(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022625
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20220131BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220131BHJP
F21S 43/145 20180101ALI20220131BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20220131BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20220131BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20220131BHJP
F21S 43/33 20180101ALI20220131BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220131BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20220131BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220131BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20220131BHJP
F21Y 105/00 20160101ALN20220131BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20220131BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S43/14
F21S43/145
F21S43/15
F21S43/245
F21S43/249
F21S43/33
F21V23/00 160
F21W103:35
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y105:00
F21W103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112617
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】発光素子を設けた場合であっても、製造工程や配線が煩雑になることを抑制可能な車両用窓ガラスを提供すること。
【解決手段】本発明にかかる車両用窓ガラスは、ガラス板10と、遮光部13と、バスバー11、12、41と、バスバー11、12の間に延在する複数のヒーター線15と、バスバー11に接続された給電線21と、給電線21に接続された複数の発光素子31と、を備える。給電線21は、複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分を含み、かつバスバー41に電気的に接続され、複数の発光素子31は、給電線21の複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、
前記ガラス板の周囲に設けられた遮光部と、
前記遮光部の第1の側に設けられた第1のバスバーと、
前記遮光部の前記第1の側と対向する第2の側に設けられた第2のバスバーおよび第3のバスバーと、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーの間に延在する複数のヒーター線と、
前記ガラス板の表面に設けられるとともに、前記第1のバスバーに接続された第1の給電線と、
前記ガラス板の表面に設けられるとともに、前記第1の給電線に接続された複数の第1の発光素子と、を備え、
前記第1の給電線は、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、かつ前記第3のバスバーに電気的に接続され、
前記複数の第1の発光素子は、前記第1の給電線の前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分に接続される、
車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーのいずれか一方は、接地電位またはマイナス電位に接続されている、請求項1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記複数のヒーター線は、前記第1の給電線に最も近い第1のヒーター線と、前記第1の給電線に2番目に近い第2のヒーター線と、を有し、
前記第1のヒーター線、前記第2のヒーター線、および前記第1の給電線はそれぞれ、隣り合う線の間隔が略同一である、
請求項1または2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記複数のヒーター線および前記第1の給電線の線幅が略同一である、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記複数のヒーター線の線幅をWa、前記複数の第1の発光素子の幅をWbとしたとき、0.1Wb≦Wa≦2Wbを満たす、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記複数のヒーター線の線幅Wa[mm]は、0.5≦Wa≦5を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記ガラス板は、前記複数の第1の発光素子が配置される部分に反射防止コーティングを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記複数の第1の発光素子は、前記複数の第1の発光素子を覆うように設けられた封止材を用いて、前記ガラス板に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記封止材は、前記複数の第1の発光素子と接する面に反射コーティングを有する、請求項8に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記ガラス板は、前記遮光部と重複しない透過領域を有し、
前記封止材の可視光透過率は、前記透過領域の可視光透過率以下である、請求項8または9に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記複数の第1の発光素子は、前記第1の給電線により直列接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記第1のバスバーに電気的に接続された第2の給電線を更に備え、
前記第2の給電線は、前記第3のバスバー、または前記第2の側の第4のバスバーに接続され、
