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特開2022-31761難水溶性成分の溶解性を向上させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031761
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】難水溶性成分の溶解性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20220215BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189125
(22)【出願日】2021-11-22
(62)【分割の表示】P 2017018348の分割
【原出願日】2017-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕之
(72)【発明者】
【氏名】津島 康宏
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水性化粧料などの化粧料に応用可能な、難水溶性成分の水への溶解性を向上させる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水の存在下で、下記式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を配合することを含む、前記難水溶性成分の溶解性を向上させる方法を提供する。

(式中、Rは式(2)で表される基又はC数2若しくは3の炭化水素基を表す。)

(式中、RはC数1~3のアルキレン基を表し、nは0または1の数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の存在下で、下記一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を配合することを含む、前記難水溶性成分の溶解性を向上させる方法。
【化1】
(式中、Rは一般式(2)で表される基又は炭素数2若しくは3の炭化水素基を表す。)
【化2】
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を表し、nは0または1の数を表す。)
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物が、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で配合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記難水溶性成分が、難水溶性抗菌防腐剤、難水溶性酸化防止剤、難水溶性ビタミン類、難水溶性紫外線吸収剤、難水溶性香料、難水溶性美容成分及び難水溶性植物油からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記難水溶性成分が、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で配合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
更に、アルコール化合物を配合することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤を使用しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を用いることを含む、水性化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難水溶性成分の水への溶解性を向上させる方法であり、さらに前記難水溶性成分の溶解性を向上させる工程を含む、水系化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には大別して、水を分散媒として水を多く含む水系化粧料と、油性成分を分散媒とする油性成分を多く含む油系化粧料とがある。中でも、べたつきが少なく安全性や使用感の面から好まれる水系化粧料は、市場やニーズが大きく、水系化粧料の高機能化技術や改良技術は今後も非常に重要な技術として求められている。
【0003】
水系化粧料を高機能化する一般的な方法としては、各種添加剤の使用が挙げられる。水系化粧料に添加される添加剤としては、例えば、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、ビタミン類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌防腐剤、美容成分、香料及び各種抽出物等が挙げられ、その他にも必要に応じて、様々な添加剤が配合される。これら添加剤には、水溶性の高いものと、油溶性の高いものが存在する。水系化粧料への水溶性の高い添加剤の添加は容易であったが、場合によっては油溶性の高い添加剤の配合も必要であり、当該技術には工夫が必要であった。
【0004】
水系化粧料に様々な機能を付与する中で、油溶性の高い添加剤を水系化粧料に配合する一般的な方法としては、乳化剤や可溶化剤のような界面活性剤の使用が挙げられる。例えば、特許文献1には、(a)保湿剤を10~40質量%、(b)油分を0.01~3質量%、(c)親水性界面活性剤を0.01~5質量%、及び(d)ポリアクリル酸又はその金属塩を0.001~0.3質量%含有する水系の液状化粧料が開示されている。特許文献2には、(A)HLB8~13のアルキルエチレンオキサイド型界面活性剤と、(B)油性成分10~40質量%と、(C)水とを含有する水系の化粧料が開示されている。また、特許文献3には、成分(a)油溶性成分を成分(b)フェノキシエタノールに溶解させ、成分(c)界面活性剤、成分(d)水に配合することにより得られる透明な水系化粧料が開示されている。
【0005】
