(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022516
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】コンクリート保護用水性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/62 20060101AFI20220131BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220131BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20220131BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20220131BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20220131BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220131BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220131BHJP
E04B 1/66 20060101ALI20220131BHJP
E01D 22/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
E04B1/62 Z
C08G18/00 C
C08G18/28
C08G18/75
C08G18/73
C08K3/013
C08L75/04
E04B1/66 A
E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109473
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】永浜 定
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀磨
【テーマコード(参考)】
2D059
2E001
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059GG23
2D059GG40
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4J034RA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業性に優れ、非危険物であり、強靭性に優れるコンクリート保護材料を提供する。
【解決手段】コンクリート保護用水性樹脂組成物は、ウレタン樹脂(A)、白色顔料(B)、顔料分散樹脂(C)及び水性媒体(D)を含む。前記白色顔料(B)の含有率が、不揮発分中、0.5質量%以上20質量%以下である。前記ウレタン樹脂(A)が、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応物であり、前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオール(a1-1)と、親水性基を有するポリオール(a1-2)とを含む。前記ポリイソシアネート(a2)が、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上を含む。不揮発分の含有率が、30質量%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン樹脂(A)、白色顔料(B)、顔料分散樹脂(C)及び水性媒体(D)を含むコンクリート保護用水性樹脂組成物。
【請求項2】
前記白色顔料(B)の含有率が、不揮発分中、0.5質量%以上20質量%以下である請求項1記載のコンクリート保護用水性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂(A)が、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応物であり、前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオール(a1-1)と、親水性基を有するポリオール(a1-2)とを含むものである請求項1又は2記載のコンクリート保護用水性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(a2)が、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上を含むものである請求項1~3のいずれか1項記載のコンクリート保護用水性樹脂組成物。
【請求項5】
不揮発分の含有率が、30質量%以上である請求項1~4のいずれか1項記載のコンクリート保護用水性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート保護用水性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリート構造物の老朽化が社会問題となっており、各種コンクリート保護材料の開発が行われている。これらのコンクリート保護材料としては、ひび割れ注入剤や表面保護を目的とする被覆材等が利用されており、高強度塗膜を形成し得る材料として、2液型のポリウレタンが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、コンクリート保護材料には、従来の保護性能に加え、工事現場等での安全性確保のため、非危険物に該当する材料のニーズが高まりつつある。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、作業性に優れ、非危険物であり、強靭性に優れるコンクリート保護材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ウレタン樹脂(A)の水分散体と、白色顔料(B)を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ウレタン樹脂(A)、白色顔料(B)、顔料分散樹脂(C)及び水性媒体(D)を含むコンクリート保護用水性樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンクリート保護用水性樹脂組成物によれば、作業性に優れ、非危険物であり、強靭性に優れるコンクリート保護材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のコンクリート保護用水性樹脂組成物(以下、単に「水性樹脂組成物」という場合がある)は、ウレタン樹脂(A)、白色顔料(B)、顔料分散樹脂(C)及び水性媒体(D)を含む。
【0010】
前記ウレタン樹脂(A)としては、例えば、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)と、必要に応じて用いる鎖伸長剤(a3)の反応物が挙げられる。
【0011】
前記ポリオール(a1)としては、水分散安定性の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる1種以上のポリマーポリオール(a1-1)と、親水性基を有するポリオール(a1-2)とを含むことが好ましい。
【0012】
前記ポリマーポリオール(a1-1)の数平均分子量は、好ましくは500以上3,000以下である。本発明において、数平均分子量、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)により、ポリスチレンを標準試料として測定した換算値を表す。
【0013】
前記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキシドを付加重合させたもの;環状エーテルを開環重合させたもの等が挙げられる。
【0014】
前記開始剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-プロパンジオ-ル、1,3-プロパンジオ-ル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の直鎖状ジオール;ネオペンチルグリコール等の分岐鎖状ジオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ピロガロール等のトリオール;ソルビトール、蔗糖、アコニット糖等のポリオール;アコニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸等のトリカルボン酸;リン酸;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン;トリイソプロパノールアミン;ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸等のフェノール酸;1,2,3-プロパントリチオールなどが挙げられる。
