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特開2022-34845積層構造体、リチウム電池、及び成膜方法
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  • 特開-積層構造体、リチウム電池、及び成膜方法 図1
  • 特開-積層構造体、リチウム電池、及び成膜方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022034845
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】積層構造体、リチウム電池、及び成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20220225BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20220225BHJP
   C30B 29/02 20060101ALI20220225BHJP
   C30B 23/02 20060101ALI20220225BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20220225BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220225BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20220225BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20220225BHJP
【FI】
C23C14/24 H
C23C14/14 D
C30B29/02
C30B23/02
H01M4/134
H01M4/66 A
H01M4/40
H01M4/1395
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020138734
(22)【出願日】2020-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】木本 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊介
【テーマコード(参考)】
4G077
4K029
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
4G077AA03
4G077AB02
4G077AB08
4G077BA01
4G077DA01
4G077ED05
4G077ED06
4G077EH09
4G077HA05
4G077SA04
4G077SA07
4G077SA08
4K029AA02
4K029AA25
4K029BA02
4K029BA43
4K029BB02
4K029CA01
4K029DB03
4K029DB18
4K029DB19
4K029DB21
4K029EA02
4K029EA03
4K029EA08
4K029JA10
5H017AA03
5H017AS10
5H017EE01
5H017HH08
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA16
5H050CB12
5H050DA03
5H050DA07
5H050GA24
5H050GA27
5H050HA13
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を有する積層構造体、リチウム電池、及び表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を形成する成膜方法を提供することにある。
【解決手段】上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層構造体は、基材と、リチウム層とを具備する。上記基材は、銅で構成され、成膜面と、上記成膜面とは反対側の裏面とを有し、上記成膜面の結晶配向面が(200)面よりも(111)面に優先配向している。上記リチウム層は、上記成膜面に設けられる。これにより、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅で構成され、成膜面と、前記成膜面とは反対側の裏面とを有し、前記成膜面の結晶配向面が(200)面よりも(111)面に優先配向した基材と、
前記成膜面に設けられたリチウム層と
を具備する積層構造体。
【請求項2】
請求項1に記載された積層構造体であって、
前記成膜面において、X線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面のピーク値の割合がASTMカードから得られた純銅のX線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面の割合よりも小さい
積層構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載された積層構造体であって、
X線回折強度の(200)面のピーク値を(111)面のピーク値で除算した値が0よりも大きく0.46以下である
積層構造体。
【請求項4】
銅で構成され、成膜面と、前記成膜面とは反対側の裏面とを有し、前記成膜面の結晶配向面が(200)面よりも(111)面に優先配向した基材と、前記成膜面に設けられたリチウム層とを有する負極を具備するリチウム電池。
