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特開2022-21891汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置
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  • 特開-汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置 図1
  • 特開-汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置 図2
  • 特開-汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置 図3A
  • 特開-汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022021891
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20220127BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20220127BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
C02F1/28 B
C02F1/28 F
B01J20/04 B
C02F1/28 E
B01J20/04 C
B01J20/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020125762
(22)【出願日】2020-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(72)【発明者】
【氏名】國西 健史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 達志
(72)【発明者】
【氏名】下川 吉信
(72)【発明者】
【氏名】板谷 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 丞吾
【テーマコード(参考)】
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D624AA04
4D624AB11
4D624AB16
4D624BA05
4D624BA13
4D624BA14
4D624BB01
4D624BC01
4D624CA00
4D624DA05
4G066AA47B
4G066AA66B
4G066AC13C
4G066BA03
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA35
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA46
4G066DA08
(57)【要約】
【課題】
建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥に含まれる重金属等が流出した雨水や浸出水、更には地下水や工場からの排液等の排水に含まれる重金属等の汚染物質を有効に捕獲して、当該排水を有効に処理することができる、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置を提供する。
【解決手段】
汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法は、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されているシートであって、前記不織布は単位面積あたり10~650g/mであり、前記吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、少なくとも1枚の汚染物質吸着シートと、汚染物質を含む排水とを接触させて、排水から汚染物質を捕獲して排水を処理する、排水処理方法である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されているシートであって、前記不織布は単位面積あたり10~650g/mであり、前記吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、少なくとも1枚の汚染物質吸着シートと、汚染物質を含む排水とを接触させて、排水から汚染物質を捕獲して排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、汚染物質を含有する残土、建設発生土又は汚泥の下部に、上記汚染物質吸着シートを少なくとも1枚敷設し、前記汚染物質吸着シートの上部に汚染物質を含有する残土、建設発生土又は汚泥を設置して、当該残土、建設発生土又は汚泥からの滲出水に含まれる汚染物質を捕獲して排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、排水を通水させる装置の通水路に、前記排水が当該汚染物質吸着シートを通過するように前記汚染物質吸着シートを少なくとも1枚設置して排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法。
【請求項4】
