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特開2022-32638窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032638
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/581 20060101AFI20220217BHJP
   C04B 35/81 20060101ALI20220217BHJP
   C01B 21/072 20060101ALI20220217BHJP
   H01L 23/15 20060101ALI20220217BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
C04B35/581
C04B35/81
C01B21/072 R
H01L23/14 C
H05K1/03 610E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136625
(22)【出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】507407777
【氏名又は名称】古河電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】大西 由洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 周一
(72)【発明者】
【氏名】小林 智浩
(72)【発明者】
【氏名】山田 正人
(72)【発明者】
【氏名】境 豪一
(72)【発明者】
【氏名】長原 政治
(72)【発明者】
【氏名】長 茂輝
(72)【発明者】
【氏名】山村 卓
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓希
(72)【発明者】
【氏名】宇治原 徹
(57)【要約】
【課題】高熱伝導性と高破壊靭性とを両立させることが可能な窒化アルミニウム焼結体を提供する。
【解決手段】窒化アルミニウム焼結体は、主として窒化アルミニウム多結晶粒から構成され、少なくとも窒化アルミニウム粉末と単結晶窒化アルミニウムウィスカとを含む、主として窒化アルミニウム粉末から構成された成型体を焼結させた窒化アルミニウム焼結体である。成型体は、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上含む。成型体において、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は1以上40以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として窒化アルミニウム多結晶粒から構成され、少なくとも窒化アルミニウム粉末と単結晶窒化アルミニウムウィスカとを含む、主として窒化アルミニウム粉末から構成された成型体を焼結させた窒化アルミニウム焼結体であって、
前記成型体は、前記窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上含み、
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、前記窒化アルミニウム粉末100重量%に対する前記単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は1以上40以下である、窒化アルミニウム焼結体。
【請求項2】
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカは、酸素濃度が3重量%以下である、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体。
【請求項3】
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカは、長さ(L50)が20μm以下である、請求項1または請求項2に記載の窒化アルミニウム焼結体。
【請求項4】
嵩密度が3.25g/cm以上である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の窒化アルミニウム焼結体。
【請求項5】
窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤と、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上加え、混合し、成型した後、1900℃以上の温度で焼成した焼結体を得る工程を含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【請求項6】
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカを還元処理することによって前記単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度を3重量%以下に低減させる工程を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記成型した後、窒素中で脱脂する工程を含む、請求項5または請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
主として窒化アルミニウム粉末から構成され、
前記窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上含み、
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、前記窒化アルミニウム粉末100重量%に対する前記単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は1以上40以下である、窒化アルミニウム成型体。
