(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021747
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】定電流回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20220127BHJP
B60Q 1/38 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H02M3/155 J
H02M3/155 W
B60Q1/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125529
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真也
【テーマコード(参考)】
3K339
5H730
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339BA25
3K339BA28
3K339CA12
3K339DA01
3K339EA06
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB21
3K339JA02
3K339JA04
3K339JA21
3K339KA07
3K339KA11
5H730AA02
5H730AS02
5H730AS04
5H730AS11
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB82
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子を順次点灯させる場合などの負荷駆動時のリプル電流を低減させ、安定した電流供給を可能にする。
【解決手段】第1の駆動電圧V
OUT1をオンオフする第1のスイッチM31、第2の駆動電圧V
OUT2をオンオフする第2のスイッチM32、及びインダクタL3を有する出力回路103と、負荷の点灯回路6に流れる出力電流としての駆動電流I
LEDに比例する検出電圧V
R3に応じて、スイッチM31,M32のオンオフを制御する制御回路100とを備える。第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧より小さい電圧である。制御回路100は、検出電圧V
R3と出力電流の目標量を指示する参照電圧V
REF3との差に比例する誤差信号が、参照信号としての三角波V
TRIより小さい場合に第1のスイッチM31をオンし、誤差信号が参照信号より大きい場合に第2のスイッチM32をオンする制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駆動電圧を出力する第1の駆動電圧生成回路と、
前記第1の駆動電圧に対して小さい電圧となる第2の駆動電圧を出力する第2の駆動電圧生成回路と、
前記第1の駆動電圧の供給をオンオフする第1のスイッチと、
前記第1のスイッチと直列に接続され、前記第2の駆動電圧の供給をオンオフする第2のスイッチと、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの接続点に一端が接続され、他端が負荷に接続されるインダクタと、
前記負荷に流れる出力電流に比例する検出電圧に応じて、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチのオンオフを制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記検出電圧と前記出力電流の目標量を指示する参照電圧との差に比例する誤差信号を出力するエラーアンプと、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチをオンオフするクロックに同期した参照信号を出力する参照波形発生回路と、
前記誤差信号と前記参照信号との比較結果を示す比較信号を出力するコンパレータと、
前記比較信号が前記目標量より前記出力電流が少ないことを示す場合に前記第1のスイッチをオンする制御を行い、前記目標量より前記出力電流が多いことを示す場合に前記第2のスイッチをオンする制御を行うドライバと、を有し、
前記検出電圧と前記参照電圧とが一致するようにフィードバック制御を行う、
定電流回路。
【請求項2】
第1の駆動電圧を出力する第1の駆動電圧生成回路と、
前記第1の駆動電圧に対して小さい電圧となる第2の駆動電圧を出力する第2の駆動電圧生成回路と、
前記第1の駆動電圧の供給をオンオフする第1のスイッチと、
前記第1のスイッチとカソードが接続され、前記第2の駆動電圧生成回路の出力端とアノードが接続されるダイオードと、
前記第1のスイッチと前記ダイオードとの接続点に一端が接続され、他端が負荷に接続されるインダクタと、
前記負荷に流れる出力電流に比例する検出電圧に応じて、前記第1のスイッチのオンオフを制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記検出電圧と前記出力電流の目標量を指示する参照電圧との差に比例する誤差信号を出力するエラーアンプと、
前記第1のスイッチをオンオフするクロックに同期した参照信号を出力する参照波形発生回路と、
前記誤差信号と前記参照信号との比較結果を示す比較信号を出力するコンパレータと、
前記比較信号が前記目標量より前記出力電流が少ないことを示す場合に前記第1のスイッチをオンする制御を行い、前記目標量より前記出力電流が多いことを示す場合に前記第1のスイッチをオフする制御を行うドライバと、を有し、
前記検出電圧と前記参照電圧とが一致するようにフィードバック制御を行う、
定電流回路。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記負荷をオンオフする負荷制御回路と、
前記負荷の状態に応じて前記第1の駆動電圧及び前記第2の駆動電圧を上げる又は下げる制御を行う出力電圧制御回路と、を有する、
請求項1又は2に記載の定電流回路。
【請求項4】
前記第2の駆動電圧生成回路は、
