(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032233
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/16 20060101AFI20220217BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H05K1/16 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135813
(22)【出願日】2020-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
(72)【発明者】
【氏名】高井 豪
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】神部 能久
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 修平
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 俊樹
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA03
4E351BB11
4E351BB33
4E351BB49
4E351CC06
4E351DD04
4E351GG06
5E316AA02
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5E316HH01
5E316HH33
5E316JJ14
(57)【要約】
【課題】磁性体樹脂の貫通孔内に信頼性の高い配線を形成した配線基板を提供できる。
【解決手段】本配線基板は、第1貫通孔が形成されたコア層と、前記第1貫通孔内に充填された磁性体樹脂と、前記磁性体樹脂に形成された第2貫通孔と、前記第2貫通孔の内壁面を被覆するめっき膜と、を有し、前記めっき膜は、無電解めっき膜及び電解めっき膜を含み、前記無電解めっき膜は、前記第2貫通孔の内壁面に直接接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔が形成されたコア層と、
前記第1貫通孔内に充填された磁性体樹脂と、
前記磁性体樹脂に形成された第2貫通孔と、
前記第2貫通孔の内壁面を被覆するめっき膜と、を有し、
前記めっき膜は、無電解めっき膜及び電解めっき膜を含み、
前記無電解めっき膜は、前記第2貫通孔の内壁面に直接接する、配線基板。
【請求項2】
前記磁性体樹脂の端面上に、第1無電解めっき膜、第1電解めっき膜、第2無電解めっき膜、第2電解めっき膜、第3無電解めっき膜、及び第3電解めっき膜が順次積層された積層部を含む配線層を備え、
前記第2貫通孔の内壁面に直接接する前記無電解めっき膜は、前記積層部の前記第2無電解めっき膜が、前記第1電解めっき膜の端面及び前記第1無電解めっき膜の端面を被覆して前記第2貫通孔内に延伸したものである、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記コア層上に配線層が形成されており、
前記コア層上に形成された配線層の厚さが、前記磁性体樹脂の端面上に形成された配線層の厚さより厚い、請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第2貫通孔内に位置する前記電解めっき膜は、前記積層部の前記第2電解めっき膜が、前記第2無電解めっき膜を被覆した状態で、前記第2貫通孔内に延伸したものである、請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2貫通孔内に位置する前記電解めっき膜の内側に第3貫通孔を有し、前記第3貫通孔は絶縁樹脂で充填されている、請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記積層部の前記第2電解めっき膜の一方の面と前記絶縁樹脂の一方の端面とは面一であり、
前記第3無電解めっき膜は、前記積層部の前記第2電解めっき膜の一方の面と前記絶縁樹脂の一方の端面を連続的に被覆し、前記第3無電解めっき膜上に前記第3電解めっき膜が積層されている請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2貫通孔内に位置する前記第2電解めっき膜の厚さは、前記第1電解めっき膜の厚さ及び前記第3電解めっき膜の厚さよりも厚い、請求項3乃至6の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記積層部の前記第2電解めっき膜の厚さは、前記第2貫通孔内に位置する前記第2電解めっき膜の厚さよりも薄い、請求項3乃至7の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
コア層に第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔内に磁性体樹脂を充填する工程と、
前記磁性体樹脂に第2貫通孔を形成する工程と、
前記第2貫通孔の内壁面を被覆するめっき膜を形成する工程と、を有し、
前記めっき膜を形成する工程は、無電解めっき膜を形成する工程及び電解めっき膜を形成する工程を含み、
前記無電解めっき膜を形成する工程では、前記無電解めっき膜は、前記第2貫通孔の内壁面に直接接するように形成される、配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記めっき膜を形成する工程では、前記磁性体樹脂の端面上に、第1無電解めっき膜、第1電解めっき膜、第2無電解めっき膜、第2電解めっき膜、第3無電解めっき膜、及び第3電解めっき膜が順次積層された積層部を含む配線層が形成され、
前記第2貫通孔の内壁面に直接接する前記無電解めっき膜は、前記積層部の前記第2無電解めっき膜が、前記第1電解めっき膜の端面及び前記第1無電解めっき膜の端面を被覆して前記第2貫通孔内に延伸したものである、請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記積層部の前記第2電解めっき膜の厚さを、前記第2貫通孔内に位置する前記第2電解めっき膜の厚さよりも薄くする工程を含み、
前記第2貫通孔内に位置する前記第2電解めっき膜は、前記積層部の前記第2電解めっき膜が前記第2貫通孔内に延伸したものであり、
