【0093】
図3Aでは、第1の比較ハードマスク480のマスク開口の実際の幅x1は標的幅a1に等しく、第1の比較ハードマスク480のマスク縞模様の実際の幅x2は標的幅a2に等しい。第2の比較ハードマスクが第1の比較ハードマスク480に対して相補的であると仮定すると、補償構造のnドープ領域及びpドープ領域は同じ幅を有する。補償の程度はアクセプタとドナーとの注入ドーズ量の比だけに依存する。
【0094】
図3Bでは、第1の比較ハードマスク480のマスク開口の実際の幅x1は標的幅a1より大きく、第1の比較ハードマスク480のマスク縞模様の実際の幅x2は標的幅a2より小さい。
【0095】
図3Cは、図3Bの第1の比較ハードマスク480に対し相補的である第2の比較ハードマスク490を示す。アクセプタ及びドナーイオンの注入後、図3Bに示す第1の比較マスク480内の開口を通してのイオン注入から生じるnドープ領域170は、第2の比較マスク490内の開口を通してのイオン注入から生じるpドープ領域180より広い。同じ導電型のドープ領域間の中心間距離p2は第1及び第2の比較マスク480、490内の隣接マスク縞模様間の第1の中心間距離p1に等しい。
【0096】
補償の程度は、注入ドーズ量の比及び第1の比較マスク480内の開口の実際の幅x1と標的幅a1との間の偏差の両方に依存する。加えて、各ドープ領域内の絶対ドーピング(すなわち、ドープ領域当たりのドーパントの総数)はマスク偏差に依存する。
【0097】
図4A図4Cは、図1A図1Fを参照して説明した4つの補助マスクと組み合わせた2つの相補的ハードマスクを使用する効果を示す。再び、nドープ領域170の標的幅a1及びpドープ領域の標的幅a2は簡単のために等しいと仮定する。
【0098】
図4Aでは、第1のハードマスク410のマスク開口の実際の幅x1は標的幅a1に等しく、第1のハードマスク410のマスク縞模様の実際の幅x2は標的幅a2に等しい。異なる導電型の第1及び第2の注入区域171、181はy軸に沿って交互にある。第2のハードマスクが第1のハードマスク410に対し相補的であると仮定すると、補償構造のすべてのドープ領域は同じ幅を有する。
【0099】
図4Bでは、第1のハードマスク410のマスク開口の実際の幅x1は標的幅a1より大きく、第1のハードマスク410のマスク縞模様の実際の幅x2は標的幅a2より小さい。
【0100】
図4C図4Bの第1のハードマスク410に対し相補的である第2のハードマスク420を示す。隣接マスク縞模様間の中心間距離p1は図4Bの第1のハードマスク410及び図4Cの第2のハードマスク420について同じである。第2のハードマスク420内の開口は、第1のハードマスク410内の開口が標的幅a1より広いのと同じ量だけ標的幅a1より狭い。nドープ領域170は、図4Bの第1のハードマスク410内の開口を通る第1の注入からそして図4Cの第2のハードマスク420内の開口を通る第2の注入から生じるので、そして両方のハードマスク内の開口の幅偏差は互いに相殺するので、nドープ領域及びpドープ領域の両方領域の全幅はマスク偏差に依存しない又は低度にだけ依存する。同じ導電型のドープ領域間の中心間距離p2は第1及び第2のハードマスク410、420内の隣接マスク縞模様間の第1の中心間距離p1の2倍である。nドープ領域170の幅及びpドープ領域180の幅は第1及び第2のハードマスク410、420のマスク縞模様間の中心間距離p1に等しい。
【0101】
具体的には、半導体基板全体にわたる開口の幅の偏差はドープ領域内のドーパント原子の量に影響を与えない又はほぼ与えない。
【0102】
補償の程度はウェル制御可能注入ドーズ量の比だけに依存する。加えて、マスク偏差はドープ領域内の絶対ドーピング(ドープ領域当たりのドーパントの数)に影響を与えない又はほぼ与えない。
【0103】
図5に示す線図は、公称電圧降伏能力VBRを有する半導体装置の補償放物線700、701、702を示す。補償放物線700は、所定定格絶対ドーピングを参照しており、そして公称電圧降伏能力VBRを保証するためにp負荷誤差の許容偏差が±3.6%であるように選択されている。補償放物線701、702は所定定格絶対ドーピングの101%及び102%の絶対ドーピングを参照する。絶対ドーピングの増加とともに、補償放物線は下方へシフトし、p負荷の許容公差窓は小さくなる。より高い定格絶対ドーピングはより低いオン抵抗を生じる。しかし、p負荷の十分に広い公差窓を保証するために、所定定格絶対ドーピングは十分に低くなければならない。