前記第2の給電線は、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、
前記第2の給電線の前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分には複数の第2の発光素子が接続されており、
前記複数の第2の発光素子は、前記第2の給電線により直列接続されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記第1の給電線は、前記第2の給電線側に突出するとともに、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する第1の突出部を含み、前記複数の第1の発光素子は前記第1の突出部に接続されており、
前記第2の給電線は、前記第1の給電線側に突出するとともに、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する第2の突出部を含み、前記複数の第2の発光素子は前記第2の突出部に接続されており、
前記複数の第1の発光素子と前記複数の第2の発光素子とが、前記複数のヒーター線と平行な同一直線上に配置されている、
請求項12に記載の車両用窓ガラス。
【請求項14】
前記第1のバスバーに電気的に接続された第2の給電線を更に備え、
前記第2の給電線は、前記第3のバスバー、または前記第2の側の第4のバスバーに接続され、
前記第2の給電線の前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分には前記複数の第1の発光素子が接続され、
前記複数の第1の発光素子は、前記第1の給電線および前記第2の給電線の間で並列接続されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項15】
前記第2の給電線は、前記第3のバスバーに接続されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項16】
前記第2の給電線は、前記第4のバスバーに接続されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用窓ガラスに関し、特に発光素子を備える車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のハイマウントストップランプを車両の窓板に取り付ける構成が検討されている。特許文献1には、2枚のガラス板の間に発光素子(LED)が封入された合わせガラスに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、特許文献1には、2枚のガラス板の間に発光素子(LED)が封入された合わせガラスに関する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、2枚のガラス板の間に発光素子を配置した後、中間膜を2枚のガラス板で挟み込んで圧着する工程を経る必要があるため、製造工程が煩雑になるという問題がある。また、特許文献1に開示されている技術では、合わせガラスの内部から外部に電極を取り出す必要があるため配線が煩雑になるという問題がある。
【0005】
上記課題に鑑み本発明の目的は、発光素子を設けた場合であっても、製造工程や配線が煩雑になることを抑制可能な車両用窓ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる車両用窓ガラスは、ガラス板と、前記ガラス板の周囲に設けられた遮光部と、前記遮光部の第1の側に設けられた第1のバスバーと、前記遮光部の前記第1の側と対向する第2の側に設けられた第2のバスバーおよび第3のバスバーと、前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーの間に延在する複数のヒーター線と、前記ガラス板の表面に設けられるとともに、前記第1のバスバーに接続された第1の給電線と、前記ガラス板の表面に設けられるとともに、前記第1の給電線に接続された複数の第1の発光素子と、を備える。前記第1の給電線は、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、かつ前記第3のバスバーに電気的に接続され、前記複数の第1の発光素子は、前記第1の給電線の前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分に接続される。
【0007】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーのいずれか一方は、接地電位またはマイナス電位に接続されてもよい。
【0008】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数のヒーター線は、前記第1の給電線に最も近い第1のヒーター線と、前記第1の給電線に2番目に近い第2のヒーター線と、を有してもよく、前記第1のヒーター線、前記第2のヒーター線、および前記第1の給電線はそれぞれ、隣り合う線の間隔が略同一であってもよい。
【0009】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数のヒーター線および前記第1の給電線の線幅が略同一であってもよい。
【0010】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数のヒーター線の線幅をWa、前記複数の第1の発光素子の幅をWbとしたとき、0.1Wb≦Wa≦2Wbを満たしてもよい。
【0011】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数のヒーター線の線幅Wa[mm]は、0.5≦Wa≦5を満たしてもよい。
【0012】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記ガラス板は、前記複数の第1の発光素子が配置される部分に反射防止コーティングを有してもよい。
【0013】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数の第1の発光素子は、前記複数の第1の発光素子を覆うように設けられた封止材を用いて、前記ガラス板に取り付けられてもよい。
【0014】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記封止材は、前記複数の第1の発光素子と接する面に反射コーティングを有してもよい。
【0015】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記ガラス板は、前記遮光部と重複しない透過領域を有してもよく、前記封止材の可視光透過率は、前記透過領域の可視光透過率以下であってもよい。
