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特開2022-27979ランタン化合物を含むカプセル製剤及び粉末製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027979
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ランタン化合物を含むカプセル製剤及び粉末製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/244 20190101AFI20220203BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K33/244
A61P3/00
A61P13/12
A61K9/48
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205188
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2019231089の分割
【原出願日】2011-11-30
(31)【優先権主張番号】12/958,380
(32)【優先日】2010-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウィズィントン,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ピアス,デーヴィッド
(57)【要約】
【課題】新規ランタン組成物カプセルの提供。
【解決手段】シェルと、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、タルクなどの潤滑剤とを含む経口医薬品カプセルであって、ここで、前記シェルは前記炭酸ランタン又はその水和物と、潤滑剤とを封入する。カプセルシェルは、例えば、ゼラチンを含む。また、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む経口医薬品粉末を含む。本発明の経口医薬品カプセル及び粉末は、高リン血症のリスクを有する患者又は罹患している患者か、慢性腎臓病(CKD)のリスクを有する患者又は罹患している患者か、CKDに関連する軟部組織石灰化にかかりやすい又は罹患している患者か、又は二次性副甲状腺機能亢進症にかかりやすい又は罹患している患者を治療するために投与される場合がある。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルと、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、潤滑剤とを含む経口医薬品カプセ
ルであって、前記シェルが前記炭酸ランタン又はランタン水和物と、前記潤滑剤とを封入
することを特徴とする、経口医薬品カプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、タルクなどの潤滑剤とを封入する
ゼラチンシェルを含む経口医薬品カプセルを含む。本発明のカプセルは、貯蔵の前後で、
同様の速度で溶解する。また、本発明は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、薬学
的に許容可能な賦形剤とを含む経口医薬品粉末を含む。本発明の粉末は、炭酸ランタンチ
ュアブル錠剤と類似の薬物動態特性を有する。本発明の経口医薬品カプセル及び粉末は、
高リン血症のリスクを有する又は罹患している患者か、慢性腎臓病(CKD)のリスクを
有する又は罹患している患者か、CKDに関連する軟部組織石灰化にかかりやすい又は罹
患している患者か、二次性副甲状腺機能亢進症にかかりやすい又は罹患している患者かを
治療するために投与することができる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、その全体が引用により本明細書に取り込まれる、2010年12月1日出願
の米国特許出願第12/958,380号を基礎とする優先権を主張する。
【0003】
高リン血症は、慢性腎不全患者又は慢性腎臓病(CKD)患者の特別な問題である。腎
臓透析療法を受ける末期段階の腎疾患(ESRD)患者の約70%が、高リン血症の治療
を必要とする。この病気は、重篤な骨問題と、皮膚及び主要器官の転移性の石灰化を生じ
る可能性があり、顕著な罹患率と死亡率を伴う。従来の透析は血液中のリン酸塩のレベル
を低下させることができず、該レベルは時間と共に上昇する。上昇したリン酸塩レベルは
、食事制限とリン酸塩結合剤の組み合わせを用いて処置される。また、慢性腎不全の患者
は二次的副甲状腺機能亢進症にも罹患する。
【0004】
炭酸ランタンの特定の形態は、腎不全患者の高リン血症の治療に用いられている(特許
文献1などを参照)。本発明の出願人が所有している特許文献2には、高リン血症を治療
するために炭酸ランタンの特定の水和物の医薬品組成物を調製すること及び使用すること
が記載されている。本発明の出願人が所有している特許文献3及び特許文献4にも、炭酸
ランタン及び炭酸ランタン水和物を含む製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本特許第1876384号公報
【特許文献2】米国特許第5,968,976号公報
【特許文献3】米国特許第7,381,428号公報
【特許文献4】米国特許第7,465,465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
チュアブル錠剤としての非カルシウム、非樹脂リン酸塩結合剤の炭酸ランタン(ホスレ
ノール(FOSRENOL)(登録商標)、シャイア ファーマシューティカルズ(ベー
ジングストーク,イギリス))が、透析を受けているステージ5のCKD患者の血中リン
を減少させるための臨床診療で広く使用されている。炭酸ランタン錠剤を咀嚼するのが困
難か、チュアブル錠剤を受け入れがたいか、又は錠剤を1日に数回噛み砕くのが面倒な患
者のために、当技術分野では、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物を含む代替となる製
剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、タルクなどの潤滑剤とを封入する
シェルを含む経口医薬品カプセルを含む。前記カプセルのシェルは、例えばゼラチンを含
む。本発明の前記カプセルは、貯蔵の前後で、同様の速度で溶解する。カプセルは、希釈
剤、崩壊剤及び流動補助剤などのさらに封入される賦形剤を含む場合がある。
【0008】
また、本発明は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物と、薬学的に許容可能な賦形剤
とを含む経口医薬品粉末を含む。本発明の前記粉末は、炭酸ランタンチュアブル錠剤と類
似の薬物動態特性を有する。粉末は、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤及び流動補助剤などの封入
される賦形剤を含む場合がある。
【0009】
本発明の前記経口医薬品カプセル及び粉末は、高リン血症のリスクを有する又は罹患し
ている患者を治療するために投与することができる。さらに、前記経口医薬品カプセル及
び粉末の使用は、患者に本発明のカプセル及び粉末を投与することにより、(1)慢性腎
臓病(CKD)のリスクを有する又は罹患している患者か、(2)慢性腎臓病(CKD)
に関連する軟部組織石灰化にかかりやすい又は罹患している患者か、又は(3)二次性副
甲状腺機能亢進症にかかりやすい又は罹患している患者を治療することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】60℃で2週間貯蔵前後での3種類の炭酸ランタンカプセル(E341x008、E341X010及び910011)の溶解速度を比較するグラフ。
図2】(1)貯蔵前に打錠され(slugged)カプセル化された製剤、(2)貯蔵前に打錠されないが、カプセル化された製剤及び(3)貯蔵前に打錠され、貯蔵後にカプセル化された製剤の、60℃で1週間貯蔵前後での溶解速度を比較するグラフ。
図3】(1)ステアリン酸マグネシウムを含まない製剤、(2)コロイド状二酸化ケイ素を含まない製剤、(3)炭酸ランタンのみを含む製剤、(4)クロスポビドンを含まない製剤及び(5)デキストレートを含まない製剤について60℃で1週間貯蔵前後の溶解プロフィルを比較するグラフ。
図4】(1)ステアリン酸マグネシウムを含む製剤、(2)潤滑剤を含まない製剤、(3)ステアリン酸マグネシウムの代わりにベヘン酸グリセリルを含む製剤及び(4)ステアリン酸マグネシウムの代わりにフマル酸ステアリルナトリウムを含む製剤について60℃で1週間貯蔵前後での溶解プロフィルを比較するグラフ。
図5】(1)PEG 6000を含む製剤、(2)L-ロイシンを含む製剤、(3)L-ロイシン/PEG 6000を含む製剤及び(4)タルクを含む製剤について60℃で1週間貯蔵前後での溶解プロフィルを比較するグラフ。
図6】(1)ラブリタブ(LUBRITAB)(登録商標)を含む製剤及び(2)クチーナ(CUTINA)(登録商標)HRを含む製剤について60℃で1週間貯蔵前後での溶解プロフィルを比較するグラフ。
図7】(1)L-ロイシンのみを含む炭酸ランタン製剤及び(2)デキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びL-ロイシンを含む炭酸ランタン製剤について60℃で1週間貯蔵前後での溶解プロフィルを比較するグラフ。
図8】60℃で1週間又は50℃で1週間貯蔵前後のPEG 6000を含む炭酸ランタンカプセルについて溶解プロフィルを比較するグラフ。
図9】60℃で1週間又は2週間貯蔵前後のデキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びタルクを含む炭酸ランタンカプセルについての溶解プロフィル及び60℃で1週間貯蔵前後のタルクのみを含む炭酸ランタンカプセルについての溶解プロフィルを比較するグラフ。
図10】60℃で1週間貯蔵前後のデキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びタルクを含む炭酸ランタンカプセルについて溶解プロフィルを比較するグラフ。
図11】投与計画A(2x500mg カプセル)、投与計画B(2x500mg 開放カプセル(opened capsules))又は投与計画C(2x500mg チュアブル錠剤)として、炭酸ランタンの最終投与後(1000mg)のランタンの算術平均(±SD)血漿中濃度-時間プロフィルを示すグラフ。
図12】投与計画A(1000mg 顆粒)又は投与計画B(1000mg チュアブル錠剤)として炭酸ランタンの最終投与後(1000mg)の薬物動態解析対象集団(pharmacokinetic set)中の全患者についての血漿中ランタンの算術平均(±SD)濃度-時間プロフィルを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
カプセル及び粉末製剤は口当たりが良く、チュアブル錠剤の代替となる。チュアブル錠
剤のように、カプセル及び粉末は、液体なしでの投与が可能であり、カプセル及び粉末は
、水分摂取が制限されなければならない腎臓病患者にとって有利となる。カプセルは、錠
剤のように咀嚼できるか、又は咀嚼が困難な患者のためにカプセルを開放することができ
、内容物を舌又は食物上に散布することができる。また、カプセルは丸ごと服用すること
ができる。粉末も舌又は食物上に散布することができ、咀嚼する必要がなく、飲み込みや
すい。
【0012】
本発明は、実施例で実証されたように、封入されたタルク以外の潤滑剤はカプセルの炭
酸ランタンの溶解速度を低下させるが、シェルによって炭酸ランタン水和物とタルクとを
封入した場合は、経口医薬品カプセル中の炭酸ランタンの溶解速度が貯蔵によって影響を
受けないという予測できない結果に基づいている。貯蔵前後での一致した溶解速度は、規
制承認のために必要であり、リン酸塩結合の一致した速度と量をもたらし、保存可能期間
をより長くすることができる。
【0013】
また、本発明はデキストレートと、コロイド状二酸化ケイ素と、クロスポビドンと、タ
ルクとを含む炭酸ランタン粉末製剤が、炭酸ランタン錠剤製剤と薬力学的及び薬物動態解
