(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027701
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】選択的原子層エッチング(ALE)を用いた平面化を改善するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
H01L21/302 105B
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021125407
(22)【出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】16/944563
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド,オメーラ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー,ディップ
(72)【発明者】
【氏名】井下田 真信
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA11
5F004BA01
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB19
5F004BB24
5F004BD03
5F004CA05
5F004DA00
5F004DA11
5F004DA13
5F004DA16
5F004DA18
5F004DA20
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA26
5F004DA29
5F004DB00
(57)【要約】
【課題】回転プラテンを有する空間原子層処理システムにおいて、パターン化基板を平面化する方法が提供される。
【解決手段】通常、パターン化基板は、高領域および低領域を有する特徴物を有してもよい。パターン化基板を平面化し、または、高領域と低領域の間の高さの差を小さくするため、選択的原子層エッチング(ALE)プロセスが開示され、パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露することにより、回転プラテンが高回転速度で回転する間、優先的に前記特徴物の高領域に改質層が形成される。特徴物の高領域に改質層を優先的に形成し、その後改質層を除去することにより、本願に記載の選択的ALEプロセスでは、特徴物の所望の平面化が達成されるまで、特徴物の高領域が優先的にエッチングされ、高領域と低領域の間の高さの差が低減される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化する方法であって、
前記パターン化基板の一部として少なくとも第1の層を提供するステップであって、
前記第1の層は、前記パターン化基板上に形成された1または2以上の特徴物の少なくとも一部を有し、
前記1または2以上の特徴物は、高領域および低領域を有し、前記高領域と前記低領域との間に高さの差が存在する、ステップと、
前記空間原子層処理システムの回転プラテンに前記パターン化基板を提供するステップと、
前記第1の層の上に改質層を形成するステップであって、
前記第1に層の上に前記改質層を形成するステップの少なくとも一つでは、前記第1の層の表面が第1の前駆体ガスに曝露され、該第1の前駆体ガスは、前記第1の層の表面に吸着し、前記第1の層の表面と反応し、前記改質層が形成され、
前記回転プラテンを高回転速度で回転させることにより、前記改質層は、前記1または2以上の特徴物の前記低領域に比べて、前記1または2以上の特徴物の前記高領域に優先的に形成される、ステップと、
前記改質層を除去するステップであって、
前記第1の層の上に前記改質層を形成するステップ、および前記改質層を除去するステップでは、前記1または2以上の特徴物の前記低領域に比べて、前記1または2以上の特徴物の前記高領域が優先的にエッチングされ、
前記1または2以上の特徴物の前記高領域と前記1または2以上の特徴物の前記低領域の間の高さの差が低減される、ステップと、
前記パターン化基板が平面化されるように、前記改質層を形成するステップおよび前記改質層を除去するステップを繰り返すステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記回転プラテンの回転速度により、前記1または2以上の特徴物の前記低領域に比べて、前記1または2以上の特徴物の前記高領域において、前記第1の前駆体ガスの第1の前駆体の堆積が高められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転プラテンの回転速度は、30RPMから240RPMの範囲から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高領域と前記低領域の間の前記高さの差は、少なくとも50%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回転プラテンの回転速度は、前記改質層を形成するステップおよび前記改質層を除去するステップの1または2以上のステップの間に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記改質層の厚さは、前記1または2以上の特徴物の前記低領域よりも前記1または2以上の特徴物の前記高領域において、より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の前駆体ガスは、トリメチアルミニウム、BCl3、HF、Cl2、CF4/O2、および/またはF2/Heを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の層は、酸化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記改質層を除去するステップは、プラズマ除去ステップを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記改質層を除去するステップは、プラズマ除去ステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の層は、酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化する方法であって、
前記空間原子層処理システムの回転プラテンに前記パターン化基板を提供するステップであって、
前記パターン化基板上に、高領域および低領域を有する、1または2以上の特徴物が形成される、ステップと、
前記回転プラテンを回転させるステップと、
前記パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露して、前記パターン化基板上に改質層を形成するステップであって、
前記回転プラテンの回転速度により、前記1または2以上の特徴物の前記高領域に、前記改質層が優先的に形成される、ステップと、
前記1または2以上の特徴物の低領域に比べて、前記1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされるように、前記改質層を除去するステップと、
前記1または2以上の特徴物に所望の平面化が達成されるまで、前記パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露して改質層を形成するステップ、および前記改質層を除去して、前記1または2以上の特徴物の高さを徐々に低減させるステップを繰り返すステップであって、
前記所望の平面化では、前記高領域と前記低領域の間の高さの差が少なくとも25%低減する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項13】
前記回転プラテンの前記回転速度は、30RPMから240RPMの範囲から選定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記所望の平面化では、前記高領域と前記低領域の間の高さの差が少なくとも50%低減される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記回転プラテンの前記回転速度は、前記パターン化基板の表面を前記前駆体ガスに曝露して改質層を形成するステップ、および前記改質層を除去するステップの1または2以上のステップの間に調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体ガスは、トリメチアルミニウム、BCl3、HF、Cl2、CF4/O2、および/またはF2/Heを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記パターン化基板の表面は、酸化物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パターン化基板の表面は、酸化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記回転プラテンの前記回転速度は、200RPMを超える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記改質層を除去する前記ステップは、プラズマ除去ステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
