(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028803
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】向上した電荷捕獲効率を有する高抵抗率シリコンオンインシュレータ基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20220208BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20220208BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220208BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/20
H01L21/02 B
H01L21/205
C30B29/06 C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186229
(22)【出願日】2021-11-16
(62)【分割の表示】P 2020153957の分割
【原出願日】2017-10-09
(31)【優先権主張番号】62/412,937
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100212587
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ガン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エル・リバート
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ジョージ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リウ・チンミン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単結晶半導体ハンドル基板の前面上にエピタキシャル層を堆積する多層基板を準備する方法を提供する。
【解決手段】単結晶半導体ハンドルウェハ100と、単結晶半導体ハンドルウェハと界面接触するエピタキシャル層200とは、反対の型の電気活性ドーパントを備える。エピタキシャル層は、単結晶半導体ハンドルウェハのフリーキャリアによって使い果たされ、それによって高い見かけ上の抵抗率をもたらし、RF装置の構造の機能を改善する。
【選択図】
図3E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板を準備する方法であって、方法は、
エピタキシャルに、単結晶半導体ハンドル基板の前面上にエピタキシャル層を堆積するステップであって、前記単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、前記単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、前記単結晶半導体ハンドル基板は、少なくとも約500Ωcmの最小バルク領域抵抗率を有し、前記エピタキシャル層は、約100Ωcmから約5000Ωcmの間の抵抗率を有する、エピタキシャル層を堆積するステップと、
前記エピタキシャル層上に電荷捕獲層を堆積するステップであって、電荷捕獲層は、少なくとも約3000Ωcmの抵抗率を有する多結晶シリコンを備える、電荷捕獲層を堆積するステップと、
単結晶半導体ドナー基板の前面上の誘電体層を前記電荷捕獲層と接合し、それにより接合構造を形成するステップであって、前記単結晶半導体ドナー基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、前記半導体ドナー基板の前面であり、他方は、前記半導体ドナー基板の裏面である表面と、前記半導体ドナー基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、前記半導体ドナー基板の前面と裏面の間の中央平面とを備える、接合構造を形成するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、単結晶シリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶シリコンインゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単結晶半導体ドナー基板は、単結晶シリコンを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記単結晶半導体ドナー基板は、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶シリコンインゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約500Ωcmから約100000Ωcmのバルク抵抗率を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約1000Ωcmから約100000Ωcmのバルク抵抗率を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約1000Ωcmから6000Ωcmのバルク抵抗率を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性ドーパントを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記エピタキシャル層は、約200Ωcmから約2000Ωcmの抵抗率を有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記エピタキシャル層は、約400Ωcmから約1000Ωcmの抵抗率を有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記エピタキシャル層は、シリコンを含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記エピタキシャル層は、シリコンと、ヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性ドーパントと、を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
シリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.2μmから約20μmの厚さである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
シリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.5μmから約10μmの厚さである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記エピタキシャル層は、約0.1モル%から約5モル%の炭素濃度の炭素がドープされたシリコンを含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記エピタキシャル層は、約0.5モル%から約2モル%の炭素濃度の炭素がドープされたシリコンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
炭素がドープされたシリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.1μmから約10μmの厚さである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電荷捕獲層は、少なくとも約7000Ωcmの抵抗率を有する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記単結晶半導体ドナー基板の前面の前記誘電体層に接合する前に、前記電荷捕獲層上に絶縁層を形成するステップであって、前記絶縁層は、半導体酸化物または半導体酸窒化物を含む、絶縁層を形成するステップを備える、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記絶縁層は、約2000Åから約10000Åの厚さを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された材料を含む、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記誘電体層は、少なくとも約10nmの厚さ、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、または約100nmから約400nmなどの厚さを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
さらに、前記単結晶半導体ドナー基板の前記誘電体層と前記単結晶半導体ハンドル基板の前面の前記電荷捕獲層との間の接合を強化するために、十分な温度と期間で接合構造を加熱するステップを備える、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記単結晶半導体ドナー基板は、劈開面を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
さらに、前記単結晶半導体ドナー基板の劈開面において接合構造を機械的に劈開し、それにより前記単結晶半導体ハンドル基板、前記エピタキシャル層、前記電荷捕獲層、前記誘電体層、及び単結晶半導体装置層を備える劈開構造を準備するステップを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
多層基板を準備する方法であって、方法は、
エピタキシャルに、単結晶半導体ハンドル基板の前面上にエピタキシャル層を堆積するステップであって、前記単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、前記単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、前記単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性p型ドーパントを含み、前記エピタキシャル層は、ヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含み、前記電気活性n型ドーパントの濃度は、1×1014atoms/cm3未満である、エピタキシャル層を堆積するステップと、
前記エピタキシャル層上に電荷捕獲層を堆積するステップであって、前記電荷捕獲層は、多結晶シリコンを含む、電荷捕獲層を堆積するステップと、
前記単結晶半導体ドナー基板の前面上の誘電体層を前記電荷捕獲層に接合し、それによって接合構造を形成するステップであって、前記単結晶半導体ドナー基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、前記半導体ドナー基板の前面であり、他方は、前記半導体ドナー基板の裏面である表面と、前記半導体ドナー基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、前記半導体ドナー基板の前面と裏面の間の中央平面とを備える、接合構造を形成するステップと、
を備える方法。
【請求項28】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、単結晶シリコンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶シリコンインゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記単結晶半導体ドナー基板は、単結晶シリコンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記単結晶半導体ドナー基板は、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶シリコンインゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約2×1013atoms/cm3未満の濃度の前記電気活性p型ドーパントを含む、請求項27乃至31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約1×1013atoms/cm3未満の濃度の前記電気活性p型ドーパントを含む、請求項27乃至31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約5×1012atoms/cm3未満の濃度の前記電気活性p型ドーパントを含む、請求項27乃至31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記エピタキシャル層の前記電気活性n型ドーパントの濃度は、約1×1013atoms/cm3未満である、請求項27乃至34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記エピタキシャル層の前記電気活性n型ドーパントの濃度は、約5×1012atoms/cm3未満である、請求項27乃至34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記エピタキシャル層は、シリコンを含む、請求項27乃至36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
シリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.2μmから約20μmの厚さである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
シリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.5μmから約10μmの厚さである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記エピタキシャル層は、約0.1モル%から約5モル%の炭素濃度の炭素がドープされたシリコンを含む、請求項27乃至36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記エピタキシャル層は、約0.5モル%から約2モル%の炭素濃度の炭素がドープされたシリコンを含む、請求項27乃至36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記電荷捕獲層は、少なくとも約3000Ωcmの抵抗率を有する、請求項27乃至41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記電荷捕獲層は、少なくとも約7000Ωcmの抵抗率を有する、請求項27乃至41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
さらに、前記単結晶半導体ドナー基板の前面の前記誘電体層に接合する前に、前記電荷捕獲層上に絶縁層を形成するステップであって、前記絶縁層は、半導体酸化物または半導体酸窒化物を含む、絶縁層を形成するステップを備える、請求項27乃至43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記絶縁層は、約2000Åから約10000Åの厚さを有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された材料を含む、請求項27乃至45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記誘電体層は、少なくとも約10nmの厚さ、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、または約100nmから約400nmなどの厚さを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
さらに、前記単結晶半導体ドナー基板の前記誘電体層と前記単結晶半導体ハンドル基板の前面の前記電荷捕獲層との接合を強化するために、十分な温度と期間で接合構造を加熱するステップを備える、請求項27乃至47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記単結晶半導体ドナー基板は、劈開面を備える、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
さらに、前記単結晶半導体ドナー基板の劈開面において接合構造を機械的に劈開し、それにより前記単結晶半導体ハンドル基板、前記エピタキシャル層、前記電荷捕獲層、前記誘電体層、及び単結晶半導体装置層を備える劈開構造を準備するステップを備える、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
単結晶半導体ハンドル基板であって、前記単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、前記単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、前記単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性p型ドーパントを含む、単結晶半導体ハンドル基板と、
前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と界面接触するエピタキシャル層であって、前記エピタキシャル層は、ヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含み、前記電気活性n型ドーパントの濃度は、1×1014atoms/cm3未満である、エピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層と界面接触する電荷捕獲層であって、前記電荷捕獲層は、多結晶シリコンを含む、電荷捕獲層と、
前記電荷捕獲層と界面接触する誘電体層と、
前記誘電体層と界面接触する単結晶半導体装置層と、を備える多層構造。
【請求項52】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、単結晶シリコンを含む、請求項51に記載の多層構造。
【請求項53】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶シリコンインゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える、請求項51に記載の多層構造。
【請求項54】
前記単結晶半導体ドナー基板は、単結晶シリコンを含む、請求項51に記載の多層構造。
【請求項55】
前記単結晶半導体ドナー基板は、チョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶シリコンインゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える、請求項51に記載の多層構造。
【請求項56】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約2×1013atoms/cm3未満の濃度の前記電気活性p型ドーパントを含む、請求項51乃至55のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項57】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約1×1013atoms/cm3未満の濃度の前記電気活性p型ドーパントを含む、請求項51乃至55のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項58】
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約5×1012atoms/cm3未満の濃度の前記電気活性p型ドーパントを含む、請求項51乃至55のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項59】
前記エピタキシャル層の前記電気活性n型ドーパントの濃度は、約1×1013atoms/cm3未満である、請求項51乃至58のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項60】
前記エピタキシャル層の前記電気活性n型ドーパントの濃度は、約5×1012atoms/cm3未満である、請求項51乃至58のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項61】
前記エピタキシャル層は、シリコンを含む、請求項51乃至60のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項62】
シリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.2μmから約20μmの厚さである、請求項61に記載の多層構造。
【請求項63】
シリコンを含む前記エピタキシャル層は、約0.5μmから約10μmの厚さである、請求項61に記載の多層構造。
【請求項64】
前記エピタキシャル層は、約0.1モル%から約5モル%の炭素濃度の炭素がドープされたシリコンを含む、請求項51乃至60のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項65】
前記エピタキシャル層は、約0.5モル%から約2モル%の炭素濃度の炭素がドープされたシリコンを含む、請求項51乃至60のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項66】
前記電荷捕獲層は、少なくとも約3000Ωcmの抵抗率を有する、請求項51乃至65のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項67】
前記電荷捕獲層は、少なくとも約7000Ωcmの抵抗率を有する、請求項51乃至65のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項68】
前記誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された材料を含む、請求項51乃至67のいずれか1項に記載の多層構造。
【請求項69】
前記誘電体層は、少なくとも約10nmの厚さ、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、または約100nmから約400nmなどの厚さを有する、請求項51乃至68のいずれか1項に記載の多層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月26日に出願された米国仮特許出願62/412,937の優先権を主張し、その開示を本明細書で援用する。
【0002】
半導体ウェハは、続く手順でウェハの適切な配向のための1つ以上のフラットまたはノッチを有するようにトリミングされ、研磨されている単結晶シリコンインゴット(例えばシリコンインゴット)から一般的に準備される。インゴットは、その後個々のウェハにスライスされる。本明細書では、シリコンから構成される半導体ウェハを参照するが、他の材料が、例えばゲルマニウム、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、及び例えば、窒化ガリウム、リン化インジウムなどの3族及び5族元素のその他の合金、または例えば硫化カドミウムまたは酸化亜鉛などの2族及び6族元素の合金の、半導体ウェハを準備するために用いられることができる。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)は、複合層構造の準備で利用されることができる。複合層構造(例えば、セミコンダクタオンインシュレータ(Semiconductor-on-insulator)、及びさらに特には、シリコンオンインシュレータ(Silicon-on-insulator)(SOI)構造)は、一般的にハンドルウェハまたは層、装置層、及びハンドル層と装置層の間の絶縁(すなわち誘電)膜(典型的に酸化物層)を備える。一般に、装置層は、0.01から20μmの厚さ、例えば0.05から20μm厚さなどである。厚膜装置層は、約1.5μmから約20μmの間の装置層厚さを有する。薄膜装置層は、約0.01μmから0.20μmの間の厚さを有する。一般に、例えばシリコンオンインシュレータ((Silicon-on-insulator)SOI)、シリコンオンサファイア((silicon-on-sapphire)SOS)、及びシリコンオンクォーツ(Silicon-on-quartz)などの、複合層構造は、2つのウェハを密着させ、それによってファンデルワールス力により初期接合し、その後接合を強化するための熱処理が続いて生産される。アニールは、2つの界面の間の末端シラノール基をシロキサン接合に変換し、それによって接合を強化する。
【0004】
熱アニールの後、接合構造は、さらに層転置を達成するために、ドナーウェハのかなりの部分を取り除くためのプロセスを受ける。例えば、エッチングまたは研削などのウェハ薄化技術が使われ、しばしば、シリコンウェハがハンドルウェハに結合され、その後、ハンドルウェハのシリコンの薄層のみが残るまで、ゆっくりエッチングされる、バックエッチSOI(すなわちBESOI)といわれる。米国特許第5,189,500を参照して、その開示のすべてを本明細書に援用する。この方法は、時間がかかり、コストが高く、基板の1つを廃棄し、一般に数ミクロンより薄い層で均一に適切な厚さを有さない。