析的に同等であったという予測できない結果に基づいている。この結果は、特定の理論に
何ら縛られることなく、粉末は微細な粉末粒子をより多く含み、表面積がより大きいため
、より速い溶解と吸収をもたらす可能性があるので、粉末製剤は炭酸ランタンチュアブル
錠剤と比較して、血漿中のランタンがより多量になるという仮定に反している。
【0014】
上述の炭酸ランタン粉末製剤とは対照的に、そして、上記仮定と一致して、デキストレ
ート、コロイド状二酸化ケイ素及びステアリン酸マグネシウムを含む炭酸ランタン粉末製
剤は炭酸ランタン錠剤製剤と薬力学的に同等であったが、錠剤と比較して血漿中のランタ
ンは30%多いという結果を示した。この増加は規制承認をより困難にするという技術的
な問題を引き起こすが、増大した血漿中のランタンの量はそれでもなおチュアブル錠剤の
研究の変動の範囲内であり、臨床的に有意な値ではないと考えられる。
【0015】
経口医薬品粉末
経口医薬品粉末は、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物などの活性成分と、崩壊剤、
潤滑剤、希釈剤、流動補助剤又はそれらの組み合わせなどの1種類又は2種類以上の薬学
的に許容可能な賦形剤とを含む。
【0016】
経口用粉末の製造方法は、一般的に、所望により前記成分を篩過するステップと、前記
成分を混合するステップと、粗粉末を製造するために、所望により打錠又はローラー圧縮
の後に粉砕するステップと、所望により前記粗粉末を篩過するステップとを含む。
【0017】
例えば、炭酸ランタン水和物、デキストレート及びコロイド状二酸化ケイ素は、タンブ
ルブレンダー(tumble blender)内で篩過され、混合される。クロスポビ
ドン及びタルクはタンブルブレンダー内で篩過され、その他の成分と混合される。その後
、混合粉末をローラー圧縮機に通し、材料を自由流動性粉末に粉砕するために圧縮された
材料を篩に通す。
【0018】
その後、前記粉末は、小袋(sachet)か、棒状パックか、ガラス又はプラスチッ
クボトル又はバイアルなどの硬質容器に、単位用量又はバルク量として充填される場合が
あり、該単位用量又はバルク量から個々の用量を当業者に既知の方法を用いて適当な測定
装置で測定することができる。各小袋又は棒状パックは、炭酸ランタンとして、約200
mgから約2000mgまでの元素ランタンを含む場合がある。例えば、各小袋は、炭酸
ランタンとして元素ランタンを250mg、500mg、750mg又は1000mg含
む場合がある。
【0019】
経口医薬品カプセル
経口医薬品カプセルは、炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物などの活性成分と、潤滑
剤などのその他の任意の成分とを封入するシェルを含む。封入される材料は、上述のよう
な粉末である場合がある。
【0020】
カプセルシェルは、硬いゲルである場合がある。硬いゲルカプセルシェルは、典型的に
は、本体と蓋を含む。前記本体及び蓋の材料は、ゲル化剤及び水を含む場合がある。前記
ゲル化剤は、ゼラチン、加工でんぷん、カラギーナン、ジェラン、マンナンガム、アミロ
ース、キサンタン、アルギン酸塩、寒天、グアー、アラビアゴム、ペクチン、シクロデキ
ストリン又はこれらの組み合わせである場合があるが、これらに限定されない。前記シェ
ルは、所望により、ゲル化塩、可塑剤、乳化剤、増粘剤、防腐剤、香味料、甘味料、色素
、放射線遮断物、乳白剤、酸化防止剤、咀嚼物などを含む場合がある。
【0021】
ゼラチンは、骨、皮膚及び結合組織などの生成物による動物性コラーゲンの部分加水分
解によって製造される場合がある。ウシ亜科及びブタのような動物がゼラチンの主要な供
給源である。
【0022】
加工でんぷんは、例えば、トウモロコシ、モチトウモロコシ、ジャガイモ、小麦、米、
タピオカ、モロコシなどの任意の植物源からのでんぷんの化学修飾によって得られる非老
化でんぷん(non-retrograding starches)を含む。有用な加
工でんぷんは、例えば、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、コハク酸塩及びオクテ
ニルコハク酸でんぷん誘導体(octenyl succinate starch d
erivatives)を含むでんぷんのエーテル及びエステル誘導体である。使用され
る場合がある他の加工でんぷんは、上記の化学的に加工されたでんぷん由来の熱変性、流
動性又は低粘度変性タイプ(thin boiling type)の生成物を含む。こ
れらの材料は、前記加工でんぷんを加熱することにより、加水分解を起こす酸及び/又は
熱処理などを前記でんぷんに施すことにより調製した、より低分子量のものの場合がある
【0023】
カラギーナンは、海藻から得られる天然硫酸化多糖類親水コロイドであり、ガラクトー
ス及び3-6-無水ガラクトース共重合体の混合物である。多くの異なる種類のカラギー
ナンのタイプが存在し(例えば、カッパ、イオタ、ラムダなど)、本発明にはこれらのい
ずれかのタイプが使用される場合があることが見込まれる。
【0024】
ジェランガムは、微生物、シュードモナス・エロデア(Pseudomonas el
odea)の好気性発酵によって得られる細胞外多糖類である。ネイティブ、脱アセチル
化、脱アシル化に分類される形態、部分的に脱アセチル化、部分的に脱アシル化に分類さ
れる形態を含むが、これらに限定されない種々のジェランガム(gellum gum)
の形態が、本発明で使用される場合がある。
【0025】
マンナンガムは、ガラクトマンナンガム、グルコマンナンガム及びこれらの混合物を含
む。よって、マンナンガムは、ローカストビーンガム、コンニャクガム、タラガム及びカ
ッシアガムを含むが、これらに限定されない。
【0026】
ゲル化塩が、本発明で使用される場合がある。よって、適当な無機又は有機酸のカルシ
ウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩が、本発明のカプセ
ルのシェルを形成するために、使用される場合がある。
【0027】
また、可塑剤が、カプセル製剤のシェルに添加される場合もある。可塑剤は、例えば、
グリセリン、ソルビトール、アルキレングリコール、マルチトール、ラクチトール、キシ
リトール、コーンシロップ固体(corn syrup solids)などのポリオー
ルか、又はそれらの組み合わせの場合がある。
【0028】
色素は、インジゴチン(すなわち、FD&C青色2号)、エリトロシン(すなわち、F
D&C赤色3号)及び二酸化チタンを含む場合があり、該二酸化チタンは乳白剤としても
機能する。
【0029】
カプセルシェルの本体と蓋は、該シェルの重量の約10重量%から95重量%までのゲ
ル化剤(例えば、ゼラチン)、約75重量%から約95重量%までのゲル化剤か、又は約
80重量%から90重量%までのゲル化剤を含む場合がある。前記カプセルシェルの本体
と蓋は、該シェルの全重量の約5重量%から40重量%までの水、約5重量%から約25
重量%までの水か、又は約10重量%から20重量%までの水を含む場合がある。前記カ
プセルシェルの本体と蓋は、該シェルの重量の約10重量%以下の色素、約0.1重量%
から約2.5重量%までの色素か、又は約1.5重量%から2.5重量%までの色素を含
む場合がある。
【0030】
カプセルシェルは、例えば、カプスゲル(Capsugel)(登録商標)(ピーパッ
ク,ニュージャージー州)及びシオノギクオリカプス(Shionogi Qualic
aps)(登録商標)(ホイットセット,ノースカロライナ州)から入手可能である。炭
酸ランタン製剤をカプセル化するために使用可能なシェルは例えば、500mgカプセル
についてはカプスゲル(登録商標)コニ-スナップ(Coni-Snap)(登録商標)
サイズ00、及び375mgカプセルについてはカプスゲル(登録商標)コニ-スナップ
(登録商標)0el(0長円形)である場合があり、質量は炭酸ランタン中の元素ランタ
ンの質量に基づく。前記カプセルはチューブの形状であり、閉じた長さが約0.4インチ
から約1.1インチまでであり、直径が約0.18から約0.4インチまでであり、体積
が約0.1から約1.4mLまでである場合がある。つまり、カプセルの蓋と本体の寸法
を有するロッドを、溶融し、着色したゼラチン溶液に含浸し、ゼラチンを均等に分配する
ように該ロッドを回転しながら、前記蓋及び本体を凝固し、前記ロッドから前記蓋及び本
体を除去し、前記蓋及び本体を互いに適合させることにより、カプセルシェルが製造され
る。
【0031】
粉末を含有するカプセルを製造するいくつかの方法が、当技術分野で公知である。粉末
は、上記の経口医薬品粉末の章で説明したように、製造される場合がある。その後、粉末
がカプセルの半分に入れられ、前記カプセルシェルのもう半分が初めの半分の上に押し込
まれる。Stegemann及びBornem,“Hard gelatin caps
ules today-and tomorrow”,2nd Edition 200
2,the Capsugel(登録商標)Library、及びTousey,“Th
e Granulation Process 101:Basic Technolo
gies for Tablet Making”,Pharmaceutical T
echnology:Tableting&Granulation 2002,8-1
3ページを参照せよ。
【0032】
経年劣化を加速させる条件で、カプセルを貯蔵し、貯蔵前後のカプセルの溶解能を試験
することにより、保管期間中のカプセルの安定性を試験することが可能である。経年劣化
を加速させる条件は、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃又は80℃で、
1週間、2週間、3週間又は4週間又は1ヶ月間、所望により、相対湿度(RH)55%
、60%、65%、70%、75%又は80%を含む。これらの条件は、反応速度(この
場合、分解/不安定性)を温度と関連付けるアレニウスの式を用いて、室温条件と関連付
けることができる。また、条件は、25℃/60%RH、25℃/65%RH、30℃/
60%RH、30℃/65%RH、30℃/75%RH、又は40℃/75%RH、45
℃/75%RHで、1週間、2週間、3週間又は4週か、又は1ヶ月間などの標準条件と
国際的に認められる。貯蔵前後のカプセルは、経時的に、溶液に溶解する能力を試験する
ことによって、比較される場合がある。例えば、実施例で説明されているように、カプセ
ルが0.25M HCl溶液に曝露され、EDTAを用いて溶液中のランタンを滴定する
ことにより、溶解した炭酸ランタン又は炭酸ランタン水和物の量を経時的に測定すること
ができる。経年劣化を加速させる条件に前記カプセルを曝露した後に、溶液(例えば、0
.25M HCl)中で10分、20分、30分、45分又は60分経過させた後に、本
発明のカプセルは(例えば溶解したランタンの量に基づき)少なくとも60%、70%、
80%、90%又は100%溶解する場合がある。例えば、本発明のカプセルは、50℃
又は60℃で1週間又は2週間貯蔵された後に、0.25M HCl中で30分間経過さ
せた後に、(溶解したランタンの量に基づき)少なくとも80%溶解する場合がある。
【0033】
炭酸ランタン及び炭酸ランタン水和物
本明細書で用いられるところの「炭酸ランタン」は、無水炭酸ランタンとあらゆる水和
形態の炭酸ランタンを包含する。
【0034】
本発明のカプセル及び粉末製剤は、xが0から10までの値である、一般式La2(C
33・xH2Oを有する炭酸ランタンを含む場合がある。好ましくはxが3から8まで
の値であり、望ましくはxが3から6までの値である。最も好ましくは、xが約4ないし
5の平均値である場合がある。ランタン化合物の水和レベルは、粉末X線回折(XRPD
)などの当技術分野で周知の方法で測定できる。
【0035】
粉末中か、又はカプセルのシェル内に封入された炭酸ランタンの量は、粉末又はカプセ
ルの内容物の全重量に対して、約50重量%から約95重量%までの範囲であり、好まし
くは約75重量%から約90重量%までの範囲であり、最も好ましくは約85重量%から
約90重量%までの範囲である。一実施態様では、粉末中又はカプセルのシェルに封入さ
れた炭酸ランタンの量は、粉末又はカプセルの内容物の全重量に対して、約87重量%で
ある。
【0036】
