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特開2022-27745ケーブル、試験測定システム及び1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法
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  • 特開-ケーブル、試験測定システム及び1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027745
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ケーブル、試験測定システム及び1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20220204BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G01R31/28 S
G01R35/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021126869
(22)【出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】63/060,010
(32)【優先日】2020-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/375,451
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サム・ジェイ・ストリックリング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エス・フローリック
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・エル・ボールドウィン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・サン
(72)【発明者】
【氏名】リンヤン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】シェーン・エイ・ハザード
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AA17
2G132AE11
2G132AE22
2G132AJ03
2G132AL09
2G132AL11
(57)【要約】
【課題】DUTの信号レーンと試験測定装置の間に信頼性の高い選択可能な接続を提供する。
【解決手段】複数の接続110は、DUT102の信号レーン109をマルチプレクサ・ケーブル106に接続する。マルチプレクサ・ケーブル106は、1つ以上の信号レーン109を接続116を介して試験測定装置104に選択的に接続する。ケーブル106は、ケーブル106のディエンベッド・パラメータや校正パラメータを求めて信号結果からケーブルの影響を除去するために製造中に又は工場で試験されても良い。校正パラメータは、メモリ118に記憶され、試験測定装置104に送られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の被試験デバイスを試験測定装置に接続するためのケーブルであって、
第1信号レーンに電気的に接続するように構成された第1ポートと、
第2信号レーンに電気的に接続するように構成された第2ポートと、
試験測定装置に電気的に接続するように構成された第3ポートと、
上記第1ポートを上記第3のポートに電気的に接続するか、上記第2ポートを上記第3ポートに接続するかの間で切り替えるよう構成されるマルチプレクサと
を具えるケーブル。
【請求項2】
試験測定ケーブルの校正パラメータを記憶するように構成されたメモリを更に具える請求項1のケーブル。
【請求項3】
上記マルチプレクサを制御するように構成されたプロセッサを更に具える請求項1又は2のケーブル。
【請求項4】
上記マルチプレクサを操作するための制御信号を受けるように構成された入力部を更に具える請求項1から3のいずれかのケーブル。
【請求項5】
上記第1信号レーンと上記第2信号レーンが、異なる被試験デバイスにある請求項1から4のいずれかのケーブル。
【請求項6】
第1信号レーンに電気的に接続するように構成された第1ポートと、
第2信号レーンに電気的に接続するように構成された第2ポートと、
試験測定装置に電気的に接続するように構成された第3ポートと、
上記第1ポートを上記第3ポートに電気的に接続する処理と上記第2ポートを上記第3ポートに接続させる処理との間で切り替えるよう構成されたマルチプレクサと、
該マルチプレクサを操作するための命令を受けるように構成された入力部と、