前記第2貫通孔内に位置する前記第2無電解めっき膜を被覆して、前記第2貫通孔内に前記第2電解めっき膜が設けられる、請求項10に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁性体樹脂を備えた配線基板が知られている。一例として、開口が形成されたコア基板と、開口内に充填され、貫通孔を有する磁性体樹脂と、貫通孔に形成されためっき膜とを有する構造が挙げられる。この配線基板では、貫通孔の内壁面には電解めっき膜が接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁性体樹脂の上下面から貫通孔の内部までの導通路が長いため、磁性体樹脂の貫通孔の内壁面に電解めっき膜を直接形成することは困難である。仮に、磁性体樹脂の貫通孔の内壁面に電解めっき膜を直接形成できたとしても、特に配線基板が厚い場合は、貫通孔の厚さ方向の中央付近の電解めっき膜が薄くなるため、貫通孔内に形成された配線の信頼性が確保できない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、磁性体樹脂の貫通孔内に信頼性の高い配線を形成した配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本配線基板は、第1貫通孔が形成されたコア層と、前記第1貫通孔内に充填された磁性体樹脂と、前記磁性体樹脂に形成された第2貫通孔と、前記第2貫通孔の内壁面を被覆するめっき膜と、を有し、前記めっき膜は、無電解めっき膜及び電解めっき膜を含み、前記無電解めっき膜は、前記第2貫通孔の内壁面に直接接する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、磁性体樹脂の貫通孔内に信頼性の高い配線を形成した配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する部分断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【
図7】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その6)である。
【
図8】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その7)である。
【
図9】第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図である。
【
図10】第1実施形態の変形例2に係る配線基板を例示する部分断面図である。
【
図11】第1実施形態の変形例3に係る配線基板を例示する部分断面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例3に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【
図13】応用例1に係る多層配線基板を例示する断面図である。
【
図14】応用例2に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する部分断面図である。
図1を参照すると、配線基板1は、コア層10と、配線層20と、配線層30と、磁性体樹脂40と、絶縁樹脂50とを有している。
【0011】
なお、本実施形態では、便宜上、配線基板1の配線層20側を上側又は一方の側、配線層30側を下側又は他方の側とする。又、各部位の配線層20側の面を一方の面又は上面、配線層30側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物をコア層10の一方の面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をコア層10の一方の面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0012】
コア層10としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層10として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層10の厚さは、例えば、400~1200μm程度とすることができる。
【0013】
コア層10には、コア層10を厚さ方向に貫通する貫通孔101及び102が設けられている。貫通孔101及び102の平面形状は例えば円形である。貫通孔101の平面形状が円形である場合、貫通孔101の直径は、例えば、350~450μm程度とすることができる。貫通孔102の平面形状が円形である場合、貫通孔102の直径は、例えば、100~180μm程度とすることができる。
【0014】
貫通孔101内には磁性体樹脂40が充填されている。磁性体樹脂40と貫通配線(後述の第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23b)とで、インダクタを形成することができる。磁性体樹脂40としては、例えば、磁性粒子を含有するエポキシ系樹脂等を使用できる。磁性粒子としては、例えば、鉄、酸化鉄、コバルト酸化鉄、珪素鉄、磁性合金、フェライト等のフィラーが挙げられる。
【0015】
磁性体樹脂40の中心側には貫通孔103が形成されている。貫通孔103の平面形状は、例えば、円形である。貫通孔101と貫通孔103の平面形状が共に円形である場合、両者は、例えば、同心的に設けられる。貫通孔103の平面形状が円形である場合、貫通孔103の直径は、例えば、100~180μm程度とすることができる。
【0016】
なお、磁性体樹脂40の上端部はコア層10の一方の面10aから突出しており、磁性体樹脂40の下端部はコア層10の他方の面10bから突出している。磁性体樹脂40の上端部の、コア層10の一方の面10aからの突出量は、金属箔21(後述)の厚さと同程度である。磁性体樹脂40の下端部の、コア層10の他方の面10bからの突出量は、金属箔31(後述)の厚さと同程度である。
【0017】
配線層20は、パッド20A及び20Bを少なくとも含み、配線パターンを含んでもよい。パッド20Aは、少なくとも一部が磁性体樹脂40の一方の端面上に形成されている。パッド20Aの平面形状は、例えば、貫通孔103よりも大径で貫通孔101よりも小径の円形である。パッド20Bは、少なくとも一部がコア層10の一方の面10a上に形成されている。パッド20Bの平面形状は、例えば、貫通孔102よりも大径の円形である。
【0018】
