(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031574
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】スマート止血帯
(51)【国際特許分類】
A61B 17/132 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A61B17/132
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021215392
(22)【出願日】2021-12-29
(62)【分割の表示】P 2019537356の分割
【原出願日】2018-01-11
(31)【優先権主張番号】62/445,643
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ベイトマン
(72)【発明者】
【氏名】チー-ドン ダイ
(72)【発明者】
【氏名】チン グ
(72)【発明者】
【氏名】ソク-チュン ト
(57)【要約】
【課題】スマート止血帯の提供。
【解決手段】薬品を自己投与するためのスマート止血帯が、提供される。患者が、「注入」と呼ばれる、自身に薬品を静脈内に注入する必要があるとき、患者は、その腕の周囲にスマート止血帯を装着し、デバイスをしっかりと締める。患者がスマート止血帯を使用している間、デバイスは、「タイムスタンプ」と呼ばれる、注入の日時を自動的に記録する。患者は、注入の時間に摂取される投薬量または「単位数」を記録するためにもデバイスを使用することができる。スマート止血帯は、タイムスタンプおよび他の関連情報を記録として記憶することができる。後で、患者は、スマート止血帯自体の上で以前の記録を呼び戻すことができる。スマート止血帯は、アプリケーションと同期させられることもでき、記録は、正確かつタイムリーな医療を提供するために、患者、看護師、または医師による精査のためにダウンロードされることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、デバイス、特に、薬品が患者によって自己投与されるときの日時を自動的に記録するためのスマート止血帯に関する。
【背景技術】
【0002】
血友病は、血液が凝固する能力が極度に低減させられ、罹患者にわずかな傷害からでも極度に出血させる病状である。特に、膝、足首、および肘における深部内出血は、器官および組織を損傷させ得、それは、致死的であり得る。血友病Aまたは「古典的血友病」は、最も一般的な形態の血友病である(世界中で4,000人に1人~5,000人に1人の男性がこの障害を持って生まれる)。血友病Aを伴う患者は、第VIII因子の欠如の結果として頻繁に出血しやすい。この先天性欠損は、正常レベルの第VIII因子を有するドナーの血漿または第VIII因子凝固タンパク質を発現するように遺伝子的に操作された細胞培養物のいずれかから単離および精製された第VIII因子濃縮製剤の注入によって正常に処置されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
血友病のためのいかなる治療法も存在しないが、殆どの血友病罹患者は、(例えば、傷害または外科手術のために)患者が出血するときは常に、組み換え第VIII因子の注入を行うことによって幾分通常の生活を確実に送ることができる。一部の人々は、例えば、2日毎または3日毎に予防的注入を行うことによって「出血ゼロ日」を目指す。いずれの場合も、出血および/または注入の日時を追跡する必要性がある。血友病罹患者は、その出血エピソードおよび/または注入を記録するためにアプリケーション(例えば、そのスマートフォン上で起動するもの)を使用することができる。人物が出血する、および/または注入を行う度に、人物は、日時をアプリケーションに入力することができる。
【0004】
しかしながら、時として、血友病罹患者は、自身が出血し、出血を止めるために注入を行っているときにひどい痛みがある。痛みは、人物が出血および/または注入の日時を記録することを非常に困難にする。多くの場合、血友病罹患者は、注入の前に自身が行っていたことを継続することにより関心があり、罹患者は、時として、その出血および/または注入の日時を記録し忘れる。出血および/または注入についての不完全な情報または本情報を医療提供者に送達することの遅延は、患者の症状の誤判断または人物を処置するための時間もしくは時間帯の逸失につながり得る。最終的な結果は、痛みおよび苦しみ、またははるかに悪いものであり得る。必要とされるものは、血友病罹患者が、出血および/または注入の日時を可能な限り少ない介入で自動的に記録する方法である。
【0005】
故に、患者が注入のためにスマート止血帯を使用する度に、出血および/または注入の日時を自動的に記録するスマート止血帯が、提供される。スマート止血帯の例は、第1の端部と、第2の端部とを有する細長い部材を含む。第1の端部と第2の端部との間に延びている縦方向軸が存在する。細長い部材は、その腕等の患者の肢の周りに巻き付けるために適合される。スマート止血帯は、記録モジュールをさらに含む。記録モジュールは、細長い部材をスライド可能に受け取るためにこれを通して延びているスロットと、細長い部材の第2の端部を解放可能に捕獲するための留め端部とを有する。細長い部材が、患者の肢の周りに巻き付けられ、細長い部材の第2の端部が、留め端部によって捕獲され、記録モジュールに固定されているとき、第2の端部から離れるほうに細長い部材の第1の端部を縦方向に引っ張ることは、肢の周りにスマート止血帯をしっかりと締める。この行為は、記録モジュールに、止血帯を使用して注入物を自己投与する患者のタイムスタンプを含む記録を保存させる。
【0006】
記録モジュールは、患者が薬物の強度および投薬量を確認することに応答して、確認タイムスタンプを保存することができる。記録モジュールは、i)記録がタイムスタンプおよび投薬量を含むように患者によって自己投与される薬物の投薬量を入力すること、ii)過去の記録について問い合わせること、iii)タイムスタンプを調節すること、iv)記録モジュールによって表示されるテキストの言語を変更すること、または、v)それらの組み合わせのためのディスプレイおよび1つ以上のキーを含むことができる。記録モジュールは、少なくとも所定の期間にわたって長押しされると、記録モジュールに、止血帯を使用して薬物を自己投与する患者のタイムスタンプを保存させる機能キーを含むことができる。記録モジュールは、止血帯を使用して薬物を自己投与する患者の前のタイムスタンプとともに記録および以前の記録を記憶するためのメモリを含むことができる。
【0007】
