(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031809
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】生理学的検知及び治療物投与のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220215BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021192326
(22)【出願日】2021-11-26
(62)【分割の表示】P 2019540639の分割
【原出願日】2018-01-29
(31)【優先権主張番号】62/453,112
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スポッツ, ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ピチラー, ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, マイケル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生理学的検知による治療物投与システムおよび方法を提供する。
【解決手段】生理学的検知及び治療システム100は、センサ及び薬物動態学的(PK)サーバ130を備える。センサ(例えば、生理学的センサ)は患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得する。PKサーバは、取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、患者について推奨される治療物の投与を特定する。患者が治療物を代謝することにより、治療物は患者内の時間変化する濃度レベルを有する。例えば、患者内の治療物の濃度は注射の後、低下する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のシステム又は方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は2017年2月1日に提出された米国特許仮出願第62/453,112の利益を主張するものである。上記出願の教示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景】
【0002】
近年、健康及びフィットネスが急激に成長してきている。健康及びウェルネス全体的に対する良好なフィットネスの利益について理解が進んだため、多くの分野で成長が起こっている。例えば、近年の専門家による推奨によると、成人は1日当たり一万の歩行を実施すべきである。残念ながら、フィットネス活動はあるパーセンテージの人口にとっては危険なものであり得る。例えば、人口の一部の人は、治療物血漿濃度レベルの一貫したモニタリング及び維持を必要とする病気又は遺伝的な疾患を罹患している。したがって、フィットネス活動(例えば、エクササイズすること、及び/又はスポーツを行うこと)は、治療物血漿を予期せず代謝して望ましいレベルを下回り、彼らの健康及び安全を危険にさらすため、そのような人は思わしくないイベントを体験することがある。
【0003】
特に、血友病Aを発症している患者は低いレベルの凝固因子VIIIを引き起こす遺伝的な欠陥を有している。凝固因子VIIIは傷害又は出血に応答して活性化される血液凝固タンパク質である。凝固因子VIIIが相対的に低いレベルである人は、傷害及び/又は原因のない自発性の出血による、長引く出血を内部的又は外部的に発症しやすい。したがって、フィットネス活動への参加は、関節、筋肉、及び内臓の内出血をもたらすことがあり、恒久的な損傷、美的欠陥、又はさらには死を引き起こすことがある。
【0004】
血友病Aの患者(又は、処置をしないと凝固因子VIIIの低いレベルを有する患者)の処置としては、これらの患者に凝固因子濃縮物(例えば、治療的血漿タンパク質)の定期的な注射を行うことが挙げられる。凝固因子濃縮物は、患者の自然発生の凝固因子VIIIに対する代替物、又は補充物として作用する。そのような治療的血漿タンパク質の一例が、Shire製ADVATE薬物である。いくつかの例において、患者は制御できない内出血の発生に応答して治療的血漿タンパク質を受ける。代替的に、患者は将来的な出血の可能性を低減するために治療的血漿タンパク質の予防的処置レジメンを処方されることもある。しかしながら、予防的な処理レジメンは患者の履歴的な生体学的、人口統計学的な活動情報に基づいている。したがって、そのような処置レジメンは自発的な活動への参加又はライフスタイルの変化を考慮することができないが、それはそのような変化は処置レジメンの作成にモデル化することができないからである。
【0005】
現在、患者には注射イベント及び出血イベントを記録するための電子的日記が与えられている。残念ながら、そのような日記はそれを見て患者が活動レベルを計画できるような利用可能なデータを与えるものではない。例えば、現在のシステムでは、患者が注射イベントの後のあらゆる時間的なポイントにおいて、例えばサッカーをするなどの活動に参加することになっている場合、患者は出血のリスクを確認することができない。さらには、患者が思わしくないイベントを体験することなくある活動に参加する場合でも、患者はその参加に起因して彼らの治療物血漿濃度レベルがどのように変化してしまったかを確かめることができない。
【0006】
したがって、現在の電子的日記では、患者は予防的な注射イベントの後の時間的にあらゆる所与のポイントにおける自身の因子レベルを判断することができず、そのようなソースによって提供される情報の有用性を著しく制限する。さらに、患者は凝固因子の投与の、インフォームド調整(例えば、出血を予防するためにオンデマンドの注射を行うこと、又は予防的注射スケジュールを調整することによる)を行うことができない。
【概要】
【0007】
本開示の実施形態は、リアルタイムの身体的な活動などの生理学的データを追跡することによって患者についての治療物の投与についてカスタマイズされた推奨を提供する、生理学的検知及び治療物投与システムを提供する。特に、システムは患者のリアルタイムの活動レベルに基づいて推奨される投与を特定する。そのようなものとして、本発明の実施形態は患者の活動レベルをリアルタイムにモニタリングすることができ、したがって、従来の方法よりもカスタマイズされた推奨を提供するよりさらに信頼できる方法を提供する。開示されるシステムは、患者が低い治療物血漿濃度レベルに起因する思わしくないイベントを被ることなく、活動的なライフスタイルを送ることを可能にすることが有利である。患者が血友病Aを罹患しているケースでは、システムは患者が健全な凝固因子VIIIの血漿濃度レベルを維持することを確実にする。
【0008】
例えば、患者は、凝固因子VIIIが例えば、座っていることが多い活動(例えば、読書)よりも速い速度で代謝されることを引き起こす、身体的に負担の大きい活動に参加することがある(例えば、サッカーなどのスポーツ)。したがって、システムは、生理学的測定値を使用して、患者の活動レベルに基づいて凝固因子VIIIの時間変化する濃度レベルを推定するか、又は予測することができる。推定された、又は予測された濃度レベルに基づいて、システムは凝固因子VIIIの注射を推奨する。
【0009】
システムは、活動の頻度をさらに決定し、その頻度を履歴的な活動測定値と比較することができる。比較に基づいて、システムは、推奨される投与をオンデマンド注射(例えば、活動がランダムであり、頻繁ではない場合)とするべきか、又は調整された予防的注射スケジュール(例えば、活動が頻繁であり、患者の履歴的な活動レベルからの変化である場合)とするべきかどうかを判断することができる。
【0010】
したがって、生理学的検知及び治療物投与システムは、リアルタイムの生理学的モニタリングツールを使用することによって、疾病、病気、又は遺伝的な疾患を罹患する患者が健全で活動的なライフスタイルを送ることができるようにする。特に、リアルタイムの生理学的モニタリングツールはこれらのタイプの患者の実況的な生理学的データフィードを得る。実況的な生理学的データフィードはシステムが患者に治療物投与について「その瞬間の」カスタマイズされた、正確な、及び信頼できる推奨を提供できるようにする。そのような患者に、彼らの日常的な活動の間、治療物投与の推奨を与えることによって、システムはそのような患者が彼らの日常的な活動を計画することの必要性を取り除く。したがって、本発明の実施形態によって提供されるリアルタイムの生理学的なモニタリング及び治療物の推奨により、そのような患者が低い治療物血漿濃度レベルに起因する思わしくないイベントを被ることなく、(自発的か又はライフスタイルにおける変化の一部かに関わらず)動的に活動レベルを調整することができる。さらに、システムはそのような患者が、病気又は遺伝的な疾患を罹患していない人と同様に心配事のないライフスタイルを送ることができるようにする。
【0011】
一実施形態において、生理学的検知及び治療物投与システムは、センサ及び薬物動態学的(PK)サーバを備える。センサは患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得するように構成されている。例えば、システムは消費者向けウェアラブル技術(例えば、Fitbit(登録商標))の広範なエコシステムを活用して、リアルタイムの生理学的測定値(例えば、歩数)を取得することができる。次に、PKサーバは取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、患者について推奨される治療物の投与を特定する。治療物は患者内の時間変化する濃度レベルを有するため、システムは「歩数」情報を処理して患者の身体的な活動の量及び強度を定量化し、患者が治療物を代謝する現在の速度を決定する。
