(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032811
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ハンドマーカ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A61B1/00 650
A61B1/00 552
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137030
(22)【出願日】2020-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA04
4C161BB00
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF21
4C161GG22
4C161HH55
4C161LL02
4C161WW10
4C161WW13
(57)【要約】
【課題】ハンドマーカの装着部が被検体に触れても被検体が不快に感じにくく、また装着部が破損しにくいハンドマーカを提供する。
【解決手段】被検体の体内の内視鏡の形状をモニタに表示する際に、被検体の体外にある人の手の位置を示すマークをモニタに表示するために使用されるハンドマーカであって、位置検出用の素子が内蔵されたマーカ本体と、マーカ本体を手に装着するために手の指が掛けられる装着部であり、かつ、エラストマーで形成された装着部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体内の内視鏡の形状をモニタに表示する際に、前記被検体の体外にある人の手の位置を示すマークを前記モニタに表示するために使用されるハンドマーカであって、
位置検出用の素子が内蔵されたマーカ本体と、
前記マーカ本体を前記手に装着するために前記手の指が掛けられる装着部であり、かつ、エラストマーで形成された装着部と、を備えたハンドマーカ。
【請求項2】
前記位置検出用の素子は、磁界発生用または磁界検出用のコイルである
請求項1に記載のハンドマーカ。
【請求項3】
前記マーカ本体の外周面のうち、前記装着部が設けられた面を下面とした場合において、
前記マーカ本体の上下方向と直交する側方から前記マーカ本体を側面視した場合において、前記マーカ本体の外形線はすべて曲線で形成されている請求項1または2に記載のハンドマーカ。
【請求項4】
前記マーカ本体は細長形状であり、前記マーカ本体の外周面のうち前記装着部が設けられる第1面は、前記マーカ本体の長手方向の両端部に対して中央部が前記装着部と反対側に凸となった円弧状をしている
請求項3に記載のハンドマーカ。
【請求項5】
前記マーカ本体は細長形状であり、前記マーカ本体の外周面のうち前記装着部が設けられる第1面と対向する第2面は、前記マーカ本体の長手方向の両端部に対して中央部が前記装着部と反対側に凸となった円弧状をしている
請求項4に記載のハンドマーカ。
【請求項6】
前記装着部は、一端が前記マーカ本体に固定される固定端となり、かつ、他端が自由端となるJ字状のフックである請求項1から5のいずれか1項に記載のハンドマーカ。
【請求項7】
前記マーカ本体の外周面のうち前記フックの基端が設けられる第1面と、前記フックの先端との距離は、前記フックと前記第1面との間の最大距離よりも短い
請求項6に記載のハンドマーカ。
【請求項8】
前記マーカ本体は細長形状で、前記マーカ本体の長手方向に沿って前記フックの先端が延びている
請求項6または7に記載のハンドマーカ。
【請求項9】
前記マーカ本体は細長形状で、かつケーブルが接続されており、前記マーカ本体の長手方向の一端から前記ケーブルが引き出されている
請求項1から8のいずれか1項に記載のハンドマーカ。
【請求項10】
前記マーカ本体にはケーブルが接続されており、前記ケーブルの外周面と、前記手に対面する前記マーカ本体の第1面とに間隔が生じる位置から、前記ケーブルが引き出されている
請求項1から9のいずれか1項に記載のハンドマーカ。
【請求項11】
前記マーカ本体には無線通信部が内蔵されている
請求項1から8のいずれか1項に記載のハンドマーカ。
【請求項12】
前記マーカ本体に対して前記装着部を回転させる回転機構を備える
請求項1から11のいずれか1項に記載のハンドマーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドマーカに関する。
【背景技術】
【0002】
患者などの被検体の体内を観察するための内視鏡が知られている。内視鏡を用いた検査では、食道などの上部消化管に加えて、大腸などの下部消化管の観察が行われる。下部消化管は、比較的直線的に伸びる上部消化管と異なり、複雑に湾曲している。下部消化管内に挿入された内視鏡は、内視鏡の挿入部も複雑に湾曲する。このような被検体の体内に挿入される内視鏡の挿入部の形状を把握するために、被検体の体内の内視鏡の挿入部の形状を検出する内視鏡形状検出装置が知られている。
【0003】