【0015】
前記アルキレンオキシドとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。前記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0016】
前記ポリエーテルポリオールとしては、前記開始剤にテトラヒドロフランを付加重合(開環重合)させたポリオキシテトラメチレングリコールを使用することが好ましい。
【0017】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、基材密着性をより一層向上することができることから、500以上3,000以下であることが好ましい。
【0018】
ポリエーテルポリオールを含む場合、前記ポリオール(a1)中、ポリエーテルポリオールの含有率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0019】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール(例えば、分子量50以上500以下のポリオール)とポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;これらの共重合ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0020】
前記低分子量ポリオールとしては、分子量が50以上500未満程度のポリオールを用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール等の炭素原子数2以上6以下の脂肪族ポリオール;1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式構造含有ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びそれらのアルキレンオキシド付加物等の芳香族構造含有ポリオールなどが挙げられる。
【0021】
前記ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;並びに前記脂肪族ポリカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸の無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0022】
前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、基材密着性をより一層向上することができることから、500以上3,000以下であることが好ましい。
【0023】
ポリエステルポリオールを含む場合、前記ポリオール(a1)中、ポリエステルポリオールの含有率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0024】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとの反応物;ホスゲンとビスフェノールA等との反応物などが挙げられる。
【0025】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0026】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、上記低分子量ポリオールとして例示したポリオール;ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ポリエステルポリオール(ポリヘキサメチレンアジペート等)等の高分子量ポリオール(重量平均分子量500以上5,000以下)などが挙げられる。
【0027】
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、基材密着性をより一層向上することができることから、数平均分子量500~3,000であることが好ましい。
【0028】
前記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリイソブテンポリオール、水素添加(水添)ポリブタジエンポリオール、水素添加(水添)ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
【0029】
オレフィンポリオールを含む場合、前記ポリオール(a1)中、オレフィンポリオールの含有率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0030】
前記ポリオール(a1)中、ポリマーポリオール(a1-1)の合計の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくボは80質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0031】
また、前記親水性基を有するポリオール(a1-2)における親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等が挙げられ、前記親水性基を有するポリオール(a1-2)としては、例えば、前記したポリオール(a1-1)以外の、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、及び、ノニオン性基を有するポリオールを使用することができる。これらの中でも、アニオン性基を有するポリオールまたはカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましく、アニオン性基を有するポリオールを使用することがより好ましい。
【0032】
前記アニオン性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、カルボキシ基を有するポリオールや、スルホン酸基を有するポリオール、リン酸基を有するポリオール等が挙げられる。
【0033】
前記カルボキシ基を有するポリオールとしては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等のヒドロキシ酸;及び前記カルボキシ基を有するポリオールと前記ポリカルボン酸との反応物などが挙げられる。前記ヒドロキシ酸としては、2,2-ジメチロールプロピオン酸が好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも使用することもできる。
【0034】
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、5-スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4-スルホフタル酸、5-[4-スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸またそれらの塩と、前記芳香族構造を有するポリエステルポリオールの製造に使用可能なものとして例示した低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0035】
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
【0036】
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物などが挙げられる。ウレタン樹脂組成物の水分散安定性を向上させる観点から、前記塩基性化合物とアニオン性基とのモル比(塩基性基/アニオン性基)は、好ましくは0.5以上3.0以下、より好ましくは0.8以上2.0以下である。
【0037】
また、前記カチオン性基としては、3級アミノ基等が挙げられ、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば、3級アミノ基を有するポリオール等が挙げられる。具体的には、N-メチル-ジエタノールアミン、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0038】
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
【0039】