記録モジュールは、例えば、BLUETOOTH(登録商標)、WIFI、ZIGBEE(登録商標)、またはZWAVEを使用して、コンピューティングデバイスと通信するための無線インターフェースも含むことができる。記録モジュールは、記録モジュールの留め端部が細長い部材の第2の端部を捕獲することに応答して、聴覚的合図を提供するように構成されたオーディオアラームを含むことができる。記録モジュールは、記録モジュールの留め端部が細長い部材の第2の端部を捕獲することに応答して、視覚的合図を提供するように構成された視覚アラームを含むこともできる。
【0008】
スマート止血帯のいくつかの例では、細長い部材の第2の端部および記録モジュールの留め端部は、オス型部分とメス型部分とを備えたバックルアセンブリを形成することができる。記録モジュールは、第2の端部が留め端部から解放されることに応答して、停止することができる。
【0009】
スマート止血帯の一例は、ガルバニック皮膚応答を測定するための記録モジュールに電気的に結合された電極を含む。スマート止血帯が患者の肢の周りにしっかりと締められると、電極は、患者の皮膚に接触する。記録モジュールは、次いで、電極によって測定されたガルバニック皮膚応答に応答して、タイムスタンプを保存する。
【0010】
患者が薬物を自己投与するときを追跡するための関連付けられる方法は、スマート止血帯を提供することを含む。スマート止血帯は、第1の端部と、第2の端部とを有する細長い部材を含む。第1の端部と第2の端部との間に延びている縦方向軸が存在する。細長い部材は、その腕等の患者の肢の周りに巻き付けるために適合される。スマート止血帯は、記録モジュールをさらに含む。記録モジュールは、細長い部材をスライド可能に受け取るためにそれを通して延びているスロットと、細長い部材の第2の端部を解放可能に捕獲するための留め端部とを有する。細長い部材が、患者の肢の周りに巻き付けられ、細長い部材の第2の端部が、留め端部によって捕獲され、記録モジュールに固定されるとき、第2の端部から離れるほうに細長い部材の第1の端部を縦方向に引っ張ることは、肢の周りにスマート止血帯をしっかりと締める。この行為は、記録モジュールに、止血帯を使用して注入物を自己投与する患者のタイムスタンプを含む記録を保存させる。
【0011】
方法は、止血帯を使用して薬物を自己投与する患者のタイムスタンプを含む記録を記録モジュール内に保存することをさらに含む。記録を保存することは、細長い部材の第2の端部が記録モジュールの留め端部によって捕獲され、止血帯が肢の周りにしっかりと締められることに応答する。
【0012】
有利なこととして、スマート止血帯を使用することは、患者が自身が薬物の注入を行うときを記録することに役立つことができる。さらに、スマート止血帯の有用性は、特定の薬物に縛られず、任意の製薬会社によって作製される静脈内に投与される任意の薬物を含むように拡張されることができる。したがって、スマート止血帯は、製薬会社および患者によって同様に広く採用されることができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
薬物を自己投与するための止血帯であって、前記止血帯は、
第1の端部および第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びている縦方向軸とを含む細長い部材であって、前記細長い部材は、患者の肢の周りに巻き付けるために適合されている、細長い部材と、
記録モジュールと
を備え、
前記記録モジュールは、a)前記細長い部材をスライド可能に受け取るための前記記録モジュールを通して延びているスロットと、b)前記細長い部材の前記第2の端部を解放可能に捕獲するための留め端部とを含み、
前記細長い部材が前記患者の肢の周りに巻き付けられ、前記細長い部材の前記第2の端部が前記留め端部によって捕獲されることによって、前記第2の端部が前記記録モジュールに固定されているとき、前記細長い部材の前記第1の端部を前記第2の端部から離れるほうに前記縦方向に引っ張ることに応答して、a)前記止血帯は、前記肢の周りにしっかりと締まり、b)前記記録モジュールは、前記止血帯を使用して薬物を自己投与する前記患者のタイムスタンプを記録に保存する、止血帯。
(項目2)
前記記録モジュールは、前記患者が前記薬物の強度および投薬量を確認することに応答して、確認タイムスタンプを保存する、項目1に記載の止血帯。
(項目3)
前記細長い部材の前記第2の端部と前記記録モジュールの前記留め端部とは、オス型部分とメス型部分とを備えたバックルアセンブリを形成する、項目1に記載の止血帯。
(項目4)
前記記録モジュールは、コンピューティングデバイスと通信するための無線インターフェースを含む、項目1に記載の止血帯。
(項目5)
前記無線インターフェースは、BLUETOOTH(登録商標)、WIFI、ZIGBEE(登録商標)、およびZWAVEのうちのいずれか1つを使用して前記コンピューティングデバイスと通信する、項目4に記載の止血帯。
(項目6)
前記記録モジュールは、i)前記記録が前記タイムスタンプおよび前記投薬量を含むように前記患者によって自己投与される前記薬物の前記投薬量を入力すること、ii)過去の記録について問い合わせること、iii)前記タイムスタンプを調節すること、iv)前記記録モジュールによって表示されるテキストの言語を変更すること、または、v)それらの組み合わせのためのディスプレイおよび1つ以上のキーを含む、項目1に記載の止血帯。
(項目7)
前記記録モジュールは、機能キーを含み、前記機能キーは、少なくとも所定の期間にわたって長押しされると、前記止血帯を使用して前記薬物を自己投与する前記患者の前記タイムスタンプを前記記録モジュールに保存させる、項目1に記載の止血帯。
(項目8)
前記記録モジュールは、前記止血帯を使用して前記薬物を自己投与する前記患者の前のタイムスタンプとともに前記記録および以前の記録を記憶するためのメモリを含む、項目1に記載の止血帯。
(項目9)
前記記録モジュールは、前記記録モジュールの前記留め端部が前記細長い部材の前記第2の端部を捕獲することに応答して、聴覚的合図を提供するように構成されたオーディオアラームを含む、項目1に記載の止血帯。
(項目10)
前記記録モジュールは、前記記録モジュールの前記留め端部が前記細長い部材の前記第2の端部を捕獲することに応答して、視覚的合図を提供するように構成された視覚アラームを含む、項目1に記載の止血帯。
(項目11)
前記記録モジュールは、前記第2の端部が前記留め端部から解放されることに応答して、停止する、項目1に記載の止血帯。
(項目12)