校正されたケーブルの校正パラメータを記憶するように構成されたメモリと
を具える試験測定システム。
【請求項7】
試験フィクスチャ内のマルチプレクサを介して第1ポートの第1信号レーンを試験測定装置に接続する処理と、
上記第1信号レーンと上記試験測定装置の間で上記マルチプレクサを介して第1信号を送信する処理と、
上記マルチプレクサを介して上記試験測定装置への接続を上記第1信号レーンから、第2ポートの第2信号レーンへと切り替える処理と、
上記第2信号レーンと上記試験測定装置の間で第2信号をマルチプレクサを介して送信する処理と
を具える1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法。
【請求項8】
上記校正パラメータに基づいて、上記第1信号及び上記第2信号から上記試験フィクスチャの影響を除去する処理を更に具える請求項7の1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法。
【請求項9】
上記マルチプレクサを介して上記第1ポートの上記第1信号レーンを上記試験測定装置に接続する処理が、上記マルチプレクサを介して第1被試験デバイスの複数の信号レーンを試験測定装置の複数の信号レーンに接続する処理を有する請求項7又は8の1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法。
【請求項10】
上記試験測定装置から上記マルチプレクサを操作する制御信号を受ける処理を更に具える請求項7から9のいずれかの1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、試験測定システムに関連するシステム及び方法に関し、特に被試験デバイス(DUT)からの複数の信号を測定するための試験測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのDUTには、同様に設計された多数の信号経路が含まれている。例えば、PCIe 又は PCI-e (Peripheral Component Interconnect Express)プラグイン・カードや PCIe マザーボード・スロットには、通常、最大16個の電気信号「レーン」が含まれる。電気信号レーンは、通常、差動信号レーンであり、2つの電気ポートが1つの差動信号を構成することを意味する。しかし、オシロスコープやビット・エラー・レート・テスタ(bit error rate tester:BERT)などのDUTをテストするために通常使用される試験測定装置には、通常、1、2又は4つの入力ポートがある。オシロスコープの中には、8つの入力チャンネル又はポートが含まれているものもある。しかし、高性能な計測器は、ハードウェア・コストの増大のため、通常、入力チャンネルが少なくなっている。物理的なチャンネル密度の制限によっても、熱的なスルー・プットの理由により、チャンネル数を低く抑えられることになる。このため、試験測定装置の構成は、試験対象の電気信号レーンのサブセットに接続されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0250368号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0249275号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/160477号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】テクトロニクスの「オシロスコープ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2021年8月2日検索]、インターネット<https://jp.tek.com/oscilloscope>
【非特許文献2】テクトロニクスのビット・エラー・レート・テスタ「BERTScope BSAシリーズ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2021年8月2日検索]、インターネット<https://jp.tek.com/bit-error-rate-tester/bertscope>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
信号レーンの夫々又は全てを試験するには、ユーザは、試験計測装置とDUTの間の接続(例えば、試験ケーブル又はプローブなど)を、各レーンからレーンへと手作業で移動する必要がある。ケーブル又はプローブを手動で移動すると、エラーが発生しやすく、時間と労力を要するプロセスが発生する。これに代えて、2チャンネルの試験測定環境などにおいて、無線周波数(RF)スイッチを構築すれば、DUTの全ての信号レーンを試験するための自動化を維持することができる。しかし、適切なスイッチを特定し、信号経路のスイッチの影響を正しくディエンベッドするのは、高い周波数では困難である。このため、多くのユーザは、特に25GHz以上において、重大なエラーなしにスイッチをディエンベッドできることについては、懐疑的である。
