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特開2022-25712キャリアハンドル及びカセット搬送構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025712
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】キャリアハンドル及びカセット搬送構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
H01L21/68 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128717
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山出 勝博
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA22
5F131CA12
5F131CA49
5F131DA05
5F131DA42
5F131DC28
5F131EC02
5F131GA03
(57)【要約】
【課題】キャリアハンドル及びカセット搬送構造において、複数枚のウェハが収容されたウェハカセットを縦型拡散炉装置内に楽に搬送することができるようにする。
【解決手段】キャリアハンドル10は、一対の脚部11と、一対の脚部11に架設される梁部12とで構成された二股部材13と、一対の脚部11の各々に設けられ、複数のウェハ30が出し入れされる開口部20Aを有するウェハカセット20の両側壁に設けられた被係止部222に係止する係止部112と、梁部12から立ち上がる支柱部16と、被係止部222に係止部112が係止された状態で支柱部16からウェハ30を挿入する方向に向かって延出する把持部17と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の脚部と、該一対の脚部に架設される梁部とで構成された二股部材と、
前記一対の脚部の各々に設けられ、複数のウェハが出し入れされる開口部を有するウェハカセットの両側壁に設けられた被係止部に係止する係止部と、
前記梁部から立ち上がる支柱部と、
前記被係止部に前記係止部が係止された状態で前記支柱部から前記ウェハを挿入する方向に向かって延出する把持部と、
を含むキャリアハンドル。
【請求項2】
前記係止部は、前記被係止部に引っ掛かる爪部を有し両側から前記ウェハカセットを把持する請求項1に記載のキャリアハンドル。
【請求項3】
前記被係止部に前記係止部が係止された状態で、前記開口部を臨むカバーを含む請求項1又は2に記載のキャリアハンドル。
【請求項4】
前記カバーは、透明部材で形成される請求項3に記載のキャリアハンドル。
【請求項5】
複数のウェハが出し入れされる開口部を有するウェハカセット本体と、
該ウェハカセット本体に形成され、ウェハを並列して保持する保持部と、
前記ウェハカセット本体の側壁に設けられた被係止部と、
を備えてなるウェハカセットと、
一対の脚部と、該一対の脚部に架設される梁部とで構成された二股部材と、
前記一対の脚部の各々に設けられ、前記被係止部に係止する係止部と、
前記梁部から立ち上がる支柱部と、
前記被係止部に前記係止部が係止された状態で前記支柱部から前記ウェハを挿入する方向に向かって延出する把持部と、
を備えてなるキャリアハンドルと、
を含み、
前記開口部を上方に位置させて載置された前記ウェハカセットの前記被係止部に、前記係止部を係止させた状態で、前記把持部を手前側から上方に回転させて、前記開口部を手前側に向けた状態で前記ウェハカセットを縦型拡散炉装置にセットするカセット搬送構造。
【請求項6】
前記把持部を上方に位置させた状態で、前記ウェハカセットを前記縦型拡散炉装置から取り出す請求項5に記載のカセット搬送構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、ウェハカセットを保持するキャリアハンドル及びウェハカセットを搬送するカセット搬送構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のウェハを収容するウェハカセットを搬送する手段として、ウェハカセットを保持するキャリアハンドルが使用されている。例えば特許文献1には、ウェハカセットに設けられている鍔部にカセット把持溝を嵌合させることにより、ウェハカセットを両側から挟んで保持するキャリアハンドルが開示されている。また、特許文献2には、ウェハカセットにおいてウェハが出し入れされる開口部の両側端に設けられたオーバーハングの部分を囲い込む形で保持するキャリアハンドルが開示されている。
【0003】