【0016】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数の第1の発光素子は、前記第1の給電線により直列接続されてもよい。
【0017】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のバスバーに電気的に接続された第2の給電線を更に備えてもよく、前記第2の給電線は、前記第3のバスバー、または前記第2の側の第4のバスバーに接続されてもよく、前記第2の給電線は、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、前記第2の給電線の前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分には複数の第2の発光素子が接続されてもよく、前記複数の第2の発光素子は、前記第2の給電線により直列接続されてもよい。
【0018】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1の給電線は、前記第2の給電線側に突出するとともに、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する第1の突出部を含んでもよく、前記複数の第1の発光素子は前記第1の突出部に接続されてもよく、前記第2の給電線は、前記第1の給電線側に突出するとともに、前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する第2の突出部を含んでもよく、前記複数の第2の発光素子は前記第2の突出部に接続されてもよく、前記複数の第1の発光素子と前記複数の第2の発光素子とが、前記複数のヒーター線と平行な同一直線上に配置されてもよい。
【0019】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のバスバーに電気的に接続された第2の給電線を更に備えてもよく、前記第2の給電線は、前記第3のバスバー、または前記第2の側の第4のバスバーに接続されてもよく、前記第2の給電線の前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分には前記複数の第1の発光素子が接続されてもよく、前記複数の第1の発光素子は、前記第1の給電線および前記第2の給電線の間で並列接続されてもよい。
【0020】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第2の給電線は、前記第3のバスバーに接続されてもよい。
【0021】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第2の給電線は、前記第4のバスバーに接続されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、発光素子を設けた場合であっても、製造工程や配線が煩雑になることを抑制可能な車両用窓ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる車両用窓ガラスの発光素子およびヒーター線を含む領域の断面図である。
【
図3】実施の形態1にかかる車両用窓ガラスに発光素子を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1にかかる車両用窓ガラスに発光素子を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1にかかる車両用窓ガラスに発光素子を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図6】実施の形態2にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
【
図7】実施の形態3にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
【
図8】実施の形態3にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
【
図9】実施の形態4にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1は、ガラス板10、バスバー11、12、遮光部13、複数のヒーター線15、給電線21、及び複数の発光素子31を備える。本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1は、典型的には車両のリアガラスに利用できる。しかし、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1は、リアガラス以外の任意の場所(例えば、サイドガラス、ルーフガラス、クォーターガラスなど)に用いてもよい。
【0025】
ガラス板10は、車両用のガラス板であり、例えば中間膜を介して複数枚のガラス板を貼り合わせた合わせガラスでもよく、1枚のガラス板でもよい。
図1に示すガラス板10は台形状であるが、ガラス板10の形状は、ガラス板10を取り付ける場所に応じて適宜変更できる。例えば、ガラス板10は、矩形状や三角形状等でもよく、角部や辺が曲率を有する形状であってもよい。また、ガラス板10の主面が有限の曲率を有してもよい。この場合、ガラス板10は、一方向(例えばx軸方向またはy軸方向)への曲率を有する、「単曲曲げ」形状や、直交する二方向(例えばx軸方向およびy軸方向)への曲率を有する、「複曲曲げ」形状でもよい。
【0026】
遮光部13は、ガラス板10の周囲に設けられている。具体的には、遮光部13は、ガラス板10の外周に沿って形成されている。そして、遮光部13はガラス板のz軸方向マイナス側の表面に形成されている。遮光部13は、可視光を遮光する部材である。遮光部13を設けた場合は、ガラス板10を車両に取り付けた際に、取り付け箇所等が車外から視認されにくくなるので、車両のデザイン性が向上する。また、バスバー11、12、41についても同様に遮光部13と重畳するように形成されることで、車外から視認されにくくなるので、車両のデザイン性が向上する。なお、
図1に示すように、ガラス板10のうち遮光部13が形成されていない領域は、可視光を透過可能な透過領域14となる。つまり透過領域14は、遮光部13と重複しない領域である。
【0027】
バスバー11は、ガラス板10の外周のうちx軸方向マイナス側の辺に沿うように設けられている。具体的には、バスバー11は、ガラス板10の外周に設けられた遮光部13のうち、x軸方向マイナス側の遮光部13_1と重畳するように、かつ遮光部13_1が伸びる方向(長手方向)に沿うように設けられている。
【0028】
