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特開2022-26855検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造
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  • 特開-検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022026855
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20220203BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G01R1/073 A
G01R1/067 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130518
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】野口 博史
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA13
2G011AB06
2G011AB07
2G011AC21
2G011AE01
2G011AE03
2G011AE22
2G011AF07
(57)【要約】
【課題】プローブの間隔を狭めることが容易な検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造を提供する。
【解決手段】検査治具3は、筒状の外部導体51と芯線52とを含み、弾性を有する同軸プローブ5と、同軸プローブ5を支持する支持部材31とを備え、支持部材31は、同軸プローブ5の先端部側で、外部導体51が挿入されて外部導体51の先端部を摺動可能に支持する先端支持孔H1が設けられた、導電性の先端プレート311を含み、芯線52は、先端プレート311から突出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する同軸プローブと、
前記同軸プローブを支持する支持部材とを備え、
前記支持部材は、
前記同軸プローブの先端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の先端部を摺動可能に支持する先端支持孔が設けられた、導電性の先端プレートを含み、
前記芯線は、前記先端プレートから突出する検査治具。
【請求項2】
前記先端プレートの、前記芯線が突出する側の面に設けられた絶縁層をさらに備え、
前記芯線は、前記絶縁層から突出する請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記先端プレートと接続され、検査対象物のグラウンドパターンに接触させるための第一グラウンドプローブをさらに備える請求項1又は2に記載の検査治具。
【請求項4】
前記同軸プローブは、セミリジッドケーブルである請求項1~3のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項5】
前記支持部材は、
前記同軸プローブの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた基端プレートと、
前記先端プレートと前記基端プレートとを互いに離間させて保持する離間保持部材とを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項6】
前記同軸プローブは、前記先端プレートと前記基端プレートとの間の空間で湾曲されている請求項5に記載の検査治具。
【請求項7】
前記基端プレートは、導電性を有する請求項5又は6に記載の検査治具。
【請求項8】
前記基端プレートと接続され、検査対象物のグラウンドパターンに接触させるための第二グラウンドプローブをさらに備える請求項7に記載の検査治具。
【請求項9】
前記離間保持部材は、導電性を有し、前記先端プレートと前記基端プレートとを導通させる請求項7又は8に記載の検査治具。
【請求項10】
前記基端支持孔は、前記同軸プローブを摺動可能に支持する請求項5~9のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項11】
前記同軸プローブの基端部側で、前記芯線を外部と導通接続させるための外部接続部をさらに備える請求項7~10のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項12】
前記外部接続部は、
前記基端プレートの前記先端プレートとは反対側の面に積層された、導電性の接続プレートと、
接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む同軸ケーブルとを含み、