請求項1記載の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、排水の中に汚染物質吸着シートを少なくとも1枚浸漬するか、又は汚染物質吸着シートをロール状として少なくとも1つのロール体を排水中に浸漬して、排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの項記載の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、前記吸着材は、平均粒径が3~100μmの粉末状であって、ドロマイト系化合物を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの項記載の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、
前記吸着材は、更に酸性硫酸塩を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法。
【請求項7】
不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されているシートであって、前記不織布は単位面積あたり10~650g/mであり、前記吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、少なくとも1枚の汚染物質吸着シートを、汚染物質を含む排水とを接触させるように設置して、当該シートにより排水中の汚染物質を捕獲することを特徴とする、排水処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法及び排水処理装置に関し、特に建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水から発生する重金属等の汚染物質を有効に捕獲することができ、軽量で施工性に優れるとともに耐久性に優れる、汚染物質吸着シート及び当該シートを用いた汚染物質吸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル、ダム、造成などの建設・土木工事を実施する際には、掘削によって掘り起こし残土として、掘削ずりが発生する。
かかる掘削ずりには、自然由来または人工的な汚染物質が含まれることがあるため、汚染物質を含む掘削ずりを含む建設残土を用いて盛土や埋め立て等を行う場合には、これらの汚染物質に対する有効な除去処理が求められる。
【0003】
従来は、これらの汚染物質を含む建設残土や建設廃材の処理方法としては、掘削ずりや建設廃材を場外に搬出して処理する方法や不溶化処理方法が利用されてきた。
また、シートを製造して、かかるシート上に掘削ずりや建設廃材を積載し、汚染物質を吸着させる方法も提案されてきている。
【0004】
更に、建造物が破壊されて生じるがれきなどの廃棄物は、一旦、屋外の所定の土地に仮置きされた後、処分されるが、当該廃棄物に、重金属類などの環境汚染物質が含まれている場合があり、雨水により廃棄物に水が染み込むと、その水は環境汚染物質を取り込んだ後、汚染水となって廃棄物から染み出し、土壌を汚染する。
【0005】
例えば、汚染土壌中の汚染物質を吸着するための吸着層が設けられる工法(以下、「吸着層工法」と称する)においては、敷土吸着層工法により、例えば盛り土内に重金属含有土壌を封入した場合、敷土吸着層下面から排出される汚染物質の濃度が基準値以下であれば、特に問題はない。
【0006】
しかし、従来の工法では、一般には、盛土が崩壊したり亀裂が入った場合や、汚染物質を吸着する吸着層に亀裂等が生じた場合には、重金属含有土壌から汚染物質が基準値を超過した浸透水が浸出して、地下水中に溶出して地下水を汚染する危険性が生じており、有効に汚染物質を吸着することが困難であった。
【0007】
また、第二溶出量基準以下の汚染土壌又は不溶化により第二溶出量基準以下になった汚染土壌に遮水層を設けて汚染物質の浸出を抑制する工法(以下、「遮水工封じ込め工法」と称する)があるが、二重シートが必要である場合等、その敷設に膨大なコストがかかるとともに、排水処理設備も必要となっており、装置が大掛かりとなっていた。
【0008】
重金属を捕獲するために、例えば、国際公開公報WO2013/115033A1には、ゼオライト等の吸着剤と有機バインダーとを混合して吸着シートを形成する場合に、吸着剤であるゼオライトの細孔内に有機バインダーの側鎖等が吸着してしまい十分な吸着性能が得られないとの問題を解決するとともに、更に温度400~800℃で焼成して有機バインダーを除去できたとしてもその吸着性能は十分とはいえなかったとの問題を解決することを目的として、有機繊維に多孔性金属錯体を担持させたシート状の成形体とする発明が開示されている。
【0009】
特開2014-166621号公報には、汚染水から環境汚染物質を除去する機能を備え、汚染水による土壌汚染を効果的に防止できる環境汚染物質除去シートとして、ゼオライト吸着剤を含む透水性層と、該透水性層の一方の面に積層した透水性調節層とを少なくとも有する環境汚染物質除去シートで、下記の方法で測定する200ml通水時間が10分以上である、環境汚染物質除去シートが開示されている。
200ml通水時間:A4サイズの環境汚染物質除去シートを市販の漏斗に透水性調節層が下になるように置き、中央部を押し込んで凹ませた状態で固定し、その上から200mlの水を注ぐ。水の全量が下に自重で落ちるまでの時間を測定し、200ml通水時間とした。
【0010】
また、電解めっき工場等から排出されるめっき排水等の排水には、重金属が含まれており、かかる工場排水等から重金属を除去しなければ、排水を放出することはできず、重金属を除去する技術は重要である。
