IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人北海道大学の特許一覧 ▶ 株式会社プランテックの特許一覧

特開2022-25655排ガス処理システム及び排ガス処理方法
<>
  • 特開-排ガス処理システム及び排ガス処理方法 図1
  • 特開-排ガス処理システム及び排ガス処理方法 図2
  • 特開-排ガス処理システム及び排ガス処理方法 図3
  • 特開-排ガス処理システム及び排ガス処理方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025655
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】排ガス処理システム及び排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/68 20060101AFI20220203BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20220203BHJP
   F23G 5/16 20060101ALI20220203BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20220203BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20220203BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20220203BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B01D53/68 100
F23J15/00 Z
F23G5/16 E
B01D53/82 ZAB
B01D53/83
B07B1/00 B
F27D17/00 105K
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128605
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(71)【出願人】
【識別番号】000136804
【氏名又は名称】株式会社プランテック
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【弁理士】
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】松藤 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】増田 倹吾
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 良二
【テーマコード(参考)】
3K070
3K078
4D002
4D021
4K056
【Fターム(参考)】
3K070DA03
3K070DA05
3K070DA16
3K070DA32
3K070DA60
3K070DA73
3K078AA05
3K078AA06
3K078AA07
3K078AA10
3K078BA03
3K078BA26
3K078BA27
3K078CA02
3K078CA12
3K078CA24
4D002AA02
4D002AA19
4D002AB01
4D002AC04
4D002BA03
4D002BA14
4D002CA07
4D002CA11
4D002DA05
4D002EA05
4D002EA07
4D002GA02
4D002GA04
4D002GB02
4D021AA03
4D021AB02
4D021CA07
4D021EA10
4K056AA19
4K056BA01
4K056BB01
4K056CA20
4K056DB03
4K056DB13
(57)【要約】
【課題】多量の薬品を消費することなく、効果的に塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガスを中和処理することが可能なごみ焼却炉の排ガス処理システム及び排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の排ガス処理システムは、廃棄物等の被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰をごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物等の被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、
前記篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰を前記ごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段、
を備えたことを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項2】
前記篩い分け手段として、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を用いる、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項3】
前記ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み前記廃棄物等の被焼却物を燃焼させる一次燃焼領域と、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼領域とを有し、
前記焼却灰供給手段として、前記二次燃焼空気を前記二次燃焼領域に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いる、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項4】
前記ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み前記廃棄物等の被焼却物を燃焼させる一次燃焼室と、前記一次燃焼室とは別置きの燃焼室であって、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼室とを備え、
前記焼却灰供給手段として、前記二次燃焼空気を前記二次燃焼室に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いる、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項5】
前記焼却灰供給手段として、前記排ガス煙道から分岐させた排ガスを前記ごみ焼却炉内に吹き込む再循環ガス供給送風機を用いる、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項6】
前記ごみ焼却炉として、
底部に灰排出手段が配設され、下方から順に灰層、燃焼層、炭化層、乾燥層が形成されるよう廃棄物等の被焼却物が堆積される燃焼室を備えた竪型ごみ焼却炉を使用する、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項7】