粉末中か、又はカプセルのシェルに封入された炭酸ランタンとしての元素ランタンの量
は、粉末又はカプセルの内容物の全重量に対して、約26重量%から約50重量%までの
範囲であり、好ましくは約35重量%から約50重量%までの範囲であり、最も好ましく
は約40重量%から約50重量%までの範囲である。一実施態様では、粉末中又はカプセ
ルのシェルに封入された炭酸ランタンとしての元素ランタンの量は、粉末又はカプセルの
内容物の全重量に対して、約45重量%である。
【0037】
炭酸ランタン粉末を含む小袋又は炭酸ランタンカプセル中の元素ランタンの量は、25
0mg、350mg、500mg、750mg又は1000mgである場合があり、好ま
しくは250mg、350mg又は500mgである。
【0038】
カプセル化又は経口医薬品粉末用の付加的成分
経口用粉末又はカプセルのシェルによるカプセル化に用いられる場合がある付加的成分
(すなわち、薬学的に許容可能な賦形剤)は、希釈剤、潤滑剤、流動補助剤、結合剤、崩
壊剤、着色剤、香味料、酸化防止剤及び甘味料を含む。前記付加的成分は、腎臓に障害が
ある患者に経口投与するのに適さなければならない。
【0039】
粉末又はカプセルの内容物の全重量に対して、希釈剤が約5重量%から約50重量%ま
での量で製剤に添加される場合がある。希釈剤の全量は、製剤の粉末又はカプセルの内容
量の全重量に対して、約5重量%から約30重量%までであり、好ましくは約5重量%か
ら約20重量%までであり、最も望ましくは約5重量%から約10重量%までである場合
がある。
【0040】
希釈剤は、単糖、二糖、硫酸カルシウム二水和物、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、エ
リトリトール、ポリデキストロース、デキストリン、でんぷん、マルトデキストリン、乳
酸カルシウム三水和物、微結晶性セルロース(ジーエフエス ケミカルズ(パウエル,オ
ハイオ州)から入手可能なアビセル(商標)など)、加水分解シリアル固形物(hydr
olyzed cereal solids)(マルトロンズ又はモア-レックス(Mo
r-Rex)(商標)など)、アミロース又はグリシンを含む。1種類又は2種類以上の
希釈剤が、製剤に存在する場合がある。
【0041】
本発明の製剤に使用される適当な単糖は、D型又はL型のいずれかの、グリセルアルデ
ヒド、エリトロース、トレオース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、
アロース、タロース、グロース、マンノース、(例えば、コーンシロップの形態の)グル
コース、イドース、ガラクトース、アルトロース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロー
ス、リブロース、キシロケトース、プシコース、タガトース、ソルボース、フルクトース
、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、エリトリトール及びマンニトールと、こ
れらの誘導体と、これらに類するものとを含むが、これらに限定されない。本発明で使用
される単糖は、(アルファ型かベータ型かの)環状か、又は非環状の場合があり、混合物
として本発明で使用される場合もある。他の適した単糖は、デキストロース(フィッシャ
ー サイエンティフィック(ハンプトン,ニューハンプシャー州)から入手可能なセレロ
ース(商標)などのD-グルコース)を含む。
【0042】
本発明で使用される適当な二糖は、(例えば、ドミノ フーズ(ボルティモア,メリー
ランド州)から入手可能なジ-パック(商標)、ジェイアールエス ファーマ(パターソ
ン,ニューヨーク州)から入手可能なシュガータブ(商標)、粉砂糖又はNutabの形
態の)スクロース、(無水ラクトース及びラクトース一水和物を含む)ラクトース、マル
トース、イソマルトース、セロビオース、トレハロース、(ロケット(レトレム,フラン
ス)から入手可能なリカシン(商標)の形態の)マルチトール、イソマルト、ラクチトー
ル及びこれらの混合物と、誘導体と、これらに類するものとを含むが、これらに限定され
ない。また、本発明の二糖はグリコシド結合によって結合する2個の単糖のあらゆる組み
合わせを含む。二糖は、(すなわち、同じ単糖2個からなる)ホモ二糖か、(すなわち、
異なる単糖2個からなる)ヘテロ二糖かの場合がある。さらに、単糖と二糖とを同一の製
剤中で使用することができる。
【0043】
他の適当な単糖及び二糖が、レミントン:The Science and Prac
tice of Pharmacy(20th Edition,A.R.Gennar
o editor,Lippincott Baltimore,Md.:Willia
ms and Wilkins,2000))409-413ページ、及びBioche
mistry(2nd Edition,Voet and Voet,New York
:John Wiley&Sons,Inc.,1995)251-276ページで確認
される。また、単糖及び/又は二糖を含む加水分解でんぷんを本発明の製剤で使用するこ
とができる。
【0044】
また、デキストレートを単糖/二糖希釈剤として使用することができる。本明細書で用
いられるところの「デキストレート」は、大部分(例えば、乾燥物換算で約93.0%以
上99.0%以下)がデキストロースで、でんぷんの制御された酵素加水分解の結果とし
て生じる糖類の精製された混合物をいう。デキストレートは、無水又は水和物の場合があ
る。「デキストレート」は、(2003;カナダのトロントでウェブコム リミテッドに
より印刷された)ナショナル フォーミュラリー 21の公式研究論文で定義されるデキ
ストレートをいう場合がある。デキストレートは、エムデックス(商標)としてジェイア
ールエス ファーマ(パターソン,ニューヨーク州)から入手可能である。
【0045】
有用な潤滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、鉱物油(流動パラフィ
ン)、ポリエチレングリコール、シリカ、コロイド状無水シリカ、コロイド状二酸化ケイ
素、硬化植物性油脂、ベヘン酸グリセリン、L-ロイシン、L-ロイシン/ポリエチレン
グリコール 6000、ポリエチレングリコール 6000又はモノステアリン酸グリセ
リンから選択可能である。有用な流動補助剤は、例えば、シリカ、コロイド状無水シリカ
又はコロイド状二酸化ケイ素から選択可能である。一般に、潤滑剤は製剤が処理装置に付
着するのを防ぐのに対して、流動補助剤は処理している間に製剤がスムーズに流れるよう
にする。一成分が、潤滑剤にも流動補助剤にもなる場合がある。1種類又は2種類以上の
潤滑剤が製剤中に存在する場合がある。1種類又は2種類以上の流動補助剤が製剤中に存
在する場合がある。一実施態様では、前記潤滑剤がタルクであり、前記流動補助剤がコロ
イド状二酸化ケイ素である場合がある。
【0046】
前記潤滑剤の量は、製剤の粉末又はカプセル内容物の約0.01重量%から約0.05
重量%までであり、好ましくは約0.01重量%から約0.04重量%までであり、最も
望ましくは約0.01重量%から約0.03重量%までである場合がある。前記流動補助
剤は、製剤の粉末又はカプセル内容物の重量の約0.1重量%から約4重量%まで、好ま
しくは約0.1重量%から約3重量%まで、最も望ましくは約0.1重量%から約2重量
%までである場合がある。
【0047】
崩壊剤は、クロスポビドンと、クロスカルメロースナトリウムと、でんぷんグリコール
酸ナトリウム及びトウモロコシアルファでんぷん(pregelatinized co
rn starches)などのでんぷんと、粘土と、精製セルロース、微結晶性セルロ
ース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース
ナトリウムなどのセルロースと、アルギン酸塩と、寒天、グアーガム、ローカストビーン
ガム、カラヤガム、ペクチン及びトラガカントガムなどのガムとから選択される場合があ
る。1種類又は2種類以上の崩壊剤が、製剤に存在する場合がある。崩壊剤の全量は、製
剤の粉末又はカプセル内容物の重量の約1.0重量%から約15重量%まで、好ましくは
約3重量%から約10重量%まで、最も望ましくは約3重量%から約5重量%までである
場合がある。
【0048】
併用療法
炭酸ランタン粉末及びカプセルは、ビタミンD、カルシウム源、ビタミンK又はこれら
の組み合わせとともに投与される場合がある。これらの付加成分は、前記炭酸ランタンと
ともに混合してか、又は別々に投与される場合がある。
【0049】
高リン血症又はCKDの症状に罹患している患者は、ビタミンDが欠乏していることが
多い。25-ヒドロキシビタミンD2のレベルは、約16ng/mL未満の値と低く、補
充治療は約16ng/mL以上のレベルを目標とする。1,25-ジヒドロキシビタミン
D2のレベルは約22pg/mL未満の値と低く、補充治療は約22pg/mLより大き
いレベルを目標とする。このように、炭酸ランタンと、ビタミンD又はビタミンD類似体
とを含む製剤を製造し、患者へ投与することか、又は炭酸ランタンを含む別個の製剤と、
ビタミンD又はビタミンD類似体を含む別個の製剤とを患者に投与することが望まれてい
る。
【0050】
使用される場合があるビタミンD源の例は、1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD、ビ
タミンDの活性代謝物(カルシトリオール、ロカルシトロール(rocalcitrol
))を含む。適当なビタミンD類似体の例は、ドキセルカルシフェロール(ジェンザイム
(ケンブリッジ,マサチューセッツ州)から入手可能なヘクトロール(Hectorol
(商標))及びパリカルシトール(アボット ラボラトリーズ(アボットパーク,イリノ
イ州)から入手可能なゼムプラー(Zemplar(商標))を含む。1種類又は2種類
以上のビタミンD源又ビタミンD類似体が、製剤に存在する場合がある。
【0051】
ビタミンDが別個の投薬形態で投与されるとき、治療を必要とする患者にビタミンDが
1日1回投与される場合がある。
【0052】
高リン血症患者又はCKDの症状に罹患している患者は、低カルシウム血症(すなわち
、約8.5mg/dL未満の血中カルシウム濃度)に罹患することが多い。よって、本発
明の製剤は、炭酸ランタンと、カルシウム源とを含む場合がある。
【0053】
カルシウムの形態の例は、炭酸カルシウム(例えばグラクソ スミスクライン(アクス
ブリッジ,イギリス)から入手可能なトゥムズ(Tums(商標))など)と、酢酸カル
シウム(例えばフレゼニウス(ウォルサム,マサチューセッツ州)から入手可能なフォス
ロ(PhosLo(商標))など)と、CaCl2とを含む。1種類又は2種類以上のカ
ルシウム源が、製剤に存在する場合がある。
【0054】
また、カルシウム源が別個の投与形態で投与される場合があり、場合によっては、本発
明の投与形態と同時に投与される場合がある。特定の実施態様では、カルシウムを含む1
-2錠の錠剤が、治療を必要とする患者に1日1-3回投与される。
【0055】
高リン血症又はCKDの症状に罹患している患者は、ビタミンKが欠乏している場合が
ある。本発明の別の実施態様では、本発明の製剤は、ビタミンK欠乏症を軽減するために
、高リン血症又はCKDの症状に罹患している患者にビタミンKと組み合わせて投与され
る。ビタミンK源の例は、ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)
及びビタミンK3(メナジオン)を含む。
【0056】
ビタミンKは、ランタン製剤と同じ製剤中で組み合わせられる場合か、又はランタン製
剤と異なる製剤で投与される場合がある。特定の実施態様では、2.5ないし25mgの
ビタミンK1が、治療を必要とする患者に1日1回投与される。
【0057】
治療方法
高リン血症のリスクを有する又は罹患している患者か、慢性腎臓病(CKD)のリスク
を有する又はステージ1ないしステージ5のCKD患者か、CKDに関連する軟部組織石
灰化にかかりやすい又は罹患している患者か、二次性副甲状腺機能亢進症にかかりやすい
又は罹患している患者か、リン酸塩吸収の制御を必要とする今のところ未発見の他の疾病
にかかりやすい又は罹患している患者かを、本発明の炭酸ランタン粉末又はカプセル製剤
の治療有効量を投与することにより治療することができる。