しかしながら、乳化剤や可溶化剤は本来混じり合うことのない水若しくは水性成分と油若しくは油溶性成分を混ぜるために加える物質であるため、水系化粧料にこれらを配合し使用すると、人間の肌の表面に存在する皮脂という天然の油溶性成分をも一緒に乳化若しくは可溶化させてしまう場合があり、これが肌のトラブルの原因となる場合があることから、用途によっては乳化剤や可溶化剤の使用量を減らす、若しくは使用しない方が好ましい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-147434号公報
【特許文献2】特表2011-001359号公報
【特許文献3】特開2008-195676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
乳化剤や可溶化剤の使用制限がない用途において、特許文献1~3に記載の先行技術のように、油溶性成分を水系化粧料に配合し、水系化粧料の高機能化が可能である。しかし、乳化剤や可溶化剤の使用が好まれない用途においては油溶性の成分、すなわち水に溶けにくい成分(難水溶性成分)による水系化粧料の高機能化は非常に困難と言える。
【0008】
従って、本発明が解決しようとする課題は、難水溶性成分の溶解性を向上させる方法を提供することである。更に水系化粧料の製造に当該方法を使用した場合に、一般的に使用される化粧料用乳化剤や可溶化剤の使用量を減らす若しくは使用せず、難水溶性成分を水系化粧料に配合する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者らは鋭意検討し、本発明に至った。即ち、本発明は、水の存在下、下記一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を配合することを含む、前記難水溶性成分の溶解性を向上させる方法である。
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Rは一般式(2)で表される基又は炭素数2若しくは3の炭化水素基を表す。)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を表し、nは0または1の数を表す。)
【発明の効果】
【0014】
本発明を用いると、難水溶性成分の水への溶解性を向上させることができ、乳化剤や可溶化剤を減量して、もしくは使用する必要なく、水系化粧料を製造できることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、難水溶性成分の溶解性を向上させる方法であり、具体的には、水の存在下、下記一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を配合することを特徴とする、前記難水溶性成分の溶解性を向上させる方法である。なお、本発明の方法は、乳化剤や可溶化剤等の界面活性剤を使用することなく、難水溶性成分の溶解性を向上させることができる方法である。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、Rは一般式(2)で表される基又は炭素数2若しくは3の炭化水素基を表す。)
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を表し、nは0または1の数を表す。)
【0020】
一般式(1)において、Rは、一般式(2)で表される基又は炭素数2若しくは3の炭化水素基を表す。炭素数2若しくは3の炭化水素基としては、例えばエチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすいことから、プロピル基が好ましい。
【0021】
一般式(2)において、Rは、炭素数1~3のアルキレン基を表し、こうした基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。中でも、原料の調達及び製造が容易であることから、メチレン基及びエチレン基が好ましい。
nは、0または1の数を表し、本発明の効果が得られやすい化合物が得られることから、nは0であることが好ましい。
【0022】
一般式(1)の化合物の入手について、直接一般式(1)の化合物を製造することもでき、あるいは市販されている製品を購入することも可能である。
一般式(1)で表される化合物の製造方法は特に限定されず、公知の製造方法であればいずれの製造方法も使用することができる。
中でも、一般式(1)で表される化合物中のRが炭素数2若しくは3の炭化水素基である場合は、下記の製造方法i若しくはiiいずれかの方法で製造する又は市販品を購入ことが簡便であるため好ましい。
【0023】
製造方法i
触媒存在下で、過酸化水素水とオレフィンとを反応させて1,2-ジオールを製造する方法、
製造方法ii
酸化剤存在下で、オレフィンからエポキシドを経由して1,2-ジオールを製造する方法
【0024】
上記の製造方法i,ii及び市販品の購入の中からは、より簡便であることから市販品の購入がより好ましく、市販品としては、大阪有機化学工業株式会社製、東京化成工業株式会社製、高級アルコール工業株式会社製の製品が挙げられる。
【0025】
また、一般式(1)で表される化合物中のRが一般式(2)で表される基である場合は、下記の製造方法I~VIいずれかの方法で製造することが簡便かつ安価であるため好ましい。
【0026】
製造方法I
下記の一般式(3)で表されるアルコール化合物とグリセリンとを脱水縮合反応させる方法、
【0027】
【化5】
【0028】
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を表し、mは0または1の数を表す。)
【0029】
製造方法II
上記一般式(3)で表されるアルコール化合物と1-クロロ-2,3-プロパンジオールとを脱塩酸反応させる方法、
製造方法III
一般式(3)で表されるアルコール化合物とエピクロルヒドリンとを反応させた後、得られたグリシジルエーテル化合物を加水分解する方法、
製造方IV
一般式(3)で表されるアルコール化合物とグリシドールとを反応させる方法、
製造方法V
一般式(3)で表されるアルコール化合物とアリルクロライド又はアリルブロマイドとを反応させた後、過酸化水素等で酸化させ、得られたグリシジルエーテル化合物を加水分解する方法、