【0005】
層転置を達成する別の共通な方法は、水素注入に続いて熱誘導層分離を利用する。粒子(原子またはイオン化された原子、例えば水素原子または水素とヘリウム原子の組み合わせ)が、ドナーウェハの前面の下の特定の深さにおいて注入される。注入された粒子は、それらが注入された特定の深さにドナーウェハの劈開面を形成する。ドナーウェハの表面は、有機化合物、または注入プロセスの間でウェハに堆積される例えばボロン化合物などの他の汚染物を取り除くために洗浄される。
【0006】
ドナーウェハの前面は、親水結合プロセスによって接合ウェハを形成するためにハンドルウェハに接合される。接合の前に、ドナーウェハ及び/またはハンドルウェハは、ウェハの表面を例えば酸素または窒素などを含有するプラズマに曝されることによって活性化される。プラズマへの曝露は、しばしば表面活性と言われるプロセスで表面構造を改質し、活性化プロセスがドナーウェハとハンドルウェハの一方または両方の表面を親水性にする。ウェハの表面は、さらに例えばSC1洗浄またはフッ化水素酸などのウェット処理によって、化学的に活性化されることができる。ウェット処理とプラズマ活性化は、それぞれ順番になされる、またはウェハは、1つの処理のみを受ける。ウェハは、その後一緒に押圧され、接合はそれらの間に形成される。この接合は、ファンデルワールス力により比較的弱く、さらなるプロセスが発生する前に強化されなければならない。
【0007】
いくつかのプロセスにおいて、ドナーウェハとハンドルウェハ(すなわち接合ウェハ)の間の親水接合は、接合ウェハの組を加熱するまたはアニールすることによって強化される。いくつかのプロセスにおいて、ウェハ接合は、例えば約300℃から500℃など低温で起こる。いくつかのプロセスにおいて、ウェハ接合は、例えば約800℃から1100℃など高温で起こる。高温は、ドナーウェハとハンドルウェハの隣接表面の間の共有結合の形成を引き起こし、それゆえ、ドナーウェハとハンドルウェハの接合を固める。同時に、接合ウェハの加熱とアニールによって、ドナーウェハにはじめに注入された粒子は、劈開面を弱める。
【0008】
ドナーウェハの一部は、その後SOIウェハを形成するために接合ウェハから劈開面に沿って分離(すなわち劈開)される。劈開は、接合ウェハから離れるドナーウェハの一部を引っ張るために、接合ウェハの反対側に垂直に機械的な力が与えられる固定具に接合ウェハを設置することによって実行される。いくつかの方法によると、吸引カップが機械的な力を与えるために利用される。ドナーウェハの一部の分離は、劈開面に沿ってクラックの伝播を始めるために、劈開面における接合ウェハの端部において、機械的なくさびを適用することによって始められる。吸引カップによって与えられた機械的な力は、その後接合ウェハからドナーウェハの一部を引っ張り、それゆえSOIウェハを形成する。
【0009】
他の方法によると、接合された組は、代わりに接合ウェハからドナーウェハの一部を分離するために、期間を通して高温を受ける。高温への曝露は、劈開面に沿ったクラックの開始と伝播を引き起こし、それゆえ、ドナーウェハの一部を分離する。クラックは、注入イオンから空孔の形成によって形成し、オストワルド熟成によって成長する。空孔は、水素とヘリウムで満たされる。空孔はプレートレットになる。プレートレットで加圧ガスは、微小空洞及び微小クラックを伝播し、注入面のシリコンを弱める。アニールが適切な時間で止められたならば、弱められた接合ウェハは、機械的なプロセスで劈開される。しかしながら、熱処理が長い期間及び/または高温で続けられるならば、微小クラックの伝播は、全てのクラックが劈開面に沿って合わさるレベルに到達し、それゆえ、ドナーウェハの一部を分離する。この方法は、転置層をよりよい均一にでき、ドナーウェハのリサイクルができ、典型的に、500℃に達する温度へ注入及び接合の組を加熱する必要がある。
【0010】
例えばアンテナスイッチなどの装置に関連するRFの高抵抗セミコンダクタオンインシュレータ(例えばシリコンオンインシュレータ)ウェハの使用は、コストと集積化に関して従来の基板を超える利益を提供する。高周波用途の伝導基板を使うとき、寄生電力損失を減らし、高調波歪みを最小化するために、十分ではないが、高抵抗率基板ウェハを使うために必要である。したがって、RF装置のハンドルウェハの抵抗率は、一般的に約500Ωcmより大きい。これから
図1を参照して、シリコンオンインシュレータ構造2は、非常に高い抵抗率シリコンウェハ4、埋め込み酸化物(buried oxide(BOX))層6、及びシリコン装置層10を備える。そのような基板は、フリーキャリア(電子または正孔)の発生を引き起こすBOX/ハンドル界面において、高伝導電荷反転または蓄積層12を形成する傾向があり、装置がRF周波数で操作されるとき、基板の実効抵抗率を減らし、寄生電力損失と装置の非線形性を生じさせる。これらの反転/蓄積層は、BOX固定電荷、酸化物捕獲電荷、界面捕獲電荷、及びさらに装置自身に与えられるDCバイアスによることができる。
【0011】
方法は、それゆえ、基板の高抵抗率が非常に近い表面領域でさえ維持されるように、すべての誘導反転または蓄積層で電荷を捕獲することが必要とされる。高抵抗率ハンドル基板と埋め込み酸化物(BOX)の間の電荷捕獲層(CTL)は、SOIウェハを使って製造されるRF装置の性能を改善することができる。多くの方法は、これらの高界面捕獲層を形成することが示唆される。例えば、これから
図2を参照して、RF装置用途のためのCTLを備えるセミコンダクタオンインシュレータ構造20(例えばシリコンオンインシュレータ、またはSOI)を作り出す1つの方法は、高抵抗率を有するシリコン基板22上のドープされていない多結晶シリコン膜28を堆積することと、その後、その上に酸化物24とトップシリコン層26の積み重ねを形成することに基づく。多結晶シリコン層28は、シリコン基板22と埋め込み酸化物層24の間の高欠陥層として機能する。
図2を参照して、シリコンオンインシュレータ構造20の高抵抗率基板22と埋め込み酸化物層24の間の電荷捕獲層28として使用のための多結晶シリコン膜を示す。代わりの方法は、表面近傍損傷層を作り出すために重いイオンの注入である。例えば、無線周波数装置などの装置は、トップシリコン層26に作られる。
【0012】
酸化物と基板の間の多結晶シリコン層は、装置分離を改善し、伝送線損失を減らし、高調波歪みを減らすことが学術研究で示されている。例えば、H. S. Gambleらの「Low-loss CPW lines on surface stabilized high resistivity silicon」 Microwave Guided Wave Lett., 9(10), pp. 395-397, 1999; D. Lederer、R. Lobet及びJ.-P. Raskinの「Enhanced high resistivity SOI wafers for RF applications」 IEEE Intl. SOI Conf., pp. 46-47, 2004; D. Lederer及びJ.-P. Raskinの「New substrate passivation method dedicated to high resistivity SOI wafer fabrication with increased substrate resistivity」 IEEE Electron Device Letters, vol. 26, no. 11, pp.805-807, 2005; D. Lederer、B. Aspar、C. Laghae及びJ.-P. Raskinの「Performance of RF passive structures and SOI MOSFETs transferred on a passivated HR SOI substrate」 IEEE International SOI Conference, pp. 29-30, 2006;及びDaniel C. Kerretらの「Identification of RF harmonic distortion on Si substrates and its reduction using a trap-rich layer」 Silicon Monolithic Integrated Circuits in RF Systems, 2008. SiRF 2008 (IEEE Topical Meeting), pp. 151-154, 2008を参照のこと。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】H. S. Gambleら、Low-loss CPW lines on surface stabilized high resistivity silicon」 Microwave Guided Wave Lett., 9(10), pp. 395-397, 1999
【非特許文献2】D. Lederer、R. Lobet及びJ.-P. Raskinの「Enhanced high resistivity SOI wafers for RF applications」 IEEE Intl. SOI Conf., pp. 46-47, 2004
【非特許文献3】D. Lederer及びJ.-P. Raskinの「New substrate passivation method dedicated to high resistivity SOI wafer fabrication with increased substrate resistivity」 IEEE Electron Device Letters, vol. 26, no. 11, pp.805-807, 2005
【非特許文献4】D. Lederer、B. Aspar、C. Laghae及びJ.-P. Raskinの「Performance of RF passive structures and SOI MOSFETs transferred on a passivated HR SOI substrate」 IEEE International SOI Conference, pp. 29-30, 2006
【非特許文献5】Daniel C. Kerretらの「Identification of RF harmonic distortion on Si substrates and its reduction using a trap-rich layer」 Silicon Monolithic Integrated Circuits in RF Systems, 2008. SiRF 2008 (IEEE Topical Meeting), pp. 151-154, 2008
【発明の概要】
【0014】
本発明は、多層基板を準備する方法に関し、方法は、エピタキシャルに、単結晶半導体ハンドル基板の前面上にエピタキシャル層を堆積するステップであって、単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、単結晶半導体ハンドル基板は、少なくとも約500Ωcmの最小バルク領域抵抗率を有し、エピタキシャル層は、約100Ωcmから約5000Ωcmの間の抵抗率を有する、エピタキシャル層を堆積するステップと、エピタキシャル層上に電荷捕獲層を堆積するステップであって、電荷捕獲層は、少なくとも約3000Ωcmの抵抗率を有する多結晶シリコンを備える、電荷捕獲層を堆積するステップと、単結晶半導体ドナー基板の前面上の誘電体層を電荷捕獲層と接合し、それにより接合構造を形成するステップであって、単結晶半導体ドナー基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、半導体ドナー基板の前面であり、他方は、半導体ドナー基板の裏面である表面と、半導体ドナー基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、半導体ドナー基板の前面と裏面の間の中央平面とを備える、接合構造を形成するステップと、を備える。
【0015】