【0104】
図1A~1Fを参照して説明した処理は、絶対ドーピング及びp負荷の処理窓への主な寄与をなくす。処理窓は歩留りの損出無しに著しく低減され得る。特に、同じ歩留りについて、絶対ドーピングは、図3A~3Cを参照して説明した比較処理によるよりも高く選択され得、したがってより低いオン抵抗が実現され得る。
【0105】
図6A~6Cは第2のハードマスク420の自己整合された形成を示す。第1のハードマスク410は、図1A~1Cを参照して説明したように、第1の注入区域171及び第2の注入区域181を画定するために使用される。第1のハードマスク410は第1のマスク材料から形成される。第2のマスク材料429が蒸着される。
【0106】
図6Aは、第1のハードマスク410を覆うとともに第1のハードマスク410内の開口を埋める第2のマスク材料429を示す。第1のハードマスク410の開口の外側に蒸着された第2のマスク材料429の部分は除去される。第1のハードマスク410の上からの第2のマスク材料429の除去は、化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)、湿式エッチング及び/又はドライエッチング(例えばプラズマ法)を含み得る。
【0107】
図6Bは、図6Aの第1のハードマスク410のマスク縞模様411、412間の図6Aの第2のマスク材料429の残留部分を含む第2のハードマスク420を示す。第1のハードマスク410の上からの第2のマスク材料429の除去により、第1のハードマスク410のマスク縞模様の上面を露出する。次に、第2のマスク材料に対し高選択性を有する第1のハードマスク410を形成する第1のマスク材料が除去される。例えば、高選択性湿式エッチ処理が第1のマスク材料を選択的に除去し得る。
【0108】
図6Cは第1のハードマスク410の除去後の第2のハードマスク420を示す。第2のハードマスク420のマスク縞模様は、第1の注入区域171及び第2の注入区域181の真上の表面部上に選択的に形成される。処理は図1Eを参照して説明したように進み得る。
【0109】
図7A~7Bは、一方では第1のハードマスク410により画定された第1及び第2の注入区域171、181間の横方向距離を他方では第2のハードマスク420により画定された別の第1及び第2の注入区域172、182間の横方向距離を増加する側壁スペーサ426の形成及び結果を示す。
【0110】
図1D及び/又は図6Cを参照して説明したように第2のハードマスク420を形成した後に、そして第2のハードマスク420内の開口を通ってドーパントを注入することに先立って、第2のハードマスク420並びに第2のハードマスク420内の第3の表面部603、第4の表面部604及び開口の側壁を覆う高度コンフォーマルマスク層が蒸着される。異方性エッチ処理がコンフォーマールマスクライナーの水平部分を選択的に除去する。
【0111】
図7Aは、第2のハードマスク420内の開口を裏打ちするコンフォーマールマスクライナー形式側壁スペーサ426の残留物を示す。側壁スペーサ426は、図1E、1Fを参照して説明した第3及び第4の補助マスクが高選択度で除去され得る材料を含む又はそれから構成される。側壁スペーサ426及び第2のハードマスク420は、異なる材料で提供されてもよいし、等しい又は同様な組成の材料を含んでもよい。ドーパントイオンは、図1E、1Fを参照して説明した裏打ちされたマスク開口を通して注入され得る。
【0112】
図7Bに示すように、コンフォーマールマスクライナーの厚さが、一方では第1及び第2の注入区域171、181間の横方向距離を他方では別の第1及び第2の注入区域172、182間の横方向距離を決定する。相互拡散による隣接区域間の横方向重なり及び/又は注入されたドーパントイオンの横方向不均一性(例えば「ダックテール効果」の結果としての)が低減され得る。
【0113】