【0006】
本開示技術の例は、これら及び他の先行技術の欠陥に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、1つ以上の被試験デバイスと試験測定装置を接続するための校正された試験測定ケーブルに関する。これは、第1信号レーンに電気的に接続するように構成された第1ポートと、第2信号レーンに電気的に接続するように構成された第2ポートと、試験測定装置に電気的に接続するように構成された第3ポートと、第1ポートを第3ポートに電気的に接続するのと、第2ポートを第3ポートに接続するのとの間で切り替える(スイッチする)ように構成されたマルチプレクサとを有する。第1及び第2信号レーンは、同じ被試験デバイス又は異なる被試験デバイス上にあっても良い。入力部は、マルチプレクサを操作するための命令を受けることができる。
【0008】
本開示技術の実施例の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照した以下の実施例の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、開示技術の例による試験測定システムにおけるマルチプレクサ・ケーブル又は試験フィクスチャのブロック図である。
図2図2は、開示技術の他の例による試験測定システムにおける別のマルチプレクサ・ケーブル又は試験フィクスチャのブロック図である。
図3図3は、開示技術の例によるマルチプレクサ・ケーブルの説明図である。
図4図4は、開示技術の例による多重化ケーブル又は試験フィクスチャの例のブロック図である。
図5図5は、開示技術の他の例による試験測定システムにおける多重化ケーブル又は試験フィクスチャの例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、開示技術のいくつかの例による試験測定システム100のブロック図の例を示す。試験測定システム100には、被試験デバイス(DUT)102があり、データ・セレクタとも呼ばれるマルチプレクサ108を有するケーブル又は試験フィクスチャ106を介して試験測定装置104に接続される。
【0011】
DUT102は、複数の信号レーン109があっても良い。ケーブル又は試験フィクスチャ106は、DUT102の複数の信号レーン109に取り付けることができる。いくつかの例では、ケーブル又は試験フィクスチャ106は、異なるDUT102の異なる信号レーンに接続できる。ケーブル又は試験フィクスチャ106には、複数の信号レーン109の夫々に接続された多数のDUT接続線110がある。マルチプレクサ108への4つのDUT接続線110が図示されているが、限定するものではないが、8、16又は32個の接続線のような、任意の数の接続線があっても良い。例えば、接続線110は、高密度接続線であっても良い。高密度接続線には、8以上の
接続線が含まれる。
【0012】
当業者であればわかるように、DUT102は、1つ以上の信号レーンを有するスタンドアロンの被試験デバイスに言及しているか、又は複数の信号レーンを有するDUT102の特定の1つの信号レーンに言及しているとしても良い。
【0013】
ケーブル106のマルチプレクサ108は、次に、1つ以上の信号レーン109を、接続線116を通して試験測定装置104に接続しても良い。図1は、試験測定装置104への単一の接続線116を示しているが、入力信号と同じ数など、任意の数の接続線116があっても良い。DUT102及び試験測定装置104に応じて、信号はDUT102と試験測定装置104のそれぞれと往路及び復路の両方を行き来して良い。
【0014】
一部の例では、ケーブル又は試験フィクスチャ106は、メモリ118やプロセッサ120を含んでいても良い。ケーブル又は試験フィクスチャ106は、信号結果からケーブル又は試験フィクスチャ106の影響を取り除くための、ケーブル又は試験フィクスチャ106に関するディエンベッド・パラメータや校正パラメータの全てを求めるために、製造中か又は工場において試験されても良い。それぞれの説明について、校正パラメータという用語は、ケーブル又は試験フィクスチャ106のディエンベッド・パラメータなど、試験測定装置104によって行われる信号測定からケーブルの影響を除去するために使用される校正パラメータに言及するために使用される。校正パラメータは、メモリ118に記憶され、試験測定装置104に送られる。いくつかの例では、校正パラメータは、試験測定装置104から遠隔にある分析装置に送られても良い。分析装置は、試験測定装置104から校正パラメータに加えてデータを収集し、当業者であればわかるように、データに必要なあらゆる処理を提供する。他の例では、特定のケーブル又は試験フィクスチャ106の校正パラメータが、試験測定装置104に位置するメモリ122に記憶されるか、又は、クラウド・ストレージのような遠隔のストレージから取り出されても良い。校正パラメータは、ケーブル又は試験フィクスチャ106のシリアル番号又はその他の識別番号に基づいて識別されても良い。