原子層処理システムを作動させ、パターン化基板を平面化する方法であって、
前記パターン化基板の一部として少なくとも第1の層を提供するステップであって、
前記第1の層は、前記パターン化基板上に形成された1または2以上の特徴物の少なくとも一部を有し、
前記1または2以上の特徴物は、高領域および低領域を有し、
前記高領域と前記低領域の間には高さの差が存在する、ステップと、
前記原子層処理システムに前記パターン化基板を提供するステップと、
前記第1の層の上に改質層を形成するステップであって、
前記第1の層の上に改質層を形成するステップの少なくとも1つのステップでは、前記第1の層の表面が第1の前駆体ガスに暴露され、前記改質層が形成され、
前記改質層は、前記1または2以上の特徴物の低領域に比べて、前記1または2以上の特徴物の高領域に優先的に形成される、ステップと、
前記改質層を除去するステップであって、
前記第1の層の上に前記改質層を形成するステップ、および前記改質層を除去するステップでは、前記1または2以上の特徴物の前記低領域に比べて、前記1または2以上の特徴物の前記高領域が優先的にエッチングされ、
前記前記1または2以上の特徴物の前記高領域と前記1または2以上の特徴物の前記低領域の間の高さの差が低減される、ステップと、
制御器を用いて前記原子層処理システムの少なくとも1つの作動パラメータを制御し、前記パターン化基板の所望の量の平面化を達成するステップと、
を有する、方法。
【請求項22】
さらに、前記制御器にセンサを結合するステップを有し、
前記センサは、前記パターン化基板または前記原子層処理システムの少なくとも1つのパラメータをモニターし、前記制御器にセンサデータを提供し、
前記センサデータを用いて、前記パターン化基板および/または前記原子層処理システムの状態がモニターされ、
前記制御器は、前記センサデータの少なくとも一部に基づいて、前記原子層処理システムの前記少なくとも1つの作動パラメータを制御する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記センサデータは、前記第1の層の少なくとも一部の厚さを表す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記改質層を形成するステップ、および前記改質層を除去するステップは、周期的に実施され、
前記作動パラメータは、前記改層を形成するステップおよび前記改質層を除去するステップのサイクルの数である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
パターン化基板を平面化するように構成された原子層処理システムであって、
回転プラテンを有する空間原子層処理チャンバと、
前記パターン化基板の特性および/または前記空間的原子層処理チャンバ内の反応に関するセンサデータを提供するセンサと、
制御器と、
を有し、
前記制御器は、前記センサデータを受信するように前記センサに結合され、
前記制御器は、前記センサデータを利用して、当該原子層処理システムの少なくとも1つの作動パラメータを調整して、前記パターン化基板の所望の量の平面化が得られるように構成される、原子層処理システム。
【請求項26】
前記作動パラメータは、回転速度、温度、ガス流、ガス比、圧力、真空レベル、またはサイクル数の少なくとも1つである、請求項25に記載の原子層処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月31日に出願された米国非仮特許出願第16/944,563号の出願日の優先権およびその利益を主張するものであり、その出願は、全体が参照により本明細書に取り入れられる。
【0002】
本願は、基板の平面化に関する。特に、本願では、基板の表面を平面化するシステムおよび方法の実施形態が提供される。
【背景技術】
【0003】
原子層堆積(ALD)および原子層エッチング(ALE)のような原子層プロセスは、材料特性およびナノメータの寸法を正確に制御できる技術が提供でき、産業界で重要になってきている。原子層堆積(ALD)は、基板上に薄い層を形成する知られた技術である。ALDでは、基板は、交互のガス種(または前駆体)に周期的に晒され、これが基板表面で自己制限的に、またはほぼ自己制限的に反応し、基板上に薄膜または層がゆっくりと形成される。一般に、複数のALDサイクルが実施され、ガス種の交互のサイクルを繰り返すことにより、所望の膜厚が堆積され、または形成される。
【0004】
原子層エッチング(ALE)は、1または2以上の自己制限反応またはほぼ自己制限反応を介して、薄層を連続的に(しばしば、一度に1単分子層だけ)除去しまたはエッチングする、良く知られた技術である。ALEプロセスには、しばしば、層改質ステップおよびエッチングステップの複数のALEサイクルが含まれ、層改質ステップでは、基板の露出表面が改質され、エッチングステップでは、改質層が選択的に除去される。層の改質ステップの間、基板の表面は、反応性前駆体に晒され、反応性前駆体が表面材料に吸着し、反応し、改質された表面層が形成される。この層改質ステップは、例えば、1つの単分子層が吸着した後に反応が停止する場合、自己制限的であり得る。エッチングステップの間、基板の表面にイオンが衝突され、改質表面層が除去またはエッチングされ得る。代替的に、他のエッチング除去機構が使用されてもよい。また、エッチングステップのエネルギーまたは化学物質が、改質表面層の除去に十分であるものの、下地材料のエッチングには不十分である場合も、エッチングステップは、自己限定的になり得る。一般に、複数回のALEサイクルが実施され、所望の膜厚に除去またはエッチングされる。
【0005】
ALDおよびALEプロセスは、各種原子層処理システムまたはツール内で実行することができる。例えば、ALDまたはALEプロセスの実行には、バッチ炉タイプのシステムが利用され得る。処理チャンバにガスが充填され、単一の基板のため真空排気される、単一基板システムも利用可能である。さらに別のシステムは、空間原子層処理システムである。空間原子層処理システムでは、基板は、複数のガス源(例えば、ガスインジェクタ、ガスシャワーヘッド、またはインジェクタ出口を有するガスシャワーヘッド)を通り、比較的高速で移動する。基板表面に近接して必要なガスが注入され、基板が周期的に回転し、ALDまたはALE処理ステップが達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平面化の機能は、集積回路(IC)の製造に重要であり、これは、IC製造プロセス中に、
いくつかのレベルで使用でき、欠陥が抑制され、短絡が回避され、選択的パターン化技術が実行される。化学機械研磨(CMP)法は、IC製造において一般的に使用される平面化技術の一例である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化するシステムおよび方法が提供される。パターン化基板は、例えば、高領域と低領域を有する、1または2以上の特徴物を有し、高領域と低領域の間に高さの差が存在してもよい。パターン化基板を平面化するため、または高領域と低い領域の間の高さの差を低減するため、パターン化基板は、選択的原子層エッチング(ALE)プロセスに供され、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域に、改質層が優先的に形成されてもよい。1または2以上の特徴物の高領域に改質層を優先的に形成し、その後、改質層を除去することにより、選択的ALEプロセスでは、1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差が低減される。
【0008】
本願に記載の選択的ALEプロセスのある実施形態では、1または2以上の特徴物を有するパターン化基板は、空間原子層処理システムの回転プラテン上に提供され、回転プラテンが回転している間に、パターン化基板の表面が第1の前駆体ガスに暴露されることにより、1または2以上の特徴物の高領域上に、改質層が優先的に形成される。ある実施形態では、所与の組のプロセス変数(例えば、化学物質および温度)に関し、回転速度の増加とともに、高領域での優先的な形成が助長される。高回転速度で回転プラテンを回転させることにより、1または2以上の特徴物上に改質層が優先的に形成され、改質層の厚さは、1または2以上の特徴物の低領域よりも高領域において大きくなる。その後、改質層が除去される際(ある例では、これに限られるものではないが、後続のプラズマ除去ステップ)、高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差が低減される。
【0009】