前記記録モジュールに電気的に結合された電極をさらに備え、前記電極は、前記止血帯が前記患者の肢の周りにしっかりと締められているとき、前記患者の皮膚に接触し、前記記録モジュールは、前記電極によって測定されるガルバニック皮膚応答に応答して、前記タイムスタンプを保存するように構成されている、項目1に記載の止血帯。
(項目13)
患者が薬物を自己投与するときを追跡する方法であって、前記方法は、
止血帯を提供することであって、前記止血帯は、
第1の端部および第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びている縦方向軸とを含む細長い部材であって、前記細長い部材は、患者の肢の周りに巻き付けるために適合されている、細長い部材と、
記録モジュールと
を備え、
前記記録モジュールは、a)前記細長い部材をスライド可能に受け取るために前記記録モジュールを通して延びているスロットと、b)前記細長い部材の前記第2の端部を解放可能に捕獲するための留め端部とを含む、ことと、
記録を前記記録モジュール内に保存することと
を含み、
前記記録は、前記止血帯を使用して薬物を自己投与する前記患者のタイムスタンプを含み、
前記保存することは、前記細長い部材の第2の端部が前記記録モジュールの前記留め端部によって捕獲され、前記止血帯が前記肢の周りにしっかりと締められていることに応答する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図3は、スマート止血帯動作モードの編成図である。
【
図4A】
図4A-Bは、投薬量入力モードにおいてスマート止血帯を動作させるためのフローチャートである。
【
図4B】
図4A-Bは、投薬量入力モードにおいてスマート止血帯を動作させるためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、記録問い合わせモードにおいてスマート止血帯を動作させるためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、例示的医療ネットワークの図である。
【
図7-1】
図7A-7Dは、スマート止血帯と同期させるための例示的アプリケーションの一連のスクリーンショットである。
【
図7-2】
図7A-7Dは、スマート止血帯と同期させるための例示的アプリケーションの一連のスクリーンショットである。
【
図8】
図8、9A-B、および10A-Cは、スマート止血帯をウェイクアップさせ、摂取される投薬量を入力することを含む、注入を行うためにスマート止血帯を使用する患者を示す図である。
【
図9】
図8、9A-B、および10A-Cは、スマート止血帯をウェイクアップさせ、摂取される投薬量を入力することを含む、注入を行うためにスマート止血帯を使用する患者を示す図である。
【
図10】
図8、9A-B、および10A-Cは、スマート止血帯をウェイクアップさせ、摂取される投薬量を入力することを含む、注入を行うためにスマート止血帯を使用する患者を示す図である。
【
図11】
図11A-Dは、デバイス内に記憶される注入記録を精査するためにスマート止血帯を使用する患者を示す図である。
【
図12-1】
図12A-Dは、スマート止血帯上で時間を調節する患者を示す図である。
【
図12-2】
図12A-Dは、スマート止血帯上で時間を調節する患者を示す図である。
【
図13-1】
図13A-Dは、スマート止血帯が患者と通信する言語を選択する患者を示す図である。
【
図13-2】
図13A-Dは、スマート止血帯が患者と通信する言語を選択する患者を示す図である。
【
図14】
図14は、スマート止血帯とアプリケーションとの間の接続が確立されていることを確認する患者を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
患者が自身に薬品を投与するために使用するスマート止血帯の例が、図を参照して説明される。患者が、「注入」と呼ばれる、自身に薬品を静脈内に注入する必要があるとき、患者は、例えば、その腕の周囲にスマート止血帯を装着し、スマート止血帯をしっかりと締める。スマート止血帯をしっかりと締めることは、患者が注入のための静脈を見つけるのを助ける。患者がスマート止血帯を使用している間、デバイスは、「タイムスタンプ」と呼ばれる注入の日時を自動的に記録することができる。患者は、注入の時間に摂取される薬品の投薬量または「単位数」を記録するためにスマート止血帯を使用することもできる。スマート止血帯は、タイムスタンプのみならず他の関連情報も記録として記憶することができる。後に、患者は、スマート止血帯自体の上で以前の記録を呼び戻すことができる。別の例では、スマート止血帯は、アプリケーションと同期させられることができ、記録は、患者、看護師、または医師による精査のためにスマート止血帯からダウンロードされることができる。
【0015】
血友病罹患者は、SHIRE製薬会社によって生産されるADVATE等の組み換え第VIII因子の注入を行うためにスマート止血帯を使用することができる。患者は、自発的に、または傷害の結果として起こり得る自身の出血のときは常に、出血を止めるために注入を行う。この場合、注入のタイムスタンプは、出血エピソードの日時を表す。したがって、注入のタイムスタンプを記録するスマート止血帯の下記のいずれかの議論は、出血エピソードのタイムスタンプを記録することにも適用される。血友病罹患者が出血するときの日時を自動的に記録することは、患者が非常に痛みを感じ、自身で出血エピソードを記録できないこと、または患者が忘れることもがあるので、特に有益である。
【0016】
図1は、注入中に患者の肢の周囲に堅く巻き付けるための細長い部材105と、注入(または出血エピソード)のタイムスタンプを記録するための記録モジュール110とを有するスマート止血帯100の例を示す。細長い部材105は、第1の端部115および第2の端部120と、第1および第2の端部115、120の間に延びている縦方向軸(LAと標識化される両矢印として
図2に示される)とを有する。細長い部材105は、第2の端部120が患者の肢の周囲に巻き付けられている間に第1の端部115が引っ張られることを可能にする十分な長さである。細長い部材105は、異なる肢サイズに適応するための異なる長さ、例えば、成人の腕のためのより長い細長い部材105、および子供の腕のためのより短い細長い部材105であり得る。細長い部材105は、患者の皮膚と適合する材料、例えば、患者がラテックスにアレルギーがある場合、ビニルから作製されることができる。
【0017】
記録モジュール110は、それを通して細長い部材105がスライドし得るスロット125(仮想線において
図2に示される)を含む。