【0012】
そのようなものとして、ある態様においては、システムは、患者のPKプロファイル及び/又は取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて患者内の時間変化する治療物濃度レベルを推定するように構成されている治療物モニタリングツールをさらに備えることができる。
【0013】
一例において、治療的薬物の推奨される投与はタイミング成分及び/又は量的な成分を含むことができる。タイミング成分及び/又は量的な成分は、取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数であってもよい。一態様において、タイミング成分は患者についての治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンである。さらなる態様において、タイミング成分は、患者内の時間変化する治療物濃度レベルに基づく治療物のオンデマンドの投与である。他の態様において、量的な成分はタイミング成分及び/又は取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される治療物の量であってもよい。
【0014】
いくつかの態様において、PKサーバは生理学的測定値に基づいて患者の身体的な活動の量及び強度を定量化するようにさらに構成されていてもよい。さらなる態様において、PKサーバは患者の身体的な活動の量及び強度に基づいて、患者についての治療物の推奨される投与を特定するようにさらに構成されていてもよい。さらなる態様において、治療物投与ツールは患者の身体的な活動の量及び強度に基づいて、患者内の時間変化する治療物濃度レベルを推定するように構成されていてもよい。
【0015】
さらなる態様において、センサを生理学的測定値のタイプに基づいて、患者の体のある場所に連結することができる。例えば、フィットネスウェアラブルは患者の手首に装着することができる。センサは、そのタイプの生理学的測定値のリアルタイムの取得を可能にするために特有の回路及び/又はハードウェアを含むこともできる。
【0016】
本開示の別の実施形態は、生理学的検知及び治療物投与の方法を含む。方法は、生理学的センサにより患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得するステップを含む。方法は、1つ又は複数のプロセッサにより、取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、患者について推奨される治療物の投与を特定するステップも含む。治療物は患者内の時間変化する濃度レベルを有する。
【0017】
特許請求される方法は、1つ又は複数のプロセッサにより、患者のPKプロファイル及び/又は取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて患者内の時間変化する治療物濃度レベルを推定するステップをさらに備えることができる。
【0018】
一態様において、治療物の推奨される投与はタイミング成分及び/又は量的な成分を含むことができる。例えば、タイミング成分及び/又は量的な成分は、取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数であってもよい。タイミング成分は患者についての治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンであってもよい。別の態様において、タイミング成分は、患者内の時間変化する治療物濃度レベルに基づく治療物のオンデマンドの投与であってもよい。代替的な態様において、量的な成分はタイミング成分及び/又は取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される治療物の量であってもよい。
【0019】
いくつかの態様において、方法は、1つ又は複数のプロセッサにより、生理学的測定値に基づいて患者の身体的な活動の量及び強度を定量化するステップをさらに含むことができる。さらなる態様において、方法は、患者の身体的な活動の量及び強度に基づいて、患者についての治療物の推奨される投与を特定するステップをさらに含むことができる。さらなる態様において、方法は、1つ又は複数のプロセッサにより、患者の身体的な活動の量及び強度に基づいて、患者内の時間変化する治療物濃度レベルを推定するステップをさらに含むことができる。
【0020】
方法は、生理学的測定値のタイプに基づいて、生理学的センサを患者の体のある場所に連結するステップも含むことができる。一態様において、生理学的センサは、そのタイプの生理学的測定値のリアルタイムの取得を可能にするために特有の回路及び/又はハードウェアを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
前述は、異なる図面を通じて同一の参照符号が同一のパーツを指す添付の図面に図示されるように、以下の本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明から、明らかとなろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の実施形態を図示する際には強調されたものが配置される。
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、生理学的検知及び治療システムが動作する例示的な環境を示す。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、バイオメトリックなモニタリングデバイスの論理的なブロック図を示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、バイオメトリックなモニタリングデバイスを伴う使用のための例示的なセンサを示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、生理学的検知及び治療物投与の方法の流れ図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、患者の身体的な活動の量及び強度に基づいて、治療物の推奨される投与を特定する方法の流れ図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、例示的なリモートサーバ、治療物モニタリングツール、及び/又はエコシステムモニタリングシステムの詳細なブロック図である。
【詳細な説明】
【0022】
本開示の例示的な実施形態の説明は以下のとおりである。
【0023】
本開示は、生理学的検知及び治療物投与システムに関する。システムは、生理学的センサによって収集されたリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、治療物の投与を特定し、推奨する。センサは、多岐にわたる家庭用ウェアラブル電子機器(例えば、Apple Watch(登録商標))から先進的な医療用センサ(例えば、ポケットECG(商標))まで広がり得る。そのような推奨システムを持つことにより、患者は、例えば、彼らが身体的に負担の大きい活動(例えば、サッカーなどのスポーツ)に参加するためにより良く準備される。
【0024】
例えば、血友病Aを罹患する患者について、リアルタイムの生理学的測定値から決定された患者の活動レベルに基づいて、システムは凝固因子VIIIの投与を推奨する。特に、システムは「歩数」情報(例えば、歩行の数及び歩行同士の頻度)を受信し、患者がある活動に参加している間、患者の活動レベルを定量化することができる。このリアルタイムの定量化によって、システムは患者の凝固因子VIIIの血漿濃度を正確に決定することができる。例えば、システムは定量化された活動レベルを使用して、患者の薬物動態学的(PK)プロファイルに基づいて、患者の凝固因子VIIIの代謝を決定することができる。
【0025】
したがって、開示されるシステムは、リアルタイムの生理学的測定値に基づいて、例えば凝固因子VIIIの「その瞬間の」投与を推奨することによって、そのような患者が活動的なライフスタイルを送ることができるようにする。システムは、それらの患者が血友病Aを罹患しているために阻害されることのないライフスタイルを送ることができるように、彼らが凝固因子VIIIの健全なレベルを維持することを確実にすることが有利である。
【0026】
本開示の実施形態は本明細書において血友病Aを罹患する患者に関して説明されるが、当業者であれば実施形態は治療物の投与を必要とするあらゆる病気又は遺伝的な疾患を罹患する患者(例えば、インシュリンの定期的な注射を必要とする糖尿病患者)に適用することができることを理解する。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「凝固因子VIII」、「FVIII」、又は「rAHF」は、完全なBドメインの少なくとも一部を有するあらゆるFVIII分子を指し、ネイティブFVIIIに関連付けられる生物活性を呈する。本開示の一実施形態において、FVIII分子は完全長のFVIIIである。FVIII分子はFVIII:CをエンコードするDNAにハイブリダイズすることができるDNAシーケンスによってエンコードされるタンパク質である。そのようなタンパク質はドメインA1-A2-B-A3-C1-C2の間、又はその内部の様々なサイトでアミノ酸欠失を含むことができる。FVIII分子はさらにネイティブ凝固因子FVIIIのアナログであってもよく、1つ又は複数のアミノ酸残基が部位特異的突然変異誘発によって置換されている。
【0028】