そこで、建設・土木分野や、排水処理業界においては、有効に重金属等の汚染物質を除去することができる汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法等が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2013/115033A1
【特許文献2】特開2014-166621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決し、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥に含まれる重金属等が流出した雨水や浸出水、更には地下水や工場からの排液等の排水に含まれる重金属等の汚染物質を有効に捕獲して、当該排水を有効に処理することができる、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記本発明の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法を有効に実施することができる、排水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、重金属吸着材が不織布に担持されている特定のシートを、重金属等の汚染物質が含まれる雨水や浸出水、更には地下水や工場からの排液等と接触させることで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
(1)本発明の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法は、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されているシートであって、前記不織布は単位面積あたり10~650g/mであり、前記吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、少なくとも1枚の汚染物質吸着シートと、汚染物質を含む排水とを接触させて、排水から汚染物質を捕獲して排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
【0014】
(2)好ましくは、上記(1)の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、汚染物質を含有する残土、建設発生土又は汚泥の下部に、上記汚染物質吸着シートを少なくとも1枚敷設し、前記汚染物質吸着シートの上部に汚染物質を含有する残土、建設発生土又は汚泥を設置して、当該残土、建設発生土又は汚泥からの滲出水に含まれる汚染物質を捕獲して排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
【0015】
(3)好ましくは、上記(1)の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、排水を通水させる装置内の通水路に、前記排水が当該汚染物質吸着シートを通過するように前記汚染物質吸着シートを少なくとも1枚設置して排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
(4)好ましくは、上記(1)の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、排水の中に汚染物質吸着シートを少なくとも1枚浸漬するか、又は汚染物質吸着シートをロール状として少なくとも1つのロール体を排水中に浸漬して、排水を処理することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
【0016】
(5)さらに好ましくは、上記(1)乃至(4)いずれかの汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法において、吸着材は、平均粒径が3~100μmの粉末状であって、ドロマイト系化合物を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
(6)さらに好ましくは、上記(1)乃至(5)のいずれかの汚染物質吸着シートにおいて、吸着材は、更に酸性硫酸塩を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
【0017】
(7)本発明の排水処理装置は、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されているシートであって、前記不織布は単位面積あたり10~650g/mであり、前記吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、少なくとも1枚の汚染物質吸着シートを、汚染物質を含む排水と接触させるように設置して、当該シートにより排水中の汚染物質を捕獲することを特徴とする、排水処理装置である。
ここで、本発明において「排水」とは、重金属等の汚染物質が含まれる雨水や浸出水、更には地下水や工場からの排液等の、重金属等の汚染物質が含まれる液を総称するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法は、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥に含まれる重金属が流出した雨水や地下水や工場からの排液等に含まれる重金属等の汚染物質を有効に捕獲して、汚染物質の流出を効果的に防止することが可能となる。従って、地下水に重金属等の汚染物質が流入することを防止できる。