【請求項5】
銅で構成され、成膜面と、前記成膜面とは反対側の裏面とを有し、前記成膜面の結晶配向面が(200)面よりも(111)面に優先配向した基材を準備し、
前記成膜面にリチウム層を形成する
成膜方法。
【請求項6】
請求項5に記載された成膜方法であって、
前記基材の温度をリチウムの融点(K)の0.65倍以上であり、前記融点よりも低く設定して前記リチウム層を形成する
成膜方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載された成膜方法であって、
1×10-3Pa以下の到達圧力で、5nm/秒以上の成膜速度で前記リチウム層を形成する
成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層構造体、リチウム電池、及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器の進展に伴い、これらの機器に搭載されるリチウム電池(リチウムイオン二次電池)が注目されている。このようなリチウム電池は、製造工程において、リチウム層を基材上に形成する工程が特に重要であり、これまでに種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、チャンバ内でリチウム金属を蒸発させて、飛散した粒子を基材に堆積させることにより、基材上にリチウム層を形成する技術が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-017478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のリチウム層においては、リチウム層の表面の凹凸がはげしくなると、例えば、充放電時におけるリチウムイオンの移動の偏りが起きるため、短絡の原因となるデンドライトが発生しやすくなる。このため、該表面の凹凸は、より抑制されることが望ましい。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を有する積層構造体、リチウム電池、及び表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を形成する成膜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層構造体は、基材と、リチウム層とを具備する。
上記基材は、銅(Cu)で構成され、成膜面と、上記成膜面とは反対側の裏面とを有し、上記成膜面の結晶配向面が(200)面よりも(111)面に優先配向している。
上記リチウム層は、上記成膜面に設けられる。
【0008】
これにより、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【0009】
上記の積層構造体においては、上記成膜面において、X線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面のピーク値の割合がASTMカードから得られた純銅のX線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面の割合よりも小さくてもよい。
【0010】
上記の割合の調整によって、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【0011】
上記の積層構造体においては、X線回折強度の(200)面のピーク値を(111)面のピーク値で除算した値が0よりも大きく0.46以下でもよい。
【0012】
上記の割合の調整によって、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るリチウム電池は、上記積層構造体を具備する。
【0014】
このような積層構造体を備えたリチウム電池においては、充放電の信頼性が向上する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る成膜方法では、上記基材が準備され、その成膜面にリチウム層が形成される。
【0016】
これにより、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【0017】
上記の成膜方法においては、上記基材の温度をリチウムの融点(K)の0.65倍以上であり、上記融点よりも低く設定して上記リチウム層を形成してもよい。
【0018】
上記の温度の調整によって、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【0019】
上記の成膜方法においては、1×10-3Pa以下の到達圧力で、5nm/秒以上の成膜速度で上記リチウム層を形成してもよい。
【0020】
上記の圧力及び成膜速度の調整によって、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を備えた積層構造体が得られる。
【発明の効果】
【0021】
以上述べたように、本発明によれば、表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を有する積層構造体、リチウム電池、及び表面の凹凸がより抑制されたリチウム層を形成する成膜方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る積層構造体を示す模式的断面図である。