用語「組み換え因子VIII」(rFVIII)はあらゆるrFVIII、異種若しくは自然発生するもの、組み換えDNA技術によって得られるもの、又はその生物活性誘導体を含んでもよい。本明細書で使用されるように、「内因性FVIII」は処置を受けることを意図される哺乳類から生ずるFVIIIを含む。その用語は導入遺伝子又は哺乳類に存在するあらゆる他の外部DNAから転写されるFVIIIも含む。本明細書で使用されるように、「外因性FVIII」又は治療的血漿タンパク質は哺乳類から生じていない凝固因子FVIIIを含む。
【0029】
FVIII分子は自然に、及び治療的製剤中に単一の遺伝子産物から生ずるポリペプチドの不均質分布として存在する。本明細書で使用されるように、用語「凝固因子VIII」は、血漿由来又は組み換えDNA技術の使用を通じて産生されたものかに関わらず、すべてのそのようなポリペプチドを指し、限定はしないが、FMIII模倣物質、fc-FVIIIコンジュゲート、水溶性ポリマーで化学的に修飾されたFVIII、及び他の形態又はFVIIIの誘導体を含む。FVIIIを含有する治療的製剤の市販されている例としては、ADVATE、HEMOFIL M、及びRECOMBINATE(シャイアー社(アメリカ合衆国、イリノイ州、バノックバーン)から入手可能)の商品名で販売されているものが挙げられる。他の製剤は主にFVIII分子の単一の亜集団を含み、分子のBドメイン部分を欠如している。
【0030】
本開示で有用なFVIII分子は完全長タンパク質、タンパク質の前駆体、タンパク質の生物学的に活性若しくは官能サブユニット若しくはフラグメント、及び/又はその官能誘導体、並びに以下で説明するようなその変形物を含む。凝固因子VIIIへの言及はそのようなタンパク質のすべての可能性のある形態を含むことを意味しており、FVIIIの形態のそれぞれはネイティブな完全なBドメインシーケンスの少なくとも一部又はすべてを有する。
【0031】
本明細書で使用されるように、「投与間隔」は患者に投与される複数回の投与同士の間で経過する時間の長さを意味する。凝固因子VIIIを含む治療的血漿タンパク質を投与する投与間隔は少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、又はそれより長くてもよい。投与間隔は、変化する患者の容体/性質、患者内の治療的血漿タンパク質の最低限容認可能(例えば、目標値)濃度への変化、及び/又は用量への変化に基づいて変わってもよい。
【0032】
図1は本開示の例示的な実施形態による、生理学的検知及び治療システム100を示す。システム100はバイオメトリックモニタリングデバイス135から収集されたリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、治療物(例えば、凝固因子VIII)の投与を特定し、推奨する。その目的のために、システム100はリモートサーバ120、エコシステムモニタリングシステム180、治療物モニタリングツール150、バイオメトリックモニタリングデバイス135、及び治療物投与デバイス140を備える。
【0033】
リモートサーバ120はモデル生成器125及びPKサーバ130を含む。リモートサーバ120は例えば、患者の医学的なサンプル及び患者アカウント110を記憶するデータ記憶装置115に通信可能に連結される。モデル生成器125はサンプリングされた患者データ110に基づいて1つ又は複数の患者の薬物動態学的(PK)モデルを生成するように構成されている。PKサーバ130は、1つ又は複数の薬物動態学的モデルに基づいて、患者、ヘルスケア事業者、及び/又は販売代理店に治療物モニタリングツール150を提供するように構成されている。図示される実施形態において、PKサーバ130はネットワーク105(例えば、インターネット)を介して患者PKモデルを治療物モニタリングツール150に送信する。他の実施形態において、PKサーバ130はPKプロファイルをホスティングし、PKプロファイルは治療物モニタリングツール150によってアクセス可能である。これらの他の実施形態において、PKサーバ130は単一のサーバを含んでもよいか、又は代替的に、クラウドコンピューティングフレームワーク内で分散されてもよい。
【0034】
例示的なPKサーバ130及び/又はモデル生成器125は患者の薬物動態学的(PK)モデルを記憶するように構成されているデータベース115に通信可能に連結され得る。データベース115はRAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気若しくは光学ディスク、光学メモリ、又は他の記憶媒体を含むあらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含むことができる。例示的なデータベース115は、ユーザが含むツール150を使用することに応答して生成された情報を記憶することもでき、例えば、患者情報、投与レジメン等を含む。いくつかの例において、データベース115は別個のサードパーティの記憶装置プロバイダによって管理されてもよい。
【0035】
いくつかの例において、PKサーバ130及び/又はモデル生成器125は、同一のサーバ(例えば、リモートサーバ120)及び/若しくはプロセッサによって提供されもよく、並びに/又は同一のエンティティによって動作させられてもよい。これらの例において、モデル生成器125の機能性はPKサーバ130の機能性と併せて動作することができる。例えば、モデル生成器125は、薬物動態学的モデルを、ツール150によりPKサーバ130から受信した治療的血漿タンパク質投与情報及び/又は患者情報で定期的に更新することができる。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態において、薬物動態学的(PK)モデルを使用して患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを近似する。例えば、血友病Aについて患者特有の薬物動態学的プロファイルを決定するための現在の方法は、複数回の血液検査を実施することを含む。これらの血液検査は最初の採血を実施して患者の凝固因子VIIIのベースラインを決定することを含む。次いで、治療的血漿タンパク質が投与された後、48時間の注射後期間を通して、5回又はより多くの採血が実施される。諒解されるように、非常に多くの別個の採血のため、そのような手順は患者、ヘルスケア事業者及び検査機関にとって殊に厄介なものである。したがって、例示的なモデル生成器125は、変化する年齢、体重、性別、及び活動レベルを伴う患者のサンプルに基づいて、比較的正確な薬物動態学的モデルを生成するように構成されている。次いでこれらのモデルを使用して、患者をすべての採血及び後続の分析にかける必要なく患者の薬物動態学的プロファイルを決定するか、又は近似する。
【0037】
ある実施形態において、1つ又は複数の患者データのセットから選択される患者サンプル110を使用して、PKモデルが決定される。患者サンプル110は、例えば、上述の採血手順を使用して治療的用量レジメンを既に処方されている患者から選択することもできる。患者サンプル110はモデルを作成する目的で特別に採血手順を行ってもらうように選択された患者も含む。患者サンプル110は、1つの病院若しくは医療システムからの患者、及び/又は複数の病院、医療システム、地理的地域等から関連付けられる患者を含むことができる。
【0038】
患者サンプル110は、変化する年齢、体重(又は体格指数(「BMI」)、医学的条件、臨床検査データ、性別、及び/又は活動レベルの、患者についてのデータを含む。本明細書で説明される例において、サンプルの患者年齢は2歳から100歳の間で変動がある。いくつかの実装形態において、患者についてのデータは小児と成人の年齢層に分け、別個のモデルがそれぞれの層について生成されるようにしてもよい。患者データは追加的に又は代替的に、体重、性別、及び/又は活動レベルに基づいて区分することができる。
【0039】
言及したように、例示的な患者サンプル110は治療的血漿タンパク質が患者に注射される前の凝固因子VIIIの決定を含む。その後、一定の持続時間の後、それぞれの患者から注射後血液サンプルが収集される。他の例において、血液サンプルは異なる時間に収集されてもよく、及び/又は収集される血液サンプルの数はより少なくてもよく、若しくはより多くてもよいことを諒解すべきである。例えば、小児からは、より少ない血液サンプルが収集されてもよい。
【0040】
例示的なモデル生成器125は、治療的血漿タンパク質の注射後の時間を通してサンプリングされた患者における凝固因子VIIIの以前のナレッジを使用するベイズ分析を実施することによって、PK患者モデルを作成する。いくつかの例において、PKモデルを構築するための洗い出しデータが必要とされないように、モデル生成器125はそれぞれの患者のサンプリングされた投与履歴を、注射前の凝固因子VIIIレベルと併せて分析するように構成されている。他の実施形態において、モデル生成器125は、1つ又は複数の薬物動態学的モデルを作成するための注射後凝固因子VIIIレベルと併せて患者の洗い出しデータを使用してもよい。患者の洗い出しデータは、そのシステムにおいて患者が治療的血漿タンパク質を含まなくなるベースラインに対応する。
【0041】
例示的なモデル生成器125は、例えば、患者サンプルデータを使用して1つ又は複数のPKモデルを作成する。モデル生成器125は個別の患者サンプル110を1つ又は複数のポピュレーションプロファイル(例えば、年齢セット、体重セット、活動レベルセット、内因性凝固因子VIIIレベル、等)に結合し、ポピュレーションプロファイルは次いでそれぞれの薬物動態学的モデルについての基礎として使用される。例えば、モデル生成器125は患者サンプル110を異なる年齢、体重、及び/又は活動レベルについて、異なるセットにグループ化することができる。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるBjorkmanらによる「Population pharmacokinetics of recombinant factor VIII - the relationships of pharmacokinetics to age and body weight」と題される白書に説明されるように、モデル生成器125はその後、それぞれのセットのグループ化された患者サンプル110に対して共変動の、及び統計的なモデリングを実施し、そのセットについてのポピュレーション薬物動態学的モデルを作成する。しかしながら、モデル生成器125は他のベイズ分析手法(例えば、単純ベイズ分類器)を使用してサンプリングされたデータ110をモデリングできることを諒解すべきである。