前記燃焼室において焼却灰が供給される箇所よりも上方に整流装置を備える、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項8】
前記バグフィルタ上流の排ガス煙道にアルカリ薬剤を吹き込む薬剤吹き込み装置と、前記バグフィルタ下流の排ガス煙道における塩化水素濃度を検出する塩化水素濃度検出手段と、前記薬剤吹き込み装置から供給するアルカリ薬剤の量を制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記塩化水素濃度検出手段で検出した塩化水素濃度が所定値以下となるよう、前記薬剤吹き込み装置から吹き込むアルカリ薬剤の量を制御する、
請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項9】
廃棄物等の被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理方法であって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けするステップ、及び、
篩い分けされた焼却灰を前記ごみ焼却炉内に供給するステップ、
を備えたことを特徴とする排ガス処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却炉の排ガス処理システム及び排ガス処理方法に関し、特に、ごみ焼却炉から排出される排ガス中に含有される酸性成分を多量の薬品を消費することなく効果的に中和処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ごみの焼却炉から排出される排ガスを処理するに際し、まずボイラや水噴霧により200℃以下に減温してから、バグフィルタ入口で粉体の消石灰を吹き込み塩化水素及び硫黄化合物等の酸性ガスを中和除去していた。
【0003】
主たる酸性ガスである塩化水素(HCl)と消石灰の反応は下記の二段階の反応を経て完結するところ、200℃以下では消石灰と酸性ガスとの反応効率が低く、(1)の反応しか進まない。そのため、消石灰の中和能を活かしきっているとは言えず、少なくとも理論量の二倍以上の消石灰を吹き込まなければならない。
(1)Ca(OH)2+HCl=CaClOH+H2O
(2)CaClOH+HCl=CaCl2+H2O
【0004】
過剰な量の消石灰を吹き込むことになれば、消石灰の費用が過大となるだけでなく、バグフィルタで捕集する飛灰の量が増えることになる。飛灰は特別管理廃棄物として扱われ、安定化処理したうえで管理型の処分場に埋め立て処分せねばならず、飛灰量の増加は最終処分費用の増加を招くことになる。
【0005】
消石灰の吹き込み量を削減するための技術としては、特許文献1に示されるような、バグフィルタで捕集された未反応消石灰を含む飛灰の一部を消石灰とともにバグフィルタ入口に吹き込む技術が知られている(特許文献1)。また、ごみの焼却に伴い発生した焼却灰をバグフィルタ入口に吹き込む技術が提案されている(特許文献2及び特許文献3)。これらの技術は、一様に、灰中に残存するカルシウム分を利用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-289953号公報
【特許文献2】特開平7-139719号公報
【特許文献3】特開2016-123940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術によると、未反応消石灰を含む飛灰の一部を消石灰とともにバグフィルタ入口に吹き込むことにより、反応しきれなかった消石灰を再利用することができ、消石灰の消費量を削減することができる。しかしながら、飛灰が酸性ガス除去の効果を示すということは、すなわち飛灰に未反応の消石灰が十分に残存しているということを意味しており、消石灰の使用量を低減できるにしても、飛灰に多くの量の未反応消石灰が含まれることに変わりはない。さらに、飛灰まで吹き込むことになりバグフィルタの負荷を上昇させ、ろ布付着物の払い落し頻度が増えてろ布の寿命が短くなる。
【0008】
一方、特許文献2に開示された技術は、流動層式焼却炉の二次燃焼室下部から排出された焼却灰をそのまま排ガス煙道に吹き込むものであるが、二次燃焼室下部に落下する焼却灰は粒径が大きく、カルシウム含有量が少なく、200℃以下では反応効率が低いため、酸性成分を中和するためには相当量の焼却灰を吹き込む必要がある。そのため、特別管理廃棄物である飛灰量の増加を招くとともに、バグフィルタの負荷が増大しろ布の寿命が短くなる。
【0009】
特許文献3に開示された技術は、ストーカ式焼却炉を対象としており、異物や粗大物が混入した焼却灰を粉砕し、かつ分級して比較的粒径の小さいもののみを消石灰の代替物としてバグフィルタ入口に吹き込むことで、焼却灰中に含まれる石灰分を利用して酸性成分を除去するものである。しかしながら、粉砕や分級のための装置が必要となり、装置が大掛かりとなるという課題が生じる。また、焼却灰にはケイ素、アルミナ等の灰分やNaClやKCl等の塩化水素と反応しない無機塩素化合物が含まれ、これらも同時に吹き込むことで反応効率の低下や集じん量の増加につながるため、上述した特別管理廃棄物の増加を招き、最終処分費用の増大と最終処分場の寿命短縮を引き起こす。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、多量の薬品を消費することなく、効果的に塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガスを中和処理することが可能なごみ焼却炉の排ガス処理システム及び排ガス処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明は、廃棄物等の被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰をごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段、を備えたことを特徴とする排ガス処理システムを提供する。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、篩い分けされた焼却灰を焼却炉内に供給することで、焼却灰中に含まれるカルシウム分を用いて排ガス中の酸性成分を中和することができる。その際、焼却灰を煙道に供給する場合とは異なり、粒径が大きく重い焼却灰は焼却炉の下方から焼却灰とともに排出され、粒径が小さく軽い焼却灰のみ排ガスとともに排ガス煙道を流れ、バグフィルタにて中和反応を起こす。そのため、バグフィルタで捕集される飛灰の増加量は抑制されバグフィルタの負荷の増大を抑制しつつ中和反応を効率的に起こすことができる。また、篩い分け手段を追加するだけで、他の大掛かりな装置は必要なく、比較的簡素な構成で、アルカリ薬剤の代替物を供給可能なシステムを実現することができる。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、篩い分け手段として、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を用いる、排ガス処システムを提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を用いて、粗大物や粒径の大きな焼却灰を除去する。そのため、篩い網という簡単な構成を追加するだけで、大掛かりな設備の追加なしに、効果的な中和反応を起こすことができる。