図2】図(a)は、参考例に係る基材の成膜面におけるX線回折パターンである。図(a)は、本実施形態に係る基材の成膜面におけるX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、ミラー指数(hkl)が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。
【0024】
図1は、本実施形態に係る積層構造体を示す模式的断面図である。
【0025】
積層構造体1は、基材10と、リチウム層20と、保護層30とを具備する。積層構造体1は、例えば、リチウム電池の負極に適用される。積層構造体1がリチウム電池に適用された場合、基材10は、負極集電体として機能し、リチウム層20は、リチウム源として機能する。積層構造体1が適用されるリチウム電池は、全固体型であってもよく、液体型であってもよい。
【0026】
基材10は、例えば、銅(Cu)で構成される。ここで、銅(Cu)で構成されるとは、純度が99at%以上の銅(Cu)からなることを指す。基材10は、成膜面101と、成膜面101とは反対側の裏面102とを有する。成膜面101の結晶配向面(優先配向面)は、(200)面よりも(111)面に優先配向している。基材10の厚みは、0.1μm以上100μm以下である。
【0027】
基材10は、銅箔でもよく、基板(不図示)の上に形成された銅層でもよい。基材10が銅箔ならば、銅箔は、例えば、電解法、圧延法等の手法で形成される。基材10が銅層ならば、銅層は、例えば、スパッタリング法、蒸着法の手法で形成される。
【0028】
基材10は、巻取式成膜装置で用いられる長尺上の連続フィルムでもよく、枚葉式成膜装置で用いられる平面形状が矩形状の基材でもよい。また、基材10は、フレキシブル性基材でもよく、リジッド性基材でもよい。
【0029】
リチウム層20は、金属リチウム(Li)で構成される。リチウム層20は、基材10の成膜面101に設けられる。リチウム層20は、抵抗加熱式、ランプヒータ、誘導加熱、電子ビーム等のいずれかを蒸着源とする真空蒸着法で形成されてもよく、スパッタリング法によって形成されてもよい。
【0030】
リチウム層20は、大気に暴露されることなく基材10上に設けられる。基材10とは反対側のリチウム層20の表面は、鏡面になっている。リチウム層20の厚みは、0.1μm以上100μm以下である。リチウム層20を形成する成膜装置は、巻取式の成膜装置であってもよく、枚葉式の成膜装置であってもよい。
【0031】
保護層30は、基材10とは反対側のリチウム層20の表面に設けられる。リチウム層20が保護層30で覆われることにより、リチウム層20の表面における自然酸化膜形成が抑制される。保護層30は、抵抗加熱、ランプヒータ、誘導加熱、電子ビーム等のいずれかを蒸着源とする真空蒸着法で形成されたり、スパッタリング法によって形成されたりする。
【0032】
保護層30は、LiCO、LiO、LiN、LiOH、LiF、LiPO、LiPON、LiSiO、LiSiON、SiO、Si、SnO、Sn、C、AlO、Al、TiO、Ti、Pt、In、Ag、Au、Zn、Ga、Ge、LLZO、LLTO、LATP、LAGP、及びPEO(ポリエチレンオキシド)などのいずれかで構成される。保護層30は、積層構造体1が適用されるデバイス用途に応じて適宜除去されてもよい。
【0033】
本実施形態では、成膜面101の結晶配向面が(200)面よりも(111)面に優先配向した銅層が準備され、排気系によって真空容器内が所定の到達圧力に達した後、真空容器内で成膜面101にリチウム層が形成される。
【0034】
図2(a)は、参考例に係る基材の成膜面におけるX線回折パターンである。図2(a)は、本実施形態に係る基材の成膜面におけるX線回折パターンである。これらのX線回折パターンは、θ-2θ法に則って計測されている。基材としては、銅箔を使用している。
【0035】
また、表1に、ASTMカードから得られた純銅粉末の面指数(hkl)に応じた2θ値(degree)、格子面間隔d(Å(オングストローム))、及びピーク強度Iを示す。ピーク強度Iは、(111)面の強度を100としている。
【0036】
【表1】
【0037】
(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、及び(222)面がランダムに配向された純銅粉末では、ASTMカードから得られた純銅のX線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面の割合が0.46であることが分かる。換言すれば、この割合0.46を指標として、0.46よりも大きいか、小さいかを参照することによって、X線回折の被測定面の配向が(111)面に優先配向をしているか、(200)面に優先配向しているかを判断することができる。
【0038】
例えば、基材の成膜面のX線回折測定(θ-2θ法)を実行した場合、X線回折強度の(200)面のピーク値を(111)面のピーク値で除算した値が0よりも大きく0.46以下であれば、その基材の成膜面は、(200)面よりも(111)面が優先配向していると判断できる。
【0039】
図2(a)、(b)を参照すると、図2(a)に示す参考例に係る銅箔の成膜面においては、(111)面に関する回折ピークのほか、(200)面に関する回折ピークも強く検出されている。例えば、参考例においては、X線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面のピーク値の割合が0.84となり、割合0.46よりも高くなった。すなわち、参考例に係る銅箔の成膜面は、(111)面よりも(200)面が優先配向していることが分かった。
