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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031882
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】マスクアセンブリ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/62 20120101AFI20220215BHJP
   G03F 1/66 20120101ALI20220215BHJP
【FI】
G03F1/62
G03F1/66
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021199135
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2020066728の分割
【原出願日】2016-02-01
(31)【優先権主張番号】62/111,380
(32)【優先日】2015-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/118,922
(32)【優先日】2015-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/270,330
(32)【優先日】2015-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラウンス,デルク,ゼルヴァーティウス,ゲートルダ
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】デ クライフ,ロベルタス,コルネリス,マルチヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】クリュイツィンガ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ノッテンブーム,アーノウド,ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ダニエル,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フェルブルッヘ,ベアトリス,ルイーズ,マリー-ヨセフ,カトリーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィレイ,ジェイムス,ノーマン
(57)【要約】
【課題】EUVリソグラフィにおけるペリクルの使用に関する問題を克服又は緩和するマスクアセンブリ及び方法を提供する。
【解決手段】マスクと、ペリクルフレームにより保持された取り外し可能なEUV透明ペリクルと、を備えたマスクアセンブリを受け取るステップと、ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルをマスクから取り外すステップと、検査ツールを使用してマスク上のマスクパターンを検査するステップと、後でペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルをマスクに装着するステップと、を含む方法を提供する。
【選択図】図9C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクと、ペリクルフレームにより保持された取り外し可能なEUV透明ペリクルと、を備えたマスクアセンブリを受け取るステップと、
前記ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルを前記マスクから取り外すステップと、
検査ツールを使用して前記マスク上のマスクパターンを検査するステップと、
その後ペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルを前記マスクに装着するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルを前記マスクから取り外した後、前記検査ツールの検査ビームに対して実質的に透明な材料から形成された代替ペリクルを保持する代替ペリクルフレームを前記マスクに装着することと、
検査ツールを使用して前記マスク上の前記マスクパターンを検査した後、前記ペリクルフレームにより保持された前記EUV透明ペリクルを前記マスクに装着するために、前記代替ペリクルフレームにより保持された前記代替ペリクルを前記マスクから取り外すことと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペリクルフレームを前記マスクから取り外すことは、装着構造を装着機構から係合解除することを含み、
前記ペリクルフレームを前記マスクに装着することは、前記装着構造を装着機構に係合させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記装着機構は、前記マスクに結合され、
前記装着構造は、前記ペリクルフレームに結合される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記装着機構は、前記マスク上の前記マスクパターンを検査した後にペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルの後の装着に使用できるように、前記装着構造を前記装着機構から係合解除することにより前記ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルを前記マスクから取り外した後にも前記マスクに結合される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記装着構造は、突起を含む装着機構と係合するように構成されたロック部材を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
後で前記マスクに装着される前記EUV透明ペリクル及びペリクルフレームは、前記マスクから取り外されたのと同じ前記EUV透明ペリクル及びペリクルフレームである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記代替ペリクルは、前記マスク検査ツールにより使用されるEUV以外の放射ビームに対して実質的に透明である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記マスク検査ツールにより使用される前記EUV以外の放射ビームはDUV放射ビームである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記代替ペリクルは、前記マスク検査ツールにより使用される粒子ビームに対して実質的に透明である、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスク検査ツールにより使用される前記粒子ビームは、電子ビームである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記代替ペリクルは、前記代替ペリクルのためだけに使用され、前記EUV透明ペリクルの装着には使用されない装着構造を使用して前記マスクに装着される、請求項2~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記代替ペリクルは、前記EUV透明ペリクルの前記装着機構が前記代替ペリクルに接触しないように前記マスクに装着される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マスクは、前記方法の初めから終わりまでクリーンな環境にある、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は更に、密封されたコンテナ内の前記マスクアセンブリをリソグラフィ装置からペリクル着脱ツールに移送することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は更に、密封されたコンテナ内の前記マスク、前記ペリクルアセンブリ又は前記マスクアセンブリから選択された1つ以上をペリクル着脱ツールからマスク検査ツールに移送することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記マスク検査ツールは、前記マスクアセンブリが同じ環境に留まるように前記ペリクル着脱ツールと一体化される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は更に、前記マスク又は前記ペリクルを洗浄することを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記装着機構は、洗浄中前記マスクに結合されたままである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記装着機構は、洗浄前に前記マスクから取り外される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記密封されたコンテナは、前記ペリクルのたるみを収容するように構成された凹部を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項22】
前記コンテナの前記凹部と前記マスクアセンブリの前記ペリクルの面との間の間隔は、0.5mm~2mmである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コンテナの前記凹部と前記マスクアセンブリの前記ペリクルの面との間の間隔は、0.5mm~1mmである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
マスクと、前記マスクに取り外し可能に装着できるように構成されたペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルと、を備えたマスクアセンブリを受け取るステップと、
前記マスクから前記ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルを取り外すステップと、
前記マスクに取り外し可能に装着できるように構成された代替ペリクルフレームにより保持され、前記EUV透明ペリクルを形成するために使用された材料と異なる、検査ツールの検査ビームに対して実質的に透明な材料から形成された代替ペリクルを、前記マスクに装着するステップと、
前記検査ツールで前記検査ビームを使用して前記マスク上のマスクパターンを検査するステップと、
前記マスクから前記代替ペリクルを取り外すステップと、
その後ペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルを前記マスクに装着するステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記代替ペリクルフレームは、前記EUV透明ペリクルフレームと異なる位置で前記マスクに装着される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
マスクアセンブリを内部に配置することができる開口と、
前記マスクアセンブリを内部に位置決めする時に前記開口を塞ぐシールと、を備え、
前記ペリクルの外側へのたるみを収容するように構成されたフロアを有する、
マスクアセンブリコンテナ。
【請求項27】
前記フロアは、前記マスクアセンブリが前記密封されたコンテナに保持される時、ペリクル面から0.5mm~1mm、又はそれ以上離れている、請求項26に記載のマスクアセンブリコンテナ。
【請求項28】
ペリクルフレーム装着構造を受けるように構成された突起を備えたマスクであって、
前記突起の底面は、前記ベースの表面にリセスを画定するリップを有し、
前記突起は、前記リセス内の接着剤により前記マスクに装着される、マスク。
【請求項29】
前記接着剤の量は、前記リセスの容積未満である、請求項28に記載のマスク。
【請求項30】
前記接着剤は、前記リセス及び前記マスクが前記接着剤を保持する実質的に密閉された空間を形成するように前記突起を前記マスクに引き寄せる、請求項28又は29に記載のマスク。
【請求項31】
前記突起は、前記リセス及び前記マスクが接着剤のガス放出のために部分的に開放された空間を形成するように前記リップに開口を有する、請求項28又は29に記載のマスク。
【請求項32】
前記突起は、前記マスクの基板材料に装着される、請求項28~31のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項33】
ペリクルアセンブリを内部に配置することができる開口と、
前記ペリクルアセンブリを内部に位置決めする時に前記開口を塞ぐシールと、を備え、
前記ペリクルの外側へのたるみを収容するように構成されたフロアを有する、
ペリクルアセンブリコンテナ。
【請求項34】
ペリクルフレーム装着構造を受けるように構成された少なくとも3つの突起を備えたマスクであって、
前記突起は、前記マスクに取り外し可能に装着される、マスク。
【請求項35】
前記突起は、前記マスクの基板材料に装着される、請求項33に記載のマスク。
【請求項36】
ペリクルアセンブリを作製する方法であって、
基板上に膜を形成し、基板材料をエッチング除去して前記膜を露出することにより基板周辺部により支持されたペリクル膜を設けることと、
前記膜に接する前記基板の一部に支持フレームを装着することと、
前記基板の一方の側に第1のカバーを、前記基板の反対側に第2のカバーを設け、これらを共締めして前記ペリクル膜を含む密封された環境を形成することと、
を含む、方法。
【請求項37】
前記第1のカバーは、前記基板に押し付けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のカバーは、前記基板に押し付けられる、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法は更に、前記第1及び第2のカバーを超えて突出する前記基板の部分を切り取ることを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記基板は、シリコンウェーハである、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第2のカバーは、前記支持フレームが前記密封された環境内に位置決めされるように前記支持フレームを覆う、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のカバーは、前記ペリクル膜のたるみを収容するように構成されたリセスを含む、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法は、ペリクル製造場所で実行される、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
請求項36~43のいずれか一項に記載の方法と、
ペリクル位置決めツールを前記支持フレームに装着し、前記第2のカバーを前記ペリクルアセンブリから取り外し、前記支持フレームをマスクに装着し、前記ペリクル位置決めツールを使用して前記ペリクルアセンブリから前記第1のカバーを取り外す、ことによりマスクアセンブリを形成することと、
を含む、方法。
【請求項45】