【0016】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み廃棄物等の被焼却物を燃焼させる一次燃焼領域と、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼領域とを有し、焼却灰供給手段として、二次燃焼空気を二次燃焼領域に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いる、排ガス処理システムを提供する。
【0017】
第3の特徴に係る発明によれば、焼却灰のごみ焼却炉への供給に二次燃焼空気を供給するための送風機を使用することで、二次燃焼空気と焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を最大限に活用して、焼却灰をごみ焼却炉内に吹き込むことができる。また、篩い分けを行った後の分級灰を空気によって搬送するため、搬送を好適に行うことができる。
【0018】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み廃棄物等の被焼却物を燃焼させる一次燃焼室と、一次燃焼室とは別置きの燃焼室であって、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼室とを備え、焼却灰供給手段として、二次燃焼空気を二次燃焼室に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いる、排ガス処理システムを提供する。
【0019】
第4の特徴に係る発明によれば、焼却灰供給手段として二次燃焼空気供給送風機を使用することで、二次燃焼空気と焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を最大限に活用して、焼却灰をごみ焼却炉内に吹き込むことができる。そして、一次燃焼室とは別置きの二次燃焼室を設置し、別置きの二次燃焼室に焼却灰を供給するため、一次燃焼室に焼却灰を再循環させる必要がない。そのため、一次燃焼室での焼却灰の発生量増加を抑制しつつ、焼却灰に含まれるカルシウム分を利用して酸性ガスを中和することができる。
【0020】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、焼却灰供給手段として、排ガス煙道から分岐させた排ガスをごみ焼却炉内に吹き込む再循環ガス供給送風機を用いる、排ガス処理システムを提供する。
【0021】
第5の特徴に係る発明によれば、焼却灰のごみ焼却炉への供給に再循環ガスを供給するための送風機を利用することで、再循環ガスと焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を活用して焼却灰をごみ焼却炉内に吹き込むことができる。
【0022】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、ごみ焼却炉として、底部に灰排出手段が配設され、下方から順に灰層、燃焼層、炭化層、乾燥層が形成されるよう廃棄物等の被焼却物が堆積される燃焼室を備えた竪型ごみ焼却炉を使用する、排ガス処理システムを提供する。
【0023】
第6の特徴に係る発明によれば、竪型ごみ焼却炉を使用することで、被焼却物の乾燥、炭化、燃焼、後燃焼のプロセスが時間をかけて進行するため、燃焼室の下部から排出される焼却灰は中和剤として利用しやすい粉末状となり、ハンドリングが容易となる。また、粉体状となることで焼却灰の比表面積が増加して酸性成分との反応性を向上させることができる。
【0024】
第7の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、燃焼室において焼却灰が供給される箇所よりも上方に整流装置を備える、排ガス処理システムを提供する。
【0025】
第7の特徴に係る発明によれば、燃焼室において焼却灰が供給される箇所よりも上方に整流装置を備えたため、整流装置の効果によって、吹き込んだ焼却灰や反応生成物の多くが分離され、ごみ焼却炉の炉底に落下する。そのため、カルシウム分を多く含んだ粒径の小さな焼却灰のみを効率よく下流のバグフィルタに供給することができ、バグフィルタで捕集される飛灰量の増加を抑制することができる。
【0026】
第8の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、バグフィルタ上流の排ガス煙道にアルカリ薬剤を吹き込む薬剤吹き込み装置と、バグフィルタ下流の排ガス煙道における塩化水素濃度を検出する塩化水素濃度検出手段と、薬剤吹き込み装置から供給するアルカリ薬剤の量を制御する制御装置とをさらに備え、制御装置は、塩化水素濃度検出手段で検出した塩化水素濃度が所定値以下となるよう、薬剤吹き込み装置から吹き込むアルカリ薬剤の量を制御する、排ガス処理システムを提供する。
【0027】
第8の特徴に係る発明によれば、焼却灰供給手段による焼却灰の供給では塩化水素濃度を低減しきれない場合に、塩化水素濃度に応じてアルカリ薬剤供給装置からアルカリ薬剤を供給することで、塩化水素濃度を所望の値まで低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、多量の薬品を消費することなく、効果的に塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガスを中和処理することが可能なごみ焼却炉の排ガス処理システム及び排ガス処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、第一実施形態に係るごみ焼却炉の排ガス処理システムを示す模式図である。
図2図2は、ごみ焼却炉の排ガス処理システムを用いた排ガス処理方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図3図3は、第二実施形態に係るごみ焼却炉の排ガス処理システムを示す模式図である。
図4図4は、第三実施形態に係るごみ焼却炉の排ガス処理システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0031】
[排ガス処理システムの全体構成]
図1を用いて、第一実施形態に係る排ガス処理システムの全体構成を説明する。
【0032】
図1に示すように、第一実施形態の排ガス処理システムは、ごみ焼却炉10と、排ガス冷却装置20と、バグフィルタ30と、排ガス煙道40と、誘引通風機50と、煙突60と、アルカリ薬剤供給装置70と、焼却灰調整供給装置80とによって構成される。
【0033】
ごみ焼却炉10は、不定形の一般廃棄物や、産業廃棄物等の廃棄物を焼却処理するものであり、本実施形態においては、竪型ごみ焼却炉が用いられる。竪型ごみ焼却炉の特徴については後述する。
【0034】
排ガス冷却装置20は、ごみ焼却炉10で廃棄物を焼却処理した際に発生する高温の排ガスから熱を回収し、あるいは、バグフィルタ30に供給可能な温度、好ましくは200℃以下まで減温するものであり、例えば、蒸発器を備える排熱回収ボイラや、排熱回収ボイラの下流でボイラ給水を加熱するエコノマイザ、冷却水を噴霧して排ガスを冷却する減温塔等によって構成される。