前記負荷に印加される負荷電圧に比例する電圧を用いて前記第2の駆動電圧の目標となる第2の参照電圧を生成する参照電圧生成回路を有する、
請求項1又は2に記載の定電流回路。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記負荷をオンオフする負荷制御回路と、
前記負荷の状態に応じて前記第1の駆動電圧を上げる又は下げる制御を行う出力電圧制御回路と、を有する、
請求項4に記載の定電流回路。
【請求項6】
前記第1の駆動電圧生成回路と前記第2の駆動電圧生成回路は、それぞれ昇圧型のDC/DCコンバータにより構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の定電流回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子駆動用の電力供給等に用いられる定電流回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子を光源とする点灯装置として、例えば車両のウィンカーなどのように、複数の発光素子を点灯させる装置がある。この種の点灯装置において発光素子を駆動するための回路として、DC/DCコンバータを用いた駆動回路が広く用いられている。駆動回路の従来例としては、例えば特許文献1に示されるように、複数のLEDを点灯させるための十分な電圧を得るために、昇圧DC/DCコンバータを用いた発光装置が開示されている。
【0003】
近年、車両のウィンカーにおいて、複数のLEDが流れるように順次点灯するいわゆるシーケンシャルターンランプが普及しつつある。シーケンシャルターンランプを実現するための駆動回路として、例えば特許文献2、特許文献3、非特許文献1などに開示されているように、シーケンシャルターン用の信号を発生させて複数のLEDを駆動するものが提案されている。特許文献3の駆動方法では、シーケンシャルターンさせるために複数の駆動部を並列に動作させる必要があり、コストが高くなっていた。一方、非特許文献1のように、LEDに対して並列にスイッチを設け、そのスイッチをオン/オフすることによってシーケンシャルターンを実現する構成とすることにより、低コスト化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6146984号公報
【特許文献2】特開昭51-36092号公報
【特許文献3】特開2017-74803号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Texas Instruments, TPS92661-Q1のデータシート "High-Brightness LED Matrix Manager for Automotive Headlight Systems", [online], 2016年2月, [令和2年6月4日検索], インターネット<http://www.tij.co.jp/jp/lit/gpn/TPS92661-Q1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の駆動回路によってシーケンシャルターンランプの駆動を行う場合、点灯装置の仕様によっては、点灯駆動時のリプル電流が大きくなって装置要求を満たせないなどの課題が生じていた。
【0007】
本発明は、複数の発光素子を順次点灯させる場合などの負荷駆動時のリプル電流を低減させ、安定した電流供給が可能な定電流回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の駆動電圧を出力する第1の駆動電圧生成回路と、前記第1の駆動電圧に対して小さい電圧となる第2の駆動電圧を出力する第2の駆動電圧生成回路と、前記第1の駆動電圧の供給をオンオフする第1のスイッチと、前記第1のスイッチと直列に接続され、前記第2の駆動電圧の供給をオンオフする第2のスイッチと、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの接続点に一端が接続され、他端が負荷に接続されるインダクタと、前記負荷に流れる出力電流に比例する検出電圧に応じて、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチのオンオフを制御する制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記検出電圧と前記出力電流の目標量を指示する参照電圧との差に比例する誤差信号を出力するエラーアンプと、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチをオンオフするクロックに同期した参照信号を出力する参照波形発生回路と、前記誤差信号と前記参照信号との比較結果を示す比較信号を出力するコンパレータと、前記比較信号が前記目標量より前記出力電流が少ないことを示す場合に前記第1のスイッチをオンする制御を行い、前記目標量より前記出力電流が多いことを示す場合に前記第2のスイッチをオンする制御を行うドライバと、を有し、前記検出電圧と前記参照電圧とが一致するようにフィードバック制御を行う、定電流回路を提供する。
【0009】
本発明は、第1の駆動電圧を出力する第1の駆動電圧生成回路と、前記第1の駆動電圧に対して小さい電圧となる第2の駆動電圧を出力する第2の駆動電圧生成回路と、前記第1の駆動電圧の供給をオンオフする第1のスイッチと、前記第1のスイッチとカソードが接続され、前記第2の駆動電圧生成回路の出力端とアノードが接続されるダイオードと、前記第1のスイッチと前記ダイオードとの接続点に一端が接続され、他端が負荷に接続されるインダクタと、前記負荷に流れる出力電流に比例する検出電圧に応じて、前記第1のスイッチのオンオフを制御する制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記検出電圧と前記出力電流の目標量を指示する参照電圧との差に比例する誤差信号を出力するエラーアンプと、前記第1のスイッチをオンオフするクロックに同期した参照信号を出力する参照波形発生回路と、前記誤差信号と前記参照信号との比較結果を示す比較信号を出力するコンパレータと、前記比較信号が前記目標量より