配線層30は、パッド30A及び30Bを少なくとも含み、配線パターンを含んでもよい。パッド30Aは、少なくとも一部が磁性体樹脂40の他方の端面上に形成されている。パッド30Aの平面形状は、例えば、貫通孔103よりも大径で貫通孔101よりも小径の円形である。パッド30Bは、少なくとも一部がコア層10の他方の面10b上に形成されている。パッド30Bの平面形状は、例えば、貫通孔102よりも大径の円形である。
【0019】
パッド20Aは、磁性体樹脂40の一方の端面上に、第1無電解めっき膜22a、第1電解めっき膜22b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜24a、第3電解めっき膜24bが順次積層された積層部を含んでいる。積層部を構成する第1無電解めっき膜22a、第1電解めっき膜22b、第2無電解めっき膜23a、及び第2電解めっき膜23bは、例えば、平面形状が円環状に形成されている。第3無電解めっき膜24a及び第3電解めっき膜24bは、例えば、平面形状が円形状に形成されている。
【0020】
パッド30Aは、磁性体樹脂40の他方の端面上に、第1無電解めっき膜32a、第1電解めっき膜32b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜34a、第3電解めっき膜34bが順次積層された積層部を含んでいる。積層部を構成する第1無電解めっき膜32a、第1電解めっき膜32b、第2無電解めっき膜23a、及び第2電解めっき膜23bは、例えば、平面形状が円環状に形成されている。第3無電解めっき膜34a及び第3電解めっき膜34bは、例えば、平面形状が円形状に形成されている。
【0021】
パッド20Aの積層部を構成する第2無電解めっき膜23aは、貫通孔103側に屈曲し、第1電解めっき膜22bの端面(内壁面)及び第1無電解めっき膜22aの端面(内壁面)を順次被覆して貫通孔103内に延伸している。又、パッド20Aの積層部を構成する第2電解めっき膜23bは、第2無電解めっき膜23aを被覆した状態で貫通孔103側に屈曲し、貫通孔103内に延伸している。
【0022】
貫通孔103内の第2無電解めっき膜23aは、更に延伸して第1無電解めっき膜32aの端面(内壁面)及び第1電解めっき膜32bの端面(内壁面)を被覆する。貫通孔103内の第2電解めっき膜23bは、第2無電解めっき膜23aを被覆した状態で更に延伸する。その後、第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23bは、貫通孔103の外側であってコア層10の他方の面10bに平行な方向に屈曲し、パッド30Aの磁性体樹脂40の他方の端面上の領域に至る。すなわち、パッド20Aは、貫通孔103内に形成された貫通配線である第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23bを介してパッド30Aと電気的に接続されている。
【0023】
貫通孔103内において、第2無電解めっき膜23aは貫通孔103の内壁面に直接接しており、第2電解めっき膜23bは第2無電解めっき膜23a上に積層されている。第2電解めっき膜23bの内側には貫通孔103よりも一回り小さい貫通孔104が形成され、貫通孔104内には絶縁樹脂50が充填されている。絶縁樹脂50としては、例えば、シリカ等のフィラーを含有する絶縁樹脂(例えば、エポキシ系樹脂等)を使用できる。
【0024】
積層部の第2電解めっき膜23bの一方の面と絶縁樹脂50の一方の端面とは、例えば、面一である。パッド20Aにおいて、第3無電解めっき膜24aは、積層部の第2電解めっき膜23bの一方の面と絶縁樹脂50の一方の端面を連続的に被覆し、第3無電解めっき膜24a上に第3電解めっき膜24bが積層されている。
【0025】
積層部の第2電解めっき膜23bの他方の面と絶縁樹脂50の他方の端面とは、例えば、面一である。パッド30Aにおいて、第3無電解めっき膜34aは、積層部の第2電解めっき膜23bの他方の面と絶縁樹脂50の他方の端面を連続的に被覆し、第3無電解めっき膜34a上に第3電解めっき膜34bが積層されている。
【0026】
パッド20Bは、コア層10の一方の面10a上に、金属箔21、第1無電解めっき膜22a、第1電解めっき膜22b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜24a、第3電解めっき膜24bが順次積層された積層部を含んでいる。積層部を構成する金属箔21、第1無電解めっき膜22a、第1電解めっき膜22b、第2無電解めっき膜23a、及び第2電解めっき膜23bは、例えば、平面形状が円環状に形成されている。第3無電解めっき膜24a及び第3電解めっき膜24bは、例えば、平面形状が円形状に形成されている。
【0027】
パッド30Bは、コア層10の他方の面10b上に、金属箔31、第1無電解めっき膜32a、第1電解めっき膜32b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜34a、第3電解めっき膜34bが順次積層された積層部を含んでいる。積層部を構成する金属箔31、第1無電解めっき膜32a、第1電解めっき膜32b、第2無電解めっき膜23a、及び第2電解めっき膜23bは、例えば、平面形状が円環状に形成されている。第3無電解めっき膜34a及び第3電解めっき膜34bは、例えば、平面形状が円形状に形成されている。
【0028】
パッド20Bの積層部を構成する第2無電解めっき膜23aは、貫通孔102側に屈曲し、第1電解めっき膜22bの端面(内壁面)、第1無電解めっき膜22aの端面(内壁面)、及び金属箔21の端面(内壁面)を順次被覆して貫通孔102内に延伸している。又、パッド20Bの積層部を構成する第2電解めっき膜23bは、第2無電解めっき膜23aを被覆した状態で貫通孔102側に屈曲し、貫通孔102内に延伸している。
【0029】
貫通孔102内の第2無電解めっき膜23aは、更に延伸して金属箔31の端面(内壁面)、第1無電解めっき膜32aの端面(内壁面)、及び第1電解めっき膜32bの端面(内壁面)を被覆する。貫通孔102内の第2電解めっき膜23bは、第2無電解めっき膜23aを被覆した状態で更に延伸する。その後、第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23bは、貫通孔102の外側であってコア層10の他方の面10bに平行な方向に屈曲し、パッド30Bのコア層10の他方の面10b上の領域に至る。すなわち、パッド20Bは、貫通孔102内に形成された貫通配線である第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23bを介してパッド30Bと電気的に接続されている。
【0030】