内視鏡形状検出装置は、例えば磁気を利用して、体内の挿入部の形状を画像化するための情報を取得することにより、取得した情報に基づいて挿入部の形状を画像化する機能を備えている。例えば、内視鏡の挿入部内には、複数の磁界発生素子が間隔を空けて配置されている。内視鏡形状検出装置は、挿入部内の各磁界発生素子が発生する磁界を、被検体の体外に配置された磁界検出素子で検出する。検出された各磁界発生素子の磁界の強さは、被検体の体外の磁界検出素子に対する挿入部の各部の位置を表すため、内視鏡形状検出装置は、各磁界発生素子の磁界の強さの情報を、挿入部の形状を画像化するための情報として用いて、挿入部の形状を示す画像を生成する。そして、生成された画像をモニタに表示し、術者などのユーザに提示する。
【0004】
また、複雑に湾曲する下部消化管に内視鏡を挿入する手技は術者一人では困難な場合もあるため、術者が行う内視鏡を挿入する手技を、看護師などの助手が補助する場合がある。助手は、被検体の腹部に触れて内視鏡の挿入部の位置を確認したり、被検体の体外から下部消化管を圧迫する、いわゆる用手圧迫を行って内視鏡を挿入しやすくする。
【0005】
特許文献1および2に記載されているように、上記のような内視鏡形状検出装置と一緒にハンドマーカが組み合わせて用いられることがある。ハンドマーカは、被検体の体内の内視鏡の形状をモニタに表示する際に、被検体の体外にある助手の手の位置を示すマークをモニタに表示するために使用される。ハンドマーカには、例えば内視鏡と同様に磁界発生素子が内蔵されている。内視鏡形状検出装置は、ハンドマーカが発生する磁界を検出することにより、ハンドマーカの位置を検出する。ハンドマーカは助手の手に装着されるため、検出したハンドマーカの位置を示すマークは、助手の手の位置を示すマークとして機能する。内視鏡形状検出装置は、このマークを、内視鏡の挿入部の形状とともにモニタに表示する。これにより、被検体の体外にある助手の手の位置と被検体の体内の内視鏡の挿入部との相対位置関係を把握することができる(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-085338号公報
【特許文献1】特開平08-000542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハンドマーカは、磁界発生素子などの位置検出用の素子が内蔵されたマーカ本体と、マーカ本体を人の手に装着するための装着部であり、手の指が掛けられる装着部とを備えている。ハンドマーカは、装着部に指を掛け、マーカ本体を手の甲側に配置した姿勢で手に装着される。
【0008】
指に掛ける装着部の一部は、手の平側に回り込むため、被検体に対する用手圧迫を行う場合は、装着部の一部が被検体に触れることになる。その場合、被検体が不快に感じるおそれがあった。また、強い力で用手圧迫を行うと、装着部に強い力が加わって装着部が破損してしまうおそれがあった。
【0009】
特許文献1および2に記載のハンドマーカでは、いずれも、このような問題および対策について、示唆も開示もない。
【0010】
本開示の技術は、ハンドマーカの装着部が被検体に触れても被検体が不快に感じにくく、また装着部が破損しにくいハンドマーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のハンドマーカは、被検体の体内の内視鏡の形状をモニタに表示する際に、被検体の体外にある人の手の位置を示すマークをモニタに表示するために使用されるハンドマーカであって、位置検出用の素子が内蔵されたマーカ本体と、マーカ本体を手に装着するために手の指が掛けられる装着部であり、かつ、エラストマーで形成された装着部と、を備える。
【0012】
位置検出用の素子は、磁界発生用または磁界検出用のコイルとすることができる。
【0013】
また、マーカ本体の外周面のうち、装着部が設けられた面を下面とした場合において、マーカ本体の上下方向と直交する側方からマーカ本体を側面視した場合において、マーカ本体の外形線はすべて曲線で形成されていることが好ましい。
【0014】
また、マーカ本体は細長形状であり、マーカ本体の外周面のうち装着部が設けられる第1面は、マーカ本体の長手方向の両端部に対して中央部が装着部と反対側に凸となった円弧状をしていることが好ましい。
【0015】
また、マーカ本体は細長形状であり、マーカ本体の外周面のうち装着部が設けられる第1面と対向する第2面は、マーカ本体の長手方向の両端部に対して中央部が装着部と反対側に凸となった円弧状をしていることが好ましい。
【0016】
また、装着部は、一端がマーカ本体に固定される固定端となり、かつ、他端が自由端となるJ字状のフックであることが好ましい。
【0017】
また、マーカ本体の外周面のうちフックの基端が設けられる第1面と、フックの先端との距離は、フックと第1面との間の最大距離よりも短いことが好ましい。
【0018】
また、マーカ本体は細長形状で、マーカ本体の長手方向に沿ってフックの先端が延びていることが好ましい。
【0019】
また、マーカ本体は細長形状で、かつケーブルが接続されており、マーカ本体の長手方向の一端からケーブルが引き出されていてもよい。
【0020】
また、マーカ本体にはケーブルが接続されており、ケーブルの外周面と、手に対面するマーカ本体の第1面とに間隔が生じる位置から、ケーブルが引き出されていてもよい。
【0021】