改質層を形成するステップおよび改質層を除去するステップを繰り返すことにより、本願に記載の選択的ALEプロセスを用いて、1または2以上の特徴物の所望の平面化が達成されるまで、1または2以上の特徴物の高さが徐々に低減されてもよい。従って、空間原子処理システムを利用する平面化技術が提供され、基板を平面化するALEプロセスが提供される。ある実施形態では、高さの差は、25%低減される。別の実施形態では、高さの差は、50%以上低減される。このようにして、平面化が生じてもよい。ある実施態様では、回転プラテンは、30RPM以上の速度で回転され、平面化が達成される。別の実施形態では、RPMは、100RPM以上である。例えば、200RPM以上のRPMが用いられてもよい。別の実施形態では、回転プラテンは、最大6,000RPMの速度で回転されてもよい。
【0010】
ある実施形態では、空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化する方法が提供される。概して、当該方法は、パターン化基板の一部として少なくとも第1の層を提供するステップにより、開始されてもよい。ある実施形態では、第1の層は、パターン化基板上に形成された1または2以上の特徴物の少なくとも一部を有してもよい。ある実施形態では、1または2以上の特徴物は、高領域と低領域を有し、高領域と低領域の間に高さの差が存在してもよい。パターン化基板上に提供される第1の層は、各種材料を含んでもよい。ある実施形態では、第1の層は酸化物であってもよい。
【0011】
次に、当該方法は、空間原子層処理システムの回転プラテン上にパターン化基板を提供するステップ、および第1の層の上に改質層を形成するステップを有してもよい。第1の層の上に改質層を形成する少なくとも1つのステップは、第1の層の表面を第1の前駆体ガスに曝露するステップを有してもよく、該第1の前駆体ガスは、第1の層の表面上に吸着し、第1の層の表面と反応し、改質層が形成される。改質層を形成する際、第1の層の表面は、各種第1の前駆体ガスに晒されてもよい。ある実施形態では、第1の前駆体ガスは、トリメチアルミニウム、BCl3、HF、Cl2、CF4/O2、および/またはF2/Heを有してもよい。
【0012】
改質層の形成の際、回転プラテンを高回転速度で回転させることにより、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域に、改質層が優先的に形成されることが助長される。本願において、「優先的に形成される」とは、改質層の厚さが、1または2以上の特徴物の低領域よりも1または2以上の特徴物の高領域において、より大きくてもよいことを意味する。ある実施形態では、回転プラテンの回転速度により、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域において、第1の前駆体ガスの第1の前駆体の堆積が助長されてもよい。ある実施形態では、回転速度は、30RPM~240RPMの範囲から選選定されてもよい。ある実施形態では、回転速度は、改質層を形成するステップおよび改質層を除去するステップの1または2以上のステップの間に調整されてもよい。
【0013】
改質層が形成された後、当該方法では、改質層が除去されてもよい。ある実施形態では、改質層は、プラズマ除去ステップを介して除去されてもよい。第1の層上に改質層を形成し、その後改質層を除去することにより、当該方法では、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の低領域と1または2以上の特徴物の高領域の間の高さの差が低減されてもよい。ある実施形態では、当該方法において、改質層を形成するステップおよび改質層を除去するステップが繰り返され、高さの差がさらに低減され、パターン化基板が平面化されてもよい。ある実施形態では、当該方法を利用することにより、高領域と低領域の間の高さの差は、少なくとも50%低減されてもよい。
別の実施形態では、空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化する別の方法が提供される。この実施形態では、当該方法は、概して、空間原子層処理システムの回転プラテンにパターン化基板を設けることにより、開始されてもよい。前述のように、パターン化基板に形成された1または2以上の特徴物は、高領域および低領域を有してもよい。
【0014】
次に、当該方法は、回転プラテンを回転させるステップと、パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露し、パターン化基板上に改質層を形成するステップとを有してもよい。ある実施形態では、パターン化基板の表面は、酸化物を有し、前駆体ガスは、トリメチアルミニウム、BCl3、HF、Cl2、CF4/O2、および/またはF2/Heを有してもよい。
【0015】
前述のように、回転プラテンの回転速度により、1または2以上の特徴物の高領域に改質層が優先的に形成されてもよい。ある実施形態では、回転プラテンの回転速度は、30RPMから240RPMの範囲から選定されてもよい。別の実施形態では、回転プラテンの回転速度は、100RPMから6,000RPMの範囲から選定されてもよい。ある実施形態では、回転プラテンの回転速度は、200RPMを超えてもよい。
【0016】
当該方法は、改質層がパターン化基板上に形成された後、改質層を除去するステップを有し、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされてもよい。ある実施形態では、改質層は、プラズマ除去ステップを介して除去されてもよい。ある実施形態では、回転プラテンの回転速度は、パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露して、改質層を形成するステップ、および改質層を除去するステップの1または2以上のステップの間に、調整されてもよい。
【0017】
ある実施形態では、当該方法において、1または2以上の特徴物に所望の平面化が達成されるまで、パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露して改質層を形成するステップ、および改質層を除去して、前記1または2以上の特徴物の高さを徐々に低減させるステップが繰り返されてもよい。ある実施形態では、所望の平面化において、高領域と低領域の間の高さの差が少なくとも25%低減されてもよい。別の実施形態では、所望の平面化において、高領域と低領域の間の高さの差が少なくとも50%低減されてもよい。
【0018】
本発明およびその利点のより完全な理解は、添付図面を考慮した以下の説明を参照することにより、得ることができる。図面において、同様の参照番号は、同様の特徴物を表す。ただし、添付図面は、開示された概念の例示的な実施形態のみを示しており、従って、開示された概念の範囲を限定するものではなく、他の等しく有効な実施形態が許容されることが留意される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】開示技術を実行するために使用され得る空間原子層処理システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】1または2以上の特徴物に形成された改質層を有するパターン化基板の断面図である。改質層の厚さは、1または2以上の特徴物の上部、底部および側部において実質的に等しい。
【
図3】1または2以上の特徴物に形成された改質層を有する、別のパターン化基板の断面図である。改質層の厚さは、1または2以上の特徴物の底部および側部よりも上部の方が大きい。
【
図4】空間原子層処理システムの回転プラテンが毎分30回転(RPM)および240RPMで回転された際の、時間(秒)に対する1または2以上の特徴物の上部に形成される改質層の厚さ(単位オングストローム)を比較したグラフである。
【
図5A】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの一実施形態を示した図である。
【
図5B】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの一実施形態を示した図である。
【
図5C】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの一実施形態を示した図である。
【
図5D】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの一実施形態を示した図である。
【
図5E】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの一実施形態を示した図である。
【
図6A】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの別の実施形態を示した図である。
【
図6B】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの別の実施形態を示した図である。