前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、
前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、
前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触する請求項11に記載の検査治具。
【請求項13】
前記接続用芯線は、前記芯線よりも太い請求項12に記載の検査治具。
【請求項14】
前記基端プレートと前記接続プレートとは、ねじ止めされている請求項12又は13に記載の検査治具。
【請求項15】
筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する同軸プローブと、
前記同軸プローブを支持する支持部材と、
前記芯線を外部と導通接続させるための外部接続部とを備え、
前記支持部材は、前記同軸プローブの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた、導電性の基端プレートを含み、
前記外部接続部は、
前記基端プレートに積層された、導電性の接続プレートと、
接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む同軸ケーブルとを含み、
前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、
前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、
前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触する検査治具。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の検査治具と、
前記芯線を検査対象物に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象物の検査を行う検査処理部とを備える検査装置。
【請求項17】
筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する第一同軸ケーブルと、
前記第一同軸ケーブルの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた、導電性の基端プレートと、
前記基端プレートに積層された、導電性の接続プレートと、
接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む第二同軸ケーブルとを備え、
前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、
前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、
前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触する同軸ケーブルの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の検出に適した検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セミリジッドケーブルの端面に、セミリジッドケーブルの中心導体と接続された信号ラインを有する基板を取り付けた高周波プローブが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この高周波プローブは、セミリジッドケーブルの中心導体と接続された信号ラインをデバイスに接触させ、セミリジッドケーブルの被覆導体を、グラウンド面を有するデバイスステージに接触させて用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-2716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の高周波プローブは、セミリジッドケーブルの被覆導体を、グラウンド面を有するデバイスステージに接触させるために、高周波プローブの先端付近を大きく横に寝かせる必要がある。そのため、高周波プローブが寝かされた方向に隣接する他の高周波プローブは、寝かされた高周波プローブを避けるために間隔を大きく空けて配置する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、特許文献1に記載の高周波プローブよりもプローブの間隔を狭めることが容易な検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係る検査治具は、筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する同軸プローブと、前記同軸プローブを支持する支持部材とを備え、前記支持部材は、前記同軸プローブの先端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の先端部を摺動可能に支持する先端支持孔が設けられた、導電性の先端プレートを含み、前記芯線は、前記先端プレートから突出する。