ここで図11図13に従来のキャリアハンドルの使用方法を説明するための説明図を示す。従来のキャリアハンドル40は、図11に示されるように、複数のウェハ30が収容されたウェハカセット20を保持した際に、ユーザに把持される把持部41がウェハカセット20から突出する構造となっている。ユーザがこのキャリアハンドル40を使用して、縦方向に並列に収容されたウェハ30を処理する縦型拡散炉装置50の炉51にウェハカセット20をセットする場合を考える。この場合、図12に示されるように、炉51の炉口51Aの形状によっては、把持部41が炉口51Aの上壁に干渉してしまう。把持部41が炉口51Aの上壁に干渉してしまうと、ウェハカセット20を炉51内にセットすることができない。
【0004】
また、縦型拡散炉装置50では、図11図13に示されるように、ウェハ30を縦方向に並列に収容した状態のウェハカセット20をセットする必要がある。しかしながら、縦型拡散炉装置50にセットされる前のウェハカセット20は、一般的に、ウェハ30が出し入れされる開口部20Aを上にした状態で収納箱60に入れられている場合(図4参照)が多い。そのため、縦型拡散炉装置50にウェハカセット20をセットする際には、開口部20Aを上側にした状態のウェハカセット20を、開口部20Aを手前側にした状態にする必要がある。言い換えると、ウェハ30を横方向に並列して収容した状態のウェハカセット20を、ウェハ30を縦方向に並列して収容した状態に回転させなければならない。
【0005】
そこで、従来は、例えば手にミンキー手袋を装着した状態で、ユーザがウェハカセット20を両手Hで把持して、収納箱60から取り出し、図13に示されるように、ウェハカセット20を回転させて向きを変更してから炉51にセットするという作業をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平06-013142号公報
【特許文献2】特開平04-144150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ミンキー手袋を装着した手でウェハカセット20を把持すると、ウェハ30を保持するためのウェハ溝の底面が外部と連通している場合には、このウェハ溝からミンキー手袋がウェハ30に触れてしまう場合がある。ミンキー手袋がウェハ30に触れてしまうと、縦型拡散炉装置50内でウェハ30に対してフィールド酸化膜を成膜した際に、ミンキー手袋が触れたウェハを中心に膜厚が厚くなってしまう場合がある。また、フィールドVt変動の特性に異常が発生してしまう場合もある。
【0008】
一方、把持部41が炉口51Aの上壁に干渉しないように、把持部41をウェハカセット20の開口部20A側(手前側)に向かって延出することが考えられる。この構造によれば、キャリアハンドルを使用してウェハカセット20を炉51にセットすることが可能となる。しかしながら、把持部41を開口部20A側に延出した態様では、キャリアハンドル10に保持されたウェハカセット20の重心G(図11参照)から把持部41を把持する手までの距離が長くなってしまう場合がある。重心Gから手までの距離が長くなると、キャリアハンドル10を把持してウェハカセット20を持ち上げている腕にキャリアハンドル10を通じて大きなモーメントがかかるため、ウェハカセット20の炉51への搬送作業に負担がかかる。
【0009】
本開示の技術は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数枚のウェハが収容されたウェハカセットを縦型拡散炉装置内に楽に搬送することができるキャリアハンドル及びカセット搬送構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係るキャリアハンドルは、
一対の脚部と、該一対の脚部に架設される梁部とで構成された二股部材と、
前記一対の脚部の各々に設けられ、複数のウェハが出し入れされる開口部を有するウェハカセットの両側壁に設けられた被係止部に係止する係止部と、
前記梁部から立ち上がる支柱部と、
前記被係止部に前記係止部が係止された状態で前記支柱部から前記ウェハを挿入する方向に向かって延出する把持部と、を含む。
【0011】
本開示に係るカセット搬送構造は、
複数のウェハが出し入れされる開口部を有するウェハカセット本体と、
該ウェハカセット本体に形成され、ウェハを並列して保持する保持部と、
前記ウェハカセット本体の側壁に設けられた被係止部と、
を備えてなるウェハカセットと、
一対の脚部と、該一対の脚部に架設される梁部とで構成された二股部材と、
前記一対の脚部の各々に設けられ、前記被係止部に係止する係止部と、
前記梁部から立ち上がる支柱部と、
前記被係止部に前記係止部が係止された状態で前記支柱部から前記ウェハを挿入する方向に向かって延出する把持部と、
を備えてなるキャリアハンドルと、を含み、
前記開口部を上方に位置させて載置された前記ウェハカセットの前記被係止部に、前記係止部を係止させた状態で、前記把持部を手前側から上方に回転させて、前記開口部を手前側に向けた状態で前記ウェハカセットを縦型拡散炉装置にセットする。
【発明の効果】
【0012】