【0058】
本明細書で用いられるところの「治療する」、「治療すること」又は「治療」という用
語は、高リン血症か、慢性腎臓病(CKD)か、重篤な骨の問題か、軟部組織石灰化か、
二次性副甲状腺機能亢進症か、又はリン酸塩吸収の制御を必要とする今のところ未発見の
他の疾病かの予防(prevention)か、低減(reduction)か、改善(
amelioration)か、部分的又は完全な軽減(alleviation)か、
治癒(cure)かを意味する。
【0059】
さらに本明細書で用いられるところの「患者」という用語は、哺乳類(例えば、イヌ又
はネコのような家畜のようないずれかの獣医学の患者)又はヒト患者をいう。
【0060】
本明細書で用いられるところの「薬学的に有効な量」又は「治療的に有効な量」は、(
i)患者の血清中リン酸塩レベルを検出可能な程度に減少させるのに十分であるか、又は
(ii)患者の血清中リン酸塩レベルを実質的に一定に維持するのに最小の炭酸ランタン
の量又は投与量である。
【0061】
高リン血症か、CKDか、CKDに関連する軟部組織石灰化か、二次性副甲状腺機能亢
進症かの疾病のリスクを有する患者か、該疾病を有する患者かの「症状」という用語は、
患者により経験され腎機能障害を示すいずれかの機能上又は構造上の異常の場合がある。
一例として、他の異常の中でも、体重及び筋肉量に対する正常範囲を超える血清中クレア
チニン濃度か、約4.5mg/dLを超える血中リン酸塩レベルか、腎臓から尿へのいず
れかの検出可能な血液量か、0.3mg/mgを超えるタンパク質対クレアチニン比率か
、30mg/gを超えるアルブミン対クレアチニン比率か、約150pg/mLを超える
血中のインタクトな副甲状腺ホルモン(PTH)の濃度(第二世代副甲状腺ホルモンアッ
セイ(second generation parathyroid hormone
assay))か、約90mL/min/1.73m2未満の糸球体濾過量(GFR)
かのうちの1種類又は2種類以上の症状が、CKDのリスクか、CKDの存在かを示す場
合がある。
【0062】
高リン血症にかかりやすい又は罹患している患者は、本発明の炭酸ランタン製剤の治療
有効量を投与することにより治療することができる。本明細書で使用されるところの高リ
ン血症は、約4.5mg/dLを超える血中リン酸塩レベルを有する患者の状態をいう。
【0063】
米国腎臓病財団-腎臓病患者の予後改善機構(The National Kidne
y Foundation-Kidney Disease Outcomes Qua
lity Initiative、以下「NKF-K/DOQI」又は「K/DOQI」
という。)は、慢性腎臓病(CKD)を(1)糸球体濾過量(GFR)の減少の有無に関
わらず、腎臓の構造上又は機能上の異常により定義される腎臓の損傷を3ヶ月間以上にわ
たり有する疾病、又は、(2)腎臓の損傷の有無に関わらず、GFRが3ヶ月間以上にわ
たり60mL/min/1.73m2未満である疾病と定義している。構造上又は機能上
の異常は、画像研究又は血液組成若しくは尿組成において特定される異常を含む、病理学
的な異常のような症状か、腎臓損傷の指標かにより明らかにされる。
【0064】
腎臓損傷の指標の例は、体重及び筋肉量に対する上述の正常範囲を超える血漿中クレア
チニン濃度を含む。腎臓の損傷の付加的な指標は、血尿(すなわち、腎臓から尿へのいず
れかの検出可能な血液量)か、タンパク尿(すなわち、0.3mg/mgを超えるタンパ
ク質対クレアチニン比率)か、アルブミン尿(すなわち、30mg/gを超えるアルブミ
ン対クレアチニン比率)か、約150pg/mLを超える血中のインタクトな副甲状腺ホ
ルモン(PTH)の濃度(第二世代副甲状腺ホルモンアッセイ)か、約4.5mg/dL
を超える血中リン酸塩レベルかを含む場合がある。腎臓病のある特異的な指標は、正常値
未満のGFR比率(すなわち、約90mL/min/1.73m2未満のGFR)である
【0065】
K/DOQIは、CKDの異なる5つのステージを定義するガイドライン(Am J
Kidney Dis.2001,37(suppl 1):S1-S238)を公表し
ている。以下の表は、CKDの5つの各々の前記ステージと、各々の前記ステージに対す
るGFRの範囲との説明を提供する。
【0066】
【表1】
【0067】
CKD患者における高リン血症は、複数の副次的効果を有する。患者が高リン血症に罹
患すると、過剰な血清中リン酸塩が血清中カルシウムを沈殿させ、広範な異所骨外性石灰
化を引き起こす。不要なカルシウムの沈着が循環器組織において生じ、死を招くことも多
い循環器の合併症のリスクの増大を招く場合がある。加えて血清中リン酸塩の増大は、間
接的に、腸管のカルシウム吸収を減少させる。これらの2つの機構が、血清中カルシウム
レベルを低減するために同時に働く。
【0068】
血清中カルシウムレベルの低減は、二次性副甲状腺機能亢進症の発症に伴う副甲状腺ホ
ルモン(PTH)の産生の増大に寄与する場合がある。さらに近年の研究は、高リン酸塩
レベルがPTH産生を直接刺激し、二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす場合があるこ
とを示す。PTH分泌の継続的な刺激は、最終的には、副甲状腺摘出が必要となる場合が
ある副甲状腺の過形成を誘発する。
【0069】
炭酸ランタン粉末又はカプセル製剤の投与を含む本発明の方法は、血漿中リン酸塩レベ
ルを低減するだけでなく、高リン血症を含む第1ステージないし第5ステージのいずれか
のステージのCKDと、異所骨外性石灰化と、血清低カルシウム血症と、二次性副甲状腺
機能亢進症とにかかりやすい又は罹患している患者におけるCKDの影響を改善すると考
えられる。しかし、本発明はいずれかの特定の生化学的又は生理学的な機構に限定されな
いことが理解されるべきである。
【0070】
本発明の炭酸ランタン粉末又はカプセル製剤の治療有効量を患者に投与することにより
、慢性腎臓病(CKD)の1種類又は2種類以上の症状を有する患者を治療することがで
きる。治療される患者は、CKDのリスクを有する場合か、第1ステージないし第5ステ
ージのいずれかのステージのCKDを有する場合かがある。治療される場合のある、CK
Dのリスクを有する患者か、第1ステージないし第5ステージのいずれかのステージのC
KD患者かは、約4.5mg/dLを超える血中リン酸塩レベルか、体重及び筋肉量に対
する正常範囲を超える血漿中クレアチニン濃度か、腎臓から尿へのいずれかの検出可能な
血液の量か、0.3mg/mgを超えるタンパク質対クレアチニン比率か、30mg/g
を超えるアルブミン対クレアチニン比率か、約150pg/mLを超える血中のインタク
トな副甲状腺ホルモンの濃度(第二世代副甲状腺ホルモンアッセイ)か、異常なGFRか
、又はそれらの組合せかのうちの1種類又は2種類以上の症状を有する場合がある。
【0071】
本発明の炭酸ランタン粉末又はカプセル製剤の治療有効量を患者に投与することにより
、CKDの1種類又は2種類以上の症状を有する患者におけるCKDに関連する軟部組織
石灰化を治療することができる。石灰化は、任意の軟部組織において生じる場合がある。
軟部組織は、動脈組織、心筋、心臓弁、関節、皮膚及び乳房組織を含む場合がある。
【0072】
本発明の炭酸ランタン粉末又はカプセル製剤の治療有効量を患者に投与することにより
、二次性副甲状腺機能亢進症の1種類又は2種類以上の症状を有する患者をある程度治療
することができる。副甲状腺機能亢進症は、インタクトなPTHのレベルが約150pg
/mL以上(第二世代副甲状腺ホルモンアッセイ)である患者における疾病と定義される
。末期の副甲状腺機能亢進症の前記症状は、低カルシウム血症(すなわち、約8.5mg
/dL未満の血中カルシウムレベル)、高リン血症(すなわち、約4.5mg/dLを超
える血中リン酸塩レベル)及び骨障害(例えば骨折又は骨痛)を含む。
【0073】
医薬品粉末及びカプセルの投与
本発明に従い炭酸ランタン粉末及びカプセル製剤は、食事と同時又は食事の直後に、炭
酸ランタンとして元素ランタンを約125から約2000mgまでの異なる投与形態で患
者に経口投与される場合がある。成人に対する典型的な用量は、例えば1日当たり375
mg-6000mgの炭酸ランタンとしての元素ランタンである場合がある。より好まし
くは、前記用量は375-3750mg/日である。前記用量は、例えば250、500
、750又は1000mgの小袋か、又は250、375又は500mgのカプセルを、
例えば1日3回というように毎回の食事と一緒に分割し、摂取される場合がある。血清中
リン酸塩レベルは週に1回監視される場合があり、用量は最適な血清中リン酸塩レベルに
到達するまで修正される場合がある。投与は、連続的な投与計画で実施される場合があり
、かかる投与計画は慢性的疾病を治療するために、例えば永続的な投与計画のような長期
間の投与計画の場合がある。カプセルは、錠剤のように咀嚼される場合か、又は咀嚼が困
難な患者のためにカプセルが開放される場合があり、内容物が舌又は食物上に散布される
場合がある。また、カプセルは丸ごと服用される場合がある。粉末も舌又は食物上に散布
される場合か、又は少量の水又はソフトドリンクに混合される場合もある。
【0074】
製剤の投与後のランタンの生物学的利用能(血漿中に吸収され、変化しない用量のパー
センテージ)は非常に低く(すなわち、約0.001%)、1日3回の炭酸ランタンチュ
アブル錠剤による1000mgの典型的な投与後に、定常状態の健常者(healthy
volunteers)では約0.7ng/mL未満の平均最大血漿濃度(Cmax)と
、約24ng・h/mL未満の平均AUC(血漿濃度-時間曲線の下の面積)に相当し、
透析患者ではそれぞれ約1.1ng/mLの平均最大血漿濃度(Cmax)と約31ng・
h/mLの平均AUC(血漿濃度-時間曲線の下の面積)に相当する。典型的には、Tma
x(Cmaxに初めて到達する時間)値は基本的に用量の影響を受けず、Cmax値及びAU
C値は約1500mg/日までの経口投与に対しては用量に応じて直線的に変化する。典
型的には、Cmax値及びAUC値は、約1500mg/日を超える用量に対してはプラ
トーとなる。ランタンの血漿中濃度は代替となる安全指標であるので、代替製剤は、チュ
アブル錠剤製剤の同等の用量で達成されるランタンの血漿中濃度と比較して実質的に高く
ないか、又は臨床的に有意な程度まで血漿中ランタン濃度を供給しなければならない。
【0075】
炭酸ランタン製剤の種類と、治療の期間とは、個々の患者の治療に対する必要性に応じ
て変更されることが理解されるだろう。体重、年齢及び特定の症状のような因子を特に考
慮する担当医師又は獣医師により、緻密な投与計画が決定されるだろう。前記医師又は獣
医師は、治療のための正しい用量を決定するために、患者に投与される炭酸ランタンの用
量を漸増させる場合がある。例えば医師は、患者におけるリン酸塩レベルを測定し、患者
に特定の用量の炭酸ランタンを1週間処方し、その1週間後に患者のリン酸塩レベルを再
測定することにより該用量が適当かどうかを評価する場合がある。
【実施例0076】
実施例1-12:500mgの炭酸ランタン水和物速放性カプセルの適合性研究
カプセルの溶解特性を測定し、貯蔵後に溶解が影響を受けないことを保証するために、
炭酸ランタンの水和物速放性カプセルが研究された。
【0077】
実施例1-3は、炭酸ランタンカプセルの貯蔵後に観察された溶解の減少の原因を調べ
る。これらの実験に基づいて、カプセルシェルのゼラチン及び封入されたステアリン酸マ
グネシウムが溶解の減少を引き起こしたと仮定された。ステアリン酸マグネシウムの代替
となる潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムの代わりに評価された。実施例4-9、11
及び12は、ステアリン酸マグネシウムを置き換えるための代替となる潤滑剤を含むカプ
セルの溶解特性を調べる。実施例10は、実施例11及び12で試験されたカプセルを製
造する方法を開示する。
【0078】
下記の実施例1-9、11及び12では、500mgの炭酸ランタン水和物速放性カプ
セル中に含まれる炭酸ランタンの溶解速度を測定するために、以下の溶解方法がそれぞれ
用いられた。
【0079】
溶液の調製
溶解溶媒の調製(0.25M HCl)
0.25M HClを10リットル調製するために、232.5mLの(メルク(ダル