【0015】
上述したように、いくつかの例では、ケーブル又は試験フィクスチャ106に、プロセッサ120があっても良い。プロセッサ120は、DUT102の各種信号レーン109を試験測定装置104に接続するようにマルチプレクサ108を操作できる。他の例では、試験測定装置104のプロセッサ124は、DUT102の各種信号レーン109を試験測定装置104に接続する制御信号をマルチプレクサ108に送信できる。試験測定装置104は、また、ケーブル及び試験フィクスチャ106に電力信号を送ることができる。これら電力及び制御信号は、ケーブル又は試験フィクスチャ106と試験測定装置104との間の別の接続線(図示せず)を介して送信されても良いし、又は、試験測定装置104が、1つ以上の接続線116を使った接続を介して、これら信号を送信できても良い。
【0016】
試験測定装置104のプロセッサ124は、ケーブル又は試験フィクスチャ106に固有の校正パラメータを使用してケーブル又は試験フィクスチャ106の影響をディエンベッドすることもできる。
【0017】
図2は、本開示技術の例による別の試験測定システム200を示す。この例では、試験測定システム200の多くの特徴は、図1に関して上で説明したものと類似している。そこで、これらの特徴には同じ参照番号を用い、図2に関して、ここでは、これ以上説明しない。
【0018】
いくつかの例では、マルチプレクサ・ケーブル又は試験フィクスチャ202は、トランシーバ204やバッテリ206を有していても良い。トランシーバ204とバッテリ206の両方は必要ない。いくつかの例では、バッテリ206のみがケーブル又は試験フィクスチャ202に設けられている。バッテリ206は、マルチプレクサ208、メモリ118及びプロセッサ120に電力を供給できる。
【0019】
バッテリ206は、いくつかの例では充電可能であり、DUT106又は試験測定装置104のいずれかから接続(図示せず)を介して電力を受ける又は吸い上げることができる。トランシーバ204は、無線トランシーバであっても良く、いくつかの例では、接続116を介して無線で試験測定装置104に信号を送信しても良い。プロセッサ120は、マルチプレクサ108を操作するための命令をトランシーバ204を介して受けても良い。
【0020】
図3は、開示技術の例によるケーブル又は試験フィクスチャ300の例を示す。ケーブル300は、DUT102などのDUTに接続できる多数のコネクタ302がある。図3では、16個のコネクタ302が示されている。ケーブル又は試験フィクスチャ300の例は、16個のコネクタ302に限定されず、任意の数のコネクタ302を使用しても良い。ケーブル300は、ハウジング304があり、これは、図1のケーブル又は試験フィクスチャ106に示されたか、又は、図2のケーブル又は試験フィクスチャ202に示されたマルチプレクサ108及び他の任意の部品を収容することができる。図3に示す例では、例えば試験測定装置104に接続できるケーブル300に単一の接続線又は出力306が示されている。しかし、上述したように複数の接続線306が提供されても良い。例えば、複数の電気的接続線が物理的な1つの線として束ねられても良い。
【0021】
図4は、開示技術の例による無線周波数(RF)ケーブル400のブロック図を示す。説明の都合上、ケーブル400は、4つのポート402を有すると図示され、これらは4入力マルチプレクサ404に接続される。RF伝送線路406上の信号は、ポート408に送信することができ、これは試験測定装置に接続できる。加えて又はこれに代えて、試験測定からの信号を、接続408を介して送信し、1つ以上のDUTに接続されたポート402の1つへと出力できる。即ち、ポート402は、1つ以上のDUTの特定の1つの信号レーンに接続しても良いし、又は、夫々が異なるDUTに接続されても良い。
【0022】
図4に示すように、電力信号410と制御信号412は、接続された試験測定装置から受けても良い。電力信号410と制御信号412は、ケーブル400への別々の入力として示されているが、いくつかの例では、これら信号が、単一のコネクタを介して送信されても良いし、RF伝送線路406を介して送信されても良い。
【0023】