【0042】
図示される例において、モデル生成器125によって使用される共変動のモデルは、薬物動態学的パラメータ(例えば、治療的血漿タンパク質がどれくらいの速さで代謝されるか、内因性凝固因子VIIIレベル、等)と患者の性質(例えば、年齢、体重、臨床検査データ、性別、活動レベル、等)との関連性を決定する。モデル生成器125は、患者、測定誤差、及び薬物動態学的モデルに対するサンプリングされたデータ110のフィッティング内の誤差間での生体学的なバラツキの結果としての剰余分散に加えて、統計的なモデルを使用してサンプリングされた患者の間での薬物動態学的パラメータの分散を決定する。
【0043】
例示的なモデル生成器125は、SAS(登録商標)ソフトウェアにおいて提供されるような一次積分近似法で非線形混合効果モデリング(NLMIXED手順)を使用して共変動な、及び統計的なモデリングを実施するように構成されている。図示される例において、モデル生成器125は2分画モデルを使用する。他の例において、モデル生成器125は1分画モデル又は3以上の分画のモデルを使用してもよい。図示される2分画の例において、第1の分画はクリアランス(「CL」)及び分布容積(Vl)の薬物動態学的パラメータを含む。CLは患者が1キログラム(「kg」)当たり1時間当たりミリリットル(「ml」)単位の治療的血漿タンパク質を代謝する時間の長さを指す。換言すると、クリアランスは治療的血漿タンパク質が患者から取り除かれる又は除去される効率及び速度の測定値である。
【0044】
1つ又は複数の薬物動態学的モデルを作成することに応答して、モデル生成器125はPKサーバ130に薬物動態学的モデル(複数可)を提供する。送信はローカルエリアネットワーク等のプライベートネットワークを介するもの、又はインターネット等のパブリックなネットワークを介するものであってもよい。モデル生成器125はさらにモデルをデータベース115に記憶してもよく、データベース115はさらにPKサーバ130によって1つ又は複数のインターフェースを介してアクセス可能であってもよい。他の例において、モデル生成器125はPKサーバ130と一体化されてもよい。
【0045】
例示のモデル生成器125はそれぞれの患者についてのモデルの精度を高めることができる。例えば、PKサーバ130は体重、年齢、性別、内因性凝固因子VIIIレベル、及び以前の処置についての投与レベルを含む、患者特異的な情報を受信することができる。投与推奨及び薬物動態学的プロファイルが、潜在的な患者の分散を考慮しつつも特定の患者により整合するように、モデル生成器125は以前の処置情報(例えば、投与の量、間隔、等)を使用してモデルの精度を高めるか、又は調整する。モデル生成器125はPKサーバ130に患者特異的なモデルを送信する。
【0046】
代替的に、PKサーバ130は、患者特異的な薬物動態学的分散を考慮するためにモデル生成器125によって提供される薬物動態学的モデルを使用して患者特異的なモデルを作成するように構成されている。このやり方において、特定の患者についての以前の処置情報を受信することに応答して、1つ又は複数のベースモデルがPKサーバ130によって精度を高められるか、又は調整される。PKサーバ130は、同一のヘルスケア事業者又は他のヘルスケア事業者による後続の使用のために、患者特異的なモデルをデータベース115に記憶するように構成されていてもよい。
【0047】
患者についてのPKプロファイルが生成されると、PKサーバはPKプロファイルを治療物モニタリングツール150に送信するように構成されている。いくつかの実施形態において、PKサーバ130は送信に先立ってデータファイルを暗号化することができる。ツール150が患者特異的な認証キーを有する場合、治療物モニタリングツール150が受信したPKプロファイルを開くこと、及び処理することだけができるように、暗号化は特定の患者に特異的であってよい。ツール150がアクティブ化されると、ツール150はプロセッサ(複数可)165により、ツール150上の表示のための対話的なユーザインターフェース175を生成する。
【0048】
エコシステムモニタリングシステム180は、ネットワーク105に連結され、リモートサーバ120及び治療物モニタリングツール150の両方と通信する。システム180は患者が購入するための特定の凝固因子VIII薬物を準備するように、薬剤師に通知を提供することができる。例えば、患者が近い将来薬物を必要とするように、システム180は、患者が残りの薬物の閾値量を有しているかどうかを判断することができる。同様に、システム180は、医師が患者に関連付けられるリアルタイムの情報を有していることを確認するために、医師に連絡を取ることができる。したがって、医師は必要が生じると、患者のケアをするために迅速な行動をとることができる。
【0049】
治療物モニタリングツール150は注射ポンプ140及びバイオメトリックモニタリングデバイス135に通信可能に連結することができる。注射ポンプ140は特定の凝固因子VIII薬物を、投与レジメン/処置スケジュールに基づいて、自動的に投与するように構成することができる。いくつかの実施形態において、注射ポンプ140は、バイオメトリックモニタリングデバイス135によって収集された生体学的なサンプルの結果に応答して特定の凝固因子VIII薬物の用量を投与するように構成することができる。例えば、バイオメトリックデバイス135は血液サンプルを収集し、患者の因子VIIIレベルを決定することができる。その量に応答して、注射ポンプ140は特定の凝固因子VIII薬物の用量を投与することができる。
【0050】
生理学的検知及び治療物投与システム100は、バイオメトリックモニタリングデバイス135によって収集されたリアルタイムの生理学的測定値から決定される患者の活動レベルに基づいて、凝固因子VIIIの投与を推奨する、及び/又は制御するようにさらに構成されていてもよい。
【0051】
例えば、患者は、凝固因子VIIIが例えば、座っていることが多い活動(例えば、読書)よりも速い速度で代謝されることを引き起こす、身体的に負担の大きい活動に参加することがある(例えば、サッカーなどのスポーツ)。したがって、システム100は、バイオメトリックモニタリングデバイス135から収集された生理学的測定値を使用して、患者の活動レベルに基づいて凝固因子VIIIの時間変化する濃度レベルを決定するか、又は予測することができる。決定された、又は予測された濃度レベルを使用して、システム100は凝固因子VIIIの注射を推奨する。特に、システム100はユーザインターフェース175により患者に通知又は警告を与えることができる。システム100は投与デバイス140により凝固因子VIIIを投与することもできる。
【0052】
バイオメトリックモニタリングデバイス135はユーザによって装着又は保持され得る筐体(不図示)に含まれることもできる。筐体はリストバンド、デバイス上のクリップ、ウェアラブルデバイスの形態であってもよく、又はユーザの手の中、若しくはポケットの中のいずれかでユーザによって保持されるか、或いはユーザの体に取り付けられてもよい。バイオメトリックモニタリングデバイス135はデバイス構成要素を含み、デバイス構成要素はロジック、記憶装置、グルーロジック、1つ又は複数のプロセッサ、マイクロエレクトロニクス、及びインターフェース回路の形態であってもよい。構成要素は治療物(例えば、凝固因子VIII)の投与を推奨する、及び/又は制御するために収集される生理学的測定に特有のタイプのものであってもよい。したがって、バイオメトリックデバイス135は1つ又は複数のセンサを含むことができる。
【0053】
センサは動き検出センサの形態であってもよい。いくつかの実施形態において、動きセンサは1つ又は複数の、加速度計、又はジャイロスコープ、又はロータリエンコーダ、又は熱量測定センサ、又は熱測定センサ、又は湿度測定センサ、又は変位センサ、又は超音波センサ、又は歩数計、又は高度計、又は線形動きセンサ、又は角度動きセンサ、又は複数軸動きセンサ、又はその組み合わせであることができる。センサはバイオメトリックモニタリングデバイス135を使用している患者の生理学的性質を測定するためのバイオメトリックセンサの形態であることもできる。
【0054】
言及したように、センサはバイオメトリックモニタリングデバイス135の動きを検出することができる。動きは、ウォーキング、ランニング、階段昇りなどのユーザの活動であり得る。したがって、ロジックは活動追跡ロジックを含み得る。活動追跡ロジックは、動きを定量化するように、センサによって生成される動きデータを処理し、その動きに関連付けられる識別可能なメトリックを生成するように構成されているロジックを含むことができる。いくつかの動きは歩数カウント、昇った階段数、移動距離、非常に活動的な瞬間、燃焼した熱量など、のような様々なタイプのメトリックを生成し、定量化する。
【0055】
バイオメトリックデバイス135は無線送受信機(不図示)を使用して、治療物モニタリングツール150及び/又はサーバ120と通信することができる。無線送受信機によってバイオメトリックモニタリングデバイス135は無線接続を使用して通信することができ、無線接続は無線通信ロジックによって可能とされる。無線通信ロジックはラジオ通信能力を有する回路の形態であることができる。ラジオ通信能力はWi-Fi接続、Bluetooth(登録商標)接続、低電力Bluetooth接続、又はあらゆる他の形態の無線テザリング若しくは近接場通信の形態であることができる。なお他の実施形態において、バイオメトリックモニタリングデバイス135は有線接続(不図示)を使用して他のコンピューティングデバイスと通信することができる。