前記ペリクル位置決めツールは、前記支持フレームに設けられた盲穴に受容されるアームを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記方法は、マスクショップで実行される、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は更に、前記マスクアセンブリをコンテナ内に入れることと、前記コンテナを密封することと、を含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
基板境界部から延びるペリクル膜と、
前記基板境界部に装着された支持フレームと、
第1のカバーと、
第2のカバーと、を備え、
前記第1及び第2のカバーは、前記基板境界部の反対側に設けられ、前記ペリクル膜を含む密封された環境を形成する、
ペリクルアセンブリ。
【請求項49】
前記第2のカバーは、前記支持フレームが前記密封された環境内に位置決めされるように前記支持フレームを覆う、請求項48に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項50】
前記第1及び第2のカバーは、前記基板境界部に押し付けられる、請求項48又は49に記載のペリクルアセンブリ。
【請求項51】
ペリクルフレーム装着構造を受けるように構成された突起を備えたマスクであって、
前記突起のベース面は、溝を有し、これにより接着剤が前記溝と前記マスクとにより囲まれた容積に毛管作用により引き込まれ、
前記突起は、前記接着剤により前記マスクに装着され、
前記溝は、接着剤のガス放出のために部分的に開放された、マスク。
【請求項52】
ペリクルアセンブリ及びマスクを備えたマスクアセンブリのペリクルを監視する方法であって、
前記ペリクルの特性を測定し、ペリクル破損のリスク増大に関連する前記特性の変化を監視することと、
斯かる変化が見られた時に前記ペリクルアセンブリを前記マスクから取り外し、新しいペリクルアセンブリに交換することと、
を含む、方法。
【請求項53】
前記ペリクルの前記特性は、前記マスクアセンブリが前記リソグラフィ装置内でin situにある時に測定される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記特性は、前記ペリクルの赤外線放射である、及び/又は、前記マスクアセンブリのスキャン動作中の前記ペリクルのたわみである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記方法は、前記マスクアセンブリをマスクアセンブリ検査ツールに移送し、次に、前記マスクアセンブリ検査ツールを使用して前記ペリクルの前記特性を測定することを含む、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
次の1つ以上の測定技術:EUV反射測定、EUV透過測定、偏光解析法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、走査熱負荷測定、ポンプダウン又は通気時のペリクルのたわみ、を用いて前記ペリクルの1つ以上の特性を測定する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記方法は、前記ペリクルアセンブリを前記マスクから取り外すことと、前記ペリクルアセンブリをペリクルアセンブリ検査ツールに移送することと、それから前記ペリクルアセンブリ検査ツールを使用して前記ペリクルの前記特性を測定することと、を含む、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
次の1つ以上の測定技術:EUV透過測定(マスクから取り外されたペリクルアセンブリ)、EUV反射測定、複屈折測定、偏光解析法、フーリエ変換赤外分光法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、圧力差によるペリクル変位の測定、ポンプダウン又は通気時のたわみ、走査熱負荷測定、フレーム変形測定、を用いて前記ペリクルの1つ以上の特性を測定する、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2015年2月3日出願の米国出願第62/111,380号、2015年2月20日出願の米国出願第62/118,922号、及び2015年12月21日出願の米国出願第62/270,330号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明はマスクアセンブリに関し、排他的ではないが、特にマスクアセンブリを使用する方法に関する。マスクアセンブリはマスク及びペリクルを備えることができる。本発明は、排他的ではないが、特にEUVリソグラフィ装置及びEUVリソグラフィツールに関連して使用される。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層にパターニングデバイス(例えば、マスク)からのパターンを投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するためにリソグラフィ装置により使用される放射の波長は、その基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、従来の(例えば、193nmの波長を有する電磁放射を使用することができる)リソグラフィ装置より小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置において放射ビームにパターンを付与するために使用されるマスクは、マスクアセンブリの一部を構成することができる。マスクアセンブリはマスクの粒子汚染を防止するペリクルを含むことができる。ペリクルはペリクルフレームにより支持することができる。
【0006】
[0006] リソグラフィにペリクルを使用することは周知であり十分に確立されている。DUVリソグラフィ装置における典型的なペリクルは、マスクから離れた所に位置する薄膜であり、使用時にリソグラフィ装置の焦点面外にある。ペリクルはリソグラフィ装置の焦点面外にあるため、ペリクルに付着する汚染粒子はリソグラフィ装置の焦点外にある。その結果、汚染粒子の像は基板上に投影されない。もしペリクルが存在しなければ、マスクに付着した汚染粒子が基板上に投影され、投影パターンに欠陥が導入される。
【0007】
[0007] EUVリソグラフィ装置においてペリクルを使用することが望まれる。EUVリソグラフィは、一般的に真空中で行われる点、及びマスクが一般的に透過型ではなく反射型である点でDUVリソグラフィと異なる。ペリクルをDUVリソグラフィで使用する場合には存在しない、EUVリソグラフィにおけるペリクルの使用に関する課題が生じる可能性がある。
【0008】
[0008] 従来技術に関連する問題を克服又は緩和するマスクアセンブリ及びこれに関連する方法を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様によれば、マスクと、ペリクルフレームにより保持された取り外し可能なEUV透明ペリクルと、を備えたマスクアセンブリを受け取るステップと、マスクからペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルを取り外すステップと、検査ツールを使用してマスク上のマスクパターンを検査するステップと、その後ペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルをマスクに装着するステップと、を含む方法が提供される。
【0010】
[0010] 方法は、(マスク検査ツールにより使用されるビームに対して不透明であってもよい)EUV透明ペリクルから干渉されることなくマスクの検査を可能にするため有利である。
【0011】
[0011] 方法は更に、ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルをマスクから取り外した後に、検査ツールの検査ビームに対して実質的に透明な材料から形成された代替ペリクルを保持する代替ペリクルフレームをマスクに装着することと、検査ツールを使用してマスク上のマスクパターンを検査した後に、ペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルをマスクに装着するために、代替ペリクルフレームにより保持された代替ペリクルをマスクから取り外すことと、を含むことができる。
【0012】
[0012] ペリクルフレームをマスクから取り外すことは、装着構造を装着機構から係合解除することを含むことができ、ペリクルフレームをマスクに装着することは、装着構造を装着機構に係合することを含むことができる。装着機構はマスクに結合することができ、装着構造はペリクルフレームに結合することができる。装着機構は、マスク上のマスクパターンを検査した後にペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルのその後の装着に使用可能となるように、装着構造を装着機構から係合解除することによりペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルをマスクから取り外した後にもマスクに結合することができる。代替ペリクルは、EUV透明ペリクルの装着機構が代替ペリクルに接触しないようにマスクに装着することができる。
【0013】
[0013] 装着構造は、突起を含む装着機構と係合するように構成されたロック部材を含むことができる。
【0014】
[0014] 後でマスクに装着されるEUV透明ペリクル及びペリクルフレームは、マスクから取り外されたのと同じEUV透明ペリクル及びペリクルフレームであってもよい。
【0015】
[0015] 代替ペリクルは、マスク検査ツールにより使用されるEUV以外の放射ビームに対して実質的に透明であってもよい。
【0016】
[0016] マスク検査ツールにより使用されるEUV以外の放射ビームはDUV放射ビームであってもよい。
【0017】
[0017] 代替ペリクルは、マスク検査ツールにより使用される粒子ビームに対して実質的に透明であってもよい。
【0018】
[0018] マスク検査ツールにより使用される粒子ビームは電子ビームであってもよい。
【0019】
[0019] 代替ペリクルは、代替ペリクルのためだけに使用され、EUV透明ペリクルの装着には使用されない装着構造を使用してマスクに装着することができる。
【0020】
[0020] マスクは方法の初めから終わりまでクリーンな環境にあってもよい。
【0021】
[0021] 方法は更に、密封されたコンテナ内のマスクアセンブリをリソグラフィ装置からペリクル着脱ツールに移送することを含むことができる。
【0022】
[0022] 方法は更に、密封されたコンテナ内のマスク、ペリクルアセンブリ又はマスクアセンブリから選択された1つ以上をペリクル着脱ツールからマスク検査ツールに移送することを含むことができる。
【0023】
[0023] マスク検査ツールは、マスクアセンブリが同じ環境に留まるようにペリクル着脱ツールと一体化することができる。
【0024】
[0024] 方法は更に、マスク又はペリクルを洗浄することを含むことができる。
【0025】
[0025] 密封されたコンテナは、ペリクルのたるみを収容するように構成された凹部を有することができる。
【0026】
[0026] コンテナの凹部とマスクアセンブリのペリクルの面との間の間隔が0.5mm~1mmであってもよい。
【0027】
[0027] 本発明の第2の態様によれば、マスクと、マスクに取り外し可能に装着できるように構成されたペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルと、を備えたマスクアセンブリを受け取るステップと、マスクからペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルを取り外すステップと、マスクに取り外し可能に装着できるように構成された代替ペリクルフレームにより保持され、EUV透明ペリクルを形成するために使用された材料と異なる、検査ツールの検査ビームに対して実質的に透明な材料から形成された代替ペリクルをマスクに装着するステップと、検査ツールで検査ビームを使用してマスク上のマスクパターンを検査するステップと、マスクから代替ペリクルを取り外すステップと、後にペリクルフレームにより保持されたEUV透明ペリクルをマスクに装着するステップと、を含む方法が提供される。
【0028】
[0028] 方法は、(マスク検査ツールにより使用されるビームに対して不透明であってもよい)EUV透明ペリクルから干渉されることなくマスクの検査を可能にするため有利である。
【0029】
[0029] 代替ペリクルフレームは、EUV透明ペリクルフレームと異なる位置でマスクに装着することができる。
【0030】
[0030] 本発明の第3の態様によれば、マスクアセンブリを内部に配置することができる開口と、マスクアセンブリを内部に位置決めする時に開口を塞ぐシールと、を備え、ペリクルの外側へのたるみを収容するように構成されたフロアを有するマスクアセンブリコンテナが提供される。
【0031】
[0031] このようにペリクルのたるみを収容することは、ペリクルを損傷しやすいペリクルとコンテナの接触を回避するため有利である。
【0032】
[0032] フロアは、マスクアセンブリが密封されたコンテナに保持される時、ペリクル面から0.5mm~1mm、又はそれ以上離れていてもよい。
【0033】
[0033] 本発明の第4の態様によれば、ペリクルフレーム装着構造を受けるように構成された突起を備えたマスクが提供され、突起の底面はベースの表面にリセスを画定するリップを有し、突起はリセス内の接着剤によりマスクに装着される。
【0034】
[0034] このように突起を装着することは、接着剤からの望ましくないガス放出のリスクを軽減するため有利である。
【0035】
[0035] 接着剤の量はリセスの容積未満であってもよい。
【0036】
[0036] 接着剤は、リセス及びマスクが接着剤を保持する実質的に密閉された空間を形成するように突起をマスク側に引き寄せることができる。
【0037】
[0037] 突起は、リセス及びマスクが接着剤のガス放出のために部分的に開放された空間を形成するようにリップに開口を有することができる。
【0038】
[0038] 突起はマスクの基板材料に装着することができる。
【0039】
[0039] 本発明の第5の態様によれば、ペリクルアセンブリを内部に配置することができる開口と、ペリクルセンブリを内部に位置決めする時に開口を塞ぐシールと、を備え、ペリクルの外側へのたるみを収容するように構成されたフロアを有するペリクルアセンブリコンテナが提供される。
【0040】
[0040] このようにペリクルのたるみを収容することは、ペリクルを損傷しやすいペリクルとコンテナの接触を回避するため有利である。
【0041】
[0041] 本発明の第6の態様によれば、ペリクルフレーム装着構造を受けるように構成され、マスクに取り外し可能に装着できる少なくとも3つの突起を備えたマスクが提供される。
【0042】
[0042] 突起を取り外し可能に装着できるようにすることは、マスクを突起がない状態で簡単なやり方で洗浄でき、その後突起をマスクに再装着できるため有利である。
【0043】
[0043] 突起はマスクの基板材料に装着することができる。
【0044】
[0044] 本発明の第7の態様によれば、ペリクルアセンブリを作製する方法であって、基板上に膜を形成し、基板材料をエッチング除去して膜を露出することにより基板周辺部により支持されたペリクル膜を設けることと、膜に接する基板の一部に支持フレームを装着することと、基板の一方の側に第1のカバーを、基板の反対側に第2のカバーを設けることと、これらを共締めしてペリクル膜を含む密封された環境を形成することと、を含む方法が提供される。