製造方法VI
下記の一般式(4)で表される化合物とグリセリンとを脱ハロゲン化水素反応させる方法
【0030】
【化6】
【0031】
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を表し、qは0または1の数を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【0032】
上記の方法の中で、より簡便かつ安価であることから、製造方法IIIの方法で製造することがより好ましい。
【0033】
一般式(3)において、Rは、炭素数1~3のアルキレン基を表し、こうした基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。中でも、原料の調達及び製造が容易であることから、メチレン基及びエチレン基が好ましい。mは、0または1の数を表し、本発明の効果が得られやすい化合物が得られることから、0であることが好ましい。
【0034】
一般式(4)において、Rは、炭素数1~3のアルキレン基を表し、こうした基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。中でも、原料の調達及び製造が容易であることから、メチレン基及びエチレン基が好ましい。qは、0または1の数を表し、本発明の効果が得られやすい化合物が得られることから、0であることが好ましい。
【0035】
一般式(1)で表される化合物の配合量は特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で一般式(1)で表される化合物が配合されることが好ましく、0.5~20質量%の量で配合されることがより好ましく、1~10質量%の量で配合されることが更に好ましい。
【0036】
本発明に使用する水は、水道水であっても精製水であってもよい。水の使用量は特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して40~99.9質量%の量で水が存在することがより好ましく、60~99質量%量で水が存在することが更に好ましく、80~98質量%量で水が存在することがより更に好ましい。
【0037】
本発明に使用する難水溶性成分は、油溶性の高い、水に溶け難い成分(水への溶解度が3[g/100g水]以下のもの)であれば特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、難水溶性抗菌防腐剤、難水溶性酸化防止剤、難水溶性ビタミン類、難水溶性紫外線吸収剤、難水溶性香料、難水溶性美容成分及び難水溶性植物油からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましく、難水溶性抗菌防腐剤、難水溶性紫外線吸収剤、難水溶性ビタミン類、難水溶性香料からなる群から選択される1種または2種以上であることがより好ましい。
【0038】
難水溶性抗菌防腐剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール、クロルフェネシン、n-ヘキシルグリセリルエーテル、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、カプリリルグリコール、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、レゾルシン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ヒノキチオール、フェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも本発明の効果が得られやすいことから、n-ヘキシルグリセリルエーテル、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、カプリリルグリコール、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0039】
難水溶性酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、没食子酸プロピル、没食子酸誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸リン酸エステル等)、トコフェロール、トコフェロール誘導体、エリソルビン酸、p-t-ブチルフェノール、フィチン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも本発明の効果が得られやすいことから、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、トコフェロール誘導体からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0040】
難水溶性ビタミン類としては、例えば、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンD及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンF及びその誘導体、ビタミンK及びその誘導体等が挙げられ、具体的には、アスコルビン酸ステアリル、ジパルミチン酸アスコビル、ニコチン酸トコフェロール、メナジオン、デヒドロコレステロール、エルゴカルシフェロール、ジカプリル酸ピリドキシン、テトラ-ヘキシルデカン酸アスコビル(VCIP)、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、パンテノール、リノール酸トコフェロール、リノール酸イソプロピル、リノレン酸、パルミチン酸ピリドキシン、ビタミンA油、β-カロチン、ジパルミチン酸ピリドキシン、フィロキノン、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも本発明の効果が得られやすいことから、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0041】