貫通孔102内において、第2無電解めっき膜23aは貫通孔102の内壁面に直接接しており、第2電解めっき膜23bは第2無電解めっき膜23a上に積層されている。第2電解めっき膜23bの内側には貫通孔102よりも一回り小さい貫通孔105が形成され、貫通孔105内には絶縁樹脂50が充填されている。
【0031】
積層部の第2電解めっき膜23bの一方の面と絶縁樹脂50の一方の端面とは、例えば、面一である。パッド20Bにおいて、第3無電解めっき膜24aは、積層部の第2電解めっき膜23bの一方の面と絶縁樹脂50の一方の端面を連続的に被覆し、第3無電解めっき膜24a上に第3電解めっき膜24bが積層されている。
【0032】
積層部の第2電解めっき膜23bの他方の面と絶縁樹脂50の他方の端面とは、例えば、面一である。パッド30Bにおいて、第3無電解めっき膜34aは、積層部の第2電解めっき膜23bの他方の面と絶縁樹脂50の他方の端面を連続的に被覆し、第3無電解めっき膜34a上に第3電解めっき膜34bが積層されている。
【0033】
金属箔21及び31、第1無電解めっき膜22a及び32a、第1電解めっき膜22b及び32b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜24a及び34a、並びに第3電解めっき膜24b及び34bの材料は、例えば、銅や銅合金であるが、ニッケル等の他の金属を用いてもよい。
【0034】
金属箔21及び31の厚さは、例えば、6~18μm程度である。第1無電解めっき膜22a及び32aの厚さは、例えば、0.5~3μm程度である。第1電解めっき膜22b及び32bの厚さは、例えば、3~14μm程度である。なお、第1電解めっき膜22b及び32bの厚さを3μm以上とすることで、第1電解めっき膜22b及び32bが磁性体樹脂40から剥がれるおそれを低減できる。
【0035】
第2無電解めっき膜23aの厚さは、例えば、0.5~3μm程度である。第2電解めっき膜23bの厚さは、例えば、2~40μm程度である。第3無電解めっき膜24a及び34aの厚さは、例えば、0.5~3μm程度である。第3電解めっき膜24b及び34bの厚さは、例えば、6~24μm程度である。なお、第3電解めっき膜24b及び34bの厚さを6μm以上とすることで、上層となる絶縁層にレーザでビアホール(例えば、後述の
図13のビアホール61xや71x)を設ける際に、レーザが第3電解めっき膜24b及び34bを貫通するおそれを低減できる。
【0036】
パッド20A及び30Aの厚さは、例えば、t1であり、パッド20B及び30Bの厚さは、例えば、t2である。パッド20B及び30Bの厚さt2は、金属箔21及び31の厚さ分(例えば、6~18μm程度)だけ、パッド20A及び30Aの厚さt1よりも厚い。
【0037】
このように、パッド20B及び30Bの厚さt2を厚くすることで、高温時の絶縁樹脂50の膨張による応力を緩和し、応力に対する耐久性を向上できる。すなわち、厚さ方向では、コア層10の膨張よりも絶縁樹脂50の膨張のほうが大きいため、それぞれの膨張差による圧力及びクラックをパッド20B及び30Bの厚さt2を厚くすることで抑制できる。これにより、パッド20B及び30Bのオープン不良や信頼性低下を防止できる。
【0038】
なお、パッド20A及び30Aについては、コア層10と絶縁樹脂50の膨張差を磁性体樹脂40で緩和できるため、パッド20A及び30Aの厚さt1がパッド20B及び30Bの厚さt2より薄くても、パッド20A及び30Aの信頼性は十分に高い。
【0039】
このように、配線基板1は、磁性体樹脂40に形成された貫通孔103の内壁面を被覆するめっき膜を有し、貫通孔103の内壁面を被覆するめっき膜は、無電解めっき膜及び電解めっき膜を含む。そして、無電解めっき膜が貫通孔103の内壁面に直接接している。具体的には、貫通孔103内に形成された第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23bが貫通配線を構成するが、このうち貫通孔103の内壁面に直接接しているのは第2無電解めっき膜23aである。この構造では、第2無電解めっき膜23aを貫通孔103の内壁面に高い信頼性で形成でき、更に、第2無電解めっき膜23a上に比較的厚い第2電解めっき膜23bを形成できる。又、この構造では、コア層10が厚い場合でも、貫通孔103の厚さ方向の中央付近の第2電解めっき膜23bを十分な厚さに形成できるため、貫通孔103内に信頼性の高い貫通配線を形成できる。例えば、貫通孔103内における第2電解めっき膜23bの断線を防止できる。
【0040】
貫通孔103内に位置する第2電解めっき膜23bの厚さは、積層部の第2電解めっき膜23bの厚さより厚くすることができる。これにより、貫通孔103内に形成された貫通配線の信頼性を向上できる。更に、積層部の厚さを薄くできることで、配線層20及び配線層30の微細化を図れる。また、貫通孔103内に形成された貫通配線の信頼性を向上するために、貫通孔103内の第2電解めっき膜23bの厚さを、第1電解めっき膜22b及び32bの厚さ、並びに第3電解めっき膜24b及び34bの厚さよりも厚くしても良い。
【0041】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図8は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、ここでは、1つの配線基板を作製する工程の例を示すが、配線基板となる複数の部分を作製し、その後個片化して各配線基板とする工程としてもよい。
【0042】
まず、
図2(a)に示す工程では、例えば、所謂ガラスエポキシ基板等であるコア層10の一方の面10aに金属箔21が形成され、他方の面10bに金属箔31が形成された積層板を準備する。金属箔21及び31は、この時点ではパターニングされていないプレーン状の銅箔等である。
【0043】
次に、
図2(b)に示す工程では、金属箔21、コア層10、及び金属箔31を貫通する貫通孔101を形成する。貫通孔101の平面形状は、例えば、円形である。貫通孔101は、例えば、レーザ加工法やドリル加工法等により形成できる。貫通孔101を形成後、必要に応じてデスミア処理を行い、貫通孔101の内壁面に付着したコア層10に含まれる樹脂の残渣を除去する。デスミア処理の一例としては、過マンガン酸カリウム溶液による処理が挙げられる。
【0044】
次に、
図3(a)に示す工程では、貫通孔101を内に磁性体樹脂40を充填する。磁性体樹脂40は、例えば、スクリーン印刷法等により充填できる。磁性体樹脂40は、例えば、金属箔21の上面及び金属箔31の下面から突出するように充填される。磁性体樹脂40の材料については、前述のとおりである。