【0040】
これに対し、図2(b)に示す本実施形態に係る銅箔の成膜面においては、(111)面に関する回折ピークに比べて、(200)面に関する回折ピークは弱く検出されている。本実施形態においては、X線回折強度の(111)面のピーク値に対する(200)面のピーク値の割合が0.20となり、割合0.46よりも小さくなった。すなわち、本実施形態に係る銅箔の成膜面は、(200)面よりも(111)面が優先配向していることが分かった。
【0041】
このような(200)面に優先配向した銅箔(参考例)と、(111)面に優先配向した銅箔(本実施形態)に、リチウム層20を形成した場合のリチウム層表面の形態がどのように変わるのか確認した。リチウム層20を形成する具体的な成膜条件は、例えば、以下条件である。
【0042】
成膜方法:真空蒸着法
到達圧力:1×10-4Pa以下
成膜速度:5nm/秒
基材温度:300K(ケルビン)
【0043】
上記の成膜条件でリチウム層を形成した場合、成膜面が(200)面に優先配向した銅箔を用いた場合には、リチウム層表面が目視観察で白濁化した。これに対し、成膜面が(111)面に優先配向した銅箔を用いた場合には、リチウム層表面が目視観察で鏡面となった。
【0044】
ここで、リチウム層表面が白濁することは、リチウム層表面が鏡面である場合に比べて表面凹凸が大きいことを意味する。例えば、表面が白濁化したリチウム層を備えた積層構造体をリチウム電池に適用すると、リチウム電池の充放電時にリチウムイオンの移動の偏りが起こるため、短絡の原因となるデンドライトが発生しやすくなる。
【0045】
このため、該充放電時にリチウムイオンの移動の偏りを抑制するには、成膜面101が(111)面に優先配向した基材10と、表面が鏡面となったリチウム層20とを備えた積層構造体1を用いることが好ましい。
【0046】
さらに、本実施形態においては、成膜面101の配向面のほか、成膜時の基材10の温度、成膜開始前の到達圧力、及び成膜速度によって、リチウム層20の表面がどのように変わるのかを確かめた。
【0047】
【表2】
【0048】
表2に、基材10の温度を変えた場合のリチウム層表面の目視観察結果を示す。ここで、基材10としては、成膜面101が(111)面に優先配向した銅箔を用いている。表2において、温度T(基材温度)は、純金属リチウムの融点453Kに対する割合で表されている。すなわち、453Kに表2のT値を掛けた値が基材10の成膜時の温度になる。
【0049】
基材の温度以外の成膜条件は、以下条件である。
成膜方法:真空蒸着法
到達圧力:5×10-4Pa以下
成膜速度:125nm/秒
【0050】
表2に示すように、基材10の温度が0.65よりも低い、0.57または0.60の場合には、リチウム層の表面が白濁化することが分かった。これに対し、基材10の温度を0.65以上に設定された場合には、リチウム層の表面が鏡面になることが分かった。
【0051】
例えば、表面が白濁化した温度、0.57及び0.60では、SEM像観察によって細かい凹凸がリチウム層の表面に現れることが分かった。これに対し、リチウム層表面が鏡面となった、温度0.66、0.71、0.77、及び0.82では、SEM像観察によって、温度0.57及び0.60の場合に比べて、凹凸が少なく、リチウム層の表面が滑らかになることが分かった。
【0052】
このように、成膜面101が(111)面に優先配向した基材10を用いた場合、表面が鏡面となるリチウム層をより確実に形成するには、基材10の温度をリチウムの融点(K)よりも低く、融点(K)の0.65倍以上に設定することが好ましい。なお、基材10の温度をリチウム融点以上に設定すると、成膜面101に付着したリチウムの再蒸発が起きるため、基材10の温度は、リチウム融点より低く設定することが好ましい。
【0053】
基材温度を300K(T:0.66)に設定して、成膜開始前の真空容器内の到達圧力(Pa)を変化させた場合と、成膜速度(nm/秒)を変化させた場合におけるリチウム層の表面の様子を以下に説明する。ここで、基材10としては、成膜面101が(111)面に優先配向した銅箔を用いている。
【0054】
到達圧力が1×10-3Paより大きくなると、リチウム層の表面が白濁化するものの、到達圧力が1×10-3Pa以下ではリチウム層の表面が鏡面になり、到達圧力が7×10-4Pa以下ではリチウム層の表面が明確に鏡面になることが分かった。また、成膜速度が5nm/秒より小さくなると、リチウム層の表面が白濁化するものの、成膜速度が5nm/秒以上では、リチウム層の表面が鏡面になることが分かった。
【0055】
従って、表面が鏡面となったリチウム層20を得るには、1×10-3Pa以下の到達圧力で、5nm/秒以上の成膜速度でリチウム層を形成することが好ましいことが分かった。例えば、表面が鏡面となったリチウム層20をより確実に得るには、1×10-3Pa以下の到達圧力で、43nm/秒以上の成膜速度でリチウム層を形成してもよく、7×10-4Pa以下の到達圧力で、40nm/秒以上の成膜速度でリチウム層を形成してもよく、8×10-5Pa以下の到達圧力で、5nm/秒以上の成膜速度でリチウム層を形成してもよいことが分かった。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…積層構造体
10…基材
20…リチウム層
30…保護層
101…成膜面
102…裏面
図1
図2