また、マーカ本体には無線通信部が内蔵されていてもよい。
【0022】
また、マーカ本体に対して装着部を回転させる回転機構を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示の技術によれば、ハンドマーカの装着部が被検体に触れても被検体が不快に感じにくく、また装着部が破損しにくいハンドマーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】内視鏡システムを用いた内視鏡検査の様子を示す説明図である。
【
図2】内視鏡システムの全体構成を示す概略図である。
【
図5】ハンドマーカを手に装着した状態を示す図である。
【
図6】ハンドマーカを手に装着した状態で手を傾けた状態を示す図である。
【
図9】ハンドマーカを手に装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[内視鏡システムの全体構成]
図1は、本開示の技術に係る内視鏡形状表示制御装置を備えた内視鏡システム1の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、内視鏡システム1は、内視鏡10と、光源装置11と、ナビゲーション装置12と、磁界発生器13と、プロセッサ装置14と、モニタ15と、ハンドマーカ50と、を備える。内視鏡システム1は、被検者Hの体内の内視鏡検査に用いられる。被検者Hは被検体の一例である。この内視鏡10は、例えば、大腸などの消化管内に挿入される内視鏡であり、可撓性を有する軟性内視鏡である。内視鏡10は、消化管内に挿入される挿入部17と、挿入部17の基端側に連設され且つ術者が把持して各種操作を行う操作部18と、操作部18に連設されたユニバーサルコード19と、を有する。
【0026】
内視鏡検査は、例えば、被検者Hを寝台16の天面16Aに寝かせた状態で行う。大腸検査の場合は、医師である術者OPによって、内視鏡10の挿入部17が肛門から下部消化管内に挿入される。
【0027】
助手MTは、術者OPが行う内視鏡10の挿入部17を体内に挿入する手技を、補助する。助手MTは、手にハンドマーカ50を装着した状態で、被検者Hの腹部に触れて内視鏡10の挿入部17の位置を確認したり、被検者Hの体外から下部消化管を圧迫する用手圧迫を行って内視鏡10の挿入部17を挿入しやすくする。ハンドマーカ50は、ケーブル53を介してナビゲーション装置12に接続されている。助手MTの手は、被検体の一例である被検者Hの体外にある人の手の一例である。
【0028】
光源装置11は、観察部位である大腸などの下部消化管内を照明する照明光を内視鏡10に供給する。プロセッサ装置14は、内視鏡10で撮像された画像を処理することにより、観察画像41を生成する。観察画像41は、モニタ15に表示される。
【0029】
術者OPは、観察画像41を確認しながら内視鏡検査を進める。モニタ15に表示される観察画像41は、基本的には動画であるが、観察画像41として、必要に応じて静止画を表示することも可能である。
【0030】
また、内視鏡システム1は、術者OPが行う内視鏡10の挿入手技をナビゲーションするナビゲーション機能を備えている。ここで、ナビゲーションとは、被検者Hの体内での内視鏡10の挿入部17の位置および形状を含む挿入状態を、術者OPおよび助手MTに対して提示することにより、術者OPの内視鏡10の挿入手技を支援することをいう。また、ナビゲーションは、ハンドマーカ50を装着した助手MTの手の位置を、内視鏡10の挿入部17の挿入状態と合わせて提示することが可能である。
【0031】
ナビゲーション機能は、ナビゲーション装置12と、磁界発生器13と、内視鏡10内の磁界測定装置と、ハンドマーカ50内の磁界測定装置と、によって実現される。磁界発生器13は、磁界MFを発生する。磁界発生器13は、例えば、スタンドに取り付けられており、被検者Hが横たわる寝台16の傍らに配置される。また、磁界発生器13は、発生する磁界MFが被検者Hの体内に届く範囲内に配置される。
【0032】
内視鏡10内の磁界測定装置は、磁界発生器13が発生する磁界MFを検出し、検出した磁界MFの強さを測定する。同様に、ハンドマーカ50内の磁界測定装置は、磁界発生器13が発生する磁界MFを検出し、検出した磁界MFの強さを測定する。
【0033】
ナビゲーション装置12は、内視鏡10内の磁界測定装置による磁界測定結果に基づいて、磁界発生器13と挿入部17との相対的な位置を導出することにより、挿入部17の挿入状態を検出する。また、ナビゲーション装置12は、ハンドマーカ50内の磁界測定装置による磁界測定結果に基づいて、磁界発生器13とハンドマーカ50との相対的な位置を検出する。プロセッサ装置14は、ナビゲーション装置12が検出した挿入部17の挿入状態およびハンドマーカ50の位置を表すナビゲーション画像42を生成する。ナビゲーション画像42中には、挿入部17の挿入状態を示す挿入部画像42aと、ハンドマーカ50の位置を表すマーク42bと、が表示される。
【0034】
モニタ15は、観察画像41とナビゲーション画像42とを表示する。なお、観察画像41とナビゲーション画像42とを表示するモニタ15がそれぞれ別に設けられていてもよい。