ムシュタット,ドイツ)から入手可能な)37%HClが10L容量フラスコ内に移され
、脱イオン水を用いて体積いっぱいまで満たされた。前記体積が、必要に応じて計量され
た。
【0080】
ウロトロピン(Urotropin)溶媒(1mol/L)(ヘキサミン)
35.0gの(ブイダブリューアール(ウェストチェスター,ペンシルベニア州)から
入手可能な)ウロトロピン(ヘキサメチレンテトラミン)が250mL容量フラスコ中に
溶解され、精製水が体積まで注がれた。
【0081】
酢酸ナトリウム緩衝液pH6.2(0.2mol/L)
16.4gの(メルク(ダルムシュタット,ドイツ)から入手可能な)酢酸ナトリウム
が、精製水が体積まで注がれた1000mL容量フラスコ内で溶解され、(メルク(ダル
ムシュタット,ドイツ)から入手可能な)酢酸を用いてpH6.2に調整された。
【0082】
キシレノールオレンジ指示薬溶液
10mgの(メルク(ダルムシュタット,ドイツ)から入手可能な)キシレノールオレ
ンジテトラナトリウム塩が10mL容量フラスコで5mLの(メルク(ダルムシュタット
,ドイツ)から入手可能な)エタノールに溶解され、精製水を用いて体積まで希釈された
。溶液は、1週間後に使用期限切れとなった。
【0083】
EDTA二ナトリウム(0.001mol/L)容量分析用標準溶液
容量分析用標準溶液は、商業的に入手可能な(フルカ/シグマアルドリッチ(セントル
イス,ミズーリ州)から入手可能な)標準0.01mol/L EDTAの1/10体積
希釈を用いて調製された。
【0084】
経時的なカプセル溶解の測定
溶解させるために、6×900mLの溶解容器を備えた(ソータックス(ホプキントン
,マサチューセッツ州)から入手可能な)ソータクッス AT7 スマート、6個の対応
するパドル(USPタイプII、50rpm)、及びUSP装置2及びJP法2の基準に
適合するワットマンGF/D(2.7μmガラス繊維)フィルターが、用いられた。90
0mLの溶解溶媒が、37℃±0.5℃の溶解槽中で少なくとも30分間平衡に保たれた
。その後、1個のカプセルが前記溶解溶媒中に投入された。5、10、15、30及び4
5分後に、15mLの前記溶媒が、自動分画採取器を用いて除去された。各時点で、15
mL 0.025M HClが、除去された溶媒と置き換えられた。
【0085】
試料中のランタンイオンを定量するために、pH6.2の0.2mol/L酢酸ナトリ
ウム溶液40mLが、2.5mLの除去された溶媒に添加された。その後、0.25mL
のキシレノールオレンジ指示薬溶液が添加され、1mol/Lヘキサミン又は0.25m
ol/L HClを用いてpHが5.5±0.1に調整された。その後、試料は、開始時
の桃色/薄紫色から終点の淡黄色まで、0.001mol/L EDTA二ナトリウム溶
液を用いて滴定された。前記EDTA溶液の量は、前記溶媒中のランタンイオンの量と相
関があった。酸化ランタン(III)(La2O3)(シグマアルドリッチ(セントルイス
,ミズーリ州)から入手可能なフルカ04052)が、滴定分析で溶液中のランタンイオ
ンの量の標準品として使用された。製剤及び条件当たり2個又は3個のカプセルが、通常
試験された。このように少量のカプセルによって、試験時に溶解速度が実験変数により影
響されるかを確実に調べることができることが初期の研究から明らかであった。
【0086】
実施例1-9で試験されたカプセル製剤の製造
混合前に、成分が1.00mmの篩を用いて篩過された。炭酸ランタンと、(存在する
場合は)デキストレートと、(存在する場合は)崩壊剤とが、10分間混合された。その
後、(存在する場合は)コロイド状二酸化ケイ素が添加され、2分間混合された。(存在
する場合は)潤滑剤が添加され、さらに2分間混合された。大きな錠剤を得るために打錠
した後か、ローラー圧縮した後に、前記混合物は、スラッグ錠(slugs)が製造され
た元の粉末と比較して、より流動特性が良い粗粉末に粉砕された。(特に明記しない限り
、混合物は粉砕前に打錠された。)その後、前記混合物は、再度、1.00mmの篩を用
いて篩過された。
【0087】
カプスゲル(登録商標)(ピーパック,ニュージャージー州)は、炭酸ランタン粉末を
封入するために以下の組成を有するコニ-スナップ(登録商標)硬ゼラチンカプセルサイ
ズ00(体積0.95mL;閉じた長さ0.917インチ)を供給した。前記カプセルシ
ェルの蓋は、0.1779重量%インジゴチン(すなわち、FD&C青色2号)、0.1
71重量%エリトロシン(すなわち、FD&C赤色3号)、1.4779重量%二酸化チ
タン、13-16重量%水及び残部としてゼラチンを含有した。
【実施例0088】
60℃で2週間貯蔵された炭酸ランタンカプセルの溶解プロフィル
(1)ローラー圧縮により製造された900911、(2)900911と同一の処方
を有するバッチであるが、打錠により製造されたE341X010及び(3)打錠により
製造されたバッチであり、崩壊剤としてクロスポビドンの代わりにクロスカルメロースナ
トリウムを含むE341X008の、炭酸ランタンカプセルの3種類のバッチが製造され
た。
【0089】
図1に示されるように乾燥機内で60℃で2週間貯蔵前後に、3種類のカプセル(E3
41X008、E341X010及び910011、試料の数n=2)の溶解プロフィル
が測定された。3種類の各カプセルの製剤が、表2に示される。
【0090】
【表2】
【0091】
図1に示されるように、60℃で2週間貯蔵後の全カプセルの溶解プロフィルは、10
分の遅延時間を有する遅延放出と、45分後に35-55%の炭酸ランタン溶解を示した
。ストレスを加えない試料は、30分後に90%を超える炭酸ランタン溶解を示した。
【0092】
また、バッチナンバー900911のカプセルは、25℃/60%RH、30℃/60
%RH及び45℃/75%RHで1ヶ月間貯蔵された。全貯蔵条件で、貯蔵されたカプセ
ルの溶解速度は貯蔵前と比較して低下した。貯蔵後のカプセルは、30分後に80%未満
が溶解した。
【実施例0093】
圧縮(すなわち、打錠)し、カプセル化した炭酸ランタンについての溶解プロフィル
【0094】
【表3】
【0095】
打錠又はカプセル化が溶解速度に影響を与えるかを調べるために、製剤バッチE341
X018(表3)に基づき、(1)貯蔵前に打錠され、カプセル化された製剤、(2)貯
蔵前に打錠されないが、カプセル化された製剤及び(3)貯蔵前に打錠され、貯蔵後にカ
プセル化された製剤の、3種類の異なる製剤が調製された。乾燥機内で、60℃で1週間
貯蔵された前後の3種類の製剤が、溶解特性について試験された(試料の数 n=3)。
貯蔵前後の製剤の前記溶解プロフィルが、図2に示された。
【0096】
貯蔵前と比較して前記製剤それぞれの溶解は貯蔵により遅延したが、貯蔵前に打錠され
、カプセル化されていない製剤は、打錠されカプセル化された製剤及び打錠されず、カプ
セル化された製剤と比較して、貯蔵により受けた影響はより小さかった。かかる結果は、
ゼラチンカプセルシェルが溶解速度を低下させることに寄与する場合があることを示唆し
ている。
【実施例0097】
炭酸ランタンカプセルの溶解プロフィルでの単一成分の影響
カプセル製剤中の単一成分が溶解速度に影響を与えるかを調べるために、乾燥機で60
℃で1週間貯蔵前後の単一成分を欠いている製剤の溶解プロフィルが測定された。成分を
除去する前の基本製剤が、表4に示される。
【0098】
【表4】
【0099】
図3は、(1)ステアリン酸マグネシウムを含まない製剤、(2)コロイド状二酸化ケ
イ素を含まない製剤、(3)炭酸ランタンだけを含む製剤、(4)クロスポビドンを含ま
ない製剤及び(5)デキストレートを含まない製剤の、貯蔵前後の溶解プロフィルを提示
する。
【0100】
ステアリン酸マグネシウム含まない製剤は、貯蔵前後共に、比較的速い溶解を示した。
貯蔵前後の炭酸ランタンだけを含む製剤の溶解曲線は、重なり合った。デキストレートを
含まない製剤は、貯蔵前後共に5分の遅延を有する遅延放出プロフィルを示した。コロイ
ド状二酸化ケイ素を含まない製剤及びクロスポビドンを含まない製剤はどちらも、貯蔵前
に5分の遅延を有する遅延放出溶解プロフィルを示し、貯蔵後に10分の遅延を有する遅
延放出溶解プロフィルを示した。ステアリン酸マグネシウムを含む全ての製剤は、貯蔵後
に溶解速度が低下し、ステアリン酸マグネシウム及びゼラチンカプセルシェルの存在が共
に、貯蔵期間中の溶解速度の低下の原因であることが推測された。
【実施例0101】
ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル又はフマル酸ステアリルナトリウムを
含む炭酸ランタンカプセルの溶解プロフィル
貯蔵前後の炭酸ランタンカプセルの溶解での影響を調べるために、代替となる潤滑剤が
試験された。表5に示されるように、(1)ステアリン酸マグネシウムを含む製剤、(2
)潤滑剤を含まない製剤、(3)ステアリン酸マグネシウムの代わりにベヘン酸グリセリ
ルを含む製剤及び(4)ステアリン酸マグネシウムの代わりにフマル酸ステアリルナトリ
ウムを含む製剤の4種類の製剤が試験された。
【0102】
【表5】
【0103】
図4は、乾燥機で60℃で1週間貯蔵前後での異なる潤滑剤を含む製剤の溶解曲線を開
示する。ステアリン酸マグネシウムを含む製剤及びベヘン酸グリセリルを含む製剤は、貯
蔵前に比較的速い溶解プロフィルを有し、貯蔵後に5分の遅延を有する遅延放出溶解プロ
フィルを有した。潤滑剤を含まない製剤は、貯蔵前後共に、比較的速く溶解した。フマル
酸ステアリルナトリウムを含む製剤は、貯蔵前に5分の遅延を有する遅延放出溶解プロフ
ィルを有し、貯蔵後に10分の遅延を有する遅延放出溶解プロフィルを有した。
【実施例0104】
PEG 6000、L-ロイシン、L-ロイシン/PEG 6000又はタルクを含む
炭酸ランタンカプセルの溶解プロフィル
乾燥機で60℃で1週間貯蔵前後での炭酸ランタンカプセルの溶解への影響を調べるた
めに、代替となる潤滑剤が試験された。表6に示されるように、異なる潤滑剤ポリエチレ
ングリコール、L-ロイシン、L-ロイシン/PEG 6000又はタルクをそれぞれ含
む4種類の製剤が試験された。前記L-ロイシン/PEG 6000潤滑剤は、(シグマ
アルドリッチ(セントルイス,ミズーリ州)から入手可能な)60重量%L-ロイシンと
、(クローダ(イースト ヨークシャー,イギリス)から入手可能な)40重量%PEG
6000との混合物である。
【0105】
【表6】
【0106】
図5は、乾燥機で60℃で1週間貯蔵前後の異なる潤滑剤を含む製剤の溶解曲線を開示
する。PEG 6000を含む製剤は、貯蔵前は比較的速い溶解プロフィルを有し、貯蔵
後に有意な放出は確認されなかった。L-ロイシンを含む製剤と、L-ロイシン及びPE
G 6000の混合物を含有する製剤とは、貯蔵前に比較的速い溶解プロフィルを有し、
貯蔵後に5分の遅延を有する遅延放出を示した。タルクを含む製剤は、貯蔵前後共に、比
較的速い溶解プロフィルを有した。
【実施例0107】
ラブリタブ(登録商標)又はクチーナ(登録商標)HRを含む炭酸ランタンカプセルの
溶解プロフィル
乾燥機で60℃で1週間貯蔵前後での炭酸ランタンカプセルの溶解への影響を調べるた
めに、代替となる潤滑剤が試験された。表7に示されるように、それぞれ異なる潤滑剤(
硬化植物性油脂及び硬化油脂;ジェイ.レッテンマイヤー&ゾーネ ゲーエムベーハー+
ツェーオー.カーゲー(ローゼンバーグ,ドイツ)から入手可能な)ラブリタブ(登録商
標)又は(硬化ヒマシ油脂;コグニス(シンシナティ,オハイオ州)から入手可能な)ク
チーナ(登録商標)HRを有する2種類の製剤が試験された。
【0108】
【表7】
【0109】
図6は、60℃で1週間貯蔵前後の異なる潤滑剤を含む製剤の溶解曲線を開示する。ラ
ブリタブ(登録商標)を含む製剤は、貯蔵によって経時的により遅い放出を引き起こした
が、貯蔵前後共に、5分の遅延を有する遅延放出プロフィルを有した。貯蔵前後で試験さ
れたクチーナ(登録商標)HRを含む製剤は、10分の遅延を有する類似の遅延放出プロ
フィルを有した。
【実施例0110】
デキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びL-ロイシンを含むか
、又はL-ロイシンだけを含む炭酸ランタンカプセルの溶解プロフィル
乾燥機で60℃で1週間貯蔵前後の炭酸ランタンカプセルの溶解への影響を調べるため