【0045】
次に、
図3(b)に示す工程では、金属箔21の上面及び金属箔31の下面から突出する磁性体樹脂40を研磨する。磁性体樹脂40は、例えば、バフ研磨やロール研磨等により研磨できる。磁性体樹脂40の一方の端面は、例えば、金属箔21の上面と面一となり、磁性体樹脂40の他方の端面は、例えば、金属箔31の下面と面一となる。
【0046】
次に、
図4(a)に示す工程では、無電解めっき法により、金属箔21の上面及び磁性体樹脂40の一方の端面を連続的に被覆する第1無電解めっき膜22aを形成する。そして、第1無電解めっき膜22aを給電層に利用した電解めっき法により、第1無電解めっき膜22aに第1電解めっき膜22bを積層する。同様に、無電解めっき法により、金属箔31の下面及び磁性体樹脂40の他方の端面を連続的に被覆する第1無電解めっき膜32aを形成する。そして、第1無電解めっき膜32aを給電層に利用した電解めっき法により、第1無電解めっき膜32aに第1電解めっき膜32bを積層する。第1無電解めっき膜22a及び32a、第1電解めっき膜22b及び32bの材料や厚さは前述のとおりである。
【0047】
次に、
図4(b)に示す工程では、第1電解めっき膜22b、第1無電解めっき膜22a、金属箔21、コア層10、金属箔31、第1無電解めっき膜32a、及び第1電解めっき膜32bを貫通する貫通孔102を形成する。貫通孔102の平面形状は、例えば、円形である。貫通孔102は、例えば、レーザ加工法やドリル加工法等により形成できる。貫通孔102を形成後、必要に応じてデスミア処理を行い、貫通孔102の内壁面に付着したコア層10に含まれる樹脂の残渣を除去する。
【0048】
次に、
図5(a)に示す工程では、第1電解めっき膜22b、第1無電解めっき膜22a、磁性体樹脂40、第1無電解めっき膜32a、及び第1電解めっき膜32bを貫通する貫通孔103を形成する。貫通孔103の平面形状は、例えば、円形である。貫通孔103は、例えば、レーザ加工法やドリル加工法等により形成できる。貫通孔103を形成後、必要に応じて水洗を行い、貫通孔103の内壁面に付着した磁性体樹脂40の残渣を除去する。
【0049】
次に、
図5(b)に示す工程では、無電解めっき法により、第1電解めっき膜22bの上面、貫通孔102及び103の内壁面、及び第1電解めっき膜32bの下面を被覆する第2無電解めっき膜23aを形成する。第2無電解めっき膜23aは、貫通孔102及び103の内壁面に直接接する。次に、第2無電解めっき膜23aを給電層に利用した電解めっき法により、第2無電解めっき膜23aに第2電解めっき膜23bを積層する。第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23bの材料や厚さは前述のとおりである。貫通孔103内の第2電解めっき膜23bの内側には貫通孔103よりも一回り小さい貫通孔104が形成され、貫通孔102内の第2電解めっき膜23bの内側には貫通孔102よりも一回り小さい貫通孔105が形成される。
【0050】
次に、
図6(a)に示す工程では、貫通孔104及び105に絶縁樹脂50を充填する。絶縁樹脂50は、例えば、スクリーン印刷法等により充填できる。絶縁樹脂50は、例えば、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面及びコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面から突出するように充填される。絶縁樹脂50の材料については、前述のとおりである。
【0051】
次に、
図6(b)に示す工程では、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面及びコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面から突出する絶縁樹脂50を研磨する。絶縁樹脂50は、例えば、バフ研磨やロール研磨等により研磨できる。絶縁樹脂50の上端面は、例えば、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面と面一となり、絶縁樹脂50の下端面は、例えば、コア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面と面一となる。研磨後、必要に応じてデスミア処理を行い、絶縁樹脂50の上端面、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面、絶縁樹脂50の下端面、及びコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面に付着した絶縁樹脂50の残渣を除去する。
【0052】
次に、
図7(a)に示す工程では、無電解めっき法により、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面、及び絶縁樹脂50の上端面を連続的に被覆する第3無電解めっき膜24aを形成する。そして、第3無電解めっき膜24aを給電層に利用した電解めっき法により、第3無電解めっき膜24aに第3電解めっき膜24bを積層する。同様に、無電解めっき法により、コア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面、及び絶縁樹脂50の下端面を連続的に被覆する第3無電解めっき膜34aを形成する。そして、第3無電解めっき膜34aを給電層に利用した電解めっき法により、第3無電解めっき膜34aに第3電解めっき膜34bを積層する。第3無電解めっき膜24a及び34a、第3電解めっき膜24b及び34bの材料や厚さは前述のとおりである。
【0053】
次に、
図7(b)に示す工程では、第3電解めっき膜24bの上面に、パッド20A及び20Bを含む配線層20を形成する領域を被覆するエッチングレジストパターン310を形成する。又、第3電解めっき膜34bの下面に、パッド30A及び30Bを含む配線層30を形成する領域を被覆するエッチングレジストパターン320を形成する。エッチングレジストパターン310及び320の材料は、所望の解像性を有し、耐エッチング性を有する材料であれば特に限定されない。
【0054】
磁性体樹脂40の平面形状が円形である場合、パッド20A及び30Aを形成する領域のエッチングレジストパターン310及び320は、例えば、磁性体樹脂40よりも小径かつ絶縁樹脂50よりも大径の円形状で、少なくとも絶縁樹脂50と平面視で重複する位置に形成される。又、絶縁樹脂50の平面形状が円形である場合、パッド20B及び30Bを形成する領域のエッチングレジストパターン310及び320は、例えば、絶縁樹脂50よりも大径の円形状で、少なくとも絶縁樹脂50と平面視で重複する位置に形成される。