難水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザニリド系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ホルムアミジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0042】
安息香酸系紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、N,N-ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸ブチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸アミルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸オクチルエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられる。アントラニル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等が挙げられる。
【0043】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸及びそのナトリウム塩、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等が挙げられる。桂皮酸系紫外線吸収剤としては、例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメート(パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート(シノキサート)、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシルα-シアノ-β-フェニルシンナメート(オクトクリン)、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、フェルラ酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0044】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン-3)、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン、5,5'-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等が挙げられる。
【0045】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-第三オクチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2'-メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-第三ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-第三オクチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-第三ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-第三アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-第三アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0046】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシロキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-C12~C13混合アルコキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-アセチルオキシエトキシ)フェニル〕-4,6-ビスフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシ-3-アリルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられ、ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0047】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等が挙げられ、オキザニリド系紫外線吸収剤としては、例えば、2-エチル-2'-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4'-ドデシルオキザニリド等が挙げられ、ホルムアミジン系紫外線吸収剤としては、例えば、N,N'-ジフェニル-N'-(4-エトキシカルボニルフェニル)ホルムアミジン、N'-(4-エトキシカルボニルフェニル)-N-メチル-N-フェニルホルムアミジン、N,N'-ビス(4-エトキシカルボニルフェニル)-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-エトキシカルボニルフェニル)-N-(2'-メトキシフェニル)-N-メチルホルムアミジン、N-(4-n-ブトキシカルボニルフェニル)-N'-(4'-エチルカルボニル)-N-メチルホルムアミジン等が挙げられる。
【0048】