【請求項9】
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカは、酸素濃度が3重量%以下である、請求項8に記載の窒化アルミニウム成型体。
【請求項10】
前記単結晶窒化アルミニウムウィスカは、長さ(L50)が20μm以下である、請求項8または請求項9に記載の窒化アルミニウム成型体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化アルミニウム焼結体と、窒化アルミニウム焼結体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化アルミニウム(AlN)焼結体は、熱伝導性・熱放射性(放熱)、耐熱衝撃性、電気絶縁性に優れ、シリコン半導体素子に近い熱膨張率を有することから、半導体実装用の放熱基板や半導体製造装置の部品に用いられている。
【0003】
窒化アルミニウム焼結体を放熱基板に用いる場合、表面にメタライズ層を形成して使用する。基板とメタライズ層との熱膨張率差により、メタライズ層の端部にクラックが発生する場合がある。このクラックを抑制するためには基板の破壊靭性を向上させることが有効である。
【0004】
窒化アルミニウム焼結体が半導体製造装置の部品に用いられる場合にも破壊靭性の向上が必要となる。半導体製造装置の部品は長期間の使用が求められており、部品の信頼性を確保するためである。
【0005】
また、高出力化が図られているLEDやLD用、等の放熱基板は、熱抵抗を下げるために薄肉化が求められているが、薄肉化を行うと基板が破損し易くなるため、機械的強度を高める必要がある。
【0006】
そこで、従来、窒化アルミニウムの破壊靭性を向上させる試みが多くなされている。例えば、特開昭62-078160号公報(特許文献1)には、切削工具等に用いるために高い硬度を具備する複合強化焼結体を提供することを目的として、SiCウィスカ5~50重量%と焼結助剤0.5~10重量%と残部AlNとからなる複合強化焼結体が記載されており、組成によって、6.0MPa・m1/2から最大で7.9MPa・m1/2の破壊靭性が得られている。
【0007】
特開平3-174365号公報(特許文献2)には、窒化アルミニウム粒界中に窒化ケイ素ウィスカが分布した窒化アルミニウム焼結体が記載されており、最大で4.7MPa・m1/2の破壊靭性が得られている。
【0008】
特開2001-122671号公報(特許文献3)には、強度や靭性値を向上させるために、窒化アルミニウム粒子から主として構成される焼結体マトリックス内に、繊維状窒化アルミニウムの表面にアルミネートが存在する粗大粒子が分散配置された窒化アルミニウム焼結体が記載されており、最大で5.2MPa・m1/2の破壊靭性が得られている。
【0009】
特開2009-76649号公報(特許文献4)には、熱サイクル時における亀裂の進展が抑制されるとともに、耐久性が向上されるパワーモジュール用基板を提供することを目的として、板状窒化アルミニウム粒子と、繊維状窒化アルミニウム粒子と、球状窒化アルミニウム粒子とを有する窒化アルミニウム粒子からなるセラミックス焼結体が記載されている。
【0010】
特開昭61-84036号公報(特許文献5)には、半導体に実装するため熱伝導性を大きくすることを目的として、Al-Si-O-Nの化学構造を有する窒化アルミニウムポリタイプからなる針状結晶の析出部が基板板厚の1/3以内である窒化アルミニウムセラミックス基板が記載されている。
【0011】
特開平7-82047号公報(特許文献6)には、破壊靭性等を改善向上させることを目的として、窒化アルミニウムマトリックスに炭化ケイ素の球状粒子または窒化ケイ素の球状粒子を添加したセラミックス複合焼結体が記載されており、マトリックスに炭化ケイ素の球状粒子を添加した場合には8MPa・m1/2の破壊靭性、マトリックスに窒化ケイ素の球状粒子を添加した場合には8.3MPa・m1/2の破壊靭性が得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭62-078160号公報
【特許文献2】特開平3-174365号公報
【特許文献3】特開2001-122671号公報
【特許文献4】特開2009-76649号公報
【特許文献5】特開昭61-84036号公報
【特許文献6】特開平7-82047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
車載用の放熱基板の信頼性を確保するためには、破壊靭性が5.0MPa・m1/2以上であることが望ましく、6.0MPa・m1/2以上であることがより望ましい。
【0014】
特許文献1に記載の複合強化焼結体では、最大の7.9MPa・m1/2の破壊靭性が得られる組成では熱伝導率が0.17cal/cm・s・℃(71W/mK)に過ぎず、高い熱伝導性を必要とする放熱基板に用いることができない。
【0015】
また、特許文献2に記載の窒化アルミニウム焼結体では、最大の4.7MPa・m1/2の破壊靭性が得られる組成で235W/mKの熱伝導率が得られているが、より高い破壊靭性が得られていない。
【0016】
特許文献3に記載の窒化アルミニウム焼結体は、破壊靭性は最大で5.2MPa・m1/2となっているが、その時の熱伝導率は87W/mKに過ぎない。
【0017】
特許文献4には、パワーモジュール用基板の具体的な破壊靭性や熱伝導率について記載されていない。
【0018】
特許文献5に記載の熱伝導性AlNセラミックス基板は、80~100W/mKの熱伝導率が得られているが、破壊靭性については記載されていない。
【0019】
特許文献6に記載のセラミックス複合焼結体は、炭化ケイ素ウィスカを添加した場合に8MPa・m1/2の破壊靭性、窒化ケイ素ウィスカを添加した場合に8.3MPa・m1/2の破壊靭性が得られているが、熱伝導率については考慮されていない。
【0020】