【0035】
バグフィルタ30は、排ガス冷却装置20で減温された排ガスをろ過することで、排ガス中に含まれる煤塵や有害成分を除去するものであって、煤塵や有害成分をろ過するためのろ布を含む。
【0036】
排ガス煙道40は、ごみ焼却炉10、排ガス冷却装置20、バグフィルタ30等の各装置の間を接続し排ガスを流通させるための煙道である。なお、バグフィルタ30の下流における排ガス煙道40には、バグフィルタ30から排出された排ガス中に含まれる塩化水素の濃度を検出する塩化水素濃度検出手段41が配設される。
【0037】
誘引通風機50は、バグフィルタ30の下流に配設される通風機であり、バグフィルタ30で浄化された排ガスを吸引して、煙突60から排ガスを大気に放出するためのものである。
【0038】
アルカリ薬剤供給装置70は、排ガス中に含まれる塩化水素や硫黄酸化物等の酸性成分を中和するためのアルカリ薬剤を排ガス中及びバグフィルタ30に供給するものであり、バグフィルタ30の上流側、好ましくは排ガス冷却装置20とバグフィルタ30の間の排ガス煙道40に配設される。アルカリ薬剤供給装置70としては、アルカリ薬剤を定量的に連続して排ガス煙道40に切り出すことが可能な貯留槽などが使用される。
【0039】
本実施形態においては、アルカリ薬剤として消石灰が使用されるが、使用される薬剤の種類は、これに限ったものではない。
【0040】
焼却灰調整供給装置80は、ごみ焼却炉10から排出される焼却灰を調整し、排ガス中に含まれる塩化水素や硫黄化合物等の酸性成分を中和するためにごみ焼却炉10に供給するものであり、ごみ焼却炉10の燃焼室12に接続される。焼却灰調整供給装置80の詳細については後述する。
【0041】
〔竪型ごみ焼却炉の構成〕
本実施形態におけるごみ焼却炉10として使用される竪型ごみ焼却炉は、底部に灰排出手段11が配設され、下方から順に灰層、燃焼層、炭化層、乾燥層が形成されるよう廃棄物が堆積される燃焼室12と、燃焼室12の上方に設けられ、燃焼室12で発生した未燃焼成分を含むガスを燃焼させる再燃焼室13と、前記燃焼室12の上方から廃棄物を投入する投入装置14と、燃焼室12の下方から一次燃焼空気を供給する一次燃焼空気供給手段15と、燃焼室12の上部に二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給手段16とを備える。燃焼室12と再燃焼室13との間には、整流装置17が配設される。
【0042】
投入装置14は、廃棄物を一時的に貯留するホッパ及び多重のゲートによって構成されており、図示しないごみピットからごみクレーンによって投入装置14に供給された廃棄物を貯留し、間欠的に燃焼室12に投入することができる。
【0043】
一次燃焼空気供給手段15は燃焼室12の下方から一次燃焼空気を供給する。一次燃焼空気供給手段15は図示しない送風機、通風路及び空気予熱器等からなり、燃焼室12の下方、具体的には、灰排出手段11を介して一次燃焼空気を供給する。一次燃焼空気が灰層、燃焼層、炭化層、乾燥層を順に通ることにより、廃棄物の乾燥から焼却を行う。
【0044】
二次燃焼空気供給手段16は燃焼室12の上部に二次燃焼空気を供給する。二次燃焼空気供給手段16は二次燃焼空気供給送風機85、通風路及び図示しない空気予熱器等からなり、燃焼室12の上部に設けられた図示しない開口から二次燃焼空気を供給することで、乾燥層から排出された熱分解ガス中に含まれる可燃ガス成分を燃焼する。
【0045】
本実施形態においては、廃棄物が堆積され一次燃焼空気が供給される領域が一次燃焼領域、二次燃焼空気が供給される領域が二次燃焼領域として機能する。
【0046】
なお、本実施形態に係る竪型ごみ焼却炉において、一次燃焼空気の空気比は0.35~0.5程度であり、従来のストーカ炉における一次燃焼空気の空気比(0.8~1.0程度)と比べて、1/3~1/2倍程度の空気比である。また、二次燃焼空気の空気比は0.9~1.0程度であり、従来のストーカ炉における二次燃焼空気の空気比(0.3~0.5程度)と比べて、1.5~3倍程度の空気比である。すなわち、本実施形態に係る竪型ごみ焼却炉においては、一次燃焼空気の割合より二次燃焼空気の割合が多い。
【0047】
このような構成によって、廃棄物の堆積層では燃焼熱を用いて積極的に熱分解を行い、熱分解によって発生した熱分解ガスを用いて廃棄物の乾燥を行う。そして、廃棄物の堆積層から発生したガス中の可燃ガス成分を二次燃焼空気で撹拌・混合して燃焼させる構成となっている。
【0048】
また、竪型ごみ焼却炉1の燃焼室12上方には再燃焼室13が配設されており、二次燃焼空気の供給によって発生した燃焼ガス中に残留する有害成分を完全に燃焼するために、燃焼ガスを所定時間にわたって850℃以上に保持する。このように、高温雰囲気下でダイオキシン類生成の前駆物質である未燃炭素類及び未燃ガス等を完全燃焼する。
【0049】
〔焼却灰調整供給装置80の構成〕
次に、本実施形態に係る焼却灰調整供給装置80の詳細について説明する。
【0050】
図1に示すように、本実施形態に係る焼却灰調整供給装置80は、焼却灰搬送コンベヤ81、振動篩82、分級灰搬送コンベヤ83、分級灰貯留槽84及び二次燃焼空気供給送風機85によって構成される。
【0051】
焼却灰コンベヤ81はごみ焼却炉10の灰排出手段11から排出される焼却灰を下流側に配設された振動篩82に移送するものである。
【0052】
振動篩82は、焼却灰搬送コンベヤ81の下流で、かつ分級灰搬送コンベヤ83の上流に設けられた篩であって、焼却灰に含まれる異物を篩分けして除去するものである。振動篩82は本発明における篩い分け手段として機能するものであり、本実施形態においては600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を使用する。
【0053】
分級灰搬送コンベヤ83は、振動篩82で分級され異物や大粒径の焼却灰が除去された分級灰を下流側の分級灰貯留槽84に搬送するものである。
【0054】
分級灰貯留槽84は、異物や大粒径の焼却灰が除去された分級灰を一時的に貯留しておくためのものであり、定量切り出し装置を含むホッパ等から構成される。
【0055】
二次燃焼空気供給送風機85は、二次燃焼空気供給手段16を構成する送風機であって、ごみ焼却炉10の燃焼室12に堆積する被焼却物の堆積層の上方に、二次燃焼用の空気を供給するための送風機である。本実施形態においては、分級灰貯留槽84を二次燃焼空気供給手段16に接続し、二次燃焼空気供給送風機85の搬送圧力を使用して、分級灰貯留槽84に貯留されている分級灰を、二次燃焼空気によって搬送してごみ焼却炉10の燃焼室12に吹き込む。
【0056】
つまり、本実施形態においては、二次燃焼空気供給手段16を構成する二次燃焼空気供給送風機85が焼却灰供給手段として機能し、ごみ焼却炉10の燃焼室12に供給される二次燃焼空気に分級灰を搬送させる。
【0057】
〔排ガス処理システムを使用した排ガス処理方法〕
次に、図2を用いて、本実施形態に係る排ガス処理システムを使用した排ガス処理方法について説明する。
【0058】
〔ステップS100:焼却灰の排出〕
まず、ごみ焼却炉10の操業運転中において、灰排出手段11を動作させることにより、廃棄物の焼却に伴って廃棄物層の下方に堆積した灰をごみ焼却炉10の下方から排出する(ステップS100)。
【0059】