これらポート夫々のSパラメータ(scattering parameters)は、DUT102の信号からケーブル400をディエンベッドする際に試験測定装置104を支援するために記憶されても良い。例えば、ポート1がイネーブルされた場合、ケーブル400の製造時に求められたスルー・パスのSパラメータS11、S51、S15及びS55と、アイソレーション・パスのSパラメータS52、S53及びS54は、図1と2に示すようにケーブルメモリ自体に直接保存することもできるし、又は、試験測定装置104内に記憶される。スルー・パス及びアイソレーション・パスのSパラメータは、ポート402及びポート408のそれぞれに関して記憶される。いくつかの例では、ユーザがSパラメータの変更を希望したり、システムにストレスを加えたいなど、ユーザが独自のSパラメータをアップロードしたり、さもなければ移植(port)しても良い。
【0024】
開示技術の例は、図4に示す例に限定されない。当業者であれば理解するように、より多くの接続を有するマルチプレクサ404が使用されても良いのに加えて、複数のマルチプレクサ404が使用されても良い。例えば、ケーブル400は8つのポート402を持つこともでき、4つ夫々が1つのマルチプレクサ404へと向かう。次に、ケーブル400に2つのポート408を設けても良いし、又は、第3のマルチプレクサを設けて、複数の4入力マルチプレクサ404の出力を受け、1つの出力信号を試験測定装置に出力するしても良い。即ち、単一のマルチプレクサユニット404内に複数のマルチプレクサからなるツリー(tree:木)を設けても良く、これは、複数の信号を1つ以上のDUTと1つ以上の試験測定装置の間で、必要に応じて複数の信号を配信(ルーティング)できる。
【0025】
図5は、1つ以上のマルチプレクサ502を含むケーブル500を有する別の例システムを示す。図5には、1つのマルチプレクサ502が示されているが、マルチプレクサ502は、多数の異なるマルチプレクサ502から構成されても良い。このような例では、試験測定装置504は、例えば、マルチ・レーンのDUT506を迅速かつ容易に試験するのに使用できる高度統合型(highly-integrated)マージン・テスタ装置であっても良い。特許文献1及び2は、いずれも2020年1月31日に出願され、その内容は、それぞれの全体が参照することによって本願に組み込まれるものであるが、そのような高度統合型マージン・テスタを記載する。先に参照した文書に説明されるように、マージン・テスタは、高密度接続によって、DUT506の複数の信号レーンを同時にテストすることができる。また、マージン・テスタは、同時にではなく、DUT506の複数の信号レーンを順次(シーケンシャルに)試験することもできる。
【0026】
1つ以上のDUT506は、高密度接続508を介してマルチプレクサ・ケーブル500に接続されても良い。即ち、各接続508は、限定するものではないが、8、16又は32個の接続のような高密度接続を表す。しかし、図示や説明を容易にするために、1つの高密度接続508は、単一の接続線として示されている。
【0027】
マルチプレクサ502は、高密度接続508を介して1つ以上のDUT506に接続することができ、高密度接続510で1つ以上の試験測定装置504に出力できる。マルチプレクサ502は、接続508及び510を介してDUT506の中の1つを試験測定装置504に接続できる。いくつかの例では、複数の信号が、高密度接続510を介して試験測定装置504に接続されたDUT506との間の往復の両方向で高密度接続508を介して同時に送信される。即ち、DUT506の中の1つの全ての信号レーンは、マルチプレクサ502による接続を介して、試験測定装置504によって順次(シーケンシャルに)又は同時に試験できる。
【0028】
これにより、比較や製造の目的で、同じボックスで複数のDUT506をほぼ同時に試験することができる。更に、試験測定装置504は、先に言及され、参照によって組み込まれる上記特許出願で説明されるように、高密度接続508の各レーンを別々に試験することができる。このような状況では、多数の信号レーン(限定するものではいが、例えば、96個の信号レーン)を有するDUT506は、DUT506から4つの高密度を介して接続することができ、またマルチプレクサ502は、一度に1つの信号レーンを試験測定装置504に接続できる。
【0029】
図5は、2つの試験測定装置504に接続された複数のDUT506を示しているが、開示技術の例は、この構成に限定されない。同数のDUT506及び試験測定装置504が用意されても良いし、又は、単一の試験測定装置504が複数のDUT506に接続されても良い。複数の試験測定装置504を1つのDUT506に接続させると、DUT506についての複数のプロトコルを同時に又はほぼ同時に試験するのを容易にできる。
【0030】