図8は、図1A~1Fに関して説明した方法により形成され得る第1のドープ領域170及び第2のドープ領域180を含む補償構造を示す。エピタキシャル層190が図1Fの半導体ボディ100の前側に形成される。エピタキシャル層190の露出上面191が半導体ボディ100の前側に新しい第1の表面101を形成する。エピタキシャル層190では、トランジスタセルのドープ領域が形成され得る。代替的に、図1A~1Fを参照して説明した処理が、繰り返され得、エピタキシャル層190内の両導電型の追加注入区域を形成する。エピタキシャル層内の以前に形成された注入区域及び追加注入区域が垂直方向に積み重ねられ得る。エピタキシャル層を形成するとともに両導電型の追加注入区域を形成する一連の処理が、所定全垂直方向広がりを有する補償構造を形成するために数回繰り返され得る。
【0114】
図9A~9Bは半導体ボディ100の中央領域680と周囲領域699との間の遷移領域691を参照する。中央領域680では、反対にドープされた領域の規則的パターンが形成される。周囲領域699は、中央領域680を囲んでおり、半導体ボディ100の横方向外側表面に沿って延在し得る。遷移領域691及び周囲領域699はy軸に沿って中央領域680及び横方向外側表面を分離する終端領域690を形成する。遷移領域691はy軸沿って中央領域680と周囲領域699とを分離する。
【0115】
中央領域680では、活性電気的接触が半導体ボディ100の前側と後側との両方に形成され、半導体装置のオン状態又は順方向モードでは、負荷電流又は順方向電流が活性電気的接触を貫流する。終端領域690では、活性電気的接触は少なくとも前側に又は後側に無い。
【0116】
図1A~1Fを参照して説明した処理では、2つのハードマスクのパターンが中央領域680及び終端領域690全体にわたってy軸に沿って延在し得る。補助マスク430、440、450、460のそれぞれは周囲領域699内のハードマスク開口を完全に覆う及び/又は埋めるために形成される。中央領域680に対し配向された補助マスク430、440、450、460の内側端は、第1、第2、第3、及び第4の開口411、412、421、422の最外開口を通して注入されるドーパントの導電型が第1、第2、第3、及び第4の開口411、412、421、422の第2の最外開口を通して注入されるドーパントの導電型と相補的であるように調整される。
【0117】
図9Bによると、遷移領域691は、図9Aに示す2つの注入区域171、172から生じる第2の最外(n)ドープ領域170の外方向き半分を含み、そして図9Aに示す単一注入区域181から生じる1つの(p)最外ドープ領域189を含む。遷移領域691内のドープ領域は互いに完全に補償し得る又は所定程度補償し得る。電荷補償は、補助マスクの端をそれに応じて単純に調整することにより追加の処理工程無しに電荷補償構造の端において保証され得る。
【0118】
図10A~10Cはx軸沿って中央領域680に隣接する終端領域690の一部分の形成を参照する。
【0119】
図10Aでは、図示された第1のハードマスク410は点により指示されるマスク縞模様を含む。第1のハードマスク410は中央マスク部415及び周囲マスク部416を含む。中央マスク部415及び周囲マスク部416はx軸に沿って配置される。周囲マスク部416は中央マスク部415の両側に2つの副部分を含み得、各副部分は中央マスク部415と横方向外側表面103との間に設けられる。中央マスク部415は中央領域680内に形成される。x軸に沿って、中央マスク部415は終端領域690内へ延在し得る。
【0120】
中央マスク部415及び周囲マスク部416のマスク縞模様は、周囲マスク部416のマスク縞模様が、x軸に沿った中央マスク部415内の第1及び第2の開口411、412を終端するようにそして中央マスク部415のマスク縞模様が周囲マスク部416内の第1及び第2の開口411、412を終端するように、横方向中心間距離の1/2だけ互いに横方向にシフトされる。
【0121】
図10Aはさらに、薄い斜めハッチング線により指示される第1の補助マスク430を示す。第1の補助マスク430は、周囲マスク部416を完全に覆い、そしてy軸に沿って中央領域680と横方向外側表面103とを分離する終端領域690の一部分を完全に覆う。中央マスク部415の残り部分では、第1の補助マスク430は第2のマスク開口412を覆う及び/又は埋める。第1の補助マスク430内の開口435は第1のマスク開口411を露出する。