本発明はさらに、多層基板を準備する方法に関し、方法は、エピタキシャルに、単結晶半導体ハンドル基板の前面上にエピタキシャル層を堆積するステップであって、単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性p型ドーパントを含み、エピタキシャル層は、ヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含み、電気活性n型ドーパントの濃度は、1×1014atoms/cm3未満である、エピタキシャル層を堆積するステップと、エピタキシャル層上に電荷捕獲層を堆積するステップであって、電荷捕獲層は、多結晶シリコンを含む、電荷捕獲層を堆積するステップと、単結晶半導体ドナー基板の前面上の誘電体層を電荷捕獲層に接合し、それによって接合構造を形成するステップであって、単結晶半導体ドナー基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、半導体ドナー基板の前面であり、他方は、半導体ドナー基板の裏面である表面と、半導体ドナー基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、半導体ドナー基板の前面と裏面の間の中央平面とを備える、接合構造を形成するステップと、を備える。
【0016】
本発明は、またさらに単結晶半導体ハンドル基板であって、単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性p型ドーパントを含む、単結晶半導体ハンドル基板と、単結晶半導体ハンドル基板の前面と界面接触するエピタキシャル層であって、エピタキシャル層は、ヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含み、電気活性n型ドーパントの濃度は、1×1014atoms/cm3未満である、エピタキシャル層と、エピタキシャル層と界面接触する電荷捕獲層であって、電荷捕獲層は、多結晶シリコンを含む、電荷捕獲層と、電荷捕獲層と界面接触する誘電体層と、誘電体層と界面接触する単結晶半導体装置層と、を備える多層構造に関する。
【0017】
他の目的及び特徴は、以下一部において明白に、一部において指摘されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】高抵抗率基板及び埋め込み酸化物層を備えるシリコンオンインシュレータウェハの描写である。
【
図2】高抵抗率基板及び埋め込み酸化物層の間の多結晶電荷捕獲層を備える従来技術のSOIウェハによる、シリコンオンインシュレータウェハの描写である。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスフローを描く。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスフローを描く。
【
図3C】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスフローを描く。
【
図3D】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスフローを描く。
【
図3E】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスフローを描く。
【
図4】本発明(設計サンプル)の構造による基板上に重ねられた半導体材料の抵抗率と、従来の方法(対照サンプル)による基板上に重ねた半導体材料の抵抗率を明示するグラフである。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による設計基板の強化されたRF性能を明示するグラフであり、データは、コプレーナ導波路測定からである。
【発明の実施形態の詳細な説明】
【0019】
本発明によると、方法は、電荷捕獲層(CTL)を備えるセミコンダクタオンインシュレータ複合構造(SOI、例えばシリコンオンインシュレータ複合構造を準備するために提供される。本発明は、さらにセミコンダクタオンインシュレータ(例えば電荷捕獲層(CTL)を備えるシリコンオンインシュレータ複合構造)に関する。この開示は、単結晶半導体ハンドル基板を無線周波数装置に用いられるSOI構造の強化した電気性能へ加工する方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、多結晶シリコン電荷捕獲層(CTL)と基板(いくつかの実施形態において、約1000Ωcmから約6000Ωcmの範囲内である抵抗率を有する)の界面を設計することによって、SOIウェハを製造し、それにより、完成したRF装置の性能を著しく改善する、方法に関する。多結晶シリコン電荷捕獲層に加えて、基板の抵抗率が第2及び第3高調波歪み(HD2及びHD3)を抑える役割を果たすことが明らかにされた。基板の抵抗率が>10000Ωcm(超高抵抗率(ultrahigh resistivity、UHR)に増加すると、HD2/HD3は、さらに効果的に抑えられるように、フリーキャリアを最小化する。しかしながら、全ての汚染及びプロセスバリエーションは収率の損失につながるので、結晶を引くプロセスを設計することによって、そのような高抵抗率を得て、制御することは難しいかもしれない。さらに、ウェハ熱プロセスは、結晶成長プロセスの間、取り込まれる酸素からのサーマルドナー生成につながり、抵抗率を変えること、またはさらにP型基板を反転する可能性がある。UHR基板によって引き起こされる他のプロセス議論は、電気チャックによってハンドリングするウェハを含み、計量学課題は、静電容量ゲージ、SRPなどのような、一定の導電を要求する。さらに、結合界面において捕獲される例えばボロン及びアルミニウムなどの汚染物は、多結晶シリコンによってすぐに拡散し、多結晶シリコン層の抵抗率を減らす、または多結晶シリコン層の再結晶化を誘導し、そのどちらかは、再びRF性能を改善することにおいて、多結晶シリコンの有効性を減らす。これらの観点において、いくつかの好ましい実施形態において、本発明によるSOI構造の製造で使用するための単結晶半導体ハンドル基板は、約1000Ωcmから約6000Ωcmの範囲の抵抗率を有し、優れたHD2/HD3抑制を達成する。ハンドル基板は、例えば約100Ωcmから約5000Ωcm、例えば約200Ωcmから約2000Ωcm、例えば約400Ωcmから約1000Ωcmの範囲の目標抵抗率を有するエピタキシャル層を備える。目標抵抗率は、空乏層のない層の測定抵抗率であり、典型的に、例えばn型基板上のN型エピタキシャル層またはp型基板上のp型エピタキシャル層など、同じ型の基板で成長された層で得られる。本発明のいくつかの実施形態によると、基板がp型ドーパントを含む一方で、エピタキシャル層がn型ドーパントで堆積される、または基板がn型ドーパントを含む一方で、エピタキシャル層がp型ドーパントで堆積されるなど、エピタキシャル層は、基板に対して反対型の電気活性ドーパントで堆積される。反対型のドーパントでエピタキシャル層をドープすることによって、エピタキシャル層は、反対型の基板によって空乏化される。すなわち、n型ドーパントでドープされたエピタキシャル層は、p型基板によって空乏化され、または、p型ドーパントでドープされたエピタキシャル層は、n型基板によって空乏化されることができる。したがって、エピタキシャル層は、目標抵抗率より遙かに高い見かけの抵抗率を有する。見かけの抵抗率は、例えば、5μm厚さのn型エピタキシャルシリコン層がp型基板によって空乏化される、
図4の設計ケースなど、与えられたサンプルの測定抵抗率である。エピタキシャル層のキャリアは、空乏化されるので、測定抵抗率は、10倍より大きい。
【0021】
エピタキシャル層は、完全空乏化されるように、制御された厚さと目標抵抗率で成長され、高い見かけの抵抗率につながる。見かけの高抵抗率は、
図5で示されるように、強化されたRF性能につながり、第2高調波歪みの減少を示す。有利に、抵抗率の低い範囲を有するハンドル基板は、RF装置で用いられ、それによりUHR基板に関連するプロセスと計量学議論を排除する。
【0022】
(I.半導体ハンドル基板と半導体ドナー基板)
本発明で用いられる基板は、例えば、単結晶半導体ハドルウェハなどの半導体ハンドル基板及び例えば単結晶半導体ドナーウェハなどの半導体ドナー基板を含む。セミコンダクタオンインシュレータ複合構造の半導体装置層は、単結晶半導体ドナーウェハから得る。半導体装置層は、例えば半導体ドナー基板をエッチングなどのウェハ薄化技術または損傷面を備える半導体ドナー基板を劈開することによって、半導体ハンドル基板上に転置されることができる。
【0023】
図3Aから3Eは、本発明のいくつかの実施形態によるプロセスフローを描く。
図3Aを参照して、典型的な、非限定の単結晶半導体ハンドルウェハ100が描かれる。一般に、単結晶半導体ハンドルウェハ100は、おおよそ平行な2つの主要な表面を備える。平行な表面の1つは、単結晶半導体ハンドルウェハ100の前面102であり、他方の平行な表面は、単結晶半導体ハンドルウェハ100の裏面104である。単結晶半導体ハンドルウェハ100は、前及び裏面102、104を接合する周縁エッジ106を備える。単結晶ハンドルウェハ100は、おおよそ平行な2つの主要な表面102、104に垂直であり、前及び裏面102、104の間の中間点によって画定される中央平面に垂直である中心軸108を備える。単結晶半導体ハンドルウェハ100は、おおよそ平行な、2つの主要な表面102、104の間のバルク領域110を備える。例えばシリコンウェハなどの、半導体ウェハは、典型的にいくつかの総厚さバリエーション(TTV)、歪み、たわみを有するので、前面102の全ての点と裏面104の全ての点で中間点は、正確には平面内に入らないであろう。しかしながら実際問題として、TTV、歪み、たわみは、典型的にわずかなので、近似すると中間点は、前及び裏面102、104の間のほぼ等距離である、仮想中央平面内に入ると言える。
【0024】
本明細書で記載されたような全ての操作の前に、単結晶半導体ハンドルウェハ100の前面102と裏面104は、実質的に同じである。表面は、便宜上、及び一般に本発明の方法の操作が実行される表面と区別するために単に前面または裏面と言われる。本発明の状況下で、例えば単結晶シリコンハンドルウェハなど、単結晶半導体ハンドルウェハ100の「前面」は、接合構造の界面になる基板の主要な表面を言う。したがって、例えばハンドルウェハなど、単結晶半導体ハンドルウェハ100の「裏面」は、接合構造の外部表面になる主要な表面を言う。同様に、例えば単結晶シリコンドナーウェハなど、単結晶半導体ドナー基板の「前面」は、接合構造の内部表面になる単結晶半導体ドナー基板の主要な表面を言い、例えば単結晶シリコンドナーウェハなど、単結晶半導体ドナー基板の「裏面」は、接合構造の外部表面になる主要な表面を言う。本発明の状況下で、1以上の絶縁層が単結晶半導体ハンドル基板100及び単結晶半導体ドナー基板のいずれかまたは両方の前面に準備されることができる。従来の接合及びウェハ薄化ステップの完成時に、単結晶半導体ドナー基板は、セミコンダクタオンインシュレータ(例えばシリコンオンインシュレータ)複合構造の半導体装置層を形成する。
【0025】
単結晶半導体ハンドル基板及び単結晶半導体ドナー基板は、単結晶半導体ウェハであってもよい。好ましい実施形態において、半導体ウェハは、シリコン、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウムガリウム、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された材料を含む。本発明の、例えば単結晶シリコンハンドルウェハ及び単結晶シリコンドナーウェハなどの、単結晶半導体ウェハは、典型的に少なくとも約150mm、少なくとも約200mm、少なくとも約300mm、または少なくとも約450mmの名目上の直径を有する。ウェハの厚さは、約250μmから約1500μm、例えば約300μmから約1000μm、適切には約500μmから約1000μmの範囲内で変わることができる。いくつかの特定の実施形態において、ウェハの厚さは、約725μmである。いくつかの実施形態において、ウェハの厚さは、約775μmである。
【0026】
特に好ましい実施形態において、単結晶半導体ウェハは、従来のチョクラルスキ結晶成長法またはフロートゾーン成長法によって成長された単結晶インゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハを備える。標準のシリコンのスライス、ラッピング、エッチング、及び研磨技術、及びそのような方法は、例えば、F. Shimuraの「Semiconductor Silicon Crystal Technology」 Academic Press, 1989, 及び「Silicon Chemical Etching」 (J. Grabmaier編集) Springer-Verlag, N.Y., 1982に開示されている(本明細書で援用する)。ウェハは、当業者に既知の標準の方法によって研磨され、洗浄されることが好ましい。例えば、W.C. O’Maraらの「Handbook of Semiconductor Silicon Technology」 Noyes Publicationsを参照のこと。必要に応じて、ウェハは、例えば標準SC1/SC2溶液で洗浄されることができる。いくつかの実施形態において、本発明の単結晶シリコンウェハは、従来のチョクラルスキ(「Cz」)結晶成長法によって成長された単結晶インゴットからスライスされた単結晶シリコンウェハであり、典型的に、少なくとも約150mm、少なくとも約200mm、少なくとも約300mm、または少なくとも約450mmの名目上の直径を有する。単結晶シリコンハンドルウェハ及び単結晶シリコンドナーウェハの両方は、例えばスクラッチ、大きなパーティクルなどの表面欠陥のない、鏡面研磨前面仕上げを有することが好ましい。ウェハの厚さは、約250μmから約1500μm、例えば約300μmから約1000μm、適切には約500μmから約1000μmの範囲内で変わることができる。いくつかの特定の実施形態において、ウェハの厚さは、約725μmから約800μm、例えば約750μmから約800μmなどであることができる。いくつかの実施形態において、ウェハの厚さは、約725μmである。いくつかの実施形態において、ウェハの厚さは約775μmである。