【0035】
図2に示すように、内視鏡10の挿入部17は、細径でかつ長尺の管状部分であり、基端側から先端側に向けて順に、軟性部21と、湾曲部22と、先端部23とが連接されて構成される。軟性部21は、可撓性を有する。湾曲部22は、操作部18の操作により湾曲可能な部位である。先端部23は、撮像装置(不図示)等が配置される。
【0036】
また、
図2では図示しないが、先端部23の先端面には、観察部位に照明光を照明する照明窓と、照明光が被写体で反射した被写体光が入射する観察窓と、処置具が突出させるための処置具出口と、観察窓に気体および水を噴射することにより、観察窓を洗浄するための洗浄ノズルと、が設けられている。
【0037】
挿入部17内には、ライトガイド33と、信号ケーブル32と、操作ワイヤ(不図示)と、処置具挿通用の管路(不図示)とが設けられている。ライトガイド33は、ユニバーサルコード19から延設され、光源装置11から供給される照明光を、先端部23の照明窓に導光する。信号ケーブル32は、撮像装置からの画像信号および撮像装置を制御する制御信号の通信に加えて、撮像装置に対する電力供給に用いられる。信号ケーブル32も、ライトガイド33と同様に、ユニバーサルコード19から延設され、先端部23まで配設されている。
【0038】
操作ワイヤは、湾曲部22を操作するためのワイヤであり、操作部18から湾曲部22までの間に配設される。処置具挿通用の管路は、鉗子などの処置具を挿通するための管路であり、操作部18から先端部23まで配設される。挿入部17内には、この他、送気送水用の流体チューブが設けられる。流体チューブは、先端部23に、観察窓の洗浄用の気体および水を供給する。
【0039】
また、挿入部17内には、軟性部21から先端部23にかけて複数の検出コイル25が予め設定された間隔で設けられている。各検出コイル25は、磁界MFを検出する磁界検出素子に相当する。各検出コイル25は、それぞれ磁界発生器13から発生した磁界MFの影響を受けることにより、電磁誘導の作用により誘導起電力を生じ、誘導起電力によって誘導電流を発生する。各検出コイル25から発生した誘導電流の値は、各検出コイル25でそれぞれ検出した磁界MFの強さを表し、これが磁界測定結果となる。すなわち、磁界測定結果とは、磁界MFの強さを表す誘導電流の大きさに応じた値をいう。
【0040】
操作部18には、術者によって操作される各種操作部材が設けられている。具体的には、操作部18には、2種類の湾曲操作ノブ27と、送気送水ボタン28と、吸引ボタン29と、が設けられている。2種類の湾曲操作ノブ27は、それぞれが操作ワイヤに連結されており、湾曲部22の左右湾曲操作および上下湾曲操作に用いられる。また、操作部18には、処置具挿通用の管路の入口である処置具導入口31が設けられている。
【0041】
ユニバーサルコード19は、内視鏡10を光源装置11に接続するための接続コードである。ユニバーサルコード19は、信号ケーブル32と、ライトガイド33と、流体チューブ(不図示)と、を内包している。また、ユニバーサルコード19の端部には、光源装置11に接続されるコネクタ34が設けられている。
【0042】
コネクタ34を光源装置11に接続することにより、光源装置11から内視鏡10に対して、内視鏡10の運用に必要な電力と制御信号と照明光と気体と水とが供給される。また、先端部23の撮像装置により取得される観察部位の画像信号と、各検出コイル25の検出信号に基づく磁界測定結果とが、内視鏡10から光源装置11へ送信される。
【0043】
コネクタ34は、光源装置11との間で、金属製の信号線等を用いた電気的な有線接続はされず、その代わりに、コネクタ34と光源装置11とは、光通信(すなわち、非接触型通信)により通信可能に接続される。コネクタ34は、内視鏡10と光源装置11の間でやり取りされる制御信号の送受信と、内視鏡10から光源装置11への画像信号および磁界測定結果の送信と、を光通信により行う。コネクタ34には、信号ケーブル32に接続されたレーザダイオード(Laser Diode:以下、LDという)36が設けられている。
【0044】
LD36は、内視鏡10から光源装置11への大容量データの送信、具体的には画像信号および磁界測定結果の送信に用いられる。LD36は、元々は電気信号の形態であった、画像信号および磁界測定結果を光信号の形態で、光源装置11に設けられているフォトダイオード(Photodiode:以下、PDという)37に向けて送信する。
【0045】
なお、図示は省略するが、LD36およびPD37とは別に、コネクタ34および光源装置11の双方には、内視鏡10と光源装置11との間で遣り取りされる小容量の制御信号を光信号化して送受信する光送受信部が設けられている。さらに、コネクタ34には、光源装置11の給電部(不図示)からワイヤレス給電により給電を受ける受電部(不図示)が設けられている。
【0046】
コネクタ34内のライトガイド33は光源装置11内に挿入される。また、コネクタ34内の流体チューブ(不図示)は光源装置11を介して送気送水装置(不図示)に接続される。これにより、光源装置11および送気送水装置から内視鏡10に対して、照明光と気体および水とがそれぞれ供給される。
【0047】