に、デキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びL-ロイシンを含む
か、又はL-ロイシンだけを含む炭酸ランタンカプセルが試験された。表8に示されるよ
うに、2種類の製剤が試験された。
【0111】
【表8】
【0112】
図7は、60℃で1週間貯蔵前後の2種類の製剤の溶解曲線を開示する。L-ロイシン
だけを含む炭酸ランタン製剤は、貯蔵前に比較的速い放出特性を有し、貯蔵後に5分の遅
延を有する遅延放出プロフィルを有した。貯蔵後のデキストレート、コロイド状二酸化ケ
イ素、クロスポビドン及びL-ロイシンを含む炭酸ランタン製剤は、貯蔵前と比較してよ
り遅い速度で放出した。
【実施例0113】
60℃で1週間又は50℃で1週間貯蔵前後のPEG 6000を含む炭酸ランタンカ
プセルの溶解プロフィル
60℃で1週間又は50℃で1週間貯蔵した前後の炭酸ランタンカプセルの溶解を調べ
るために、PEG 6000を含む炭酸ランタンカプセルが試験された。表9に示される
ように、以下の製剤が試験された。
【0114】
【表9】
【0115】
図8は、60℃で1週間又は50℃で1週間貯蔵前後の製剤の溶解曲線を開示する。P
EG 6000の融点は55℃であるので、50℃で試験が実施された。貯蔵前の製剤は
、比較的速い溶解プロフィルを示した。50℃で1週間貯蔵後の製剤は5分の遅延を有す
る遅延放出を示したが、60℃で1週間貯蔵後の製剤は有意な放出が確認されなかった。
【実施例0116】
デキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びタルクを含むか、又は
タルクだけを含む炭酸ランタンカプセルの溶解プロフィル
乾燥機で60℃で1週間又は2週間貯蔵前後の炭酸ランタンカプセルの溶解を調べるた
めに、デキストレート、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン及びタルクを含む炭酸
ランタンカプセルが試験された。60℃で1週間貯蔵前後の炭酸ランタンカプセルの溶解
を調べるために、タルクだけを含む炭酸ランタンカプセルが試験された。表10に示され
るように、以下の製剤が試験された。
【0117】
【表10】
【0118】
図9は、60℃で1週間又は2週間貯蔵前後の製剤の溶解曲線を開示する。貯蔵前後の
全ての製剤は、比較的速い溶解プロフィルを提供した。タルクは、炭酸ランタンカプセル
に対する温度安定性潤滑剤である。
【実施例0119】
タルクを含む炭酸ランタンカプセルの製造
【0120】
【表11】
【0121】
表11の成分が104.5kgのバッチサイズに秤量され、1mmの手篩を用いて篩過
された。その後、炭酸ランタン、デキストレート及びクロスポビドンがタンブルブレンダ
ーで10分間混合された。その後、コロイド状二酸化ケイ素が添加され、6rpmでさら
に2分間混合され、最後にタルクが添加され、6rpmでさらに2分間混合された。
【0122】
その後、混合物が、圧縮機(ビペックス ファーマーパクターL 200/50P,ホ
ソカワミクロン社(イギリス))で圧縮された。処理パラメーターを最適化するために、
2種類の異なるローラー圧縮力の設定を用いて、サブバッチ1(バッチナンバー:E34
1X043)に対しては約41kg、及び、サブバッチ2(バッチナンバー:E341X
044)に対しては約56kgと2種類のサブバッチで圧縮が実施された。両方の圧縮設
定により、適切に圧縮された材料が製造された。表12は、異なる設定を記載する。
【0123】
【表12】
【0124】
表13に示された混合物の物理的特性が測定された。
【0125】
【表13】
【0126】
設定2で処理される材料は、カプセルの充填(filing)に有利であるより少量の
微粒子を示した。嵩密度とタップ密度に、有意な差はない。
【0127】
500mg元素ランタンと同等の量の2種類の最終混合物が、カプセル充填機(ボッシ
ュ(ブルックリン パーク,ミネソタ州)から入手可能なGKF 1500又はKKE
1500)を用いて、(カプスゲル(登録商標)(ピーパック,ニュージャージー州)か
ら入手可能な)コニ-スナップ(登録商標)硬ゼラチンカプセルサイズ00に充填された
。プロセスのロバスト性の評価のために、充填機の2種類の異なる速度(90サイクル/
分及び100サイクル/分)が使用された。機械は両方の速度で定常的に作動するが、カ
プセル充填機は圧縮設定1と比較して、圧縮設定2の方がより円滑に作動する。
【実施例0128】
タルクを含む炭酸ランタンカプセルの溶解試験
カプセル(E341X043及びE341X044)が室温及び乾燥機内で60℃のス
トレス条件で1週間貯蔵され、カプセルの溶解特性が試験された。結果が、表14及び図
10に示される。
【0129】
【表14】
【0130】
全ての溶解プロフィルは、30分後に、炭酸ランタン溶解が80%を越えるという仕様
を満たした。室温の場合と比較して、60℃で1週間貯蔵後の溶解速度の低下は見られな
かった。結果から、2種類のバッチ間での有意な差は確認されなかった。この結果は、貯
蔵条件と比較して溶解速度に有意な効果を有さない炭酸ランタンカプセルを製造する際に
、タルクが潤滑剤として使用可能であるということを示した。
【実施例0131】
炭酸ランタン500mgカプセルの長期間の安定性試験
カプセルは実施例10に従って製造され、長期間の安定性試験で使用された。表15は
、4週間後の安定性のデータを示す。
【0132】
【表15】
【0133】
データは、25℃/60%RH、30℃/75%RH又は40℃/75%RHで4週間
貯蔵後では、0.25M HCl中での30分後の溶解パーセントに、何の変化も示さな
い又は実質的に何の変化も示さなかった。錠剤からの炭酸ランタンの生物学的利用能と比
較して、カプセルからの炭酸ランタンの生物学的利用能を評価するために、このバッチか
らのカプセルが臨床試験で使用された。
[実施例13及び14]
【0134】
製剤の炭酸ランタンの薬力学的同等性試験
これらの実施例は、カプセル又は経口粉末製剤からのランタンの消化管への送達、及び
ランタンの消化管での利用能及びランタンの体循環(血漿)への吸収を、チュアブル錠剤
からのそれらと比較した薬力学的同等性試験の結果を記載する。これらの研究は、上昇し
た血清中リン酸塩濃度を有さない健常者で実施された。よって、血清中リン酸塩濃度の低
下への炭酸ランタンの効果は、透析を受けているESRD患者の臨床試験での一般的な主
要評価項目であり、該項目は健常者の研究では使用することができなかった。尿中のリン
酸塩排泄量は、標準食からのリン酸塩吸収へのリン酸塩結合剤の影響を評価するために健
常者で使用することができる代替的な尺度であり、これはより多い尿中のリン酸塩排泄量
、より多いリン酸塩吸収の程度といった薬力学的同等性研究での主要評価項目である。よ
って、製剤は、尿中のリン酸塩排泄量への影響の程度について比較され、同等の判定基準
に対して評価される。また、ランタンの全身曝露は代替となる安全指標であるので、血漿
中ランタン濃度が第二の対象として比較される。
【実施例0135】
健康な成人患者に投与された炭酸ランタンカプセル製剤、炭酸ランタン開放カプセル製
剤、及びチュアブル炭酸ランタン錠剤の尿中リン酸塩排泄量及び血漿中ランタン薬物動態
を比較する第1相薬力学的同等性試験
【0136】
目的:第1
食直後に、アップルソースと共に1日3回1000mgとして投与された炭酸ランタン
カプセル製剤(製剤A)及び炭酸ランタンチュアブル錠剤製剤(製剤C)の投与後の3日
間の平均的な1日の尿中リン酸塩排泄量を比較するため。
【0137】
目的:第2
(1)炭酸ランタン開放カプセル(製剤B)及び炭酸ランタンチュアブル錠剤製剤(製剤
C)の投与後3日間の平均的な1日の尿中リン酸塩排泄量を比較するため。各投与は、食
直後に、アップルソースと共に1日3回1000mgとして投与された。
(2)前記炭酸ランタンカプセル製剤(製剤A)、前記開放カプセル製剤(製剤B)及び
前記チュアブル錠剤製剤(製剤C)を3日間投与後、第4日目の尿中リン酸塩排泄量を比
較するため。
(3)前記炭酸ランタンカプセル製剤(製剤A)、前記開放カプセル製剤(製剤B)及び
前記チュアブル錠剤製剤(製剤C)の安全性及び忍容性を評価するため。
(4)前記炭酸ランタンカプセル製剤(製剤A)及び前記開放カプセル製剤(製剤B)の
ランタン薬物動態(PK)プロフィルと、前記炭酸ランタンチュアブル錠剤製剤(製剤C
)のランタン薬物動態(PK)プロフィルとを比較するため。
【0138】
試験デザイン
単一の試験センターで、男性及び女性の健常者(承諾時、18歳~55歳)で、無作為
化、非盲検、3期間クロスオーバー試験が実施された。各患者に対して、スクリーニング
期間の後に3回の投与期間が続いた。投与期間の間に、少なくとも14日間のウォッシュ
アウト期間があった。患者は投与順序に無作為に割り当てられ、順不同で、以下の3種類
の製剤のうち1種類が投与された。
(1)製剤A、カプセル製剤(2×500mg/カプセル;設定2と類似の圧縮設定を用
いて、実施例10によって製造された表11の製剤が充填されたコニ-スナップ(登録商
標)硬ゼラチンカプセルサイズ00)であって、患者は各カプセルを摂取直後に、大さじ
1杯のアップルソースを摂取した(1投与当たり大さじ2杯のアップルソース)、
(2)製剤B、開放カプセル製剤(2×500mg/カプセル;カプセルを使用せずに、
設定2と類似の圧縮設定を用いて、実施例10によって製造された表11の製剤)が開放
状態のカプセル製剤によって投与され、各カプセルの内容物を大さじ1杯のアップルソー
スにかけ、該アップルソース及び内容物が患者に投与され、空のゼラチンカプセルは廃棄
された、(3)製剤C、チュアブル錠剤製剤((1)954mg炭酸ランタン(45.7
8%wt/wt)、(2)1066.4mgデキストレート(51.17%wt/wt)
、(3)42.4mgコロイド状二酸化ケイ素(2.03%wt/wt)及び(4)21
.2mgステアリン酸マグネシウム(1.02%wt/wt))を含有するシャイア(ウ
ェーン,ペンシルベニア州)から500mgホスレノール(登録商標)として入手可能な
2×500mg/錠剤)であって、患者は各錠剤を摂取直後に大さじ1杯のアップルソー
スも摂取した(1投与当たり大さじ2杯のアップルソース)。
【0139】
各期間内に、各製剤が3日間は食事後1日3回と、第4日目の朝食後に投与された。各
期間の間に少なくとも14日間のウォッシュアウト期間を有する3回の治療期間があり、
患者は、無作為化されたコードにより6種類の治療順序(sequence)のうち1種
類に無作為に割り当てられた。
【0140】
試験を完了するのに最小で72人の患者を確保するために、十分な患者が無作為化され
た。
【0141】
評価の基準
第-2日目から第-1日目、第-1日目から第1日目、第1日目から第2日目、第2日
目から第3日目及び第3日目から第4日目として、24時間の期間にわたり尿が採取され
た。各採取が朝食前の30分以内に開始され、24時間後に終了した。尿中リン酸塩排泄
量分析は、この試験の薬物動態的同等性を調べるための第1の評価であった。
【0142】
第2の評価として、第1日目、第2日目、第3日目及び第4日目の投与前(朝食の開始
前30分以内)及び第4日目の最後の朝の投与後3時間、4時間、5時間、6時間、8時
間、12時間、18時間、24時間、36時間及び48時間のランタンの血漿中濃度の誘
導結合プラズマ質量分析計による測定後に、薬物動態の評価が実施された。
【0143】
統計的方法:薬力学
安全性集団(safety population)に含まれた患者は炭酸ランタンを
少なくとも1回投与され、少なくとも1回の投与後の安全性を評価された。薬力学的集団
(pharmacodynamic population)は、大幅な治験実施計画書
からの逸脱(major protocol deviations)を有さない安全性
集団の全ての評価可能な患者を含み、全ての治療期間で、全ての尿採取を完了し、少なく
とも95%の食物を摂取した安全性集団の全ての患者を含む。投与期間の第-2日目から
第4日目の間に嘔吐した患者は、除外された。
【0144】
第1の薬力学変数は、各投与期間の3日間の平均的な1日の尿中リン酸塩排泄量であっ
た。前記変数は、治療順序、投与期間及び製剤に対する母数効果と、順序グループ内患者
に対する変量効果と、共変量としての期間ベースラインとを用いた混合効果線形モデルに