また、工場等の排液に含まれる重金属等の汚染物質を有効に捕獲できることにより、水質汚濁における有害物質処理施設などの代替処理として利用することができる
また、本発明の排水処理装置は、前記本発明の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法を有効に実施することを可能とすることができる。
更に、使用後の汚染物質吸着シートは、例えばセメント工場の燃料として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一例の仮設ヤード排水処理装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の一例の例の通水排水処理装置を概略的に示す図である
図3A】本発明の排水処理方法及び排水処理装置に用いる汚染物質吸着シートを模式的に示す断面図である。
図3B図3AのX部分を拡大して模式的に示す図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法は、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されているシートであって、前記不織布は単位面積あたり10~650g/mであり、前記吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、少なくとも1枚の汚染物質吸着シートと、汚染物質を含む排水とを接触させて、排水から汚染物質を捕獲して排水を処理する、汚染物質吸着シートを用いた排水処理方法である。
【0021】
すなわち、上記汚染物質吸着シートを、汚染物質を含む排水に適用して、排水中に含有される汚染物質と、当該吸着シートとを接触させて、汚染物質を当該シート中に含まれる吸着材に吸着させて、排水を処理する方法である。
以下、図面を参照しながら、本発明の排水処理装置を用いた排水処理方法を例示して説明する。
【0022】
図1は、仮設ヤードに適用する排水処理装置Aの一例の概略を示す図である。
以下、掘削ずりの残土の盛土の下面に汚染物質吸着シートを敷設して、滲出水を当該汚染物質吸着シートに吸着させる、図1の仮設ヤード排水処理装置Aを例示して、排水処理方法を説明する。
図1に示すように、掘削ずりの残土4を、盛土する際に、原地盤1と残土の盛土4の間に、汚染物質吸着シート3を敷設する。雨水等により、盛土中に含まれる汚染物質が雨水等に溶け出し、この汚染水が下降して、下部に敷設されている、吸着シート3を透過する際に、当該吸着シート3中の吸着材に汚染水中の汚染物質が接触して吸着除去されることとなる。
これにより、土壌中に汚染物質が地下水に浸出することを防止できるとともに、土壌7中の帯水層6に汚染物質が流入することを抑制することも可能となる。
【0023】
汚染物質吸着シート3を敷設する際には、例えば、盛土4の下面より当該吸着シート3が広くなるように敷設することが望ましく、また当該シート3の大きさが盛土4の下面より小さい場合には、当該シート同士が一部重なるように複数シート敷設することが望ましい、例えば、シートの両端から5分の1以上を重ねて敷設し、重なった部分が保持できるように、例えば留め具で固定することがよい。
【0024】
必要に応じて、汚染物質吸着シート3は、1シートであっても、2シート以上を積層して用いてもよく、さらに、必要に応じて、汚染物質吸着シートを、不織布からなる保護シートで挟持して用いてもよい。
また、使用後の汚染物質吸着シートは、例えばセメント工場の燃料として利用することが可能である。
【0025】
また好ましくは、必要に応じて、汚染物質吸着シート3の下部であって原地盤1の間に、遮水シート等の遮水構造物2を設置することも可能である。この場合には、汚染物質吸着シート3で汚染物質が吸着除去された後の雨水等の処理水は、原地盤1に流入せず、当該遮水構造物上に貯水されてしまうため、輸送手段等の適切な手段で処理水装置8に送水して凝集沈殿処理を実施したり、処理水装置8中にロール状やフィルター状の汚染物質吸着シート3を投入する等して適切に水処理されることができる。
また、汚染物質吸着シート3を利用せずに盛土4の下に直接、遮水シート等の遮水構造物2を設置して、滲出水を処理水装置8に送水して、上記と同様に水処理することもできる。
【0026】
更に好ましくは、必要に応じて盛土4をブルーシート等の遮水構造物5で覆うことが望ましく、これにより大雨等の場合に、盛土に雨水が過剰に浸水することを抑制することができるとともに、盛土の崩壊を防止することも可能となる。
また残土4の風等による飛散も抑制することができる。
【0027】
必要に応じて、土壌中の地下水の帯水層6に汚染物質が流入していないかを、上市されている任意のモニタリング装置9を用いてモニタリングして随時評価することが、環境汚染を防止する観点より望ましい。
【0028】
また図2は、排水を通水させて当該排水を処理する装置Bの概略を示す図である。
以下、例えば、通水路10に、汚染物質吸着シート3で構成されるフィルター層を設けて、排水を一定の方向に流しながら当該排水中に含有される汚染物質を吸着する、図2の通水排水処理装置Bを例示して、排水処理方法を説明する。
【0029】