【0122】
図10Bは第1のハードマスク410のマスク縞模様に沿った長手方向垂直断面を示す。第1の補助マスク430は、マスク縞模様の垂直端面を覆っており、マスク縞模様にある程度重なり得る。
【0123】
図10Cは第1のハードマスク410の第1の開口411に沿った長手方向垂直断面を示す。第1の補助マスク430はネガフォトレジスト材料から形成され得る。露光及び妥当な場合硬化が、上面から始まるネガフォトレジスト材料の露出部分を硬くする(例えば、重合化する)。
【0124】
図1A~1F、2A~2B、4A~4C、6A~6C、7A~7B、8、9A~9B、10A~10Cは半導体装置を製造する方法の例示的実施形態を示す。半導体装置は、特に図11、12、13A~13B、14を参照して説明される実施形態に関連して本明細書において説明されるような半導体装置であり得る。逆もまた同様で、以下の図で説明される半導体装置は図1A~1F、2A~2B、4A~4C、6A~6C、7A~7B、8、9A~9B、10A~10Cの実施形態に関連して説明される方法により製造され得る。
【0125】
図11は前側に第1の表面101及び前側に対向する第2の表面102を有する半導体ボディ100を含む半導体装置500を参照する。第1及び第2の表面101、102は互いにほぼ平行であり、ほぼ同じ形状及び寸法を有し得る。横方向外側表面103は第1の表面101の端と第2の表面102の端とを接続する。
【0126】
半導体ボディ100の中央領域680は機能性トランジスタセルTCを含む。図示の実施形態は、第1の表面101の上に形成されたプレーナゲート電極155及び半導体ボディ100とゲート電極155との間に形成されたゲート誘電体159を有するトランジスタセルTCを示す。pドープウェル120は第1の表面101から半導体ボディ100内へ延在する。Nドープソース領域110は第1の表面101からpドープウェル120内へ延在する。半導体ボディ100はさらに、隣接pドープウェル120間の第1の表面101に隣接するnドープドレイン領域131を含む。ゲート誘電体159はゲート電極155を2つの隣接pドープウェル120の1つのチャネル部分125又は2つのチャネル部分125から分離する。層間誘電体200が、第1の表面101の一部分上とゲート電極155上とに形成される。第1の負荷電極310が層間誘電体200上に形成される。第1のコンタクト構造315が、層間誘電体200内の第1の負荷電極310から開口を通って半導体ボディ100内へ延在し、そしてソース領域110とpドープウェル120との両方を有する低抵抗オーミックコンタクトを形成する。
【0127】
ドレイン領域131は、第2の表面102に沿って形成された高ドープコンタクト部分139をさらに含むドレイン/ドリフト構造130の一部を形成する。導電材料から形成された第2の負荷電極320が半導体ボディ100の第2の表面102と直接接触する。コンタクト部分139及び第2の負荷電極320は低抵抗オーミックコンタクトを形成する。
【0128】
ドレイン/ドリフト構造130はさらに、第1のドープ領域170及び第2のドープ領域180を含む電荷補償構造を含む。各第1のドープ領域170はドレイン領域131の1つと直接接触する。各第2のドープ領域180はpドープウェル120の1つに接している。電荷補償構造は、pドープウェル120とコンタクト部分139との間に元々低nドープされたドリフト層131内に形成され得る。第1及び第2のドープ領域170、180は長手軸がx軸に対し平行に走る縞模様状であり得る。第1のドープ領域170及び第2のドープ領域180はy軸に沿って交互にある。第1のドープ領域170の1つを通るとともに第2のドープ領域180のうちの直接隣接ドープ領域を通るy軸に平行な線に沿って、積分ドナー密度は積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%だけ逸脱する。
【0129】
終端領域690は中央領域680を囲む。y軸に沿って、中央領域680は、横方向外側表面103に沿った周囲領域699と、中央領域680と周囲領域699との間の遷移領域とを含む。