〔ステップS110:焼却灰の篩い分け〕
ステップS100でごみ焼却炉10から排出された焼却灰は焼却灰搬送コンベヤ81で下流の振動篩82に搬送され、振動篩82において焼却灰中に含まれる異物や、大粒径の焼却灰が除去される(ステップS110)。
【0060】
このように、振動篩82によって焼却灰に含まれる不燃物等の異物や大粒径の焼却灰を除去することにより、下流における焼却灰の搬送、特に、分級灰吹き込み送風機85を用いた空気の圧力による搬送が好適に行われるとともに、不純物が混入することに伴う酸性成分との反応性の低下を抑制することができる。
【0061】
なお、ステップS100で振動篩82の篩い網を通過しなかった大粒径の焼却灰は図示しない灰ピットに送られる。
【0062】
本実施形態においては、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を使用するが、焼却灰を調整するための他の設備は必要としない。つまり、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網という比較的簡単な設備の追加のみで、焼却灰中に含まれるカルシウム分を活用するに好適な態様に調整することができる。
【0063】
〔ステップS120:焼却炉への供給〕
ステップS110で異物や大粒径の焼却灰が除去された分級灰は、分級灰搬送コンベヤ83によって搬送され、必要に応じて分級灰貯留槽84に一時的に貯留された後、焼却灰供給手段として機能する二次燃焼空気供給送風機85によって、空気とともに焼却炉10の燃焼室12に吹き込まれる(ステップS120)。
【0064】
そして、分級された焼却灰に含まれるカルシウム成分が、焼却炉10内の雰囲気ガスに含まれる塩化水素や二酸化硫黄等の酸性ガスと中和反応を起こすことで、これら酸性ガスを一次除去することができる。
【0065】
ここで、ごみ焼却炉10内に供給される分級灰のうち、粒径が大きく重量の重いものについては気流に乗らず、燃焼室12内を下降して廃棄物の堆積層上に落下し、他の廃棄物とともに燃焼した後、灰排出手段11によって排出される。そして、ごみ焼却炉10内に供給される分級灰のうち、カルシウム分を多く含む粒径が小さいもののみ、気流に乗って排ガスとともに焼却炉10から排出され、バグフィルタ30のろ布上において排ガス中の酸性成分を中和する。
【0066】
特に、本実施形態においてはごみ焼却炉10として竪型ごみ焼却炉を使用しており、焼却灰が供給される箇所よりも上方、つまり、二次燃焼空気が供給される箇所よりも上方に整流装置17が配設されている。整流装置17の効果によって、吹き込んだ焼却灰や反応生成物の多くが分離されごみ焼却炉10の炉底に落下するため、飛灰量の増加を抑制することができる。
【0067】
つまり、粒径が小さく重量の軽い分級灰は、気流に乗って排ガスとともに焼却炉10から排出され、排ガス煙道40及び排ガス冷却装置20を流通してバグフィルタ30に至る。カルシウム分を含む分級灰はバグフィルタ30においてろ布表面に付着して捕集され、そこで排ガス中に含まれる塩化水素や二酸化硫黄等の酸性ガスを中和する。
【0068】
すなわち、本実施形態においては、振動篩82で焼却灰を篩分けして異物や大粒径の焼却灰を除去した分級灰に含まれるカルシウム分を利用して、排ガス中に含まれる塩化水素や二酸化硫黄等の酸性ガスを中和することができる。
【0069】
また、焼却炉10内に分級灰を供給しており、バグフィルタ30が備えるろ布上でも中和反応が起こるため、単に排ガス中に吹き込むよりも反応性を向上させることができる。そして、ろ布に捕捉された焼却灰や中和反応によって発生した塩は、図示しない払い落し手段によってろ布から払い落され処分される。
【0070】
このように、ごみ焼却炉10で発生した焼却灰中に含まれるカルシウム成分を塩化水素等の酸性成分の中和剤として利用することで、焼却灰を消石灰等の代替物として使用することができ、中和剤の使用量を削減することができる。そのため、ごみ焼却処理施設から排出される総灰量を低減することができる。また、未反応の消石灰が残存することがないため、バグフィルタ30の捕集灰のpH濃度の上昇を抑制することができ、鉛溶出防止用のキレート剤使用量を低減することができる。
【0071】
そして、振動篩82で焼却灰を篩分けして異物や大粒径の焼却灰を除去することで、焼却灰の搬送、特に、二次燃焼空気供給送風機85を用いた空気の圧力による搬送が好適に行われるとともに、不純物が混入することに伴う酸性成分との反応性の低下を抑制することができる。
【0072】
また、焼却灰のごみ焼却炉10への供給に二次燃焼空気を供給するための送風機を使用することで、二次燃焼空気と焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を最大限に活用して、焼却灰をごみ焼却炉10内に吹き込むことができる。
【0073】
さらに、焼却灰を篩い分けして一部を焼却炉10内に再循環させるものであるから、処理すべき焼却灰の量を削減することができ、焼却灰の処理設備自体をコンパクトに構成することができる。
【0074】
また、ごみ焼却炉10として竪型ごみ焼却炉を使用することで、焼却灰は中和剤として利用しやすい粉末状となり、ハンドリングが容易となる。すなわち、竪型ごみ焼却炉においては、燃焼室12上部から投入された廃棄物は炉底に厚く積み上げられて廃棄物層を形成し、炉底から供給される理論燃焼空気量の2分の1以下の一次燃焼空気によって熱分解して炭化物となる。炭化物化した残渣は廃棄物層の600℃以上の温度域に6時間以上滞留することで、長時間かけて完全に燃焼し中和剤として利用し易い粉体状となる。粉体状となった焼却灰は、二次燃焼空気供給送風機85で空気の圧力を用いて搬送する際に搬送がスムーズになるとともに、分級灰貯留槽84に貯留する際、あるいは分級灰貯留槽84から切り出す際においても、ハンドリングが容易となる。また、粉体状となることで焼却灰の比表面積が増加して酸性成分との反応性を向上させることができる。
【0075】
なお、本実施形態において、図示しない制御装置を設け、制御装置は、塩化水素濃度検出手段41で検出した塩化水素濃度が所定値以下となるよう、薬剤吹き込み装置70から吹き込むアルカリ薬剤の量を制御するよう構成することもできる。このようにすることで、焼却灰調整供給装置80による分級灰の供給では塩化水素濃度を低減しきれない場合に、アルカリ薬剤供給装置70からアルカリ薬剤を供給することで塩化水素濃度を所望の値まで低減することができる。
【0076】
〔第二実施形態に係る焼却灰調整供給装置80の構成〕
次に、図3を参照して、第二実施形態に係る焼却灰調整供給装置80について説明する。
【0077】
図3に、第二実施形態に係る排ガス処理システムの模式図を示す。なお、第一実施形態と同じものについては同じ番号を付し、説明は省略する。
【0078】
第二実施形態においては、焼却灰調整供給装置80は、焼却灰搬送コンベヤ81と、振動篩82と、分級灰搬送コンベヤ83と、分級灰貯留槽84と、再循環ガス供給送風機86とによって構成される。
【0079】
すなわち、第二実施形態においては、ごみ焼却炉10は再循環ガス供給手段18を備える。再循環ガス供給手段18は、ごみ焼却炉10の燃焼室12に排ガスを供給するものであって、バグフィルタ30下流の排ガス煙道40から分岐し燃焼室12に接続される排ガス再循環流路42、及び、排ガス再循環流路42上に配設される循環ガス供給送風機86を備える。排ガス煙道40を流通する排ガスの一部は再循環ガス供給送風機86の作用によって排ガス再循環流路42に流入しごみ焼却炉10の燃焼室12内に供給される。