【0007】
また、本発明の一例に係る検査装置は、上述の検査治具と、前記芯線を検査対象物に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象物の検査を行う検査処理部とを備える。
【0008】
また、本発明の一例に係る同軸ケーブルの接続構造は、筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する第一同軸ケーブルと、前記第一同軸ケーブルの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた、導電性の基端プレートと、前記基端プレートに積層された、導電性の接続プレートと、接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む第二同軸ケーブルとを備え、前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触する。
【発明の効果】
【0009】
このような構成の検査治具、検査装置、及び同軸ケーブルの接続構造は、特許文献1に記載の高周波プローブよりもプローブの間隔を狭めることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る検査治具を用いる検査装置の構成の一例を概略的に示す概念図である。
図2図1に示す検査治具の一例を、概略的に示す断面図である。
図3】芯線52を検査点に当接させた際の同軸プローブ5の挙動を説明するための説明図である。
図4図2に示す検査治具の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。各図の向きを示すために適宜XYZ直交座標軸を記載している。図1に示す検査装置1は、検査対象物の一例である基板100を検査するための装置である。
【0012】
基板100は、例えばプリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、半導体基板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板であってもよい。なお、検査対象物は、基板に限らず、例えば半導体素子(IC:Integrated Circuit)等の電子部品であってもよく、その他電気的な検査を行う対象となるものであればよい。
【0013】
図1に示す検査装置1は、検査部4U,4Dと、基板固定装置6と、検査処理部8とを備えている。基板固定装置6は、検査対象の基板100を所定の位置に固定するように構成されている。検査部4U,4Dは、検査治具3U,3Dを備えている。検査部4U,4Dは、図略の駆動機構によって、検査治具3U,3Dを、互いに直交するX,Y,Zの三軸方向に移動可能にされ、さらに検査治具3U,3Dを、Z軸を中心に回動可能にされている。
【0014】
検査部4Uは、基板固定装置6に固定された基板100の上方に位置する。検査部4Dは、基板固定装置6に固定された基板100の下方に位置する。検査部4U,4Dは、基板100に形成された回路パターンを検査するための検査治具3U,3Dを着脱可能に構成されている。
【0015】
検査部4U,4Dは、配置が異なる点を除き、互いに同様に構成されている。検査治具3U,3Dは、検査部4U,4Dへの取り付け方向が上下逆になる点を除き、互いに同様に構成されている。以下、検査部4U,4Dを総称して検査部4と称し、検査治具3U,3Dを総称して検査治具3と称する。検査治具3は、検査対象の基板100に応じて取り替え可能にされている。
【0016】
検査治具3は、複数の同軸プローブ5と、複数の同軸プローブ5の先端部を基板100へ向けて保持する支持部材31と、複数の同軸プローブ5を外部の検査処理部8に接続する外部接続部32とを備えている。
【0017】
図2に示す検査治具3は、筒状の外部導体51と芯線52とを含む同軸プローブ5と、複数の同軸プローブ5を支持する支持部材31と、芯線52を外部と導通接続させるための外部接続部32とを備える。
【0018】
支持部材31は、先端プレート311、基端プレート312、離間保持部材313、及び絶縁層314を備える。先端プレート311及び基端プレート312は、例えば金属等の導電性の材料を用いて構成された板状の部材である。
【0019】