図2に示すように、排水を通水させる装置内の通水路10に、排水を通水させるにあたり、汚染物質吸着シート3を排水が通過できるように設置することで、当該吸着シート3を排水フィルターとして利用して、汚染物質吸着シート中の吸着材に汚染水中の汚染物質が接触して吸着除去されることとなる。
また、排水の通水速度は、当該汚染物質吸着シートに、排水中に含まれる汚染物質が十分に接触して吸着されるように、適宜調整する。
これにより、処理水中に汚染物質が含有されることを防止できるとともに、環境的に安全に処理水を流出することが可能となる。
【0030】
好ましくは、汚染物質吸着シート3は、排水の流れにより移動しないように、即ちフィルターとしての機能が損なわれないように、汚染物質吸着シートを枠に入れて固定設置されることが望ましい。
【0031】
更に、通水排水処理装置内の当該吸着シートを通過した処理水をモニタリングして処理水中の汚染物質含有濃度を評価することで、通水排水処理装置中の通水路10に設置した汚染物質吸着シート3を交換することができる。これにより、当該排水装置を長期間にわたり利用して、排水処理を実施することが可能となる。
【0032】
他の例として、タンク等の排水貯水槽内に排水を貯水し、当該排水貯水槽内に汚染物質吸着シートを少なくとも1枚浸漬するか、または汚染物質吸着シートをロール状とし、当該汚染物質吸着シートのロール体を少なくとも1体設置するか投入して一定時間保持し、貯蔵された排水中の汚染物質を当該吸着シートに吸着させて、排水を処理することも可能である。
かかる場合には、処理水に含まれる汚染物質濃度を評価することで、必要に応じて、設置または投入した汚染物質吸着シートを交換することができる。
好ましくは、タンクに処理水が流出できる出口を設けて、出口濃度を評価することが、評価の容易性の点より好ましい。
【0033】
ここで、本発明の排水処理方法に用いる汚染物質吸着シート3は、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されてなるものである。
図3Aは、汚染物質吸着材が不織布繊維に担持された状態を模式的に示す図であり、図3Bは、図3A中のX部分を拡大して模式的に示した図である。
本発明の排水処理方法に用いられ、また本発明の排水処理装置に適用される汚染物質吸着シート3を構成する不織布11は、重金属等の汚染物質を吸着する吸着材12を担持できれば特に限定されるものではなく、市場で入手できる任意の不織布を用いることができる。
【0034】
不織布11としては、その繊度、繊維長等は特に限定されず、製造方法により適宜決定することができる。
また、不織布11は、不織布を構成する通常の公知の任意の有機繊維を使用することができ、かかる有機繊維としては、親水性有機繊維や疎水性有機繊維が挙げられ、好ましくは疎水性有機繊維からなることが長期に強度を保持して有効な耐久性を備える点から望ましい。
これらの不織布繊維としては、例えば、パルプ、古紙パルプ、リンター、麻、綿、ケナフ等から調製される天然セルロース繊維や、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド、ポリイミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン-エチレン共重合体、スチレン-アクリル共重合体、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)等のポリビニルアルコール系樹脂等の繊維を例示することができる。
【0035】
また、不織布の製造方法は特に限定されず、通常の製造方法を適用して、本発明に用いる不織布を製造することができる。
不織布の一般的な製造工程としては、原料繊維からウェブを形成するウェブ形成工程と、ウェブ中の原料繊維を結合させる繊維結合工程とを有する方法があり、ウェブ形成工程としてエアレイド法が採用された不織布(エアレイド不織布)や、ウェブ形成工程としてカーディング法が採用された不織布がある。また、不織布の形態としては、例えばウェブ形成工程の違いに基いて、乾式不織布、湿式不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布などがあり、いずれのものも使用することが可能である。
【0036】
また、不織布のウェブ繊維結合方法としては、公知の任意の方法を適用することができ、例えば、ケミカルボンド法(浸漬法・スプレー法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等を用いることができる。
【0037】
また、不織布の単位面積あたりの質量(目付)は、特に限定されないが、好ましくは10~650g/mが望ましく、より好ましくは10~600g/m、さらに好ましくは200~600g/mであることが望ましい。
目付がかかる範囲であると、軽量で施工性がよく、汚染物質を良好に捕獲することができる汚染物質吸着シートを得ることができる。
【0038】
本発明の排水処理方法に用いられ、また本発明の排水処理装置に適用される汚染物質吸着シート3の透水係数は、10-5cm/s以上とするものであり、好ましくは10-4cm/s以上とすることが望ましい。
汚染物質を含む汚染水が汚染物質吸着シート上に滞留すると、汚染水が汚染物質吸着シートと十分に接触することなく、当該シートの周囲にあふれてしまい、汚染物質を有効に除去することができなくなるため、本発明の汚染物質吸着シートの透水係数を上記範囲として当該シートが高い透水性を有することとして、建設・土木工事等から発生する掘り起こし残土等から浸出する汚染物質を含む汚染水等を汚染物質吸着シートに通過させやすくし、掘り起こし残土等に含まれる汚染物質を含む汚染水等と汚染物質吸着シートとを効率的に接触させて、汚染物質を有効に捕獲除去することを可能とする。