いくつかの例では、マルチプレクサ502は、同じ数の入力と出力を有しても良い。これによれば、DUT506は、マルチプレクサ502により、高密度接続508及び510を介して試験測定装置504に接続することができる。これにより、compute express link(CXL)、カスタムのプロトコル、リンク・ステートの順列(link-state permutations)などの非標準プロトコルをDUT506で試験できる。マルチプレクサ502は、DUT506の各種信号レーンと、試験測定装置504の信号レーンを接続及び切断できる。加えて又はこれに代えて、マルチプレクサ502が、信号形式の変更やスプライシング(splicing:組み替え)を可能にするアダプタを有していても良い。例えば、アダプタをマルチプレクサ502に接続して、ユーザがPCIe接続のために生のCOAX接続を使用できるようにすれば、より乱雑さの少ない接続を可能にできる。マルチプレクサ502は、既知でエンベッドされたアダプタのSパラメータをメモリ内に記憶できる。即ち、アダプタは、マルチプレクサ502の接続形式を変更できる。
【0031】
マルチプレクサ・ケーブル500には、図1及び図2に関して上述した他の例と同様に、メモリ、プロセッサ又はバッテリなどの追加コンポーネントがあっても良いが、ここでは、更に説明はしない。加えて又はこれに代えて、接続された1つ以上の試験測定装置504からソース信号及び制御信号を受けても良い。試験測定装置504は、高密度接続510を介して、これら制御信号及びソース信号を送信しても良いし、別の接続を介して送信されても良い。
【0032】
上述した例と同様に、ケーブル500の校正パラメータを、製造時に求め、試験測定装置504が使用して、1つ以上のDUT506の任意の測定からケーブル500の影響を除去しても良い。
【0033】
開示技術の例によれば、1つ以上の試験測定装置が、1つ以上のDUTに由来することのある1つ以上の信号レーンを試験することが可能となる。開示技術のマルチプレクサ・ケーブル又は試験フィクスチャは、1つ以上の試験測定装置に様々な信号レーンを切り替えることができる。マルチプレクサ・ケーブルは、製造時又は工場で求められた既知の校正パラメータを有し、これを試験測定装置が利用することで、ケーブルの影響を除去できる。これにより、DUTの各信号レーン又は出力を、試験測定装置に個別に接続する必要がなくなるので、手作業の時間を節約できる。
【0034】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0035】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0036】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0037】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。

実施例
【0038】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0039】
実施例1は、1つ以上の被試験デバイスを試験測定装置に接続するためのケーブルであって、第1信号レーンに電気的に接続するように構成された第1ポートと、第2信号レーンに電気的に接続するように構成された第2ポートと、試験測定装置に電気的に接続するように構成された第3ポートと、上記第1ポートを上記第3のポートに電気的に接続するか、上記第2ポートを上記第3ポートに接続するかの間で切り替えるよう構成されるマルチプレクサとを具える。
【0040】
実施例2は、実施例1のケーブルであって、試験測定ケーブルの校正パラメータを記憶するように構成されたメモリを更に具える。
【0041】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかのケーブルであって、上記第1ポート又は上記第2ポートは、高密度接続ポートである。
【0042】
実施例4は、実施例3のケーブルであって、上記第3ポートは、高密度接続ポートである。
【0043】
実施例5は、実施例1~4のいずれかのケーブルであって、上記マルチプレクサを制御するように構成されたプロセッサを更に具える。
【0044】
実施例6は、実施例1~5のいずれかケーブルであって、上記マルチプレクサを操作するための制御信号を受けるように構成された入力部を更に具える。
【0045】
実施例7は、実施例1~6のいずれかケーブルであって、トランシーバを更に具える。
【0046】
実施例8は、実施例1~7のいずれかのケーブルであって、上記第1信号レーンと上記第2信号レーンが、1つの被試験デバイス内にある。
【0047】
実施例9は、実施例1~7のいずれかのケーブルであって、上記第1信号レーンと上記第2信号レーンが、異なる被試験デバイスにある。
【0048】
実施例10は、実施例1~9のいずれかのケーブルであって、ケーブルは、無線周波数ケーブルである。
【0049】