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等が挙げられる。これらの中でもジメチル硫酸を使用することが好ましい。
【0040】
また、前記ノニオン性基としては、ポリオキシエチレン構造を有する基が挙げられ、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレン構造を有するポリオール等が挙げられる。
【0041】
前記親水性基を有するポリオール(a1-2)の含有率は、ポリオール(a1)中、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0042】
前記ポリオール(a1)としては、前記したポリオールの他に、必要に応じてその他のポリオールを使用することができる。
【0043】
前記その他のポリオールとしては、低分子量ポリオール(例えば、分子量500以下のジオール、トリオール等)が挙げられ、例えば、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール化合物;グリセリン等のトリオール化合物;水素添加ビスフェノールA等の脂環式ポリオール;サッカロース等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキノン等のフェノール性水酸基含有化合物などが挙げられる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ジイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、黄変し難いことから、脂肪族または脂環式ジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0045】
前記ポリイソシアネート(a2)に含まれるイソシアネート基と、前記ポリオール(a1)に含まれるヒドロキシ基とのモル比[NCO/OH]は、好ましくは0.9以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
【0046】
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、種々の機械的特性や熱特性等の物性、具体的には、塗膜の高硬度化や強靭性の付与を目的として、必要に応じて鎖伸長剤(a3)を使用してもよい。
【0047】
前記鎖伸長剤(a3)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヒドラジン、o-トリレンジアミン、m-トリレンジアミン、p-トリレンジアミン等のジアミン化合物;ジエチレントリアミン等のトリアミン化合物、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のアミノ基を4個以上有するポリアミン化合物;などが挙げられ、前記低分子量ポリオール(例えば、分子量500以下のポリオール)を用いてもよい。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。本発明の水性樹脂組成物の保存安定性が低下しない範囲内で用いることもできる。
【0048】
前記ウレタン樹脂(A)の酸価は、水分散安定性がより向上することから、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上、さらに好ましくは5mgKOH/g以上、いっそう好ましくは10mgKOH/g以上であり、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは45mgKOH/g以下、いっそう好ましくは30mgKOH/g以下である。本発明でいう酸価は、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用したカルボキシ基やスルホン酸基を有するポリオール等の酸基含有化合物の使用量に基づいて、前記ウレタン樹脂(A)1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数として算出した理論値である。
【0049】
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)と必要に応じて用いる鎖伸長剤(a3)とを、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で反応させることにより、前記ウレタン樹脂(A)を製造することができる。前記反応は、通常50~150℃の温度範囲で行うことができる。
【0050】
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル化合物;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム化合物などが挙げられる。なお、これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0051】
前記ウレタン樹脂(A)の水分散体は、前記ウレタン樹脂(A)の製造後、反応液と水とを混合し、必要に応じて脱溶剤することによって得られる。
【0052】
前記ウレタン樹脂(A)の含有率は、前記水性樹脂組成物の不揮発分中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
【0053】
前記水性樹脂組成物の前記ウレタン樹脂(A)の含有率は、分散安定性を保持できることから、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%が以下、より好ましくは50質量%以下である。
【0054】
前記白色顔料(B)としては、無機白色顔料が好ましい。
【0055】
前記無機白色顔料としては、酸化チタン(好ましくはルチル型酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、リトポン等が挙げられる。
【0056】
なかでも、前記白色顔料(B)は、酸化チタンを含むことが好ましい。前記酸化チタンの含有率は、前記白色顔料(B)中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0057】
前記白色顔料(B)の重量平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下、いっそう好ましくは0.5μm以下である。前記無機粒子の重量平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
【0058】
前記白色顔料(B)の含有量は、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは2.0質量部以上であり、好ましくは15質量部以下、より好ましくは26質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
【0059】
前記白色顔料(B)の含有量は、水性樹脂組成物の不揮発分中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
【0060】
前記顔料分散剤(C)は、親水性基を有する重合体であり、前記顔料分散体(C)を用いることで、前記白色顔料(B)を水性媒体中に分散させることが容易となる。前記親水性基としては、前記アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基として例示した基が挙げられる。
【0061】
前記顔料分散剤(C)は、親水性基を有するモノマーに由来する単位、疎水性モノマーに由来する単位、ポリオキシアルキレン構造を有するモノマーに由来する単位を含む重合体であることが好ましい。前記顔料分散剤(C9は、ブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。
【0062】
前記親水性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2-メタクリロイルオキシメチルコハク酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。
【0063】
前記疎水性モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、4-ビニルトルエン(4-メチルスチレン)、ジビニルベンゼン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有するモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート及び/又は脂環式(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0064】