【0045】
[0045] 方法は、基板が膜を支持し、膜の緊張性を保つ一方、カバーが膜を保護する役割を果たすため有利である。
【0046】
[0046] 第1のカバーは基板に押し付けることができる。
【0047】
[0047] 第2のカバーは基板に押し付けることができる。
【0048】
[0048] 方法は更に、第1及び第2のカバーを超えて突出する基板の部分を切り取ることを含むことができる。
【0049】
[0049] 基板はシリコンウェーハであってもよい。
【0050】
[0050] 第2のカバーは、支持フレームが密封された環境内に位置決めされるように支持フレームを覆うことができる。
【0051】
[0051] 第1のカバーは、ペリクル膜のたるみを収容するように構成されたリセスを含むことができる。
【0052】
[0052] ペリクルアセンブリを作製する方法は、ペリクル製造場所で実行することができる。
【0053】
[0053] 本発明の第8の態様によれば、ペリクルアセンブリを作製する上記の方法を含み、更に、ペリクル位置決めツールを支持フレームに装着し、第2のカバーをペリクルアセンブリから取り外し、支持フレームをマスクに装着し、ペリクル位置決めツールを使用してペリクルアセンブリから第1のカバーを取り外すことによりマスクアセンブリを形成することを含む方法が提供される。
【0054】
[0054] ペリクル位置決めツールは、支持フレームに設けられた盲穴に受容されるアームを含むことができる。
【0055】
[0055] マスクアセンブリを形成する方法はマスクショップで実行することができる。
【0056】
[0056] 方法は更に、マスクアセンブリをコンテナ内に入れることと、そのコンテナを密封することと、を含むことができる。
【0057】
[0057] 本発明の第9の態様によれば、基板境界部から延びるペリクル膜と、基板境界部に装着された支持フレームと、第1のカバーと、第2のカバーと、を備え、第1及び第2のカバーが基板境界部の反対側に設けられ、ペリクル膜を含む密封された環境を形成するペリクルアセンブリが提供される。
【0058】
[0058] 密封された環境は、汚染物質が環境に侵入し、ペリクル膜を汚染することを防止するため有利である。
【0059】
[0059] 第2のカバーは、支持フレームが密封された環境内に位置決めされるように支持フレームを覆うことができる。
【0060】
[0060] 第1及び第2のカバーは基板境界部に押し付けることができる。
【0061】
[0061] 本発明の第10の態様によれば、ペリクルアセンブリ及びマスクを備えたマスクアセンブリのペリクルを監視する方法であって、ペリクルの特性を測定し、ペリクル破損のリスク増大に関連する特性の変化を監視することと、斯かる変化が見られた時にペリクルアセンブリをマスクから取り外し、新しいペリクルアセンブリに交換することと、を含む方法が提供される。
【0062】
[0062] ペリクルの特性は、マスクアセンブリがリソグラフィ装置内でin situにある時に測定することができる。
【0063】
[0063] 特性はペリクルの赤外線放射であってもよい、及び/又は、マスクアセンブリのスキャン動作中のペリクルのたわみであってもよい。
【0064】
[0064] 方法は、マスクアセンブリをマスクアセンブリ検査ツールに移送し、次にマスクアセンブリ検査ツールを使用してペリクルの特性を測定することを含むことができる。
【0065】
[0065] 次の測定技術のうちの1つ以上を用いてペリクルの1つ以上の特性を測定することができる:EUV反射測定、EUV透過測定、偏光解析法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、走査熱負荷測定、ポンプダウン又は通気中のペリクルのたわみ。
【0066】
[0066] 方法は、ペリクルアセンブリをマスクから取り外すことと、ペリクルアセンブリをペリクルアセンブリ検査ツールに移送することと、それからペリクルアセンブリ検査ツールを使用してペリクルの特性を測定することと、を含むことができる。
【0067】
[0067] 次の測定技術のうちの1つ以上を用いてペリクルの1つ以上の特性を測定することができる:EUV透過測定(マスクから取り外されたペリクルアセンブリ)、EUV反射測定、複屈折測定、偏光解析法、フーリエ変換赤外分光法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、圧力差によるペリクル変位の測定、ポンプダウン又は通気中のたわみ、走査熱負荷測定、フレーム変形測定。
【0068】
[0068] 本発明の異なる態様の特徴は、本発明の他の態様の特徴と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
[0069] 本発明の実施形態を、単なる例として添付の概略図を参照して以下に説明する。
【0070】
図1】[0070] リソグラフィ装置及び放射源を備えたリソグラフィシステムの概略図である。
図2】[0071] 本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリの概略図である。
図3】[0072] 図2に示されたマスクアセンブリの一部を構成する突起の概略図である。
図4】[0073] 本発明の一実施形態に係る方法を示すプロセスフローである。
図5】[0074] 本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリ及びコンテナの概略図である。
図6】[0075] 本発明の一実施形態に係る方法を示すプロセスフローである。
図7】[0076] 本発明の一実施形態に係る方法を示すプロセスフローである。
図8】[0077] 本発明の一実施形態に係る方法を示すプロセスフローである。
図9A】[0078] ペリクルアセンブリを作製する方法を概略的に示す。
図9B】[0078] ペリクルアセンブリを作製する方法を概略的に示す。
図9C】[0078] ペリクルアセンブリを作製する方法を概略的に示す。
図9D】[0078] ペリクルアセンブリを作製する方法を概略的に示す。
図10A】[0079] ペリクルアセンブリを使用してマスクアセンブリを形成する方法を概略的に示す。
図10B】[0079] ペリクルアセンブリを使用してマスクアセンブリを形成する方法を概略的に示す。
図10C】[0079] ペリクルアセンブリを使用してマスクアセンブリを形成する方法を概略的に示す。
図11】[0080] 本発明の一実施形態に係る方法を示すプロセスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
[0081] 図1は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリを含むリソグラフィシステムを示している。このリソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、マスクMAを含むマスクアセンブリ15を支持するように構成された支持構造MT、投影システムPS、及び基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTを備える。照明システムILは、放射ビームBがマスクMAに入射する前にこの放射ビームBを調整するように構成される。投影システムは、(マスクMAによりパターン形成された)放射ビームBを基板W上に投影するように構成される。基板Wは、予め形成されたパターンを含むことができる。この場合、リソグラフィ装置は、パターン形成された放射ビームBを、基板W上に予め形成されたパターンに対して位置合わせする。
【0072】
[0082] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは、全て外部環境から隔離できるように構築及び配置することができる。大気圧未満の圧力のガス(例えば、水素)を放射源SO内に提供することができる。照明システムIL及び/又は投影システムPS内には、真空を提供することができる。照明システムIL及び/又は投影システムPS内には、大気圧を十分に下回る圧力の少量のガス(例えば、水素)を提供することができる。
【0073】
[0083] 図1に示される放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれることがあるタイプのものである。例えばCOレーザであってもよいレーザ1は、燃料エミッタ3から供給されるスズ(Sn)等の燃料に、レーザビーム2を介してエネルギを付与するように構成される。以下の説明ではスズについて言及するが、任意の好適な燃料を使用することができる。燃料は、例えば、液状であってもよく、例えば、金属又は合金であってもよい。燃料エミッタ3は、例えば小滴の形態のスズを、軌道に沿ってプラズマ形成領域4に向けて誘導するように構成されたノズルを備えることができる。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4のスズに入射する。スズにレーザエネルギを付与することにより、プラズマ形成領域4にプラズマ7が生じる。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合中にプラズマ7から放出される。
【0074】
[0084] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(より一般的に、法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)によって集光及び合焦される。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nm等の所望の波長を有するEUV放射)を反射するように構成される多層構造を有することができる。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有することができる。以下で考察されるように、第1焦点はプラズマ形成領域4にあってもよく、第2焦点は中間焦点6にあってもよい。
【0075】
[0085] レーザ生成プラズマ(LPP)源の他の実施形態では、コレクタ5は、EUV放射をかすめ入射角で受け、そのEUV放射を中間焦点に合焦させるように構成されたいわゆるかすめ入射コレクタであってもよい。かすめ入射コレクタは、例えば複数のかすめ入射リフレクタを備えた入れ子型コレクタであってもよい。かすめ入射リフレクタは、光軸Oを中心に軸方向に対称に配置することができる。
【0076】
[0086] 放射源SOは1つ以上の汚染トラップ(図示せず)を含むことができる。例えば、汚染トラップは、プラズマ形成領域4及び放射コレクタ5の間に配置することができる。汚染トラップは、例えば回転フォイルトラップであってもよい、又は汚染トラップの任意の他の適切な形態であってもよい。
【0077】
[0087] レーザ1は、放射源SOから分離することができる。この場合、レーザビーム2は、レーザ1から放射源SOへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)を使って送ることができる。レーザ1及び放射源SOは、合わせて放射システムとみなすことができる。
【0078】
[0088] コレクタ5により反射された放射は、放射ビームBを形成する。放射ビームBは、点6で合焦され、プラズマ形成領域4の像を形成する。この像は、照明システムILに対する仮想放射源として作用する。放射ビームBが合焦される点6は、中間焦点と呼ばれることがある。放射源SOは、中間焦点6が放射源の閉鎖構造9の開口部8上又は開口部8付近に位置付けられるように構成される。
【0079】
[0089] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調整するように構成された照明システムIL内へと通過する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は、共に所望の断面形状及び所望の角度分布を有する放射ビームBを供給する。放射ビームBは、照明システムILを通過し、支持構造MTにより保持されるマスクアセンブリ15に入射する。マスクアセンブリ15は、マスクMAと、ペリクルフレーム17により定位置に保持されたペリクル19とを備える。マスクMAは、放射ビームBを反射し、放射ビームBにパターン形成する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はこれらのミラーデバイスの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることができる。
【0080】
[0090] マスクMAから反射した後、パターン形成された放射ビームBは、投影システムPSに入射する。投影システムは、基板テーブルWTに保持された基板W上に放射ビームBを投影するように構成された複数のミラーを備える。投影システムPSは、放射ビームに縮小係数を適用し、マスクMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する像を形成することができる。例えば縮小係数4を適用することができる。図1において、投影システムPSは2つのミラーを有しているが、投影システムは、任意の数のミラー(例えば、6個のミラー)を備えることができる。
【0081】
[0091] リソグラフィ装置は、例えば、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付与されたパターンを基板W上に投影する(すなわち、動的露光)スキャンモードで使用することができる。支持構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小率及び像反転特性により決めることができる。基板Wに入射するパターン形成された放射ビームは放射バンドを含むことができる。この放射バンドは、露光スリットと呼ばれることがある。スキャン露光中、基板テーブルWT及び支持構造MTは、この露光スリットが基板Wの露光フィールド上を進むように動作することができる。
【0082】
[0092] 図1に示された放射源SO及び/又はリソグラフィ装置は、図示されていないコンポーネントを含むことができる。例えば、放射源SOにスペクトルフィルタを設けることができる。スペクトルフィルタは、EUV放射に対しては実質的に透過的であるが、赤外線放射等の他の放射波長を実質的にブロックするものであってもよい。
【0083】
[0093] リソグラフィシステムの他の実施形態では、放射源SOは他の形態を取ることができる。例えば、代替的な実施形態では、放射源SOは1つ以上の自由電子レーザを含むことができる。1つ以上の自由電子レーザは、1つ以上のリソグラフィ装置に供給できるEUV放射を放つように構成することができる。
【0084】
[0094] 以上で簡単に説明されたように、マスクアセンブリ15はマスクMAに隣接して設けられたペリクル19を備える。ペリクル19は放射ビームBの経路に設けられ、その結果、放射ビームBが照明システムILからマスクMAに近づく時と、マスクMAにより投影システムPSへ反射される時のいずれの場合にも放射ビームBはペリクル19を通過する。ペリクル19は(少量のEUV放射を吸収するが)EUV放射に対して実質的に透明な薄膜を含む。ペリクル19はマスクMAを粒子汚染から保護する役割を果たす。ペリクル19は本明細書ではEUV透明ペリクルと呼ばれることがある。
【0085】