バスバー12は、ガラス板10の外周のうちx軸方向プラス側の辺に沿うように設けられている。具体的には、バスバー12は、ガラス板10の外周に設けられた遮光部13のうち、x軸方向プラス側の遮光部13_2(換言すると、遮光部13_1と対向する遮光部13_2)と重畳するように、かつ遮光部13_2が伸びる方向(長手方向)に沿うように設けられている。
【0029】
バスバー11とバスバー12との間には、複数のヒーター線15が延在している。複数のヒーター線15は電流が流れると発熱してガラス板10を加熱するデフォッガとしての機能を有する。複数のヒーター線15には、バスバー11およびバスバー12から電源が供給される。例えば、バスバー11が接地電位に接続され、バスバー12が所定の電源電位(プラス電位)に接続されている場合、複数のヒーター線15にはバスバー12からバスバー11に向かって(x軸方向マイナス側に向かって)電流が流れる。逆に、バスバー12が接地電位に接続され、バスバー11が所定の電源電位(プラス電位)に接続されている場合、複数のヒーター線15にはバスバー11からバスバー12に向かって(x軸方向プラス側に向かって)直流電流が流れる。なお、以下では、バスバー11が接地電位に接続され、バスバー12が所定の電源電位(プラス電位)に接続されている場合を例に説明する。
【0030】
給電線21の一端(x軸方向マイナス側の端部)はバスバー11に接続され、他端(x軸方向プラス側の端部)はバスバー41に接続されている。給電線21は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含むように構成されている。複数の発光素子31は給電線21に接続されており、複数の発光素子31には給電線21から電源が供給される。複数の発光素子31は、給電線21のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分に接続されている。また、本実施の形態では、複数の発光素子31は、給電線21のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分において点在するように配置されている。
図1に示す構成例では、複数の発光素子31は、給電線21により直列接続されている。給電線21の他端(つまり、バスバー11側の端部と反対側の端部)はバスバー41に接続されており、バスバー41に電源電圧が供給されることで、複数の発光素子31が発光する。また、給電線21は、バスバー41に印加する電圧を高くし、ヒーター線としても機能できる。
【0031】
図1では、複数の発光素子31は等間隔に配置されているが、発光素子の配置間隔は適宜調整できる。つまり、複数の発光素子は、ヒーター線15が延伸する方向(x軸方向)に疎密を設けるように配置してよい。例えば、複数の発光素子の間隔は、車両用窓ガラス1において、x軸方向の中央部、バスバー11の近傍、バスバー41の近傍等で、部分的に密でもよい。このように、複数の発光素子の間隔を密にすることで、視認性を向上できる。また、複数の発光素子の間隔は、段階的に変化させてもよい。
【0032】
複数の発光素子31は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、有機EL素子などを用いて構成できる。
図2は、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスの発光素子31およびヒーター線15を含む領域の断面図である。
図2に示すように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1において、発光素子31(給電線21も含む)およびヒーター線15は、ガラス板10の車内側の表面(つまりガラス板のz軸方向マイナス側の表面)に取り付けられている。発光素子31は、車外(z軸方向プラス側)に光を発光するように構成されている(
図2において光の方向を破線矢印で示している)。例えば、発光素子31には、背面照光タイプの発光素子を使用できる。
【0033】
図1に示すように、給電線21に最も近いヒーター線15_1、給電線21に2番目に近いヒーター線15_2、及び給電線21はそれぞれ、隣り合う線の間隔d1、d2が略同一であってもよい。具体的には、ヒーター線15_1とヒーター線15_2との間隔d1と、ヒーター線15_1と給電線21との間隔d2とが、略同一であってもよい。ここで略同一とは、例えば、間隔d2は、間隔d1の70~130%であることを意味している。このような構成とすることで、車両用窓ガラス1の意匠性を向上できる。間隔d2は、間隔d1の80~120%が好ましく、90~110%がより好ましく、特に同一が好ましい。
【0034】
また本実施の形態では、複数のヒーター線15および給電線21の線幅は、略同一でもよい。このように、複数のヒーター線15および給電線21の線幅が略同一であることで、車両用窓ガラス1の意匠性を更に向上できる。ここで略同一とは、線幅の標準偏差が3mm以下であることを意味している。ヒーター線15および給電線21の線幅の標準偏差は、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。
【0035】
図2に示すように、本実施の形態では、複数のヒーター線15の線幅をWa[mm]、複数の発光素子31の幅をWb[mm]としたとき、WaおよびWbは、0.1Wb≦Wa≦2Wbを満たす線幅としてもよい。このとき、複数のヒーター線15の線幅Waは0.1≦Wa≦3を満たしてもよい。このような構成とすることで、複数のヒーター線15と複数の発光素子31との視覚的な整合性がとれて、車両用窓ガラス1の意匠性を向上できる。また、複数のヒーター線15の線幅Waを上記範囲に設定することで、複数の発光素子31の大きさを確保でき、複数の発光素子31を高輝度化できる。なお、複数のヒーター線15のそれぞれ線幅が異なるときは、線幅Waは、それぞれの線幅の平均値を指す。また、複数の発光素子31のそれぞれの幅が異なるときは、幅Wbは、それぞれの幅の平均値を指す。
【0036】
本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1において、複数のヒーター線15、及び給電線21は、同じ材料で構成されてよい。例えば、導電性金属を含有するペースト(例えば、銀ペースト等)をガラス板10の表面にプリントして焼付けて形成してもよい。また、複数のヒーター線15、及び給電線21は、銅等の導電性材料を含有する線状体または箔状体をガラス板10の表面に貼付して形成してもよい。バスバー11、12、及びバスバー41についても同様の方法を用いて形成できる。
【0037】
図3は、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1に発光素子31を取り付けた状態を示す断面図である。
