(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035590
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】分注装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20220225BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
G01N35/10 A
G01N35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140025
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】木村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】田上 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一郎
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058EA02
2G058ED15
2G058GB10
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】
本発明は、分岐路における気泡を、短時間で排出し、想定外の異常な負荷により、センサチップの端部から液漏れした液体の落下を防止する分注装置を提供する。
【解決手段】
本発明の分注装置は、サンプルを吸引又は吐出するノズルと、ノズルを移動させるサンプル分注機構と、サンプル分注機構に設置されるアームと、サンプル分注機構の内部又はアームの内部に設置される圧力センサと、サンプル分注機構の内部及びアームの内部を通り、液体が流れる配管と、を有し、圧力センサは、両端が配管と接続する流路と流路からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路とを、その内部に有するシリンダと、分岐路の先端に設置されるセンサチップと、センサチップの周囲を覆うように設置される液受け部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを吸引又は吐出するノズルと、前記ノズルを移動させるサンプル分注機構と、前記サンプル分注機構に設置されるアームと、前記サンプル分注機構の内部又は前記アームの内部に設置される圧力センサと、前記サンプル分注機構の内部及び前記アームの内部を通り、液体が流れる配管と、を有し、
前記圧力センサは、両端が前記配管と接続する流路と前記流路からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路とを、その内部に有するシリンダと、前記分岐路の先端に設置されるセンサチップと、前記センサチップの周囲を覆うように設置される液受け部と、を有することを特徴とする分注装置。
【請求項2】
請求項1に記載する分注装置であって、
前記圧力センサは、前記シリンダと前記液受け部との間に、内部空間を形成することを特徴とする分注装置。
【請求項3】
請求項2に記載する分注装置であって、
前記圧力センサは、前記シリンダと前記液受け部との間に、液体は透過しない封止手段を有することを特徴とする分注装置。
【請求項4】
請求項3に記載する分注装置であって、
前記封止手段は、液体は透過せず、空気は透過することを特徴とする分注装置。
【請求項5】
請求項3に記載する分注装置であって、
前記液受け部は、前記内部空間を、外側の内部空間と内側の内部空間とに仕切る仕切り部材を有することを特徴とする分注装置。
【請求項6】
請求項5に記載する分注装置であって、
前記仕切り部材は、前記センサチップの端部よりも内側に形成されることを特徴とする分注装置。
【請求項7】
請求項6に記載する分注装置であって、
前記圧力センサは、前記仕切り部材と前記センサチップとの間に、液体は透過しない封止手段を有することを特徴とする分注装置。
【請求項8】
請求項5に記載する分注装置であって、
前記液受け部は、前記内側の内部空間を大気開放する通気孔が形成されることを特徴とする分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサを有する分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサを有する分注装置に関し、特開2019-086426号公報(特許文献1)がある。
【0003】