離間保持部材313は、先端プレート311と、基端プレート312とを平行に離間させて保持する。離間保持部材313は、例えば棒状の支柱であってもよく、壁状の部材であってもよい。離間保持部材313は、例えば金属等の導電性の材料を用いて構成されており、先端プレート311と、基端プレート312とを導通させるようになっている。
【0020】
先端プレート311及び基端プレート312は、いわゆるグラウンドプレーンとして用いられ、離間保持部材313が先端プレート311及び基端プレート312を導通させるので、先端プレート311及び基端プレート312のグラウンドレベルを安定させることができる。
【0021】
なお、離間保持部材313は、必ずしも導電性でなくてもよい。離間保持部材313とは別に先端プレート311と基端プレート312とを導通させる部材を備えてもよい。あるいは、基端プレート312は、導電性でなくてもよい。
【0022】
先端プレート311には、略垂直に貫通するように設けられた複数の貫通孔が、先端支持孔H1として形成されている。先端支持孔H1は、検査対象となる基板100の配線パターン上に設定された検査点の位置と対応するように配置されている。検査点は、例えば配線パターン、パッド、半田バンプ、接続端子、スルーホール、ビア等とされている。
【0023】
基端プレート312には、略垂直に貫通するように設けられた複数の貫通孔が基端支持孔H2として、先端支持孔H1と略対向する位置に設けられている。
【0024】
絶縁層314は、先端プレート311の、基端プレート312とは反対側の面に積層されている。絶縁層314は、例えば樹脂等の絶縁材料から構成されている。絶縁層314は、板状部材であってもよく、絶縁材料が先端プレート311表面に塗布等されて形成された絶縁層であってもよい。
【0025】
絶縁層314によって、同軸プローブ5が先端プレート311から抜け出ないようにされている。また、絶縁層314によって、基板100に先端プレート311が接触しないようにされている。なお、必ずしも絶縁層314を備える必要はなく、検査装置1は、基板100に対して先端プレート311を離間させた状態で芯線52を検査点に接触させてもよい。
【0026】
同軸プローブ5は、中心の芯線52と外周の外部導体51との間に樹脂材料等の絶縁物が充填された、いわゆる同軸ケーブルである。同軸プローブ5としては、セミリジッドケーブルを好適に用いることができる。同軸プローブ5は、例えば特性インピーダンス50Ωである。
【0027】
同軸プローブ5の外部導体51の先端部側は、先端支持孔H1に摺動可能に挿入されている。これにより、先端支持孔H1によって、同軸プローブ5の先端部が支持される。芯線52の先端部は、先端プレート311から突出し、絶縁層314を貫通して絶縁層314から突出している。これにより、芯線52の先端部が基板100の検査点に接触するようになっている。
【0028】
同軸プローブ5の外部導体51の後端部側は、基端支持孔H2に挿入されている。これにより、基端支持孔H2によって、同軸プローブ5の基端部が支持される。外部導体51は、基端支持孔H2に対して、例えばはんだ付け等により導電性の材料で固着されていてもよく、摺動可能に挿入されて接触していてもよい。
【0029】
外部導体51を、基端支持孔H2に対して摺動可能に挿入した場合、同軸プローブ5が損傷した際に交換が容易になる点で好ましい。
【0030】
このように、先端支持孔H1と基端支持孔H2とによって、同軸プローブ5の両端が支持されることによって、同軸プローブ5が支持部材31で支持されている。
【0031】
先端支持孔H1及び基端支持孔H2の孔径、及び同軸プローブ5の外形は、特に限定されるものではないが、先端支持孔H1及び基端支持孔H2の孔径が同軸プローブ5の外形よりもわずかに大きくされている。例えば先端支持孔H1及び基端支持孔H2の孔径は350μm、同軸プローブ5の外径は330μmとされている。
【0032】
同軸プローブ5は、先端プレート311と基端プレート312との間の空間で湾曲されている。湾曲により、同軸プローブ5が撓み易くなり、同軸プローブ5に適切な弾性が付与される。
【0033】
これにより、検査時に芯線52の先端が検査点に当接された際、当接圧力により芯線52が押し込まれて同軸プローブ5が撓むようになっている。その結果、芯線52を検査点に弾性的に接触させることができるので、芯線52と検査点との接触安定性が向上する。
【0034】
なお、同軸プローブ5は、弾性を有していればよく、必ずしも湾曲していなくてもよい。
【0035】
芯線52の先端が検査点に当接して押し込まれると、同軸プローブ5の湾曲部分が撓むのであるが、このとき、図3に示すように、湾曲部分の応力によって、外部導体51の先端部が先端支持孔H1内で斜めに傾斜する。そのため、外部導体51が、先端支持孔H1の内壁に押圧されながら摺動する。その結果、芯線52の先端が検査点に当接される都度、外部導体51と先端支持孔H1の内壁とが擦れ合ってクリーニングされる。