図3に示すように、各々の発光素子31は、発光素子31に対してx軸方向プラス側の給電線21_1と、発光素子31に対してx軸方向マイナス側の給電線21_2とに電気的に接続されている。具体的には、発光素子31の一方の端子(リード)51がx軸方向プラス側の給電線21_1に接続され、発光素子31の他方の端子(リード)52がx軸方向マイナス側の給電線21_2に接続されている。このような構成とすることで、各々の発光素子31を、給電線21により直列接続できる。なお、「電気的に接続」とは、直接的な接続と間接的な接続とを含む。また、単なる「接続」は、直接的な接続のみを意味し、「電気的に接続」と使い分ける場合がある。間接的な接続は、交流的に(容量結合として)接続されるのではなく、直流的に接続されることを意味する。
【0038】
例えば、ガラス板10と発光素子31との間に粘着部材(不図示)を設けて、発光素子31をガラス板10に貼り付けてもよい。また、
図4に示すように、発光素子31の上面(z軸方向マイナス側の面)を覆うように封止材53を設け、発光素子31をガラス板10に貼り付けてもよい。この場合、封止材53は、各々の発光素子31が配置されている箇所に部分的に設けてもよい。また、
図5に示すように、各々の発光素子31と給電線21とを含む直線上の領域全体に封止材54を設けてもよい。封止材53、54には、例えば樹脂材料を使用できる。樹脂材料は、具体的には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、樹脂材料は、光硬化性樹脂、反応硬化性樹脂等の硬化性樹脂を使用してもよい。
【0039】
また、
図5に示す構成において、封止材54の代わりにアッシー部品を用いてもよい。この場合は、複数の発光素子31が組み込まれたアッシー部品を、給電線21を含む直線上の領域に配置する。これにより、複数の発光素子31をガラス板10に固定できるとともに、各々の発光素子31の端子51、52を給電線21_1、21_2に接続できる。
【0040】
本実施の形態において、ガラス板10は、発光素子31が配置される部分に反射防止コーティングを有してもよい。
図3を用いて具体的に説明すると、ガラス板10は、z軸方向においてガラス板10と発光素子31とが重畳する位置に反射防止コーティングを備えてもよい。このように反射防止コーティングを設けられることで、発光素子31から出射した光を車外(z軸方向プラス側)に効率的に放射できる。例えば、反射防止コーティングは、ガラス板10の車内側(z軸方向マイナス側)の面に設けることが好ましい。また、反射防止コーティングは、ガラス板10の車内側(z軸方向マイナス側)の面とガラス板10の車外側(z軸方向プラス側)の面の両方に設けてもよい。
【0041】
また、
図4、
図5に示した構成において、封止材53、54は、発光素子31と接する面および/または発光素子31と接する面と反対側の面に反射コーティングを備えてもよい。反射コーティングは、例えば、Al、Cr、Ni、Sn、Agなどの金属粒子を含有する樹脂被覆、多層誘電体膜等が挙げられる。このように、封止材53、54が反射コーティングを備えることで、発光素子31から出射した光が車内(z軸方向マイナス側)に入り込むことを抑制できる。
【0042】
また、本実施の形態では、封止材53、54の可視光透過率は、ガラス板10の透過領域14の可視光透過率以下が好ましい。封止材53、54の具体的な可視光透過率は、ガラス板10の種類にもよるが、例えば、50%以下としてもよい。これらの構成とした場合も、発光素子31から出射した光が車内(z軸方向マイナス側)に入り込むことを抑制できる。封止材53、54の可視光透過率は、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下である。
【0043】
本実施の形態では、封止材53、54の発光素子31と接する面に反射コーティングを設ける構成と、封止材53、54の可視光透過率を50%以下とする構成および/または封止材53、54の可視光透過率をガラス板10の透過領域14の可視光透過率以下とする構成と、を組み合わせてもよい。
【0044】
上述のように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1では、給電線21と複数の発光素子31とをガラス板10の表面に設けている(
図2参照)。したがって、特許文献1のように2枚のガラス板の間に発光素子を封入する必要がないので、製造工程が煩雑になることを抑制できる。
【0045】
また、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1において、給電線21は、複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分を含んでおり、複数の発光素子31は、給電線21の複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分に接続されている(
図1参照)。このような構成とすることで、複数の発光素子31に給電するための給電線21が、複数のヒーター線15と視覚的な整合性がとれ、意匠性に優れる。具体的には、給電線21が目立ちにくくなるため、車両の搭乗者が、車両用窓ガラス1の反対側の景色を観察しやすくなる。なお、これらの効果は、車両に対する車両用窓ガラスの取り付け角度によらない。
【0046】
よって、本実施の形態にかかる発明により、発光素子を設けた場合であっても、製造工程や配線が煩雑になることを抑制可能な車両用窓ガラスを提供できる。
【0047】
また、本実施の形態では、給電線21の複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分に、複数の発光素子31が点在するように配置している。したがって、車両用窓ガラス1の意匠性(デザイン性)を向上できる。
【0048】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図6は、実施の形態2にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。実施の形態2にかかる車両用窓ガラス2は、実施の形態1で説明した車両用窓ガラス1(
図1参照)と比べて、複数の給電線23~25を備える点が異なる。これ以外は実施の形態1で説明した車両用窓ガラス1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0049】
図6に示すように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス2は、複数本の給電線23~25を備える。各々の給電線23~25の一端(x軸方向マイナス側の端部)はそれぞれ、バスバー11に接続されている。各々の給電線23~25はそれぞれ、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含むように構成されている。各々の給電線23~25の複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分には、複数の発光素子33~35が点在するようにそれぞれ配置されている。