【0055】
次に、
図8に示す工程では、エッチングレジストパターン310をマスクにして、金属箔21、第1無電解めっき膜22a、第1電解めっき膜22b、コア層10の一方の面10a側に位置する第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜24a、並びに第3電解めっき膜24bをウエットエッチングにより除去する。又、エッチングレジストパターン320をマスクにして、金属箔31、第1無電解めっき膜32a、第1電解めっき膜32b、コア層10の他方の面10b側に位置する第2無電解めっき膜23a及び第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜34a、並びに第3電解めっき膜34bをウエットエッチングにより除去する。これにより、パッド20A及び20Bを含む配線層20、並びにパッド30A及び30Bを含む配線層30が形成される。各無電解めっき膜及び各電解めっき膜の材料として銅や銅合金を用いた場合には、エッチング液としては、例えば、塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液を使用できる。その後、エッチングレジストパターン310及び320を除去することで、
図1に示す配線基板1が完成する。
【0056】
なお、磁性体樹脂40が過マンガン酸カリウム溶液等のアルカリ性薬剤に晒されると磁性粒子の脱落が生じ、インダクタンスの低下が生じる。しかし、本実施形態に係る製造方法では、磁性体樹脂40がめっき膜で被覆された状態でアルカリ性薬剤による処理を行うため、このようなおそれがない。
【0057】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、磁性体樹脂を貫通する複数の貫通孔を設ける例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0058】
図9は、第1実施形態の変形例1に係る配線基板を例示する図であり、
図9(a)は部分断面図、
図9(b)は
図9(a)の磁性体樹脂近傍の部分平面図である。
図9を参照すると、配線基板1Aは、磁性体樹脂40に、磁性体樹脂40を貫通する3つの貫通孔103が設けられた点が、配線基板1(
図1参照)と相違する。但し、磁性体樹脂40を貫通する貫通孔103は、2つ設けてもよいし、4つ以上設けてもよい。
【0059】
配線基板1Aでは、平面視において、例えば円形の磁性体樹脂40に、3つの貫通孔103が、磁性体樹脂40の中心に対して点対称に配置されている。各々の貫通孔103内の配線構造やパッド20Aの配線構造については、配線基板1の場合と同様である。
【0060】
このように、磁性体樹脂40を貫通する複数の貫通孔103を設けてもよい。この場合も、各々の貫通孔103の内壁面に直接接しているのは第2無電解めっき膜23aである。その結果、配線基板1の場合と同様に、各々の貫通孔103内に信頼性の高い貫通配線を形成できる。
【0061】
又、磁性体樹脂40の体積増加と磁性体樹脂40を貫通する貫通配線の数の増加により、電気特性(インダクタンス)が向上する。
【0062】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、コア層から突出する磁性体樹脂の外周面を被覆するようにパッドを形成する例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0063】
図10は、第1実施形態の変形例2に係る配線基板を例示する部分断面図である。
図10を参照すると、配線基板1Bは、パッド20A及び30Aがパッド20C及び30Cに置換された点が、配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0064】
パッド20Cは、コア層10の一方の面10aから突出する磁性体樹脂40の外周面に接する円環状の金属箔21を含む点が、パッド20Aと相違する。金属箔21の上面と磁性体樹脂40の一方の端面とは、例えば、面一である。第1無電解めっき膜22a、第1電解めっき膜22b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜24a、及び第3電解めっき膜24bは、金属箔21の上面の上側まで拡径している。
【0065】
パッド30Cは、コア層10の他方の面10bから突出する磁性体樹脂40の外周面に接する円環状の金属箔31を含む点が、パッド30Aと相違する。金属箔31の下面と磁性体樹脂40の他方の端面とは、例えば、面一である。第1無電解めっき膜32a、第1電解めっき膜32b、第2無電解めっき膜23a、第2電解めっき膜23b、第3無電解めっき膜34a、及び第3電解めっき膜34bは、金属箔31の下面の下側まで拡径している。
【0066】
例えば、平面形状が円形のパッド20C及び30Cを形成するには、
図7(b)の工程において、エッチングレジストパターン310及び320を磁性体樹脂40よりも大径の円形状とし、少なくとも磁性体樹脂40と平面視で重複する位置に形成すればよい。
【0067】
このように、コア層10から突出する磁性体樹脂40の外周面を被覆するパッド20C及び30Cを形成してもよい。この場合も、貫通孔103の内壁面に直接接しているのは第2無電解めっき膜23aである。その結果、配線基板1の場合と同様に、貫通孔103内に信頼性の高い貫通配線を形成できる。
【0068】
又、磁性体樹脂40がアルカリ性薬剤に晒されると磁性粒子の脱落が生じ、インダクタンスの低下が生じる。この例では、 配線パターン形成後でも磁性体樹脂40の露出がないため、磁性体樹脂40のアルカリ性薬剤等によるダメージを防止できる。
【0069】
〈第1実施形態の変形例3〉
第1実施形態の変形例3では、配線層を薄化する例を示す。なお、第1実施形態の変形例3において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0070】
図11は、第1実施形態の変形例3に係る配線基板を例示する部分断面図である。
図11を参照すると、配線基板1Cは、パッド20A及び30Aがパッド20D及び30Dに置換され、パッド20B及び30Bがパッド20E及び30Eに置換された点が、配線基板1(
図1参照)と相違する。
【0071】