また、汚染水が汚染物質シート中の汚染物質吸着材と十分に接触する時間なく直ちに通過してしまうことは、汚染物質を有効に吸着除去することができない場合もあるため、好ましくは透水係数が10-1cm/s以下であることが望ましい。
【0039】
上記汚染物質吸着シート3を構成する不織布11に担持される、重金属を吸着する吸着材12としては、特に限定されず、公知の重金属等吸着材を用いることができる。
好ましくは、当該吸着材は、粉末状であることが、不織布繊維に広く分散されて担持されることができるため望ましい。また、粉末形態とすることで汚染排水と速やかに反応することが可能であり、汚染物質である重金属等を効率的に吸着して捕獲することができる。
かかる粉末の平均粒径は、好ましくは3~100μm、より好ましくは30~100μmであることが、汚染水の透水性を良好に保持するために望ましい。
【0040】
また、重金属等を吸着できる吸着材12としては、公知の任意の吸着材を用いることができるが、特に、ドロマイト系化合物を含む吸着材が、汚染物質である重金属等を有効に捕獲して固定することができることから望ましい。
【0041】
ここで、汚染物質としての重金属等は、重金属やハロゲンを意味し、重金属としては、例えば、マンガン、クロム、銅、カドミウム、水銀、セレン、鉛、砒素、カドミウム等の1種若しくは2種以上のもので、かつ重金属単体及びその化合物が例示でき、またハロゲンとしてはフッ素、塩素等の単体及びその化合物が例示できる。さらにこれらに加え、重金属等には土壌汚染対策法に規定される第2種特定有害物質も含むものであり、例えばホウ素単体及びその化合物を例示することができる。
【0042】
汚染物質吸着材として好適に用いられるドロマイト系化合物は、MgO、CaMg(CO及びCaCOを必須含有成分とするものである。
当該成分を含有するドロマイト系化合物としては、例えば、MgO、CaCO、CaMg(COを主成分とする半焼成ドロマイトが挙げられる。
前記ドロマイトは、市場で入手し得る任意のものを用いることができ、産地は問わない。
また、市場で入手し得る任意の半焼成ドロマイトや、市場で入手し得る任意のドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイトを用いることができ、産地や原料ドロマイトの組成等は問わない。半焼成ドロマイトは、分解反応が完全に完了するまでドロマイトを焼成して得られるものではなく、MgO、CaMg(CO及びCaCOを必須成分として含むものである。
【0043】
ドロマイトは、石灰石CaCOとマグネサイトMgCOのモル比が1:1となる複塩構造を有しており、CO 2-基を挟んでCa2+イオンとMg2+イオンが交互に層を成して、一般に、MgCOの割合が10~45質量%のものをいう。ドロマイトは、国内に多量に存在しており、ドロマイトを使用した吸着材は、コストや環境負荷の点からも有利である。
【0044】
上記半焼成ドロマイトとしては、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO相の含有量xが、0.4≦x≦35.4(質量%)となる半焼成ドロマイトを好適に用いることができる。
半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO相を定量して、上記範囲内のCaMg(CO相残留量の半焼成ドロマイトを好適に用いることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の設定などに関係なく、ドロマイトが最大に優れた重金属等吸着性能を有することが更に可能となる。
【0045】
ドロマイトは焼成することで、CaMg(CO→MgO+CaCO+COで表わされる分解反応を示す。また、ドロマイトの焼成による上記熱分解により、細孔が形成されて重金属等捕獲性能を発揮しているものと考えられる。本発明においては、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO相)の残留量を粉末X線回折によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO相の含有量xが、0.4≦x≦35.4(質量%)、好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)とすることで、特に好適に、重金属等を、より良好に捕獲することを実現することが可能となる。
【0046】
例えば、かかる好適な半焼成ドロマイトは、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO相の含有量xが、好ましくは0.4≦x≦35.4(質量%)、より好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)となるように焼成することで製造することができる。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650~1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も特に制限されるものではない。
【0047】