実施例11は、試験測定システムであって、第1信号レーンに電気的に接続するように構成された第1ポートと、第2信号レーンに電気的に接続するように構成された第2ポートと、試験測定装置に電気的に接続するように構成された第3ポートと、上記第1ポートを上記第3ポートに電気的に接続する処理と上記第2ポートを上記第3ポートに接続する処理との間で切り替えるよう構成されたマルチプレクサと、マルチプレクサを操作するための命令を受けるように構成された入力部と、校正されたケーブルの校正パラメータを記憶するように構成されたメモリとを具える。
【0050】
実施例12は、1つ以上の信号レーンを試験測定装置に接続する方法であって、試験フィクスチャ内のマルチプレクサを介して第1ポートの第1信号レーンを試験測定装置に接続する処理と、上記第1信号レーンと上記試験測定装置の間で上記マルチプレクサを介して第1信号を送信する処理と、上記マルチプレクサを介して上記試験測定装置への接続を上記第1信号レーンから、第2ポートの第2信号レーンへと切り替える処理と、上記第2信号レーンと上記試験測定装置の間で第2信号をマルチプレクサを介して送信する処理とを具える。
【0051】
実施例13は、実施例12の方法であって、試験測定ケーブルの校正パラメータを記憶する処理を更に具える。
【0052】
実施例14は、実施例13の方法であって、上記校正パラメータに基づいて、上記第1信号及び上記第2信号から上記試験フィクスチャの影響を除去する処理を更に具える。
【0053】
実施例15は、実施例12~14のいずれかの方法であって、マルチプレクサを介して第1ポートの第1信号レーンを試験測定装置に接続する処理が、上記マルチプレクサを介して第1被試験デバイスの複数の信号レーンを試験測定装置の複数の信号レーンに接続する処理を有する。
【0054】
実施例16は、実施例15の方法であって、第3ポートは高密度接続ポートである。
【0055】
実施例17は、実施例12~16のいずれかの方法であって、上記第1ポートと上記第2ポートとの間で切り替えるようマルチプレクサに指示する信号を上記試験フィクスチャ内のプロセッサから受ける処理を更に具える。
【0056】
実施例18は、実施例12~17のいずれかの方法であって、上記試験測定装置から上記マルチプレクサを操作する制御信号を受ける処理を更に具える。
【0057】
実施例19は、実施例18の方法であって、試験フィクスチャ内のトランシーバから上記制御信号を受ける処理を更に具える。
【0058】
実施例20は、実施例12~19のいずれかの方法であって、上記第1信号レーン及び上記第2信号レーンが、単一の被試験デバイス内にある。
【0059】
実施例21は、実施例12~19のいずれかの方法であって、上記第1信号レーン及び上記第2信号レーンは、異なる被試験デバイスにある。
【0060】
実施例22は、実施例12~21のいずれかの方法であって、上記試験フィクスチャは、無線周波数ケーブルである。
【0061】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0062】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。特許請求の範囲、要約及び図面を含め、本明細書に開示される全ての特徴と、開示される全ての方法又は処理における全ての工程は、互いに少なくとも一部分が排他的でない限り、任意に組み合わせても良い。特許請求の範囲、要約及び図面を含め、本明細書に開示される特徴の夫々は、特に明記されていない限り、同じ、等価又は類似の目的に寄与する代替の特徴で置き換えても良い。
【0063】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0064】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0065】
100 試験測定システム
102 被試験デバイス(DUT)
104 試験測定装置
106 ケーブル又は試験フィクスチャ
108 マルチプレクサ
109 信号レーン
110 DUT接続
116 接続
118 メモリ
120 プロセッサ
122 メモリ
124 プロセッサ
200 試験測定システム
202 マルチプレクサ・ケーブル又は試験フィクスチャ
204 トランシーバ
206 バッテリ
300 ケーブル又は試験フィクスチャ
302 コネクタ
304 ハウジング
306 接続又は出力
400 無線周波数(RF)ケーブル
402 ポート
404 4入力マルチプレクサ
406 RF伝送ライン
408 ポート
410 電力信号線
412 制御信号線
500 マルチプレクサ・ケーブル
502 マルチプレクサ
504 試験測定装置
506 DUT
508 接続
510 接続
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】