特許文献1には、サンプルを吸引又は吐出するサンプルプローブと、サンプルプローブに配管を介して連結され、減圧動作又は加圧動作による配管に充填される内部液体への圧力伝達により、サンプルプローブに液体を吸引又は吐出する第一シリンジポンプと、配管に設置され、配管の圧力を検出する圧力センサと、配管に設置され、配管の液体を吸引すると共に、圧力を開放可能な第三シリンジポンプと、第一シリンジポンプと第三シリンジポンプとの駆動を制御する制御部と、を有する分注装置が記載されている(要約参照)。
【0004】
そして、特許文献1には、圧力センサが、サンプルプローブと第一シリンジポンプとを連結する主管路から直交する方向に分岐する分岐路に、設置されることが記載されている(0030参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、圧力センサを有する分注装置が記載されている。
【0007】
圧力センサを有する分注装置は、圧力センサの内部に滞留する恐れがある気泡を、短時間で排出する必要がある。また、圧力センサの流路から直交する方向に分岐する圧力センサの分岐路(T字構造配管)における気泡を、短時間で排出するためには、分岐路の分岐方向が重力方向下向きとなる分岐路の先端に、圧力センサのセンサチップを設置する必要がある。
【0008】
つまり、圧力センサを有する分注装置では、分岐路の分岐方向が重力方向下向きとなる分岐路の先端に、センサチップを設置することにより、分岐路における気泡を、短時間で排出することができる。
【0009】
一方、このように圧力センサを設置する分注装置では、想定外の異常な負荷により、センサチップの端部から液漏れした液体が落下する恐れがある。しかし、特許文献1には、こうした想定外の異常な負荷により、センサチップの端部から液漏れした液体が落下する恐れについて、記載されていない。
【0010】
そこで、本発明は、分岐路における気泡を、短時間で排出し、想定外の異常な負荷により、センサチップの端部から液漏れした液体の落下を防止する分注装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明の分注装置は、サンプルを吸引又は吐出するノズルと、ノズルを移動させるサンプル分注機構と、サンプル分注機構に設置されるアームと、サンプル分注機構の内部又はアームの内部に設置される圧力センサと、サンプル分注機構の内部及びアームの内部を通り、液体が流れる配管と、を有し、圧力センサは、両端が配管と接続する流路と流路からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路とを、その内部に有するシリンダと、分岐路の先端に設置されるセンサチップと、センサチップの周囲を覆うように設置される液受け部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分岐路における気泡を、短時間で排出し、想定外の異常な負荷により、センサチップの端部から液漏れした液体の落下を防止する分注装置を提供することができる。
【0013】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1に係る分注装置1の基本構成を説明する説明図である。
【
図2】実施例1に係る分注装置1のアーム16の近傍を拡大して説明する説明図である。
【
図3A】実施例1に係る圧力センサ15の基本構造を説明する分解斜視図である。
【
図3B】実施例1に係る圧力センサ15の基本構造を説明する断面図である。
【
図4】比較例1に係る圧力センサ150の気泡を説明する断面図である。
【
図5】比較例1に係る圧力センサ150の液漏れを説明する断面図である。
【
図6】比較例2に係る圧力センサ151の気泡を説明する断面図である。
【
図7】比較例2に係る圧力センサ151の液漏れを説明する断面図である。
【
図8】実施例2に係る圧力センサ152の基本構造を説明する断面図である。
【
図9】実施例3に係る圧力センサ153の基本構造を説明する分解斜視図である。
【
図10】実施例4に係る圧力センサ154の基本構造を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を、図面を使用して説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には同一の符号を付し、説明が重複する場合には、その説明を省略する場合がある。
【実施例0016】
先ず、実施例1に係る分注装置1の基本構成を説明する。
【0017】
図1は、実施例1に係る分注装置1の基本構成を説明する説明図である。
【0018】
分注装置1は、流路系として、ノズル2と、シリンジポンプ4と、電磁弁5と、ギアポンプ6と、システム水タンク7と、を有し、ノズル2と、シリンジポンプ4と、電磁弁5と、ギアポンプ6と、システム水タンク7と、は配管8により、接続される。