【0050】
具体的には、複数の発光素子33は給電線23により直列接続されており、複数の発光素子33には給電線23から電源が供給される。複数の発光素子34は給電線24により直列接続されており、複数の発光素子34には給電線24から電源が供給される。複数の発光素子35は給電線25により直列接続されており、複数の発光素子35には給電線25から電源が供給される。各々の給電線23~25の他端(x軸方向プラス側の端部)はバスバー41に接続されており、バスバー41に電源電圧が供給されることで、複数の発光素子33~35が発光する。
【0051】
各々の給電線23~25は、互いに並列接続されている。例えば、
図6に示すように、各々の給電線23~25のx軸方向プラス側を1点の接続点で接続した後に、当該接続点をバスバー41に接続するようにしてもよい。また、各々の給電線23~25の他端をそれぞれバスバー41に接続するようにしてもよい。
【0052】
図1に示した構成例では、1本の給電線21に複数の発光素子31を直列接続した構成を示した。ここで、発光素子31を発光させるためには各々の発光素子31に所定の電源電圧を印加する必要があるが、給電線21を用いて発光素子31を直列接続した場合は、直列接続された発光素子31の数が多くなるほど、バスバー41に印加する電圧を高くする必要がある。換言すると、各々の発光素子31に所定の電源電圧を印加するために、バスバー41には発光素子31の数に応じた電源電圧を印加する必要がある。このため、1本の給電線21に接続できる発光素子31の数には上限がある。
【0053】
本実施の形態では、
図6に示したように、y軸方向に複数の給電線23~25を設け、これら各々の給電線23~25に、複数の発光素子33~35をそれぞれ直列接続している。そして、各々の給電線23~25を互いに並列接続している。このような構成とすることで、車両用窓ガラス2に設ける発光素子33~35の総数を増やせる。なお、各々の給電線23~25に互いに並列接続される複数の発光素子33、34、35はそれぞれ発光色が異なってもよい。
【0054】
なお、
図6に示す構成例では、複数の発光素子33~35をx軸方向の中央部に配置した例を示したが、複数の発光素子33~35の配置は任意に決定できる。また、
図6では、3本の給電線23~25を設けた構成例を示したが、本実施の形態において給電線の数は、2本以上であれば任意に決定できる。
【0055】
また、
図6に示す構成例では、1つのバスバー41から各々の給電線23~25に電源電圧を供給する構成を示した。しかし本実施の形態では、各々の給電線23~25をそれぞれ別々のバスバー(不図示)に接続するように構成してもよい。このように構成した場合は、各々のバスバーに電源電圧を供給するタイミング(つまり、各々の給電線23~25に電源電圧が供給されるタイミング)を制御することで、発光素子33~35の発光タイミングを別々に制御できる。
【0056】
また、
図6に示す構成例では、各々の給電線23~25に直列接続される発光素子33~35の数を同数(
図6に示す場合は5個)としたが、各々の給電線23~25に直列接続される発光素子33~35の数は異なるようにしてもよい。各々の給電線23~25に接続される発光素子33~35の数を異なるようにした場合は、各々の発光素子33~35に印加される電圧値が同等となる様に、抵抗素子を用いて補償してもよい。
【0057】
例えば、給電線23に接続される発光素子33の数を3個とし、給電線24、25に接続される発光素子34、35の数をそれぞれ5個とした場合は、電圧補償用の抵抗素子(2つの発光素子の電圧を補償する抵抗素子)を給電線23に直列接続してもよい。このように抵抗素子を設けることで、各々の給電線23~25に接続された各々の発光素子33~35に印加される電圧値をそろえることができる。
【0058】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図7は、実施の形態3にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。実施の形態3にかかる車両用窓ガラス3は、実施の形態1、2で説明した車両用窓ガラスと比べて、給電線26、27および発光素子36、37の配置が異なる。これ以外は実施の形態1、2で説明した車両用窓ガラスと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0059】
図7に示すように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス3は、2本の給電線26、27を備える。各々の給電線26、27の一端はそれぞれ、バスバー11に接続されている。各々の給電線26、27はそれぞれ、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含むように構成されている。
【0060】
本実施の形態において、給電線26は、給電線27側(y軸方向マイナス側)に突出するとともに複数のヒーター線15と平行な方向に延在する突出部26aを含む。複数の発光素子36は、突出部26aに接続され、かつ点在するように配置されている。また、給電線27は、給電線26側(y軸方向プラス側)に突出するとともに複数のヒーター線15と平行な方向に延在する突出部27aを含む。複数の発光素子37は、突出部27aに接続され、かつ点在するように配置されている。また、複数の発光素子36と複数の発光素子37は、複数のヒーター線15と平行な同一直線上に配置されている。
【0061】
複数の発光素子36は給電線26により直列接続されており、複数の発光素子36には給電線26から電源が供給される。複数の発光素子37は給電線27により直列接続されており、複数の発光素子37には給電線27から電源が供給される。各々の給電線26、27の他端はバスバー41に接続されており、バスバー41に電源電圧が供給されることで、複数の発光素子36、37が発光する。
【0062】
本実施の形態では、
図7に示したように、給電線26に給電線27側に突出する突出部26aを設け、突出部26aに複数の発光素子36を配置している。また、給電線27に給電線26側に突出する突出部27aを設け、突出部27aに複数の発光素子37を配置している。そして、複数の発光素子36と複数の発光素子37とが同一直線上(x軸方向)に配置されるように構成している。このような構成とすることで、同一直線上に並んでいる複数の発光素子36、37に、2本の給電線26、27を用いて給電できる。
【0063】
すなわち、