[0095] リソグラフィ装置LA内部をクリーンな環境に維持するための努力がなされても、リソグラフィ装置LA内部に粒子が存在する可能性がある。ペリクル19がない場合は、粒子はマスクMA上に付着する可能性がある。マスクMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターン及び基板Wに転写されるパターンに不都合な影響を及ぼす可能性がある。都合がよいことに、ペリクル19は、マスクMAに粒子が付着するのを防止するために、マスクMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間にバリアを提供する。
【0086】
[0096] ペリクル19は、ペリクル19の表面に入射する粒子が放射ビームBの焦点面内にないようにマスクMAから十分離れて配置される。このようにペリクル19とマスクMAとを分離することには、ペリクル19の表面上に粒子がある場合に放射ビームBにパターンを付与する程度を減らす働きがある。放射ビームB内に粒子が存在しても、その位置が放射ビームBの焦点面内でない(即ち、マスクMAの表面でない)場合には、粒子の像は基板Wの表面で合焦しないことが理解されるだろう。一部の実施形態では、ペリクル19とマスクMAの間の間隔は、例えば2mm~3mm(例えば、約2.5mm)であってもよい。
【0087】
[0097] 図2は、マスクアセンブリ15を断面図でより詳細に示す。マスクMAはパターン面24を有する。ペリクル19を支持するペリクルフレーム17は装着構造22を備える。装着構造22は、ペリクルフレームのマスクMAへの取り外し可能な装着を可能にする(即ち、ペリクルフレームのマスクに対する装着及び取り外しを可能にする)ように構成することができる。装着構造22は、マスクMAに設けられた装着機構(図示せず)と係合するように構成される。装着機構は、例えばマスクMAから延びる突起であってもよい。装着構造22は、例えば、突起と係合し、ペリクルフレーム17をマスクMAに固定するロック部材を含むことができる。
【0088】
[0098] 複数の装着構造及び対応する装着機構を設けることができる。装着構造は、ペリクルフレーム17周りに(例えばフレームの一方の側に2個及びフレームの反対側に2個)分布させることができる。対応する装着機構はマスクMAの外周周りに分布させることができる。
【0089】
[0099] 装着構造22はマスクMAに対してペリクルフレーム17を吊るすことができる。つまり、ペリクルフレーム17とマスクMAとの間に間隔があってもよく、その結果、その間にペリクル19とマスクとの間の空間に対してガスが流出入できる隙間が存在する。隙間はペリクルフレーム17の外周周りに延びるスリットの形態であってもよく、スリットはペリクルフレームをマスクMAに接続する装着構造により分断される。ペリクルフレーム17とマスクMAとの間の間隔は、例えば200ミクロン~300ミクロンであってもよい。この間隔は比較的狭いため、ペリクル19とマスクMAとの間の空間に対するガスの流出入は制限される。
【0090】
[00100] 代替的な実施形態では、装着構造はペリクルフレーム17がマスクMAに接触するようなものであってもよい。
【0091】
[00101] 以上で述べたように、複数の装着構造及び対応する装着機構を設けることができる。各装着構造は、例えばロック部材を含むことができ、対応する各装着機構は(スタッドと呼ばれることがある)突起を含むことができる。ロック部材及び突起は、ペリクルフレームとマスクとの間の運動学的接続を形成することができる。これによって、マスクの大きな歪みを引き起こすことなくペリクルフレームをマスクに装着することが可能になる。
【0092】
[00102] 装着構造は、マスクフレームをマスクに装着する際の装着構造と装着機構との間の横方向のスライド運動を防止するように、また、マスク検査が行われた後の後続のペリクル装着の際のスライド運動がなくなるように構成することができる。斯かるスライド運動を防止することによって、防止しなかった場合に発生する可能性がある汚染粒子が回避されるという利点がもたらされる。
【0093】
[00103] 図3に示された一実施形態では、突起27はマスクMAから延び、遠位ヘッド28を含む。ロック部材は遠位ヘッド28の真下の突起27(スタッド)と係合し、これによりペリクルフレームをマスクに固定するように構成することができる。装着構造は、ロック部材をスタッドに抗して付勢するように構成された弾性機構を備えることができる。ロック部材は、弾性付勢に抗して力を印加することによりスタッドから解放することができる。
【0094】
[00104] 図3はマスクMAの前面から延びる突起27を示しているが、一実施形態では、その代わりに突起をマスクの側面に設けることができる。一実施形態では、マスクの側面に設けることができる突起もあれば、マスクの前面に設けることができる突起もある。
【0095】
[00105] 図3に見ることができるように、一実施形態では、突起はマスクMAに固定されたベース29を含む。ベースの底面にリップ31が設けられ、リップはベースの表面にリセス33を画定する。ベース29をマスクMAに固定するためにリセス33に接着剤が供給される。リセスに供給される接着剤の量はリセスの容積未満であり、ベースがマスクMAに押し付けられた時に接着剤はリセス内に完全に留まる。接着剤は乾燥するにつれて縮み、これによりベース29をマスクMAの方に引き寄せるため、リップ31は接着剤によりマスクMAに押し付けられる。その結果、リセスとマスクMAとが協働して、接着剤を保持する実質的に密閉された空間を画定する。これは、クリーンな環境への接着剤からのガス放出が実質的に回避されるために有利である。
【0096】
[00106] しかし、突起をマスクMAに接着することは任意の他の適切な手法で達成することができる。別の実施形態では、溝、例えば略U字型の溝を突起のベース内のガス抜きのために設けることができる。斯かるケースでは、U字型の溝は(マスクMAと協働して)突起のベース面にアイランドを画定する。接着剤は毛管作用によって溝に引き込まれ、溝の一部が接着剤のガス放出のために開いた状態で突起をマスクMAに固定する。
【0097】
[00107] 突起がリセス33を画定するリップ31を有する更に別の実施形態では、ガス抜きのために、リセス33の一部が接着剤のガス放出のために開くように、リップ31に1つ以上の開口を有することで足りる。
【0098】
[00108] 上記の実施形態では、突起のベースの溝又は突起リップ31の開口は、接着剤のガス放出がペリクルとマスクとの間の空間に直接侵入することが防止されるように構成される。従って、接着剤のガス放出が時間と共に発生する可能性があるものの、そのガス放出はペリクルフレームの外側に向かって発生し、よって汚染に敏感な可能性のあるペリクル又はパターンマスク領域の重大な汚染が発生せず、これによりマスク上のヘイズが防止される。
【0099】
[00109] 使用される接着剤の量は、例えば約50ミクロンであってもよい。接着剤は、例えばHuntsman Advanced Materials社のAraldite(登録商標)タイプ、Epotec(登録商標)等のエポキシ接着剤又は任意の他のEUVに適切な軟質又は硬質接着剤であってもよい。
【0100】
[00110] 突起27がマスクMAの前面から延びる一実施形態では、突起はマスクのパターン面から数ミリメートル離れた所に配置することができる。斯かる実施形態では、突起27のベース29からガス放出する材料はマスクMAのパターン面に入射し、投影パターンに欠陥を引き起こす可能性がある。斯かる状況では、突起27をマスクMAに固定する接着剤のガス放出を防止することが特に有利である。(以上で説明したように)接着剤を保持する実質的に密閉された空間に接着剤を供給することでこの利点がもたらされる。
【0101】
[00111] 突起27及びマスク間の結合は永続的であっても一時的であってもよい。突起は、例えば(例えば以上で説明した)接着剤、又は他の手段を使用することによりマスクMAに固定することができる。例えば、突起は、ねじ又はクランプ等の機械的取り付け具を使用して、突起をマスクに引き付けるように誘導された静電力又は磁力により、(ファンデルワールス接着力を使用する)光学的結合又は任意の他の適切な手段によりマスクに固定することができる。突起のマスクへの装着は、突起を容易かつ清潔に取り外せるようなやり方で(例えば、マスクMAに付着する可能性がある粒子又はガス放出分子及び種がほとんど放出されないように)行われる。代替的な実施形態では、突起はマスクMAの不可欠な部分(即ち、取り外し不可能)であってもよい。
【0102】
[00112] EUV反射性を与えるためにマスクMA上に材料の多層スタックを供給することができる。この多層スタックはEUV吸収層で部分的に被覆することができ、この部分的被覆により、リソグラフィ装置により基板上に投影されるパターンがマスクに与えられる。マスクの外縁には基板上に投影されないが、代わりに他の用途を有する他のパターンを設けることができる。例えば、これらのパターンはアライメントマークを含むことができ、またマスクのIDを示すことができる。
【0103】
[00113] (この文書で説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる)一実施形態では、突起27が装着されるマスクMAの表面の一部は、材料の多層スタック又はEUV吸収層を含まない。その代わりに、これらはマスクMAの表面のその部分から除去される(又はマスクの表面のその部分には存在していなかった)。結果として、突起はマスクが形成される材料に直接装着される。これはマスクの基板材料への突起の装着と呼ばれる(又は同等に、マスク基板への突起の装着と呼ばれる)ことがある。マスク基板は、例えばガラスから形成することができる。マスク基板は、例えば低熱膨張剤(LTEM)から形成することができる。
【0104】
[00114] このように突起を装着することは、突起27及びマスクMA間の結合の強さが多層スタック又は吸収層の材料特性に影響されないため有利である。その代わりに、結合はマスク基板の材料だけで決定される。更なる利点は、突起27は多層スタック又は吸収層に装着されないため、突起を装着する際のこれらの層の損傷及び結果として生じる汚染粒子の発生が回避されることである。
【0105】
[00115] 追加の利点は、後にマスクMAから突起27及び接着剤を除去することが必要になった場合にこれをより簡単に行えることである。特に、多層スタック又は吸収層は接着剤が位置する場所に存在しないため、接着剤除去プロセスがこれらを損傷するリスクを冒すことはない。これにより、結果として汚染粒子が発生することも回避される。
【0106】
[00116] 代替的な構成では、装着構造(複数を含む)はマスク上に設けることができ、装着機構(複数を含む)はペリクルフレーム上に設けることができる。
【0107】
[00117] 図2には、汚染粒子26が概略的に示されている。汚染粒子26はペリクル19に衝突し、ペリクルに保持される。ペリクル19は、汚染粒子をマスクMAのパターン面24から十分離れたところに保持するため、汚染粒子はリソグラフィ装置LAにより基板上に結像されない。
【0108】
[00118] ペリクル19は、例えばポリシリコン(pSi)膜等の材料から形成することができる。ポリシリコン(pSi)膜はEUV放射に対して実質的に透明である。ペリクル19は、代替的にEUV放射に対して実質的に透明な何らかの他の材料、例えばグラフェン、シリセン等から形成することができる。本明細書におけるEUV透明ペリクル又はEUV放射に対して実質的に透明な膜は、ペリクル19が入射EUV放射の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、及びより好ましくは入射EUV放射の少なくとも90%を透過させることを意味する。ペリクル19上の水素ラジカル、プラズマ及び微量の酸素の効果を低減するのに役立ち得るキャッピング層を設けることができる。キャッピング層はペリクル上及びペリクルフレーム上の両方に設けることができる。
【0109】
[00119] 本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリは、使用中に実質的に欠陥がない状態を保つマスクパターンを提供することができる(マスクパターンはペリクルにより汚染から保護される)。以上で述べたように、(例えば、スリットの形態を取る)ペリクルフレームとマスクの分離をもたらすことができ、ペリクルとマスクとの間の空間に対するガスの流出入が可能になる。これにより、マスクアセンブリのポンプダウン及びガス抜きをマスクアセンブリを損傷することなく行うことが可能になる。
【0110】
[00120] 図4は、マスク検査ツールによるマスクパターンの検査を可能にするマスクアセンブリの取り扱いを示すプロセスフローである。ペリクル19はEUV放射に対して実質的に透明であるが、マスク検査ツールにより使用される検査ビームに対して実質的に不透明であってもよい(又はマスク検査ツールがマスクパターンを正確に検査できるように少なくとも十分に透明でない)。プロセスフローはこの問題に対処する。マスク検査ツールは、例えば非EUV波長の放射ビーム(例えば、DUV、VIS又はIR放射)を検査ビームとして使用することができる。マスク検査ツールは、例えば電子ビーム(eビーム)等の粒子ビームを検査ビームとして使用することができる。
【0111】
[00121] マスクアセンブリは、リソグラフィ装置からペリクル着脱ツールに移送される。ペリクル着脱ツールの内部に、制御されたクリーンな環境が提供される。ペリクル着脱ツールは、装着構造22(図2参照)をマスクMAから係合解除するように構成された装着構造アクチュエータを備える。これらのアクチュエータは装着構造22を係合解除するために使用され、そして、ペリクルフレーム17は(EUV透明ペリクル19と共に)マスクMAから取り外される。
【0112】
[00122] そして、マスクMAに代替ペリクルが装着される。代替ペリクルは、EUV透明ペリクルとは異なる材料から形成される。代替ペリクルは、非晶質フッ素重合体(例えば、テフロンAF又はサイトップ)等の材料から形成することができ、マスク検査ツールにより使用される検査ビーム(例えば、DUV放射ビーム又はeビーム)に対して実質的に透明である。「検査ビームに対して実質的に透明」という用語は、代替ペリクルはマスク検査を実行できるように検査ビームを十分によく透過させることを意味するよう意図されている。代替ペリクルは、例えば検査ビームの少なくとも80%、より好ましくは検査ビームの少なくとも90%を透過させることができる。
【0113】
[00123] 代替ペリクルは、EUV透明ペリクルをマスクMAに装着するために使用されるものと同じ装着機構に装着することができる。別の構成では、代替ペリクルは、代替ペリクルを受けるためだけに使用され、EUV透明ペリクルには使用されない代替装着機構を使用してマスクMAに装着することができる。代替装着機構は、EUV透明ペリクルにより使用される装着機構よりもマスクのパターン領域から更に遠くに設けることができる。代替装着機構を使用することは、代替ペリクルを装着する際にEUV透明ペリクル装着機構が損傷する可能性を避ける(代替ペリクルを装着する際にEUV透明ペリクル装着機構が接触されない)ため有利である。代替装着機構をマスクのパターン領域から更に遠くに設けることは、汚染粒子が装着機構からパターン領域に移動するリスクを低下させるため有利である。代替装着機構は、例えばマスクMAの両側に設けることができる。
【0114】
[00124] 代替ペリクルは、マスクMA上に設けられた代替装着機構と係合するように構成された装着構造を備えることができる。代替装着構造は、例えば代替ペリクルを支持するフレーム上に設けることができる。