図1に示されるように、記録モジュール110の長い寸法は、細長い部材105の縦方向軸LAと整列させられる。記録モジュール110は、その短い寸法に沿って、細長い部材105の第2の端部120を解放可能に捕獲するように適合された留め端部130をさらに含む。スマート止血帯100を使用するために、患者は、肢、例えば、その腕の周囲に細長い部材105の第2の端部120を巻き付け、第2の端部120を記録モジュール110の留め端部130に留める。これは、患者の肢の周囲に細長い部材105の第2の端部120の付近にループを形成する。患者は、細長い部材105の第1の端部115を第2の端部120から離れるほうに縦方向軸(Xと標識化される矢印として
図1に示される)の方向に引っ張る。これは、患者の肢の周囲のループをしっかりと締め、肢中の血液循環を低減させる。血液循環の低減は、患者の皮膚の表面の近傍の静脈が拡大し、より目立つようになることを引き起こし、それによって、患者が注入のための静脈を見つけるのを助ける。注入後、患者は、記録モジュール110上の解放ボタン135を押し、記録モジュール110の留め端部130から細長い部材105の第2の端部120を結合解除することができる。
【0018】
スマート止血帯100の便利な例では、細長い部材105の第2の端部120と記録モジュール110の留め端部130とは、バックルを形成することができる。第2の端部120は、バックルのオス型部分であり、留め端部130は、バックルのメス型部分である。この例を使用することにおいて、スマート止血帯100を留めることは、第2の端部120を留め端部130の中に挿入することを含む。代替例では、第2の端部120と留め端部130との性別は、逆転され、留め端部130が、スマート止血帯100を留めるために第2の端部120の中に挿入される。
【0019】
スマート止血帯100は、患者がデバイスを正しく使用することに役立つ機構を含むことができる。例えば、記録モジュール110は、記録モジュール110の留め端部130が細長い部材105の第2の端部120を捕獲することに応答して、聴覚的合図を提供するように構成されたオーディオアラームを含むことができる。非限定的例として、オーディオアラームからの単一のチャープ音は、スマート止血帯100が患者の肢の周囲に適切に留められていることを確認する。対照的に、オーディオアラームからの騒音がないことは、スマート止血帯100が患者の肢の周囲に適切に留められていないことを示す。
【0020】
スマート止血帯100の別の例では、記録モジュール110は、記録モジュール110の留め端部130が細長い部材105の第2の端部120を捕獲することに応答して、視覚的合図を提供するように構成された視覚アラームを含むことができる。非限定的例として、視覚アラームからの緑色光は、スマート止血帯100が患者の肢の周囲に適切に留められていることを確認する。対照的に、視覚アラームからの赤色光は、スマート止血帯100が患者の肢の周囲に適切に留められていないことを示す。スマート止血帯100のなおもさらに別の例では、聴覚的合図と視覚的合図との組み合わせが、患者がデバイスを正しく使用しているかどうかを患者に通知するために使用されることができる。有利なこととして、そのような聴覚的および/または視覚的合図に基づいて、患者は、患者がスマート止血帯100を正しく使用しているかどうかを容易に把握することができる。
【0021】
上で説明されるように、スマート止血帯100は、注入のタイムスタンプを自動的に文書に記録することができる。便利な例では、スマート止血帯100は、デバイスが、例えば、患者の腕の周囲に留められているときのタイムスタンプを記録する。このように、タイムスタンプは、患者が日時をスマート止血帯100に手動で入力することなく記録される。患者の腕の周囲にスマート止血帯100を留めることは、スマート止血帯を患者の皮膚と接触させる。スマート止血帯100に関連付けられる1つ以上の電極が、患者の皮膚のコンダクタンスを測定し、コンダクタンスは、(スマート止血帯が患者の腕の周囲に留められていない場合であろうような)空気と非常に異なる。ガルバニック皮膚応答を検出すると、スマート止血帯100は、タイムスタンプを記録する。参照を容易にするために、このタイムスタンプは、「ウェイクアップタイムスタンプ」と呼ばれる。
【0022】
スマート止血帯100は、患者が注入の強度および投薬量を確認するときの日時も記録し、それは、参照を容易にするために、「確認タイムスタンプ」と呼ばれる。再び、タイムスタンプは、患者が日時をスマート止血帯100に手動で入力することなく記録される。ウェイクアップタイムスタンプおよび確認タイムスタンプは、下でより詳細に説明されるであろうように、ユーザが注入を行った、および/または、出血エピソードを有していたときを追跡するために使用されることができる。
【0023】
加えて、ウェイクアップおよび確認タイムスタンプを含む記録は、注入/出血エピソードについての情報が欠落しているときを識別し、欠落している情報を提供することを患者にリマインドするために使用されることができる。例えば、ウェイクアップタイムスタンプの記録の後に確認タイムスタンプの記録が続かないとき、注入/出血エピソードについての情報欠落が存在し得る。スマート止血帯100またはデバイスに関連付けられるアプリケーション(そのようなアプリケーションの例が、
図6を参照して下で説明される)は、欠落している日付、時間、強度、および投薬量を入力するように患者を促すことができる。
【0024】
注入/出血エピソード情報を記録することを患者にリマインドするプロセスも、時間に基づくことができる。例えば、スマート止血帯100がウェイクアップタイムスタンプを記録するとき、タイマが、カウントダウンを開始する。スマート止血帯100が、タイマが終了する時間までに確認タイムスタンプを記録しない場合、スマート止血帯100(またはデバイス)は、注入/出血エピソードについての情報を提供することを患者にリマインドする。有利なこととして、前述は、注入または出血エピソードについての情報が記録されていない可能性を低減させる。
【0025】
図2は、面140と、対向する第1の側145aおよび第2の側145bとを有する記録モジュール110の例を示し、第1の側145aおよび第2の側145bは、記録モジュール110の長い寸法と整列させられている。面140は、情報、例えば、注入のタイムスタンプを患者に示すためのディスプレイ150を含む。ディスプレイ150は、LCD(液晶ディスプレイ)パネルであり得る。示されるように、ディスプレイ150の近傍の面140上に、視覚的合図を患者に提供するためのインジケータ155が存在する。インジケータ155は、スマート止血帯100が「アウェイク中」であり、タイムスタンプを記録できる状態であるときに照らされるLED(発光ダイオード)ライトであり得る。LEDライトは、スマート止血帯100が「スリープ中」であり、タイムスタンプを記録できる状態にないときに照らされない。有益なこととして、患者は、インジケータ155を見ることによって、スマート止血帯100が患者が使用できる状態であるかどうかを容易に見分けることができる。インジケータ155によって伝えられる情報の別の例として、明滅するLEDは、スマート止血帯100が適切に機能しておらず、整備または交換を必要とすることを示すことができる。