光源装置11は、コネクタ34を介して、内視鏡10のライトガイド33へ照明光を供給すると共に、送気送水装置(不図示)から供給された気体および水を内視鏡10の流体チューブ(不図示)へ供給する。また、光源装置11は、LD36から送信される光信号をPD37で受光し、受光した光信号を電気信号である元の画像信号および磁界測定結果に変換した後、ナビゲーション装置12へ出力する。
【0048】
ハンドマーカ50内には、検出コイル55が設けられている。検出コイル55は、磁界MFを検出する磁界検出素子に相当する。また、検出コイル55は、位置検出用の素子の一例である。検出コイル55は、磁界発生器13から発生した磁界MFの影響を受けることにより、電磁誘導の作用により誘導起電力を生じ、誘導起電力によって誘導電流を発生する。検出コイル55から発生した誘導電流の値は、検出コイル55で検出した磁界MFの強さを表し、これが磁界測定結果となる。すなわち、磁界測定結果とは、磁界MFの強さを表す誘導電流の大きさに応じた値をいう。ハンドマーカ50は、ケーブル53を介して、磁界測定結果をナビゲーション装置12へ出力する。
【0049】
ナビゲーション装置12は、光源装置11から入力された、観察画像41生成用の画像信号をプロセッサ装置14へ出力する。また、ナビゲーション装置12は、磁界発生器13の駆動を制御すると共に、被検者Hの体内の挿入部17の形状およびハンドマーカ50の位置等を検出して、この検出結果を、ナビゲーション画像42を生成するための情報として、プロセッサ装置14へ出力する。
【0050】
このように、本例における内視鏡10は、光源装置11と接続する1つのコネクタ34を持つワンコネクタタイプである。内視鏡10は、コネクタ34が接続される光源装置11を介して、プロセッサ装置14およびナビゲーション装置12のそれぞれと通信可能に接続される。
【0051】
磁界発生器13は、複数の磁界発生素子に相当する複数の発生コイル39を有している。各発生コイル39は、例えば、駆動電流の印加により、直交座標系XYZのXYZ座標軸にそれぞれ対応した方向に交流磁界を発生するX軸コイルとY軸コイルとZ軸コイルとを含む。各発生コイル39は、同じ周波数の磁界MFを発生する。
【0052】
[ハンドマーカの構成]
図3および
図4に示すように、ハンドマーカ50は、マーカ本体51と、装着部52と、を備えている。マーカ本体51には、上述のとおり、位置検出用の素子の一例として、磁界検出用の検出コイル55(
図2参照)が内蔵されている。装着部52は、マーカ本体51を手に装着するために手の指を掛ける部分である。装着部52は、マーカ本体51の第1面51aに設けられている。
【0053】
マーカ本体51は、細長形状であり、より具体的には、全体的に丸みを帯びた芋虫形状をしている。マーカ本体51の長手方向の一端は、ドーム形状となっており、他端にはケーブル53が設けられている。マーカ本体51の全周は角がR面取りされている。R面取りとは、角を丸めて曲面にする加工をいう。
図4に示すように、マーカ本体51の外周面のうち、装着部52が設けられた第1面51aを下面とした場合において、マーカ本体51の上下方向と直交する側方からマーカ本体51を側面視した場合において、マーカ本体51の外形線OLはすべて曲線で形成されている。
【0054】
また、マーカ本体51において、マーカ本体51の外周面のうち装着部52が設けられる第1面51aは、マーカ本体51の長手方向の両端部に対して中央部が装着部52と反対側に凸となった円弧状をしている。さらに、マーカ本体51において、第1面51aと対向する第2面51bは、マーカ本体51の長手方向の両端部に対して中央部が装着部52と反対側に凸となった円弧状をしている。
【0055】
マーカ本体51の第2面51bには、ファンクションボタン54が設けられている。ファンクションボタン54は、例えば表示画面の視点変更等の機能が割り当てられたボタンである。
【0056】
マーカ本体51の長手方向の一端からケーブル53が引き出されている。マーカ本体51には、ケーブル53の一部を覆うケーブルカバー51dが設けられている。ケーブル53の太さは、マーカ本体51の太さよりも細い。ケーブルカバー51dは、マーカ本体51側からケーブル53の引き出し方向に向かって徐々に細くなっている。ケーブルカバー51dの外周面も曲面で形成されており、マーカ本体51の外周面との間で段差が生じないように接続されている。符号51cは、ケーブルカバー51dの径が細くなっている部分で、ケーブルカバー51dにおいて、ケーブル53が引き出されるケーブル引出部である。
【0057】
また、
図4に示すように、マーカ本体51の長手方向の一端において、ケーブル53は、ケーブル53の外周面53aと、マーカ本体51の第1面51aとに間隔Iが生じる態様で取り付けられる。具体的には、本例においては、
図4の側面視におけるマーカ本体51の太さに対してケーブル53の径が小さい。このケーブル53の径方向の断面の中心と、
図4におけるマーカ本体51の上下方向の中心とがほぼ一致するようにケーブル53が取り付けられる。これにより、ケーブル53の外周面53aと第1面51aとの間に間隔Iが生じる。
【0058】
また、マーカ本体51は、例えばプラスチック等の樹脂で形成されている。