前記ポリオキシアルキレン構造を有するモノマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0065】
前記顔料分散剤(C)の数平均分子量は、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは3,000以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下、より更に好ましくは10,000以下、より更に好ましくは7,000以下である。
【0066】
前記顔料分散剤(C)の酸価は、ポリマーBの酸価は、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは100mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下、より更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
【0067】
前記顔料分散剤(C)の酸価は、JIS K 0070の方法に基づき測定できる。
【0068】
前記顔料分散剤(C)の含有量は、前記白色顔料(B)100質量部に対して、好ましくは05質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0069】
前記水性媒体(D)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶剤;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。これらの水と混和する有機溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0070】
また、前記水性媒体(D)は、安全性や環境に対する負荷低減を考慮すると、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみがより好ましい。前記水性媒体(B)中、水の含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0071】
前記水性媒体(D)は、本発明のウレタン脂組成物全量中に30~80質量%の範囲で含まれることが好ましく、50~70質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0072】
前記白色顔料(B)と顔料分散剤(C)とは、予め、顔料分散液を調製した後、ウレタン樹脂(A)と混合することが好ましい。
【0073】
前記顔料分散液中、白色顔料(B)の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
【0074】
前記顔料分散液、前記水性樹脂組成物を調製する際は、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル等を用いることができる。
【0075】
本発明の水性樹脂組成物には、前記ウレタン樹脂(A)の水分散体以外の添加剤として、架橋剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、界面活性剤、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、無機顔料、有機顔料、体質顔料、有機溶剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0076】
なかでも、本発明の水性樹脂組成物は、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の耐候安定剤を含んでいてもよい。前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0077】
前記酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバカート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロナート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセタート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、1,1’-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド等のヒンダードアミン系酸化防止剤;2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリストールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、及びトリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;3-3’-チオジプロパン酸ジオクタデシル、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、4,4’-チオビス-3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の有機硫黄系酸化防止剤;トリス[2,4-ジ-(tert)-ブチルフェニル]ホスフィントリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)等のリン酸エステル系酸化防止剤などが挙げられる。
【0078】
前記耐候安定剤を含む場合、その含有率は、前記水性樹脂組成物の不揮発分中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、例えば15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下であってもよい。
【0079】
本発明の水性樹脂組成物中の前記ウレタン樹脂(A)の含有量は、水への分散安定性を確保できることから10~50質量%が好ましい。
【0080】
本発明の水性樹脂組成物中の水の含有量は、水への分散安定性を確保できることから50~90質量%が好ましい。
【0081】
本発明の水性樹脂組成物は、例えば、セメントコンクリート、アスファルトコンクリート、モルタルコンクリート、レジンコンクリート、透水コンクリート、ALC(Autoclaved Lightweight Aerated Concrete)板等のコンクリートの保護材料として好適に用いることができる。
【0082】
本発明の水性樹脂組成物は、作業性に優れ、非危険物であり、透明性、強度、及び柔軟性等に優れる塗膜が得られることから、コンクリート補修材、コンクリート用防水材などの各種土木建築材料の施工の際に好適に用いることができる。
【実施例0083】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0084】
(合成例1)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製:エタナコールUH-200、分子量2000)239質量部、イソホロンジイソシアネート93質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸24質量部、及び、メチルエチルケトン237質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0085】
次いで、トリエチルアミン18質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水815質量部と80質量%ヒドラジン水溶液2.8質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得、次いでエージング・脱溶剤することによって、NV(不揮発分)35質量%の水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物を得た。
【0086】
(合成例2)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製:エタナコールUH-200、分子量2,000)267質量部、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート71質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸18質量部、及び、メチルエチルケトン237質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0087】