上記汚染物質吸着シート3に担持される吸着材中のMgO含有量は、好ましくは粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析した値で約14~23質量%であり、さらに好適には14~21質量%である。
かかる吸着材中のMgOは、含有されるドロマイト系化合物由来のものであり、具体的には、ドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイト等由来のものであり、更に好ましくは半焼成ドロマイト由来のものである。
MgO含有量が14質量%未満では、鉛やフッ素等に対する吸着能力が低下する場合があったり、約23質量%を超えると、MgOのpHがアルカリ性であるため、汚染水中の汚染物質を吸着したあとの雨水等の水のpHが10以上のアルカリ性を示す場合があり、望ましくない。
【0048】
上記吸着材に含まれるドロマイト系化合物は、必須含有成分MgO、CaMg(CO、CaCOが含まれるように1種類及び/又は2種類以上の材料を任意に混合することができる。
一例として21質量%のMgOを含有する半焼成ドロマイトを使用した場合においては、吸着材中の半焼成ドロマイト配合比を80~99質量%とすることにより、本発明に用いる吸着材中のMgOの含有量を16~21質量%とすることができるが、使用するドロマイト系材料に応じて、上記配合比率の制約を受けるものではない。
【0049】
更に、上記吸着材には、望ましくは酸性硫酸塩を含む。
酸性硫酸塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム等が例示でき、好ましくは硫酸第一鉄を含有する。
酸性硫酸塩を含有することにより、硫酸第一鉄のようにその高い還元作用によって、砒素や六価クロム等の重金属等に対して、より有効に捕獲することができるとともに、酸性であるため、他のドロマイト系化合物中の含有材料の配合比率を調整することで、当該吸着材を用いて処理した処理水を中性付近に保持することを可能とする。
【0050】
また、上記吸着材に含まれる酸性硫酸塩は、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中、内割で、酸性硫酸塩を1~40質量%、好ましくは14~21質量%の割合で含む。
かかる割合で、吸着材中に、ドロマイト系化合物と酸性硫酸塩とを含むことが望ましい。
【0051】
吸着材の一例としては、上記したように、ドロマイト系化合物、酸性硫酸塩を含み、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中、酸性硫酸塩は1~40質量%の割合で含有され、且つ、吸着材中にMgOを14~23質量%含む吸着材が望ましい。
また上記吸着材を適用することで、汚染物質を吸着後の雨水等の処理水を、中性付近に維持することが可能である。
【0052】
更に好ましくは、上記吸着材中に、上記ドロマイト系化合物、酸性硫酸塩を含有し、これらの各含有量を上記範囲内の量とすることで、特に、重金属等をより有効に捕獲することができる。
【0053】
上記汚染物質吸着シート中の前記吸着材の含量は、吸着シートあたり10~5000g/m、好ましくは、50~3000g/mである。
これにより、汚染物質を吸着する性能を有効に発揮することができるとともに、上記不織布に効果的に吸着材を担持させることが可能となる。
【0054】
上記不織布に、前記吸着材を担持する方法は、特に限定されず、公知の方法を適用することができ、例えば、上記した不織布のウェブ繊維結合方法としての、公知の任意の方法、例えば、ケミカルボンド法(浸漬法・スプレー法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等をおいて、使用する液体である水中に前記吸着材を分散させて、不織布中に吸着材を均一に担持させることが可能である。
【0055】
以下に、本発明に適用される汚染物質吸着シートを、汚染物質吸着材としてドロマイト系吸着材を例に挙げて、他のドロマイト系吸着材担持シートと比較しながら、具体的に例示して説明する。
【0056】
汚染物質吸着シートに担持される吸着材としてドロマイト系吸着材を以下の材料により調製した。
・半焼成ドロマイト(粉末):栃木県葛生産のドロマイトを焼成
・酸性硫酸塩:硫酸第一鉄一水和物粉末
【0057】
上記半焼成ドロマイト(粉末)について、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて各成分の含有量を測定した。
その結果を表1に示す。
【0058】
なお以下、本発明の排水処理方法に適切に用いられ、また本発明の排水処理装置に適切に適用することができる汚染物質吸着シートを例1~14とし、比較として用いたものを参考例1~6とした。
【0059】
【表1】
【0060】
上記半焼成ドロマイトと硫酸第一鉄とを質量比で表2~4に記載の配合比で混合して、種々の吸着材を調製した。調製した各吸着材の各平均粒径を、表2~4に示す。
【0061】
また、汚染物質吸着シートを構成する不織布として、ポリプロピレン繊維からなり、目付けが表2~4に示すものをそれぞれ不織布として用いた。なお、不織布としては同じ状態のものを用いていたものであり、目付の相違は、厚みの相違に反映されている。
【0062】
上記不織布を、ケミカルボンド法にて製造する際に、バインダー液体に浸漬するが、当該バインダー液体内に上記吸着材を均一に含有させておき、かかる吸着材含有バインダー液体中に不織布を浸漬することで、不織布中に吸着材を均一に分散させて担持させ、各汚染物質吸着シートを製造した。