【0027】
いくつかの実施形態において、単結晶半導体ウェハ、すなわち単結晶ハンドルウェハ及び単結晶半導体ドナーウェハは、一般にチョクラルスキ成長法で達成される濃度の格子間酸素を含む。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ウェハは、約4PPMAから約18PPMAの濃度の酸素を含む。いくつかの実施形態において、半導体ウェハは、約10PPMAから約35PPMAの濃度の酸素を含む。いくつかの実施形態において、単結晶シリコンウェハは、約10PPMA以下の濃度の酸素を含む。格子間酸素は、SEMI MF 1188-1105によって測定することができる。
【0028】
単結晶半導体ハンドルウェハ100は、チョクラルスキまたはフロートゾーン法によって得られる任意の抵抗率を有する。したがって、単結晶半導体ハンドルウェハ100の抵抗率は、本発明の構造の最終用途(use)/用途(application)の要求に基づく。抵抗率は、それゆえミリΩからメガΩ以上まで変わることができる。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドルウェハ100は、p型またはn型のドーパントを含む。適切なドーパントは、ボロン(p型)、ガリウム(p型)、リン(n型)、アンチモン(n型)、及びヒ素(n型)を含む。ドーパントの濃度は、ハンドルウェハの所定の抵抗率に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板は、p型ドーパントを含む。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板は、例えばボロンなどp型ドーパントを含む単結晶シリコンウェハである。
【0029】
いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドルウェハ100は、例えば約100Ωcm未満、約50Ωcm未満、約1Ωcm未満、約0.1Ωcm未満、またはさらに約0.01Ωcm未満など、比較的低い最小バルク抵抗率を有する。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板100は、例えば約100Ωcm未満、または約1Ωcmから約100Ωcmなどの、比較的低い最小バルク抵抗率を有する。低い抵抗率のウェハは、例えばボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型)、リン(n型)、アンチモン(n型)及びヒ素(n型)などの、電気活性ドーパントを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドルウェハ100は、比較的高い最小バルク抵抗率を有する。高い抵抗率のウェハは、一般にチョクラルスキ法またはフロートゾーン法によって成長された単結晶インゴットからスライスされる。高い抵抗率のウェハは、一般に非常に低い濃度の、例えばボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型)、リン(n型)、アンチモン(n型)及びヒ素(n型)などの、電気活性ドーパントを含む。Cz成長シリコンウェハは、結晶成長中に取り込まれる酸素によって引き起こされるサーマルドナーを消滅するために約600℃から約1000℃に及ぶ温度で熱アニールを受ける。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドルウェハは、少なくとも100Ωcmまたはさらに少なくとも約500Ωcm、例えば約100Ωcmから約100000Ωcm、または約500Ωcmから約100000Ωcm、または約1000Ωcmから約100000Ωcm、または約500Ωcmから約10000Ωcm、または約750Ωcmから約10000Ωcm、約1000Ωcmから約10000Ωcm、約1000Ωcmから約6000Ωcm、約2000Ωcmから約10000Ωcm、約3000Ωcmから約10000Ωcm、または、約3000Ωcmから約5000Ωcmなどの最小バルク抵抗率を有する。いくつかの好ましい実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板は、約1000Ωcmから約6000Ωcmのバルク抵抗率を有する。高抵抗率ウェハを準備する方法が当該分野で知られており、そのような高抵抗率ウェハは、例えばSunEdison Semiconductor社(ミズーリ州セントピーターズバーグ:以前のMEMC Electronic Materials社)などの市販供給から得られる。
【0031】
いくつかの好ましい実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された電気活性ドーパントを含む。いくつかの好ましい実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板は、ボロンを含み、ボロンは、約2×1013atoms/cm3未満、約1×1013atoms/cm3未満、例えば約5×1012atoms/cm3未満、または約1×1012atoms/cm3未満などの濃度で存在する。高抵抗率ウェハを準備する方法が当該分野で知られており、そのような高抵抗率ウェハは、例えばSunEdison Semiconductor社(ミズーリ州セントピーターズバーグ:以前のMEMC Electronic Materials社)などの市販供給から得られる。
【0032】
単結晶半導体ハンドルウェハ100は、単結晶シリコンを含む。単結晶半導体ハンドルウェハ100は、例えば(100)、(110)、または(111)結晶配向のいずれかを有し、結晶配向の選択は、構造の最終用途によって決定される。
【0033】
任意に、前面102、裏面104、または両方は、当該分野で知られた方法によって酸化される。酸化は、例えば(堆積された半導体材料膜の一部が消費される)熱酸化またはCVD酸化物堆積など、当該分野で知られた手段によって達成される。前面102、裏面104、または両方の酸化層は、少なくとも約1nm、例えば約10nmから約5000nm、例えば約100nmから約1000nmまたは約200nmから約400nmなどの厚さである。いくつかの実施形態において、酸化層は、例えば約5Åから約25Å、例えば約10Åから約15Åなど、比較的薄い。薄い酸化物層は、例えばSC1/SC2洗浄溶液など、標準洗浄溶液にさらすことによって得られる。いくつかの実施形態において、SC1溶液は、5部の脱イオン水、1部のNH4OH水溶液(水酸化アンモニウム、29重量%のNH3)、及び1部のH2O2水溶液(過酸化水素、30%)を含む。いくつかの実施形態において、ハンドル基板は例えばSC2溶液など、酸化物質を含む水溶液にさらすことによって酸化される。いくつかの実施形態において、SC2溶液は、5部の脱イオン水、1部のHCl水溶液(塩酸、39重量%)、及び1部のH2O2水溶液(過酸化水素、30%)を含む。
【0034】
(II.エピタキシャル堆積)
本発明の方法によると、
図3A及び3Bを参照して、エピタキシャル層200は、開始単結晶半導体ハンドル基板100の前面102上にエピタキシャル法によって堆積される。
【0035】
エピタキシャル層200は、気相エピタキシャル法または液相エピタキシャル法によって、開始単結晶半導体ハンドル基板100の前面102上に堆積される。例えば、エピタキシャル層200は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、物理的気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、低圧化学気相成長法(LPCVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)、液相エピタキシ(LPE)を使って堆積される。エピタキシャル堆積は、開始単結晶半導体ハンドル基板100と同じ下層の結晶構造を有する半導体層をもたらす。例えば、単結晶シリコンハンドル基板100は、(100)、(100)、及び(110)の結晶配向を有する。いくつかの実施形態において、単結晶シリコンハンドル基板100は、(100)結晶配向を有する。エピタキシャル層200は、下層の基板100の結晶配向に一致する。したがって、いくつかの実施形態において、単結晶シリコンハンドル基板100とエピタキシャル層200は、(100)結晶配向を有する。エピタキシャル堆積の適切な反応器は、ASMまたはApplied Materialsの市販のエピ反応器である。エピタキシャル堆積の反応条件は、約600℃から約1100℃に及ぶ温度で、約1Torrから約760Torr、例えば約10Torrから約760Torrなどの圧力を含む。水素(H2)は、約10slmから約200slmの流量の適切なキャリアガスである。
【0036】
気相エピタキシャル法の前駆体は、とりわけ、メチルシラン、四水素化ケイ素、(シラン)、トリシラン、ジシラン、ペンタシラン、ネオペンタシラン、テトラシラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)を含む。シリコンを含むエピタキシャル層200の全体の厚さは、約0.2μmから約20μm厚さ、または約0.5μmから約10μm厚さ、例えば約5μmから約10μm厚さなどである。炭素がドープされたシリコンは、例えば四塩化ケイ素及びメタンなどの前駆体を用いて、エピタキシャル反応器で、熱プラズマ気相成長法によって堆積される。CVDまたはPECVDの適切な炭素前駆体は、とりわけメチルシラン、メタン、エタン、エチレンを含む。LPCVD成長法において、メチルシランは、炭素とシリコンの両方を提供するので、特に好ましい前駆体である。PECVD成長法において、好ましい前駆体は、シランとメタンを含む。いくつかの実施形態において、エピタキシャル層200は、約0.1モル%から約5モル%、または約0.5モル%から約2モル%の炭素濃度で炭素がドープされたシリコンを含む。炭素がドープされたシリコンを含むエピタキシャル層200の全体の厚さは、約0.1μmから約20μm厚さ、例えば約0.1μmから約10μm厚さ、例えば約5μmから約10μm厚さなどである。
【0037】
いくつかの実施形態において、エピタキシャル層200は電気活性ドーパントを含む。ドーパントは、例えばボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型)などのp型、または例えばリン(n型)、アンチモン(n型)、及びヒ素(n型)などのn型である。ドーパントは、例えばボロン前駆体(例えば反応ガス混合物にジボラン(B2H6)を含むことによって)、ヒ素前駆体(例えば反応ガス混合物にアルシン(ArH3)を含むことによって)、リン前駆体(例えば反応ガス混合物にホスフィン(PH3)を含むことによって)、及びアンチモン前駆体(例えば反応ガス混合物に二量体アンチモンを含むことによって)など適切な前駆体ガスを含むことによって、エピタキシャル層200に取り込まれる。エピタキシャル層の抵抗率は、約100Ωcmから約5000Ωcm、例えば約200Ωcmから約2000Ωcm、例えば約400Ωcmから約1000Ωcmなどに及ぶ。したがって、エピタキシャル層の電気活性ドーパントの濃度は、約1×1014atoms/cm3未満、約1×1013atoms/cm3未満、例えば約5×1012atoms/cm3未満である。
【0038】
いくつかの実施形態において、エピタキシャル層200は、単結晶半導体ハンドル基板100内の電気活性ドーパントと逆の型の電気活性ドーパントがドープされる。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ハンドル基板は、約2×10
13atoms/cm
3未満、約1×10
13atoms/cm
3未満、例えば約5×10
12atoms/cm
3未満、または1×10
12atoms/cm