【0026】
図2に示される配列では、後でより詳細に説明されるであろうように、記録モジュール110の第1の側145aに沿って、スマート止血帯100の動作モードを切り替えるための機能キー160が存在する。加えて、記録モジュール110の第2の側145bに沿って、情報を記録モジュール110に入力するための第1のキー165aおよび第2のキー165bが存在する。第1のキー165aおよび第2のキー165bは、入力の値を増加または減少させるために使用されることができる。第1のキー165aおよび第2のキー165bは、入力すべき入力を選択するとき、進むために、または戻るために使用されることもできる。参照を容易にするために、第1のキー165aおよび第2のキー165bは、それぞれ、「プラスキー」および「マイナスキー」と呼ばれ、集合的に、「プラス/マイナスキー」165と呼ばれる。下でより詳細に説明されるであろうように、それらの標識とは無関係に、プラス/マイナスキー165は、情報を入力するために使用される。
【0027】
キーは、いくつかの可能な形状のみを挙げると、ボタンまたはバーの形態であり得る。例えば、プラス/マイナスキー165は、トグルバーのいずれの端部を患者が押すかに応じて、プラスボタンまたはマイナスボタンとしての機能を果たす「トグル」バーであり得る。キーは、多機能性でもあり得る。便利な例では、機能キー160は、タイムスタンプを記録する追加機能を有することができる。この例では、患者は、タイムスタンプを記録するために、所定の期間(例えば、少なくとも3秒)にわたって機能キー160を押し下げておく。有利なこととして、前述の例は、スマート止血帯100のロバスト性を追加し、使用性を増加させるタイムスタンプを記録する代替方法を提供する。
【0028】
1つ以上のキーが、スマート止血帯100をオンおよび/またはオフにするために使用されることができる。例えば、3秒にわたってプラス/マイナスキー165を長押しすることは、スマート止血帯100をオンにする。再び同様に行うことは、スマート止血帯100をオフにする。スマート止血帯100は、キーおよび押し下げておく時間の任意の組み合わせを使用してオンおよび/またはオフになるように設計され得ることを理解されたい。
【0029】
代替例では、いかなるキーも存在せず、ディスプレイ150は、患者のタッチを感知する。この「タッチスクリーン」例では、物理的キーが、患者がタッチし得るディスプレイ150上に示されるアイコンと置換される。前述の機能のうちのいずれかが、タッチスクリーンの1回以上のタップで患者によってアクセスされることができる。
【0030】
上で説明されるように、スマート止血帯100は、患者によって摂取される薬品の投薬量または「単位数」を記録し、過去の注入の情報を呼び戻すことができる。これらおよび他の特徴が、
図2へのさらなる参照とともに
図3-5を参照して説明される。
図3から始めると、図は、スマート止血帯100の動作モードをアクティブにするための一連のインターフェース200を示す。一連のもの200は、ウェルカムインターフェース205と、投薬量入力インターフェース210と、記録問い合わせインターフェース215と、時間調節インターフェース220と、言語インターフェース225とを含む。これらのインターフェースは、画面としてディスプレイ150上に示されることができる。ウェルカムインターフェース205または「ホームスクリーン」は、現在の日時等の情報を提供することができる。患者に提供され得る他の情報は、スマート止血帯100を使用する方法に関する指示、ファームウェアバージョン番号、および法律情報を含む。
【0031】
患者は、動作モードを選択するためにインターフェースを切り替える。非限定的例として、スマート止血帯100は、ウェルカムインターフェース205から(例えば、スマート止血帯100がウェイクアップした後に)開始される。患者は、ウェルカムインターフェース205から投薬量入力インターフェース210に切り替えるために、記録モジュール110上の機能キー160を押すことができる。この時点で、患者は、投薬量入力動作モードがアクティブになるまで待つことができるか、または、患者は、次のインターフェースである記録問い合わせインターフェース215に切り替えるために機能キー160を再び押すことができる。ユーザは、動作モードがアクティブにされるまで、一連のインターフェース200を何度も繰り返すことができる。患者が動作モードをアクティブにできる限り、より多くの、またはより少ない
図3に示されるようなインターフェースが存在し得る。
【0032】
注入のより完全な記録のために、摂取された薬品の投薬量が、注入の日時とともに追跡されることができる。投薬の時間および量を把握することは、例えば、投薬計画を考案するのに役立ち得る。慣例により、薬品投薬量は、国際単位(IU)において測定される。
図4は、参照を容易にするためにプロセス300と称される投薬量入力動作モードにおいて機能するスマート止血帯100の例を示す。プロセス300と患者との間の相互作用は、上で説明されるように、機能キー160、プラス/マイナスキー165、およびディスプレイ150を使用して実行されることができる。
【0033】
プロセス300は、
図3を参照して上で説明されるように、患者が投薬量入力インターフェース210に切り替え、投薬量入力動作モードをアクティブにすることから開始される(301)。プロセス300は、患者に最後の注入から保存された強度および投薬量を示し、患者が保存された値を使用することを欲するかどうかを質問する(308)。プロセス300が患者から「はい」を受信すると、プロセス300は、
図4Bのステップ340に進み、最後の注入からの強度および投薬量の記録を確認するように患者に求める。有利なこととして、これは、以前の注入からのいかなる変更も存在しないとき、患者に情報を再入力させないことによって、患者の時間を節約する。
【0034】
図4Aに再び目を向けると、プロセス300がチェック308において患者から「いいえ」を受信すると、プロセス300は、次いで、投薬量を入力するために強度(増分)を選択するように患者に求める(310)。患者は、強度選択を行うためにプラス/マイナスキー165を使用する。非限定的例として、患者は、250IUの強度を選択するためにマイナスキー165bを押し、500IUの強度を選択するためにプラスキー165aを押す。