前記出力電流が少ないことを示す場合に前記第1のスイッチをオンする制御を行い、前記目標量より前記出力電流が多いことを示す場合に前記第1のスイッチをオフする制御を行うドライバと、を有し、前記検出電圧と前記参照電圧とが一致するようにフィードバック制御を行う、定電流回路を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記の定電流回路であって、前記制御回路は、前記負荷をオンオフする負荷制御回路と、前記負荷の状態に応じて前記第1の駆動電圧及び前記第2の駆動電圧を上げる又は下げる制御を行う出力電圧制御回路と、を有する、定電流回路を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記の定電流回路であって、前記第2の駆動電圧生成回路は、前記負荷に印加される負荷電圧に比例する電圧を用いて前記第2の駆動電圧の目標となる第2の参照電圧を生成する参照電圧生成回路を有する、定電流回路を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記の定電流回路であって、前記制御回路は、前記負荷をオンオフする負荷制御回路と、前記負荷の状態に応じて前記第1の駆動電圧を上げる又は下げる制御を行う出力電圧制御回路と、を有する、定電流回路を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記いずれかの定電流回路であって、前記第1の駆動電圧生成回路と前記第2の駆動電圧生成回路は、それぞれ昇圧型のDC/DCコンバータにより構成される、定電流回路を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の発光素子を順次点灯させる場合などの負荷駆動時のリプル電流を低減させ、安定した電流供給が可能な定電流回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。
【
図2】比較例の定電流回路における出力電圧及び出力電流の波形の一例を示す特性図である。
【
図3】本実施形態の定電流回路における出力電圧及び出力電流の波形の一例を示す特性図である。
【
図4】第2の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。
【
図5】第3の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。
【
図6】第4の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。
【
図7】比較例の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る定電流回路を具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(本実施形態に至る背景)
従来技術を組み合わせて、シーケンシャルターンランプの駆動を行う場合を想定する。以下に比較例として、昇圧DC/DCコンバータと、降圧定電流回路と、発光素子に対して並列にスイッチを設けた点灯回路とを有する構成によって、シーケンシャルターンランプの駆動を行う駆動回路の一例を示す。
【0018】
図7は、比較例の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。比較例の駆動回路は、昇圧DC/DCコンバータ及び降圧定電流回路を含むスイッチング電源回路5Eを備え、LEDを用いた点灯回路6に対して、発光素子点灯用の駆動電力を供給する。
【0019】
スイッチング電源回路5Eは、制御回路100E、昇圧DC/DCコンバータを構成する昇圧回路101、降圧定電流回路を構成する出力回路103Eを有して構成される。制御回路100Eは、昇圧回路101のスイッチングトランジスタM11と出力回路103EのスイッチM31,M32をそれぞれ駆動制御する駆動制御信号を出力する。昇圧回路101は、インダクタL11、整流用ダイオードD1、スイッチングトランジスタM11を有し、入力電圧VINを昇圧して駆動電圧VOUT1を出力する。出力回路103Eは、インダクタL3、スイッチM31,M32を含む同期整流型の降圧スイッチングレギュレータにより構成される。スイッチM31,M32は直列接続され、スイッチM31の第1端に駆動電圧VOUT1が供給され、スイッチM31の第2端とスイッチM32の第1端との接続点にインダクタL3が接続され、スイッチM32の第2端が接地される。出力回路103Eは、昇圧回路101から供給される駆動電圧VOUT1に基づいて定電流の駆動電流ILEDを出力し、点灯回路6へ駆動電力を供給する。
【0020】
点灯回路6は、発光素子としてのLED61と、LED61に対して並列接続されたスイッチングトランジスタ62とを有し、これらのLED61及びスイッチングトランジスタ62の組が直列に複数接続されて構成される。点灯回路6は、スイッチ制御回路30の制御に従い、複数のLED61を所定タイミングでオン/オフして消灯/点灯させることにより、シーケンシャルターンランプを実現する。
【0021】
スイッチング電源回路5Eにおいて、昇圧回路101は、スイッチングトランジスタM11のオン/オフの時間比率(デューティ比)を制御することにより、入力電圧VINを駆動電圧VOUT1に昇圧して後段の降圧定電流回路の出力回路103Eに電力を供給する。出力回路103Eは、スイッチM31,M32のオン/オフの時間比率(デューティ比)を制御することにより、定電流の駆動電流ILEDを出力し、点灯回路6のLED61に駆動電流ILEDを供給する。
【0022】