【0056】
治療物モニタリングツール150はバイオメトリックモニタリングデバイス135及びネットワーク105(例えば、インターネット)と無線通信することができるコンピューティングデバイスである。治療物モニタリングツール150はアプリケーション(例えば、APP、モバイルAPPなど)のインストール及び実行をサポートすることができる。そのようなアプリケーションは治療物モニタリングアプリケーションを含むことができる。アプリケーションはリモートサーバ120からダウンロードすることができる。サーバ120は特殊化されたサーバ、又はアプリケーションストアなどのデバイス向けのアプリケーションを提供するサーバであることができる。アプリケーションが治療物モニタリングツール150にインストールされると、治療物モニタリングツール150はバイオメトリックモニタリングデバイス135と通信すること、又は通信するように設定することができる。治療物モニタリングツール150はスマートフォン、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又はバイオメトリックデバイス135で無線インターフェースできるあらゆる他のコンピューティングデバイスであることができる。
【0057】
一実施形態において、治療物モニタリングツール150はBluetooth接続を介してバイオメトリックモニタリングデバイス135と通信する。一実施形態において、Bluetooth接続は低電力Bluetooth接続(例えば、Bluetooth LE、BLE、又はBluetoothスマート)である。低電力Bluetoothは標準的なBluetooth回路に対して低い電力消費を提供するように構成されている。低電力Bluetoothは、一実施形態において、デュアルモードデバイスが単一のラジオアンテナを共有することを可能にする2.4GHzラジオ周波数を使用する。一実施形態において、低電力Bluetooth接続は、1秒当たり1~3メガビット(Mb)の範囲の無線データレートで50メートルまでの距離で機能することができる。一実施形態において、通信についての近接距離は特定の無線リンクによって定義することができ、いかなる具体的な規格にも結び付けられない。近接距離制限は既存の規格に対する変化によって、また将来的な規格及び/又は回路並びに能力を鑑みて、変わるであろうことが理解されるべきである。
【0058】
治療物モニタリングツール150はインターネット接続を使用してリモートサーバ120と通信することもできる。治療物モニタリングツール150のインターネット接続はセルラ接続、Wi-Fiなどの無線接続、及びその組み合わせ(異なるタイプの接続リンク同士の間のスイッチへの接続など)を含むことができる。
【0059】
上述したように、ネットワーク105(例えば、インターネット)でインターフェースされるリモートサーバ120も提供される。リモートサーバ120はバイオメトリックモニタリングデバイス135をサービスするいくつかのアプリケーション、及びバイオメトリックモニタリングデバイス135の関連付けられるユーザを、ユーザアカウントとして含むことができる。例えば、リモートサーバ120は様々なユーザアカウント110に関連付けられる様々なユーザプロファイルを含む記憶装置115を含む。
【0060】
情報は、限定することなく、デバイス-ユーザアカウントの対、システム設定、ユーザ設定、セッティング及びデータなどを含むことができる。記憶装置115は、個別の治療物モニタリングツール150についてユーザアカウントを有する登録ユーザの数に依存して、あらゆる数のユーザプロファイルを含むことになる。単一のユーザアカウントは、関連付けられる様々な又は複数のデバイスを有することができ、複数のデバイスはユーザによって個別にカスタマイズされ、管理され、アクセスされ得ることにも留意されたい。
【0061】
図2は本開示の例示的な実施形態による、バイオメトリックモニタリングデバイス235の論理的なブロック図を示す。バイオメトリックモニタリングデバイスは1つ又は複数のセンサ205、メモリ210、処理回路215、及び通信回路220を含む。
【0062】
バイオメトリックモニタリングデバイス235は、1つ又は複数のセンサ205から取得されるデータを使用する生理学的データを測定する、計算する、調査する、及び/又は決定するように構成されている。特に、センサ205は生理学的データ、例えば、体脂肪、除脂肪体重、水分、体細胞質量、身長、目の色、心拍数、呼吸数、血圧、動脈硬化度、及び/又は治療物血漿濃度レベルを表すデータを、検知する、測定する、及び/又は検出するように構成されている。それに加えて、又はその代わりに、本発明のバイオメトリックモニタリングデバイス235は、他の生理学的データを(適当なセンサを介して)検出する、測定する及び/又は検知することができ、すべてのそのような生理学的データ又はパラメータは、現在知られているか又は後に開発されるかに関わらず、本発明の範囲に入る。
【0063】
バイオメトリックモニタリングデバイス235はプログラムされ得るか、又は構成され得る(例えば、治療物モニタリングデバイス150のユーザインターフェース175を介してユーザによって、1つ若しくは複数の生理学的センサ205を有効にする若しくは関与させるために(又は、無効にする若しくは解放する)、並びに/又は1つ若しくは複数の生理学的パラメータのモニタリング、計算、及び/若しくは決定を(そのようなセンサ205からのデータに基づいて、又はそのようなセンサ205からのデータを使用して)有効にする又は無効にするために)。
【0064】
例えば、バイオメトリックモニタリングデバイス235がBIAを実装するための電極を有する体脂肪センサを含む場合では、ユーザが妊娠中又はペースメーカを装備している際はそのようなセンサを無効にすることが有利であり得る。この点において、妊娠中の女性はしばしばBIA測定を行うことから遠ざかる。しかしながら、体脂肪センサは男性患者、又は非妊娠中の女性患者に対して有効にされ得る。
【0065】
本明細書で議論したように、生理学的センサ(複数可)は、患者の生理学的情報を表すデータ(例えば、体重、体脂肪、血圧、脈拍、血糖値、及び心拍動に対応する波状の形)を検知する、検出する、調査する、及び/又は得ることができる。本実施形態のバイオメトリックモニタリングデバイス235はセンサ(例えば、1つ又は複数の生理学的センサ(複数可)205)のすべての並べ替え及び組み合わせを含むことができる。
【0066】
センサ205は処理回路215(バイオメトリックモニタリングデバイス235の動作を制御するために制御回路も含み得る)に電気的に連結される。処理回路215は生理学的センサ205からの検知される、検出される、及び/又は測定されるデータを使用して、生理学的情報を計算する、調査する、及び/又は決定する。処理回路215は現在知られているか、又は後に開発されるあらゆる手法を採用してそのようなバイオメトリックな、又は生理学的情報を計算する。
【0067】
例えば、バイオメトリックモニタリングデバイス235が心拍数センサを含む場合、処理回路215は心拍数センサからのデータを採用して、例えば、バリストカルジオグラフィーを使用してユーザの心拍数を計算する、調査する、及び/又は決定することができる。そのようなセンサの出力に基づいて、処理回路215は、ユーザの心拍数を計算し、調査し、及び/又は決定し、そのような情報を記憶する(例えば、メモリ210に)及び/又は出力する(例えば、通信回路220を介して治療物モニタリングツール150に)ことができる。
【0068】
処理回路215は、個別若しくは集積回路、及び/又は1つ若しくは複数の状態機械、(適切にプログラムされた)プロセッサ/コントローラ、及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(或いはその組み合わせ)であってもよい。実際、現在知られているか、又は後に開発される、あらゆる回路(例えば、個別若しくは集積回路、状態機械(複数可)、(適切にプログラムされた)プロセッサ(複数可)/コントローラ(複数可)、及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(複数可)(或いはその組み合わせ))を採用して、センサデータに基づいて、ユーザの生理学的情報を計算する、決定する、調査する、及び/又は決定することができる。それに加えて、又はその代わりに、処理回路215は、生理学的センサ205を制御する、及び/又は本明細書で説明したようなユーザコマンドを実装することができる。動作の際、処理回路215は、本明細書で説明及び図示した、特定の方法、手法、タスク、又は動作を実装する1つ又は複数のアプリケーション、ルーチン、プログラム、及び/又はデータ構造を、実施又は実行することができる。アプリケーション、ルーチン、又はプログラムの機能性は組み合わせるか、又は分散することができる。さらには、アプリケーション、ルーチン、又はプログラムは、例えば、アセンブラ、FORTRAN、C、C++、及びBASICを含む、現在知られているか、又は後に開発されるかに関わらずあらゆるプログラミング言語を使用して処理回路215によって実装していてもよく、コンパイルされているか、コンパイルされていないコードかどうかに関わらず、そのすべては本発明の範囲に含まれるように意図されている。
【0069】