【0019】
シリンジポンプ4は、容器9と、プランジャ10と、ボールねじ11と、駆動モータ12と、を有する。
【0020】
ノズル2は、サンプル分注機構13に設置されるアーム16に設置され、サンプル(液体)を吸引又は吐出する。
【0021】
サンプル分注機構13は、アーム16を回転運動又は上下運動させる。なお、サンプル分注機構13は、アーム16を回転運動又は上下運動させるため、モータを有する。つまり、アーム16は、ノズル2に接続し、ノズル2が液体を吸引又は吐出する位置に、ノズル2を移動させるため、回転動作と上下動作とが可能である。
【0022】
また、アーム16の内部であって、配管8に、圧力センサ15が設置される。
【0023】
なお、駆動モータ12、サンプル分注機構13に設置されるモータ、電磁弁5、ギアポンプ6は、制御基板14により制御される。
【0024】
なお、配管8は、サンプル分注機構13の内部及びアーム16の内部を通り、ノズル2とシリンジポンプ4とを接続する。
【0025】
次に、実施例1に係る分注装置1のアーム16の近傍を拡大して説明する。
【0026】
図2は、実施例1に係る分注装置1のアーム16の近傍を拡大して説明する説明図である。そして、
図2は、特に、ノズル2が液体を吸引した直後の、配管8の内部の状態を示す。
【0027】
配管8の内部は、シリンジ圧力伝達用の水である、配管8の内部に充填されるシステム水(液体)21で充填される。そして、システム水21により、シリンジポンプ4による圧力を伝達することにより(シリンジポンプ4による減圧動作又は加圧動作により、配管8の内部に充填されるシステム水21への圧力伝達により)、ノズル2から液体(サンプル)22を吸引又は吐出することができる。
【0028】
ノズル2から液体22を吸引するときは、電磁弁5を閉にした状態で、シリンジポンプ4のプランジャ10を容器9から引く。一方、ノズル2から液体22を吐出するときは、電磁弁5を閉にした状態で、シリンジポンプ4のプランジャ10を容器9に押す。
【0029】
なお、ノズル2から液体22を吸引する場合は、液体22が配管8の内部に充填されるシステム水21と混ざらないように、ノズル2から液体22を吸引する前に、ノズル22から、液体22とシステム水21とを分節するための分節空気23を吸引する。
【0030】
また、ノズル2から液体22を吐出した後には、ノズル2を洗浄する。ノズル2の洗浄は、ノズル2の外壁を洗浄水にて洗い流すと同時に、配管8の内部に充填されるシステム水21をノズル2から押し出し、ノズル2の内壁を洗い流す。
【0031】
なお、システム水21をノズル2から押し出す場合には、電磁弁5を開にし、ギアポンプ6の圧力を使用する。これにより、この場合は、シリンジポンプ4を使用し、システム水21を押す場合よりも、高圧でシステム水21をノズル2から押し出すことができる。
【0032】
また、配管8に設置される圧力センサ15は、分注動作中に発生する恐れがあるノズル2の詰まりや空吸いなどの異常を検知する。なお、ノズル2の詰まりや空吸いなどの異常が発生した場合には、システム水21の圧力が変化する。そこで、圧力センサ15は、システム水21の圧力をモニタリングし、ノズル2の詰まりや空吸いなどの異常を、圧力変化として、検知する。
【0033】
実施例1では、ノズル2の異常を敏感に捉えるため、ノズル2に近い位置である、アーム16の内部に、圧力センサ15を設置する。なお、アーム16は、ほぼ水平方向に設置されるため、アーム16の内部を通る配管8もほぼ水平方向に設置される。
【0034】
また、圧力センサ15の設置位置は、アーム16の内部に限定されず、例えば、サンプル分注機構13の内部に、圧力センサ15を設置してもよい。サンプル分注機構13の内部に、圧力センサ15を設置する場合には、サンプル分注機構13の内部を通る配管8は、ほぼ水平方向に設置される部分(水平部分)を有することが好ましく、圧力センサ15は、この水平部分に設置されることが好ましい。
【0035】
次に、実施例1に係る圧力センサ15の基本構造を説明する。
【0036】
図3Aは、実施例1に係る圧力センサ15の基本構造を説明する分解斜視図であり、
図3Bは、実施例1に係る圧力センサ15の基本構造を説明する、流路33と重力方向とに沿った断面図である。
【0037】
圧力センサ15は、シリンダ32、センサチップ31、液受け部40、を有する。
【0038】
また、シリンダ32の内部には、流路33が形成され、流路33からほぼ直交する方向に、シリンダ32の外面に向かって分岐する分岐路35が形成される。つまり、シリンダ32は、その内部に、ほぼ水平方向に形成される流路33と、流路33から、その分岐方向が、重力方向下向きとなる(分岐路35の終端が、分岐路35の始端よりも、重力方向下側となる)ように分岐する分岐路35と、を有する。