【0035】
プロセス300は、選択された強度を確認するように患者に求める(315)。患者は、強度選択を確認するためにプラス/マイナスキー165を使用する(例えば、患者は、「いいえ」のためにマイナスキー165bを押し、「はい」のためにプラスキー165aを押す)。プロセス300がチェック320において患者から「いいえ」を受信すると、プロセス300は、強度を選択するように患者に求めること(310)に戻る。プロセス300がチェック320において患者から「はい」を受信すると、プロセス300は、デフォルト投薬量を提供する(325)。デフォルト投薬量は、患者によって入力された最後の投薬量であり得る。
【0036】
患者は、選択された強度だけデフォルト投薬量を増加または減少させるためにプラス/マイナスキー165を使用する。非限定的例として、患者は、250IUの強度を選択および確認する。患者は、1,000IUのデフォルト投薬量を250IUだけ増加させるためにプラスキー165aを押し、1,250IUの投薬量が入力されることをもたらす。患者は、1,000IUのデフォルト投薬量を250IUだけ減少させるためにマイナスキー165bを押し、750IUの投薬量が入力されることをもたらす。
【0037】
図4Bに続くと、患者が投薬量を入力した後、プロセス300は、入力された投薬量を確認するように患者に求める(330)。ユーザは、投薬量入力を確認するためにプラス/マイナスキー165を使用する(例えば、患者は、「いいえ」のためにマイナスキー165bを押し、「はい」のためにプラスキー165aを押す)。プロセス300がチェック335において患者から「いいえ」を受信すると、プロセス300は、選択された強度だけ増加または減少させるために患者にデフォルト投薬量を提供すること(
図4Aの325)に戻る。プロセス300がチェック335において患者から「はい」を受信すると、プロセス300は、入力された投薬量を記録する(340)。プロセス300は、患者が投薬量入力インターフェース210に戻されると終了する(345)。患者は、ウェルカムインターフェース205に戻されることもできる。
【0038】
便利な例では、プロセス300は、注入の投薬量を表すデータとタイムスタンプを表すデータとが関連付けられるか、または別様に一緒にリンクされるように、入力された投薬量を記録する。有利なこととして、投薬量は、タイムスタンプに基づいて見られることができる。代替として、投薬量は、1つ以上のタイムスタンプを調べるために使用されることができる。そのような情報は、例えば、患者が注入に応答している様子を分析することにおいて有用であり得る。
【0039】
過去において患者が薬品を摂取したとき、およびいくつかの事例では、患者が摂取した量を把握することが、有用であり得る。例えば、医師は、処方された処置の有効性を分析するために、過去の注入の履歴を精査することができる。別の例として、患者は、自身の次の注入の時間であるかどうかを決定するために、自身の最後の注入の日時を使用することができる。
図5は、参照を容易にするためにプロセス400と称される、記録問い合わせ動作モードにおいて機能するスマート止血帯100の例を示す。プロセス400は、過去の注入または「記録」のタイムスタンプを呼び戻す能力を患者に提供する。記録は、注入の時間に摂取された薬品投薬量を含むこともできる。プロセス400と患者との間の相互作用は、上で説明されるように、機能キー160、プラス/マイナスキー165、およびディスプレイ150を使用して実行されることができる。
【0040】
プロセス400は、
図3を参照して上で説明されるように、患者が記録問い合わせインターフェース215に切り替え、記録問い合わせ動作モードをアクティブにすることから開始される(405)。プロセス400は、最後の注入のタイムスタンプを含む最後に保存された記録をディスプレイ150上で示す(410)。患者は、「次に保存された記録」を確認するためにプラス/マイナスキー165を使用することができる。記録は、逆時系列で編成されることができ、最も新しい記録が、最初に示され、最も古い記録が、最後に示される。患者がプラス/マイナスキー165を押すことに応答して、プロセス400は、次に保存された記録を表示する(415)。患者がプラス/マイナスキー165を押し続けると、プロセス400は、次に保存された記録を表示し続ける(415)(ループ状矢印として図に表される)。プロセス400は、全ての保存された記録が患者に示されると、次に保存された記録を表示すること(415)を終了することができる。代替として、プロセス400は、患者がプラス/マイナスキー165を押し続ける限り、次に保存された記録を表示し続け(415)、保存された記録をループすることができる。プロセス400は、患者が機能キー160を押し、記録問い合わせ動作モードを終了し、ウェルカムインターフェース205に戻されると終了する(420)。
【0041】
先に説明されるように、記録モジュール110は、注入の日時を提供するためのクロックを含むことができる。クロックは、手動で設定され得、例えば、患者は、日時を設定するために、機能キー160およびプラス/マイナスキー165を使用することができる。クロックは、患者の介入を伴わずに自動的に設定されることもできる。例えば、スマート止血帯100は、アプリケーションと同期させられることができ、クロックは、アプリケーションによって設定されることができる。この例では、患者は、時間調節動作モードをアクティブにするために、時間調節インターフェース220に切り替える。スマート止血帯100は、クロックを調節するために、アプリケーションから(例えば、アプリケーションにクエリを行うことによって)現在の日時を取得する。(スマート止血帯100とアプリケーションとの間の同期プロセスは、下でより詳細に説明されるであろう。)別の例では、スマート止血帯100は、インターネットに接続され、ネットワーク時間プロトコル(NTP)等のクロック同期のためのネットワーキングプロトコルに従って日時情報を受信することができる。さらに別の例では、スマート止血帯100は、WIFIアクセスポイントによって伝送されるビーコンフレーム等の日時情報を伝える無線信号を受信することができる。
【0042】
スマート止血帯100をアプリケーションと同期させることは、患者の注入記録がスマート止血帯100からアプリケーションに送信され得るので、有用であり得る。アプリケーションは、次いで、例えば、記録を(アプリケーションを使用して患者によって与えられていることもある)他の情報と組み合わせ、分析を提供することができ、それは、患者がその自身の治療を管理することに役立つことができる。組み換え第VIII因子の注入を行っている血友病罹患者に対して、アプリケーションに入力された情報は、注入の理由(例えば、予防、自発的、傷害、外科手術/歯科、経過観察、またはその他)を含むことができる。そのような情報は、患者により完全な医療を提供するために、医療提供者のネットワークに利用可能にされることもできる。