図1に示した構成例のように、1本の給電線21を用いて複数の発光素子31に電源を供給した場合は、直列接続された発光素子31の数が多くなるほど、バスバー41に印加する電圧を高くする必要がある。このため、1本の給電線21に接続できる発光素子31の数には上限がある。
【0064】
これに対して本実施の形態では、
図7に示す構成とすることで、同一直線上に並んでいる複数の発光素子36、37に、2本の給電線26、27を用いて給電できる。したがって、同一直線上に配置できる発光素子36、37の数を増やせる。例えば、本実施の形態にかかる構成とすることで、実施の形態1にかかる構成と比べて2倍の数の発光素子を同一直線上に配置できる。なお、同一直線上とは、略同一直線上を含んでおり、複数の発光素子36と複数の発光素子37とがy軸方向において若干ずれていてもよいものとする。
【0065】
図8は、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
図8に示す車両用窓ガラス3aでは、給電線26の突出部26aをバスバー12側(x軸方向プラス側)に設け、突出部26aに複数の発光素子36を配置している。また、給電線27の突出部27aをバスバー11側(x軸方向マイナス側)に設け、突出部27aに複数の発光素子37を配置している。そして、各々の給電線26、27の他端(x軸方向プラス側の端部)を各々別々のバスバー42、43に接続している。具体的には、給電線26の他端をバスバー42に接続し、給電線27の他端をバスバー43に接続している。このような構成とした場合は、各々のバスバー42、43にそれぞれ独立に電源電圧を供給できる。したがって、各々の発光素子36、37を独立に制御できる。例えば、
図8に示す構成例では、各々の発光素子36、37をターンシグナルランプとして使用できる。
【0066】
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図9は、実施の形態4にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。実施の形態4にかかる車両用窓ガラス4は、実施の形態1~3で説明した車両用窓ガラスと比べて、給電線28、29および発光素子38の配置が異なる。これ以外は実施の形態1~3で説明した車両用窓ガラスと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0067】
図9に示すように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス4は、2本の給電線28、29を備える。給電線28の一端(x軸方向プラス側の一端)は、バスバー44に接続され、他端(x軸方向マイナス側の一端)は、バスバーに接続されていない。また、給電線29の一端(x軸方向マイナス側の一端)は、バスバー11に接続され、他端(x軸方向プラス側の一端)は、バスバーに接続されていない。
【0068】
2本の給電線28、29が接続されるバスバーは逆でもよい。具体的には、給電線28の一端(x軸方向マイナス側の一端)は、バスバー11に接続され、他端(x軸方向プラス側の一端)は、バスバーに接続されず、給電線29の一端(x軸方向プラス側の一端)は、バスバー44に接続され、他端(x軸方向マイナス側の一端)は、バスバーに接続されなくてもよい。つまり、本実施形態において、2本の給電線28、29は、ともに、電気的にバスバー11およびバスバー44に接続されればよく、一端はバスバーに直接接続され、他端はバスバーに直接接続されなくてもよい。このとき、2本の給電線28、29は、それぞれ異なるバスバーに直接接続され、それぞれのバスバーの極性は異なる。
【0069】
給電線29の一端(x軸方向プラス側の一端)は、バスバー12およびバスバー44と同じ極性のバスバー(不図示)と接続されても良い。この場合、該バスバーには、バスバー12およびバスバー44と独立に電源電圧が供給可能である。
【0070】
各々の給電線28、29はそれぞれ、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含むように構成されている。
【0071】
本実施の形態において、複数の発光素子38は、2本の給電線28、29に接続される。2本の給電線28、29は、複数のヒーター線15と平行な部分に、y軸方向に延在する部分を有し、複数の発光素子38は、該y軸方向に延在する部分に接続されてもよい。また、複数の発光素子38は、2本の給電線28、29に直接接続されてもよい。いずれの場合も、複数の発光素子38は、点在するように配置される。そして、複数の発光素子38は、2本の給電線28、29の間で並列接続されており、複数の発光素子38には、給電線28または給電線29から電源が供給される。例えば、バスバー44に電源電圧が供給されることで、複数の発光素子38が発光する。
【0072】
本実施の形態では、複数の発光素子38は、2本の給電線28、29の間で並列接続されているため、バスバー44に印加する電圧を高くしなくても、発光素子37の数を多くできる。そして、仮に複数の発光素子38の一部が断線した場合でも、他の発光素子38を発光させられる。なお、複数の発光素子38の発光色は同一でも異なってもよい。
【0073】
また、
図9では、2本の給電線28、29の間にそれぞれ1つの発光素子38が配置されているが、2本の給電線28、29の間にそれぞれ複数の発光素子38を直列接続してもよい。また、給電線28および/または給電線29は、実施の形態3で説明した突出部を設けてもよく、複数の発光素子38とは別に、それぞれ直列接続された複数の発光素子(不図示)を設けてもよい。給電線が突出部を有することで、それぞれ並列接続された複数の発光素子38と、それぞれ直列接続された複数の発光素子(不図示)は、複数のヒーター線15と平行な同一直線上に配置できる。
【0074】
なお、上述の実施の形態1~4に示した構成例では、バスバー11を接地電位に接続し、バスバー12を所定の電源電位(プラス電位)に接続した場合について説明した。しかし、本発明では、バスバー11を所定の電源電位(プラス電位)に接続し、バスバー12を接地電位に接続してもよい。この場合、バスバー41~44は、それぞれ接地電位に接続される。
【0075】
なお、接地電位の代わりに、車両のエンジンコントロールユニット(ECU)により制御されたマイナス電位を用いてもよい。バスバーとECUは、ワイヤーハーネス等を用いて接続可能である。バスバーの一端がマイナス電位に接続されることで、所定の電源電位(プラス電位)と接地電位よりも電位差を大きくし、直列接続できる発光素子(LED)の数を増やせる。
【0076】