その他の紫外線吸収剤としては、例えば、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、4-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、フェニルベンズイミダソゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、アントラニル酸メチル、ルチン、ルチン誘導体、オリザノール、オリザノール誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。中でも本発明の効果が得られやすいことから、安息香酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0049】
難水溶性香料とは、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料をフレーバーベースとし、これらを植物油などで溶解したものである。難水溶性香料のフレーバーベースとなる天然香料及び合成香料としては、例えば、天然系香料として、アミリスオイル、アンブレットシードオイル、イランイランオイル、イランイランアブソリュート、イリスレジノイド、イリスアブソリュート、イリスオイル、ウィンターグリーンオイル、エストラゴンオイル、エレミオレオレジン、エレミレジノイドアブソリュート、エレミチンキ、オークモスコンクリート、オークモスアブソリュート、オークモスレジン、オークモスレジノイド、オスマンサスアブソリュート、オスマンサスコンクリート、オポパナックスレジノイド、オポパナックスアブソリュート、オポパナックスオイル、オリバナムレジノイド、オリバナムアブソリュート、オリバナムオイル、オールスパイスオイル、オリガナムオイル、オレガノオイル、オレガノオレオレジン、オレンジフラワーアブソリュート、オレンジフラワーコンクリート、カナンガオイル、ガージュンバルサム、ガージュンバルサムオイル、カッシーアブソリュート、カッシーフラワーオイル、カッシアオイル、ガーデニアアブソリュート、カーネションアブソリュート、カブリューバオイル、カモミルオイル、カルダモンオイル、ガルバナムオイル、ガルバナムレジン、ガルバナムレジノイド、キャラウェーシードオイル、キャロットシードオイル、キュベバオイル、グァヤックウッドオイル、グァヤックレジン、グァヤックコンクリート、クスノキオイル、クミンオイル、クミンアブソリュート、クミンオレオレジン、クラリセージオイル、グレープフルーツオイル、クローブオイル、コスタスオイル、コパイババルサム、コパイババルサムオイル、コパイババルサムレジン、コリアンダーオイル、サンダルウッドオイル、シソオイル、シダーウッドオイル、シトロネラオイル、ジャスミンオイル、ジャスミンアブソリュート、ジャスミンコンクリート、ジュニパーベリーオイル、ジュネアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ジンジャーオイル、シナモンオイル、シナモンバークオイル、シナモンリーフオイル、スギオイル、スターアニスオイル、スチラックスオイル、スチラックスレジノイド、スパイクラベンダーオイル、スペアミントオイル、セイボリーオイル、セージオイル、セダーオイル、セダーリーフオイル、ゼラニウムオイル、セロリーシードオイル、タイムオイル、タゲットオイル、タンジェリンオイル、チュベローズアブソリュート、ティーツリーオイル、トリーモスアブソリュート、トンカビーンオイル、トルーバルサム、ナツメッグオイル、ナルシサスアブソリュート、ネロリオイル、バイオレットリーフアブソリュート、パインオイル、パインニードルオイル、バジルオイル、パセリリーフオイル、パセリシードオイル、パセリハーブオイル、パチョリオイル、ハッカオイル、バニラアブソリュート、ハネーサックルアブソリュート、パルマローザオイル、バレリアンオイル、ビターオレンジオイル、ヒソップオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ヒヤシンスアブソリュート、フェンネルオイル、フィグアブソリュート、プチグレンオイル、ブッチュオイル、ベイオイル、ベチバーオイル、ペッパーオイル、ペパーミントアブソリュート、ペパーミントオイル、ベルガモットオイル、ペルーバルサム、ベンゾインチンキ、ベンゾインレジノイド、ホウショウオイル、マージョラムオイル、マンダリンオイル、ミカンオイル、ミモザコンクリート、ミモザアブソリュート、ミモザオイル、ミルレジノイド、ミルアブソリュート、ミルオイル、ムスクアブソリュート、ムスクチンキ、ユーカリオイル、ユズオイル、ライムオイル、ラブダナムオイル、ラブダナムレジノイド、ラベンダーオイル、ラベンダーアブソリュート、ラバンジンオイル、ラバンジンアブソリュート、レモンオイル、レモングラスオイル、ローズオイル、ローズアブソリュート、ローズコンクリート、ローズマリーオイル、ローレルオイル、ローレルリーフオイル等が挙げられる。
【0050】
合成香料として、アンブレッドリド、アルデヒドC6~C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、アセチルオイゲノール、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、インドール、イオノン、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソオイゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、γ-ウンデカラクトン、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、エチルワニリン、2-エチルヘキサノール、オウランチオール、10-オキサヘキサデカノリド、11-オキサヘキサデカノリド、12-オキサヘキサデカノリド、オキサヘキサデセン-2-オン、オイゲノール、オリボン、オキシフェニロン、ガラクソリド、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、β-カリオフィレン、キャロン、クマリン、p-クレジールメチルエーテル、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、コアボン、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