【0080】
そして、第二実施形態においては、再循環ガス供給送風機86の下流における排ガス再循環流路42に、分級灰貯留槽84の出口を接続することで、分級灰貯留槽84から所定量の分級灰を連続して切り出し、再循環ガスとともに燃焼室12内に供給せしめる。つまり、第二実施形態においては、再循環ガス供給送風機86が焼却灰供給手段として機能する。
【0081】
このように、焼却灰のごみ焼却炉10への供給に再循環ガスを供給するための送風機を利用することで、再循環ガスと焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を活用して焼却灰をごみ焼却炉10内に吹き込むことができる。
【0082】
〔第三実施形態に係る焼却灰調整供給装置80の構成〕
次に、図4を参照して、第三実施形態に係る焼却灰調整供給装置80について説明する。
【0083】
図4に、第三実施形態に係る排ガス処理システムの模式図を示す。なお、第一実施形態と同じものについては同じ番号を付し、説明は省略する。
【0084】
第三実施形態においては、ごみ焼却炉10は、灰排出手段11と投入装置14と一次空気供給手段15とを備える一次燃焼室12aと、一次燃焼室12aとは別置きの二次燃焼室12bとによって構成される。一次燃焼室12aにおいては、投入装置14から投入された被焼却物を、一次燃焼空気供給手段15から供給される一次燃焼空気を用いて乾燥・熱分解・燃焼させる。二次燃焼室12bには二次燃焼空気供給手段16が配設され、二次燃焼空気供給送風機85から二次燃焼室12b内に二次燃焼空気を供給することで、一次燃焼室12aから排出された排ガス中に含まれる未燃分が燃焼される。また、二次燃焼室12b内における二次燃焼空気が供給される箇所よりも上方に整流装置17が配設され、二次燃焼室12bにおける整流装置17の上方の領域が再燃焼室13として機能する。
【0085】
つまり、第一実施形態においては、ごみ焼却炉10の燃焼室12内に二次燃焼空気が供給され燃焼室12において一次燃焼と二次燃焼が行われたが、第三実施形態においては、一次燃焼室12aには一次燃焼空気のみが供給され、一次燃焼室12aで発生した排ガス(主に熱分解ガス)は別置きの二次燃焼室12bにて二次燃焼される。
【0086】
そして、二次燃焼室12bに二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給手段16に分級灰貯留槽84が接続されており、分級灰貯留槽84から所定量の分級灰を連続して供給し、二次燃焼空気とともに二次燃焼室21b内に供給せしめる。すなわち、第三実施形態においては、二次燃焼空気供給送風機85が、焼却灰供給手段として機能する。
【0087】
そして、二次燃焼室12b内に供給された焼却灰に含まれるカルシウム成分が、二次燃焼室12b内の雰囲気ガスに含まれる塩化水素や二酸化硫黄等の酸性ガスと中和反応を起こすことで、これら酸性ガスを一次除去することができる。
【0088】
ここで、二次燃焼室12b内に供給される分級灰のうち、粒径が大きく重量の重いものについては気流に乗らず、二次燃焼室12b内を落下し、図示しない排出手段によって二次燃焼室12bから灰ピットに排出される。そして、二次燃焼室12b内に供給される分級灰のうち、カルシウム分を多く含む粒径が小さいもののみ、気流に乗って排ガスとともに二次燃焼室12bから排出され、バグフィルタ30のろ布上において排ガス中の酸性成分を中和する。
【0089】
つまり、粒径が小さく重量の軽い分級灰は、気流に乗って排ガスとともに二次燃焼室12bから排出され、排ガス煙道40及び排ガス冷却装置20を流通してバグフィルタ30に至る。カルシウム分を含む分級灰はバグフィルタ30においてろ布表面に付着して捕集され、そこで排ガス中に含まれる塩化水素や二酸化硫黄等の酸性ガスを中和する。
【0090】
特に、本実施形態においては、二次燃焼室12bにおける二次燃焼空気が供給される箇所よりも上方、つまり、焼却灰が供給される箇所よりも上方に整流装置17が配設されている。整流装置17の効果によって、吹き込んだ焼却灰や反応生成物の多くが分離され二次燃焼室12bの底部に落下するため、飛灰量の増加を抑制することができる。
【0091】
このように、本実施形態においては、他の実施形態と同様、振動篩82で焼却灰を篩分けして異物や大粒径の焼却灰を除去した分級灰に含まれるカルシウム分を利用して、排ガス中に含まれる塩化水素や二酸化硫黄等の酸性ガスを中和することができる。
【0092】
また、焼却灰供給手段として二次燃焼空気供給送風機85を使用することで、二次燃焼空気と焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を最大限に活用して、焼却灰を二次燃焼室12b内に吹き込むことができる。
【0093】
さらに、第三実施形態においては、一次燃焼室12aとは別置きの二次燃焼室12bを設置し、別置きの二次燃焼室12bに焼却灰を供給するため、一次燃焼室12aに焼却灰を再循環させる必要がない。そのため、一次燃焼室12aでの焼却灰の発生量増加を抑制しつつ、一次燃焼室12aでの焼却灰に反応生成物が含まれないことにより、焼却灰に含まれるカルシウム分を効率的に利用して酸性ガスを中和することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0095】
例えば、ごみ焼却炉10は、上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する形式のものであれば、ストーカ式、流動層式、キルン式等、任意の形式の焼却炉が用いられる。
【0096】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0097】
この発明のごみ焼却炉の排ガス処理装置及び排ガス処理方法は、塩化水素及び硫黄化合物等の酸性ガスを含む排ガスが発生する各種廃棄物焼却設備等に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 ごみ焼却炉
11 灰排出手段
12 燃焼室
12a 一次燃焼室
12b 二次燃焼室
13 再燃焼室
14 投入装置
15 一次燃焼空気供給手段
16 二次燃焼空気供給手段
17 整流装置
18 再循環ガス供給手段
20 排ガス冷却装置
30 バグフィルタ
40 排ガス煙道
42 排ガス再循環流路
50 誘引通風機
60 煙突
70 薬剤供給装置
80 焼却灰調整供給装置
81 焼却灰搬送コンベヤ
82 振動篩
83 分級灰搬送コンベヤ
84 分級灰貯留槽
85 二次燃焼空気供給送風機
86 再循環ガス供給送風機

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、
前記篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰を前記ごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段を備え、