【0043】
図6は、患者505と、集合的に510と称される医師510aおよび看護師510b等の医療提供者とを含む例示的医療ネットワーク500を示す。患者505は、上で説明されるように、注入物を自己投与するために、および注入の日時を記録するために、スマート止血帯100を使用する。スマート止血帯100は、いくつかのみ例を挙げると、BLUETOOTH(登録商標)、WIFI、ZIGBEE(登録商標)、およびZWAVE等の任意の数の無線通信プロトコルに従ってコンピューティングデバイス515に無線で接続される。
【0044】
スマート止血帯100は、無線通信プロトコル520を使用して、コンピューティングデバイス515に無線で接続される。例に示されるように、無線通信プロトコル520は、BLUETOOTH(登録商標)である。無線通信プロトコル520は、いくつかのみ例を挙げると、WIFI、ZIGBEE(登録商標)、およびZWAVEでもあり得る。コンピューティングデバイス515は、(示されるような)スマートフォンまたは他のモバイルデバイスであり得、スマート止血帯100に付随するアプリケーション525を起動することができる。コンピューティングデバイス515に接続されると、スマート止血帯100は、アプリケーション525と同期させられることができ、記録および他の情報が、コンピューティングデバイス515に送信されることができる。記録をコンピューティングデバイス515にダウンロードすることは、スマート止血帯100上よりも記録を記憶するためのより多くのメモリが存在するので、有利である。加えて、コンピューティングデバイス515は、分析を実施するためのより多くの算出能力を有する。
【0045】
保存された記録をスマート止血帯100から転送することの別の利益は、記録が、次いで、他の患者情報とともに、医療提供者510と共有され得ることである。コンピューティングデバイス515は、インターネットまたはプライベートネットワーク(図示せず)等のネットワークに結合される。医療提供者510は、ネットワークを経由して電子メッセージ(例えば、要求および応答)を送信および受信することによって、自己投与された注入物の記録を含む患者の情報にアクセスすることができる。電子メッセージは、地域の規制(例えば、米国では、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律または「HIP
AA」)に従って、健康情報のプライバシーおよびセキュリティを提供するようにセキュアにされることができる。
【0046】
スマート止血帯100およびアプリケーションを使用して患者によって提供された情報に基づいて、医療提供者510は、処方された処置の有効性を分析し、いくつかの事例では、処置を修正することができる。有利なこととして、医療ネットワーク500は、患者505と、患者に医療を提供することにおける患者のフィードバックとを含む。
【0047】
医療ネットワーク500は、それが患者505を医療提供者510と接続するので、有利である。加えて、医療ネットワーク500は、注入についての情報が(スマート止血帯100を用いて)自動的に収集されることを可能にし、それによって、その情報を医療提供者510に送達することにおけるいかなる遅延も低減させる。例えば、注入情報は、スマート止血帯100がアプリケーション525と同期させられることに応答して収集される。順に、医療提供者510は、患者505にタイムリーかつ正確な医療を提供することができる。
【0048】
図7A-7Dは、組み換え第VIII因子の注入を追跡するために血友病罹患者によって使用されるアプリケーション600の一連のスクリーンショットを示す。
図7Aに示されるように、アプリケーション600は、人物がスマート止血帯(
図1および2のスマート止血帯100等)からの過去の注入の記録を同期させ、ダウンロードするために押す仮想ボタン605を含む。
図7Bでは、アプリケーション600は、ダウンロードされた記録610a-fをリストとして表示することができる。
図7Cでは、人物は、記録610aを選択する(ポインティングアイコンとして図に示される)。
図7Dでは、選択に応答して、アプリケーション600は、防止(例えば、予防的処置)または処置(例えば、自発的出血を止めるため)のいずれかであるような選択された注入のための理由を識別するように人物に求めるポップアップウィンドウ615を提供する。有利なこととして、アプリケーション600は、注入についてのより多くの情報を提供するためのステップ、患者がタイムスタンプを入力する必要性なく、スマート止血帯によって記録された注入のタイムスタンプを通して人物を誘導する。
【0049】
図1および2のスマート止血帯100等のスマート止血帯の例示的使用が、本開示の残りの図を参照して説明される。使用は、(標識「動作:」によって図に識別される)患者によってとられたアクションおよび(標識「表示:」および「記録:」によって図に識別される)スマート止血帯によって表示および記録された情報の観点から説明される。いくつかの事例では、スマート止血帯は、情報を記録できておらず、これは、該当なしのための「NA」として図に表される。
【0050】
議論のために、記録は、「データベース」に保存されているとして説明される。データベースは、行および列を有する表として図に示される。情報の各行は、関連情報の集合を表す。当業者は、記録がリンクされたリストまたはアレイ等の任意の数のデータ構造として実装され得ることを容易に認識するであろう。
【0051】
図8、9A-B、および10A-Cは、患者が、スマート止血帯をウェイクアップさせることと、摂取された強度および投薬量を入力することとを含む注入を行うためにスマート止血帯を使用することを示す。
図8では、患者は、その腕の周囲にデバイスをしっかりと締めることによってスマート止血帯をウェイクアップさせる。応答して、スマート止血帯は、デバイスがウェイクアップしたときの日時を含む(「SN1」として図に標識化される)第1の記録(すなわち、ウェイクアップタイムスタンプ)を保存する。患者は、デバイスがウェイクアップすると同時に注入を行わないので、ウェイクアップ時間に関連付けられる強度および投薬量値は、図に示されるような「空値」である。
【0052】
図9A-Bは、患者が、患者が行った注入の強度および投薬量を入力するためにスマート止血帯を使用すること示す。
図9Aでは、