このように、従来、破壊靭性を高くすると熱伝導率が下がってしまい、破壊靭性と熱伝導率を両立させることができなかった。
【0021】
そこで、本発明の目的は、窒化アルミニウムの高熱伝導性を維持したままで破壊靭性を向上させることが可能な窒化アルミニウム焼結体とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、鋭意研究の結果、針状単結晶である窒化アルミニウムウィスカの酸素含有量と破壊靭性および熱伝導率との関係に着目し、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素含有量と焼結体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量とが特定の関係となるように添加することにより、高い熱伝導率を得ながら破壊靭性を向上することができることを見出した。本発明者らのこのような知見に基づいて、本発明は以下のように構成される。
【0023】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体は、主として窒化アルミニウム多結晶粒から構成され、少なくとも窒化アルミニウム粉末と単結晶窒化アルミニウムウィスカとを含む、主として窒化アルミニウム粉末から構成された成型体を焼結させた窒化アルミニウム焼結体である。成型体は、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上含む。成型体において、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は1以上40以下である。
【0024】
成型体において単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積が1以上40以下であることは、言い換えれば、成型体において窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカの全量の酸素濃度は、0.01重量%以上0.40重量%以下である。
【0025】
このようにすることにより、高熱伝導性と高破壊靭性とを両立させることが可能な窒化アルミニウム焼結体を提供することができる。
【0026】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体においては、単結晶窒化アルミニウムウィスカは、酸素濃度が3重量%以下であることが好ましい。
【0027】
このようにすることにより、より高い熱伝導率を得ることができる。
【0028】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体においては、単結晶窒化アルミニウムウィスカは、長さ(L50)が20μm以下であることが好ましい。
【0029】
このようにすることにより、単結晶窒化アルミニウムウィスカ同士が強く絡まり合うことを防ぎ、焼結阻害を防ぐことができる。
【0030】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体は、嵩密度が3.25g/cm以上であることが好ましい。
【0031】
本発明に従った上述の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤と、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上加え、混合し、成型した後、1900℃以上の温度で焼成した焼結体を得る工程を含む。
【0032】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、単結晶窒化アルミニウムウィスカを還元処理することによって単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度を3重量%以下に低減させる工程を含む。
【0033】
本発明に従った上述の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、成型後に窒素中で脱脂する工程とを含む。
【0034】
本発明に従った窒化アルミニウム成型体は、少なくとも窒化アルミニウム粉末と単結晶窒化アルミニウムウィスカとを含み、主として窒化アルミニウム粉末から構成され、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上含む。単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は1以上40以下である。
【0035】
本発明に従った窒化アルミニウム成型体においては、単結晶窒化アルミニウムウィスカは、酸素濃度が3重量%以下であることが好ましい。
【0036】
本発明に従った窒化アルミニウム成型体においては、単結晶窒化アルミニウムウィスカは、長さ(L50)が20μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0037】
このようにすることにより、高熱伝導性と高破壊靭性とを両立させることが可能な窒化アルミニウムとその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】針状単結晶である窒化アルミニウムウィスカのSEM像である。
図2】窒化アルミニウムウィスカが単結晶であることを示す電子線回折像である。
図3】窒化アルミニウムウィスカを粉砕処理した後のウィスカが絡まり、塊状になったことを示すSEM像である。
図4】窒化アルミニウムウィスカが塊状のまま焼結体中に残存していることを示すSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体は、主として窒化アルミニウム多結晶粒から構成され、少なくとも窒化アルミニウム粉末と単結晶窒化アルミニウムウィスカとを含む、主として窒化アルミニウム粉末から構成された成型体を焼結させた窒化アルミニウム焼結体である。成型体は、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカを1重量%以上含む。成型体において、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は1以上40以下である。