【0059】
装着部52は、エラストマーで形成されている。ここで、エラストマーとは、ゴム状の弾性体を意味し、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーおよびゴムを含む。熱硬化性エラストマーには、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが含まれる。
【0060】
本例において、装着部52は、一端がマーカ本体51に固定される固定端となり、かつ、他端が自由端となるJ字状のフックである。装着部52は、フックの基端52aがマーカ本体51の第1面51aに取り付けられており、基端52aが固定端となる。装着部52は、第1部分52bと第2部分52cとを有する。第1部分52bは、基端52aから、第1面51aと略直交する方向に延びる部分を有する。第2部分52cは、第1部分52bと連接され、第1面51aに沿った方向に延びる部分である。本例では、第1部分52bと第2部分52cとの連接部分は湾曲している。また、第2部分52cは、本例では、マーカ本体51の長手方向に沿って延びている。第2部分52cの一端である先端52dはフックの先端であり、自由端となっている。先端52dと第1面51aとの間には、指を挿入するための間隔(
図4の距離L1参照)が空いており、装着部52に対してマーカ本体51の長手方向から指を挿入することが可能となっている。
【0061】
本開示の技術において、J字状とは、固定端の一例である基端52aから自由端の一例である先端52dまでの間に湾曲した部分が形成されることにより、指の周囲の一部を取り囲んで指に引っ掛かる形状を意味する。
【0062】
また、装着部52は被検体と接触する部位なので、装着部52の外周面はすべて曲面で形成され、かつ、マーカ本体51と同様に角がR面取りされていることが好ましい。
【0063】
また、装着部52において、J字状のフックの先端52dと、マーカ本体51の第1面51aとの距離L1は、フックと第1面51aとの間の最大距離L2よりも短くなるように構成されている。つまり、装着部52において、フックの先端52dと第1面51aとの間隔(距離L1に相当)を狭めることで、装着した際にフック内の指が抜けにくくなる。
【0064】
図5に示すように、ハンドマーカ50を装着者である助手MTの手に装着した状態では、マーカ本体51の長手方向は、装着者の手の指が伸びる方向と交差する方向に延びる状態になる。そのため、
図5に示すように、装着者の体の体軸とケーブル53とが交差しない向きにマーカ本体51を手に装着すれば、装着者の体から離れる方向にケーブル53を延ばすことが可能となる。
【0065】
[作用効果]
本実施形態のハンドマーカ50は、被検体である被検者Hの体内の内視鏡10の形状をモニタ15に表示する際に、被検者Hの体外にある助手MT(人の一例)の手の位置を示すマーク42bをモニタ15に表示するために使用されるハンドマーカ50であって、位置検出用の素子の一例である検出コイル55が内蔵されたマーカ本体51と、マーカ本体51を手に装着するために手の指が掛けられる装着部52とを備え、装着部52はエラストマーで形成されている。
【0066】
エラストマーは、プラスチック等の硬質の樹脂と比較して弾性があるため、ハンドマーカ50の装着部52が被検者Hに触れても被検者Hが不快に感じにくく、また装着部52に強い力が加わった場合でも破損しにくい。
【0067】
また、本実施形態のハンドマーカ50は、装着者の手の位置検出用の素子として、磁界検出用の検出コイル55を内蔵している。これにより、磁気を利用して体内の内視鏡10の挿入部17の形状を画像化する内視鏡システム1に組み込むことができる。
【0068】
また、本実施形態のハンドマーカ50のマーカ本体51は、マーカ本体51の外周面のうち、装着部52が設けられた第1面51aを下面とした場合において、
図4に示すように、マーカ本体51の上下方向と直交する側方からマーカ本体51を側面視した場合において、マーカ本体51の外形線OLはすべて曲線で形成されている。そのため、マーカ本体が円筒形状をしており、マーカ本体を側面視した場合の外形線が直線部分を含む矩形状になる従来と比べて、本例のハンドマーカ50は手になじみやすい。また、全体として丸みを帯びた形状となるため、外観の印象として、従来よりも優しい印象を与えることができる。
【0069】
さらに、マーカ本体51の外周面のうち、装着部52が設けられた面を下面とし、マーカ本体51の上下方向と直交する側方からマーカ本体51を側面視した場合において、マーカ本体51の外形線はすべて曲線で形成されている。これにより、ハンドマーカ50のマーカ本体51が汚れた場合に、汚れをふき取り易くなるため、衛生面で有利となる。また、助手MTが、ハンドマーカ50を装着した手を被検者Hと寝台16との間に挿入する際等に、角が無いため、ハンドマーカ50が引っ掛かりにくくなる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0070】