前記ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み前記被焼却物を燃焼させる一次燃焼領域と、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼領域とを有し、
前記焼却灰供給手段として、前記二次燃焼空気を前記二次燃焼領域に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いた、
とを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項2】
被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、
前記篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰を前記ごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段を備え、
前記ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み前記被焼却物を燃焼させる一次燃焼室と、前記一次燃焼室とは別置きの燃焼室であって、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼室とを備え、
前記焼却灰供給手段として、前記二次燃焼空気を前記二次燃焼室に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いた、
とを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項3】
被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、
前記篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰を前記ごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段を備え、
前記焼却灰供給手段として、前記排ガス煙道から分岐させた排ガスを前記ごみ焼却炉内に吹き込む再循環ガス供給送風機を用いた、
とを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項4】
前記篩い分け手段として、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を用いる、
請求項1~3のいずれかに記載の排ガス処理システム。
【請求項5】
前記バグフィルタ上流の排ガス煙道にアルカリ薬剤を吹き込む薬剤吹き込み装置と、前記バグフィルタ下流の排ガス煙道における塩化水素濃度を検出する塩化水素濃度検出手段と、前記薬剤吹き込み装置から供給するアルカリ薬剤の量を制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記塩化水素濃度検出手段で検出した塩化水素濃度が所定値以下となるよう、前記薬剤吹き込み装置から吹き込むアルカリ薬剤の量を制御する、
請求項1~4のいずれかに記載の排ガス処理システム。
【請求項6】
被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するとともに、前記ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み前記被焼却物を燃焼させる一次燃焼領域と、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼領域とを有する、ごみ焼却処理施設の排ガス処理方法であって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けするステップ、及び、
前記篩い分けされた焼却灰を、前記二次燃焼空気を前記二次燃焼領域に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いて、前記ごみ焼却炉内に供給するステップ、
を備えたことを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項7】
被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するとともに、前記ごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み前記被焼却物を燃焼させる一次燃焼室と、前記一次燃焼室とは別置きの燃焼室であって、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼室とを備えた、ごみ焼却処理施設の排ガス処理方法であって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けするステップ、及び、
前記篩い分けされた焼却灰を、前記二次燃焼空気を前記二次燃焼室に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いて、前記ごみ焼却炉内に供給するステップ、
を備えたことを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項8】
被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、前記ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理方法であって、
前記ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けするステップ、及び、
篩い分けされた焼却灰を、前記排ガス煙道から分岐させた排ガスを前記ごみ焼却炉内に吹き込む再循環ガス供給送風機を用いて、前記ごみ焼却炉内に供給するステップ、
を備えたことを特徴とする排ガス処理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
第1の特徴に係る発明は、被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰をごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段、を備えたことを特徴とする排ガス処理システムを提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、第1の特徴に係る発明のごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み被焼却物を燃焼させる一次燃焼領域と、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼領域とを有し、焼却灰供給手段として、二次燃焼空気を二次燃焼領域に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、篩い分けされた焼却灰を焼却炉内に供給することで、焼却灰中に含まれるカルシウム分を用いて排ガス中の酸性成分を中和することができる。その際、焼却灰を煙道に供給する場合とは異なり、粒径が大きく重い焼却灰は焼却炉の下方から焼却灰とともに排出され、粒径が小さく軽い焼却灰のみ排ガスとともに排ガス煙道を流れ、バグフィルタにて中和反応を起こす。そのため、バグフィルタで捕集される飛灰の増加量は抑制されバグフィルタの負荷の増大を抑制しつつ中和反応を効率的に起こすことができる。また、篩い分け手段を追加するだけで、他の大掛かりな装置は必要なく、比較的簡素な構成で、アルカリ薬剤の代替物を供給可能なシステムを実現することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、第1の特徴に係る発明によれば、焼却灰のごみ焼却炉への供給に二次燃焼空気を供給するための送風機を使用することで、二次燃焼空気と焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を最大限に活用して、焼却灰をごみ焼却炉内に吹き込むことができる。また、篩い分けを行った後の分級灰を空気によって搬送するため、搬送を好適に行うことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