【
図6C】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの別の実施形態を示した図である。
【
図6D】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの別の実施形態を示した図である。
【
図6E】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する処理フローの別の実施形態を示した図である。
【
図7】本願に記載の技術を実施する際に使用され得る、空間原子層処理システムの別の実施形態を示すブロック図である。
【
図8】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
【
図9】本願に記載の技術を用いてパターン化基板を平面化する方法の別の実施形態を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化するシステムおよび方法が提供される。パターン化基板は、例えば、高領域および低領域を有する、1または2以上の特徴物を有し、高領域と低領域の間に、高さの差が存在してもよい。パターン化基板を平面化するため、または高領域と低領域の間の高さの差を小さくするため、パターン化基板は、選択的原子層エッチング(ALE)処理に供されてもよい。この処理では、1または2以上の特徴物の低領域と比べて、1または2以上の特徴物の高領域上に、改質層が優先的に形成される。1または2以上の特徴物の高領域上に改質層を優先的に形成し、その後、改質層を除去することにより、本願に記載の選択的ALEプロセスでは、1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差が低減される。
【0021】
本願に記載の選択的ALEプロセスの一実施形態では、空間原子層処理システムの回転プラテン上に、1または2以上の特徴物を含むパターン化基板が提供され、回転プラテンの回転中、パターン化基板の表面を第1の前駆体ガスに暴露することにより、1または2以上の特徴物の高領域上に、改質層が優先的に形成される。ある実施形態では、プロセス変数(例えば、化学物質および温度)の所与の組について、回転速度の増加とともに、高領域での優先的な形成が高まる。高い回転速度で回転プラテンを回転させることにより、改質層が1または2以上の特徴物の上により優先的に形成されるようになり、改質層の厚さは、1または2以上の特徴物の低領域よりも高領域においてより大きくなる。ある実施形態では、回転プラテンは、30RPM以上の速度で回転され、高領域上に改質層が優先的に形成されてもよい。別の実施形態では、回転プラテンは、100RPM以上の速度で回転されてもよい。例えば、200RPM以上のRPMが利用されてもよい。ある実施形態では、本願に記載の技術を実施する際に、例えば、最大6,000RPMの回転速度が利用されてもよい。
【0022】
その後、改質層が除去されると(一例であり、これに限定されるものではないが、その後のプラズマ除去ステップ)、高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差が低減される。ある実施形態では、除去ステップは、プラズマステップであってもよい。1または2以上の特徴物の所望の平坦化が達成されるまで、改質層を形成するステップと改質層を除去するステップとを繰り返すことにより、本願に記載の選択的ALE処理を用いて、1または2以上の特徴物の高さが徐々に低減されてもよい。ある実施形態では、1または2以上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差は、25%低減され、所望の平坦化が得られる。別の実施形態では、高さの差は、50%以上低減される。従って、空間原子処理システムが利用される平面化技術が提供され、パターン化基板を平面化する(またはその平面化を改善する)ALE処理が提供される。高い特徴物の高さが低下すると、ALE化学物質の領域が増大し、特徴物の平面化とともにエッチング量が減少する。このように、本願に記載の選択的ALEプロセスでは、従来のCMP技術の物理的損傷の影響を受けずに、パターン化基板の平面化が達成され、従って、CMPに対する好ましい代替となり、またはCMPとともに使用され、CMPの損傷の影響が抑制される。ある実施形態では、基板上のステップは、少なくとも25%、別の実施形態では50%、さらに別の実施形態では75%以上、平面化されてもよい。
【0023】
図1には、パターン化基板を平面化する際に使用され得る、空間的原子層処理システムの一例を示す。より具体的には、
図1には、本願に記載の選択的ALEプロセスを使用して、パターン化基板上に形成された1または2以上の特徴物の高さを徐々に減少させるために使用され得る、空間原子層処理システムの一実施形態を示す。ただし、
図1に示されたシステムは、本願に記載の技術が利用され得る単なる一例のシステムであることが理解される。他の空間原子層処理システムを使用して、本願に記載の技術を実行してもよい。
【0024】
図1には、空間原子層処理システム100の処理チャンバ105の内側から見た、空間原子層処理システム100のトップダウン図が提示される。
図1に示すように、処理チャンバ105内には、1または2以上の基板115を保持する回転プラテン110が設けられる。基板115の各々は、基板に熱を供給するサセプタ(図示されていない)上に配置されてもよい。また、処理チャンバ105内には、多数の処理区画およびパージ源が設けられ、これらは、基板に各種ガスを提供するため、回転プラテン110の上方に配置されてもよい。また、ガス出口ポンプポート140が提供されてもよい。
【0025】
図1に示した例示的な実施形態では、空間原子層処理システム100は、3つの処理区画:前駆体吸着区画120、任意の処理区画124、およびプラズマ処理区画128を有する。前駆体吸着区画120、任意の処理区画124、およびプラズマ処理区画128は、不活性ガス領域により分離され、不活性ガスは、パージ源130により導入される。パージ源130により導入される不活性ガス、およびガス出口ポンピングポート140により提供される別個の排気構造により、前駆体と反応体との混合の悪影響を生じさせずに、システムの高速回転速度が得られる。
【0026】
選択的ALEプロセスのある実施形態では、3つ全てのプロセス区画が利用され得るが、他の実施形態では、そうでなくてもよい。例えば、ある実施形態では、選択的ALEプロセスにおいて、前駆体吸着区画120を使用して、パターン化基板の上に改質層が形成され、プラズマ処理区画128を使用して、改質層が除去されてもよい。他の実施形態では、選択的ALEプロセスにより、前駆体吸着区画120内に改質層が形成された後であって、プラズマ処理区画128内で改質層を除去する前に、任意の処理区画124を使用して、パターン化基板に1または2以上のガス(例えば、酸素含有ガス、不活性ガス、または前駆体ガス)が供給されてもよい。
図1の実施形態では、ALEプロセスのエッチングステップにプラズマ処理区画128が使用されるが、
図1に示した特定の原子層処理システム100は、単に例示的なものであるため、エッチングステップ用の非プラズマ技術を用いてもよいことが理解される。
【0027】
通常、前駆体吸着区画120は、1または2以上の基板115に第1の前駆体ガスを提供するように構成されてもよい。基板が前駆体吸着区画120の下で回転されると、基板の表面が第1の前駆体ガスに晒され、これが表面材料に吸着して表面材料と反応し、改質層が形成される。前駆体吸着区画120では、各種異なる方法で、基板に第1の前駆体ガスが提供されてもよい。示された実施形態では、前駆体吸着区画120は、シャワーヘッド121および前駆体ガスインジェクタ122を有し、基板115の上方に配置された処理空間に、第1の前駆体ガスが導入される。シャワーヘッド121および前駆体ガスインジェクタ122は、任意の従来の方法で構成されてもよい。
【0028】
前駆体吸着区画120は、基板115に様々な前駆体ガスを提供するように構成されてもよい。例えば、ある実施形態では、第1の前駆体ガスは、例えば、これに限られるものではないが、トリメチルアルミニウム(TMA)、四塩化チタン(TiCl4)、ビス-t-ブチルアミノシラン(BTBAS)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(3DMAS)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAHf)のような、金属含有前駆体ガスであってもよい。ただし、第1の前駆体ガスは、厳密に金属含有前駆体ガスに限定されるものではなく、半導体処理において一般に使用される他の前駆体ガスを含んでもよいことが理解される。例えば、代わりに、前駆体吸着区画120は、幅広い任意のガスを提供してもよく、これには、これに限られるものではないが、BCl3、O2、Ar、HF、Cl2、CF4、He、NF3、H2、C4F8、CH3F、CHF3、SF6、O3、C3H3F3、HCl、NH4OH、TiCl4、SiCl4、CF4/O2、および/またはF2/Heなどが含まれる。