本開示の技術によれば、キャリアハンドル及びカセット搬送構造において複数枚のウェハが収容されたウェハカセットを縦型拡散炉装置内に楽に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1実施形態に係るキャリアハンドルの一例を示す正面斜視図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るキャリアハンドルの一例を示す背面斜視図である。
図3】本開示の第1実施形態に係るウェハカセットの一例を示す斜視図である。
図4】収納箱に収容された状態のウェハカセットの斜視図である。
図5】収納箱に収容された状態のウェハカセットを保持するキャリアハンドルの斜視図である。
図6】ウェハを横方向に並列して収容したウェハカセットを搬送する際のキャリアハンドルの斜視図である。
図7】ウェハを縦方向に並列して収容したウェハカセットを縦型拡散炉装置へセットする際のキャリアハンドルの斜視図である。
図8】ウェハカセットを縦型拡散炉装置へセットする際のキャリアハンドルの正面図である。
図9】ウェハカセットを縦型拡散炉装置へセットする際の本開示の第2実施形態にかかるキャリアハンドルの正面図である。
図10】他の縦型拡散炉装置を説明する説明図である。
図11】従来のキャリアハンドルの使用方法を説明するための説明図
図12】従来のキャリアハンドルの使用方法を説明するための説明図
図13】従来のキャリアハンドルの使用方法を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
<キャリアハンドル>
以下、開示の第1実施形態のキャリアハンドル10について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。図1図2は各々本開示の一実施形態に係るキャリアハンドルの一例を示す正面斜視図、及び背面斜視図である。なお、図1は、便宜上、手前側を正面、上側を上方として以下説明する。
【0015】
開示の第1実施形態のキャリアハンドル10は、図1に示されるように、四角柱で形成された一対の脚部11と、一対の脚部11に架設される四角柱で形成された梁部12とで構成された二股部材13を備える。二股部材13は、例えば、塩化ビニルで形成されている。
【0016】
脚部11はその下端に、先端に平坦部111Aを有して正面側に突出する突出部111を有している。脚部11はその背面に、図2に示されるように背面側に突出する爪部112を有している。爪部112は、本開示の係止部に対応し、後述するウェハカセット20の切欠部222に係止する。爪部112は、脚部11から斜め上方に向かって延設された傾斜部112Aと、傾斜部112Aから上方に延設された直線部112Bを有している。爪部112は、直線部112Bと脚部11との間隙に形成された凹部112Cを有している。
【0017】
梁部12は、図2に示されるように、背面の両端部に直方体状に突出して設けられ、後述するウェハカセット20の庇部22Dの端面223が当接する当接部121を有している。また、梁部12は、中央部に一定の間隔で形成された3つの孔部122を有している。
【0018】
また、キャリアハンドル10は、図1に示されるように、梁部12と接続される接続部14、接続部14に固定される土台部15、土台部15から立ち上がる支柱部16、及び支柱部16から前方に延出する把持部17とで構成されたハンドル部18を備える。ハンドル部18は、例えばアルミニウムで形成されている。
【0019】
接続部14は、L字状に曲げられた板材で形成されており、梁部12の前面に当接する前板14A及び梁部12の上面に当接する上板14Bを有している。前板14Aの背面には上述した梁部12の孔部122に嵌合する円柱部141が3つ設けられている。この3つの円柱部141を梁部12の孔部122に嵌合することにより、接続部14と梁部12とが接続される。また、接続部14の上板14Bには、土台部15との接続用のねじ穴(図示せず)が設けられている。
【0020】
土台部15は矩形状の板材で構成されており、四隅にそれぞれねじ孔151が設けられている。前側の2つのねじ孔151は、接続部14の上板14Bに形成されたねじ穴に対応する位置に設けられており、このねじ孔151にねじSを螺合することにより土台部15が接続部14に接続される。
【0021】
支柱部16は、矩形の板材で構成されており、短辺側の下端面には2つのねじ孔(図示せず)が設けられている。支柱部16は、この下端面を土台部15に当接させて、土台部15の後ろ側に設けられた2つのねじ孔(図示せず)からねじを螺合することにより、支柱部16は土台部15に接続される。また、図2に示されるように、支柱部16の上方には板材を貫通するねじ孔161が設けられている。なお、本開示の技術において「梁部から立ち上がる支柱部」は、接続部14及び/又は土台部15を介して支柱部16が梁部12から立ち上がっている態様を含むこととする。
【0022】