【0036】
これにより、外部導体51の外周と先端支持孔H1の内壁とに、例えば酸化被膜や塵埃が付着した場合であっても、検査時に芯線52の先端が検査点に当接される都度、クリーニングされるので、外部導体51と先端プレート311との導通安定性が向上する。
【0037】
このように、外部導体51の両端が、グラウンドプレーンとして機能する先端プレート311及び基端プレート312と導通することによって、外部導体51が安定的にグラウンドに接続される結果、外部導体51による外来ノイズの遮蔽効果が増大する。これにより、同軸プローブ5の高周波特性が向上する。
【0038】
また、同軸プローブ5は、先端プレート311を略垂直に貫通するように取り付けられているので、特許文献1に記載の高周波プローブのように先端付近を大きく横に寝かせた場合と比べて、隣接する同軸プローブ5相互間の間隔を狭めることが容易となる。
【0039】
支持部材31には、第一グラウンドプローブ71と、第二グラウンドプローブ72とが取り付けられている。第一グラウンドプローブ71及び第二グラウンドプローブ72は、いずれもその先端が、基板100のグラウンドパターンに接触するように配置されている。
【0040】
第一グラウンドプローブ71及び第二グラウンドプローブ72としては、種々のプローブを用いることができる。第一グラウンドプローブ71としては、例えばコイルばねによって先端部を弾性的に突出させるスプリングプローブを好適に用いることができる。第二グラウンドプローブ72としては、例えば弾性を有する棒状のワイヤプローブを好適に用いることができる。
【0041】
第一グラウンドプローブ71は、先端プレート311に取り付けられている。第一グラウンドプローブ71は、基板100のグラウンドパターンと先端プレート311とを導通させる。
【0042】
第二グラウンドプローブ72は、後端部が基端プレート312によって支持され、先端部付近が先端プレート311によって支持されている。これにより、第二グラウンドプローブ72は、基板100のグラウンドパターンと、先端プレート311及び基端プレート312とを導通させる。
【0043】
第一グラウンドプローブ71及び第二グラウンドプローブ72によって、外部導体51を、基板100のグラウンドパターンと同電位にすることができるので、同軸プローブ5の高周波特性が向上する。
【0044】
なお、第一グラウンドプローブ71を備えていなくてもよく、第二グラウンドプローブ72を備えていなくてもよく、第一グラウンドプローブ71及び第二グラウンドプローブ72を備えていなくてもよい。また、第二グラウンドプローブ72は、先端プレート311と導通していなくてもよい。
【0045】
外部接続部32は、接続基板321、スルーホール322、接続配線323、及びコネクタ324を備える。接続基板321は、例えばプリント配線板等の板状部材である。接続基板321は、基端プレート312の、先端プレート311とは反対側の面に積層されている。
【0046】
接続基板321には、各芯線52の基端部と接触するようにスルーホール322が形成されている。接続基板321の、基端プレート312とは反対側の面には、各スルーホール322とコネクタ324とを接続する接続配線323が形成されている。コネクタ324は、検査治具3の外部、例えば検査処理部8と接続される。
【0047】
これにより、外部接続部32によって、各同軸プローブ5の芯線52が、検査処理部8等の外部と接続される。接続配線323は、特性インピーダンスが同軸プローブ5と略同じ、例えば50Ωであることが好ましい。これにより、外部接続部32による伝送損失が低減される。
【0048】
なお、検査治具3は、必ずしも外部接続部32を備えていなくてもよく、基端プレート312、離間保持部材313、第一グラウンドプローブ71、及び第二グラウンドプローブ72を備えていなくてもよい。
【0049】
検査処理部8は、例えば図略のスキャナ部、電源回路、電圧計、電流計、及びマイクロコンピュータ等を備えている。スキャナ部は、コネクタ324と接続されている。スキャナ部は、各同軸プローブ5と、電源回路、電圧計、及び電流計との間の接続を切り替える切り替え回路である。
【0050】
検査処理部8は、図略の駆動機構を制御して検査部4U,4Dを移動、位置決めさせ、基板100の各検査点に、各同軸プローブ5の先端を接触させる。これにより、各検査点と、検査処理部8とが電気的に接続される。この状態で、検査処理部8は、検査治具3の各同軸プローブ5を介して基板100の各検査点に検査用の電流又は電圧を供給し、各同軸プローブ5から得られた電圧信号又は電流信号に基づき、例えば回路パターンの断線や短絡等の基板100の検査を実行する。あるいは、検査処理部8は、交流の電流又は電圧を各検査点に供給することによって各同軸プローブ5から得られた電圧信号又は電流信号に基づき、検査対象のインピーダンスを測定してもよい。