バイオメトリックモニタリングデバイス235は通信回路220(無線、及び/又は有線)を使用してバイオメトリックな、又は生理学的なデータを送信し、及び/又は、治療物モニタリングツール150制御信号を介して表示するために受信する。通信回路220は、現在知られているか、又は後に開発される、あらゆる形態の通信(例えば、無線、光学、又は有線)及び/又はプロトコル(例えば、標準的な、又はプロプライエタリな(例えば、Bluetooth、ANT、WLAN、電力線ネットワーク、携帯電話ネットワーク、及びインターネットベースの、並びに/又はSMS)を実装するか、又は採用することができ、すべての形態の通信及びプロトコルは本発明の範囲に入るように意図されている。
【0070】
好ましい一実施形態において、バイオメトリックモニタリングデバイス235はマルチプロトコルのLANからWANへのゲートウェイであり、ローカルデバイスはBluetooth、ANT、ZigBee(登録商標)、などであることができ、バイオメトリックなゲートウェイが通信パス(例えば、携帯電話ネットワーク、WLAN、など)を介して、又は通信パス上でインターネットに通信する。バイオメトリックモニタリングデバイス235はユーザセットアップが必要とされないように「オープンなホットスポット」として動作することができる。例えば、ユーザは一意なデバイスIDを通じる外部デバイス(例えば、Fitbit Tracker)へのネットワークアカウント(例えば、www.fitbit.com、又は別のウェブサイト)をどこかに確立していることがあり、ゲートウェイはデバイスを自動的に認識し、データを適切な、所定の、関連付けられる及び/又は正確なアカウント、並びに場所に送信する。データは直接目的地に行くことがあり(例えば、インターネットを介して)、又は初めに中間地点に行くこともある。目的地、又は中間地点は他のデバイス又はネットワークサービス(例えば、www.fitbit.com)であってもよい。
【0071】
通信回路220はデータ及び/若しくはコマンドを、例えば、選択したウェブサイト、健康問題の専門家、若しくは健康志向モニタリンググループ/組織若しくはスペシャリスト、その他(本明細書の以降で「サードパーティ(複数可)」と総称する)にアップロードすることができ、並びに/又はデータ及び/若しくはコマンドをそれらからダウンロードすることができる。このようにして、バイオメトリックモニタリングデバイス235は手動で、又は自動でそのようなサードパーティに生理学的データを提供することができる。
【0072】
通信回路220はバイオメトリックモニタリングデバイス235のプログラミングをすること、例えば、選択された生理学的データ(例えば、選択された生理学的センサを有効にする及び/又は無効にすることによって)を取得し、並びに/又は選択された生理学的パラメータを計算する、モニタリングする、及び/若しくは決定するためにデバイスをプログラミングする(例えば、それにしたがって、処理回路215を有効にする又は無効にすることによって)ことを容易にすることもできる。バイオメトリックモニタリングデバイス235のプログラミングは患者又はサードパーティを介するものであってもよい。このようにして、例えば、サードパーティは生理学的データの取得を患者、状況(例えば、患者の身体的な条件)、及び所望の情報の取得に基づいて、カスタマイズする、又は仕立てることができる。
【0073】
図3は本開示の例示的な実施形態による、バイオメトリックモニタリングデバイス(例えば、
図2のバイオメトリックデバイス235)を伴う使用のための1つ又は複数のセンサ305のうちの一例を示す。センサ305は半導体又は生化学的なタイプのセンサであることができる。半導体のセンサは電気的、光学的、又は電気機械的なセンサであることができる。このようにして、様々なシステムが、目標とする用途に関連付けられる適当なパラメータをモニタリングするセンサを選択することによって、病気、健康及びフィットネスの管理のために設計され得る。
【0074】
したがって、バイオメトリックモニタリングデバイスは生理学的データ収集のために以下のような多くの分類のセンサをサポートする。
・ジェルなどで患者の体に接触するセンサ(例えば、パッチ)。
・外科的な手順によって患者の体に埋め込まれるセンサ。
・マイクロ針ベースの肌穿刺により患者の体を探索するセンサ。
・患者の体の極近傍のセンサ(例えば、マイクロ波又は光ビームを使用する探索)。
・定期的な又は時折の使用のための、治療物モニタリングデバイス150に埋め込まれるセンサ。
・電気的又は光学的なセンサにより生化学的なマイクロ流体試験片(例えば、グルコース、血液凝固速度)を読むことができるセンサ。
【0075】
図4は本開示の例示的な実施形態による、生理学的検知及び治療物投与の方法400の流れ図である。410において、方法400は生理学的センサ(例えば、
図2のセンサ205、及び/又は
図3のセンサ305)により、患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得するステップを含む。420において、方法400は、取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、患者について推奨される治療物の投与を特定するステップを含む。
【0076】
例えば、バイオメトリックモニタリングデバイス(例えば、バイオメトリックモニタリングデバイス235)は取得した「生の」センサデータを(処理回路215によって)処理することができる。バイオメトリックモニタリングデバイスは次に処理された「生の」センサデータをリモートサーバ(例えば、リモートサーバ120)に送信して、患者について推奨される治療物の投与を特定する。例えば、リモートサーバ120はPKサーバ130を介して患者のPKプロファイルを考慮して生理学的センサデータを分析する。このようにして、PKサーバ130は患者が治療物を代謝する速度を定量化することができる。
【0077】
この速度に基づいて、PKサーバ130は治療物の推奨される投与を治療物モニタリングツール150に送信することができる。治療物の推奨される投与はタイミング成分及び/又は量的な成分を含むことができる。例えば、タイミング成分及び/又は量的な成分は、取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数であってもよい。タイミング成分は患者についての治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンであってもよい。他の態様において、タイミング成分は、患者内の時間変化する治療物濃度レベルに基づく治療物のオンデマンドの投与であってもよい。代替的な態様において、量的な成分はタイミング成分及び/又は取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される治療物の量であってもよい。
【0078】
治療物の推奨される投与を使用して、治療物モニタリングツール150は、治療物投与デバイス140により治療物の投与を制御することができる。このようにして、患者は治療物血漿濃度レベルが安全レベルにとどまることを確実にすることができる。患者は治療物血漿レベルを維持する必要性によって阻害されることのないライフスタイルを維持することができることが有利である。
【0079】
図5は本開示の例示的な実施形態による、患者の身体的な活動の量及び強度に基づいて、治療物の推奨される投与を特定する方法500の流れ図である。505において、方法500は、治療物モニタリングツール(例えば、
図1のツール150)により、患者及び/又は取得した患者のリアルタイムの生理学的測定値のPKプロファイルに基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて患者内の時間変化する治療物濃度レベルを決定するステップを含む。例えば、治療物モニタリングツールは血漿測定値を生化学的センサ(例えば、
図3のセンサ(複数可)305から)から受信する。ツール150は、次いで治療物濃度レベルを決定する。追加的に、ツール150は心拍数及び動き測定値を電気的及び電気機械的センサ(例えば、センサ(複数可)305から)から受信することができる。このセンサデータを使用して、PKサーバ(例えば、PKサーバ130)は患者の身体的な活動の量及び強度を定量化することができる。
【0080】
515において、PKサーバは患者についての治療物の推奨される投与を特定する。例えば、PKサーバは患者のPKプロファイルを考慮して現在の治療物血漿濃度レベル及び患者の活動レベルを使用して、患者が治療物を代謝している速度、及び/又は代謝するであろう速度を決定することができる。
【0081】
サーバは、活動の頻度をさらに決定し、その頻度を履歴的な活動測定値と比較することができる。比較に基づいて、サーバは、推奨される投与が、オンデマンド注射であるか(例えば、活動がランダムであり、頻繁ではない場合)、又は調整される予防的注射スケジュールであるか(例えば、活動が頻繁であり、患者の履歴的な活動レベルからの変化である場合)を特定することができる。
【0082】
図6は例示的なコンピューティングデバイス3000の詳細なブロック図である。コンピューティングデバイス3000は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバシステム、クラウドベースのコンピュータシステム、無線送信/受信ユニット(WTRU)(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、等)などの、あらゆる通信デバイスであってもよい。したがって、コンピューティングデバイス3000は例えば、リモートサーバ120、治療物モニタリングツール150、及び/又はエコシステムモニタリングシステム180であってもよい。
【0083】