3未満などの濃度で、電気活性p型ドーパント(例えばボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型))を含む。いくつかの実施形態において、電気活性p型ドーパント(例えばボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型))の濃度は、少なくとも約1×10
12atoms/cm
3、例えば少なくとも約2×10
12atoms/cm
3である。これらの濃度は、一般的に約1000Ωcmから約6000Ωcmの範囲内の抵抗率に対応する。エピタキシャル層は、約1×10
14atoms/cm
3未満、約1×10
13atoms/cm
3未満、例えば約5×10
12atoms/cm
3未満の濃度の電気活性n型ドーパント(例えばリン(n型)、アンチモン(n型)、ヒ素(n型))を含む。いくつかの実施形態において、電気活性n型ドーパント(例えばリン(n型)、アンチモン(n型)、ヒ素(n型))の濃度は、少なくとも1×10
12atoms/cm
3、例えば少なくとも2×10
12atoms/cm
3である。これらの濃度は、一般的に約100Ωcmから約5000Ωcm、例えば約200Ωcmから約2000Ωcm、例えば、約400Ωcmから約1000Ωcmなどの範囲内の抵抗率に対応する。エピタキシャル層ドーパント型、エピタキシャル層抵抗率、及びエピタキシャル層厚さ、並びにハンドル基板のドーパント型と抵抗率の組み合わせは、完全空乏であるエピタキシャル層をもたらす。結果として、エピタキシャル層は、約5000Ωcmより大きく、またはさらに約10000Ωcmより大きい、見かけの抵抗率を達成する。対照構造と比較した本発明の多層構造の効果を明示する
図4を参照する。
図4は、従来の方法(対照サンプル)によって基板上に積層された半導体材料の低い抵抗率と比較して、本発明の(設計サンプル)の構造による基板上に積層された半導体材料の高い見かけの抵抗率を示すグラフである。
【0039】
(III.電荷捕獲層の堆積)
本発明の方法により、
図3Bと
図3Cを参照して、電荷捕獲層300は、エピタキシャル層200上に堆積される。いくつかの実施形態において、電荷捕獲層300は多結晶シリコンを含む。そのような材料は、多結晶半導体材料とアモルファス半導体材料を含む。多結晶またはアモルファスである材料は、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭素がドープされたシリコン(SiC)、及びゲルマニウム(Ge)を含む。例えば多結晶シリコンなどの多結晶半導体は、ランダムな結晶配向を有する小さいシリコン結晶を備える材料を意味する。多結晶材料は、ランダムな結晶配向を有する小さい結晶を備える材料を意味する。多結晶粒は、約20nmの小さい大きさであり、粒の大きさは、一般に約20nmから約1μm、例えば約0.3μmから約1μmに及ぶ。本発明の方法によると、多結晶材料の結晶粒の大きさが小さいほど、電荷捕獲層の欠陥性が高く堆積した。多結晶シリコン電荷捕獲層の抵抗率は、少なくとも100Ωcm、少なくとも約500Ωcm、少なくとも約1000Ωcm、少なくとも約3000Ωcm、またはさらに少なくとも約7000Ωcmであり、例えば、約100Ωcmから約100000Ωcmまたは約500Ωcmから約100000Ωcm、または約1000Ωcmから約100000Ωcm、または約500Ωcmから約100000Ωcm、または約750Ωcmから約100000Ωcmである。いくつかの好ましい実施形態において、多結晶シリコン層の抵抗率は、約3000Ωcmから約100000Ωcm、例えば約3000Ωcmから約10000Ωcmまたはさらに約7000Ωcmから約100000Ωcm、例えば約7000Ωcmから約10000Ωcmである。
【0040】
エピタキシャル層200上への電荷捕獲層300の堆積のための材料は、気相成長法で堆積される。エピタキシャル層200上への電荷捕獲層300の堆積のための材料は、例えば有機金属化学気相成長法(MOCVD)、物理的気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、低圧化学気相成長法(LPCVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、などの化学または物理気相成長法によって堆積される。好ましい実施形態において、多結晶シリコンがCVDによって堆積される。CVDにおけるシリコン前駆体は、とりわけメチルシラン、四水素化ケイ素(シラン)、トリシラン、ジシラン、ペンタシラン、ネオペンタシラン、テトラシラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)を含む。いくつかの好ましい実施形態において、シリコン前駆体は、シラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、及びトリクロロシラン(SiHCl3)の中から選択される。例えば、多結晶シリコンは、約850℃より高い温度、例えば約850℃から約1100℃、または約850℃から約1000℃などで、シラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、及びトリクロロシラン(SiHCl3)のCVDによって表面酸化層上へ堆積される。高温は、他の利点の中で高成長率に貢献し、それによってスループットとコスト削減に貢献する。CVD堆積率は、少なくとも約0.1μm/分であり、例えば約0.1μm/分から約10μm/分、または約0.1μm/分から約2μm/分の範囲である。層が少なくとも約0.1μm、例えば約0.1μmから約50μm、例えば約0.1μmから約20μm、約0.1μmから約10μm、約0.5μmから約5μm、または約0.5μmから約3μm、例えば約1μmから約2μmまたは約2μmから約5μmの厚さを有するまで、多結晶シリコン層の堆積は、続く。堆積は、約1Torrから約760Torr、例えば約1Torrから約400Torrの圧力で起こる。
【0041】
いくつかの実施形態において、化学気相成長法による多結晶シリコン層の堆積は、多結晶シリコンシード層の堆積後、中断される。多結晶シリコンシード層は、最終の多結晶シリコン電荷捕獲層の全体の所望の厚さより小さい厚さを有する。したがって、多結晶シリコンシード層は、20μm未満、10μm未満、5μm未満、3μm未満、2μm未満、または1μm未満、または0.5μm未満、例えば約50nmから約20μm、または約50nmから約10μm、または約50nmから約5μm、または約50nmから約3μm、または約50nmから約2μm、または約50nmから約1μm、または約50nmから約500nm、または約50nmから約200nmの厚さで堆積される。シード層の厚さは、多結晶シリコン核の大きさによって設定される。効果的な応力解放を達成するために、シード層は、50nmより小さい空孔を残す一方で、下層の表面を覆う必要があり、ポリシリコンシード層と下層の境界にH2が接近できる。H2は界面酸化物を減らし、基板にポリシリコンシード層の粒界において、原子の拡散を促進し、それゆえ膜応力を解放する。シード層は、下層に対するH2の接近を完全に防ぐのに十分な厚さであるとき、続くアニールプロセスは、膜応力を効果的に解放できない。他方で、シード層が連続でなく、2つの隣接する核の間の開いた領域が50nmより広いとき、大きな核がシードアニールプロセスの間に形成される。大きな核は、ポリシリコン堆積の端部で、大きな粒(すなわち直径>1μm)に成長し、捕獲効率を減らす。堆積は、CVDチャンバの中のシリコン前駆体の流れを中止することによって中断される。多結晶シリコンの堆積を中止した後、多結晶シード層を備えるハンドル基板はアニールされる。多結晶シード層をアニールするステップは、例えば清浄表面、高純度膜、高抵抗率膜、所望の核の大きさ及び均一性、及び残りの膜応力の減少を得ることなど、所望の電荷捕獲層特性に貢献する。いくつかの実施形態において、多結晶シリコンシード層は、約0MPaから約500MPa、例えば約0MPaから約100MPaなどの範囲に膜応力を減少するために、高温アニールを受ける。多結晶シリコンシード層は、約1000℃より高い、例えば約1000℃から約1200℃、または約1000℃から約1100℃などの温度でアニールされる。シード層は、約1秒から約300秒、例えば、約5秒から約60秒、または約10秒から約40秒の期間アニールされる。アニールのための周囲の雰囲気は、水素、塩化水素、塩素または水素、塩化水素、及び塩素の任意の組み合わせを含むことができる。アニールステップは、例えば約1Torrから約760Torr、または約10Torrから約760Torrなど、減圧下または大気圧下で実行される。粒の大きさ及び多結晶シリコン膜の応力は、アニール温度、期間、ガスフローによって制御される。適切なアニール期間の後、多結晶シリコン層の化学気相成長法による堆積は、約850℃から約1000℃の温度に単結晶半導体ハンドル基板を冷却した後に再び始まる。
【0042】
いくつかの実施形態において、エピタキシャル層200及び多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100は、堆積が完成された後、アニールされる。多結晶層をアニールするステップは、例えば清浄表面、高純度膜、高抵抗率膜、所望の核の大きさ及び均一性、及び残りの膜応力の減少を得ることなど、所望の電荷捕獲層特性に貢献する。いくつかの実施形態において、完全に堆積された多結晶シリコン電荷捕獲層は、約0MPaから約500MPa、例えば約0MPaから約100MPaの範囲へ、膜応力を減らすために高温アニールを受ける。エピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備えるハンドル基板100は、1000℃より高い、例えば約1000℃から1100℃の温度でアニールされる。エピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備えるハンドル基板100は、約1秒から約300秒、例えば約5秒から約60秒、または約10秒から約40秒の期間アニールされる。アニールのための周囲の雰囲気は、水素、塩化水素、塩素または水素、塩化水素、及び塩素の任意の組み合わせを含むことができる。適切なアニール期間の後、CVDチャンバは、単結晶半導体ハンドル基板を除去するのに安全な温度へ冷却される。
【0043】
いくつかの実施形態において、絶縁または誘電体層は、堆積された電荷捕獲層300の上に形成される。絶縁層は、半導体酸化物、半導体窒化物、または半導体酸窒化物を含む。本発明による誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせの中から選択された絶縁材料を含む。いくつかの実施形態において、誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された1以上の絶縁材料を含む。誘電体層は、2つの絶縁層、3つの絶縁層、またはそれより多く備えてもよい。それぞれの絶縁層は、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせの中から選択された材料を含む。いくつかの実施形態において、それぞれの絶縁層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及びそれらの任意の組み合わせから選択された材料を含む。いくつかの実施形態において、誘電体層は、3つの絶縁層を備える。いくつかの実施形態において、3つの絶縁層は、二酸化ケイ素層、二酸化ケイ素層に界面接触する窒化ケイ素層、及び窒化ケイ素層に界面接触する二酸化ケイ素層を備える。
【0044】
絶縁層の堆積は、例えば熱酸化(堆積された半導体材料膜の一部が消費される)、及び/またはCVD酸化物及び/または窒化物堆積など、当該分野で知られた手段によって達成される。いくつかの実施形態において、電荷捕獲層は、熱的に酸化され(堆積された半導体材料膜の一部が消費される)または膜はCVD酸化物及び/または窒化物堆積によって成長される。いくつかの実施形態において、電荷捕獲層は、例えばASM A400などの加熱炉で熱的に酸化される。温度は、酸化雰囲気で750℃から1200℃に及ぶ。酸化周囲雰囲気は、例えばArまたはN2などの不活性ガス、及びO2の混合物であることができる。酸素含有量は、1から10%またはより高くに変えられる。いくつかの実施形態において、酸化周囲雰囲気は、100%まで(「ドライ酸化」)である。いくつかの実施形態において、周囲雰囲気は、例えばArまたはN2などの不活性ガス、及び例えばO2及び水蒸気(ウェット酸化)などの酸化ガスの混合物を含む。いくつかの典型的な実施形態において、半導体ハンドル基板は、例えばA400などの縦型炉に積み込まれる。温度は、N2とO2の混合物で酸化温度に上昇する。所望の酸化物の厚さが得られた後、O2は切られ、加熱炉温度は減らされ、ウェハは加熱炉から出される。窒化ケイ素または酸窒化ケイ素を堆積するための界面層に窒素を取り込むために雰囲気は、窒素単独または酸素と窒素の組み合わせを含み、温度は、1100℃から1400℃に増加する。代替の窒素源はアンモニアである。いくつかの実施形態において、電荷捕獲層は、約2000Åから約10000Åの厚さの絶縁層を提供するために十分な期間処理される。