【0115】
[00125] 代替ペリクルは、マスク検査ツールによるマスク検査中は所定の位置にあるため、代替ペリクルは(検査ビームに対して実質的に透明であるため)検査対応ペリクルと呼ぶことができる。代替ペリクルは仮ペリクルと呼ぶこともできる。
【0116】
[00126] 次に、すでに代替ペリクルと共にマスクを備えたマスクアセンブリは、マスク検査ツールに移送される。マスク検査ツールはマスクパターン上の汚染を検査する。汚染が見つかった場合は、汚染を除去するためにマスクMAの洗浄を実行することができる。代替ペリクルは、マスクを洗浄できるように(例えば、ペリクル着脱ツールを使用して)取り外すことができる。装着機構(例えば、突起)は、このようなマスクの洗浄中はマスクMA上の所定の位置に留まることができる。これはEUV透明ペリクルを受けるために使用される装着機構を含み、また、(斯かる装着機構が存在する場合は)代替ペリクルを受けるために使用される装着機構を含むことができる。洗浄後、代替ペリクルはマスクMAに(例えば、ペリクル着脱ツールを使用して)再装着することができる。マスクアセンブリは、マスク検査ツールに戻され、ここで更なる検査が実行され、汚染が除去されたことがチェックされる。
【0117】
[00127] 次に、マスクアセンブリはマスク検査ツールからペリクル着脱ツールに移送される。次に、ペリクル着脱ツールはマスクMAから代替ペリクルを取り外す。
【0118】
[00128] 次に、ペリクルフレーム及びEUV透明ペリクルはマスクMAに装着される。これは先にマスクMAから取り外されたのと同じペリクルフレーム及びペリクルであってもよい、又は新しいペリクルフレーム及びペリクルであってもよい。同じペリクルフレーム及びペリクルが再使用される場合は、ペリクルはマスクMAに再装着される前に洗浄することができる。
【0119】
[00129] 次に、すでにマスクMA、ペリクルフレーム17及びEUV透明ペリクル19を備えたマスクアセンブリ15は、リソグラフィ装置に移送される。リソグラフィ装置はマスクMAから基板上にパターンを投影するために使用される。
【0120】
[00130] マスク検査ツール及びペリクル着脱ツールは、マスクアセンブリの移送を最小限にするために互いに一体化することができる。
【0121】
[00131] 代替ペリクルは、DUV透明ペリクル、又はEUV透明ペリクルの代わりに使用される任意の適切なペリクル(即ち、検査対応又は仮ペリクル)であってもよい。代替ペリクルは、マスク検査ツールにより使用される放射ビーム又は粒子ビーム(例えば、eビーム)に対して実質的に透明であってもよい。
【0122】
[00132] 代替的なアプローチでは、ペリクルフレーム17及びEUV透明ペリクル19は、ペリクル着脱ツールを使用してマスクMAから取り外し、次に、マスクに代替ペリクルを装着することなくマスク検査ツールに引き渡すことができる。マスク検査ツールによるマスクMAの検査の後、ペリクルフレーム17及びEUV透明ペリクル19は、ペリクル着脱ツールによりマスクに再装着することができる(又は新しいペリクルフレーム17及びEUV透明ペリクル19を装着することができる)。このアプローチはマスクの検査を可能にするが、マスクは,マスクの検査中又はマスク検査ツールへの及びマスク検査ツールからの移送中にペリクルにより保護されないという欠点を含む。マスク検査ツールは、例えばペリクル着脱ツールの環境又はリソグラフィ装置の環境よりもそれほど厳密に制御されていないクリーンな環境を有することができる。例えば汚染粒子が、検査後かつペリクルフレーム17及びEUV透明ペリクル19がマスクに装着される前にマスクMAに付着する可能性がある。これはマスク検査後に起こるために、汚染粒子は検出されず、基板上に投影されるパターンに欠陥をもたらす可能性がある。この欠点は、マスクMAがマスク検査中、及びマスク検査ツールへの及びマスク検査ツールからの移送中にペリクルにより保護されるため、図4に示される方法により回避される。マスクMAは、プロセスのごく一部であるEUV透明ペリクルと代替(例えば、DUV透明)ペリクルとの交換の間だけ保護されない。ペリクル着脱ツール内に提供される環境は、これがマスクMAが保護されない唯一の環境であることを考慮して、厳密に制御(例えば、他の環境よりもより厳密に制御)することができる。
【0123】
[00133] 一実施形態では、マスクMAは、不使用時のEUV透明ペリクルではなく代替ペリクルを装着することができる。代替ペリクルは、例えばDUV透明ペリクルを含むことができる。DUV透明ペリクル材料はEUV透明ペリクル材料よりもガス放出に悩まされず、従って、DUV透明ペリクルを備えたマスクアセンブリの在庫が使用される場合に、経時的なガス放出による汚染が少ないことを予想することができる。
【0124】
[00134] 以上では、ペリクルフレームをマスクから取り外し、その後ペリクルフレームを再装着するという文脈で説明してきたが、ペリクル着脱ツールは、これまでペリクルが設けられていなかったマスクにペリクルフレームを装着するために使用することもできる。
【0125】
[00135] 図4に示されるプロセスの間、マスクアセンブリは常にクリーンな環境に保たれる。ペリクル着脱ツールの内部は、マスク検査ツールの内部と同様に制御されたクリーンな環境である。ペリクル着脱ツール及びマスク検査ツール間におけるマスクアセンブリの移送は2つの手法のどちらかで実現することができる。ペリクル着脱ツールとマスク検査ツールとの連結は、これらを直接結合するポートにより行うことができる。ポートは外部環境から封鎖される。ポートは、これら2つのツールの制御されたクリーンな環境を結合することができ、これによりマスクアセンブリは、制御されたクリーンな環境から出ることなくペリクル着脱ツールからマスク検査ツールに直接移動することが可能になる。
【0126】
[00136] 代替的なアプローチでは、マスクアセンブリはクリーンな環境を提供するコンテナに配置することができ、そして、コンテナ内でペリクル着脱ツールからマスク検査ツールに移送することができる。コンテナの内部は、ペリクル着脱ツールの制御されたクリーンな環境に連結することができ、その結果、マスクアセンブリは制御されたクリーンな環境から出ることなく(例えば、適切なハンドラを使用して)コンテナ内に配置可能である。次にコンテナは、コンテナ内にクリーンな環境が維持されるように密封される。次にコンテナはマスク検査ツールに搬送される。マスク検査ツールにおいて、コンテナ内のクリーンな環境は、マスク検査ツール内の制御されたクリーンな環境に連結され、次にマスクアセンブリはマスク検査ツール内に移送される。上記のステップは、マスクアセンブリをペリクル着脱ツールに返送するために逆に行われる。
【0127】
[00137] コンテナは、ペリクル及びペリクルフレームを備えたペリクルアセンブリの移送用にクリーンな環境を提供するために使用することもできる。例えば、ペリクルアセンブリはコンテナを使用してペリクル着脱ツールに搬送することができる。
【0128】
[00138] 一実施形態では、マスクを組み付けてマスクアセンブリに(又はペリクルアセンブリに)なるように構成された交換可能なビューウィンドウを有するコンテナがリソグラフィ装置に提供される。スキャナ、即ち検査ツールに移送されるコンテナに交換可能な膜(交換可能なビューウィンドウ)を設けることにより、マスクは常に保護される。粒子への主要な暴露は、コンテナ間でレチクルが交換される場合に制御された環境で起こる。交換可能な保護膜は、露光時にEUVに対して透明となるように選択し、検査装置に設けられる場合に検査に対して透明となるように交換することができる。交換可能な膜付近のコンテナの底部側は、壊れやすい膜を保護するために閉じることができる。検査中、保護膜を有するマスクはレチクル段にロードされ、交換可能な膜は検査中に使用される光源と適合するように選択される。次にマスクは、粒子を最小限にするクリーンな環境において(検査に適した膜を有する)コンテナAから(露光に適した膜を有する)コンテナBに移される。露光中、保護膜を有するマスクはレチクル段にロードされ、交換可能な膜は露光中に使用される光源と適合するように選択される。
【0129】
[00139] 制御されたクリーンな環境間でマスクアセンブリ(又はペリクルアセンブリ)を移送するために使用できるコンテナの一例が、図5に概略的に示されている。コンテナ30は、マスクアセンブリ15の形状と概ね一致した形状を有する。コンテナ30は、凹部33を含むプレート32を備える。凹部33はペリクル19から離間してペリクルのたるみを収容する。凹部33とペリクルの面との間隔は、例えば、約0.5mm~約1mm(例えば、約0.7mm以上)であってもよい。「ペリクルの面」という用語は、ペリクルの辺と対応し、たるみがない場合に位置するであろう平面を指すものと解釈することができる。
【0130】
[00140] ペリクル19の外側へのたるみは、ペリクル19とマスクMAとの間の空間内の圧力がこの空間の外の圧力よりも大きい場合に生じる可能性がある。これは、コンテナ30の制御されたクリーンな環境内の圧力が低下しつつある場合に生じる可能性がある。なぜなら、ペリクルフレーム17とマスクMAとの間にはスリットがあるものの、これらのスリットは比較的小さく、ガスの流れを制限することができるからである。ペリクル19の外側へのたるみは重力によって生じる可能性もある。
【0131】
[00141] コンテナ30は、既知のコンテナがリセス33を有しないことを除き、ペリクル無しでEUVマスクを搬送するように構成された既知のコンテナと概ね一致してもよい。リセス33の深さは、例えば約3mmであってもよい。これは、以上で述べたように約2mm~約2.5mmの高さを有することができるペリクルフレーム17及びペリクル19を収容し、ペリクルの外側へのたるみを収容する空間を提供する。
【0132】
[00142] コンテナ30は更に、マスクアセンブリ15上方に配置できるカバー34を備える。カバーは開放箱(即ち、蓋のない箱)の形態を有する。プレート32は、カバー34と一体となるフロアの機能を果たし、マスクアセンブリ15を包み込むコンテナ30を形成する。プレート32とカバー34との間に、コンテナの内部を外部環境から隔離する機能を果たすシール36が設けられる。シール36は任意の適切な形態を有することができる(図示されている黒い円板は例示に過ぎない)。
【0133】
[00143] マスクアセンブリ15をコンテナ30内部に配置できるように、開口部の任意の適切な開口形態を使用することができる。
【0134】
[00144] コンテナ30は、真空位置と真空でない位置との間でマスクアセンブリ15(又はペリクルアセンブリ)を搬送するために使用することができる。真空位置及び非真空位置はいずれも制御されたクリーンな環境であってもよい。例えば、ペリクル着脱ツールは真空状態になく、マスク検査ツールは真空状態になくてもよい。この場合、コンテナは、マスクアセンブリ15(又はペリクルアセンブリ)を、(例えば、リソグラフィ装置内部の)真空環境から非真空環境へ、及びその逆に搬送することができる。
【0135】
[00145] コンテナ30は、コンテナの内部を真空から大気圧に引き上げるためにガスを導入可能なポート(図示せず)を備えることができる。以上で更に詳しく述べたように、ペリクルフレーム17及びマスクMAの間にスリットがあるものの、これらは比較的小さく、ペリクル19及びマスクMAの間の空間へのガスの流入を制限することができる。ガスがコンテナ30に導入されている時に、マスクMA側へのペリクルのたるみが発生する可能性がある。しかし、ペリクル19の面とマスクMAとの間の間隔は、ペリクルがマスクと接触しないように十分大きく構成されている。コンテナ30へのガスの流入は、ペリクル19の両側の圧力差が確実に(ペリクルがマスクMAに接触する可能性が回避されるとともに、ペリクルの破損が回避されるように十分に低くてもよい)所望の閾値未満に保たれるように制御することができる。
【0136】
[00146] マスクアセンブリ15をリソグラフィ装置に移送する前にコンテナ30内に真空を提供するために、必要に応じてポートからガスを排出することができる。ガスは、ペリクル19の両側の圧力差が所望の閾値未満に保たれるように十分に低い速度で排出することができる(閾値は、ペリクルがコンテナ30に接触する可能性が回避され、ペリクルの破損が回避されるように十分に低くてもよい)。
【0137】
[00147] ペリクルアセンブリがマスクMAを伴わずに搬送される一実施形態では、ペリクルの一方の側の圧力上昇は起こり得ない。それにもかかわらず、例えば重力によるペリクル19のたるみが生じる可能性はある。コンテナ30のリセス33は、ペリクルがたるむ範囲よりも大きい深さを有することができる。これによってペリクルがコンテナに接触すること、及び結果として生じるペリクルの潜在的損傷が回避される。リセス33の深さは、例えば約3mmであってもよい。
【0138】
[00148] 図6は、本発明の一実施形態に係る方法のステップを高いレベルで示すプロセスフローである。図6に示されるように、これらのステップのうち一部は、ペリクル製造場所で実行することができ、一部のステップは(マスクショップと呼ばれることがある)マスク製造場所で実行することができ、また、一部のステップは(集積回路を製作することができる)リソグラフィFABで実行することができる。
【0139】
[00149] ペリクル製造場所において、ペリクルがポリシリコン等の適切な材料から形成され、ペリクルフレームに結合(例えば接着)される。次にペリクル及びペリクルフレームは汚染の有無が検査される。汚染が見つかった場合は、ペリクル及びペリクルフレームは洗浄され、その汚染が除去される。次に、ペリクル及びペリクルフレームは、クリーンな環境を提供するコンテナでマスクショップに搬送される。コンテナは、例えば、図5に関連して以上で説明されたコンテナに対応してもよい。
【0140】
[00150] マスクショップにおいてマスクが製造される。これは、後にリソグラフィ装置により基板上に投影されるパターンをマスク上に提供することを含む。ペリクルフレームはマスクに固定され、ペリクル、ペリクルフレーム及びマスクを備えたマスクアセンブリが形成される。次にマスクアセンブリは汚染の有無が検査される。汚染が見つかった場合は、マスクアセンブリは洗浄され、その汚染が除去される(例えば、ペリクルは取り外され、マスクは洗浄され、同じ又は新しいペリクルが再装着される)。次に、マスクアセンブリは、クリーンな制御された環境を提供するコンテナに配置され、リソグラフィFABに搬送される。コンテナは、例えば、図5に関連して以上で説明されたコンテナに対応してもよい。
【0141】
[00151] リソグラフィFABにおいて、マスクアセンブリはコンテナからリソグラフィ装置内に移送される。リソグラフィ装置は、パターンをマスクから基板上に従来のやり方で投影する。マスクアセンブリは、ペリクル汚染及び/又はマスク汚染の有無が定期的に検査される。ペリクル汚染の検査は、例えばリソグラフィ装置内で行うことができる(しかし、リソグラフィ装置の外側の独立ツールで行うこともできる)。マスクパターンの検査は、例えばマスク検査ツールを使用して実行することができる。マスクアセンブリは必要に応じて洗浄し、その後パターンを基板上に投影するために再度使用することができる。
【0142】