、シンナミルアセテート、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、ジメチルベンジルカービニルアセテート、ジャスマサイクレン、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、ターピネオール、ターピニルアセテート、チモール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニルアセテート、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、ネリルアセテート、ネロール、ネオベルガメート、γ-ノナラクトンノピルアルコール、ノピルアセテート、バクダノール、ハイドロトロピックアルコール、α-ピネン、β-ピネン、ヒドロキシシトロネラール、ヒヤシンスジメチルアセタール、ブチルブチレート、p-t-ブチルシクロヘキサノール、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキサノール、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、フルイテート、フェンチルアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、フェニルエチルアセテート、ペンタリッド、ベルドックス、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミルアセテート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、cis-3-ヘキセノール、cis-3-ヘキセニールアセテート、cis-3-ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ボルニルアセテート、ボルネオール、マンザネート、マイヨール、ミルセン、ミラックアルデヒド、ミューゲアルデヒド、ムゴール、ムスクTM-11、ムスク781、ムスクC14、ムスコン、ムスクケトン、ムスクチベチン、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルオイゲノール、メントール、α-メチルイオノン、β-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、メチルイソオイゲノール、メチルラベンダーケトン、メチルサリシレート、14-メチル-ヘキサデセノリド、14-メチル-ヘキサデカノリド、メチルナフチルケトン、メチルフェニルアセテート、ヤラヤラ、δ-C6~C13ラクトン、ライムオキサイド、γ-C6~C13ラクトン、ラズベリーケトン、リモネン、リグストラール、リリアール、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート、リラール、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、ワニリンなどが挙げられ、これらに限定されない。
【0051】
難水溶性美容成分としては、例えば、難水溶性の胎盤抽出液、難水溶性のソウハクヒ抽出物、難水溶性のユキノシタ抽出物、難水溶性のシソ抽出物、難水溶性の白芥子抽出物、難水溶性のダマスクバラ抽出物、難水溶性のシャクヤク抽出物、難水溶性のハス種子抽出物、難水溶性の党参抽出物、難水溶性のハトムギ加水分解物、難水溶性のパンダヌス・アマリリフォリウス抽出物、難水溶性のアルカンジェリシア・フラバ抽出物、難水溶性のキウイ抽出物、難水溶性のカミツレ抽出物、難水溶性のサンゴ草抽出物、難水溶性のイネの葉の抽出物、難水溶性のナス(水ナス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物、難水溶性の海藻の抽出物、難水溶性の海産顕花植物の抽出物、難水溶性の米醗酵エキス、リノール酸、リポソーム化リノール酸、難水溶性の動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、難水溶性のエラスチン及びその誘導体、難水溶性のグリチルリチン酸及びその誘導体、難水溶性のt-シクロアミノ酸誘導体、アラントイン、アルブチン、難水溶性のゲンチアナ抽出物、難水溶性の甘草抽出物、難水溶性のニンジン抽出物、難水溶性のアロエ抽出物、難水溶性のミツイシコンブ抽出物、難水溶性のアナアオサ抽出物、難水溶性のジュアゼイロ抽出物、難水溶性のモモ抽出物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
難水溶性植物油としては、例えば、ローズマリー油、カミツレ油、ユーカリ油、米胚芽油、小麦胚芽油、γ-オリザノール、植物性セラミド(グリコシルセラミド)、カロット油、難水溶性ヨクイニンエキス、難水溶性スギナエキス、難水溶性アルニカエキス、難水溶性カモミラエキス、難水溶性シコンエキス、難水溶性スギナエキス、難水溶性シナノキエキス、難水溶性セイヨウノコギリソウエキス、難水溶性セジエキス、難水溶性トウキエキス、難水溶性マロニエエキス、難水溶性モモ葉エキス、難水溶性ローズマリーエキス、難水溶性ハトムギエキス、オリーブ油、難水溶性ビワエキス、ボラージ油、ツバキ油、月見草油等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
上記の難水溶性成分の配合量は、特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で上記の難水溶性成分が配合されることが好ましく、0.5~20質量%の量で上記の難水溶性成分が配合されることがより好ましく、1~10質量%の量で上記の難水溶性成分が配合されることが更に好ましい。
【0054】
本発明は、一般式(1)で表される化合物、水、及び難水溶性成分が存在する系において、一般式(1)で表される化合物が難水溶性成分の溶解性を向上させる方法の発明である。一般式(1)で表される化合物と難水溶性成分の配合比については特に制限されないが、難水溶性成分の溶解性がより低いものほど一般式(1)で表される化合物の使用量が多く必要になる場合がある。中でも、本発明の効果がより顕著に現れることから、一般式(1)で表される化合物と難水溶性成分の配合比が、(一般式(1)で表される化合物):(難水溶性成分)=1:0.05~1:5となる質量比で配合することが好ましい。