パッド20D及び30Dでは、積層部の第2電解めっき膜23bの厚さは、貫通孔103内に位置する第2電解めっき膜23bの厚さよりも薄い。パッド20D及び30Dでは、積層部の第2電解めっき膜23bの厚さは、第1電解めっき膜22b及び32bの厚さ、並びに第3電解めっき膜24b及び34bの厚さよりも薄いことが好ましい。パッド20D及び30Dでは、貫通孔103内に位置する第2電解めっき膜23bの厚さは、第1電解めっき膜22b及び32bの厚さ、並びに第3電解めっき膜24b及び34bの厚さよりも厚いことが好ましい。
【0072】
又、パッド20E及び30Eでは、積層部の第2電解めっき膜23bの厚さは、貫通孔102内に位置する第2電解めっき膜23bの厚さよりも薄い。パッド20E及び30Eでは、積層部の第2電解めっき膜23bの厚さは、第1電解めっき膜22b及び32bの厚さ、並びに第3電解めっき膜24b及び34bの厚さよりも薄いことが好ましい。パッド20E及び30Eでは、貫通孔102内に位置する第2電解めっき膜23bの厚さは、第1電解めっき膜22b及び32bの厚さ、並びに第3電解めっき膜24b及び34bの厚さよりも厚いことが好ましい。
【0073】
積層部の第2電解めっき膜23bの厚さを、貫通孔内に位置する第2電解めっき膜23bの厚さよりも薄く形成するには、第1実施形態で示した
図6(b)に示す工程に代えて
図12に示す工程を実行すればよい。
【0074】
図12に示す工程では、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面及びコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面から突出する絶縁樹脂50を研磨する。そして、絶縁樹脂50の上端面がコア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面と面一となり、絶縁樹脂50の下端面がコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面と面一となった後も研磨を継続する。
【0075】
そして、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23b、及びコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bが所望の厚さになったら研磨を終了する。研磨後、必要に応じてデスミア処理を行い、絶縁樹脂50の上端面、コア層10の一方の面10a側に位置する第2電解めっき膜23bの上面、絶縁樹脂50の下端面、及びコア層10の他方の面10b側に位置する第2電解めっき膜23bの下面に付着した絶縁樹脂50の残渣を除去する。
【0076】
配線基板1Cでは、上記のような構造により、貫通孔103の内壁面に形成された第2電解めっき膜23bの厚さを確保しつつ、パッド20D、20E、30D、及び30Eを含む配線層20及び30を薄化できる。その結果、貫通孔103内に信頼性の高い貫通配線を形成できると共に、配線層20及び30を薄化することで配線層20及び30の微細化を図れる。
【0077】
〈応用例1〉
応用例1では、配線基板1を含む多層配線基板の例を示す。なお、応用例1において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0078】
図13は、応用例1に係る多層配線基板を例示する断面図である。
図13を参照すると、多層配線基板2は、配線基板1と、配線基板1のコア層10の一方の面10aに順次積層された、絶縁層61、配線層62、絶縁層63、配線層64、及びソルダーレジスト層65と、コア層10の他方の面10bに順次積層された、絶縁層71、配線層72、絶縁層73、配線層74、及びソルダーレジスト層75とを有している。
【0079】
絶縁層61は、コア層10の一方の面10aに配線層20を覆うように形成されている。絶縁層61の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層61の厚さは、例えば30~40μm程度とすることができる。絶縁層61は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。
【0080】
配線層62は、絶縁層61の一方の側に形成されている。配線層62は、絶縁層61を貫通し配線層20の上面を露出するビアホール61x内に充填されたビア配線、及び絶縁層61の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層62の配線パターンは、ビア配線を介して、配線層20と電気的に接続されている。ビアホール61xは、例えば、絶縁層63側に開口されている開口部の径が配線層20の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部である。配線層62の材料は、例えば、銅等である。
【0081】
絶縁層63は、絶縁層61の上面に配線層62を覆うように形成されている。絶縁層63の材料や厚さは、例えば、絶縁層61と同様である。絶縁層63は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。
【0082】
配線層64は、絶縁層63の一方の側に形成されている。配線層64は、絶縁層63を貫通し配線層62の上面を露出するビアホール63x内に充填されたビア配線、及び絶縁層63の上面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層64の配線パターンは、ビア配線を介して、配線層62と電気的に接続されている。ビアホール63xは、例えば、ソルダーレジスト層65側に開口されている開口部の径が配線層62の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部である。配線層64の材料は、例えば、銅等である。
【0083】
ソルダーレジスト層65は、多層配線基板2の一方の側の最外層であり、絶縁層63の上面に、配線層64を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層65は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダーレジスト層65の厚さは、例えば15~35μm程度とすることができる。
【0084】