よる変換を行わずに、評価された。前記ベースライン測定は、各期間の第-1日目及び第
1日目の全尿中リン酸塩排泄量の平均であった。混合効果線形モデルを基に、標準90%
信頼区間(CI)は、試験製剤A(カプセル)と対照製剤C(チュアブル錠剤)の第1の
薬力学変数の最小二乗(LS)平均での差、及び試験製剤B(開放カプセル)と対照製剤
C(チュアブル錠剤)の第1の薬力学変数の最小二乗(LS)平均での差について構成さ
れた。また、対照製剤Cの前記LS平均の±20%(すなわち、±LS最小二乗平均*2
0%)を表す基準範囲が、構成された。差(A-C又はB-C)に対する前記90%CI
が前記基準範囲内に完全に含まれる場合は、薬力学的同等性が主張された。
【0145】
定量化できない尿中濃度を提供する患者は、定量化できない値をアッセイの検出限界の
下限の半値である1.5に設定することにより薬力学解析対象集団(Pharmacod
ynamic set)に含まれた。
【0146】
第2の薬力学変数は、第4日目(すなわち、第3日目から第4日目まで)の前記尿中リ
ン酸塩排泄量であり、第1の変数についてと同一のモデルを用いて評価された。
【0147】
尿中リン酸塩排泄量及びベースラインからの変更は、記述統計学(観察の数[n]、平
均、標準誤差[SE]、変動係数[CV%]、中央値、最小限及び最大値)を用いたフォ
ーメーション(formulation)によりまとめられた。
【0148】
統計的方法:薬物動態
薬物動態的集団(pharmacokinetic population)は炭酸ラ
ンタンの摂取に関する大幅な逸脱を有さない安全性集団の患者を含み、全治療期間で、第
4日目の投与後のCmax及びAUC0-48を評価するために採取された十分な投与後の血液
試料を有する安全性集団の全ての患者を含む。投与と、投与期間の第4日目の投与後10
時間の間に嘔吐した患者は、前記薬物動態的集団から除去された。
【0149】
PK分析は、Cmaxと、tmaxと、AUC0-tと、AUC0-48と、λzと、t1/2とを含み
、ここで、
・Cmax:最大血漿濃度
・tmax:Cmaxまでの時間
・AUC0-48:第4日目の投与後0時間から48時間までの血漿濃度-時間曲線の下の面

・AUC0-t:0時間から最後に定量化可能な血漿濃度(Ct)の時間(t)までの血漿
濃度-時間曲線の下の面積
・λz:見かけの終末相速度定数
・t1/2:見かけの終末相半減期である。
【0150】
記述統計学(患者の数、平均、標準偏差(SD)、CV%、幾何平均、中央値、最大値
及び最小限)が、ランタンの薬物動態パラメーターについて決定された。ランタンの薬物
動態パラメーターCmax、AUC0-48及びAUC0-tが、標準混合効果線形モデルを用いた
対数変換後に、分析された。(A-Cの)差のLS平均及びSEから、A及びBのlog
の差に対して、90%CIが構成された。元のスケールに戻すために、前記CIの上限と
下限に対して、指数変換が適用された。これにより、製剤A対製剤CのLS平均の比に対
する推定値及び90%CIが算出された。また、ウィルコクソンの符号付き検定を用い、
製剤間で、tmaxが比較された。製剤Bを製剤Cと比較するために、同一のモデルが用い
られた。
【0151】
結果
患者の内訳(Disposition)
患者の内訳が、表16に示された。
【0152】
【表16】
【0153】
薬力学の結果
表17は、カプセル対チュアブル錠剤と、開放カプセル対チュアブル錠剤とを比較する
3日間の尿中リン酸塩排泄量の平均の薬力学分析の結果を示す。薬力学的な同等性を結論
付けるためには、前記90%CIが臨界基準範囲内に含まれなければならない。
【0154】
【表17】
【0155】
平均(mean average)尿中リン酸塩排泄量は、カプセル治療では26.1
0mmolのベースラインから19.18mmolまで減少し、チュアブル錠剤治療では
26.37mmolのベースラインから16.39mmolまで減少した。前記差の90
%CIは前記臨界基準範囲内に完全には含まれておらず、よって炭酸ランタンカプセルと
ホスレノール(登録商標)チュアブル錠剤との薬力学的同等性を主張できなかった。
【0156】
これに対して、炭酸ランタン開放カプセルは、ホスレノール(登録商標)チュアブル錠
剤と薬力学的に同等であることが示された。平均尿中リン酸塩排泄量は、開放カプセル治
療では26.22mmolのベースラインから15.34mmolに減少し、チュアブル
錠剤治療では26.37mmolのベースラインから16.39mmolに減少した。前
記差の90%CIは、完全に前記臨界基準範囲内に含まれた。
【0157】
表18は、カプセル対チュアブル錠剤と、開放カプセル対チュアブル錠剤を比較する第
4日目の尿中リン酸塩排泄量の薬力学分析である。また、対照製剤CのLS平均の±20
%を表す基準範囲が構成された。
【0158】
【表18】
【0159】
第4日目の尿中リン酸塩排泄量の結果は3日間の平均尿中リン酸塩排泄量の結果と一致
しており、前記差の90%信頼区間はカプセルの前記臨界基準範囲内に完全に含まれてい
なかったが、開放カプセルのこの範囲内には完全に含まれていた。
【0160】
薬物動態の結果
図11は、投与計画A(2×500mgカプセル)、投与計画B(2×500mg開放
カプセル)又は投与計画C(2×500mgチュアブル錠剤)として、炭酸ランタンの1
日3回(tid)の複数回投与の経口投与後の第4日目のランタンの平均血漿中濃度をグ
ラフ表示で表す。表19は、ランタンの前記血漿中濃度についてのPKパラメーターをま
とめる。表20は、前記炭酸ランタンカプセル(製剤A)と前記炭酸ランタンチュアブル
錠剤(製剤C)を比較する血漿中ランタン生物学的利用能パラメーターの分析である。表
21は、前記炭酸ランタンの開放カプセル(製剤B)と前記炭酸ランタンチュアブル錠剤
(製剤C)を比較する血漿中ランタン生物学的利用能パラメーターの分析である。
【0161】
【表19】
【0162】
前記AUC0-tは、AUC0-48(全製剤の投与後48時間まで、全患者で定量可能な血
漿中ランタン)と同一であったため、報告されなかった。
【0163】
【表20】
【0164】
前記AUC0-tはAUC0-48(全製剤の投与後48時間まで、全患者で定量可能な血漿
中ランタン)と同一であったため、報告されなかった。
【0165】
【表21】
【0166】
前記AUC0-tはAUC0-48(全製剤の投与後48時間まで、全患者で定量可能な血漿
中ランタン)と同一であったため、報告されなかった。
【0167】
ランタンへの全身曝露は、AUC0-48及びCmaxについての平均比率(A:C)に基づ
いて、チュアブル錠剤と比較して、カプセルでは平均で約25%低かった。しかし、同一
の根拠で、開放カプセルはチュアブル錠剤と類似のランタン全身曝露を提供することが確
認された。
【0168】
安全性の結果
死亡又は他の重篤な有害事象(SAEs)はなかった。2名の患者は有害事象(AE)
のために研究が中止され、そのうち1名は治療中に(アレルギー性皮膚炎が)発現した。
治療により発現した有害事象(TEAEs)の発現率は、カプセル製剤(6名の患者、6
.5%)及び開放カプセル製剤(8名の患者、8.5%)と比較して、炭酸ランタンチュ
アブル錠剤(13名の患者、13.8%)の投与後にわずかに高くなった。最も一般的な
TEAE(治療中に発現した有害事象)は、悪心及び頭痛(どちらも7名の患者、全体の
7.3%)及び便秘(6名の患者、全体の6.3%)であった。
【0169】
表22は、胃腸(GI)治療中に発現した有害事象の安全性解析対象集団(safet
y set)のまとめである。
【0170】
【表22】
【0171】
まとめと結論
炭酸ランタンカプセルは、炭酸ランタンチュアブル錠剤と薬力学的に同等ではないこと
がわかった。しかし、炭酸ランタン開放カプセルは、炭酸ランタンチュアブル錠剤と薬力
学的に同等であることがわかった。
【0172】
AUC0-48及びCmaxの統計分析に基づき、カプセルの血漿中ランタン濃度は、チュア
ブル錠剤の血漿中ランタン濃度と比較して、約25%低かったが、開放カプセルとチュア
ブル錠剤では血漿中ランタン濃度は同様であった。また、カプセルからのランタンの吸収
率は、チュアブル錠剤製剤からのランタンの吸収率と比較して、より低く、チュアブル錠
剤の中央値tmaxと同じ中央値tmaxでのカプセルのより低いCmax値の到達に基づく。全
体として、(完全な及び開放された)炭酸ランタンカプセル及び炭酸ランタンチュアブル
錠剤は、良好な忍容性を示した。評価されたいずれの安全性パラメーターのグループ間で
も、臨床的に適切な差はなかった。
【実施例0173】
健康な成人患者に投与された炭酸ランタン顆粒*製剤及び炭酸ランタンチュアブル錠剤
についての尿中リン酸塩排泄量及び血漿中ランタン薬物動態を比較する第1相薬力学的同
等性試験
*後に、経口用粉末として知られる
【0174】
目的:第1
食直後に、アップルソースと共に1日3回1000mgとして投与された炭酸ランタン
顆粒製剤(製剤A)及び炭酸ランタンチュアブル錠剤(製剤B)の投与後3日間にわたる
平均的な1日の尿中リン酸塩排泄量を比較するため。
【0175】
目的:第2
(1)炭酸ランタン顆粒製剤(製剤A)及び炭酸ランタンチュアブル錠剤(製剤B)の投
与3日後の第4日目の尿中リン酸塩排泄量を比較するため。
(2)炭酸ランタン顆粒製剤(製剤A)及び炭酸ランタンチュアブル錠剤(製剤B)の安
全性及び忍容性を評価するため。
(3)炭酸ランタン顆粒製剤(製剤A)及び炭酸ランタンチュアブル錠剤(製剤B)のラ
ンタン薬物動態プロフィルを比較するため。
【0176】
試験デザイン
単一の試験センターで、(承諾時、18歳~55歳の)男性及び女性の健常者で、無作
為化、非盲検、2期間、クロスオーバー試験が実施された。各患者に対して、スクリーニ
ング期間の後に、2回の投与期間が続いた。各試験期間に、無作為化に従って、患者は顆
粒製剤A又は対照チュアブル錠剤製剤Bが投与された。投与期間の間に、少なくとも14
日間のウォッシュアウト期間があった。
【0177】
製剤A(68.14重量%炭酸ランタン四水和物、30.56重量%デキストレート(
水和物)、1.0重量%コロイド状二酸化ケイ素及び0.3重量%ステアリン酸マグネシ
ウムを含む、バッチナンバー:807012)について、患者は、3日間1日3回食事後
に、1袋の炭酸ランタン顆粒小袋(1000mg/投与)を投与され、続いて第4日目の
朝食直後に、1袋の顆粒小袋(1000mg)を投与された。各投与は、大さじ1杯のア
ップルソース上に散布され、投与された。
【0178】
製剤B(実施例13の製剤Cと同一のパーセンテージの成分を含有するシャイア(ウェ
ーン,ペンシルベニア州)からホスレノール(登録商標)として入手可能な炭酸ランタン
、バッチナンバー:A38683B)について、患者は、3日間1日3回、食事後に、1
錠のホスレノール(登録商標)のチュアブル錠剤(1×1000mg/錠剤)を投与され
、続いて第4日目の朝食直後に、単回投与された。患者は、1錠のチュアブル錠剤を投与
された後、すぐに、大さじ1杯のアップルソースが投与された。
【0179】
試験を完了するのに最小で46人の患者を確保するために、十分な患者が無作為化され
た。
【0180】
評価の基準
第-2日目から第-1日目、第-1日目から第1日目、第1日目から第2日目、第2日
目から第3日目及び第3日目から第4日目のように、24時間の期間にわたり尿が採取さ
れた。各採取が朝食前の30分以内に開始され、24時間後に終了した。尿中リン酸塩排
泄量分析は、この試験の薬力学的同等性の決定のための第1の評価であった。
【0181】
第2の評価として、第1日目、第2日目、第3日目及び第4日目の投与前(朝食の開始
前30分以内)及び第4日目の最後の朝の投与後3時間、4時間、5時間、6時間、8時
間、12時間、18時間、24時間、36時間及び48時間のランタンの血漿中濃度の誘
導結合プラズマ質量分析計による測定後に、薬物動態の評価が実施された。
【0182】
統計的方法:薬力学
安全性集団に含まれた患者は炭酸ランタンを少なくとも1回投与され、少なくとも1回
の投与後の安全性を評価された。薬力学的集団は、大幅な治験実施計画書からの逸脱を有
さない安全性集団の全ての評価可能な患者を含み、全ての治療期間で、全ての尿採取を完
了し、少なくとも95%の食物を摂取した安全性集団の全ての患者を含む。投与期間の第
-2日目から第4日目の間に嘔吐した患者は、除外された。
【0183】