【0029】
プラズマ処理区画128は、プラズマを生成するために提供され、このプラズマは、改質層の除去(またはエッチング)に使用され得る。プラズマは、プラズマ処理区画128の下方で回転する基板の上方および/または下方に配置された1または2以上の電極に電力が印加される間に、プラズマ処理区画128に1または2以上の処理ガスを供給することにより生成される。一例の実施形態では、基板の上方に配置された上部電極にソース電圧が印加され、基板の下方に配置された下部電極にバイアス電圧が印加され、上部電極と下部電極の間に高周波電場が形成される。高周波電場は、プラズマ処理区画128に供給される1または2以上の処理ガスを解離させ、プラズマに変換する。このプラズマは、これに限られるものではないが、プラズマエッチング、成膜および/またはスパッタリングなどの各種処理に使用することができる。
【0030】
本願の実施形態では、プラズマ処理区画128内で生成されるプラズマは、改質層、典型的には一度に1つのモノレイヤ、を除去(またはエッチング)するために使用される。プラズマ処理区画128の下で基板が回転されると、プラズマに暴露された基板の表面にイオンが衝突し、改質層が除去される。よく知られているように、バイアス電圧は、イオン衝撃エネルギーを制御するように選定され、または調節され、従って、改質層が除去される深さが制御される。
【0031】
プラズマ処理区画128内で各種プラズマエッチング化学物質が使用され、改質層が除去されてもよい。例えば、これに限られるものではないが、BCl3、O2、Ar、HF、Cl2、CF4、He、NF3、H2、C4F8、CH3F、CHF3、SF6、O3、C3H3F3、HCl、NH4OH、TiCl4、SiCl4などを含む広範囲のガスを有する、Arプラズマ、Heプラズマ、熱脱着、またはプラズマ化学物質は、全て、良く知られているように使用されてもよい。
【0032】
ある実施形態では、プラズマ処理区画128内で改質層が除去される前に、任意の処理区画124を使用して、基板115に1または2以上のガス(例えば、酸素含有ガス、不活性ガス、または第2の前駆体ガス)が提供されてもよい。任意の処理区画124は、各種異なる方法で、1または2以上のガスを基板に提供してもよい。示された実施形態では、任意の処理区画124は、シャワーヘッド125と、ガスインジェクタ126とを有し、基板115の上方に配置された処理空間にガスが注入される。シャワーヘッド125およびガスインジェクタ126は、任意の従来の方法で構成されてもよい。
【0033】
任意の処理区画124は、基板115に広範な種類のガスを供給するように構成されてもよい。ある実施形態では、任意の処理区画124は、例えば、酸素(O2)、オゾン(O3)のような酸素含有ガスを基板に提供してもよい。基板が任意の処理区画124の下で回転され、酸素含有ガスが提供されると、基板の表面が酸素含有ガスに晒され、改質層が酸化される。ある実施形態では、酸化は、改質層の除去に使用され、またはこれを支援してもよい。ただし、任意の処理部124は、酸素含有ガスを提供することに厳密に限定されるものではなく、他の実施形態では、基板表面への他のガスの提供に使用されてもよいことが理解される。例えば、任意の処理区画124は、代替的に、基板の表面を不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素、または他の不活性ガス)、または第2の前駆体ガスに暴露するために使用されてもよい。
【0034】
回転プラテン110が(矢印で示されるように)回転すると、前駆体吸着区画120、任意の処理区画124、およびプラズマ処理区画128の下で、1または2以上の基板115が順番に移動し、本願に記載の選択的原子層エッチング(ALE)プロセスの1または2以上のサイクルが実施される。基板115が前駆体吸着区画120およびプラズマ処理区画128を過ぎて回転した後に、パージ源130は、ガスパージ(例えば、アルゴン、窒素、または他の不活性ガスパージ)を提供し、ガス混合が抑制される。
図1には示されていないが、制御器が提供され、例えば、温度、ガス流、圧力、回転速度、サイクル数などを含む、空間原子層処理システム100の各種動作パラメータが制御されてもよい。
【0035】
本願に記載の選択的ALEプロセスは、これに限られるものではないが、
図1に示され記載された空間原子層処理システム100のような、空間原子層処理システムにおけるパターン化基板の平面化に利用されてもよい。本願に記載の選択的ALEプロセスにおいて、回転プラテン110および基板115の回転は、所望の平面化量を得るために必要な数のサイクルにわたって、繰り返されてもよい。ある実施形態では、回転プラテン110の各回転において、層の改質および除去ステップを含む、完全なALEサイクルが実施されてもよい。除去ステップにおいて、回転プラテン110の高回転速度により提供されるよりも長い時間が必要となる場合、層の改質ステップおよび除去ステップは、分離され、回転プラテン110の1回転により層の改質が提供される一方、別個の追加の回転が使用され、改質層が除去されてもよい。
【0036】
本願に記載の選択的ALEプロセスのある実施形態では、空間原子層処理システムの回転プラテン上に、1または2以上の特徴物を含むパターン化基板が提供され、回転プラテンが高速で回転する間、パターン化基板の表面を第1の前駆体ガスに暴露することにより、1または2以上の特徴物の高領域に、改質層が優先的に形成されてもよい。高速回転速度により、特徴物への暴露時間が短縮され、欠乏状態が有効に形成され、前駆体ガスがパターン化基板の最高表面の下に拡散する時間が生じなくなる。第1の前駆体ガスは、パターン化基板の表面材料に吸着し反応し、改質層が形成される。その後、改質層が(例えば、後続のプラズマ除去工程において)除去されると、高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差が低減される。1または2以上の特徴物の所望の平面化が得られるまで、改質層を形成するステップおよび改質層を除去するステップを繰り返すことにより、本願に記載の選択的ALEプロセスを使用して、1または2以上の特徴物の高さを徐々に低下させることが可能になる。
【0037】
高回転速度で回転プラテンを回転させることにより、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域に、改質層を優先的に形成することが助長される。より具体的には、あるALE化学物質について、例えば、30RPMよりも速い回転速度で回転プラテンを回転させると、1または2以上の特徴物上に改質層が優先的に形成され、その結果、1または2以上の特徴物の低領域よりも高領域で、改質層の厚さが大きくなる。
図2乃至
図4には、層の厚さと回転速度との関係を示す。ただし、回転速度は、ALEプロセスで使用される特定の化学的性質に依存し得ることが理解される。
【0038】
図2には、基板205上に形成された1または2以上の特徴物210を有する、パターン化基板200の断面図を提供する。パターン化基板200は、
図1を参照して上述したように、空間原子層処理システムの回転プラテンの上に提供されてもよい。
図2に示す実施形態では、回転プラテンが比較的遅い回転速度で回転する間、パターン化基板200の表面を第1の前駆体ガスに暴露することにより、パターン化基板200上に改質層215が形成される。第1の前駆体ガスは、パターン化基板200の表面に吸着し反応し、改質層215が形成される。低回転速度で形成される場合、改質層215の厚さは、1または2以上の特徴物210の上部(T
top)、底部(T
bottom)、および側部(T
side)で実質的に等しくなる。その後、(例えば、後続のプラズマ除去工程において)改質層215が除去されると、1または2以上の特徴物210(または基板205)の高領域および低領域は、ある程度等しくエッチングされ得る。従って、低回転速度でプラテンを回転させた場合、所望の平面化を提供することが難しくなる。
【0039】
図3には、基板305上に形成された1または2以上の特徴物310を有するパターン化基板300の断面図を提供する。パターン化基板200は、
図1を参照して前述したように、空間原子層処理システムの回転プラテン上に提供されてもよい。
図3に示す実施形態では、比較的高回転速度(例えば、あるALE化学物質では、30RPMを超える回転速度)での回転プラテンの回転の間、パターン化基板300の表面を第1の前駆体ガスに曝露することにより、パターン化基板300上に改質層315が形成される。第1の前駆体ガスは、パターン化基板300の表面に吸着し反応し、改質層315が形成される。高回転速度で形成される場合、改質層315の厚さは、1または2以上の特徴物310の底部(T
bottom)および側部(T
side)よりも上部(T
top)で大きくなる。これは、その後、改質層215が除去される際に、特徴物210の上部が優先的にエッチングされるようになるため、好ましい。
【0040】