図3を参照して上で説明されるように、患者は、「投薬量」画面(例えば、
図3の投薬量入力インターフェース210)に切り替え、投薬量入力動作モードをアクティブにする。
図9Bでは、スマート止血帯は、最後に保存された強度および投薬量を表示する。いかなる最後に保存された強度および投薬量も存在しない(例えば、スマート止血帯が初めて、またはリセットされた後に使用される)場合、デバイスは、ゼロの値を表示する。示される例では、注入の強度および投薬量は、最後に保存された強度および投薬量と同一である。患者は、最後に保存された強度および投薬量を確認する。確認に応答して、スマート止血帯は、強度および投薬量が確認されるときの日時を含む(「SN2」として図に標識化される)第2の記録(すなわち、確認タイムスタンプ)を保存する。便利な例では、スマート止血帯は、3秒(または他の量の時間)にわたって「成功」を表示し、「投薬量」画面に戻る。
【0053】
図10A-Cは、投薬量入力動作モードにおけるスマート止血帯と、患者が以前の注入と異なる注入の強度および投薬量を入力することを示す。
図10Aでは、患者は、強度を選択し、次いで、
図10Bでは、所望の投薬量に到達するまで、その強度だけ(示されるように)増加または減少させることによって投薬量を調節する。
図10Cでは、患者は、入力された投薬量を確認する。スマート止血帯は、順に、強度および投薬量が確認されるときの日時を含む(「SN3」として図に標識化される)第3の記録を保存する。便利な例では、スマート止血帯は、ゼロ投薬量を伴う記録(すなわち、確認タイムスタンプ)をデータベースに追加しない。スマート止血帯は、3秒(または他の量の時間)にわたって「成功」を表示し、「投薬量」画面に戻る。
【0054】
図11A-Dは、患者がデバイス内に記憶された注入記録を精査するためにスマート止血帯を使用することを示す。
図11Aでは、
図3を参照して上で説明されるように、患者は、「記録」画面(例えば、
図3の記録問い合わせインターフェース215)に切り替え、記録問い合わせ動作モードをアクティブにする。
図11Bでは、スマート止血帯は、最後の注入のタイムスタンプ、強度、および投薬量を含む最後に保存された記録を表示する。
図11Cでは、患者は、例えば、
図1および2のプラス/マイナスキー165を使用して、他の注入記録を閲覧することができる。スマート止血帯は、空値ではない強度および投薬量値を有する記録を表示する。この特徴は、患者が注入を開始したが、ある理由から注入を行わなかったときの時間から患者が実際に注入を行ったときの時間を区別することに役立つことができる。これは、患者が、典型的には、充実した活動的な生活を送り、患者が過去の事象を明確に思い出すことを困難にすることを考慮すると、特に有益である。
図11Dでは、患者は、「記録」画面に戻るために機能ボタンを押す。
【0055】
図12A-Cは、患者がスマート止血帯上で時間を調節することを示す。
図11Aでは、
図3を参照して上で説明されるように、患者は、「時間調節」画面(例えば、
図3の時間調節インターフェース220)に切り替え、時間調節動作モードをアクティブにする。
図12B-Cでは、このモードの間、患者は、示されるように時間を調節することができる。
図12Dでは、患者は、「時間調節」画面に戻るために機能ボタンを押す。
【0056】
図13A-Dは、患者がスマート止血帯が患者と通信する言語を選択することを示す。
図13Aでは、患者は、「言語」画面(例えば、
図3の言語インターフェース225)に切り替え、時間調節動作モードをアクティブにする。示される例では、「言語」画面は、中国語で書き込まれる。
図13B-Cでは、このモードで動作する間、患者は、スマート止血帯上で利用可能な言語からある言語を選択することができる。示される例では、患者は、英語を選択する。
図13Dでは、患者は、ここでは英語で書き込まれる「言語」画面に戻るために機能ボタンを押す。
【0057】
前述で説明されるように、スマート止血帯は、
図6のアプリケーション525等のアプリケーションと同期させられることができる。同期させられると、注入記録は、分析および/または他者との共有のためにアプリケーションに転送されることができる。同期プロセスは、スマート止血帯とアプリケーションとの間に接続(例えば、無線BLUETOOTH(登録商標)接続)を確立することを含むことができる。
図14は、患者がスマート止血帯とアプリケーションとの間の接続が確立されていることを確認することを示す。(示される例では、アプリケーションは、モバイル電話上で起動しており、接続は、スマート止血帯とモバイル電話との間で成されている。)便利な例では、患者は、スマート止血帯がアプリケーションから接続する要求を受信することに応答して、接続を確認するように求められる。
【0058】
上で説明されるように、スマート止血帯100は、患者が薬物の注入を行ったときを記録することに役立つことができる。スマート止血帯100の有用性は、単一の特定の薬物を超えて拡大し、任意の製薬会社によって作製される静脈内に投与される任意の薬物に容易に適用され得ることに留意されたい。薬物産業では、薬物メーカーがそれらの薬物を投与するために使用されなければならない自動注入装置等の薬物送達デバイスを設計および販売することは、一般的な方法である。例えば、患者は、(企業Yのデバイスが患者にとって使用することがより容易である場合であっても)企業Xのインスリンペンを使用して企業Xのインスリンを自身に注入することしかできない。有利なこととして、スマート止血帯100は、特定の薬物に縛られず、製薬会社および患者によって同様に広く採用されることができる。
【0059】
本明細書に採用された用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、説明される特徴(またはその一部)のいかなる均等物も除外するいかなる意図も存在せず、種々の修正が、請求項の範囲内で可能であることが認識される。故に、請求項は、全てのそのような均等物を網羅することを意図している。
【0060】
(参照による組み込み)
本開示全体を通して参照された特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、新聞、およびウェブコンテンツ等の他の文書のありとあらゆる参照ならびに引用は、あらゆる目的のために、本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0061】
(均等物)
本発明は、その精神または不可欠な特性から逸脱することなく、他の具体的形態において具現化され得る。前述の実施形態は、したがって、本明細書に説明される本発明に対する限定ではなく、あらゆる点で例証的と見なされるものである。
【外国語明細書】