【0045】
電荷捕獲層300の堆積の後、絶縁層の任意の堆積、ウェハ洗浄及び研磨は、任意である。いくつかの実施形態において、堆積された多結晶シリコン電荷捕獲層は、RMS2×2 um2によって測定される50nm程度の表面粗さを有する。必要に応じて、ウェハは、例えば標準SC1/SC2溶液で洗浄されることができる。さらに、ウェハ、特に電荷捕獲層または任意の絶縁層は、好ましくはRMS2×2 um2のレベルが約5Å未満、好ましくは約2Å未満、例えば約1Åから約2Åになるまで、表面粗さを減らすための化学機械研磨(CMP)を受け、ここで、二乗平均平方根は、
【0046】
【0047】
粗さのプロファイルは、トレースに沿って等間隔に並んだ点を含み、yiは、平均線からデータ点への垂直距離である。好ましくは2Å未満の表面粗さにおいて、表面は、接合の準備ができる。
【0048】
(IV.プラズマ活性)
いくつかの実施形態において、エピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100は、酸素プラズマ及び/または窒素プラズマ表面活性化を受ける。いくつかの実施形態において、酸素プラズマ及び/または窒素プラズマ表面活性化装置は、例えばEVG(登録商標)810LT Low Temp Plasma Activation SystemなどのEV Groupから入手可能な、市販の装置である。エピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100は、チャンバに積み込まれる。チャンバは、真空にされ、大気よりも低い圧力へ、例えばアルゴンなど、キャリアガスに、酸素ガス源及び/または窒素ガス源で、埋め戻され、それによってプラズマを作り出す。酸素及び/または水は、プラズマ酸化物処理のための適切なソースガスである。アンモニア及び/または窒素及び/または一酸化窒素(NO)及び/または亜酸化窒素(N2O)ガスは、プラズマ窒化物処理のための適切なソースガスである。酸窒化物プラズマ膜は、酸素と窒素ガス源 を含むことによって堆積される。さらに、一酸化窒素または亜酸化窒素の使用は、追加的に絶縁層に酸素を取り込み、それによって酸窒化物膜を堆積する。窒化ケイ素または酸化シリコンプラズマ膜を堆積するために、適切なシリコン前駆体は、とりわけメチルシラン、四水素化ケイ素(シラン)、ジシラン、ペンタシラン、ネオペンタシラン、テトラシラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)を含む。適切にArは、キャリアガスとして加えられる。
【0049】
単結晶半導体ハンドル基板100は、薄い酸化物、窒化物、または酸窒化物層を成長するために、約1秒から約120秒に及ぶ、所定の時間このプラズマにさらされる。酸化物、窒化物、または酸窒化物層は、約10Åから約100Åに及ぶ厚さを有する。窒化物層は、接合境界において捕獲される汚染物の拡散が、ポリシリコン捕獲層の中に、及びそれを通って拡散することを防ぐために、効果的な拡散バリアとして機能する。プラズマ表面活性化は、電荷捕獲層300の表面または任意の絶縁層の表面を親水性にし、単結晶半導体ドナー基板へ接合を受け入れさせるために実行される。プラズマ活性化の後、活性化された表面は、脱イオン水でリンスされる。ウェハは、その後接合前にスピン乾燥される。
【0050】
(V.接合構造の準備)
図3Dを参照すると、エピタキシャル層200及び多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える、本明細書に記載された方法によって準備された、例えば単結晶シリコンハンドルウェハ、単結晶半導体ハンドルウェハなど、高抵抗率単結晶半導体ハンドル基板100は、次に従来の層転置方法によって準備される、例えば単結晶半導体ドナー基板などの半導体ドナー基板400に接合される。単結晶半導体ドナー基板400は、単結晶半導体ウェハである。好ましい実施形態において、半導体ウェハは、シリコン、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウムガリウム、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される材料を含む。完成した集積回路装置の所望の特性により、単結晶半導体(例えばシリコン)ドナーウェハ400は、ボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型)、リン(n型)、アンチモン(n型)、及びヒ素(n型)の中から選択されたドーパントを含む。単結晶半導体(例えばシリコン)ドナーウェハの抵抗率は、1から50Ωcm、典型的には5から25Ωcmに及ぶ。単結晶半導体ドナーウェハ400は、酸化、注入、注入後洗浄を含む標準プロセスステップを受ける。したがって、エッチングされ、研磨され、任意に酸化された、例えば単結晶シリコンドナーウェハといった多層半導体構造の準備に従来用いられる材料の単結晶半導体ウェハなど、半導体ドナー基板400は、ドナー基板に損傷層を形成するためにイオン注入を受ける。
【0051】
いくつかの実施形態において、半導体ドナー基板400は、誘電体層410を備える。本発明による誘電体層410は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせの中から選択された絶縁材料を含む。いくつかの実施形態において、誘電体層410は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された材料を含む、1以上の絶縁層を備える。いくつかの実施形態において、誘電体層は、少なくとも約10nm厚さ、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、50nmから約400nm、または約100nmから約400nm、例えば約50nm、100nm、または200nmなどの厚さを有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、誘電体層410は、絶縁材料の複数層を備える。誘電体層は、2つの絶縁層、3つの絶縁層、またはそれより多く備える。それぞれの絶縁層は、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、及びそれらの任意の組み合わせの中から選択された材料を含む。いくつかの実施形態において、それぞれの絶縁層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された材料を含む。それぞれの絶縁層は、少なくとも約10nmの厚さ、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、50nmから約400nm、または約100nmから約400nm、例えば約50nm、100nm、または200nmなどの厚さを有する。
【0053】
いくつかの実施形態において、単結晶半導体ドナー基板400(例えば単結晶シリコンドナー基板)の前面は、半導体酸化物膜を準備するために、熱的に酸化され(堆積された半導体材料膜の一部が消費される)、または半導体酸化物(例えば二酸化ケイ素)膜がCVD酸化物堆積によって成長される。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ドナー基板400の前面は、上記と同じ方法で、例えばASM A400などの加熱炉で熱的に酸化される。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ドナー基板400は、少なくとも約1nm厚さ、約10nmの厚さ、例えば約10nmから約10000nm、約10nmから約5000nm、または約100nmから約400nmの前面層に酸化物層を提供するために酸化される。いくつかの実施形態において、単結晶半導体ドナー基板400上の酸化層は、比較的薄く、例えば約5Åから約25Å、例えば約10Åから約15Åである。薄い酸化物層は、例えばSC1/SC2洗浄溶液など、標準洗浄溶液への曝露によって得られる。
【0054】
イオン注入は、例えばApplied Materials Quantum II、Quantum LEAP、Quantum Xなど、市販の装置で実行される。注入されたイオンは、He、H、H2、またはそれらの組み合わせを含む。イオン注入は、半導体ドナー基板の損傷層を形成するために十分な密度と期間として実行される。注入密度は、約1012ions/cm2から約1017ions/cm2、例えば約1014ions/cm2から約1017ions/cm2、例えば約1015ions/cm2から約1016ions/cm2に及ぶ。注入エネルギは、約1keVから約3000keV、例えば約10keVから約3000keVに及ぶ。注入エネルギは、約1keVから約3000keV、例えば約5keVから約1000keV、または約5keVから約200keV、または5keVから約100keV、または5keVから約80keVに及ぶ。注入深さは、最終SOI構造の単結晶半導体装置層の厚さを決定する。イオンは、約100Åから約30000Å、例えば約200Åから約20000Å、例えば約2000Åから約15000Å、または約15000Åから約30000Åの深さで注入される。いくつかの実施形態において、注入後に例えば単結晶シリコンドナーウェハなどの単結晶半導体ドナーウェハが洗浄を受けることが望ましい。いくつかの好ましい実施形態において、洗浄は、ピラニア洗浄に続いてDI水リンス及びSC1/SC2洗浄を含む。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、イオン注入でHe+、H+、H2
+及びそれらの任意の組み合わせによって形成されたそこにイオン注入領域を有する単結晶半導体ドナー基板400は、単結晶半導体ドナー基板に熱活性劈開面を形成するのに十分な温度でアニールされた。適切な装置の実施例は、例えばBlue Mモデルなど単純なBox加熱炉である。いくつかの好ましい実施形態において、イオン注入単結晶半導体ドナー基板は、約200℃から約350℃、約225℃から約350℃、好ましくは約350℃の温度でアニールされる。熱アニールは、約2時間から約10時間、例えば約2時間から約2時間の期間、行われる。これらの温度範囲内の熱アニールは、熱活性劈開面を形成するのに十分である。劈開面を活性化するための熱アニール後、単結晶半導体ドナー基板表面は、劈開されることが好ましい。
【0056】
いくつかの実施形態において、イオン注入され、任意に洗浄され、任意にアニールされた単結晶半導体ドナー基板は、酸素プラズマ及び/または窒素プラズマ表面活性化を受ける。いくつかの実施形態において、酸素プラズマ表面活性化装置は、例えばEVG(登録商標)810LT Low Temp Plasma Activation SystemなどEVグループから入手できる、市販の装置である。イオン注入され、任意に洗浄された単結晶半導体ドナーウェハは、チャンバに積み込まれる。チャンバは、真空にされ、大気より低い圧力でO2またはN2で埋め戻され、それによってプラズマを作り出す。単結晶半導体ドナーウェハは、約1秒から約120秒に及ぶ所定の時間、このプラズマにさらされる。酸素または窒素プラズマ表面酸化は、単結晶半導体ドナー基板の前面を親水性にし、上記方法によって準備された単結晶半導体ハンドル基板に接合することを受け入れさせるために実行される。プラズマ活性化の後、活性表面は、脱イオン水でリンスされる。ウェハは、接合前にスピン乾燥される。
【0057】
単結晶半導体ドナー基板400の親水性前面とエピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100の前面は、次に親密に接触され、それによって接合構造を形成する。接合構造は、例えばシリコン酸化物といった埋め込み酸化物などの誘電体層410を備える。
【0058】
機械的な接合は比較的弱いので、接合構造は、さらに単結晶半導体ドナー基板400とエピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100との接合を固めるためにアニールされる。本発明のいくつかの実施形態において、接合構造は、単結晶半導体ドナー基板に熱活性劈開面を形成するために十分な温度でアニールされる。適切な装置の実施例は、例えばBlue Mモデルの単純なBox加熱炉である。いくつかの好ましい実施形態において、接合構造は、約200℃から約350℃、約225℃から約350℃、好ましくは約350℃の温度でアニールされる。熱アニールは、約0.5時間から約10時間の期間、好ましくは約2時間の期間、行われる。これらの温度範囲の熱アニールは、熱活性劈開面を形成するのに十分である。劈開面を活性化するための熱アニールの後、接合構造は劈開される。