駆動電流ILEDは、電流検出抵抗R3において検出電圧VR3に変換されて制御回路100E内のエラーアンプ312に入力され、エラーアンプ312によって電圧源314の参照電圧VREF3との誤差が増幅されフィードバック電圧VFB3が生成される。そして、コンパレータ332により、三角波発生回路331が出力する三角波VTRIとフィードバック電圧VFB3とが比較され、コンパレータ332の比較結果による出力信号がドライバ340に入力される。ドライバ340は、コンパレータ332の出力信号に基づいてスイッチM31,M32のゲートに駆動制御信号を出力し、スイッチM31,M32をオン/オフ駆動する。フィードバック電圧VFB3が三角波VTRIより小さい時には、スイッチM32がオン、スイッチM31がオフし、インダクタL3のエネルギーを消費しながら駆動電流ILEDが提供される。フィードバック電圧VFB3が三角波VTRIより大きい時には、スイッチM31がオン、スイッチM32がオフし、インダクタL3にエネルギーを蓄えながら駆動電流ILEDが提供される。以上のように、駆動電流ILEDの値に比例する検出電圧VR3が参照電圧VREF3と一致するようにフィードバックがかかり、駆動電流ILEDは、ILED=VREF3/R3となるように定電流制御され、LED61が定電流駆動される。なお、スイッチM31,M32は貫通電流によるトランジスタの劣化を避けるために同時にオンとならないようにスイッチM31,M32が両方ともオフとなるデッドタイムを経てオンするようにスイッチを切り替えても良い。
【0023】
比較例の駆動回路における課題について説明する。出力回路103Eの出力電圧VSWは、スイッチM31がオン、スイッチM32がオフの時には駆動電圧VOUT1にほぼ等しくなり、スイッチM31がオフ、スイッチM32がオンの時にはほぼ0Vとなる。一方、負荷のLEDにかかる負荷電圧VLEDはほぼ変化しないため、スイッチM31,M32がオン/オフする時にインダクタL3に大きな電圧差が発生し、インダクタL3を介してLEDに流れる駆動電流ILEDは、出力電圧VSWがほぼ0Vになる時に大きく電流が減少する。この駆動電流ILEDの減少はそのままリプル電流に相当し、リプル電流が大きくなるという課題を本願発明者が発見するに至った。リプル電流を減らすには、インダクタを大きくするかスイッチング周波数を大きくする必要がある。しかし、前者はコストが増大する課題があり、後者はEMCの問題により選択できない場合がある。
【0024】
本実施形態では、上記事情に鑑み、リプル電流を低減することが可能な定電流回路及び定電流回路を含む点灯装置の駆動回路の構成例を示す。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。本実施形態の駆動回路は、昇圧DC/DCコンバータ及び降圧定電流回路を含むスイッチング電源回路5を備え、発光素子としてのLEDを光源としたシーケンシャルターンランプを構成する点灯回路6に対して、発光素子点灯用の駆動電力を供給する。
【0026】
スイッチング電源回路5は、制御回路100、昇圧DC/DCコンバータを構成する2つの昇圧回路101,102、降圧定電流回路を構成する出力回路103を有して構成される。制御回路100は、昇圧回路101のスイッチングトランジスタM11、及び昇圧回路102のスイッチングトランジスタM21、並びに出力回路103のスイッチM31,M32をそれぞれ駆動制御する駆動制御信号を出力する。
【0027】
制御回路100は、スイッチングトランジスタM11を駆動する第1昇圧制御部として、エラーアンプ112、電圧源114、スロープ補償回路131、コンパレータ132、発振器(OSC)133、フリップフロップ134、ゲートドライバ140を有する。また、スイッチングトランジスタM21を駆動する第2昇圧制御部として、エラーアンプ212、電圧源214、スロープ補償回路231、コンパレータ232、発振器(OSC)233、フリップフロップ234、ゲートドライバ240を有する。また、制御回路100は、点灯回路6の複数のLED61を駆動する出力制御部として、エラーアンプ312、電圧源314、三角波発生回路331、コンパレータ332、ドライバ340、スイッチ制御回路30、スイッチングトランジスタ62を有する。制御回路100のエラーアンプ112,212,312は、例えばgmアンプにより構成される。制御回路100は、例えば集積化した制御ICにより構成される。
【0028】
制御回路100には、上記の第1昇圧制御部、第2昇圧制御部、出力制御部の各フィードバックループの位相補償を行う位相補償回路113、213、313が接続される。位相補償回路113は、位相補償用容量CFB1と位相補償用抵抗RFB1を有し、エラーアンプ112の出力端とグランドとの間に接続される。位相補償回路213は、位相補償用容量CFB2と位相補償用抵抗RFB2を有し、エラーアンプ212の出力端とグランドとの間に接続される。位相補償回路313は、位相補償用容量CFB3と位相補償用抵抗RFB3を有し、エラーアンプ312の出力端とグランドとの間に接続される。これらの位相補償回路113、213、313は、安定動作させるためにそれぞれ位相補償用容量CFB1~3と位相補償用抵抗RFB1~3により適切な時定数を設定されることが望ましい。
【0029】
第1の昇圧回路101は、インダクタL11、整流用ダイオードD1、スイッチングトランジスタM11、インダクタ電流検出用の抵抗R11、出力容量C11、帰還抵抗RFB11,RFB12を含む。第1の昇圧回路101は、入力電圧VINを昇圧して第1の駆動電圧VOUT1を出力する。この第1の昇圧回路101による第1昇圧制御部が第1の駆動電圧生成回路として機能する。スイッチングトランジスタM11は、制御端としてのゲートがゲートドライバ140の出力端に接続され、ゲートドライバ140によってオン/オフ制御される。スイッチングトランジスタM11の第1端としてのドレインは、インダクタL11を介して入力電圧VINの電源に接続されるとともに、整流用ダイオードD1のアノードに接続される。スイッチングトランジスタM11の第2端としてのソースは、抵抗R11を介して接地され、ソースと抵抗R11の接続点がスロープ補償回路131に接続されており、インダクタL11に流れる電流に比例する第1の検出電圧VR1がスロープ補償回路131に入力される。整流用ダイオードD1のカソードは、出力回路103のスイッチM31に接続されるとともに、出力容量C11を介して接地され、また帰還抵抗RFB11,RFB12がグランドとの間に接続される。帰還抵抗RFB11,RFB12の接続点はエラーアンプ112の反転入力端に接続され、第1の駆動電圧VOUT1に比例する電圧がエラーアンプ112に入力される。
【0030】