【0040】
成型体において、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積が1以上40以下であることは、言い換えれば、成型体において、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカの全量の酸素濃度は、0.01重量%以上0.40重量%以下である。
【0041】
まず、本発明に従った窒化アルミニウム焼結体を製造するための成型体の各成分について説明する。以下の各成分の含有量と酸素濃度は、特に断りがない限り、成型体中の含有量である。
【0042】
本発明に従った窒化アルミニウム焼結体の製造に用いられる成型体中の窒化アルミニウム粉末は、平均粒径が0.8~2.5μmであることが好ましく、0.8~1.4μmであることがより好ましい。酸素濃度は0.7~0.9重量%であることが好ましい。比表面積は2.3~2.9m/gであることが好ましい。
【0043】
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造に用いられる成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカは、アルミニウムを原料とし窒素ガスと高温で反応させ合成される。図1に示すように、得られる単結晶窒化アルミニウムは針状単結晶である。図2に示すように、このようにして得られる単結晶窒化アルミニウムの電子線回折像には規則正しい回折斑点が見られるので、電子線回折像によって窒化アルミニウムウィスカが単結晶であることを確認することができる。
【0044】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカは、直径(短軸径)と長さ(長軸径)に分布を有する。単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径の分布(D10、D50、D90)と長さの分布(L10、L50、L90)は、例えば、画像解析法によって測定される。具体的には、液中によく分散した単結晶窒化アルミニウムウィスカを撮影し、撮影された画像から個々の単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径と長さを測定し、それらの分布を求める。あるいは、ガラス板上によく分散した単結晶窒化アルミニウムウィスカを撮影し、撮影された画像から分布を求めてもよい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径と長さの分布は他の方法によって求められてもよい。
【0045】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径(D10)は、0.8~1.5μmであることが好ましく、1.0~1.5μmであることがより好ましい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径(D10)が1.0~1.5μmの範囲内であることによって、焼成時に単結晶窒化アルミニウムウィスカが消失することを防ぐことができ、焼成後に残存する単結晶窒化アルミニウムウィスカによって破壊靭性を向上させることができる。
【0046】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径(D50)は、具体的には、1μm以上であることが好ましく、1.5~2.5μmであることがより好ましい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径(D50)が1.5~2.5μmの範囲内であることによって、焼成時に単結晶窒化アルミニウムウィスカが消失することを防ぐことができ、焼成後に残存する単結晶窒化アルミニウムウィスカによって破壊靭性を向上させることができる。
【0047】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径(D90)は、3.5~5.0μmであることが好ましく、3.5~4.0μmであることがより好ましい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの直径(D90)が3.5~4.0μmの範囲内であることによって、焼成時に焼結阻害を起こし窒化アルミニウム焼結体の密度が低下することを防ぐことができ、緻密な焼結体を得ることができる。また、単結晶窒化アルミニウムウィスカ自体が欠陥として作用して強度を低下させることを防ぐことができる。
【0048】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L10)は、5~10μmであることが好ましく、7~10μmであることがより好ましい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L10)が7~10μmの範囲内であることによって、焼成時に単結晶窒化アルミニウムウィスカが消失することを防ぐことができ、焼成後に残存する単結晶窒化アルミニウムウィスカによって破壊靭性を向上させることができる。