【0059】
いくつかの実施形態において、アニールは、例えば約0.5MPaから約200MPa、例えば約0.5MPaから約100MPa、例えば約0.5MPaから約50MPa、または約0.5MPaから約10MPa、または約0.5MPaから約5MPaなど比較的高圧で行われる。従来の接合方法は、温度は、「自動劈開」によって制限され得る。これは、注入面におけるプレートレットの圧力が外部平衡圧力を超えるときに起こる。したがって、従来のアニールは、自動劈開のため約350℃から約400℃の接合温度に制限される。注入と接合後、ウェハは弱く保持される。しかしウェハの間の間隔は、ガスが貫通しまたは逃げることを防ぐのに十分である。弱い接合は、加熱処理によって強化されることができるが、注入の間形成された空洞は、ガスで満たされる。加熱の間、空洞内のガスは加圧する。圧力は、投与量にもより、0.2-1GPaに到達すると見積もられる(CherkashinらのJ Appl. Phys. 118,245301(2015))。圧力が、臨界値を超えるとき、層は薄い層に裂ける。これは、自動劈開または熱劈開と言う。それは、アニールで高温と長時間を防ぐ。本発明のいくつかの実施形態によると、接合は、例えば約0.5MPaから約200MPa、例えば約0.5MPaから約100MPa、例えば約0.5MPaから約50MPa、または約0.5MPaから約10MPa、または約0.5MPaから約5MPaなど高圧で起き、それによって高温での接合が可能になる。いくつかの実施形態において、接合構造は、約300℃から約700℃、約400℃から約600℃、例えば約400℃から約450℃、またはさらに約450℃から約600℃、または約350℃から約450℃の温度でアニールされる。熱量が増加すると接合強度によい効果がある。熱アニールは約0.5時間から約10時間、例えば約0.5時間から約3時間の期間、好ましくは、約2時間の期間行う。これらの温度範囲内の熱アニールは、熱活性劈開面を形成するのに十分である。従来の接合アニールにおいて、ハンドルウェハとドナーウェハの両方の端部は、ロールオフによって分離する。この領域において、層転置はない。それはテラスと呼ばれる。圧力接合は、このテラスを減らすことが期待され、さらなる端部へSOI層を伸ばす。機構は、圧縮され、外側を「ジッパで締められた」空気の閉じ込められたポケットに基づく。劈開面を活性化するための熱アニールの後、接合された構造は、劈開される。
【0060】
熱アニールの後、単結晶半導体ドナー基板400とエピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100との接合は、劈開面で接合構造を劈開することによって、層転置を開始するのに十分強い。劈開は、当該分野で知られた技術によって起きる。いくつかの実施形態において、接合構造は、一側面において固定吸引カップに貼付され、他側面においてヒンジアームの追加の吸引カップによって貼付された従来の劈開位置に設置される。クラックは、吸引カップアタッチメントの近くで開始され、動作アームは、ウェハを劈開するヒンジの周りを旋回する。劈開は、半導体ドナーウェハの一部を取り除き、それによって、セミコンダクタオンインシュレータ複合構造上の、単結晶半導体装置層500、好ましくはシリコン装置層を残す。
図3E参照のこと。
【0061】
劈開後、劈開構造は、転置された装置層500とエピタキシャル層200と多結晶シリコン電荷捕獲層300を備える単結晶半導体ハンドル基板100の接合をさらに強化するために高温アニールを受ける。適切な装置の実施例は、例えばASM A400など縦型炉である。いくつかの好ましい実施形態において、接合構造は、約1000℃から約1200℃好ましくは約1000℃の温度でアニールされる。熱アニールは、約0.5時間から約8時間の期間、好ましくは約2から4時間の期間行われる。これらの温度範囲内の熱アニールは、転置された装置層と単結晶半導体ハンドル基板の接合を強化するのに十分である。
【0062】
劈開と高温アニールをした後、接合構造は、薄い熱酸化物を取り除き、表面からパーティクルを洗浄するために設計された洗浄プロセスを受ける。いくつかの実施形態において、単結晶半導体装置層は、キャリアガスとしてH2を用いて水平流枚葉式エピタキシャル反応器で気相HClエッチングプロセスを受けることによって、所定の厚さと平坦性になる。いくつかの実施形態において、半導体装置層500は、約10nmから約20μm、約20nmから約3μm、例えば約20nmから約2μm、例えば約20nmから約1.5μmまたは約1.5μmから約3μmの厚さを有する。厚膜装置層は、約1.5μmから約20μmの装置層厚さを有する。薄膜装置層は、約0.01μmから約0.2μmび厚さを有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、エピタキシャル層は、転置された単結晶半導体装置層500に堆積される。堆積されたエピタキシャル層は、実質的に下層の単結晶半導体装置層500と同じ電気特性を備える。代わりに、エピタキシャル層は、下層の単結晶半導体装置層500と異なる電気特性を備えてもよい。エピタキシャル層は、シリコン、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウムガリウム、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された材料を含む。最終集積回路装置の所望の特性により、エピタキシャル層は、ボロン(p型)、ガリウム(p型)、アルミニウム(p型)、インジウム(p型)、リン(n型)、アンチモン(n型)、及びヒ素(n型)の中から選択されたドーパントを含む。エピタキシャル層の抵抗率は、1から50Ωcm、典型的に5から25Ωcmに及ぶ。いくつかの実施形態において、エピタキシャル層は、約10nmから約20μm、約20nmから約3μm、例えば約20nmから約2μm、例えば約20nmから約1.5μmまたは約1.5μmから約3μmの厚さを有する。
【0064】
完成したSOIウェハは、単結晶半導体ハンドル基板100、エピタキシャル層200、多結晶シリコン電荷捕獲層300、誘電体層410(例えば埋め込み酸化物層)、及び半導体装置層500を備え、その後最終ライン計測検査を受け、典型的なSC1-SC2プロセスを使って洗浄される。
【実施例0065】
それぞれ、抵抗率1500と4000Ωcmの直径200mmのボロンドープシリコン(100)の2つのグループが、RF性能を強化するために設計されたエピタキシャル層を用いる利点を示すために用いられた。基板は、市販のウェットベンチの中のSC1/SC2を使って洗浄され、続いて5μmから10μm(この実施例では5μm)のシリコン層のエピタキシャル成長がされた。シリコンエピタキシャル成長は、大気圧で、1000℃から1100℃(この実施例では1100℃)の温度で、200mmCentura反応器で行われた。トリクロロシラン(TCS)は、シリコン前駆体として用いられ、H
2はキャリアガスとして用いられた。2μm/分及び4μm/分(この実施例では4μm/分)の成長レートを提供するために用いられた典型的なプロセス条件は、TCSの流量が10g/分、H
2の流量が20slmである。エピタキシャル層の目標抵抗率は、成長温度とn型TCSバックグランドドープによって、200-2000Ωcm(この実施例では1000Ωcm)で制御された。シリコンエピタキシャル層が完成された後、ウェハは、反応器から取り出され、化学酸化物を形成するためにSC1/SC2で洗浄され、続いて堆積温度が900℃から1000℃(この実施例では950℃)であることを除いて、同じガス流を使って、同じ反応器で2.8μm厚さの多結晶シリコン堆積をした。対照ウェハは、シリコンエピタキシャル成長を受けず、多結晶シリコン堆積のみ受けた。ウェハは、その後2μmの多結晶シリコンのみを残して、滑らかな多結晶シリコン表面を形成するために研磨され、SOI製造のためのハンドル基板として用いられた。SRPとコプレーナ導波路(CPW)RF測定の両方は、完成されたSOIウェハに実行された。
図4のSRPプロファイルは、p型ハンドル基板によって、エピタキシャル層の空乏層によって、設計ハンドル基板の多結晶シリコンからハンドル基板への実質的な抵抗率の増加を示す。基板のフリーキャリアがかなり減らされた結果として、HD2は10-15%減少した。
図5を参照のこと。上記で開示された設計アプローチをせずに、同様の性能強化を達成するために、抵抗率が10倍高い基板が必要とされ、装置製造熱プロセスの間、型反転を受け入れる余地がある。型反転は、基板抵抗率の制御ができなくなることをもたらし、装置性能に負の影響をもたらす。
【0066】
詳細に発明が記載されたが、変形やバリエーションが、添付した請求項に定義された発明の範囲から逸脱せずに、可能であることは明白であろう。
【0067】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、1以上の要素があることを意味することを意図する。用語「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」は、記載された要素の他に追加の要素があるかもしれないことを含み、意味することを意図する。
【0068】
上記を考慮して、本発明のいくつかの目的は、達成され、他の有利な結果は、達成されることが理解されるであろう。
【0069】
様々な変更が本発明の範囲を逸脱せずに上記の生産物及び方法でなされることができるように、上記記載に含まれ、添付した図面に示された全ての事は、説明として解釈され、限定的な意味に解釈されないことを意図する。
単結晶半導体ハンドル基板であって、前記単結晶半導体ハンドル基板は、2つの主要なおおよそ平行な表面であって、その1つは、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面であり、他方は、前記単結晶半導体ハンドル基板の裏面である表面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面を接合する周縁エッジと、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間の中央平面と、前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と裏面の間のバルク領域とを備え、前記単結晶半導体ハンドル基板は、少なくとも約500Ωcmの最小バルク領域抵抗率を有し、さらに前記単結晶半導体ハンドル基板は、ハンドル結晶配向を有する、単結晶半導体ハンドル基板と、
前記単結晶半導体ハンドル基板の前面と直接接触するエピタキシャル層であって、前記エピタキシャル層は、約100Ωcmから約5000Ωcmの抵抗率を有し、さらに前記エピタキシャル層は、前記ハンドル結晶配向と同じ結晶配向を有する、エピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層と直接接触する電荷捕獲層であって、前記電荷捕獲層は、多結晶シリコンを含み、少なくとも約3000Ωcmの抵抗率を有する、電荷捕獲層と、
前記電荷捕獲層と直接接触する誘電体層と、
前記誘電体層と直接接触する単結晶半導体装置層と、を備える多層構造。
前記単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性p型ドーパントを含む、請求項1に記載の多層構造。
前記エピタキシャル層は、シリコン並びにヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含む、請求項10に記載の多層構造。
前記単結晶半導体ハンドル基板は、ボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性p型ドーパントを含み、
前記単結晶半導体ハンドル基板は、約2×1013atoms/cm3未満の濃度の電気活性p型ドーパントを含み、
前記エピタキシャル層は、シリコン並びにヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含み、
前記エピタキシャル層は、約1×1014atoms/cm3未満の濃度の電気活性n型ドーパントを含む、請求項1に記載の多層構造。
前記単結晶半導体ハンドル基板は、ヒ素、リン、アンチモン、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性n型ドーパントを含む、請求項1に記載の多層構造。
前記エピタキシャル層は、シリコン並びにボロン、アルミニウム、ガリウム、インジウム、及びそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択される電気活性p型ドーパントを含む、請求項15に記載の多層構造。