第2の昇圧回路102は、インダクタL21、整流用ダイオードD2、スイッチングトランジスタM21、インダクタ電流検出用の抵抗R21、出力容量C21、帰還抵抗RFB21,RFB22を含む。第2の昇圧回路102は、入力電圧VINを昇圧して第2の駆動電圧VOUT2を出力する。この第2の昇圧回路102による第2昇圧制御部が第2の駆動電圧生成回路として機能する。第2の駆動電圧VOUT2は、第1の駆動電圧VOUT1よりも低く、0Vよりも十分に高い電圧とする。すなわち、第2の駆動電圧VOUT2は、負荷のLEDにかかる負荷電圧VLEDより少し低い電圧に設定される。第2の昇圧回路102の構成は上述した第1の昇圧回路101と同様であり、詳細な説明を省略する。スイッチングトランジスタM21は、制御端としてのゲートがゲートドライバ240の出力端に接続され、ゲートドライバ240によってオン/オフ制御される。スイッチングトランジスタM21の第2端としてのソースと抵抗R21の接続点がスロープ補償回路231に接続されており、インダクタL21に流れる電流に比例する第2の検出電圧VR2がスロープ補償回路231に入力される。帰還抵抗RFB21,RFB22の接続点はエラーアンプ212の反転入力端に接続され、第2の駆動電圧VOUT2に比例する電圧がエラーアンプ212に入力される。
【0031】
出力回路103は、第1のスイッチM31、第2のスイッチM32、インダクタL3を含む。第1のスイッチM31は、高電位側スイッチであり、ハイサイドスイッチ、上側スイッチ等とも称する。第2のスイッチM32は、低電位側スイッチであり、ローサイドスイッチ、下側スイッチ等とも称する。出力回路103は、第1の駆動電圧VOUT1と第2の駆動電圧VOUT2とに基づいて定電流の駆動電流ILEDを出力し、負荷としての点灯回路6へ駆動電力を供給する。
【0032】
スイッチM31,M32は、例えばMOSFETにより構成され、互いに直列接続される。図示例では、スイッチM31をPchMOSトランジスタ、スイッチM32をNchMOSトランジスタによってそれぞれ構成している。スイッチM31の第1端が第1の昇圧回路101の出力端と接続され、スイッチM32の第1端が第2の昇圧回路102の出力端と接続され、スイッチM31の第2端とスイッチM32の第2端が接続される。スイッチM31,M32は、制御端としてのそれぞれのゲートが制御回路100のドライバ340に接続され、ドライバ340によってオン/オフ制御される。第1のスイッチM31は、第1の駆動電圧VOUT1の供給をオンオフする。第2のスイッチM32は、第2の駆動電圧VOUT2の供給をオンオフする。スイッチM31とスイッチM32との接続点にインダクタL3の一端が接続され、インダクタL3の他端が出力回路103の出力端となって点灯回路6の上端のLED61に接続される。
【0033】
点灯回路6は、駆動回路の負荷となる発光素子としてのLED61と、LED61に対して並列接続されたスイッチングトランジスタ62とを有し、これらのLED61及びスイッチングトランジスタ62の組が直列に複数接続されて構成される。直列接続された複数のLED61は、アノード側(上端)に出力回路103が接続され、カソード側(下端)に電流検出抵抗R3の一端が接続され、電流検出抵抗R3の他端が接地される。LED61のカソード側と電流検出抵抗R3との接続点は、エラーアンプ312の反転入力端に接続され、駆動電流ILEDの値に比例する検出電圧VR3がエラーアンプ312に入力される。複数のスイッチングトランジスタ62は、それぞれのゲートがスイッチ制御回路30に接続され、スイッチ制御回路30によってオン/オフ制御される。スイッチ制御回路30は、負荷としての点灯回路6の複数のLED61をオンオフする負荷制御回路として機能する。点灯回路6は、複数のLED61を所定タイミングでオン/オフして消灯/点灯させることにより、シーケンシャルターンランプを実現する。スイッチ制御回路30は、複数のLED61を順次点灯させて光が流れるように表示させるなど、シーケンシャルターンランプの点灯制御のための制御信号を各スイッチングトランジスタ62のゲートに出力する。
【0034】
制御回路100の第1昇圧制御部において、エラーアンプ112の出力端がコンパレータ132の第1入力端に接続され、コンパレータ132の第2入力端にスロープ補償回路131の出力端が接続される。コンパレータ132の出力端はフリップフロップ134のR入力端に接続され、フリップフロップ134のS入力端に発振器133が接続され、フリップフロップ134のQ出力端がゲートドライバ140の入力端に接続される。同様に、制御回路100の第2昇圧制御部において、エラーアンプ212の出力端がコンパレータ232の第1入力端に接続され、コンパレータ232の第2入力端にスロープ補償回路231の出力端が接続される。コンパレータ232の出力端はフリップフロップ234のR入力端に接続され、フリップフロップ234のS入力端に発振器233が接続され、フリップフロップ234のQ出力端がゲートドライバ240の入力端に接続される。
【0035】
また、制御回路100の出力制御部において、エラーアンプ312の出力端がコンパレータ332の第2入力端に接続され、コンパレータ332の第1入力端に三角波発生回路331が接続され、コンパレータ332の出力端がドライバ340の入力端に接続される。三角波発生回路331は、スイッチM31,M32をオンオフするクロックに同期した三角波又は鋸波の参照信号を発生する参照波形発生回路の一例であり、参照信号として三角波を出力する。
【0036】
なお、制御回路100の第1昇圧制御部、第2昇圧制御部、出力制御部は、上述した構成に限定されず、他の公知のデューティコントローラを用いて構成することも可能である。例えば、参照信号を発生する参照波形発生回路として、三角波発生回路を鋸波発生回路に置換する、フリップフロップをSRフリップフロップ以外のフリップフロップやラッチ回路に置換するなど、種々の代替構成が可能である。また、点灯回路6において、LED61に流れる駆動電流ILEDを電流検出抵抗R3を介してグランドに流しているが、入力電圧VINに戻すようにしてもよい。
【0037】