この例において、デバイス3000はメインユニット3102を含む。メインユニット3102は、アドレス/データバス3106によって、1つ又は複数のメモリデバイス3108、他のコンピュータ回路3110、及び1つ又は複数のインターフェース回路3112と通信可能に連結される、1つ又は複数のプロセッサ3104を含むことが好ましい。プロセッサ3104は、マイクロプロセッサのINTEL PENTIUM(登録商標)、又はCORE(商標)ファミリーからのマイクロプロセッサなどの、あらゆる適切なプロセッサであってもよい。メモリ3108は揮発性メモリ、及び非揮発性メモリを含むことが好ましい。メモリ3108は上述のように環境100内の他のデバイスと対話するソフトウェアプログラムを記憶することが好ましい。このプログラムはあらゆる適切なやり方で、プロセッサ3104によって実行することができる。例示的な実施形態において、デバイス3000によってクラウドコンピューティングが利用され得るように、メモリ3108は「クラウド」の一部であってもよい。メモリ3108は、デバイス3000から検索される(又はデバイス3000によりロードされる)文書、ファイル、プログラム、ウェブページ、患者サンプル、薬物動態学的モデル、患者の薬物動態学的プロファイル、等を示すデジタルデータを記憶することもできる。
【0084】
例示的なメモリデバイス3108はソフトウェア命令3123、患者サンプル/薬物動態学的モデル3124、アプリケーションインターフェース3126、ユーザインターフェースの特徴、許可、プロトコル、識別コード、内容情報、登録情報、イベント情報、及び/又は設定を記憶する。メモリデバイス3108は、ネットワーク又はシステムインターフェースの特徴、許可、プロトコル、設定、及び/又はデバイス3000による使用のための選好情報3128を記憶することもできる。本明細書で開示される方法及び装置の実装を容易にするために、多くの他のデータフィールド及びレコードがメモリデバイス3108に記憶され得ることが諒解されよう。加えて、あらゆるタイプの適切なデータ構造(例えば、フラットファイルデータ構造、リレーショナルデータベース、ツリーデータ構造、等)が本明細書で開示される方法及び装置の実装を容易にするために使用され得ることが諒解されよう。
【0085】
インターフェース回路3112は、イーサネット(登録商標)インターフェース及び/又はユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースなどのあらゆる適切なインターフェース規格を使用して実装することができる。データ及びコマンドをメインユニット3102に入力するために、1つ又は複数の入力デバイス3114がインターフェース回路3112に接続することができる。例えば、入力デバイス3114はキーボード、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、イメージセンサ、文字認識、バーコードスキャナ、マイクロフォン、及び/又は発話若しくは音声認識システムであってもよい。
【0086】
1つ又は複数のディスプレイ、プリンタ、スピーカ、及び/又は他の出力デバイス3116は、さらにインターフェース回路3112を介して、メインユニット3102に接続されてもよい。ディスプレイは、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、又はあらゆる他のタイプのディスプレイであってもよい。ディスプレイはデバイス3000の動作中に生成される視覚的な表示を生成する。例えば、ディスプレイはユーザインターフェースを提供することができ、またデバイス3000から受信した1つ又は複数のウェブページを表示することができる。ユーザインターフェースは、リンク、ボタン、タブ、チェックボックス、サムネイル、テキストフィールド、ドロップダウンボックス等を含む、デバイス3000のユーザから人間の入力のためのプロンプトを含むことができ、ユーザ入力に応答して、テキスト、静止画像、動画、音声、及びアニメーションなどの様々な出力を提供することができる。
【0087】
1つ又は複数の記憶デバイス3118はさらにインターフェース回路3112を介して、メインユニット3102に接続されてもよい。例えば、ハードドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、及び/又は他の記憶デバイスをメインユニット3102に接続することができる。記憶デバイス3118は、識別子、識別コード、登録情報、患者サンプル、患者情報、薬物動態学的モデル、患者の薬物動態学的プロファイル、処置レジメン、統計的なデータ、セキュリティデータ等、デバイス3000によって使用され得るようなあらゆるタイプのデータを記憶することができる。
【0088】
コンピューティングデバイス3000は、ネットワーク3121(例えば、インターネット)又はネットワーク3121に接続される無線送受信機3122への接続を介して他のネットワークデバイス3120とデータを交換することもできる。ネットワークデバイス3120は、あるタイプのデータを記憶するために使用され得る1つ又は複数のサーバ、及び1つ又は複数のデータリポジトリに記憶され得る特に大容量のデータを含むことができる。サーバはデータベース、プログラム、ファイル、ライブラリ、識別子、識別コード、登録情報、内容情報、患者サンプル、患者情報、薬物動態学的モデル、患者の薬物動態学的プロファイル、処置レジメン、統計的なデータ、セキュリティデータ等を含むあらゆる種類のデータを処理すること、又は管理することができる。サーバは大容量のデータを受信すること、送信すること、処理すること、及び記憶することに関する様々なアプリケーションを記憶し、動作させることができる。1つ又は複数のサーバの様々な設定が、環境100のデバイス3000をサポート、維持、又は実装するために使用され得ることを諒解すべきである。例えば、サーバはPKサーバ108、病院システム、患者、薬物製造元、サービスプロバイダ等のオペレータを含む様々な異なるエンティティによって動作させられ得る。さらに、一時的又は永続的のいずれかで、サーバ、例えば、メモリ3108又は記憶デバイス3118、にも記憶される、あるデータがデバイス3000に記憶されてもよい。ネットワーク接続はイーサネット接続、デジタル加入者線(DSL)、電話線、同軸ケーブル、無線接続等のような、あらゆるタイプのネットワーク接続であってもよい。
【0089】
デバイス3000へのアクセスは、適当なセキュリティソフトウェア又はセキュリティ対策によって制御することができる。個別のサードパーティクライアント又は消費者のアクセスはデバイス3000によって定義され、あるデータ及び/又はアクションに限定することができる。したがって、環境100のユーザはコンピューティングデバイス3000に登録することが要求され得る。
【0090】
本開示はその例示的な実施形態を参照して特に示し、説明してきたが、当業者であれば添付の特許請求の範囲によって包含される本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び細部における様々な変更がそこでなされ得ることを理解されたい。
[発明の項目]
[項目1]
生理学的検知及び治療物投与のシステムであって、
患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得するように構成されているセンサと、
前記取得した前記患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、前記患者について推奨される治療物の投与を特定するように構成されている薬物動態学的(PK)サーバであり、前記治療物が前記患者内の時間変化する濃度レベルを有する、PKサーバと
を備える、システム。
[項目2]
前記患者のPKプロファイル及び/又は前記取得した前記患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて前記患者内の時間変化する治療物濃度レベルを決定するように構成されている治療物モニタリングツール
をさらに備える、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記治療物の前記推奨される投与が、タイミング成分及び/又は量的な成分を含み、前記タイミング成分及び/又は量的な成分が、前記取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数である、項目2に記載のシステム。
[項目4]
前記タイミング成分が、前記患者についての前記治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンである、項目3に記載のシステム。
[項目5]
前記タイミング成分が、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルに基づく前記治療物のオンデマンドの投与である、項目3に記載のシステム。
[項目6]
前記量的な成分が、前記タイミング成分及び/又は前記取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される前記治療物の量である、項目3に記載のシステム。
[項目7]
前記PKサーバが、前記生理学的測定値に基づいて前記患者の身体的な活動の量及び強度を定量化するようにさらに構成されている、項目3に記載のシステム。
[項目8]
前記PKサーバが、前記患者の身体的な活動の前記量及び強度に基づいて、前記患者についての前記治療物の前記推奨される投与を特定するようにさらに構成されている、項目7に記載のシステム。
[項目9]
前記治療物投与ツールが、前記患者の身体的な活動の前記量及び強度に基づいて、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルを決定するように構成されている、項目8に記載のシステム。
[項目10]
前記生理学的測定値のタイプに基づいて、前記センサが前記患者の体のある場所に連結される、項目1に記載のシステム。
[項目11]
前記センサが、前記タイプの前記生理学的測定値のリアルタイムの取得を可能にするために特有の回路及び/又はハードウェアを含む、項目10に記載のシステム。
[項目12]
生理学的検知及び治療物投与の方法であって、