把持部17は、板材で構成されており、後端から前端に亘って、把持し易いように曲線を有する形状となっている。前端は円弧で形成されており、後端は平坦に形成されている。把持部17の後端には、ねじ穴(図示せず)が設けられており、図2に示されるように、このねじ孔及び支柱部16のねじ孔161にねじSを螺合することにより、把持部17は支柱部16に固定される。把持部17の前端部には孔171が設けられている。例えば壁等に設けられたフックをこの孔171に通すことにより、キャリアハンドル10を収納することができる。
【0023】
以上のようにして第1実施形態のキャリアハンドル10は構成されている。
【0024】
<ウェハカセット>
次に、本開示において使用されるウェハカセット20について以下図面を参照して説明する。図3は本開示の第1実施形態に係るウェハカセットの一例を示す斜視図である。なお、図3は、便宜上、手前側を正面、上側を上方として以下説明する。
【0025】
ウェハカセット20は、例えばテフロン(登録商標)で形成されている。ウェハカセット20は、図3に示されるように、前面に開口部20Aを有するウェハカセット本体21を有している。ウェハカセット本体21は、両側の側壁22、上壁23、及び下壁24により構成されている。
【0026】
側壁22は、前側から後ろ側に向かって直線に延びる主板部22A、主板部22Aの後端から内方に向かって延出された中央部22B、中央部22Bの後端から後方に向かって直線に延びる後部22C、及び主板部22Aの前端から略直角に折れ曲がり外側に向かって延出された庇部22Dを有する。主板部22A及び中央部22Bの内面には、複数のウェハ30を並列して保持する保持部221が設けられている。保持部221は、側壁22の前端から後端に亘って、上下方向に並列して複数形成された溝で構成されており、この溝にウェハ30が差し込まれる。また、保持部221を形成する溝の底面は外部に向けて貫通する貫通孔221Aを有している。
【0027】
庇部22Dは、上下方向の中央よりも上側に矩形状に切り欠かれた切欠部222を有している。切欠部222は、本開示の係止部に対応し、上述したキャリアハンドル10の爪部112が係止される。
【0028】
上壁23は、後端から前側に向かって略台形状に一段切り下がった台形部231を有している。下壁24は、前端から後ろ側に向かって略台形状に切り欠かれ、かつ後端から前側に向かって前端側よりも小さな略台形に切り欠かれて形成された長尺状の長尺板部241を有している。また、主板部22Aの外面前方において、下壁24から略矩形状に立ち上がる案内部25を有している。案内部25は、キャリアハンドル10が装着される際に、脚部11の平坦部111Aの上下方向、すなわちキャリアハンドル10の装着方向の移動を案内する。
【0029】
以上のようにして第1実施形態のウェハカセット20は構成されている。このように構成されたウェハカセット20はウェハ30を収容した後で、収納箱に入れられて保管される。図4は収納箱に収容された状態のウェハカセットの斜視図である。第1実施形態においては、図4に示されるように、収納箱60に2つのウェハカセット20が収容される。2つのウェハカセット20は、ウェハ30を収容した状態で、開口部20Aを上側にして、ウェハ30が直線状に並ぶように直列に配設される。なお、図示は省略しているが、収納箱60には蓋が被せられる。
【0030】
<カセット搬送構造>
次に、第1実施形態のキャリアハンドル10を使用してウェハカセット20を縦型拡散炉装置50にセットするカセット搬送構造について説明する。なお、縦型拡散炉装置50は、各種工程を行う際に、複数のウェハ30が縦方向に並列に収容された状態のウェハカセット20をセットして使用する装置である。
【0031】
先ずユーザは、キャリアハンドル10を使用してウェハカセット20を保持する。図5は収納箱60に収容された状態のウェハカセット20を保持するキャリアハンドル10の斜視図である。図5に示されるように、キャリアハンドル10の把持部17はユーザによって把持される。そしてユーザの操作によって、収納箱60に収容されたウェハカセット20に対して、庇部22Dと案内部25との間に、突出部111側から一対の脚部11が挿入される。この際に、突出部111の平坦部111Aが案内部25に当接し、案内部25が脚部11の挿入方向の移動を案内する。
【0032】
次に、庇部22Dの切欠部222に脚部11の爪部112が係止される。具体的には、切欠部222の前端に爪部112の凹部112Cの底面が当接し、直線部112Bが庇部22D上に位置することにより、爪部112が切欠部222に係止する。この際に、ウェハカセット20の庇部22Dの端面223が当接部121に当接することによって、ウェハカセット20の手前方向への移動が制限される。このようにして、キャリアハンドル10はウェハカセット20を保持する。
【0033】