特徴物の上部での改質層315の優先的形成を達成するため、通常、回転プラテンは、高回転速度で回転されてもよい。ある実施形態では、回転プラテンの回転速度は、30RPM~240RPMの間の範囲から選定されてもよい。他の実施形態では、回転プラテンの回転速度は、100RPM~6,000RPMの間のより広い範囲から選定されてもよい。ある実施形態では、200RPMを超える回転速度を用いて、特徴物の高領域(例えば、上部および/または上側部)に、改質層315を優先的に形成してもよい。ただし、通常、高領域上の改質層315の優先的形成を達成するために必要な回転速度は、改質層の形成に使用される前駆体ガス化学種に依存し得る。
【0041】
図4は、空間原子層処理システムの回転プラテンが30RPMおよび240RPMで回転された際の、時間(秒)に対する特徴物の上部に形成され得る例示的な改質層(例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3))の厚さ(オングストローム単位)を比較したグラフである。
図4に示すように、特徴物の上部に形成された改質層の厚さは、回転プラテンが240RPMで回転されると、30RPMに比べてより速やかに増加する。Al
2O
3は一例であり、他の改質層が形成されてもよいことが理解される。
【0042】
図5A乃至
図5Eには、本願に記載の選択的ALEプロセスを用いてパターン化基板400を平面化するプロセスフローの一実施形態を示す。
図5Aに示すように、パターン化基板400は、基板405上に形成された1または2以上の特徴物410を有してもよい。
図5A乃至
図5Eに示される特徴物410は、平面化が望ましい基板(例えば、半導体ウェハ)上の任意の特徴物または構造を表してもよい。ある実施形態では、1または2以上の特徴物410の高さは、実質的に等しくてもよく、またはパターン化基板400にわたって変化してもよい。
図5B乃至
図5Eに示すように、パターン化基板400は、本願に記載の選択的ALEプロセスの1または2以上のサイクルを実施することにより平坦化され、1または2以上の特徴物410の高さが徐々に低下してもよい。
【0043】
ある実施形態では、本願に記載の選択的ALEプロセスは、
図5Aに示されるパターン化基板400を、空間原子層処理システムの回転プラテン上に提供することにより、開始されてもよい。
図5Bでは、回転プラテンが比較的高い回転速度で回転する間、パターン化基板400の表面を前駆体ガスに暴露することにより、パターン化基板400上に改質層415が形成される。前駆体ガスは、パターン化基板400の表面に吸着し反応し、改質層415が形成される。プラテンおよび前駆体ガス化学物質の回転速度は、改質層415が、主として、1または2以上の特徴物410の上部412および/または上側部414に形成されるように選定されてもよい。
【0044】
図5Cでは、改質層415が除去され、1または2以上の特徴物410の高さが低減される。ある実施態様では、パターン化基板400の表面がプラズマに暴露され、プラズマ原子層エッチングを介して改質層415が除去されてもよい。
【0045】
図5Dでは、回転プラテンを比較的高い回転速度で回転する間、パターン化基板400の表面を前駆体ガスに暴露することにより、パターン化基板400に別の改質層425が形成される。前駆体ガスは、パターン化基板400の表面に吸着し反応し、改質層425が形成される。前述のように、プラテンおよび前駆体ガス化学物質の回転速度は、主として、1または2以上の特徴物410の上部412および/または上側部414に改質層425が形成されるように選定されてもよい。
【0046】
ある実施形態では、プラテンの回転速度は、改質層415および改質層425を形成する場合と同じであってもよい。別の実施形態では、プラテンの回転速度は、改質層の1または2以上を形成する際に調整されてもよい。例えば、プラテンの回転速度は、改質層425を形成する場合、改質層415の形成に使用される回転速度と比べて増加してもよい。追加の改質層が形成されるとともに、プラテンの回転速度を変化させることにより、本願に記載の選択的ALEプロセスを用いて、特徴物の上部および/または上側部における改質層の優先形成を変化させてもよい。
【0047】
図5Eでは、改変層425が再度除去され、1または2以上の特徴物410の高さがさらに低減される。ある実施態様では、パターン化基板400の表面がプラズマに暴露され、プラズマ原子層エッチングを介して改質層425が除去されてもよい。
【0048】
層の改質ステップ(
図5Bおよび5D)および除去ステップ(
図5Cおよび5E)は、所望の平坦化が達成されるまで、多数のサイクルにわたって繰り返されてもよい。ある実施形態では、層改質ステップおよび除去ステップは、回転プラテンの各回転に対して実施されてもよい。別の実施形態では、層の改質ステップおよび除去ステップは分離され、層の改質は、プラテンの1回転の間実施され、一方、別個の追加の回転を用いて、改質層が除去されてもよい。また、チャンバ内で複数のセグメントが設計される場合、各回転に対して、複数の改質層ステップおよび除去ステップが処理される構成も可能である。
【0049】
図6A乃至
図6Eには、本願に記載の選択的ALEプロセスを用いてパターン化基板500を平面化するプロセスフローの別の実施形態を示す。
図6Aに示すように、パターン化基板500は、基板505上に形成された1または2以上の特徴物510を有してもよい。
図6A乃至
図6Eに示される特徴物510は、平面化が望ましい基板(例えば、半導体ウェハ)上の任意の特徴物または構造を表してもよい。ある実施形態では、1または2以上の特徴物510は、高領域512および低領域514を有してもよく、パターン化基板500は、本願に記載の選択的ALEプロセスを1または2以上のサイクル数で実施することにより平面化され、高領域512と低領域514の間の高さの差が徐々に減少してもよい。
【0050】
ある実施形態では、本願に記載の選択的ALEプロセスは、空間原子層処理システムの回転プラテン上にパターン化基板500を提供することにより、開始されてもよい。
図6Bでは、回転プラテンが比較的高い回転速度で回転する間、パターン化基板500の表面を前駆体ガスに暴露することにより、パターン化基板500上に改質層515が形成される。前駆体ガスは、パターン化基板500の表面に吸着し反応し、改質層515が形成される。プラテンおよび前駆体ガス化学物質の回転速度は、1または2以上の特徴物510の低領域514と比べて、改質層515が1または2以上の特徴物510の高領域512に優先的に形成されるように選定されてもよい。
図6Bに示すように、例えば、改質層515は、改質層515の厚さが、1または2以上の特徴物510の低領域514に比べて高領域512で大きくなるように、優先的に形成されてもよい。
【0051】
図6Cでは、改質層515が除去され、1または2以上の特徴物510の高領域512と低領域514の間の高さの差が抑制され、または低減される。ある実施形態では、パターン化基板500の表面がプラズマに暴露され、プラズマ原子層エッチングを介して改質層515が除去されてもよい。
【0052】
図6Dでは、回転プラテンを比較的高回転速度で回転させたまま、パターン化基板500の表面を前駆体ガスに暴露することにより、パターン化基板500に別の改質層525が形成される。前駆体ガスは、パターン化基板500の表面に吸着し反応し、改質層525が形成される。前述のように、プラテンの回転速度および前駆体ガス化学物質は、1または2以上の特徴物510の低領域514に比べて、1または2以上の特徴物510の高領域512において、改質層525が優先的に形成されるように選定されてもよい。
図6Dに示すように、例えば、改質層525は、1または2以上の特徴物510の低領域514よりも高領域512において、改質層525の厚さが厚くなるように、優先的に形成されてもよい。
【0053】
ある実施形態では、、改質層515および改質層525を形成する場合で、プラテンの回転速度は同様であってもよい。別の実施形態では、プラテンの回転速度は、改質層の1または2以上を形成する際に調整されてもよい。例えば、プラテンの回転速度は、改質層525を形成する際、改質層515を形成する際に使用される回転速度に比べて増加されてもよい。追加の改質層の形成とともにプラテンの回転速度を徐々に増加させることにより、本願に記載の選択的ALEプロセスを使用して、特徴物の上部および/または上側部の改質層の優先的形成を変化させてもよい。
【0054】
図6Eでは、改変層525は、再度除去され、1または2以上の特徴物510の高領域512と低領域514の間の高さの差がさらに抑制または低減される。ある実施形態では、パターン化基板500の表面がプラズマに暴露され、プラズマ原子層エッチングを介して改質層525が除去されてもよい。
【0055】
層の改質(
図6Bおよび6D)ステップおよび除去(
図6Cおよび6E)ステップは、所望の平面化が達成されるまで、複数サイクル繰り返されてもよい。ある実施形態では、層の改質ステップおよび除去ステップは、回転プラテンの各回転に対して実施されてもよい。他の実施形態では、層の改質ステップと除去ステップは、プラテンの1回転の間に層の改質が実施されるよう分離されてもよく、一方で、別個の追加の回転が改質の除去に使用されてもよい。