[00152] 図7は、マスクショップで実行できるマスクアセンブリ製造ステップをより詳細に示している。マスクが従来のやり方で製造される。マスクはEUVリソグラフィ装置で使用される反射マスクである。製造後、マスクは、マスクの製造中に生じたと思われる汚染を除去するために洗浄される。次に、マスクの裏面は汚染の有無が検査される(マスクの裏面上の汚染粒子はマスクの使用中の望ましくない局部的な歪みを生じさせる可能性がある)。次に、マスクのパターン面は汚染の有無が検査される(以上で述べたように、斯かる汚染は投影パターンに欠陥を導入する可能性がある)。一実施形態では、検査の順序は逆であってもよい、即ち、最初にパターン面、次に裏面が検査されてもよい。一実施形態では、検査のうちの1つを省略することができる(例えば裏面が検査されない)。
【0143】
[00153] ペリクルフレームに装着されたペリクルをペリクル製造者から受け取る。ペリクルはマスクに装着され、マスクアセンブリが形成される。ペリクルフレームをマスクに装着することは、装着構造を装着機構に係合することを含むことができる(ただし、任意の他の結合/装着形態も可能である)。装着構造は突起と係合するように構成されたロック部材を備えることができる。一実施形態では、複数の突起(例えば、スタッド)がマスクから延びることができる。ペリクルフレームは、突起と係合し,ペリクルフレームをマスクに固定するロック部材を備えることができる。突起はマスクの前面及び/又は側面に設けることができる。
【0144】
[00154] マスクアセンブリのペリクルは汚染の有無が検査される。マスクに対してペリクルフレームを着脱すること及びペリクルの汚染の有無を検査することは、同じツールにより実行することができる。ここではマスクショップに関連して述べられているが、これはまたリソグラフィFABにも当てはまり得る。
【0145】
[00155] ペリクルは、汚染が見つかった場合は取り外し、洗浄することができる。マスクパターンの検査が必要な場合がある。これが必要ない場合は、マスクアセンブリは、リソグラフィFABに搬送するためにコンテナに配置される。コンテナは、例えば、図5に関連して以上で説明されたコンテナに対応してもよい。
【0146】
[00156] マスクパターンの検査が必要な場合、これは図4に関連して以上で説明されたものと対応する方法を用いて実行することができる。つまり、(EUV透明)ペリクル及びペリクルフレームは取り外し、代替ペリクルに交換することができる。これにより(以上で更に詳しく説明したように)マスク検査ツールを使用したマスクパターンの検査が可能になる。検査は突起をマスクから取り外すことなく実行することができる。マスクパターンの検査後、代替ペリクルはEUV透明ペリクルに交換される。そして、結果として生じるマスクアセンブリはコンテナでリソグラフィFABに搬送することができる。
【0147】
[00157] 図7に示され、以上で更に詳しく説明されたように、マスクパターンの検査は、ペリクルが存在しない(即ち、EUV透明ペリクルも代替ペリクルも存在しない)状態で実行することができる。このアプローチの欠点は、ペリクルが存在しない間にマスクパターン上に汚染が導入される可能性があることである。検査はマスクから突起を取り外すことなく実行することができる。
【0148】
[00158] 汚染が見つかった場合は、マスクは洗浄され、汚染が除去される。マスクの洗浄はペリクルが存在しない状態で実行することができる。突起はマスクの洗浄中マスク上に留まることができる。突起はマスクに永続的に結合することができる(即ち、突起はマスクの取り外し不可能な部分である)。
【0149】
[00159] 一部の例では、マスク洗浄プロセスの一部として突起をマスクから取り外すことが望ましいこともある。突起が接着剤によりマスクに装着された場合は、突起を取り外すのに用いられるプロセスは、突起を装着するのに使用された接着剤の形態に依存することができる。接着剤が軟性接着剤(即ち、溶ける接着剤)である場合は、突起は接着剤を溶かすことによりマスクから取り外すことができる。これによって接着剤もマスクから取り除かれる。接着剤が硬性接着剤である(即ち、マスクに適合する溶媒に溶けない)場合は、突起はマスクから機械的に取り外される。そして硬性接着剤はマスクから機械的に取り除かれる。代替的な実施形態では、以上で述べたように、磁気若しくは静電装着、光学的接着、又は機械的締め付け等の、突起の結合の他の形態が考えられる。これらが用いられる場合は、突起は適切な技法を用いて取り外される(例えば、静電装着が用いられている場合は、装着するために用いられている電圧を取り除く)。
【0150】
[00160] 突起及び接着剤がマスクから除去されると、マスクのマスク洗浄が実行される。次に、ペリクルフレーム及びペリクルを受ける交換用突起をマスク上に接着することができる。マスクパターンの汚染の検査は、突起のマスクへの接着の前及び/又は後に実行することができる。ペリクルは、マスクへの装着の前及び/又は後に汚染の有無を検査することができる。
【0151】
[00161] 図8は、リソグラフィFABで実行されるプロセスをより詳細に示す。リソグラフィ装置の内部で実行されるプロセス部分は破線で識別される。
【0152】
[00162] (図5に関連して以上で説明されたコンテナに対応してもよい)コンテナに保持されたマスクアセンブリがリソグラフィ装置で受け取られる。コンテナはリソグラフィ装置のロードロックに入れられ、真空にポンプダウンされる。次に、マスクアセンブリはコンテナから取り出される。マスクの裏面は、リソグラフィ装置内にある検査ツールを使用して汚染の有無が検査される。ペリクルは、リソグラフィ装置にある検査ツールを使用して汚染の有無が検査される。汚染が発見されない場合は、マスクはリソグラフィ装置により使用されパターンが基板上に投影される。
【0153】
[00163] 基板の露光が完了すると、マスクアセンブリはロードロック内でコンテナに戻される。コンテナ及びロードロックにガスが導入され、コンテナ及びマスクアセンブリはリソグラフィ装置から取り外される。
【0154】
[00164] 汚染が見つかった場合は、マスクアセンブリはリソグラフィ装置から取り外される。これは、マスクアセンブリをロードロック内でコンテナに戻し、そしてコンテナ及びロードロックにガスを導入することを含む。次に、マスクアセンブリ及びコンテナはロードロックから除去される。そして、次のステップは見つかった汚染の性質に依存する。汚染がペリクルだけに見つかった場合は、ペリクルは新しいペリクル(及びペリクルフレーム)と交換することができる。これは以上でより詳細に説明されたペリクル着脱ツールで実行することができる。
【0155】
[00165] マスクパターンの汚染(又はマスクの裏面の汚染)が疑わしい又はその存在が判明した場合は、マスク検査ツールを使用したマスクの検査を実行することができる。この後にマスクの洗浄が行われ、汚染を除去することができる。マスクの洗浄は、突起をマスク上の所定の位置に残した状態で実行することができる。そして、マスクの洗浄後に、マスク検査ツールを使用してマスクの更なる検査を実行することができる。マスクに汚染がないことが判明した場合は、ペリクル及びフレームがマスクに装着され、そして、マスクはコンテナでリソグラフィ装置に搬送される。
【0156】
[00166] 洗浄により汚染が除去されなかった場合は、マスクは追加洗浄のためにマスクショップに戻される。この追加洗浄は、突起を所定の位置に残したまま実行することができる。代替的には、突起は追加洗浄が行われる前に取り外すことができる。
【0157】
[00167] ペリクルをマスクに着脱するツールは、ペリクル検査ツールから分離していてもよい。代替的には、ペリクルの着脱に加えて検査をも行う単一のツールを設けることができる。
【0158】
[00168] 図9は、本発明の一実施形態に係るペリクルアセンブリを作製する方法を概略的に示している。まず図9Aを参照すると、シリコンウェーハ50上にペリクルが形成される。化学蒸着(CVD)を用いてウェーハ50上にポリシリコンを蒸着させる。ポリシリコンの上部にキャッピング材料を蒸着させることができる。次に、シリコンウェーハ50の矩形領域が、シリコンウェーハ周辺部により支持されたポリシリコンの薄層を残してエッチング除去される。膜と呼ばれることもあるポリシリコンの薄層はペリクル52を形成する。ポリシリコンの薄層は、例えば100nm未満の厚さを有することができ、例えば約50nmの厚さを有することができる。一実施形態では、ペリクルは約80mm×80mmの大きさであってもよい。
【0159】
[00169] ペリクル52の周辺部周りにシリコンウェーハ50が存在することは、ペリクル52の緊張性を保つ硬性フレームを提供するため有利である。ペリクル52は、形成されるやり方により作製された時にピンと張っている。ポリシリコンの結晶化の性質によってポリシリコンの収縮が引き起こされる。この収縮によってペリクル52から皺が除去され、緊張性が与えられる(これはペリクルのプレストレスとみなすことができる)。もしウェーハ50がペリクル52を支持する硬性フレームを提供せず、逆に柔軟性を有するフレームが提供されれば、ペリクル52の緊張性によってフレームが内側に曲がってしまうだろう。このように内側に曲がる結果として、ペリクル52の緊張性が失われてしまう。方法の残りのステップによって、ウェーハ50の外側部分は、ペリクル52の緊張性が失われることなく除去することが可能になる。もしペリクル52の緊張性が失われるならば、ペリクルの制御されないたるみが生じ、ペリクルに皺が見られるだろう。
【0160】
[00170] ペリクル52の膜の外縁周りに延びるウェーハ50の部分は、ペリクルの境界部分55と呼ばれることがある(境界部分の外縁は破線で示される)。
【0161】
[00171] 図9Bは、ウェーハ50に固定されるカバーを概略的に示す。図9Bの左側の図は、上から見た上面カバー54及びウェーハ50を示す。図9Bの右側の図は、断面で見た上面カバー54、ウェーハ50及び他のコンポーネントを示す。上面カバー54は、使用時のマスクから最も遠いペリクルの側で境界部分55に押し付けられる。
【0162】
[00172] 図9Bの右側の破線は、ペリクル52の膜の位置を示す。この実施形態では、ウェーハ50の底面にあるペリクル52の膜である。これは、ウェーハの矩形領域を除去するのに用いられたエッチングをウェーハの上面に適用したためである。斯かる実施形態では、ペリクル52の膜と上面カバー54との間に隙間がある。従って、上面カバー54は平らな内表面を有することができる。代替的な実施形態では、ペリクル52の膜はウェーハ50の上面にある(エッチングはウェーハの底面に適用された)。斯かる実施形態では、ペリクル52の膜と上面カバー54との間に隙間がなく、従って、上面カバーはペリクルのたるみを収容するリセスを含む。
【0163】
[00173] ウェーハ50の反対側にフレーム58及び底面カバー56が設けられる。フレーム58は境界部分55に固定される。フレーム58は、内側への湾曲に抵抗可能であり、従って、ペリクル52の緊張性を保つことができるほど十分な硬性がある。フレーム58は、接着剤又は任意の他の適切な手段を用いて境界部分55に固定することができる。底面カバー56はウェーハ50に押し付けられ、ペリクル膜52の底面及びフレーム58の両方を覆う。
【0164】
[00174] 図9Bから、上面カバー54はペリクル膜52の上面を覆い、底面カバー56はペリクル膜の底面を覆うことが見て取れる。このように、カバー54、56はその間にペリクル膜52を含む密封された空間を形成する。上面カバー54、底面カバー56及びフレーム58は、ウェーハ50に装着される時にペリクル膜52の周囲に汚染物質が導入される可能性を最小限にするために、クリーンな状態でウェーハ50に取り付けられる。実際、ペリクルを作製し、次いでフレーム58及びカバー54、56を装着するプロセス全体は、クリーンな状態で実行することができる。
【0165】
[00175] 図9Cに概略的に示されるように、底面カバー56を超えて延びるウェーハ50の部分をトリミングするために切削ツール(例えば、フライス盤)が使用される。図9Cでは、ウェーハ50の右側部分はすでに除去されている。ウェーハ50の上部は、矢印60で示される方向に切断することにより今まさに除去されるところである。次いでウェーハ50の他の部分が除去される。ペリクル膜52は密封された環境内に含まれているため、このようなウェーハの切断にはペリクル膜に汚染物質が導入されるリスクがない。
【0166】
[00176] ウェーハ50の端がトリミングされると、残っているアセンブリは図9Dに示されるペリクルアセンブリ62である。ペリクルアセンブリは、ペリクル膜52、基板境界部分55、フレーム58、上面カバー54及び底面カバー56を備える。ペリクルアセンブリ62は、汚染物質が侵入できない密封された環境にペリクル膜52を保持する。フレーム58はペリクルを支持し、その緊張性を保つ。
【0167】
[00177] 図示された実施形態では、底面カバー56はフレーム58を覆う。これは、フレームに孔が設けられる実施形態において有利である。斯かる孔は、ペリクルの使用中にガスの通過を可能にすることを目的としているが、その他の時間中は汚染物質が孔を通ってペリクル膜52に到達する可能性がある。底面カバー56は、底カバーと基板境界部分55との間に孔を外部環境から隔離するシールを提供することによりこのことが起きないようにする。
【0168】
[00178] 上面カバー54及び底面カバー56は、1つ以上のクランプで基板境界部分55に押し付けられる。1つ以上のクランプは従来構造であってもよい。
【0169】
[00179] 図9に関連して記載及び図示されたステップは、ペリクルの緊張性を保ち、ペリクルの汚染を防止するペリクルアセンブリ62を提供する。ペリクルアセンブリ62は、例えば単一の場所で製造することができる。これは、例えば、ペリクルを第1の製造場所で製造した後に第2の場所に搬送して支持フレームに装着すること(第2の場所への搬送中に汚染物質が導入される可能性がある)と比較して有利である。
【0170】
[00180] ペリクルアセンブリ62は、例えば、ペリクル製造場所からペリクルがリソグラフィ装置により使用されるマスクに装着されるマスクショップに運ぶことができる。図10は、ペリクルをマスクに装着するためのプロセスを概略的に示している。プロセスは、例えばマスクショップ(即ち、パターンマスクが作製される工場)で実行することができる。
【0171】
[00181] 第1のステップ(図示せず)において、ペリクルアセンブリ62は、ペリクルアセンブリの外側から汚染を除去するために洗浄される。洗浄後、ペリクルアセンブリ62はクリーンな環境に保持され、汚染物質がペリクルアセンブリに衝突することが回避される。クリーンな環境内で、ペリクル配置ツール64がフレーム58に取り付けられる。ペリクル配置ツール64は、フレーム58に設けられた盲穴(即ち、フレームを完全には貫通しないフレームの外面に設けられた開口)に受容されるアーム66を備える。ペリクル配置ツール64はフレーム58をしっかりと保持し、上面カバー54を基板境界部分55に押し付ける(これにより上面カバー54を所定の位置に保持する)。ペリクル配置ツールがフレーム58に取り付けられると、カバー54、56を境界部分55に押し付けている1つ以上のクランプが除去される。そして、底面カバー56は図10Aに示されているようにフレーム58から取り外すことができる。図示されているように、これによりペリクル膜52の底面は露出される。フレーム58も露出される。
【0172】
[00182] 図10Bを参照すると、ペリクル配置ツール64は、ペリクル膜52及びフレーム58をマスクMAに対して位置決めし、フレーム58をマスクに押圧するように使用される。フレーム58は、任意の適切なやり方でマスクMAに固定することができる。これは、例えば(以上で更に詳しく説明したように)マスクMA上に設けられた装着機構にフレームを装着することを含むことができる。そしてペリクル配置ツール64は取り外される。これは上面カバー54を伴う。
【0173】