【0049】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L50)は、5~20μmであることが好ましく、10~15μmであることがより好ましい。合成直後の単結晶窒化アルミニウムウィスカは図1に示すように単結晶窒化アルミニウムウィスカ同士が独立した状態である。図1に示すような単結晶窒化アルミニウムウィスカを粉砕処理すると、図3に示すように塊状になりやすい。このとき、単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L50)が20μm以下であれば、単結晶窒化アルミニウムウィスカ同士が強く絡まり合うことを防ぐことができ、塊状になった単結晶窒化アルミニウムウィスカが窒化アルミニウム多結晶粒中に分散されにくくなることを防ぐことができる。図4に示すように、強く絡まりあった塊状の単結晶窒化アルミニウムウィスカは焼結体中に塊状の状態で残存し、焼結阻害を起こす場合がある。焼結阻害が起こると、焼結体の密度が低下し、密度の低下は熱伝導率及び破壊靭性の低下を引き起こし得る。したがって、単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L50)は、粉砕されても強く絡まり合いにくいよう、20μm以下であることが好ましい。
【0050】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L90)は、25~50μmであることが好ましく、30~40μmであることがより好ましい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ(L90)が30~40μmの範囲内であることによって、単結晶窒化アルミニウムウィスカが塊状になっても窒化アルミニウム多結晶粒中に分散され易くなり、焼結阻害を起こすことを防ぎ、窒化アルミニウム焼結体の密度の低下を防ぐことができる。
【0051】
単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さが適切な分布を有していない場合、分級処理や沈降処理、機械的に粉砕して分布を調整することができる。粉砕方法としては、ボールミル、ジェットミル、ディスクせん断等、公知のどのような方法を用いてもよい。
【0052】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度は12重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましい。単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度が3重量%以下であることによって、得られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率をより高めることができる。単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度を低くすることによって、窒化アルミニウム焼結体内に熱伝導率の悪い酸化アルミニウム層が形成されて熱伝導率が低下することを防ぐことができる。
【0053】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素量は、燃焼法または蛍光X線分析、または他の公知の方法によって測定されるが、本願明細書において単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素量は、JIS Z2613による不活性ガス中で融解し、発生した一酸化炭素を赤外線吸収法よって測定されるものとする。
【0054】
単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度が高い場合には、例えば、真空中もしくは水素フロー中で800~1200℃の温度で1~20時間処理することで、酸素濃度を低減させることができる。また、窒化アルミニウム粉末の合成方法と同様にカーボンを添加し、窒素雰囲気で1600~1700℃で1~20時間処理することで酸素濃度を低減させることができる。また、単結晶窒化アルミニウムウィスカの合成方法によって酸素濃度を低減することができる他、単結晶窒化アルミニウムウィスカの粉砕時の雰囲気を窒素雰囲気にすること、単結晶窒化アルミニウムウィスカの粉砕後に真空、窒素、または、水素中で熱処理することによって酸素濃度を低減させることができる。
【0055】
成型体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量は1重量%以上であり、好ましくは1~10重量%であり、より好ましくは3~10重量%である。単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量が1重量%未満である場合、破壊靭性の向上に寄与する単結晶窒化アルミニウムウィスカが少なく、破壊靭性の向上の効果が得られにくい場合がある。一方、単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量が15重量%を超える場合、焼結阻害を起こし、窒化アルミニウム焼結体の密度を低下させる場合がある。
【0056】
成型体において、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積は、1以上40以下である。言い換えれば、成型体において、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカの全量の酸素濃度は、0.01重量%以上0.40重量%以下である。
【0057】
焼結助剤としては、希土類元素の酸化物、アルカリ土類元素の酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、等が用いられる。より具体的には、希土類元素の酸化物を用いることが好ましい。焼結助剤は窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、酸化物換算で1~5重量%含まれることが好ましい。
【0058】
次に、本発明に従った窒化アルミニウム焼結体の製造方法について説明する。
【0059】