【0130】
遷移領域691は、ソース領域110の無い最外pドープウェル129を含み得る。遷移領域691は、最外pドープウェル129に接触する完全な第2のドープ領域180を含み得る。遷移領域191はさらに、中央領域680内の第1のドープ領域170の幅の約50%である幅を有するドープ領域179を含む。
【0131】
周囲領域699は端構造を含み得る。端構造は、第2の負荷電極320の電位を前側でアクセス可能にする。端構造は、横方向外側端103に沿って第1の負荷電極310から横方向に分離されて延在し得る前側第2の負荷コンタクト328を含み得る。nドープウェル163は、第1の表面101から半導体ボディ100内へ前側第2の負荷コンタクト328下で延在する。nドープ列164がnドープウェル163からドリフト層131内へ延在し得る。nドープ列164及びnドープ領域170は、同じ垂直方向広がり及び同じ垂直方向ドーパント分布を有し得る。第2のコンタクト構造325は、前側第2の負荷コンタクト328から層間誘電体200内の開口を通ってnドープウェル163へ延在し得る。第2の負荷コンタクト構造325及びnドープウェル163は低抵抗オーミックコンタクトを形成し得る。
【0132】
pドープ接合延在部161は第1の表面101に沿って最外pドープウェル120から外方へ延在し得る。nドープ接合延在部162は第1の表面101に沿ってnドープウェル163から内方へ延在し得る。低ドープ又は真性領域165が、最外ドープ領域179と最内nドープ列164との間及び隣接nドープ列164間に横方向に形成され得る。
【0133】
すべてのドープ領域は第1及び第2の負荷電極310、320の1つへ接続される。半導体装置500が遮断モードへ切り替わると、電荷キャリアは矢印911、912、913、914により指示される経路に沿って半導体ボディ100から完全に排出され得る。所謂「真性終端」は、電荷補償構造の端を補償する最外ドープ領域179電荷と結合され得る。
【0134】
図12は長手軸がx軸に対し平行に走る縞模様状の第1及び第2のドープ領域170、180を示す。第1のドープ領域170と第2のドープ領域180はy軸に沿って交互にある。第1のドープ領域170の1つを通るとともに第2のドープ領域180のうちの1つの直接隣接ドープ領域を通るy軸に平行な線に沿って、積分ドナー密度は、積分ドナー密度と積分アクセプタ密度との和の1/2から最大で20%だけ逸脱する。
【0135】
2つの最外領域189間の第1及び第2のドープ領域170、180は第1の延在幅we1を有する。y軸に沿った第1及び第2のドープ領域170、180の2つの最外領域189は第2の延在幅we2を有する。第2の延在幅we2は第1の延在幅we1の25%~75%の範囲内(例えば約45%~55%)である。
【0136】
図13Aでは、第1及び第2のドープ領域170、180並びに最外第2のドープ領域189を含む電荷補償構造が中央領域680と終端領域690との界面においてx軸に沿って終了する。
【0137】
図13Bは、終端領域690の副部分内へx軸に沿って延在する第1及び第2のドープ領域170、180並びに最外ドープ領域189を示す。
【0138】
図13Cでは、第1及び第2のドープ領域170、180は、終端領域690を貫通し、そして横方向外側表面103において終了する。
【0139】
図14では、線711は、前図のうちの任意の図に示す2つの第1のドープ領域170及び2つの第2のドープ領域180を通るy軸に平行な線に沿ったドナー密度NDを示し、そして線712はアクセプタ密度NAを示す。ドープ領域170、180のそれぞれは第1の延在幅we1を有する。y軸に平行な線に沿って、そして第1の延在幅we1の少なくとも75%(例えば少なくと80%)にわたって、各ドープ領域170、180内のドーパント濃度は同線に沿ったドープ領域内の平均ドーパント濃度から15%以下(例えば10%以下)だけ逸脱する。同線に沿って、最大ドーパント濃度は同線に沿った同ドープ領域170、180内の平均ドーパント濃度から20%以下だけ逸脱する。ドープ領域170、180内で、最大ドーパント濃度の位置は当該ドープ領域170、180の横方向中心から第1の延在幅we1の10%以下だけ逸脱する。