【0055】
更に、一般式(1)で表される化合物と併用してアルコール化合物を配合すると、難水溶性成分の溶解性を更に向上させることが出来る。アルコール化合物としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられ、中でも本発明の効果が顕著に現れることから、ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンが好ましく、プロピレングリコール、ブチレングリコールが好ましく、ブチレングリコールが最も好ましい。
【0056】
上記アルコール化合物の配合量は特に制限されないが、本発明の効果が得られやすいことから、水、一般式(1)で表される化合物、難水溶性成分及び上記アルコール化合物を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で上記アルコール化合物が配合されることが好ましく、0.5~20質量%の量で上記アルコール化合物が配合されることがより好ましく、1~10質量%の量で上記アルコール化合物が配合されることが更に好ましい。
【0057】
また、一般式(1)で表される化合物とアルコール化合物の配合比については特に制限されないが、本発明の効果がより顕著に現れることから、一般式(1)で表される化合物とアルコール化合物の配合比が、(一般式(1)で表される化合物):(アルコール化合物)=1:0.5~1:5となる質量比で配合することが好ましい。
【0058】
本発明の方法を実施する際に、用途は限定されず、本発明の必須成分である、一般式(1)で表される化合物、水、及び難水溶性成分を含む系であって、更に、難水溶性成分の溶解性向上を必要とする工程を含む用途であれば如何なる用途にも使用することが出来る。中でも、上記効果が期待される場合が多いことから、化粧料分野での実施が好ましく、水系化粧料分野での実施がより好ましい。
【0059】
ここで、本明細書内で「水系化粧料」とは、化粧料全成分中の水分若しくは水溶性成分が60%以上含有されている化粧料を指し、O/Wエマルションも含む。また、特に剤形は制限されず、例えば、化粧水、ローション、乳液、美容液、ジェル、クリーム、エッセンス等が挙げられる。水系化粧料の中でも、一般的に知られている化粧料用乳化剤や可溶化剤等の界面活性剤の使用量が制限されている用途において使用することが更に好ましく、この理由としては、本発明の難水溶性成分の溶解性を向上させる工程を経て、水系化粧料を製造すれば、上記乳化剤や可溶化剤等の界面活性剤の使用量を減らす若しくは使用せずに、難水溶性成分を水系化粧料に配合し、水系化粧料の高機能化が実現できることに起因する。
【0060】
水系化粧料を製造する際、本発明の必須成分である、一般式(1)で表される化合物、水、難水溶性成分以外に、化粧料用添加剤として一般的に使用される任意成分を配合することができる。ただし、水系化粧料を製造する際、必ず本発明の難水溶性成分の溶解性を向上させる工程を含むこと及び本発明の効果を損なわない質的、量的範囲内であることが条件である。
【実施例0061】
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。なお、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0062】
実施例に使用する一般式(1)で表される化合物に該当する化合物を以下に示す。
<一般式(1)で表される化合物>
化合物(1)-1:1,2-ヘキサンジオール(一般式(1)において、Rがプロピル基である化合物)
化合物(1)-2:シクロヘキシルグリセリルエーテル(一般式(1)において、Rが一般式(2)で表される基であり、一般式(2)において、nが0である化合物)
【0063】
比較例に使用する一般式(1)で表される化合物に代替する化合物を以下に示す。
<水酸基を持つ水溶性の高い化合物>
エタノール
プロピレングリコール
ジプロピレングリコール
1,3-ブチレングリコール
グリセリン
【0064】
なお、一般式(1)で表される化合物に類似する化合物として、1,2-ヘプタンジオール、n-ヘキシルグリセリルエーテル、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルなどが挙げられる。しかしながら、これら化合物は、そもそもこれら化合物自体の水への溶解性が悪いため、一般式(1)で表される化合物の比較例品としては適切ではなく、以下に示す難水溶性成分の溶解性向上検討を実施することができない。よって、比較品からは除外している。
【0065】
実施例及び比較例に使用する難水溶性化合物を以下に示す。なお、水への溶解度が3[g/100g水]以下のものを使用している。
<難水溶性成分>
n-ヘキシルグリセリルエーテル(抗菌防腐剤)
メチルパラベン(抗菌防腐剤)
カプリリルグリコール(抗菌防腐剤)
2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(抗菌防腐剤)
フェノキシエタノール(抗菌防腐剤)
トコフェロール(ビタミン類)
ハッカオイル(香料)
【0066】
[難水溶性成分の溶解性向上検討]
まず、以下表1に記載の溶液1~9を調整した。表1に記載の数字の単位は[g]であり、溶液1~9は無色透明の溶液であった。
【0067】
【表1】
【0068】