図6はウェハ30を横方向に並列して収容したウェハカセット20を搬送する際のキャリアハンドル10の斜視図である。次に、キャリアハンドル10によって保持されたウェハカセット20は、図6に示されるように、縦型拡散炉装置50に搬送される。図6に示される状態においては、ウェハカセット20に収容されたウェハ30は、横方向に並列に並んでいる。すなわち、ウェハ30は、縦型拡散炉装置50の炉51の挿入方向に沿って並んでいるので、ウェハ30を縦方向に並んだ状態にする必要がある。そのため、ユーザは図6に示される矢印Mの方向に手を回転させることにより、ウェハカセット20の向きを回転させる。
【0034】
図7はウェハ30を縦方向に並列して収容したウェハカセット20を縦型拡散炉装置50へセットする際のキャリアハンドル10の斜視図である。ユーザが図6に示される矢印Mの方向に手を回転させることにより、ウェハカセット20は開口部20Aを手前側にした状態になる。すなわち、ウェハカセット20は、ウェハ30を横方向に並列して収容した状態から、ウェハ30を縦方向に並列して収容した状態に回転される。そして、ウェハ30を縦方向に並列して収容した状態でキャリアハンドル10に保持されたウェハカセット20は、炉口51Aから縦型拡散炉装置50の炉51にセットされる。
【0035】
図8はウェハカセット20を縦型拡散炉装置50へセットする際のキャリアハンドル10の正面図である。ユーザがキャリアハンドル10を使用して、縦型拡散炉装置50の炉51に中にウェハカセット20がセットされる際、図8に示されるように、ユーザによってキャリアハンドル10の把持部17が把持されたままの状態でセットされる。以上のようにして第1実施形態のキャリアハンドル10を使用してウェハカセット20が縦型拡散炉装置50にセットされる。
【0036】
なお、ウェハカセット20を炉51から取り出す場合には、図7に示すように把持部17を上方に位置させた状態で把持部17が把持されて、ウェハカセット20が炉51から取り出される。
【0037】
<第1実施形態の作用効果>
次に第1実施形態のキャリアハンドル10による作用効果について説明する。キャリアハンドル10の把持部17は、切欠部222に爪部112が係止された状態で支柱部16からウェハ30を挿入する方向に向かって延出する。これにより、把持部17を縦型拡散炉装置50の炉51に干渉させずにウェハカセット20を炉51の中に挿入させたり、炉51の中から取り出したりすることが可能となる。そのため、ユーザがミンキー手袋を装着した両手でウェハカセット20をつかんで縦型拡散炉装置50の炉51内にセットしたり、炉51の中から取り出したりする必要がない。これにより、ミンキー手袋がウェハ30に触れるのを防止することができるので、良好な状態のウェハ30が収容されたウェハカセット20を搬送することができる。
【0038】
また、キャリアハンドル10の把持部17はウェハ30を挿入する方向、すなわちウェハカセット20の開口部20Aとは反対側の面側に向かって延出されている。このような構造では、炉51に手を入れないとウェハカセット20を炉51にセットすることができないため、使い勝手の観点から、把持部17をウェハ30を取り出す方向、すなわちウェハカセット20の開口部20A側に向かって延出することが考えられる。この構造によれば、炉51に手をいれなくてもウェハカセット20を炉51にセットすることが可能となる。
【0039】
しかしながら、把持部17を開口部20A側に延出した態様では、キャリアハンドル10に保持されたウェハカセット20の重心G(図7参照)から把持部17を把持する手までの距離が、上記第1実施形態よりも長くなってしまう。重心Gから手までの距離が長くなると、キャリアハンドル10を把持してウェハカセット20を持ち上げている腕にキャリアハンドル10を通じて大きなモーメントがかかる。
【0040】
これに対して、上記第1実施形態においては、キャリアハンドル10に保持されたウェハカセット20の重心G(図7参照)から把持部17を把持する手までの距離をより短くすることができる。そのため、キャリアハンドル10を把持してウェハカセット20を持ち上げている腕にキャリアハンドル10を通じてかかるモーメントを小さくすることができるので、ウェハカセット20の炉51への搬送作業が楽になる。
【0041】
また、上記第1実施形態のキャリアハンドル10は、ウェハカセット20の切欠部222に引っ掛かる爪部112を有し両側からウェハカセット20を把持する。これにより、爪部112をウェハカセット20の切欠部222に引っ掛けることで、キャリアハンドル10をウェハカセット20に対して係止できるので、ウェハカセット20にキャリアハンドル10を容易に取り付けることができる。
【0042】
また、上記第1実施形態のカセット搬送構造によれば、開口部20Aを上方に位置させて載置されたウェハカセット20にキャリアハンドル10が装着されるので、把持部17が手前側に位置する(図5参照)。そのため、ユーザは、手前側の把持部17を把持して回転することにより、把持部17を上側に位置させることができる。これにより、把持部17を縦型拡散炉装置50の炉51に干渉させずにウェハカセット20を炉51の中に挿入させることが可能となる。そのため、ユーザがミンキー手袋を装着した両手でウェハカセット20をつかんで炉51内にセットする必要がない。これにより、ミンキー手袋がウェハ30に触れるのを防止することができるので、良好な状態のウェハ30が収容されたウェハカセット20を搬送することができる。