【0056】
従って、
図5A乃至
図5Eおよび6A乃至
図6Eに示され参照されるように、選択的ALEプロセスを利用して、パターン化基板を平面化してもよい。平面化の量は、使用されるALE化学物質、およびプロセスのサイクル数に従って変化してもよい。ある実施形態では、本願に記載の選択的ALEプロセスを用いて、1または2以上の特徴物に所望の平面化が達成されるまで、1または2以上の特徴物の高さが徐々に低減されてもよい。従って、空間原子処理システムを用いて基板を平面化するALEプロセスを提供する、平面化技術が提供される。ある実施形態では、高さの差は、25%まで減少する。別の実施形態では、高さの差は、50%以上減少する。さらに他の実施形態では、高さの差は、ほぼ完全に除去されてもよい。
【0057】
本願に記載の技術を利用して、広範な種類の特徴物の全体または一部の平面化が改善されてもよい。従って、前述の特徴物410および特徴物510の物理的配置および幾何学的形状は、単なる一例であり、他の特徴物においても、本願に記載の技術を使用する利点が有意に得られることが理解される。さらに、特徴物は、基板処理技術に利用される任意の広範な材料で形成されてもよい。ある例では、特徴物は、酸化物で形成されてもよい。ある特定の例では、特徴物は、酸化ケイ素で形成されてもよい。さらに別の例では、特徴物は、ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、および/または酸化ハフニウムで形成されてもよい。ただし、他の材料も使用することも可能である。また、特徴物は、材料および/または構造の組み合わせにより形成されてもよく、そのため、特徴物は、均一である必要はなく、例えば、異なる材料の複数の層によって形成されてもよい。
【0058】
上記記載では、回転プラテンの回転速度は、パターン化基板の平面化の改善に使用および/または制御できる、重要な変数として記載されているが、平面化を改善する他の変数または変数の組み合わせを使用することもできることが理解される。非限定的な例では、本願に記載の技術は、以下の変数またはプロセス条件の1または2以上を制御することにより、パターン化基板の平面化を改善してもよい:回転プラテンの回転速度(例えば、RPM)、選択的ALEプロセスの実施に使用される各種ガスの化学(例えば、前駆体ガス、エッチングガス、またはガスの比率)、層改質ステップの期間および/または除去ステップの期間、所望の平面化を達成するために使用されるサイクル数、ならびに空間原子層処理システムの他の特徴(例えば、温度、圧力、真空など)。これらに加えて、他の変数および/またはプロセス条件を選択および/または制御し、パターン化基板の平面化を改善してもよい。例えば、基板表面に供給される1または2以上のガスの濃度、プラズマ源と基板表面の間のギャップまたは距離、ソース電力および/またはバイアス電力のような、各種プラズマパラメータを選択して、所望の平面化を達成してもよい。また、オゾン密度、不活性ガス希釈、ガス比および/またはガスインジェクタ設計のような他の処理パラメータが、所望の平面化を達成するように選択されてもよい。
【0059】
ある実施形態では、
図1に示した空間原子層処理システム100を利用して、パターン化基板の所望の平面化が提供され、あるいはそうでなければ、パターン化基板の平面化が改善されてもよい。
図1に示した空間原子層処理システム100は、本願に記載の技術が利用され得る処理システムの例として提供されるが、開示の技術は、
図1に示したシステムに限定されるものではない。ある実施形態では、1つまたは2以上の部材または特徴物が、
図1に示した空間原子層処理システム100に追加され、またはこれから除去されてもよい。別の実施形態では、自動化されたレシピデータベース、他の自動化されたシステムからの入力などを使用する、より洗練された処理システムを使用して、本願記載の技術を実施してもよい。
【0060】
図7は、パターン化基板の平面化に使用され得る空間原子層処理システム600の別の実施形態を示す。
図7に示すように、通常、空間原子層処理システム600は、処理チャンバ605、1または2以上のセンサ610、および制御器615を有してもよい。ある実施形態では、処理チャンバ605は、
図1に示した処理チャンバ105と同様であってもよく、回転プラテンおよび多数の処理区画(例えば、前駆体吸着区画120、任意の処理区画124、およびプラズマ処理区画128)、パージ源、ならびにガス出口ポンプポートを有してもよい。ただし、処理チャンバ605は、
図1に示され記載された処理チャンバ105に限定されるものではなく、他の実施形態では、異なるように構成されてもよい。
【0061】
図6に示した空間原子層処理システム600では、各種パラメータをモニタリングし、本願に記載のシステムまたはプロセスの1または2以上の変数および/またはプロセス条件を自動的に調整し、平面化目標を達成するため、センサ610および制御器615が提供される。ある実施形態では、平面化の目標は、所望の平面化、またはパターン化基板上の特徴物の高領域と低領域の間の高さの差の所望の低減化であってもよい。ある実施形態では、平面化の目標は、単位時間あたりの基板の目標スループット数を含んでもよい。
【0062】
センサ610は、基板、システム600、および/または本願に記載の選択的ALEプロセスの各種パラメータをモニターするため、処理チャンバ605に結合され、および/または処理チャンバ605内に配置されてもよい。センサ610は、各種センサを含んでもよく、これには、これに限られるものではないが、光学センサ(カメラ、レーザ、光、反射計、分光計など)、容量性センサ、超音波センサ、ガスセンサ、または基板および/もしくはシステム600の状態をモニターし得る他のセンサが含まれてもよい。ある一例の実施形態では、1または2以上の光学センサを使用して、処理チャンバ105の高領域と低領域の高さの差がin-situで測定されてもよい。別の例示的な実施形態では、分光計を使用して、パターン化基板上に提供された1または2以上の層の膜厚が測定されてもよい。さらに別の実施形態では、リアルタイム化学反応完了検出のため、残留ガス分析器(RGA)を使用して、前駆体破壊を検出してもよい。
【0063】
制御器615は、センサ610からデータを受信するように結合され、センサデータに基づいて処理チャンバ605の1または2以上の処理パラメータを制御するように構成される。ある実施形態では、制御器615は、センサ610により収集されたデータを分析し、フィードバックを提供し、処理チャンバ605の部材の各種処理パラメータを制御するように構成されてもよい。ある実施形態では、制御器615は、センサデータを使用または分析して、本願に記載の選択的ALEプロセスの1または2以上のステップをいつ終了するかを定めてもよい。例えば、制御器615は、残留ガス分析器からデータを受信し、層改質ステップの終了点を検出してもよい。別の例では、制御器615は、分光エリプソメトリを利用して、回転中の基板上の平均膜厚を検出し、選択的ALEプロセス中の膜厚変化の指標を提供してもよい。ある実施形態では、制御器615は、平面化目標が達成された際、例えば、所望の平面化、または特徴物の高領域と低領域の間の高さの差の所望の低減が達成された際に、選択的ALEプロセスを自動的に終了させてもよい。ある実施形態では、制御器615は、処理中に1または2以上のパラメータを自動的に調整して、平面化目標を達成してもよい。また、センサデータおよび制御器を用いて、所望の基板スループット目標を達成してもよい。さらに、センサデータおよび制御器を用いて、所望の基板スループット目標とともに、所望の平面化目標を達成し、または各種目標の代替バランスを達成してもよい。
【0064】
本願に記載の制御器615は、広範な方法で実施できることが留意される。ある例では、制御器は、コンピュータであってもよい。別の例では、制御器615は、1または2以上のプログラマブル集積回路を有し、これは本願に記載の機能を提供するようにプログラムされてもよい。例えば、1または2以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロ制御器、中央処理ユニットなど)、プログラマブル論理デバイス(例えば、複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD))、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、および/または他のプログラマブル集積回路を、ソフトウェアまたは他のプログラミング命令でプログラム化し、制御器94において本願に記載の機能を実施してもよい。さらに、ソフトウェアまたは他のプログラミング命令は、1または2以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ記憶装置、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、再プログラマブル記憶装置、ハードドライブ、フロッピーディスク(登録商標)、DVD、CD-ROMなど)に保管することができ、ソフトウェアまたは他のプログラミング命令がプログラマブル集積回路によって実行されると、プログラマブル集積回路により、本願に記載のプロセス、機能、および/または能力が実行されることが留意される。他の変更も実施可能である。