【0051】
図4に示す検査治具3aは、外部接続部32の代わりに、外部接続部32aを備えている。その他の点では検査治具3と同様に構成されているので、検査治具3aの特徴的な点について説明する。
【0052】
外部接続部32aは、接続プレート321aと、複数の同軸ケーブル9と、複数の同軸コネクタ93とを備えている。同軸ケーブル9は、接続用芯線92と、接続用芯線92を囲む接続用外部導体91とを備えている。
【0053】
同軸ケーブル9としては、同軸プローブ5と同様、セミリジッドケーブルを好適に用いることができる。なお、同軸ケーブル9は、セミリジッドケーブルに限らない。接続用外部導体91は、網線によって形成されていてもよい。
【0054】
接続プレート321aは、基端プレート312と同様、例えば金属等の導電性の材料を用いて構成された板状の部材である。接続プレート321aは、基端プレート312の、先端プレート311とは反対側の面に積層されている。
【0055】
接続プレート321aには、略垂直に貫通するように設けられた複数の貫通孔H3が、基端プレート312の複数の基端支持孔H2と同心に形成されている。同軸ケーブル9の一端は、貫通孔H3に挿入されて接続用外部導体91が貫通孔H3に固着されている。接続用外部導体91の一端は、貫通孔H3に対して、例えばはんだ付け等により導電性の材料で固着されている。同軸ケーブル9の他端に同軸コネクタ93が取り付けられている。同軸コネクタ93は、検査処理部8に接続される。
【0056】
貫通孔H3と基端支持孔H2とが同心に形成されているので、同軸ケーブル9の接続用芯線92の一端と、同軸プローブ5の芯線52の基端部とが位置合わせされ、接続用芯線92と芯線52とが接触導通するようになっている。
【0057】
同軸ケーブル9は同軸プローブ5より太く、接続用芯線92が芯線52より太い。これにより、同軸ケーブル9と同軸プローブ5との位置ずれにより接続用芯線92と芯線52とが接触しなくなるおそれが低減され、接続用芯線92と芯線52とが接触導通する確実性が向上する。接続用芯線92の端面は、芯線52との接触抵抗を低減する観点から、研磨されていることが好ましい。
【0058】
なお、接続用芯線92は、必ずしも芯線52より太い例に限らない。
【0059】
同軸ケーブル9は、特性インピーダンスが同軸プローブ5と略同じ、例えば50Ωとされている。特性インピーダンスが略等しい同軸ケーブルの芯線同士を直接接続することによって、接続部での信号反射を低減し、伝送損失を低減することができる。これにより、同軸プローブ5と接続配線323とを、スルーホール322を介して接続する外部接続部32よりも、外部接続部32aの方が、より伝送損失を低減することができる。
【0060】
接続プレート321aは、基端プレート312と、ボルトBによって締結されている。このように、導電性の接続プレート321aと基端プレート312とを、ねじ止めによって強固に締結することによって、接続プレート321aと基端プレート312との接触抵抗を低減することができる。
【0061】
その結果、接続プレート321aと基端プレート312とを介して、接続用外部導体91と外部導体51とが、グラウンド電位で同電位にされるので、接続用外部導体91と外部導体51とによる外来ノイズの遮蔽効果が増大する。これにより、同軸ケーブル9及び同軸プローブ5の高周波特性が向上する。
【0062】
なお、接続プレート321aと基端プレート312とが、ねじ止めされる例に限らない。接続プレート321aと基端プレート312とが導通するように固定されていればよい。
【0063】
接続プレート321a及び基端プレート312の接触面は、接触抵抗を低減する観点から、研磨されていることが好ましい。
【0064】
なお、検査治具3aは、先端プレート311、離間保持部材313、絶縁層314、第一グラウンドプローブ71、及び第二グラウンドプローブ72を備えていなくてもよい。
【0065】
また、検査治具3aは、検査治具でなくてもよい。検査治具3aから先端プレート311、離間保持部材313、絶縁層314、第一グラウンドプローブ71、及び第二グラウンドプローブ72を除いた同軸ケーブルの接続構造であってもよい。この場合、同軸プローブ5が第一同軸ケーブルの一例に相当し、同軸ケーブル9が第二同軸ケーブルの一例に相当する。
【0066】
この接続構造によれば、コネクタやスルーホールを介さずに、同軸プローブ5(第一同軸ケーブル)の芯線52と同軸ケーブル9(第二同軸ケーブル)の接続用芯線92とを直接接触させ、かつ基端プレート312と接続プレート321aとを介して同軸プローブ5の外部導体51と同軸ケーブル9の接続用外部導体91とを導通させることができるので、伝送損失を低減しつつ、同軸プローブ5と同軸ケーブル9とを接続することができる。