[00183] マスクアセンブリと呼ばれることがある、結果として生じるアセンブリ70は図10Cに示されている。マスクアセンブリ70は、ペリクルフレーム58及びペリクル52が固定されたマスクMAを備える。マスクアセンブリ70は、(例えば以上でより詳細に説明されたマスクアセンブリコンテナと対応してもよい)適切なコンテナで格納及び/又は搬送することができる。
【0174】
[00184] 図9及び10は、シリコンウェーハ50に関して本発明の実施形態を説明しているが、他の適切な基板を使用することができる。
【0175】
[00185] 図11は、本発明の一実施形態に係るペリクルを監視する方法を概略図に示す。方法は、基板を露光するためにリソグラフィ装置で使用されているマスクアセンブリから始まる。
【0176】
[00186] 方法の第1のステップは、ペリクルの1つの特性(又はペリクルの2つ以上の特性)のin situ測定である。図1を参照すると、ペリクルの特性のin situ測定は、マスクアセンブリ15が支持構造MTにより保持されている時に実行される測定を意味する。ペリクル破損のリスク増大に関連する特性の変化が見られる場合は、そのペリクルアセンブリはマスクから取り外され、新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0177】
[00187] 一実施形態では、ペリクルのin situ測定は赤外線センサを使用して実行することができる。基板の露光中、ペリクルはペリクルにより吸収されるEUV放射により加熱される。その結果、ペリクルは、波長がペリクルの温度に関連する赤外線を放出する。赤外線の波長がより短い波長に移行する場合、これはペリクルの温度が上昇したことを示す。ペリクルの大きな温度上昇は、ペリクル破損のリスクを増大させるペリクルへの損傷を示すことができる。従って、マスクアセンブリはリソグラフィ装置から取り外され、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0178】
[00188] 一実施形態では、マスクアセンブリのスキャン動作中に生じるペリクルの変形を測定することができる。変形は、例えばマスク側へのペリクルのたわみであってもよく、例えば横シヤー干渉計を使用して、ペリクルを通過したEUV放射の波面収差を測定することにより決定することができる。例えばマスクアセンブリが最初にスキャン動作を受けた時に観察された変形と比較した変形の増減は、ペリクルの応力の変化を示す。ペリクルの応力の増減がペリクル破損のリスク増大と対応する場合は、マスクアセンブリはリソグラフィ装置から取り外され、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0179】
[00189] 方法の次のステップは、最後のオフライン検査から所定の期間が経過したかどうかを決定することである。「オフライン」という用語は、ペリクルアセンブリがリソグラフィ装置内でin situにない時(即ち、マスクアセンブリが支持構造により保持されていない時)に行われる検査を意味するものと解釈することができる。所定の期間は、ペリクルが損傷を受ける時間の関数としての統計的尤度に基づくことができる。
【0180】
[00190] 所定の期間が経過した時、マスクアセンブリはマスクアセンブリ検査ツールに移送される。これはリソグラフィ装置からマスクアセンブリを取り外すことを含むことができる。マスクアセンブリは、リソグラフィ装置からマスクアセンブリ検査ツールに移送するために(例えば図5に示されたコンテナ30と対応する)コンテナに配置することができる。
【0181】
[00191] マスクアセンブリ検査ツールはマスクアセンブリを検査してペリクルの損傷を監視する。マスクアセンブリ検査ツールはペリクルの1つの特性(又は2つ以上の特性)を測定する。リソグラフィ装置の動作中にペリクル破損のリスク増大に関連する特性の変化が見られる(例えばペリクルの損傷が判明した)場合は、そのペリクルアセンブリはマスクアセンブリから取り外され、新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0182】
[00192] マスクアセンブリ検査ツールによりペリクルが損傷していないことが判明した場合は、ペリクルアセンブリ(即ち、ペリクル及びペリクルフレーム)は、(例えば以上で更に詳しく説明したように)ペリクルフレーム取り外しツールを使用してマスクから取り外すことができる。この取り外しの後、ペリクルアセンブリはマスクとは独立に処理される。ペリクルアセンブリはペリクル検査ツールに移送される。ペリクルアセンブリは、この移送の間密封されたコンテナに配置することができる。マスクはマスク検査ツールに移送される。マスクは、この移送の間密封されたコンテナに保持することができる。ペリクル検査ツールによるペリクルアセンブリの検査は、マスク検査ツールによるマスクの検査と並行して実行することができる。
【0183】
[00193] ペリクル検査ツールはペリクルの1つの特性(又は2つ以上の特性)を測定する。リソグラフィ装置の動作中にペリクル破損のリスク増大に関連する特性の変化が見られる(例えばペリクルの損傷が判明した)場合は、そのペリクルアセンブリはマスクアセンブリから取り外され、新しいペリクルアセンブリに交換される。例えば、ペリクルの損傷が判明した場合は、そのペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換することができる。
【0184】
[00194] マスクが汚染されていることが判明した場合は、マスクは汚染を除去するために洗浄される。マスクの洗浄によって汚染が除去されない場合は、マスクは新しいマスクに交換される。
【0185】
[00195] ペリクルが損傷していないことが確認される(又は新しいペリクルに交換される)と、マスク及びペリクルアセンブリは、ペリクルアセンブリのマスクへの取り付けが行われる取り付け/取り外しツールに(例えば密封されたコンテナを使用して)搬送される。その後ペリクルアセンブリは(例えば密封されたコンテナで)リソグラフィ装置に戻される。そして、マスクアセンブリを使用した基板の露光がリソグラフィ装置により実行可能となる。
【0186】
[00196] 本発明の実施形態は、後続のリソグラフィ装置の動作中、(ペリクル故障と呼ばれることがある)ペリクル破損のリスク増大を引き起こすペリクルの損傷を監視する。斯かる損傷が見つかった時は、ペリクルアセンブリは取り外され、別のペリクルアセンブリに交換される。これは、リソグラフィ装置の動作中にペリクルが故障するリスクを最小限にするため有利である。リソグラフィ装置の動作中のペリクル故障は、マスク及び/又はリソグラフィ装置の汚染を引き起こすおそれがあるため望ましくない。
【0187】
[00197] (図11に示されていない)一実施形態では、マスクアセンブリの検査(例えばマスク上のin situのペリクルの検査)は、ペリクルアセンブリの単独の検査よりも頻繁に実行することができる。この場合において、マスクアセンブリの検査でペリクル破損のリスク増大に関連するペリクル損傷が見つからない場合は、マスクアセンブリは、マスク及びペリクルアセンブリが分離されることなくリソグラフィ装置LAに戻され、追加の検査を行うことができる。
【0188】
[00198] マスクアセンブリ検査ツールは、次の1つ以上の測定技術を用いてペリクルの1つ以上の特性を測定することができる:EUV反射測定、EUV透過測定、偏光解析法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、走査熱負荷測定、ポンプダウン又は通気時のペリクルのたわみ。これらはそれぞれ以下で説明される。
【0189】
[00199] EUV反射測定-EUV放射がペリクルに向けられ、ペリクルの反射の局所的変化をセンサが監視する。EUV反射の局所的変化は、ペリクル上のキャッピング材料の劣化(又は他の変化)を示す。このようなキャッピング材料の劣化又は変化はペリクルの破損リスクを示す。斯かる劣化又は他の変化が見つかった場合は、ペリクルアセンブリはマスクから取り外され、交換される。EUV反射測定はペリクルの反射の広域的変化を監視することもできる。この場合も、(先に測定された値であってもよい反射の基準値と比較した)EUV反射の変化はペリクル上のキャッピング材料の劣化又は他の変化を示す。この場合も、斯かる変化が見られる場合は、ペリクルアセンブリはマスクから取り外され、交換される。
【0190】
[00200] EUV透過測定(マスク上のin situのペリクル)-EUV放射がペリクルに向けられる。ペリクルを通過するEUV放射はマスクで反射され、ペリクルを通って戻る。この反射されたEUV放射が監視される。監視は、マスクアセンブリが使用される前にEUV放射を測定及びマッピングし、次いで後に測定されるマップを最初のマップと比較することにより行うことができる。マップ間の差異はペリクルの変化又はマスクの変化のいずれかを示す。差異の性質は、ペリクルの変化とマスクの変化を区別するために使用することができる。ペリクルの大きな変化が見られる場合は、ペリクルアセンブリは交換することができる。マスクの大きな変化が見られる場合は、マスクは洗浄することができる。
【0191】
[00201] 偏光解析法-この技術は波長範囲にわたってペリクルの反射の変化を測定する。反射された放射の測定スペクトルが(例えば、先に行われた基準測定と比較して)変化する場合、これはペリクルの材料特性の変化(例えば、酸化)を示す。これらの変化はペリクル破損のリスク増大を示すことができる。また、材料特性の変化は露光中のペリクルの光学性能に影響を与えることがある。従って、ペリクルの材料特性の変化が偏光解析法により決定された場合は、ペリクルアセンブリは交換される。
【0192】
[00202] ラマン分光法-この技術はペリクルの応力の局所的変化を測定する。ラマン分光法は単色光の非弾性散乱に基づく分光技術である。単色光はレーザ光源から提供することができる。光子がペリクルからの非弾性散乱を受ける時、光子の周波数は変化する。光子の周波数の変化はペリクルの応力に依存する。従って、ペリクルの応力の変化はラマン分光法を用いて観察可能である。ペリクルの応力の変化はペリクル破損のリスク増大を示すことができる。ペリクルの応力の変化は広域的変化であってもよく、又は局所的変化であってもよい。応力の局所的変化は応力集中と呼ばれることがある。ペリクル破損のリスク増大を示すペリクルの応力変化が見られる場合は、ペリクルアセンブリは交換される。
【0193】
[00203] X線反射測定-この技術は、x線の放射線をかすめ入射角でペリクルに向け、ペリクルからのx線の鏡面反射の強度を測定する。反射されたx線の強度は、ペリクルの密度、厚さ又は粗さのうちの1つ以上を決定するために解析される。粗さはペリクルの表面粗さ又はペリクルの材料層間の界面の粗さであってもよい。密度、厚さ又は粗さのいずれかが、損傷していないペリクルで予想される値から大きく乖離することは、ペリクル破損のリスク増大を示すことができる。この場合には、ペリクルアセンブリは取り外され、新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0194】
[00204] 顕微鏡検査-ペリクルの局所的な欠陥を検査するために顕微鏡を使用することができる。検査は手動であってもよい、又は、例えばペリクルの欠陥を監視するための画像解析ソフトウェアを使用して自動化されていてもよい。検査はペリクルの粒子及び/又は穴の数、サイズ及び/又は形状を決定することができる。粒子が見つかった場合、又はペリクル破損のリスク増大を生じさせる穴が見つかった場合は、ペリクルアセンブリは取り外され、新しいペリクルアセンブリに交換される。例えば、ペリクルに穴が見つかった場合、これはマスクアセンブリを真空にポンプダウンする、又はマスクアセンブリを通気する際にペリクル破損の受け入れ難いリスクを生じさせることがある(ペリクルの両側の大きな圧力差がポンピング又は通気中に生じることがある)。ペリクルアセンブリを交換することで斯かる破損が生じないようにする。
【0195】
[00205] 共振測定-ペリクルアセンブリに振動が加えられ、共振周波数が発見されるまで振動数が調整される。これはマスクアセンブリを使用する前にペリクルが損傷していないことが分かっている時に行うことができる。後続のペリクルアセンブリの検査中に、ペリクルアセンブリに再び振動が加えられる。共振周波数が先に観察された共振周波数から乖離することは、ペリクルの応力の広域的変化及び/又はマスクアセンブリの他のある部分の応力の変化を示す。ペリクル故障のリスク増大に関連する損傷を示す共振周波数の変化が観察される場合は、ペリクルアセンブリは交換される。
【0196】
[00206] 走査熱負荷測定-この技術では、レーザビーム等の熱源がペリクルに対してスキャンされる。同時にペリクルの温度は、例えば高温計を使用して測定される。高温計は、ペリクルの局所的な高温部(即ち、ペリクルの残りの部分よりも高温の部分)を特定するために使用することができる。ホットスポットと呼ばれることがある局所的な高温部が見られる場合、これはペリクルの故障のリスク増大を示すことができる。この場合にはペリクルアセンブリは取り外されて交換される。ペリクルに供給された熱でペリクルに皺パターンが生成される。この皺パターンの周期(又は他のフィーチャ)はペリクルの応力と関連する。従って、皺パターンは、ペリクルの応力がペリクルの故障のリスク増大を生じさせるようなものであるかどうかを決定するために解析することができる。故障のリスク増大が存在する場合は、ペリクルアセンブリは取り外されて交換される。
【0197】
[00207] ポンプダウン又は通気時のペリクルのたわみ-マスクアセンブリは、真空にポンプダウン可能又は大気圧に通気可能なチャンバに移送することができる。チャンバは最初、マスクアセンブリを受け入れる時に大気圧であってもよい。そしてチャンバは制御されたやり方で真空にポンプダウンされる。図2に関連して以上で更に詳細に説明したように、ペリクルフレーム及びマスク間に隙間が存在するが、隙間は比較的狭く、ガスの流れを制限する。結果として、チャンバが真空にポンプダウンされている時は、ペリクル及びマスク間の圧力はチャンバの圧力よりも高くなる。この圧力差はペリクルの外側へのたわみを生じさせ、この外側へのたわみは適切なセンサ(例えばカメラ)を使用して測定される。その後チャンバは制御されたやり方で大気圧に通気することができる。これは、ペリクルの内側へのたわみを生じさせ、このペリクルの内側へのたわみもまた適切なセンサ(例えばカメラ)を使用して測定することができる。ペリクルのたわみの程度はペリクルの応力に依存する。所定の閾値の範囲外のたわみはペリクル故障のリスク増大を示すことができる。
【0198】
[00208] ペリクルアセンブリがマスクから取り外された時のペリクルの検査は、次の方法のうちの1つ以上を含むことができる:EUV透過測定、EUV反射測定、複屈折測定、偏光解析法、フーリエ変換赤外分光法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、圧力差によるペリクル変位の測定、ポンプダウン又は通気時のペリクルたわみ、走査熱負荷測定、フレーム変形測定。これらの大部分は以上で説明された通りである。以上で説明されていないもの、又はペリクルアセンブリがマスクから取り外された時に異なる形態を取ることがあるものは以下に説明される。
【0199】