次いで、トリエチルアミン13質量部加えることで前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水819質量部とエチレンジアミン水溶液2.6質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水分散体を得、次いでエージング・脱溶剤することによって、NV(不揮発分)35質量%の水性ウレタン樹脂(2)の水性組成物を得た。
【0088】
(合成例3)
ウレタン化合物(A)の合成
ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PTMG」と略記する。)300質量部、ジプロピレングリコール(以下「DPG」と略記する。)85質量部を混合し、そこへトリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記する。)を200質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;4.5質量%のウレタンプレポリマー(A)を得た。
【0089】
(合成例4)
ウレタン化合物(B)の合成
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量;1,000、オキシエチレン構造の含有量;20質量%、以下、「EOPO」と略記する。)100質量部、TDI80質量部を反応させ、NCO%;16.8質量%のウレタンプレポリマーを得た。次いで、キシレンを40質量部加えて撹拌しながら、N-2-イソプロピル-3-(2-ヒドロキシエチル)-1,3-オキサゾリジン(以下、「OXZ-1」と略記する。)114.5質量部を、発熱を抑えながらゆっくり滴下した。発熱が収まったのを確認した後、70℃にて8時間撹拌させ、オキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)を得た。
【0090】
密閉した混合容器内で表1に示した所定量のウレタンプレポリマー(A)とウレタン化合物(B)、更に予め乾燥した炭酸カルシウム(日東粉化製「NS-200」)400質量部、ジオクチルフタレート50質量部、キシレン50質量部、及び、サリチル酸0.4質量部を均一に混合し、NV(不揮発分)80質量%の溶剤系ウレタン(3)の溶剤系組成物を得た。
【0091】
[実施例1]
白色顔料(Chemous製 R-706)63質量部、顔料分散樹脂(ビックケミー製:DISPERBYK-190)7.7質量部、水29質量部をサンドミルで混合分散させることで白顔料分散液を得た。得られた白顔料分散液を5.8質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部を混合することで、NV(不揮発分)37質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(1)を得た。
【0092】
[実施例2]
得られた白顔料分散液を5.8質量部、水性ウレタン樹脂(2)の水性組成物94質量部を混合することで、NV(不揮発分)37質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(2)を得た。
【0093】
[実施例3]
実施例1で得られた白顔料分散液を13.2質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部を混合することで、NV(不揮発分)39質量%、PWC(顔料重量濃度)20質量%のコンクリート剥離防止用組成物(3)を得た。
【0094】
[実施例4]
実施例1で得られた白顔料分散液1.1質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部を混合することで、NV(不揮発分)35質量%、PWC(顔料重量濃度)2質量%のコンクリート剥離防止用組成物(4)を得た。
【0095】
[実施例5]
実施例1で得られた白顔料分散液0.26質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部を混合することで、NV(不揮発分)35質量%、PWC(顔料重量濃度)0.5質量%のコンクリート剥離防止用組成物(5)を得た。
【0096】
[実施例6]
実施例1で得られた白顔料分散液13.8質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(HALS,Tinuvin 123-DW(N) BASFジャパン製)3質量部を混合することで、NV(不揮発分)39質量%、PWC(顔料重量濃度)20質量%のコンクリート剥離防止用組成物(6)を得た。
【0097】
[実施例7]
実施例1で得られた白顔料分散液6.1質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(HALS,Tinuvin 123-DW(N) BASFジャパン製)3質量部を混合することで、NV(不揮発分)37質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(7)を得た。
【0098】
[実施例8]
実施例1で得られた白顔料分散液6.0質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(UVA,Tinuvin 400-DW(N) BASFジャパン製)3質量部を混合することで、NV(不揮発分)37質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(8)を得た。
【0099】
[実施例9]
実施例1で得られた白顔料分散液6.0質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(酸化防止剤,セロゾールL306-40 中京油脂製)3質量部を混合することで、NV(不揮発分)37質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(9)を得た。
【0100】
[実施例10]
実施例1で得られた白顔料分散液6.1質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(HALS,Tinuvin 249-DW(N) BASFジャパン製)1.5質量部、耐候安定剤(UVA,Tinuvin 477-DW(N) BASFジャパン製)1.5質量部を混合することで、NV(不揮発分)37質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(10)を得た。
【0101】
[実施例11]
実施例1で得られた白顔料分散液1.1質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(HALS,Tinuvin 123-DW(N) BASFジャパン製)3質量部を混合することで、NV(不揮発分)36質量%、PWC(顔料重量濃度)2質量%のコンクリート剥離防止用組成物(11)を得た。
【0102】
[実施例12]
実施例1で得られた白顔料分散液0.27質量部、水性ウレタン樹脂(1)の水性組成物94質量部、耐候安定剤(HALS,Tinuvin 123-DW(N) BASFジャパン製)3質量部を混合することで、NV(不揮発分)36質量%、PWC(顔料重量濃度)0.5質量%のコンクリート剥離防止用組成物(12)を得た
【0103】
[比較例1]
白顔料(Chemous製 R-706)60質量部、顔料分散樹脂(Lubrizolジャパン Solsperse 24000SC)3.0質量部、キシレン37質量部をサンドミルで混合分散させることで白顔料分散液を得た。得られた白顔料分散液を14質量部、溶剤系ウレタン樹脂(3)の溶剤系組成物94質量部を混合することで、NV(不揮発分)45質量%、PWC(顔料重量濃度)10質量%のコンクリート剥離防止用組成物(13)を得た。
【0104】
【0105】
実施例1~12は、本発明の実施例であり、作業性に優れ、非危険物であり、強靭性に優れるコンクリート材料を提供することが可能であった。
【0106】
【0107】
比較例1は、溶剤系ウレタンを用いた例であり、非危険物に該当せず、環境対応性が不十分であった。
本発明の水性樹脂組成物は、作業性に優れ、非危険物であり、透明性、強度、及び柔軟性等に優れる塗膜が得られることから、コンクリート補修材、コンクリート用防水材などの各種土木建築材料の施工の際に好適に用いることができる。