【0039】
ここで、分岐路35の分岐方向は、重力方向と平行でなくともよく、分岐路35の終点が、分岐路35の始端よりも、重力方向下側となればよい。つまり、分岐路35の分岐方向が、重力方向に対して、傾いていてもよい。
【0040】
なお、流路33の両端には、図示しないネジ部が設置され、流路33と配管8とは、継手を介して、接続される。
【0041】
センサチップ31は、分岐路35の終端を塞ぐように、分岐路35の先端に設置され、シリンダ32に接合される。そして、センサチップ31の所定の面(センサ面)が、分岐路35に充填されるシステム水21と接触する。なお、シリンダ32とセンサチップ31との接合方法には、熱拡散接合、熱硬化型接着剤、UV付加型接着剤や低融点ガラスなどを使用する接着がある。
【0042】
センサチップ31は、流路33を流れるシステム水21の流体圧を検知する。
【0043】
センサチップ31は、流路33を流れるシステム水21の圧力が変化すると、センサチップ31の変形部31a(反応部)が歪み、たわみ変形する。そして、センサチップ31は、この歪みを測定することにより、流路33を流れるシステム水21の圧力を測定する。つまり、センサチップ31は、システム水21の圧力をモニタリングし、ノズル2の異常を、圧力変化として、検知する。なお、センサチップ31の歪み測定方法には、歪みゲージや圧電素子などを使用する方法がある。
【0044】
そして、液受け部40は、センサチップ31(分岐路35の分岐方向が重力方向下向きとなるように形成される分岐路35の先端に設置されるセンサチップ31)の周囲を覆うように、シリンダ32に設置される。なお、シリンダ32と液受け部40との設置方法には、接着、ねじ止め、スナップフィットなどがある。
【0045】
なお、「センサチップ31の周囲」とは、センサチップ31がシステム水21に接触する面以外の面の周りを意味する。つまり、センサチップ31のセンサ面以外の5面の周りを意味する。
【0046】
そして、液受け部40は、特に、センサチップ31の端部(センサ部)を覆うように、設置され、液受け部40は、センサチップ31の重力方向下部(重力方向に対して下側)に設置される。
【0047】
なお、液受け部40は、センサチップ31の周囲に内部空間を形成して、設置される。つまり、この内部空間は、液受け部40とシリンダ32との間に形成される。
【0048】
このように、実施例1に係る圧力センサ15は、
(1)流路33と流路33からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路35とを、内部に有するシリンダ32と、
(2)分岐路35の先端に設置されるセンサチップ31と、
(3)センサチップ31の周囲を覆うように設置される液受け部40と、
を有する。
【0049】
これにより、実施例1に係る圧力センサ15は、分岐路35における気泡を、短時間で排出し、想定外の異常な負荷により、センサチップ31の端部から液漏れしたシステム水21の落下を防止することができる。
【0050】
つまり、実施例1によれば、分岐路35における気泡を除去しやすい姿勢(気泡が除去されやすい姿勢:分岐路35の分岐方向が重力方向下向きとなる姿勢)で、圧力センサ15を設置し、想定外の異常な負荷によるセンサチップ31の端部におけるシステム水21の液漏れによる影響を低減することができる。
【0051】
そして、実施例1に係る分注装置1は、
(1)液体22を吸引又は吐出するノズル2と、
(2)ノズル2を移動させるサンプル分注機構13と、
(3)サンプル分注機構13に設置され、ノズル2が設置される(ノズル2に接続する)アーム16と、
(4)サンプル分注機構13の内部又はアーム16の内部に設置される圧力センサ15と、
(5)サンプル分注機構13の内部及びアーム16の内部を通り、システム水21が流れる配管8と、
を有する。
【0052】
そして、圧力センサ15は、
(6)両端が配管8と接続する流路33と流路33からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路35とを、内部に有するシリンダ32と、
(7)分岐路35の先端に設置されるセンサチップ31と、
(8)センサチップ31の周囲を覆うように設置される液受け部40と、
を有する。
【0053】
また、実施例1に係る分注装置1は、システム水21を流す配管8を有し、両端が配管8と接続する流路33と、流路33からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路35と、を形成し、分岐路35の先端に設置され、流路33を流れるシステム水21の流体圧を検知するセンサチップ31と、センサチップ31の周囲を覆うように設置される液受け部40と、を有する。