また、ハンドマーカ50のマーカ本体51は細長形状であり、マーカ本体51の外周面のうち装着部52が設けられるマーカ本体51の第1面51aは、マーカ本体51の長手方向の両端部に対して中央部が装着部52と反対側に凸となった円弧状をしている。これにより、装着者がハンドマーカ50を手に装着した際に、手の甲にフィットするため、装着性を向上させることができる。
【0071】
また、ハンドマーカ50のマーカ本体51は細長形状であり、マーカ本体51の外周面のうち装着部52が設けられるマーカ本体51の第1面51aと対向するマーカ本体51の第2面51bは、マーカ本体51の長手方向の両端部に対して中央部が装着部52と反対側に凸となった円弧状をしている。これにより、ハンドマーカ50の下面(すなわち、手に装着する側)と上面(すなわち、下面と対向する面)との識別がし易くなるため、実用性を向上させることができる。
【0072】
また、ハンドマーカ50の装着部52は、一端がマーカ本体51に固定される固定端となり、かつ、他端が自由端となるJ字状のフックである。これにより、フックの第1部分52bを指の間に挟み、フックの内側に指を掛けるだけで、簡単にハンドマーカ50を装着者の手に装着させることができる。
【0073】
また、装着部52はエラストマーで形成されているため、装着者の指が太い場合でも、例えば、装着部52としてのJ字状のフックが指の太さに合わせて広がる。また、このように、J字状のフックが変形する場合でも、エラストマーは硬質の素材と比較して柔らかいため、装着者の指に掛る負荷も少ない。そのため、装着部52をエラストマーで形成することにより、装着者に掛る負荷を抑制しながら、装着者毎に異なる指の太さに柔軟に対応させることができる。
【0074】
なお、装着部が硬質の素材で形成されていたとしても、装着部を大きめに形成すれば、指が太い装着者でも装着可能であるが、次のような問題がある。すなわち、太い指のサイズに合わせて装着部を形成すると、指が細い装着者が装着した場合に装着部のサイズが大きすぎてしまう。この場合、指に対して緩く装着される装着部が指から外れないように、例えば、2本の指で装着部を挟むことにより装着部を保持しなくてはならない。そうすると、用手圧迫の手技がやりにくく、また装着感も悪い。そのため、本開示の技術のように、装着部52をエラストマーで形成することにより、こうした不都合を解消することができる。
【0075】
また、マーカ本体51の外周面のうちフック(すなわち、装着部52)の基端52aが設けられる第1面51aと、フックの先端52dとの距離L1は、フックと第1面51aとの間の最大距離L2よりも短くなるように構成されている。これにより、装着者がフックの内側に指を掛けた際に、ハンドマーカ50が手から外れにくくすることができる。
【0076】
また、ハンドマーカ50のマーカ本体51は細長形状で、マーカ本体51の長手方向に沿ってフックの先端52dが延びている。これにより、
図5に示すように、マーカ本体51の長手方向が装着者の指と直交する方向に延びる状態で、ハンドマーカ50を装着者の手に装着させることができる。
【0077】
後述の
図9に示すように、マーカ本体51の長手方向が装着者の指と平行に延びる状態で装着した場合、装着者が、指を手のひら側に曲げた際に、マーカ本体51の指先側の端部が手から突出した状態になる。この場合、突出したマーカ本体51の指先側の端部が被検者Hに不用意に当たると、被検者Hが不快と感じるおそれがある。
【0078】
これに対し、マーカ本体51の長手方向が装着者の指と直交する方向に延びる状態で装着した場合、装着者が指を手のひら側に曲げても、マーカ本体51の端部が指先側に突出することはい。そのため、被検者Hの不快感が低減される。また、
図9の装着姿勢と比較すると、指を手のひら側に曲げても、マーカ本体51と装着者の手との密着性を維持しやすいため、作業性を向上させることができる。
【0079】
また、
図5に示すように、マーカ本体51の長手方向が装着者の指と直交する方向に延びる状態で、ハンドマーカ50を装着者の手に装着させた場合は、次のようなメリットもある。すなわち、後述の
図9の姿勢で装着した場合は、例えば、装着者が用手圧迫を行う際に、装着者の指が手の甲側に反ると、反った指とマーカ本体51の指先側の端部とが当たりやすく、かつ、手の甲とマーカ本体51の手の甲側の端部とが当たりやすい。
図5の姿勢でハンドマーカ50を装着した場合は、装着者の指が手の甲側に反っても、マーカ本体51の端部は、指および手の甲と当たりにくい。そのため、
図5の姿勢でハンドマーカ50を装着した場合は、
図9の装着姿勢と比較して、装着者に痛みを与えることが低減され、かつ、用手圧迫の手技を邪魔することも少ない。さらに、
図5の姿勢でハンドマーカ50を装着した場合は、
図9の装着姿勢と比較して、装着者が痛みを回避するために、不自然に指に力を籠めたりすることが少なくなるため、被検者Hの負担軽減にもつながる。
【0080】
また、ハンドマーカ50のマーカ本体51は細長形状で、かつケーブル53が接続されており、マーカ本体51の長手方向の一端からケーブル53が引き出されている。これにより、マーカ本体51の長手方向に沿ってケーブル53が引き出されることになるので、ケーブル53からマーカ本体51までが細長の直線状に並び、使用感を向上させることができる。特に、マーカ本体51の長手方向が装着者の指と直交する方向に延びる状態で装着した場合には、装着者の体から離れる方向にケーブル53を延ばすことが可能となるため、より使用感を向上させることができる。