【0065】
図8~
図9には、本願に記載の技術を利用する方法の実施形態を示す。
図8~
図9に示した実施形態は、単なる一例であり、追加の方法で本願に記載の技術が利用され得ることが理解される。また、記載のステップは、排他的であることを意図するものではなく、
図8~
図9に示す方法に追加の処理ステップが追加されてもよい。さらに、ステップの順序は、図に示された順序に限定されるものではなく、異なる順序が生じ、および/または各種ステップが組み合わされ、あるいは同時に実施されてもよい。
【0066】
図8には、空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化する方法700の一実施形態を示す。方法700では、ステップ710において、パターン化基板の一部として、少なくとも第1の層が提供される。ある実施形態では、第1の層は、パターン化基板上に形成された1または2以上の特徴物の少なくとも一部を有してもよい。ある実施形態では、1または2以上の特徴物は、高領域および低領域を有し、高領域と低領域の間に高さの差が存在してもよい。次に、方法700では、空間原子層処理システムの回転プラテン上に、パターン化基板が提供されてもよい(ステップ720)。
【0067】
方法700では、ステップ730において、第1の層上に改質層が形成される。第1の層上に改質層を形成する少なくとも1つのステップは、第1の層の表面を第1の前駆体ガスに曝露するステップを有してもよく、第1の前駆体ガスが第1の層の表面に吸着し反応して、改質層が形成される。より高回転速度で回転プラテンを回転させることにより、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域に、改質層を優先的に形成することが助長される。
【0068】
方法700において、ステップ740では、改質層が除去される。第1の層上に改質層を形成し(ステップ730)、その後、改質層を除去することにより(ステップ740)、方法700において、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされ、1または2以上の特徴物の高領域と1または2以上の特徴物の低領域の間の高さの差が低減される(ステップ750)。ある実施形態では、方法700において、改質層を形成するステップおよび改質層を除去するステップが繰り返され、ステップ760において、パターン化された構造がさらに平面化されてもよい。
【0069】
図9には、空間原子層処理システムにおいてパターン化基板を平面化する方法800の一実施形態を示す。方法800において、ステップ810では、空間原子層処理システムの回転プラテン上に、パターン化基板が提供される。前述のように、パターン化基板上に形成された1または2以上の特徴物は、高領域および低領域を有し得る。方法800において、ステップ820では、回転プラテンが回転される。方法800において、ステップ830では、パターン化基板の表面が前駆体ガスに暴露され、パターン化基板上に改質層が形成される。方法800では、回転プラテンの回転速度により、改質層は、1または2以上の特徴物の高領域に優先的に形成される。
【0070】
方法800において、ステップ840では、改質層が除去され、1または2以上の特徴物の低領域に比べて、1または2以上の特徴物の高領域が優先的にエッチングされる。方法800において、ステップ850では、1または2以上の特徴物の所望の平面化が達成されるまで、パターン化基板の表面を前駆体ガスに暴露し改質層を形成するステップと、改質層を除去して、1または2以上の特徴物の高さを徐々に低減させるステップとが繰り返される。ある実施形態では、所望の平面化において、高領域と低領域との間の高さの差は、少なくとも25%低減されてもよい。
【0071】
本明細書を通じて、「一実施形態」または「ある実施形態」とは言う用語は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味するものの、各実施形態に存在することを意味するものではないことが留意される。従って、本明細書中の様々な箇所における「一実施形態において」または「ある実施形態では」という語句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を意味するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1または2以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。各種追加の層および/または構造が含まれてもよく、および/または他の実施形態では、記載の特徴が省略されてもよい。
【0072】
本願で使用される用語「基板」は、その上部に材料が形成されるベース材料または構造を意味し、それらを含む。基板は、単一の材料、異なる材料の複数の層、それらの中の異なる材料の領域または異なる構造の領域を有する1つまたは複数の層、などを含んでもよいことは明らかである。これらの材料は、半導体、絶縁体、導体、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、基板は、半導体基板、支持構造上のベース半導体層、金属電極、または上部に形成された1もしくは2以上の層、構造、もしくは領域を有する半導体基板であってもよい。基板は、従来のシリコン基板、または半導体材料の層を有する他のバルク基板であってもよい。本願で使用される「バルク基板」という用語は、シリコンウェハーに加えて、シリコンオンサファイア(SOS)基板およびシリコンオンガラス(SOG)基板のような、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、ベース半導体基盤上のシリコンのエピタキシャル層、ならびにシリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、およびリン化インジウムのような、他の半導体または光電子材料を意味し、これらを含む。基板は、ドープされていても、非ドープであってもよい。
【0073】
基板を処理するシステムおよび方法は、各種実施形態で記載される。基板は、デバイス、特に半導体または他の電子デバイスの任意の材料部分または構造を含んでもよく、例えば、半導体基板のようなベース基板構造、または薄膜のような、ベース基板構造上のもしくはそれを覆う層であってもよい。従って、基板は、任意の特定のベース構造、下地層、または被覆層、パターン化または非パターン化の層に限定されることを意図するものではなく、むしろ、任意のそのような層またはベース構造、ならびに層および/またはベース構造の任意の組み合わせを含むことが考慮される。
【0074】
特定の詳細の1または2以上を使用せずに、あるいは他の代替および/または追加の方法、材料または構成部材を用いて、各種実施形態が実施されてもよいことは、当業者には理解される。本発明の各種実施形態の態様を不明瞭にすることを避けるため、他の例では、良く知られた構造、材料、または動作は、詳細に示されておらず、あるいは詳しく記載されていない。同様に、本発明を完全に理解するため、説明の目的で、特定の数、材料、および構成が示されている。しかしながら、本発明は、特定の細部を有さずに実施されてもよい。さらに、図面に示された各種実施形態は、一例を示すためのものであり、必ずしもスケールは示されていないことが理解される。
【0075】
本説明から、記載されたシステムおよび方法のさらなる変更および代替実施形態は、当業者には明らかである。従って、記載されたシステムおよび方法は、これらの例示的配置に制限されないことが理解される。本願に示され記載されたシステムおよび方法の形態は、例示的な実施形態として解されることが理解される。実施の際には、各種変更がなされてもよい。従って、特定の実施形態を参照して本発明が記載されているが、本発明の範囲から逸脱せずに、各種修正および変更を行うことができる。従って、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で解され、そのような変更は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。さらに、特定の実施形態に関して記載された任意の利点、長所、または本願に記載の問題に対する解決策は、任意のまたは全ての請求項の重要な、必須な、もしくは本質的な特徴または要素として解されることを意図するものではない。
【符号の説明】
【0076】
100 空間原子層処理システム
105 処理チャンバ
110 回転プラテン
115 基板
120 前駆体吸着区画
124 任意の処理区画
128 プラズマ処理区画
140 出口ポンプポート
【外国語明細書】