各シート中の吸着材の担持量を、それぞれ下記表2~4に示す。
【0063】
得られた各汚染物質吸着シートの透水係数もそれぞれ下記表2~4に示す。
なお、不織布の目付、吸着材の担持量、平均粒径、透水係数は以下の方法により測定した値である。
・不織布の目付:JIS L 1913:2010一般不織布試験方法の6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)に準拠した値である。
・吸着材の平均粒径:マイクロトラックMT3000II(日機装(株)製)にて測定した値である。
・吸着材の担持量:電子天秤にて、吸着材を担持させた不織布シートの質量から、不織布の質量を減じて、吸着材の担持量を計算した値である。
・透水係数:JIS A 1218に準じて測定した値である。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
(試験例1~3)
上記例1~14及び参考例1~6の各汚染物質吸着シートを、縦×横が30cm×25cmの各試験シートにして、下記の各試験を実施した。
(試験例1 砒素(As)吸着試験)
汚染物質として、重金属である砒素を用いた吸着試験を実施した。
具体的には、砒素(ひ素標準液(As-1000) 関東化学社製(株))を水に1mg/Lとなるように溶解させて、砒素水溶液を調製した。前記砒素水溶液100mlを、250mlのポリ容器に投入して、各試験シート30×25cm/枚を4分割して、投入した。
次いで、60分間、振とう後、ろ過して、残存溶液中の砒素濃度(mg/l)を測定した。
その結果を、上記表2~4に示す。
【0068】
(試験例2 施工性(曲げやすさ))
施工性は、曲げやすさ(伸び率(%))で評価した。
具体的には、各試験シートの縦方向の伸び率を、JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法の「6.3 引張強さ及び伸び率 (ISO法)」に準拠して測定した。
その結果を、上記表2~3に示す。
なお、上記表2~3中の評価基準は以下のとおりである。
◎:100%以上
〇:80以上~100%未満
△:50以上~80%未満
×:50%未満
【0069】
(試験例3 耐久性1(引張強さ))
表2~3中の耐久性は、引張強さ(引張強力)で評価した。
具体的には、各試験シートの縦方向の引張強力(N/5cm)を、JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法の「6.3 引張強さ及び伸び率 (ISO法)」に準拠して測定した。
その結果を、上記表2~3に示す。
なお、上記表2~3中の評価基準は以下のとおりである。
◎:1000(N/5cm)以上
〇:500以上~1000(N/5cm)未満
△:300以上~500(N/5cm)未満
×:300(N/5cm)未満
【0070】
(試験例4 耐久性2(粉漏れ))
表4中の耐久性は、粉漏れ評価した。
具体的には、各試験シートの表面に担持された吸着材粉の吹き出し状態を確認するとともに、手でシートを持って、3回叩き、吸着材粉のシートからの漏れ具合を目視で確認した。
その結果を、上記表4に示す。
なお、上記表4中の評価基準は以下のとおりである。
◎:吸着材粉の吹き出し、粉漏れ無し
〇:吸着材粉の吹き出しは無いが、若干の吸着材粉漏れ有り
△:若干の吸着材粉の吹き出し有り且つ若干の吸着材粉の漏れ有り
×:吸着材粉の吹き出し有り且つ吸着材粉の漏れ有り
【0071】
(試験例5 排水性)
表4中の排水性は、各試験シートに水を10ccスポイトで滴下し、滴下直後から120秒後の間の水の浸透状況を確認した。
その結果を、上記表4に示す。
なお、上記表4中の評価基準は以下のとおりである
◎:滴下直後10秒以内に10ccの水がすぐに浸透する
〇:滴下直後から11~60秒かけて水が徐々に浸透する
△:水が徐々に浸透するが、シート表面に水が残存している
×:水がシート上にほとんど残存しており浸透していない
【0072】
上記表2~4より、汚染物質吸着シートを構成する、汚染物質吸着材の担体である不織布の目付が単位面積あたり10~650g/mであり、不織布に担持される吸着材はシートあたり10~5000g/mであり、当該シートの透水係数が10-5cm/s以上である、汚染物質吸着シートは、重金属を例とした汚染物質を含む排水と接触することで、汚染物質を有効に吸着することができることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の排水処理方法は、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水から発生する重金属等の汚染物質を効率よく捕獲できるとともに、施工性に優れ、耐久性が良好で、シートの上部をトラックやブルドーザ等の重機が通過してもシートが破れることがないため、例えば、トンネルやダム等の掘削工事や建設工事等によって大量に発生する重金属等が溶出する汚染土壌の掘削ずり等の排水処理等にも有効に適用することが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・・・原地盤
2・5・・・遮水構造物
3・・・・・汚染物質吸着シート
4・・・・・残土・盛土
6・・・・・帯水層
7・・・・・土壌
8・・・・・処理水装置
9・・・・・モニタリング装置
10・・・・通水路
11・・・・不織布
12・・・・吸着材
A・・・・・仮設ヤード排水処理装置
B・・・・・通水排水処理装置

図1
図2
図3A
図3B