【0081】
また、ハンドマーカ50のマーカ本体51にはケーブル53が接続されており、ケーブル53の外周面53aと、マーカ本体51の第1面51aとに間隔Iが生じる位置から、ケーブル53が引き出されている。
【0082】
これにより、
図6に示すように、ハンドマーカ50を装着した手を例えば寝台16に接触させた状態で、マーカ本体51のケーブル引出部51c側を支点として手の平の傾きを変えた場合でも、ケーブル引出部51cからケーブル53が寝台16に接触するまでの距離を延ばすことができる。
【0083】
そのため、間隔Iを設けずにマーカ本体51の第1面51aとケーブル53の外周面53aが連続する状態でケーブル53を引き出した場合と比較して、ケーブル53の急激な曲げを抑制でき、ケーブル53の破損のおそれを軽減させることができる。
【0084】
「変形例」
本開示の技術は、上述の実施形態と種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0085】
例えば、
図7に示すように、ハンドマーカ50Aの装着部56は、T字状のフックとしてもよい。詳細には、装着部56は、フックの基端56aがマーカ本体51の第1面51aに取り付けられており、基端56aが固定端となる。装着部56は、第1部分56bと、第1部分56bから二股に折れ曲がり、装着者の指が掛けられる2か所の第2部分56cおよび第2部分56dと、を備える。
【0086】
また、
図8に示すように、ハンドマーカ50Bのマーカ本体51に対して装着部52を回転させる回転機構57を備えていてもよい。これにより、装着者は、マーカ本体51の長手方向に沿ってフックである装着部52の先端52dが延びた状態と、マーカ本体51の長手方向と直交する方向に沿ってフックである装着部52の先端52dが延びた状態とを、任意に切り替えることができる。
【0087】
マーカ本体51の長手方向と直交する方向に沿ってフックの先端52dが延びた状態とすれば、
図9に示すように、ハンドマーカ50Bを装着者の手に装着した状態では、マーカ本体51の長手方向が装着者の指と直交する方向に延びる状態になる。また、マーカ本体51の長手方向の一端から引き出されたケーブル53は、装着者の腕に沿って延びる状態となる。
【0088】
また、
図10に示すように、ハンドマーカ50Cのマーカ本体51に、無線通信部58が内蔵されていてもよい。無線通信部58は、ナビゲーション装置12と無線で通信を行うものであり、例えば、無線通信を行うための電気回路で構成される無線通信モジュール及び電波を送受信するアンテナを備えている。このような態様とすることにより、ハンドマーカ50Cとナビゲーション装置12とを接続するケーブルが不要となるため、利便性を向上させることができる。
【0089】
また、内視鏡システム1は、上記の実施形態とは逆に、内視鏡10およびハンドマーカ50Cに磁界発生用のコイルを内蔵し、ナビゲーション装置12に磁界検出器を接続することにより、内視鏡10の挿入部17の挿入状態およびハンドマーカ50の位置の検出を行うようにしてもよい。
【0090】
また、ハンドマーカのマーカ本体に内蔵する位置検出用の素子は、磁界発生用または磁界検出用のコイルでなくてもよい。例えば、屋内における物体の測位技術には、磁気を利用する技術の他に、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを利用する技術などがある。アクセスポイントを利用する場合は、アクセスポイントと通信するアンテナが位置検出用の素子となる。
【0091】
また、被検体として人を例として説明したが、被検体には動物などの人以外の生体も含まれる。
【0092】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0093】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 内視鏡システム
10 内視鏡
11 光源装置
12 ナビゲーション装置
13 磁界発生器
14 プロセッサ装置
15 モニタ
16 寝台
16A 天面
17 挿入部
18 操作部
19 ユニバーサルコード
21 軟性部
22 湾曲部
23 先端部
25 各検出コイル
25 検出コイル
27 湾曲操作ノブ
28 送気送水ボタン
29 吸引ボタン
31 処置具導入口
32 信号ケーブル
33 ライトガイド
34 コネクタ
39 発生コイル
41 観察画像
42 ナビゲーション画像
42a 挿入部画像
42b マーク
50,50A,50B,50Cハンドマーカ
51 マーカ本体
51a 第1面
51b 第2面
51c ケーブル引出部
51d ケーブルカバー
52 装着部
52a 基端
52b 第1部分
52c 第2部分
52d 先端
53 ケーブル
53a 外周面
54 ファンクションボタン
55 検出コイル
56 装着部
56a 基端
56b 第1部分
56c,56d第2部分
57 回転機構
58 無線通信部
H 被検者
I 間隔
L1 距離
L2 距離
MF 磁界
MT 助手
OL 外形線
OP 術者