[00209] EUV透過測定(マスクから取り外されたペリクルアセンブリ)-EUV放射ビームがペリクルに向けられ、ペリクルが透過したEUV放射の量はペリクルの反対側に配置されたセンサを使用して測定される。これによって、ペリクルの透過の局所的変化が測定可能になる。例えば、ペリクルのテスト基準は85%±2%の透過率であってもよい。ペリクルの透過率がこれよりも高い(例えば87%以上)場合、これはペリクルから材料(例えばキャッピング層材料)の損失が発生したことを示すことができる。この状況ではペリクル故障のリスク増大が発生する可能性があり、従って、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換することができる。ペリクルの透過率がテスト基準よりも低い(例えば83%以下)場合、これはペリクルの酸化(例えばキャッピング層の酸化)が起こったことを示すことができる。ペリクル故障のリスク増大は酸化から生じる可能性があり、従って、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換することができる。
【0200】
[00210] 複屈折測定‐光弾性測定と呼ばれることもある複屈折測定は、ペリクル膜の応力の局所的変化を測定するために使用することができる。複屈折は、例えばペリクルを通るように放射ビームを向け、放射ビームの偏光の変化を測定することにより測定することができる。ペリクルの複屈折の測定は、ペリクルの応力の変化及び/又は局所的応力集中を見つけるために使用することができる。ペリクル故障のリスク増大を示す応力変化又は局所的応力集中が見られる時は、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換することができる。
【0201】
[00211] フーリエ変換赤外分光法-(例えば波長範囲にわたる)赤外線放射がペリクルに向けられ、その赤外線放射の吸収が測定される。これはペリクル膜の赤外吸収の局所的変化を監視するために使用することができる。この技術はペリクルの放射率の局所的変化を監視するために使用可能である。例えば、ペリクルの最小放射率値は0.3に設定することができる。放射率(例えば局所的放射率)が0.3未満である場合、これはペリクルの損傷を示すことができる。より低い放射率は、リソグラフィ装置において使用中のペリクルの局所的温度を上昇させ、ひいてはペリクル破損のリスク増大を引き起こすおそれがある。従って、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0202】
[00212] 圧力差によるペリクル変位の測定‐これはペリクルの一方の側にペリクルの他方の側の圧力と異なる圧力をかけることを含む。ペリクルは低圧側にたわむ。たわみの程度はペリクルの応力に依存し、所定の閾値の範囲外のたわみはペリクル故障のリスク増大を示すことができる。一実施形態では、2パスカルの圧力差に対して500μmの最大閾値たわみを設定することができる。たわみが500μmよりも大きい場合、これは(例えばポンプダウン又は通気中に)ペリクルが破損するリスクが大きいことを示し、従って、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換される。別の例において、たわみが400μm未満の場合、これはペリクル内の応力が元々作製された(即ちペリクルフレームに装着されているがリソグラフィ装置で使用する前の)ペリクル内の応力よりも大幅に高いことを示すことができる。ペリクル内の応力が大幅に増大することは、リソグラフィ装置による使用中にペリクルが破損するリスクが高いことを意味することができる。従って、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0203】
[00213] フレーム変形測定‐これはペリクルフレームに力を加え、ペリクルフレームを変形させた後、ペリクルフレームの変形中に生じるペリクルの皺を監視することを含む。ペリクルの皺の位置はペリクル内の応力を示す。皺の位置の当初測定は、ペリクルが基準測定を行うために使用される前に実行することができる。使用後、基準測定で見られたものと比較した皺の位置の変化がペリクルの応力の変化を示す。ペリクル破損のリスク増大に関連するペリクルの応力の大幅な変化が見られる場合は、ペリクルアセンブリは新しいペリクルアセンブリに交換される。
【0204】
[00214] 以上で更に詳細に述べたように、マスクから取り外された後のペリクルの検査は、マスクの検査及び/又は洗浄と並行して実行することができる。
【0205】
[00215] 例えば上記の技術のうちの1つ以上を用いてペリクルを監視することによって、ペリクルの損傷を早期に同定することが可能になり、従って、ペリクルの故障が発生する前にペリクルアセンブリを交換することが可能になる。ペリクルの故障が、例えば基板の露光中にリソグラフィ装置で発生した場合、これはリソグラフィ装置の問題のある汚染を引き起こすおそれがある。この問題は、ペリクル故障のリスク増大に関連するペリクルの損傷を監視し、このような損傷が見つかった時に必要に応じてペリクルを交換することにより回避される。
【0206】
[00216] ペリクルの汚染検査はペリクルの損傷検査と同時に実行することができる。
【0207】
[00217] ペリクルの損傷を監視することに関連する本発明の実施形態は、この文献中の他のどこかに記載された本発明の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0208】
[00218] マスクアセンブリの様々な発明の態様が以上で説明され、本発明の具体的な実施形態との関連で図に示されている。様々な方法の様々な態様が以上で説明された。説明及び/又は図示された任意の態様は単一の実施形態で組み合わせ可能なことが理解されるだろう。例えば、一実施形態の1つ以上の特徴を、別の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。2つ以上の発明の態様を含む実施形態が説明されているが、本明細書では1つの発明の態様しか含まない実施形態も考えられることもまた理解されるだろう。一般に、説明された任意の実施形態の任意の特徴は切り離して使用することができる、又は説明された実施形態の任意の他の特徴と任意に組み合わせて使用することができる。
【0209】
[00219] 本明細書ではリソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は、他の装置に用いることができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(若しくは他の基板)等のオブジェクト若しくはマスク(若しくは他のマスク)を測定又は処理する任意の装置の一部を構成することができる。これらの装置は、一般的に、リソグラフィツールと呼ばれることがある。斯かるリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0210】
[00220] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲、例えば、13~14nmの範囲の波長を有する電磁放射を包含するとみなすことができる。EUV放射は、例えば、6.7nm又は6.8nmといった4~10nmの範囲等の10nm未満の波長を有することができる。
【0211】
[00221] 本明細書ではIC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、他の用途を有することができることは理解されるべきである。他の用途として可能なものには、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用の誘導パターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造が含まれる。
【0212】
[00222] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。以上の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。従って、当業者には明らかなように、以下の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV透明ペリクル用のペリクル検査ツールであって、
a)前記EUV透明ペリクルの膜を備えたペリクルであって、前記EUV透明ペリクル膜が当該膜に接する基板周辺部によって支持される、ペリクル、又は、
b)前記EUV透明ペリクル膜と、前記膜に接する前記基板周辺部に装着されたペリクルフレームと、を備えたペリクルアセンブリ、又は、
c)前記EUV透明ペリクル膜と、前記膜に接する前記基板周辺部に装着されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームに装着されたマスクと、を備えたマスクアセンブリ、
を支持するための支持構造と、
前記EUV透明ペリクルの特性を測定し、ペリクル破損のリスク増大に関連する前記特性の変化を監視するためのデバイスと、を備え、
前記EUV透明ペリクルは、入射EUV放射の少なくとも65%を透過させるように構成される、ペリクル検査ツール。
【請求項2】
前記デバイスは、EUV反射測定、EUV透過測定、複屈折測定、偏光解析法、フーリエ変換赤外分光法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、走査熱負荷測定、圧力差によるペリクル変位の測定、及び、ポンプダウン又は通気時のペリクルのたわみ、から成る群から選択された1つ以上の測定技術を使用して前記ペリクルの特性を測定するように配置される、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項3】
前記デバイスは、(i)前記ペリクルから放出され、その波長が前記ペリクルの温度に関連する赤外線を測定するように、又は、(ii)前記ペリクルの放射率の局所的変化を検出するために前記ペリクル膜の赤外吸収の変化を監視するように、配置された赤外線センサである、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項4】
前記デバイスは、前記ペリクルのEUV反射の広域的変化又は局所的変化を監視するように配置されたセンサである、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項5】
前記デバイスは、前記ペリクルが透過したEUV放射の量を決定するように配置されたセンサである、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項6】
前記デバイスは、波長範囲にわたって前記ペリクルの反射の変化を測定するように配置され、
前記測定された変化は、前記ペリクルの材料特性の変化を示す、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項7】
前記デバイスは、前記放射ビームの偏光の変化を測定し、前記ペリクルの応力の広域的変化又は局所的変化を決定するように配置される、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項8】
前記デバイスは、前記ペリクルからのx線の鏡面反射の強度を測定するように配置される、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項9】
x線ビームをかすめ入射角で前記ペリクルに向けるように配置されたx線ビーム源を更に備える、請求項8に記載のペリクル検査ツール。
【請求項10】
前記デバイスは、前記ペリクルアセンブリ又は前記マスクアセンブリの共振周波数の変化を測定するように配置される、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項11】
前記デバイスは、圧力差による前記ペリクルのたわみの程度を測定するように配置されたセンサである、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項12】
前記デバイスは、前記ペリクル内の皺の位置及び/又は前記皺の前記位置の変化を測定するように配置される、請求項1に記載のペリクル検査ツール。
【請求項13】
EUV透明ペリクル用のペリクル検査ツールを備えたリソグラフィ装置であって、
前記ペリクル検査ツールは、
a)EUV透明ペリクル膜を備えたペリクルであって、前記EUV透明ペリクル膜が当該膜に接する基板周辺部によって支持される、ペリクル、又は
b)前記EUV透明ペリクル膜と、前記膜に接する前記基板周辺部に装着されたペリクルフレームと、を備えたペリクルアセンブリ、又は、
c)前記EUV透明ペリクル膜と、前記膜に接する前記基板周辺部に装着されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームに装着されたマスクと、を備えたマスクアセンブリ、
を支持するための支持構造と、
前記EUV透明ペリクルの特性を測定し、ペリクル破損のリスク増大に関連する前記特性の変化を監視するためのデバイスと、を備え、
前記EUV透明ペリクルは、入射EUV放射の少なくとも65%を透過させるように構成される、リソグラフィ装置。
【請求項14】
マスクアセンブリのペリクルを監視する方法であって、
前記マスクアセンブリは、ペリクルアセンブリ及びマスクを備え、
前記方法は、
前記ペリクルの特性を測定することと、
ペリクル破損のリスク増大に関連する前記特性の変化を監視することと、
斯かる変化が決定された時に、前記ペリクルアセンブリを前記マスクから取り外し、新しいペリクルアセンブリに交換することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記測定することは、前記マスクアセンブリがリソグラフィ装置内でin situにある時に前記ペリクルの前記特性を測定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定することは、前記ペリクルの赤外線放射及び/又は前記マスクアセンブリのスキャン動作中の前記ペリクルのたわみを測定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マスクアセンブリをマスクアセンブリ検査ツールに移送することと、
前記マスクアセンブリ検査ツールを使用して前記ペリクルの前記特性を測定することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
次の測定技術:EUV反射測定、EUV透過測定、偏光解析法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、走査熱負荷測定、又は、ポンプダウン若しくは通気時のペリクルのたわみ、のうち1つ以上を用いて前記ペリクルの1つ以上の特性を測定する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ペリクルアセンブリを前記マスクから取り外すことと、
前記ペリクルアセンブリをペリクルアセンブリ検査ツールに移送することと、
前記ペリクルアセンブリ検査ツールを使用して前記ペリクルの前記特性を測定することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
次の測定技術:EUV透過測定(前記マスクから取り外された前記ペリクルアセンブリ)、EUV反射測定、複屈折測定、偏光解析法、フーリエ変換赤外分光法、ラマン分光法、X線反射測定、顕微鏡検査、共振測定、圧力差によるペリクル変位の測定、ポンプダウン若しくは通気時のたわみ、走査熱負荷測定、又は、フレーム変形測定、のうち1つ以上を用いて前記ペリクルの1つ以上の特性を測定する、請求項19に記載の方法。
【外国語明細書】