【0067】
この接続構造によれば、例えばWO2018/021216に記載されているような、外部導体を備えない配線とプローブとを接続する構造よりも、第一同軸ケーブルと第二同軸ケーブルの接続部における高周波信号の伝送損失を低減することが容易となる。
【0068】
すなわち、本発明の一例に係る検査治具は、筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する同軸プローブと、前記同軸プローブを支持する支持部材とを備え、前記支持部材は、前記同軸プローブの先端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の先端部を摺動可能に支持する先端支持孔が設けられた、導電性の先端プレートを含み、前記芯線は、前記先端プレートから突出する。
【0069】
この構成によれば、導電性の先端プレートに設けられた先端支持孔に外部導体が挿入され、同軸プローブが先端プレートを略垂直に貫通するように取り付けられる。その結果、特許文献1に記載の高周波プローブのように先端付近を大きく横に寝かせた場合と比べて、隣接する同軸プローブ相互間の間隔を狭めることが容易となる。さらに、先端プレートから突出した芯線の先端が検査対象物に当接すると、同軸プローブが弾性を有するため、芯線の先端が押し込まれる。このとき、同軸プローブの外部導体が先端支持孔内で摺動する。その結果、芯線の先端が検査対象物に当接される都度、外部導体と先端支持孔の内壁とが擦れ合ってクリーニングされる。従って、導電性の先端プレートをグラウンドプレーンとして用いた場合に同軸プローブの外部導体と先端プレートとの導通の確実性が向上する。
【0070】
また、前記先端プレートの、前記芯線が突出する側の面に設けられた絶縁層をさらに備え、前記芯線は、前記絶縁層から突出することが好ましい。
【0071】
この構成によれば、検査対象物と、導電性の先端プレートとを絶縁することができる。
【0072】
また、前記先端プレートと接続され、検査対象物のグラウンドパターンに接触させるための第一グラウンドプローブをさらに備えることが好ましい。
【0073】
この構成によれば、先端プレートを、検査対象物のグラウンドと同電位にすることができる。
【0074】
また、前記同軸プローブは、セミリジッドケーブルであることが好ましい。
【0075】
セミリジッドケーブルは、筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する同軸プローブとして好適である。
【0076】
また、前記支持部材は、前記同軸プローブの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた基端プレートと、前記先端プレートと前記基端プレートとを互いに離間させて保持する離間保持部材とを含むことが好ましい。
【0077】
この構成によれば、支持部材は、同軸プローブの両端を支持することができるので、同軸プローブを安定的に支持することができる。
【0078】
また、前記同軸プローブは、前記先端プレートと前記基端プレートとの間の空間で湾曲されていることが好ましい。
【0079】
この構成によれば、湾曲部分で同軸プローブが撓み易くなるので、同軸プローブに弾性を付与することが容易となる。
【0080】
また、前記基端プレートは、導電性を有することが好ましい。
【0081】
この構成によれば、先端プレートと基端プレートとをグラウンドプレーンとして用いることができ、同軸プローブの外部導体を両端付近でグラウンドプレーンと導通させることができるので、外部導体をグラウンド電位に安定させることが容易となる。
【0082】
また、前記基端プレートと接続され、検査対象物のグラウンドパターンに接触させるための第二グラウンドプローブをさらに備えることが好ましい。
【0083】
この構成によれば、基端プレートを、検査対象物のグラウンドと同電位にすることができる。
【0084】
また、前記離間保持部材は、導電性を有し、前記先端プレートと前記基端プレートとを導通させることが好ましい。
【0085】
この構成によれば、先端プレートと基端プレートとを同電位にすることができる。
【0086】
また、前記基端支持孔は、前記同軸プローブを摺動可能に支持することが好ましい。
【0087】
この構成によれば、同軸プローブが損傷した際に、基端支持孔から取り外して交換することが容易になる。
【0088】
また、前記同軸プローブの基端部側で、前記芯線を外部と導通接続させるための外部接続部をさらに備えることが好ましい。
【0089】
この構成によれば、同軸プローブを外部に接続することが容易となる。
【0090】