【0140】
図示された実施形態はnドープソース領域及びpドープボディ領域を有するnチャネルトランジスタセルを有する半導体装置を参照する。したがって、ソース領域の導電型すなわち第1の導電型はn型であり、ボディ領域の導電型すなわち第2の導電型はp型である。nチャネルトランジスタセルに関する本開示は、ソース及びボディ領域の導電型を反転することにより、必要な変更を加えpチャネルトランジスタセルへ適用し得る。
【0141】
図示の例は主として、ドーパントイオンの拡散係数が比較的小さい半導体材料(例えばSiC)の半導体装置を参照する。結果として、ドーパントの注入が停止する対の注入区域と、活性化された注入ドーパントイオンにより形成されるドープ領域とがほぼ同じ寸法を有するように示される。他の例は、ドープ領域が対応対の注入区域より大きな垂直方向及び/又は水平方向延在部を有する他の半導体材料(例えばSi)に基づく半導体装置を参照し得る。
【0142】
説明は、一例として縞模様状ドープ領域のアプリケーションの電荷補償構造に焦点を当てたが、本実施形態はまた、例えばフォトダイオード及び光電池などの光受信装置の分野における相補的にドープされた縞模様状ドープ領域の他のアプリケーションを含み得る。別のアプリケーションはpn接合の直列配置を含み得る。
【0143】
説明は一例として垂直方向側壁を有するマスク開口に焦点を当てたが、本実施形態はまた、側壁がz軸に対し傾斜されるマスク開口を含み得る。z軸と注入ビーム軸との間の注入角度は、チャネリングを避けるように選択され得る及び/又は高い垂直方向広がりを有する注入区域を取得するためのチャネリングを使用するように選択され得る。
【符号の説明】
【0144】
100 半導体ボディ
101 第1の表面
102 第2の表面
103 横方向外側表面
110 Nドープソース領域
120 最外pドープウェル
125 チャネル部分
129 最外pドープウェル
130 ドレイン/ドリフト構造
131 ドリフト層
139 コンタクト部分
155 ゲート電極
159 ゲート誘電体
161 pドープ接合延在部
162 nドープ接合延在部
163 nドープウェル
164 隣接nドープ列
165 真性領域
170 nドープ領域
171 第1の注入区域
172 第2の注入区域
179 最外ドープ領域
180 pドープ領域
181 第2の注入区域
182 第2の注入区域
189 最外ドープ領域
190 エピタキシャル層
191 遷移領域
200 層間誘電体
310 第1の負荷電極
315 第1のコンタクト構造
320 第2の負荷電極
325 第2の負荷コンタクト構造
328 前側第2の負荷コンタクト
410 第1のハードマスク
411 第1の開口
412 第2の開口
413 第1のマスク縞模様
414 第2のマスク縞模様
415 中央マスク部
416 周囲マスク部
420 第2のハードマスク
421 第3の開口
422 第4の開口
423 第3のマスク縞模様
424 第4のマスク縞模様
426 側壁スペーサ
429 第2のマスク材料
430 第1の補助マスク
435 開口
440 第2の補助マスク
450 第3の補助マスク
460 第4の補助マスク
480 第1の比較ハードマスク
490 第2の比較ハードマスク
500 半導体装置
601 第1の表面部
602 第2の表面部
603 第3の表面部
604 第4の表面部
680 中央領域
690 終端領域
691 遷移領域
699 周囲領域
700 補償放物線
701 補償放物線
702 補償放物線
711 線
712 線
911 矢印
912 矢印
913 矢印
914 矢印
a1 標的幅
a2 標的幅
p1 中心間距離
p2 中心間距離
x1 実際の幅
x2 実際の幅
w11 第1の開口幅
w12 第2の開口幅
w13 第1のマスク縞模様幅
w14 第2のマスク縞模様幅
w21 第3の開口幅
w22 第4の開口幅
w23 第3のマスク縞模様幅
w24 第4のマスク縞模様幅
we1 第1の延在幅
we2 第2の延在幅
ND ドナー濃度
NA アクセプタ密度
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
【外国語明細書】