また、本発明では、給電線の一部に透明導電体を用いてもよい。例えば、給電線のうち、ヒーター線15と平行とはならない部分に透明導電体を用いてもよい。このように透明導電体を用いることで、車両用窓ガラスの意匠性を更に向上できる。例えば透明導電体には、透明導電性酸化物(TCO:transparent conductive oxide)を用いることができる。TCOとしては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO:tin-doped indium oxide)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO:aluminum doped zinc oxide)、インジウム添加酸化カドミウム等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0077】
以下、車両用窓ガラスを構成する部材について、更に詳しく説明する。
(ガラス板)
本実施の形態にかかる車両用窓ガラスにおけるガラス板10の厚さは、0.5mm~10mmの範囲で適宜選択できる。ガラス板10の厚さは、耐飛び石衝撃性の点から1.6mm以上が好ましく、2.1mm以上がより好ましく、2.5mm以上が更に好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。また、車両用窓ガラスの質量を抑制するために、ガラス板10の厚さは、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3.5mm以下が更に好ましい。
【0078】
また、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスが中間膜を介して複数枚のガラス板を貼り合わせた合わせガラスの場合、複数枚のガラス板の厚さは同じでも異なっても良い。例えば、z軸方向マイナス側に配置されるガラス板の厚さが、z軸方向プラス側に配置されるガラス板の厚さより小さくてよい。
【0079】
ガラス板10の組成は、特に限られない。ガラス板10は、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケート等の無機ガラス、またはポリエチレンカーボネート、アクリル樹脂等の有機ガラスであってよく、無機ガラスが好ましい。無機ガラスは、グリーンガラス、クリアガラス、またはプライバシーガラス等であってよい。
【0080】
ガラス板10は、例えばフロート法などにより板状に成形された後、重力成形またはプレス成形などにより高温で曲げ成形される。ガラス板10は、強化ガラスが好適に用いられる。強化ガラスは、物理強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよいが、物理強化ガラスが好適であり、物理強化ガラスの中でも風冷強化ガラスがより好適である。
【0081】
ガラス板10は、車外側の表面(z軸方向プラス側の表面)に、撥水機能、親水機能を付与するコーティングを有してもよい。また、ガラス板10は、車内側の表面(z軸方向マイナス側の表面)に、低放射性コーティング、赤外線遮光コーティング、紫外線遮光コーティング、防曇コーティング等のコーティングを有してもよい。
【0082】
(中間膜)
本実施の形態にかかる車両用窓ガラスが、中間膜を介して複数枚のガラス板を貼り合わせた合わせガラスの場合、該中間膜は、合わせガラスに一般的に採用されているものを使用できる。中間膜は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性組成物が使用可能である。熱可塑性樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。中間膜に用いる熱可塑性樹脂は、PVB、EVA、ポリウレタン樹脂等が好ましい。
【0083】
なお、中間膜は、単層構造でもよいし、2以上の層が積層された積層構造でもよい。中間膜が多層構造を有する場合、ガラス転移点の異なる層を積層することで、中間膜に遮音性を持たせることができる。遮音性を有する3層の積層構造として、例えば、中間膜は、中間の層をガラス転移点が15℃未満のコア層とし、このコア層(中間の層)を挟持する2層をガラス転移点が15℃以上のスキン層とする構成でもよい。
【0084】
(遮光部)
遮光部13は、例えば有機インクや無機セラミックスにより構成されてもよく、無機セラミックスにより構成されることが好ましい。遮光部13は、例えば、有機インクや無機セラミックスを、ガラス面上にスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させて形成できる。遮光部13の色は、少なくとも隠蔽が求められる部分において、隠蔽できる程度に可視光を遮ることができれば、白色、灰色、茶色、濃紺、黒色など任意の色でよいが、濃色が好ましく、黒色がより好ましい。遮光部13の幅は、車両用窓ガラスの用途に応じて適宜選択される。遮光部13の幅は、例えば、10~200mm程度の額縁状に形成されることがある。
【0085】
(ヒーター線および給電線)
以下、ヒーター線および給電線をまとめて、導電線と言う。導電線は、導電性を有していればよく、例として、金、銀、銅、アルミニウム、錫等を挙げることができる。具体的には、例えば、銀、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板10の表面に印刷し、焼成することによって形成することができる。
【0086】
導電線の厚さは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。また、導電線の厚さは、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更に好ましく、4μm以上が特に好ましい。導電線の幅は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上が更に好ましい。また、導電線の幅は、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下が更に好ましい。ヒーター線15の間隔は、車両用窓ガラスのx軸方向の中心を通る線上において、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましい。また、ヒーター線15の間隔は、車両用窓ガラスのx軸方向の中心を通る線上において、60mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましい。
【0087】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0088】
1、2、3、3a、4 車両用窓ガラス
10 ガラス板
11、12 バスバー
13 遮光部
14 透過領域
15 ヒーター線
21、23、24、25、26、27、28、29 給電線
31、33、34、35、36、37、38 発光素子
41、42、43、44 バスバー
51、52 端子
53、54 封止材