生理学的センサにより患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得するステップと、
1つ又は複数のプロセッサにより、前記取得した前記患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、前記患者について推奨される治療物の投与を特定するステップであり、前記治療物が前記患者内の時間変化する濃度レベルを有する、ステップと、
を含む方法。
[項目13]
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記患者のPKプロファイル及び/又は前記取得した前記患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて前記患者内の時間変化する治療物濃度レベルを決定するステップをさらに備える、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記治療物の前記推奨される投与が、タイミング成分及び/又は量的な成分を含み、前記タイミング成分及び/又は量的な成分が、前記取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数である、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記タイミング成分が、前記患者についての前記治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンである、項目14に記載の方法。
[項目16]
前記タイミング成分が、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルに基づく前記治療物のオンデマンドの投与である、項目14に記載の方法。
[項目17]
前記量的な成分が、前記タイミング成分及び/又は前記取得したリアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される前記治療物の量である、項目14に記載の方法。
[項目18]
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記生理学的測定値に基づいて前記患者の身体的な活動の量及び強度を定量化するステップをさらに含む、項目14に記載の方法。
[項目19]
前記患者の身体的な活動の前記量及び強度に基づいて、前記患者についての前記治療物の前記推奨される投与を特定するステップをさらに含む、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記患者の身体的な活動の前記量及び強度に基づいて、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルを決定するステップをさらに含む、項目19に記載の方法。
[項目21]
前記生理学的測定値のタイプに基づいて、前記生理学的センサが前記患者の体のある場所に連結される、項目12に記載の方法。
[項目22]
前記生理学的センサが、前記タイプの前記生理学的測定値のリアルタイムの取得を可能にするために特有の回路及び/又はハードウェアを含む、項目12に記載の方法。
[発明の条項]
[条項1]
生理学的検知及び治療物推奨のシステムであって、
患者のリアルタイムの生理学的測定値を取得するように構成されているセンサと、
サーバであり、該サーバは、
モデル生成器であり、
治療物の注射を受けた複数の患者についてのサンプリングされた患者データを受信し、
前記治療物の注射後の時間を通した前記サンプリングされた患者データの分析により患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを生成する、モデル生成器と、
PKサーバであり、
前記リアルタイムの生理学的測定値に基づいて前記患者の身体的な活動の量及び強度を定量化し、
前記身体的な活動の量及び強度並びに前記PKプロファイルに基づいて、前記患者について推奨される治療物の投与レベルを特定し、前記治療物が前記患者内の時間変化する濃度レベルを有する、PKサーバと、
を有する、サーバと、
を備える、システム。
[条項2]
前記患者のPKプロファイル及び/又は前記患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて前記患者内の時間変化する治療物濃度レベルを決定するように構成されている治療物モニタリングツール
をさらに備える、条項1に記載のシステム。
[条項3]
前記治療物の前記推奨される投与レベルが、タイミング成分及び/又は量的な成分を含み、前記タイミング成分及び/又は量的な成分が、前記リアルタイムの生理学的測定値の関数である、条項2に記載のシステム。
[条項4]
前記タイミング成分が、前記患者についての前記治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンである、条項3に記載のシステム。
[条項5]
前記タイミング成分が、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルに基づく前記治療物のオンデマンドの投与である、条項3に記載のシステム。
[条項6]
前記量的な成分が、前記タイミング成分及び/又は前記リアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される前記治療物の量である、条項3に記載のシステム。
[条項7]
前記治療物モニタリングツールが、前記身体的な活動の前記量及び強度に基づいて、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルを決定するように構成されている、条項2に記載のシステム。
[条項8]
前記モデル生成器は、前記複数の患者の体重、性別、又は年齢のうちの少なくとも1つに基づき1つ又は複数の患者グループに前記サンプリングされた患者データを区分するようにさらに構成されており、
前記PKプロファイルが、前記患者の体重、性別、又は年齢に類似する性質を有する前記1つ又は複数の患者グループのうちの第1の患者グループに基づき生成される、
条項1に記載のシステム。
[条項9]
前記生理学的測定値のタイプに基づいて、前記センサが前記患者の体のある場所に連結される、条項1に記載のシステム。
[条項10]
前記センサが、家庭用ウェアラブル電子デバイスに一体化されている、条項9に記載のシステム。
[条項11]
前記センサが、電気的なセンサ、光学的なセンサ又は電気機械的なセンサのうち少なくとも1つを含む、条項1に記載のシステム。
[条項12]
生理学的検知及び治療物推奨の方法であって、
1つ又は複数のプロセッサにおいて、生理学的センサから患者のリアルタイムの生理学的測定値を受信するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサにおいて、治療物の注射を受けた複数の患者についてのサンプリングされた患者データを受信するステップと、
前記1つ又は複数のプロッセッサにより、前記治療物の注射後の時間を通した前記サンプリングされた患者データの分析により患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを生成するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記リアルタイムの生理学的測定値に基づいて前記患者の身体的な活動の量及び強度を定量化するステップと、
1つ又は複数のプロセッサにより、前記患者の身体的な活動の量及び強度並びに前記PKプロファイルに基づいて、前記患者について推奨される治療物の投与レベルを特定するステップであり、前記治療物が前記患者内の時間変化する濃度レベルを有する、ステップと、
を含む方法。
[条項13]
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記患者のPKプロファイル及び/又は前記患者のリアルタイムの生理学的測定値に基づいて、時間的にあらゆる所与のポイントにおいて前記患者内の時間変化する治療物濃度レベルを決定するステップをさらに備える、条項12に記載の方法。
[条項14]
前記治療物の前記推奨される投与レベルが、タイミング成分及び/又は量的な成分を含み、前記タイミング成分及び/又は量的な成分が、前記リアルタイムの生理学的測定値の関数である、条項13に記載の方法。
[条項15]
前記タイミング成分が、前記患者についての前記治療物のカスタマイズされた予防的投与レジメンである、条項14に記載の方法。
[条項16]
前記タイミング成分が、前記患者内の前記時間変化する治療物濃度レベルに基づく前記治療物のオンデマンドの投与である、条項14に記載の方法。
[条項17]
前記量的な成分が、前記タイミング成分及び/又は前記リアルタイムの生理学的測定値の関数に基づいて特定される前記治療物の量である、条項14に記載の方法。
[条項18]
前記センサが、電気的なセンサ、光学的なセンサ又は電気機械的なセンサのうち少なくとも1つを含む、条項14に記載の方法。
[条項19]
前記1つ又は複数のプロセッサにより、前記複数の患者の体重、性別、又は年齢のうちの少なくとも1つに基づき1つ又は複数の患者グループに前記サンプリングされた患者データを区分するステップであり、
前記PKプロファイルが、前記患者の体重、性別、又は年齢に類似する性質を有する前記1つ又は複数の患者グループのうちの第1の患者グループに基づき生成される、
区分するステップをさらに含む、条項12に記載の方法。
[条項20]
前記生理学的測定値のタイプに基づいて、前記生理学的センサが前記患者の体のある場所に連結される、条項12に記載の方法。
[条項21]
前記生理学的センサが、家庭用ウェアラブル電子デバイスに一体化されている、条項20に記載の方法。
【外国語明細書】