まず、窒化アルミニウム粉末に、酸素濃度を調整した単結晶窒化アルミニウムウィスカ、焼結助剤、結合剤、有機溶媒または水の分散媒を加え、ボールミルで混合し、スラリーを作製する。また、成型方法がプレス成型であればスプレードライヤー等による造粒を行う。得られる顆粒の粒径は50~60μmが好ましい。
【0060】
得られた混合スラリーまたは粉末顆粒を成型する。成型は、金型プレス、ラバープレス、鋳込み成型、シート成型等、用途や大きさに応じて要求される形状に適した成型方法によって行うことができる。得られた成型体は、例えばブロック状であり、大きさは、例えば50mm×50mm×8mmである。装置や治具を適宜選択して、適切な大きさの成型体を得ることができる。金型プレスによって成型する場合、1軸加圧によって単結晶窒化アルミニウムウィスカの配向が生じる。一方、ラバープレスによって成型する場合、等圧加圧であるため、単結晶窒化アルミニウムウィスカの配向は生じない。
【0061】
次に、成型体を脱脂し、焼成し、窒化アルミニウム焼結体が得られる。脱脂と焼成は公知の方法によって行われる。脱脂は窒素中で行われることが好ましい。脱脂の温度は、500~1000℃であることが好ましく、500~800℃であることがより好ましい。脱脂の時間は1~20時間が好ましい。焼成の温度は1700~1950℃が好ましく。1900℃以上がより好ましい。焼成の時間は、1~20時間であることが好ましく、2~12時間であることがより好ましい。成型体のサイズや厚みにより焼成条件については適切な条件を選択する。焼成は窒素中で行われ、常圧焼成、加圧焼成のいずれを用いてもよいが、経済性や大型の焼結体を作製するためにも常圧焼成で行うことが好ましい。
【0062】
得られた窒化アルミニウム焼結体中には、単結晶窒化アルミニウムウィスカと単結晶窒化アルミニウムウィスカ由来の繊維状粒子が存在する。繊維状粒子の存在は、破面または研磨面を、光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察することによって確認できる。
【0063】
上述のように、成型方法によって窒化アルミニウム焼結体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカが配向する。配向した単結晶窒化アルミニウムウィスカは配向組織を形成する場合がある。成型時の配向は焼成後にも維持される。窒化アルミニウム焼結体中の単結晶窒化アルミニウムウィスカの配向は、例えばX線回折法によって確認することができる。単結晶窒化アルミニウムウィスカの長さ方向に平行な(100)面と垂直な(002)面からのピーク強度比I(100)/I(002)によって配向が求められる。X線回折のデータベースJCPDS-25-1133でのI(f)値によれば、等方的な焼結体ではI(100)/I(002)は1.67であるが、配向が強くなるほど、I(100)/I(002)の値が大きくなる。単結晶窒化アルミニウムウィスカが配向していることが要求される場合には、I(100)/I(002)の値が2以上であることが、さらに強い配向が要求される場合は、I(100)/I(002)の値が3以上であることが好ましい。
【0064】
単結晶窒化アルミニウムウィスカの配向を制御することによって、焼結体の特性を制御することができる。例えば、破壊靭性は単結晶窒化アルミニウムウィスカの配向方向に垂直な方向に沿ってクラックが進行する場合に高くなる。そこで、焼結体の使用時にクラックの進行を妨げたい方向に対して垂直な方向に沿って単結晶窒化アルミニウムウィスカを優先的に配置することによって、破壊靭性を高めることができる。
【0065】
このような配向によるクラック進展の抑制効果は、例えばビッカースクラックの長さを測定することで確認できる。配向方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿ってビッカース圧子の四角錐の頂点が位置するように圧子を打ち込み、そのクラックの長さを測定する。配向に応じて垂直方向のクラック長さ(Lt)と平行方向のクラック長さ(Lp)に差が生じる。クラックが短い方向は、進展抑制効果が高い方向である。進展抑制効果が要求される場合、Lp/Ltの値が1.1以上であることが好ましい。
【0066】
このようにして、嵩密度が3.25g/cm以上であり、熱伝導率が170W/mK以上であり、かつ、破壊靭性が5.0MPa・m1/2以上である窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。窒化アルミニウム焼結体は、嵩密度が3.25g/cm以上であることが好ましい。また、窒化アルミニウム焼結体は、相対密度が97.5%以上であることが好ましい。
【0067】
焼結体の熱伝導率は、例えばレーザーフラッシュ法や熱線法、等により測定することができるが、本発明ではレーザーフラッシュ法により熱伝導率の測定を行うものとする。
【0068】
焼結体の破壊靭性は、破壊靭性の測定は、例えば予き裂を導入しない圧子圧入法、切り欠き加工法、予き裂を導入する方法(SEPB法)により測定することができるが、本明細書ではSEPB法により破壊靭性の測定を行うものとする。
【実施例0069】
本発明を実施例、試験例により更に詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。
【0070】
[単結晶窒化アルミニウムウィスカの調製]
公知の方法によって単結晶窒化アルミニウムウィスカを合成し、得られた綿状の単結晶窒化アルミニウムウィスカを有機溶剤中に投入し、沈降したものと、有機溶剤中に分散したもの二水準に分級した。各実施例および比較例で、表1に示す分級の単結晶窒化アルミニウムウィスカを用いた。分級された単結晶窒化アルミニウムウィスカは、ボールミルにより粉砕して、長さを調整した。さらに、実施例1~5では、粉砕された単結晶窒化アルミニウムウィスカを水素フロー中、1000℃で5時間処理して酸素濃度を低減させた。各実施例および比較例の単結晶窒化アルミニウムウィスカの分級、長さ(L50)、酸素濃度(重量%)を表1に示す。なお、比較例1,2の焼結体には単結晶窒化アルミニウムウィスカを添加しなかった。単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度はJIS Z2613による不活性ガス中で融解し、発生した一酸化炭素を赤外線吸収法よって測定した。