【0043】
(第2実施形態)
<キャリアハンドル>
以下、開示の第2実施形態のキャリアハンドル10Aについて、図面を参照しつつ説明する。図9はウェハカセットを縦型拡散炉装置へセットする際の本開示の第2実施形態にかかるキャリアハンドルの正面図である。なお、第2実施形態のキャリアハンドル10Aは上記第1の実施形態のキャリアハンドル10に対してカバーを備えた構成である。そのため、図9において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、以下説明は省略する。
【0044】
開示の第2実施形態のキャリアハンドル10Aは、図9に示されるように、カバー70を有している。カバー70は、矩形状の透明なアクリル板で構成されており、ウェハカセット20の切欠部222にキャリアハンドル10の爪部112が係止された状態で、キャリアハンドル10の土台部15の前端に対応する位置に2つの取付孔70Aが設けられている。また、土台部15の前端にはこの取付孔70Aに対応する位置に、ねじ穴が2つ設けられている。カバー70は、このねじ穴及び取付孔70Aにねじを螺合することによりウェハカセット20の開口部20Aを臨むようにキャリアハンドル10に取り付けられている。
【0045】
<第2実施形態の作用効果>
次に第2実施形態のキャリアハンドル10による作用効果について説明する。第2実施形態のキャリアハンドル10によれば、開口部20A側にカバー70が設けられるので、パーティクル、すなわち塵、ホコリ、異物、及びダスト等のウェハ30への付着を防止することができる。また、カバー70を透明部材で形成することにより、ウェハカセット20に収容されたウェハ30を視認することができる。
【0046】
なお、上記第1、第2の実施形態においては、ハンドル部18は、接続部14、土台部15、支柱部16、及び把持部17が各々別体で構成されるものとしたが、本開示の技術はこれに限られない。ハンドル部18は、接続部14、土台部15、支柱部16、及び把持部17を全て一体的に形成してもよいし、何れかの部品を一体的に形成してもよい。
【0047】
また、上記第1、第2の実施形態においては、二股部材13とハンドル部18とが別体で構成されるものとしたが、本開示の技術はこれに限られず、一体的に形成してもよい。
【0048】
また、上記第1、第2の実施形態においては、係止部として爪部112を採用しているが、本開示の技術はこれに限られない。例えばウェハカセット20に設けられた被係止部が切欠部222ではなく凸部である場合には、係止部を凸部と嵌合する凹部とすることができる。また、ウェハカセット20に設けられた被係止部が凹部である場合には、係止部を凹部と嵌合する凸部とすることができる。キャリアハンドル10に設けられる係止部は、被係止部に着脱可能に係止できる構造であればよく、被係止部の形状に合わせて適宜変更することができる。
【0049】
また、上記第2実施形態においては、カバー70を矩形状としたが本開示の技術はこれに限られない。開口部20Aをカバーできる形状であれば、楕円状、円形状、及び高く形状等、何れの形状であってもよい。
【0050】
なお、上記第1、第2の実施形態においては、縦型拡散炉装置50として複数のウェハ30が縦方向に並列に収容された状態のウェハカセット20をセットして使用する装置を例にして説明したが、本開示のキャリアハンドルは他の縦型拡散炉装置にも使用することができる。図10は他の縦型拡散炉装置50Aを説明する説明図である。
【0051】
他の縦型拡散炉装置50Aの炉51の内部には、ウェハカセット20の向きを複数のウェハ30が縦方向に並列に収容された状態に回転させる自動搬送装置が搭載されている。そのため、他の縦型拡散炉装置50Aにおいては、図10に示されるように、複数のウェハ30が横方向に並列に収容された状態のウェハカセット20、すなわち開口部20Aを上側に向けたウェハカセット20を炉51にセットして使用する。
【0052】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 キャリアハンドル
11 脚部
112 爪部(係止部)
12 梁部
13 二股部材
16 支柱部
17 把持部
20 ウェハカセット
20A 開口部
222 切欠部(被係止部)
30 ウェハ
40 キャリアハンドル
50 縦型拡散炉装置
51 炉
51A 炉口
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
図9
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