次に、本実施形態の駆動回路の動作を説明する。制御回路100の第1昇圧制御部において、エラーアンプ112は、第1の駆動電圧VOUT1に比例する電圧と、電圧源114により出力される参照電圧VREF1との誤差を増幅して第1フィードバック電圧VFB1を生成し、コンパレータ132に出力する。スロープ補償回路131は、インダクタL11に流れる電流に比例する第1の検出電圧VR1に対してスロープ信号を重畳し、スロープ電圧VSLP1としてコンパレータ132に出力する。コンパレータ132は、第1フィードバック電圧VFB1とスロープ電圧VSLP1とを比較し、スロープ電圧VSLP1が第1フィードバック電圧VFB1に達したときに、フリップフロップ134のR入力端にオフ信号(ハイレベル)を出力する。すなわち、インダクタL11に流れる電流が第1フィードバック電圧VFB1に応じたピーク電流に達したときに、フリップフロップ134のR入力端に入力されるオフ信号がアサートされる。フリップフロップ134のS入力端には発振器133から出力される周期信号が入力される。フリップフロップ134のQ出力端の出力信号は、S入力端の周期信号のポジティブエッジでハイレベル(オンレベル)に遷移し、R入力端のオフ信号がアサートされるとローレベル(オフレベル)に遷移する。このフリップフロップ134の出力に基づき、ゲートドライバ140からスイッチングトランジスタM11のゲートに駆動信号が供給され、スイッチングトランジスタM11がオン/オフ制御される。
【0038】
制御回路100の第2昇圧制御部の動作についても、第1昇圧制御部と同様である。すなわち、スロープ電圧VSLP2が第2フィードバック電圧VFB2に達したとき、すなわち、インダクタL21に流れる電流が第2フィードバック電圧VFB2に応じたピーク電流に達したときに、フリップフロップ234のR入力端に入力されるオフ信号がハイレベルとなってアサートされる。そして、フリップフロップ234のQ出力端の出力信号は、S入力端の周期信号のポジティブエッジでハイレベル(オンレベル)に遷移し、R入力端のオフ信号がアサートされるとローレベル(オフレベル)に遷移する。このフリップフロップ234の出力に基づき、ゲートドライバ240からスイッチングトランジスタM21のゲートに駆動信号が供給され、スイッチングトランジスタM21がオン/オフ制御される。
【0039】
制御回路100の出力制御部において、エラーアンプ312は、負荷としての点灯回路6の駆動電流ILEDの値に比例する検出電圧(出力電流の検出電圧)VR3と、電圧源314により出力される参照電圧(出力電流の参照電圧)VREF3との誤差を増幅して誤差信号としての第3フィードバック電圧VFB3を生成し、コンパレータ332に出力する。ここで、参照電圧VREF3は、出力電流としての駆動電流ILEDの目標量を指示する電圧である。コンパレータ332は、第3フィードバック電圧VFB3と三角波発生回路331から出力される参照信号としての三角波VTRIとを比較し、比較結果を示す比較信号を出力する。コンパレータ332は、第3フィードバック電圧VFB3が三角波VTRIより大きいときにハイレベル、その逆のときにローレベルの比較信号をドライバ340に出力する。本実施形態では、ハイレベルの比較信号は出力電流としての駆動電流ILEDが目標量より少ないことを示し、ローレベルの比較信号は駆動電流ILEDが目標量より多いことを示している。
【0040】
ドライバ340は、コンパレータ332の出力信号に基づいて、すなわち出力電流である駆動電流ILEDが目標量より少ないか多いかに基づいてスイッチM31,M32のゲートに駆動制御信号を出力し、スイッチM31,M32をオン/オフ駆動する。第3フィードバック電圧VFB3が三角波VTRIより小さい時には、スイッチM32がオン、スイッチM31がオフし、インダクタL3のエネルギーを消費しながら駆動電流ILEDが提供される。第3フィードバック電圧VFB3が三角波VTRIより大きい時には、スイッチM31がオン、スイッチM32がオフし、インダクタL3にエネルギーを蓄えながら駆動電流ILEDが提供される。上記動作により、駆動電流ILEDの値に比例する検出電圧VR3が参照電圧VREF3と一致するようにフィードバックがかかって駆動電流ILEDが定電流制御される。なお、スイッチM31,M32が同時にオフになってしまうとインダクタL3への供給電力が断たれてしまい出力電圧VSWが低下し負電圧に達し、スイッチM32の両端には第2の駆動電圧VOUT2以上の電圧がかかりながら電流が流れることになりスイッチM32が発熱により破損する恐れがある。これを避けるためにスイッチM31,M32が同時にオンとなる時間を経てオフするようにスイッチを切り替えても良い。
【0041】
ここで、本実施形態と
図7に示した比較例のそれぞれの駆動回路における動作波形の一例を示し、本実施形態の効果について説明する。
【0042】
図2は、比較例の定電流回路における出力電圧及び出力電流の波形の一例を示す特性図である。
図3は、本実施形態の定電流回路における出力電圧及び出力電流の波形の一例を示す特性図である。
図2及び
図3では、駆動回路における出力電圧V
SW、駆動電圧V
OUT1,V
OUT2、負荷電圧V
LED、駆動電流I
LED、ピーク電流値I
LED_H,I
LED_L,I
LED_H2,I
LED_L2を模式的に表した波形によってそれぞれ示している。
【0043】
図2の比較例では、出力回路103Eの出力電圧V
SWは、スイッチM31がオン、スイッチM32がオフの時には駆動電圧V
OUT1にほぼ等しくなり、スイッチM31がオフ、スイッチM32がオンの時にはほぼ0Vとなる。一方、負荷のLEDにかかる負荷電圧V
LEDは、ダイオードの特性からほぼ変化しない。このため、インダクタL3を介してLEDに流れる駆動電流I
LEDは、出力電圧V
SWがほぼ0Vになる時にV=L*dI/dt(ここで、L:インダクタL3のインダクタンス、dI/dt:駆動電流I
LEDの単位時間変化率)より、大きく電流が減少する。したがって、駆動電流I
LEDは、駆動電流最大値I
LED_Hと駆動電流最小値I
LED_Lとの差が大きく、リプル電流が大きくなる。例えば、上式でL3が22μH、V
LEDが28V、dtが0.6μsであれば、駆動電流I
LEDは760mAも減少する。これはそのままリプル電流に相当する。