ソルダーレジスト層65は、開口部65xを有し、開口部65xの底部には配線層64の上面の一部が露出している。開口部65xの平面形状は、例えば、円形である。必要に応じ、開口部65x内に露出する配線層64の上面に金属層を形成したり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0085】
開口部65xの底部に露出する配線層64の上面には、外部接続端子66が形成されている。外部接続端子66は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。外部接続端子66は、半導体チップと電気的に接続するための端子となる。
【0086】
絶縁層71は、コア層10の他方の面10bに配線層30を覆うように形成されている。絶縁層71の材料や厚さは、例えば、絶縁層61と同様である。絶縁層71は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。
【0087】
配線層72は、絶縁層71の他方の側に形成されている。配線層72は、絶縁層71を貫通し配線層30の下面を露出するビアホール71x内に充填されたビア配線、及び絶縁層71の下面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層72の配線パターンは、ビア配線を介して、配線層30と電気的に接続されている。ビアホール71xは、例えば、絶縁層73側に開口されている開口部の径が配線層30の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部である。配線層72の材料は、例えば、銅等である。
【0088】
絶縁層73は、絶縁層71の下面に配線層72を覆うように形成されている。絶縁層73の材料や厚さは、例えば、絶縁層61と同様である。絶縁層73は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。
【0089】
配線層74は、絶縁層73の他方の側に形成されている。配線層74は、絶縁層73を貫通し配線層72の下面を露出するビアホール73x内に充填されたビア配線、及び絶縁層73の下面に形成された配線パターンを含んでいる。配線層74の配線パターンは、ビア配線を介して、配線層72と電気的に接続されている。ビアホール73xは、例えば、ソルダーレジスト層75側に開口されている開口部の径が配線層72の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部である。配線層74の材料は、例えば、銅等である。
【0090】
ソルダーレジスト層75は、多層配線基板2の他方の側の最外層であり、絶縁層73の下面に、配線層74を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層75の材料や厚さは、例えば、ソルダーレジスト層65と同様である。
【0091】
ソルダーレジスト層75は、開口部75xを有し、開口部75x内には配線層74の下面の一部が露出している。開口部75xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。開口部75x内に露出する配線層74は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するためのパッドとして用いることができる。必要に応じ、開口部75x内に露出する配線層74の下面に前述の金属層を形成したり、OSP処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。
【0092】
このように、第1実施形態に係る配線基板1を用いて、多層配線基板2を作製することができる。配線基板1に代えて、配線基板1A、1B、又は1Cを用いてもよい。
【0093】
〈応用例2〉
応用例2では、応用例1の多層配線基板に半導体チップが搭載(フリップチップ実装)された半導体パッケージの例を示す。なお、応用例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0094】
図14は、応用例2に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図14を参照するに、半導体パッケージ3は、
図13に示す多層配線基板2と、半導体チップ100と、バンプ130と、アンダーフィル樹脂140とを有する。半導体パッケージ3において、多層配線基板2のソルダーレジスト層65側は半導体チップ100が搭載される半導体チップ搭載面となり、多層配線基板2のソルダーレジスト層75側は外部接続端子が形成される外部接続面となる。
【0095】
半導体チップ100は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板110上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板110には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極パッド120が形成されている。
【0096】
バンプ130は、半導体チップ100の電極パッド120と、多層配線基板2の外部接続端子66とを電気的に接続している。バンプ130は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。アンダーフィル樹脂140は、半導体チップ100と多層配線基板2のソルダーレジスト層65との間に充填されている。
【0097】
このように、多層配線基板2に半導体チップ100を搭載することにより、半導体パッケージ3を実現できる。
【0098】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0099】
1、1A、1B、1C 配線基板
2 多層配線基板
3 半導体パッケージ
10 コア層
10a 一方の面
10b 他方の面
20、30、62、64、72、74 配線層
20A、20B、20C、20D、20E、30A、30B、30C、30D、30E パッド
22a、32a 第1無電解めっき膜
22b、32b 第1電解めっき膜
23a 第2無電解めっき膜
23b 第2電解めっき膜
24a、34a 第3無電解めっき膜
24b、34b 第3電解めっき膜
40 磁性体樹脂
50 絶縁樹脂
61、63、71、73 絶縁層
61x、63x、71x、73x ビアホール
65、75 ソルダーレジスト層
65x、75x 開口部
66 外部接続端子
100 半導体チップ
101、102、103、104、105 貫通孔
110 半導体基板
120電極パッド
130 バンプ
140 アンダーフィル樹脂