また、前記外部接続部は、前記基端プレートの前記先端プレートとは反対側の面に積層された、導電性の接続プレートと、接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む同軸ケーブルとを含み、前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触することが好ましい。
【0091】
この構成によれば、同軸プローブの芯線と、同軸ケーブルの接続用芯線とが、直接接触して導通するので、同軸プローブと同軸ケーブルの接続部における伝送損失や信号反射が低減される。また、導電性の接続プレート及び基端プレートを介して、同軸プローブの外部導体と同軸ケーブルの接続用外部導体とが導通するので、同軸ケーブルを介して同軸プローブを外部に接続する際の、高周波特性が向上する。
【0092】
また、前記接続用芯線は、前記芯線よりも太いことが好ましい。
【0093】
この構成によれば、接続用芯線と芯線との位置ずれの許容度が増大する。その結果、接続用芯線と芯線とを接続する確実性が向上する。
【0094】
また、前記基端プレートと前記接続プレートとは、ねじ止めされていることが好ましい。
【0095】
この構成によれば、基端プレートと接続プレートとを強固に締結することができるので、基端プレートと接続プレートとを導通させて同電位にさせる確実性が向上する。
【0096】
また、本発明の一例に係る検査治具は、筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する同軸プローブと、前記同軸プローブを支持する支持部材と、前記芯線を外部と導通接続させるための外部接続部とを備え、前記支持部材は、前記同軸プローブの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた、導電性の基端プレートを含み、前記外部接続部は、前記基端プレートに積層された、導電性の接続プレートと、接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む同軸ケーブルとを含み、前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触する。
【0097】
この構成によれば、同軸プローブの芯線と、同軸ケーブルの接続用芯線とが、直接接触して導通するので、同軸プローブと同軸ケーブルの接続部における伝送損失や信号反射が低減される。また、導電性の接続プレート及び基端プレートを介して、同軸プローブの外部導体と同軸ケーブルの接続用外部導体とが導通するので、同軸ケーブルを介して同軸プローブを外部に接続する際の、高周波特性が向上する。
【0098】
また、本発明の一例に係る検査装置は、上述の検査治具と、前記芯線を検査対象物に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象物の検査を行う検査処理部とを備える。
【0099】
この構成によれば、上述の検査治具を用いて検査対象物の検査を行うことができる。
【0100】
また、本発明の一例に係る同軸ケーブルの接続構造は、筒状の外部導体と芯線とを含み、弾性を有する第一同軸ケーブルと、前記第一同軸ケーブルの基端部側で、前記外部導体が挿入されて前記外部導体の基端部を支持する基端支持孔が設けられた、導電性の基端プレートと、前記基端プレートに積層された、導電性の接続プレートと、接続用芯線と前記接続用芯線を囲む接続用外部導体とを含む第二同軸ケーブルとを備え、前記接続プレートには、前記基端支持孔と同心に配置された貫通孔が形成され、前記接続用外部導体の一端は、前記貫通孔内に固着され、前記接続用芯線の一端は、前記芯線と接触する。
【0101】
この構成によれば、第一同軸ケーブルの芯線と、第二同軸ケーブルの接続用芯線とが、直接接触して導通するので、第一同軸ケーブルと第二同軸ケーブルの接続部における伝送損失や信号反射が低減される。また、導電性の接続プレート及び基端プレートを介して、第一同軸ケーブルの外部導体と第二同軸ケーブルの接続用外部導体とが導通するので、第二同軸ケーブルを介して第一同軸ケーブルを外部に接続する際の、高周波特性が向上する。
【符号の説明】
【0102】
1 検査装置
3,3a,3U,3D 検査治具
4,4U,4D 検査部
5 同軸プローブ(第一同軸ケーブル)
6 基板固定装置
8 検査処理部
9 同軸ケーブル(第二同軸ケーブル)
31 支持部材
32,32a 外部接続部
51 外部導体
52 各芯線
52 芯線
71 第一グラウンドプローブ
72 第二グラウンドプローブ
91 接続用外部導体
92 接続用芯線
93 同軸コネクタ
100 基板(検査対象物)
311 先端プレート
312 基端プレート
313 離間保持部材
314 絶縁層
321 接続基板
321a 接続プレート
322 スルーホール
323 接続配線
324 コネクタ
B ボルト
H1 先端支持孔
H2 基端支持孔
H3 貫通孔
図1
図2
図3
図4