【0044】
図3の本実施形態では、出力回路103の出力電圧V
SWは、スイッチM31がオン、スイッチM32がオフの時には第1の駆動電圧V
OUT1にほぼ等しくなり、スイッチM31がオフ、スイッチM32がオンの時には第2の駆動電圧V
OUT2にほぼ等しくなる。第2の駆動電圧V
OUT2は負荷電圧V
LEDより小さく設定され、出力電圧V
SWは小さい範囲で変動する。第2の駆動電圧V
OUT2と負荷電圧V
LEDとの電圧差は、出力電流としての駆動電流I
LEDのリプル電流量が十分に小さくなる程度の所定範囲内の値に設定する。この場合、インダクタL3を介してLEDに流れる駆動電流I
LEDは、駆動電流最大値I
LED_H2と駆動電流最小値I
LED_L2との差が小さくなる。
【0045】
比較例におけるリプル電流量は、スイッチング周期をTとして次の(1)式で表される。
【0046】
【0047】
本実施形態におけるリプル電流量は、スイッチング周期をTとして次の(2)式で表される。
【0048】
【数2】
したがって、比較例と本実施形態のリプル電流の比は、次の(3)式で表される。
【0049】
【0050】
このように、本実施形態では比較例に対して大きくリプル電流を低減できる。例えば、(3)式において、VOUT1が36V、VOUT2が27V、VLEDが28Vであれば、リプル電流量は1/7に低減される。
【0051】
上述したように、本実施形態の構成では、スイッチM32がオンの時の電圧を0VからVOUT2に持ち上げることによって、インダクタを大きくすることなく、またスイッチング周波数を大きくすることもなく、リプル電流を低減することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。第2の実施形態の駆動回路におけるスイッチング電源回路5Aは、
図1に示した第1の実施形態のスイッチング電源回路5の構成に加えて、制御器350Aを備える。第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
制御回路100Aに設けられる制御器350Aは、出力電圧制御回路として機能するものであり、第1の参照電圧生成回路としての可変電圧源114A、第2の参照電圧生成回路としての可変電圧源214A、負荷制御回路としてのスイッチ制御回路30Aの動作を制御する。制御器350Aは、点灯回路6のLED61を点灯/消灯するために、スイッチ制御回路30Aに制御信号を送ってスイッチングトランジスタ62をオフ/オンする。このLED61の点灯/消灯に伴い、可変電圧源114A及び可変電圧源214Aを制御し、第1の参照電圧VREF1及び第2の参照電圧VREF2の電圧を上げる/下げることを行い、第1の昇圧回路101、第2の昇圧回路102の出力電圧を上げる/下げることを実行させる。なお、制御器350Aは、外部のコントローラ等から入力される制御信号に基づいて上記制御を行ってもよい。
【0054】
すなわち、LED61の点灯時には、参照電圧VREF1,VREF2の電圧を上げ、第1の昇圧回路101の出力の第1の駆動電圧VOUT1、及び第2の昇圧回路102の出力の第2の駆動電圧VOUT2を上げるようにする。また、LED61の消灯時には、参照電圧VREF1,VREF2の電圧を下げ、第1の昇圧回路101の出力の第1の駆動電圧VOUT1、及び第2の昇圧回路102の出力の第2の駆動電圧VOUT2を下げるようにする。
【0055】
より具体的には、シーケンシャルターンランプにおいて点灯させるLEDの数に応じて、第1の昇圧回路101及び第2の昇圧回路102の昇圧電圧を変動させ、第1の駆動電圧VOUT1及び第2の駆動電圧VOUT2を変化させる。このように、第2の実施形態では、LED61の点灯/消灯、LED61の点灯数などの負荷の状態に応じて、第1の駆動電圧VOUT1、第2の駆動電圧VOUT2を上げる又は下げる制御を行う。LEDの点灯数によって必要最小限の負荷電圧VLEDは変化し、第1の昇圧回路101及び第2の昇圧回路102による必要な昇圧電圧が異なる。このため、LEDの点灯状態に応じて昇圧電圧を変化させることにより、さらにリプル電流を低減させることが可能である。
【0056】
例えば、負荷としてLEDが8個直列接続された点灯回路6を用いる場合、1個のLEDの両端電圧が3.5Vとすると、8個全て点灯させるときに必要な負荷電圧VLEDは28Vとなる。このとき、例えば第1の駆動電圧VOUT1を36V、第2の駆動電圧VOUT2を27Vに調整することによって、8個点灯時のリプル電流を低減できる。また、6個を点灯させるときは、必要な負荷電圧VLEDは21Vとなり、例えば第1の駆動電圧VOUT1を29V、第2の駆動電圧VOUT2を20Vに調整することによって、6個点灯時のリプル電流をさらに低減できる。
【0057】
なお、
図4の構成では、参照電圧V
REF1,V
REF2の電圧値を制御してDC/DCコンバータの出力電圧を変更しているが、帰還抵抗R
FB11,R
FB12,R
FB21,R
FB22の抵抗値を制御して出力電圧を変更してもよいし、DC/DCコンバータに限らず適切な出力電圧が得られる一般的な電源回路を用いてもよい。また、LED61に流れる駆動電流I
LEDを電流検出抵抗R3を介してグランドに流しているが、入力電圧V
INに戻すようにしてもよい。
【0058】
このように、第2の実施形態では、LEDの点灯/消灯に応じて第1の昇圧回路101及び第2の昇圧回路102の昇圧電圧を変化させることにより、リプル電流をさらに低減することができる。
【0059】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。第3の実施形態の駆動回路におけるスイッチング電源回路5Bは、
図4に示した第2の実施形態のスイッチング電源回路5Aの構成を一部変更し、第2の参照電圧V
REF2を生成する回路を異なる構成とした変形例である。なお、第3の実施形態の構成を
図1に示した第1の実施形態のスイッチング電源回路5に適用することも可能である。第1及び第2の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