続いて、水への溶解性は確認できるが、溶解度が1[g/100g水]以下である難水溶性の3成分(メチルパラベン、カプリリルグリコール、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル)に関して、上記の溶液1~9への溶解度[g/100g各種溶液]を調べた。実験手順としては、表1に記載の溶液1~9に、0.1gずつ対象の難水溶性成分を加えていき、濁りが発生した添加量のひとつ前の添加量を溶解度として表に記載している。また、0.1g添加ごとに、25℃で10分間撹拌し、その後静置することで濁り若しくは沈殿が発生しないことを確認している。例えば、溶液1にメチルパラベンを溶解させた場合、0.2g添加までは完全に溶解し、0.3g添加した段階で濁りが発生したため、溶解度は0.2gとした。なお、溶解度が5[g/100g各種溶液]を超えた場合に関しては、それ以上の実験は実施していない。
【0069】
以下表2に記載の数字の単位は[g/100g各種溶液]である。
【0070】
【表2】
【0071】
結果、比較例1と実施例1及び2を比較することにより、化合物(1)-1及び化合物(1)-2を使用した溶液2及び溶液3においてメチルパラベン、カプリリルグリコール、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル全ての難水溶性成分の溶解性が向上していることがわかった。また、化合物(1)-2と、ブチレングリコールを併用した溶液9においては、更なる難水溶性成分の溶解性の向上が確認できた。
【0072】
続いて、その他の難水溶性成分(n-ヘキシルグリセリルエーテル、フェノキシエタノール、トコフェロール、ハッカオイル)に関しても同様の効果が得られるかどうかを検証するために、溶液1、2、3、8において、上記と同様の実験を行い、溶解度[g/100g各種溶液]を調べた。
【0073】
【表3】
【0074】
結果、化合物(1)-1及び化合物(1)-2を使用した溶液2、溶液3及び溶液9において、難水溶性成分であるメチルパラベン、カプリリルグリコール、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルを用いた実験と同様に、その他の難水溶性成分に関しても溶解性が向上することが明らかとなった。特に、トコフェロール、ハッカオイルに関しては、水に全く溶けない不溶の成分であったにもかかわらず、化合物(1)-1及び化合物(1)-2を使用することで水への溶解性が確認された。
【0075】
なお、本実施例1~5で得た各種難水溶性成分を含む配合物は、難水溶成分の持つ性能(機能性)を付与した透明化粧料として使用することが可能であり、その他化粧料用添加剤として一般的に使用される任意成分を配合することができる。具体例として、表4に本発明の方法を用いて配合した透明化粧料の処方例を示す。
【0076】
【表4】
【0077】
結果、本発明の方法を使用することによって、界面活性剤を使用せず、水に不溶なトコフェロール(ビタミン類)を配合した高機能且つ肌に優しい透明化粧料が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の方法は、用途は限定されず、難水溶性成分の溶解性向上を必要とする工程を含む用途であれば如何なる用途にも使用することが出来る。中でも、乳化剤や可溶化剤等の界面活性剤の使用量が制限されている水系化粧料用途おいては、難水溶性成分による水系化粧料の高機能化が実現可能となることから、その有用性は非常に高い。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
そこで本発明者らは鋭意検討し、本発明に至った。即ち、本発明は、水の存在下、下記一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を配合することを含む、前記難水溶性成分の溶解性を向上させる方法あって、前記難水溶性成分の水への溶解度が3[g/100g水]以下であり、かつ、前記難水溶性成分が、難水溶性抗菌防腐剤、難水溶性酸化防止剤、難水溶性ビタミン類、難水溶性紫外線吸収剤、難水溶性香料、難水溶性美容成分及び難水溶性植物油からなる群から選択される1種または2種以上である、方法である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(式中、Rは一般式(2)で表される基である。)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
以下表2に記載の数字の単位は[g/100g各種溶液]である。
なお、実施例1及び4は参考例である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の存在下で、下記一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を配合することを含む、前記難水溶性成分の溶解性を向上させる方法であって、前記難水溶性成分の水への溶解度が3[g/100g水]以下であり、かつ、前記難水溶性成分が、難水溶性抗菌防腐剤、難水溶性酸化防止剤、難水溶性ビタミン類、難水溶性紫外線吸収剤、難水溶性香料、難水溶性美容成分及び難水溶性植物油からなる群から選択される1種または2種以上である、方法。
【化1】
(式中、Rは一般式(2)で表される基である。)
【化2】
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基を表し、nは0または1の数を表す。)
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物が、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で配合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記難水溶性成分が、水、一般式(1)で表される化合物及び難水溶性成分を含む組成物全量に対して0.05~40質量%の量で配合される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更に、アルコール化合物を配合することを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
界面活性剤を使用しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の方法を用いることを含む、水性化粧料の製造方法。