第2の特徴に係る発明は、被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰をごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段、を備えたことを特徴とする排ガス処理システムを提供する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、第2の特徴に係る発明のごみ焼却炉は、一次燃焼空気を吹き込み廃棄物等の被焼却物を燃焼させる一次燃焼室と、一次燃焼室とは別置きの燃焼室であって、二次燃焼空気を吹き込み未燃分を燃焼させる二次燃焼室とを備え、焼却灰供給手段として、二次燃焼空気を二次燃焼室に吹き込む二次燃焼空気供給送風機を用いる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
第2の特徴に係る発明によれば、篩い分けされた焼却灰を焼却炉内に供給することで、焼却灰中に含まれるカルシウム分を用いて排ガス中の酸性成分を中和することができる。その際、焼却灰を煙道に供給する場合とは異なり、粒径が大きく重い焼却灰は焼却炉の下方から焼却灰とともに排出され、粒径が小さく軽い焼却灰のみ排ガスとともに排ガス煙道を流れ、バグフィルタにて中和反応を起こす。そのため、バグフィルタで捕集される飛灰の増加量は抑制されバグフィルタの負荷の増大を抑制しつつ中和反応を効率的に起こすことができる。また、篩い分け手段を追加するだけで、他の大掛かりな装置は必要なく、比較的簡素な構成で、アルカリ薬剤の代替物を供給可能なシステムを実現することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
また、第2の特徴に係る発明によれば、焼却灰供給手段として二次燃焼空気供給送風機を使用することで、二次燃焼空気と焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を最大限に活用して、焼却灰をごみ焼却炉内に吹き込むことができる。そして、一次燃焼室とは別置きの二次燃焼室を設置し、別置きの二次燃焼室に焼却灰を供給するため、一次燃焼室に焼却灰を再循環させる必要がない。そのため、一次燃焼室での焼却灰の発生量増加を抑制しつつ、焼却灰に含まれるカルシウム分を利用して酸性ガスを中和することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第3の特徴に係る発明は、被焼却物を焼却処理し上部から排ガスを下部から焼却灰を排出する燃焼室を備えたごみ焼却炉と、ごみ焼却炉から排出された排ガスを流通させる排ガス煙道に配設され排ガス中の有害物質をろ過するろ布を備えるバグフィルタとを有するごみ焼却処理施設の排ガス処理システムであって、ごみ焼却炉から排出された焼却灰を篩い分けする篩い分け手段、及び、篩い分け手段で篩い分けされた焼却灰をごみ焼却炉内に供給する焼却灰供給手段、を備えたことを特徴とする排ガス処理システムを提供する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
また、第3の特徴に係る発明は、焼却灰供給手段として、排ガス煙道から分岐させた排ガスをごみ焼却炉内に吹き込む再循環ガス供給送風機を用いる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
第3の特徴に係る発明によれば、篩い分けされた焼却灰を焼却炉内に供給することで、焼却灰中に含まれるカルシウム分を用いて排ガス中の酸性成分を中和することができる。その際、焼却灰を煙道に供給する場合とは異なり、粒径が大きく重い焼却灰は焼却炉の下方から焼却灰とともに排出され、粒径が小さく軽い焼却灰のみ排ガスとともに排ガス煙道を流れ、バグフィルタにて中和反応を起こす。そのため、バグフィルタで捕集される飛灰の増加量は抑制されバグフィルタの負荷の増大を抑制しつつ中和反応を効率的に起こすことができる。また、篩い分け手段を追加するだけで、他の大掛かりな装置は必要なく、比較的簡素な構成で、アルカリ薬剤の代替物を供給可能なシステムを実現することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
また、第3の特徴に係る発明によれば、焼却灰のごみ焼却炉への供給に再循環ガスを供給するための送風機を利用することで、再循環ガスと焼却灰を同時に吹き込むことができる。そのため、焼却灰専用の別途の搬送装置を追設することなく、既存の設備を活用して焼却灰をごみ焼却炉内に吹き込むことができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
第4の特徴に係る発明は、第1ないし第3のいずれかの特徴に係る発明であって、篩い分け手段として、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を用いる、排ガス処理システムを提供する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
第4の特徴に係る発明によれば、600μmの公称目開き寸法を持つ篩い網を用いて、粗大物や粒径の大きな焼却灰を除去する。そのため、篩い網という簡単な構成を追加するだけで、大掛かりな設備の追加なしに、効果的な中和反応を起こすことができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
第5の特徴に係る発明は、第1ないし第4のいずれかの特徴に係る発明であって、バグフィルタ上流の排ガス煙道にアルカリ薬剤を吹き込む薬剤吹き込み装置と、バグフィルタ下流の排ガス煙道における塩化水素濃度を検出する塩化水素濃度検出手段と、薬剤吹き込み装置から供給するアルカリ薬剤の量を制御する制御装置とをさらに備え、制御装置は、塩化水素濃度検出手段で検出した塩化水素濃度が所定値以下となるよう、薬剤吹き込み装置から吹き込むアルカリ薬剤の量を制御する、排ガス処理システムを提供する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
第5の特徴に係る発明によれば、焼却灰供給手段による焼却灰の供給では塩化水素濃度を低減しきれない場合に、塩化水素濃度に応じてアルカリ薬剤供給装置からアルカリ薬剤を供給することで、塩化水素濃度を所望の値まで低減することができる。