第1の薬力学変数は、各投与期間の3日間の平均的な1日の尿中リン酸塩排泄量であっ
た。前記変数は、治療順序、投与期間及び製剤に対する母数効果と、順序グループ内患者
に対する変量効果と、共変量としての期間ベースラインとを用いた混合効果線形モデルに
よる変換を行わずに、評価された。ベースライン測定は、各期間の第-1日目及び第1日
目の全尿中リン酸塩排泄量の平均であった。混合効果線形モデルに基づき、標準90%信
頼区間(CI)は、試験製剤A(顆粒)と対照製剤B(チュアブル錠剤)の第1の薬力学
変数の最小二乗(LS)平均での差について構成された。また、対照製剤BのLS平均の
±20%(すなわち、±LS最小二乗平均*20%)を表す基準範囲が、構成された。差
(A-B)に対する前記90%CIが前記基準範囲内に完全に含まれる場合は、薬力学的
同等性が主張された。
【0184】
定量化できない尿中濃度を提供する患者は、定量化できない値をアッセイの検出限界の
下限の半値である1.5に設定することにより前記薬力学解析対象集団に含まれた。
【0185】
第2の薬力学変数は、順序グループ、期間及び製剤に対する母数効果と、順序グループ
内患者に対する変量効果と、共変量としての期間ベースラインとを用いた混合効果線形モ
デルにより評価された。混合効果線形モデルを基に、標準90%CIは、試験製剤Aと対
照製剤Bの第2の薬力学変数のLS平均での差について構成された。また、対照製剤Bの
LS平均の±20%を表す基準範囲が構成された。
【0186】
尿中リン酸塩排泄量及びベースラインからの変更は、記述統計学(観察の数[n]、平
均、標準誤差[SE]、変動係数[CV%]、中央値、最小値及び最大値)を用いたフォ
ーメーション(formulation)によりまとめられた。
【0187】
統計的方法:薬物動態
薬物動態的集団は炭酸ランタンの摂取に関する大幅な逸脱を有さない安全性集団の患者
を含み、全治療期間で、第4日目の投与後のCmax及びAUC0-48を評価するため
に採取された十分な投与後の血液試料を有する安全性集団の全ての患者を含む。投与と投
与期間の第4日目の投与後10時間の間に嘔吐した患者は、前記薬物動態的集団から除去
された。
【0188】
PK分析は、Cmaxと、tmaxと、AUC0-tと、AUC0-48と、λzと、t1/2とを含み
、ここで、これらの用語の意味は実施例13の意味と同一である。記述統計学(患者の数
、平均、標準偏差(SD)、CV%、幾何平均、中央値、最大値及び最小限)が、ランタ
ンの薬物動態パラメーターについて決定された。ランタンの薬物動態パラメーターCmax
、AUC0-48及びAUC0-tが、標準混合効果線形モデルを用いた対数変換後に、分析さ
れた。差(A-B)のLS平均及びSEから、A及びBのlogの差に対して、90%C
Iが構成された。元のスケールに戻すために、前記CIの下限と上限に対して、指数変換
が適用された。これにより、製剤A対製剤BのLS平均の比に対する推定値及び90%C
Iが算出された。また、ウィルコクソンの符号付き検定を用い、製剤間で、tmaxが比較
された。
【0189】
結果
患者の内訳
患者の内訳が、表23に表された。
【0190】
【表23】
【0191】
薬力学の結果
表24は、顆粒とチュアブル錠剤を比較する尿中リン酸塩排泄量の3日間の平均の薬力
学分析の結果を示す。
【0192】
【表24】
【0193】
3日間の平均尿中リン酸塩排泄量の第1の分析は、炭酸ランタン顆粒がホスレノール(
登録商標)チュアブル錠剤と薬力学的に同等であることを実証した。平均(mean a
verage)尿中リン酸塩排泄量は、顆粒治療では30.63mmolのベースライン
から15.28mmolまで減少し、チュアブル錠剤治療では29.43mmolのベー
スラインから16.57mmolまで減少した。前記差の90%CIは、前記臨界基準範
囲内に完全に含まれた。
【0194】
表25は、顆粒とチュアブル錠剤を比較する第4日目尿中リン酸塩排泄量の薬力学分析
である。
【0195】
【表25】
【0196】
第4日目の尿中リン酸塩排泄量の第2の分析は、第1の分析の結果を裏付けた。平均(
mean average)尿中リン酸塩排泄量は、顆粒治療では30.63mmolの
ベースラインから14.49mmolまで減少し、チュアブル錠剤治療では29.43m
molのベースラインから15.86mmolまで減少した。この場合も先と同様に、前
記差の90%CIは、前記臨界基準範囲内に完全に含まれた。
【0197】
薬物動態の結果
図12は、投与計画A(1000mg顆粒)又は投与計画B(1000mgチュアブル
錠剤)として、炭酸ランタンの1日3回(tid)の複数回投与の経口投与後の第4日目
のランタンの平均血漿中濃度をグラフ表示で表す。表26は、ランタンのこれらの血漿中
濃度についてのPKパラメーターをまとめる。表27は、前記炭酸ランタン顆粒(製剤A
)と前記炭酸ランタンチュアブル錠剤(製剤B)を比較する血漿中ランタン生物学的利用
能パラメーターの分析である。
【0198】
炭酸ランタン顆粒及び炭酸ランタンチュアブル錠剤の最終投与後のランタンの薬物動態
パラメーター及び関連した統計分析が、表26及び表27にそれぞれ表される。
【0199】
【表26】
【0200】
【表27】
【0201】
顆粒のランタンの全身曝露は、チュアブル錠剤のランタンの全身曝露と比較して、AU
0-48及びCmaxについての比(A:B)に基づいて、約30%より高くなり、より変動
が大きくなった。
【0202】
安全性の結果
死亡又は他の重篤な有害事象(SAEs)はなかった。1名の患者は治療中に発現した
有害事象(TEAEs)が発生し、中止につながった(腹部膨満及び嘔吐)。前記有害事
象は、研究医薬とは無関係であることが治験責任医師によって判断された。
【0203】
TEAEの発現率はチュアブル錠剤の投与後(14名の患者、23.0%)と比較して
、顆粒製剤の投与後により高かった(23名の患者、32.4%)。TEAEの発現率に
関してグループ間での差は胃腸疾患(顆粒製剤では13名の患者、18.3%及びチュア
ブル錠剤4名の患者、6.6%)に主として起因し、前記胃腸疾患はTEAEと最も一般
的に付随する器官別大分類に含まれる。表28は、胃腸(GI)治療中に発現した有害事
象の安全性解析対象集団のまとめである。
【0204】
【表28】
【0205】
最も一般的なTEAEは、悪心(顆粒製剤では6名の患者、8.5%及びチュアブル錠
剤では3名の患者、4.9%)及び頭痛(顆粒製剤では4名の患者、5.6%及びチュア
ブル錠剤では3名の患者、4.9%)であった。チュアブル錠剤(8名の患者、13.1
%)と比較して、顆粒グループ(14名の患者、19.7%)では治療に関連すると治験
責任医師によって判断されたTEAEの発現率はわずかにより高かった。最も多いTEA
Eは軽度及び一過性であり、重篤なTEAEを発現した患者はいなかった。
【0206】
臨床検査、身体検査、バイタルサイン又は12誘導心電図所見で、臨床的に関連した研
究結果はなかった。
【0207】
まとめと結論
炭酸ランタン顆粒は、ホスレノール(登録商標)チュアブル錠剤と薬力学的に同等であ
ることがわかった。
【0208】
(AUC0-48及びCmaxに基づき、)ランタンへの全身曝露は、炭酸ランタンチュアブ
ル錠剤の投与後と比較して、炭酸ランタン顆粒の投与後に、約30%高く、より変動が大
きかった。また、顆粒製剤からのランタンの吸収率は、チュアブル錠剤からの吸収率と比
較して、より大きく、チュアブル錠剤の中央値tmaxと同じ中央値tmaxでの顆粒のより高
いCmax値の到達に基づく。
【0209】
ランタンの薬物動態の変動性、毒性、蓄積及び排出に関して既知の事実に基づき、顆粒
の投与後のAUC0-48及びCmaxでの、この約30%の増加は、チュアブル錠剤と比較し
て、何らかの臨床的関連を有することか、又は炭酸ランタン顆粒製剤の全体のリスクプロ
フィルを変更することを予期できない。
【0210】
全体として、両方の炭酸ランタン製剤は、良好な忍容性を示した。消化管事象の発現率
に関して治療グループ間でのわずかな差は、十分にホスレノール(登録商標)第1相プロ
グラムで見られた変動の範囲内であり、臨床的関連がある可能性は低い。
【実施例0211】
粉末内に、炭酸ランタンとして、500mg又は1000mgの元素ランタンを含む棒
状パックの製造
この実施例は、カプセルの代わりに棒状パック内に充填されたカプセル内容物の充填能
(fill ability)を示す。前記粉末カプセル内容物は、炭酸ランタンとして
500mg及び1000mgの元素ランタンに相当する2種類の充填重量で包装された。
【0212】
最終顆粒の製造
110kgのバッチサイズで、粉末の製造方法が実施された。表29は、成分の処方及
びバッチナンバーを示す。
【0213】
【表29】
【0214】
成分が秤量され、1mmの手篩で篩過された。炭酸ランタン、デキストレート及びクロ
スポビドンが、(サーボリフト(Servolift)(登録商標)(ホワートン,ニュ
ージャージー州)から入手可能な)タンブルブレンダーで6rpmで40分間混合された
。その後、コロイド状二酸化ケイ素及びタルクが添加され、さらに5分間6rpmで混合
された。最終混合物がローラー圧縮機で圧縮され、顆粒は1.25mm篩を用いて粉砕さ
れた。粉末は、サーボリフト(登録商標)タンブルブレンダーで、6rpmで5分間混合
された。
【0215】
処理パラメーターが、表30に記載される。
【0216】
【表30】
【0217】
粉末の試料が、粒径のサイズ分布及び密度の測定のために採取された。結果を表31に
記載する。
【0218】
【表31】
【0219】
棒状パック充填試験
炭酸ランタンとして500mg及び1000mgのランタンに相当する2種類の充填重
量で、粉末が棒状パック内に充填された。有効性成分含量(dosage streng
th)当たり10,000個の棒状パックが、表32に示されるように充填された。
【0220】
【表32】
【0221】
棒状パック充填について、印刷されていないラミネート箔が使用された。
【0222】
包装プロセスが、表33に記載された設定パラメーターを用いて、(メルツ(リッヒ,
ドイツ)から入手可能な)棒状パック ライン メルツSB51-1で実施された。
【0223】
【表33】
【0224】
棒状パック充填プロセスを監視するために、包装中の100%秤量検査(100% c
heck weighing)及びプロセスの試験が実施された。プロセスの制御試験の
結果を表34及び表35に記載する。
【0225】
【表34】
【0226】
【表35】
【0227】
棒状パック充填プロセス実行は、何ら問題なく非常に安定した。1,100mgのより
少ない充填重量によって生じる500mgの有効性成分含量の包装の際、廃棄物及び重量
変動は、より高かった。10,000個の棒状パックより大きなバッチサイズでは、包装
ラインの設定の際に、主に生じる廃棄物のパーセンテージは、有意に少なくなるであろう
。1000mgの有効性成分含量に対する2,200mgの充填重量は充填又は密封の問
題が生じなかったので、70×23mmの棒状パックサイズは2種類の有効性成分含量に
対して適当であると考えられる。
【0228】
最終棒状パックの分析試験
棒状パックの最終試験が、表36に記載された試験及び仕様に従って実施された。分析
結果が、表36及び表37に記載された。結果は全て、現行の仕様に適合する。
【0229】
【表36】
【0230】
【表37】
【0231】
まとめ
炭酸ランタン粉末製剤の棒状パック充填は、成功した。70×23mmの棒状パックサ
イズは、炭酸ランタンとして500mg-1000mgの元素ランタンに相当する1,1
00-2,200mgの範囲の粉末を充填するのに適当である。
【0232】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施態様により範囲を制限されるものではない
。実際、本明細書に記載された実施態様に加えて本発明の様々の修正が、上述の説明から
当業者には明らかであろう。このような修正は、添付される特許請求の範囲の範囲内であ
ることが意図される。
【0233】
すべての特許と、公開された特許出願と、公開された科学論文と科学書とを含む本明細
書で引用された全ての参考文献は、あらゆる目的で、全体として引用により取り込まれる
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12