【0054】
なお、センサチップ31とシリンダ32との接合部は、想定する使用環境における使用に対して、亀裂などの破損がないように、十分な安全率をもって設計される。しかし、想定外の異常な負荷(耐用年数を超過した使用による負荷、仕様温度範囲以外における使用による負荷など)により、センサチップ31とシリンダ32との接合界面(センサチップ31の端部)に、破損が発生する場合があり、破損部からシステム水21の液漏れ(システム水21の落下)が発生する恐れがある。特に、液漏れしたシステム水21が落下すると、他の機器に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0055】
こうした課題に対して、実施例1に係る分注装置1は、分岐路35における気泡を、短時間で排出し、想定外の異常な負荷により、センサチップ31の端部から液漏れしたシステム水21の落下を防止することができる。
【0056】
<比較例1>
次に、比較例1に係る圧力センサ150の気泡を説明する。
【0057】
図4は、比較例1に係る圧力センサ150の気泡を説明する断面図である。
【0058】
比較例1に示す圧力センサ150は、分岐路35を重力方向上向きに形成した場合を示す。
【0059】
この場合、分注装置1を作動させるため、流路33にシステム水21を流し込むと、分岐路35が重力方向上向きに形成されているため、浮力により、気泡500が分岐路35に滞留する。
【0060】
気泡500が分岐路35に滞留すると、システム水21による圧力伝達時に、気泡500が膨張収縮し、センサチップ31で正常に圧力が測定できない恐れがある。
【0061】
次に、比較例1に係る圧力センサ150の液漏れを説明する。
【0062】
図5は、比較例1に係る圧力センサ150の液漏れを説明する断面図である。
【0063】
この場合、分岐路35が重力方向上向きに形成されているため、想定外の異常な負荷により液漏れしたシステム水21aは、シリンジ32の上面に留まるため、液漏れしたシステム水21aの落下の懸念は、比較的小さい。
【0064】
<比較例2>
次に、比較例2に係る圧力センサ151の気泡を説明する。
【0065】
図6は、比較例2に係る圧力センサ151の気泡を説明する断面図である。
【0066】
比較例2に示す圧力センサ151は、分岐路35を重力方向下向きに形成した場合を示す。
【0067】
この場合、分注装置1を作動させるため、流路33にシステム水21を流し込むと、分岐路35が重力方向下向きに形成されているため、浮力により、気泡500が分岐路35から、押し上げられ、気泡500は分岐路35に滞留しない。
【0068】
従って、気泡500の滞留を防止するためには、分岐路35を重力方向下向きに形成することが好ましい。
【0069】
次に、比較例2に係る圧力センサ151の液漏れを説明する。
【0070】
図7は、比較例2に係る圧力センサ151の液漏れを説明する断面図である。
【0071】
この場合、分岐路35が重力方向下向きに形成されているため、想定外の異常な負荷により液漏れしたシステム水21aは、シリンジ32の下面から、落下する恐れがある。
【0072】
<実施例1に係る圧力センサ15>
このように、実施例1に係る圧力センサ15は、比較例1の圧力センサ150及び比較例2の圧力センサ151における課題を鑑み、その内部に、流路33と流路33からその分岐方向が重力方向下向きとなるように分岐する分岐路35とを有するシリンダ32と、分岐路35の先端に設置されるセンサチップ31と、センサチップ31の周囲を覆うように設置される液受け部40と、を有する。
【0073】
これにより、実施例1に係る圧力センサ15は、分岐路35における気泡500の滞留を防止し、想定外の異常な負荷により、センサチップ31の端部から(シリンジ32の下面から)液漏れしたシステム水21aの落下を防止することができる。
【0074】
このように、実施例1に係る圧力センサ15は、分岐路35における気泡500の滞留及び想定外の異常な負荷によるシステム水21の液漏れを同時に防止することができる。
実施例2に係る圧力センサ152は、実施例1に係る圧力センサ15に比較して、シリンダ32と液受け部40との設置部が相違する。つまり、実施例2に係る圧力センサ152は、シリンダ32と液受け部40との間の設置部に、封止手段41を有する。
これにより、液受け部40の内部空間は封止される。このため、想定外の異常な負荷により、センサチップ31の端部から液漏れしたシステム水21の落下を防止することができる。
更に、液受け部40の内部空間が、大気圧と同じ圧力となるため、センサチップ31は、液受け部40の内部空間の圧力変化の影響を受けることがなく、センサ特性を変化させることがない。