制御回路100Bに設けられる制御器350Bは、出力電圧制御回路として機能するものであり、可変電圧源114B、負荷制御回路としてのスイッチ制御回路30Bの動作を制御する。第2の参照電圧VREF2を生成する参照電圧生成回路214Bは、点灯回路6の複数のLED61の出力回路103側の端部(アノード側)に、ダイオードD22、帰還抵抗RFB23,RFB24が直列接続された電圧発生回路により構成される。参照電圧生成回路214Bは、負荷となる点灯回路6のLED61に印加される負荷電圧VLEDに比例する電圧を第2の参照電圧VREF2として生成する。出力回路103の出力端とLED61との接続点にダイオードD22のアノードが接続され、ダイオードD22のカソードに帰還抵抗RFB23,RFB24が直列接続され、帰還抵抗RFB23の一端がグランドに接地される。帰還抵抗RFB23,RFB24の接続点は、制御回路100Bにおいてエラーアンプ212の非反転入力端に接続され、負荷電圧VLEDに比例する電圧がエラーアンプ212に入力される。
【0061】
上記の(3)式から分かるように、VOUT2とVLEDとが近い値を取るほどリプル電流を小さくすることができるので、第2の駆動電圧VOUT2を負荷電圧VLEDになるべく近づける制御方法が望ましい。これを実現するために、第3の実施形態では、LED61の上端の負荷電圧VLEDをダイオード1つ分電圧降下させた電圧を抵抗分圧した電圧を、参照電圧VREF2としている。これにより、LEDの点灯/消灯を行って負荷電圧VLEDが変動したとしても、この変化に追従してVLEDより僅かに低い出力電圧を第2の駆動電圧VOUT2として出力することができる。
【0062】
このように、第3の実施形態では、負荷電圧VLEDに応じて第2の昇圧回路102の昇圧電圧をVLEDに近い値に調整することにより、リプル電流をさらに低減することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態の定電流回路を含む駆動回路の構成を示す回路図である。第4の実施形態の駆動回路におけるスイッチング電源回路5Cは、
図5に示した第3の実施形態のスイッチング電源回路5Bの構成を一部変更し、スイッチM32をダイオードD3に置き換えた変形例である。第1、第2及び第3の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
出力回路103Cにおいて、ダイオードD3のアノードが第2の昇圧回路102の出力端と接続され、スイッチM31の第2端とダイオードD3のカソードが接続される。スイッチM31とダイオードD3との接続点にインダクタL3の一端が接続され、インダクタL3の他端が出力回路103Cの出力端となって点灯回路6の上端のLED61に接続される。
【0065】
出力回路103Cでは、スイッチM32をダイオードD3に置き換えたことにより、制御回路100Cのドライバ340CはスイッチM31のゲートに駆動制御信号を出力してスイッチM31をオン/オフ駆動する。スイッチM32を設けた構成では、スイッチM32のゲートに出力する駆動制御信号は第2の駆動電圧VOUT2より高い電圧とする必要があるため、スイッチング電源回路内に図示しない昇圧回路やブートストラップ回路が必要になる場合がある。第4の実施形態では、スイッチM31のみを駆動すればよく、また昇圧回路やブートストラップ回路が不要となるため、ドライバ340Cを簡素化できる。
【0066】
上述したように、本実施形態では、昇圧回路としてのDC/DCコンバータを2つ設けて第1の駆動電圧VOUT1及び第2の駆動電圧VOUT2を生成し、出力回路のスイッチ素子がオン/オフする時のインダクタに発生する電圧差を小さくする。これによって、駆動回路の出力回路を構成する定電流回路において、スイッチング周波数を速くすることなく、インダクタンスを大きくすることもなく、定電流出力のリプル電流を減少させることができる。本実施形態は、例えば複数の発光素子を有して構成されるシーケンシャルターンランプの駆動回路等において、昇圧DC/DCコンバータと降圧定電流コンバータを組み合わせて定電流出力を得る応用例において好適であり、出力のリプル電流を低減させることが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態に係る発光素子の駆動回路は、昇圧回路と降圧型の定電流回路との組み合わせに限定されるものではなく、例えば降圧型などの他の方式の定電圧回路による駆動電圧生成回路と、出力回路としての定電流回路とを有するものであれば、同様に適用可能である。すなわち、本実施形態の定電流回路は、2つの駆動電圧生成回路の出力電圧を入力して定電流の出力電流を得る回路として、発光素子の駆動回路等に応用可能なものである。
【0068】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、複数の発光素子を順次点灯させる場合などの負荷駆動時のリプル電流を低減させ、安定した電流供給が可能となる効果を有し、例えばシーケンシャルターンランプ等の複数の発光素子を駆動する駆動回路等に設けられる定電流回路に有用である。
【符号の説明】
【0070】
5,5A,5B,5C:スイッチング電源回路
6:点灯回路
30,30A,30B:スイッチ制御回路
61:LED
62:スイッチングトランジスタ
100,100A,100B,100C:制御回路
101,102:昇圧回路
103,103C:出力回路
112,212,312:エラーアンプ
113,213,313:位相補償回路
114,214,314:電圧源
114A,114B,214A:可変電圧源
131,231:スロープ補償回路
132,232,332:コンパレータ
133,233:発振器
134,234:フリップフロップ
140,240:ゲートドライバ
214B:参照電圧生成回路
331:三角波発生回路
340,340C:ドライバ
350A,350B:制御器
C11,C21:出力容量
D1,D2:整流用ダイオード
D3,D22:ダイオード
L3,L11,L21:インダクタ
M11,M21:スイッチングトランジスタ
M31,M32:スイッチ
R3:電流検出抵抗
R11,R21:抵抗
RFB11,RFB12,RFB21,RFB22,RFB23,RFB24:帰還抵抗