【0071】
【表1】
【0072】
[窒化アルミニウム焼結体の調製]
[スラリーの調製]
窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、酸化イットリウムを5重量%添加し、純水、分散剤、消泡剤を適量添加し、アルミナボールミルで所定時間の混合を行った。実施例1~6および比較例3~7では、別の容器で先に混合した窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカのみを表2に示す含有量で添加し、純水、分散剤、消泡剤を適量添加し、単結晶窒化アルミニウムウィスカが短くならないようにナイロンボールミルにより所定時間、混合した。図2に示すように粉砕処理後の単結晶窒化アルミニウムウィスカは塊状になり易い。単結晶窒化アルミニウムウィスカが長い程、単結晶窒化アルミニウムウィスカが分散しにくく、スラリー化しにくい傾向が観察された。その後、先に混合した窒化アルミニウム粉末を含むスラリーを、単結晶窒化アルミニウムウィスカを混合した容器に投入した後、所定時間、ナイロンボールミル混合した。その後、バインダーを添加し、再度、ナイロンボールミル今後を行い、スラリーを作製した。比較例1,2は単結晶窒化アルミニウムウィスカを添加せずに所定時間の混合後、原料粉の容器にバインダーを添加し、再度、所定時間の混合を行ってスラリーを作製した。
【0073】
[成型]
実施例1~5および比較例1~7では、作製したスラリーをスプレードライヤーにより顆粒を造粒した。得られた顆粒の粒径のD50はいずれも50~60μmの範囲内であった。顆粒を金型プレスにより一軸加圧によりプレス成型を行い、50×50×8mmの成形体を作製した。実施例6では、スラリーを用いて、シート成形法により厚み300μmのシートを作製した。シートを55×40mmに切り抜き、積層したのち、150℃で圧着をおこない、55×40×6mmの成型体を作製した。
【0074】
[脱脂と焼成]
脱脂は大気中(実施例1、比較例1,3~6)、または、窒素中(実施例2~6,比較例2,7)、600℃、3時間で実施した。焼成は窒素中、常圧焼成により、1.5℃/分で昇温し、1900℃、2時間保持し、0.5℃/分で降温して実施した。
【0075】
得られた窒化アルミニウム焼結体について、焼結体の嵩密度、相対密度、熱伝導率、破壊靭性を測定した。結果を表2に示す。表2中、「ウィスカ酸素濃度」は単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)、「ウィスカ含有量」は窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)、「酸素量×含有量」は単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)との積、「嵩密度」「相対密度」「熱伝導率」「破壊靭性」は、それぞれ焼結体の嵩密度(g/cm)、焼結体の相対密度(%)、焼結体の熱伝導率(W/mK)、焼結体の破壊靭性(MPa・m1/2)を意味する。
【0076】
焼結体の嵩密度は、得られた焼結体を8mm×30mm×4mmに加工した後、アルキメデス法により測定を実施した。
【0077】
相対密度は、酸化イットリウムの添加量を考慮し、理論嵩密度を3.33g/cmとして算出した。
【0078】
熱伝導率は、得られた焼結体を8mm×8mm×4mmに加工し、レーザーフラッシュ法で測定を実施した。
【0079】
破壊靭性は、3×4×40mmに加工し、SEPB法により測定を実施した。
【0080】
【表2】
【0081】
表2に示すように、単結晶窒化アルミニウムウィスカの酸素濃度(重量%)の数値と、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積が1以上40以下、言い換えれば、窒化アルミニウム粉末100重量%に対し、単結晶窒化アルミニウムウィスカの全量の酸素濃度は、0.01重量%以上0.40重量%以下である実施例1~6では、170W/mK以上の熱伝導率を維持した状態で、5.0MPa・m1/2を超える破壊靭性が得られた。
【0082】
また、表2に示すように、比較例1,2から、単結晶窒化アルミニウムウィスカを添加していない状態では、大気中よりも窒素脱脂の熱伝導率が高いことが判った。また、実施例1,2から、単結晶窒化アルミニウムウィスカを添加しても、大気中よりも窒素脱脂の方が熱伝導率は高く、破壊靭性はほぼ変わらないことがわかった。
【0083】
また、比較例7の単結晶窒化アルミニウムウィスカは、酸素濃度は実施例4と同じ2.8重量%であるが、含有量が15重量%と高く、窒化アルミニウム粉末100重量%に対する単結晶窒化アルミニウムウィスカの含有量(重量%)の数値との積が40を超えている。比較例7の窒化アルミニウム焼結体は、嵩密度と相対密度が低く、緻密な焼結体が得られず、熱伝導率及び破壊靭性の低下を引き起こしたと考えられる。窒化アルミニウム焼結体は、嵩密度が3.25g/cm以上であることが好ましい。また、窒化アルミニウム焼結体は、相対密度が97.5%以上であることが好ましい。
【0084】
実施例6の窒化アルミニウム焼結体について、シート積層面でX線回折法により配向を測定した。シート積層面からの回折において、I(100)/I(002)は39.5であった。
【0085】
実施例6の窒化アルミニウム焼結体について、シート積層の側面にビッカースクラックを導入し、長さを測定したところ、Lp/Ltは1.3であった。
【0086】
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
図1
図2
図3
図4