(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035627
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20220225BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H01L25/08 H
H01L25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140090
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡部 敏幸
(57)【要約】
【課題】短絡を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを備え、前記第1主面に凹部を含むリードフレームと、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面とを備え、前記第4主面を前記凹部の底面に対向させて前記凹部内に配置された中継基板と、前記第3主面の上に設けられた第1半導体チップと、前記リードフレームと前記中継基板とを接続する第1導電材と、前記中継基板と前記第1半導体チップとを接続する第2導電材と、を有し、前記第2主面と前記第3主面との間の第2距離は、前記第2主面と前記第1主面との間の第1距離以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを備え、前記第1主面に凹部を含むリードフレームと、
第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面とを備え、前記第4主面を前記凹部の底面に対向させて前記凹部内に配置された中継基板と、
前記第3主面の上に設けられた第1半導体チップと、
前記リードフレームと前記中継基板とを接続する第1導電材と、
前記中継基板と前記第1半導体チップとを接続する第2導電材と、
を有し、
前記第2主面と前記第3主面との間の第2距離は、前記第2主面と前記第1主面との間の第1距離以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電材は、ボンディングワイヤであり、
前記第2導電材は、ボンディングワイヤ又は導電バンプであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3主面の上方に設けられた第2半導体チップと、
前記中継基板と前記第2半導体チップとを接続する第3導電材と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3導電材は、ボンディングワイヤであることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとを接続する第4導電材を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップの上に設けられていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体チップは、前記中継基板の上に、前記第1半導体チップと並んで設けられていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記中継基板は、配線基板を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記中継基板は、フレキシブル配線基板を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを備え、前記第1主面に凹部を含むリードフレームを作成する工程と、
第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面とを備える中継基板を、前記第4主面を前記凹部の底面に対向させて前記凹部内に配置する工程と、
前記第3主面の上に第1半導体チップを設ける工程と、
前記リードフレームと前記中継基板とを接続する第1導電材を設ける工程と、
前記中継基板と前記第1半導体チップとを接続する第2導電材を設ける工程と、
を有し、
前記第2主面と前記第3主面との間の第2距離は、前記第2主面と前記第1主面との間の第1距離以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイパッドの上に半導体素子搭載基板が設けられ、半導体素子搭載基板の上に半導体素子が搭載されるリードフレームが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリードフレームを用いて製造した半導体装置では、内部で短絡が生じることがある。
【0005】
本開示は、短絡を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを備え、前記第1主面に凹部を含むリードフレームと、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面とを備え、前記第4主面を前記凹部の底面に対向させて前記凹部内に配置された中継基板と、前記第3主面の上に設けられた第1半導体チップと、前記リードフレームと前記中継基板とを接続する第1導電材と、前記中継基板と前記第1半導体チップとを接続する第2導電材と、を有し、前記第2主面と前記第3主面との間の第2距離は、前記第2主面と前記第1主面との間の第1距離以下である半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、短絡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図4】リードフレーム集合体のレイアウトを示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図11】第2例に係る中継基板の形成方法を示す断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図13】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図14】第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明者は、従来の半導体装置において内部で短絡が生じる原因を究明すべく鋭意検討を行った。この結果、リードフレームと半導体素子とを接続する一部のボンディングワイヤが樹脂封止の際に封止樹脂の圧力によって移動し、他のボンディングワイヤに接触していることが判明した。また、このようなボンディングワイヤの移動はボンディングワイヤを短くすることで生じにくくなることも判明した。
【0010】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本開示においては、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。なお、便宜上、Z1-Z2方向を上下方向とする。また、平面視とは、Z1側から対象物を見ることをいう。但し、半導体装置及びリードフレームは天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。
【0011】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は半導体装置に関する。
【0012】
[半導体装置の構造]
まず、半導体装置の構造について説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2は、
図1中のII-II線に沿った断面図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、リードフレーム10と、中継基板20と、第1半導体チップ30と、第2半導体チップ40とを有する。なお、
図1では、樹脂部70を透過してリードフレーム10、中継基板20、第1半導体チップ30及び第2半導体チップ40等を図示している。
【0014】
リードフレーム10は、上面10Aと、上面10Aとは反対側の下面10Bとを備える。平面視で、リードフレーム10は、平面形状が矩形のダイパッド16と、ダイパッド16の周囲に配置された複数のリード17とを有する。例えば、リード17の平面形状は矩形状であり、リード17は立方体状である。ダイパッド16の下面と、リード17の下面とが面一になっている。ダイパッド16の下面及びリード17の下面は、リードフレーム10の下面10Bを構成する。また、ダイパッド16の上面には凹部11が形成されている。ダイパッド16の上面のうち凹部が形成されていない部分の上面と、リード17の上面とが面一になっており、ダイパッド16の上面のうち凹部が形成されていない部分の上面及びリード17の上面は、リードフレーム10の上面10Aを構成する。リード17の上面に金属膜13が形成され、ダイパッド16の上面で凹部11の周囲に金属膜14が形成されている。ダイパッド16及びリード17の下面には金属膜15が形成されている。
図1では、金属膜13及び14の図示を省略している。
【0015】
リードフレーム10の材料としては、例えば、銅(Cu)、Cuをベースにした合金、鉄-ニッケル(Fe-Ni)、Fe-Niをベースにした合金、又はステンレス等を用いることができる。金属膜13、14及び15としては、例えば、Ag膜、Au膜、Ni/Au膜(リードフレーム10側からNi膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)、Ni/Pd/Au膜(リードフレーム10側からNi膜とPd膜とAu膜をこの順番で積膜した金属膜)等を用いることができる。例えば、リードフレーム10の凹部11が形成されていない部分の厚さは、150μm~300μmであり、凹部11の深さは、100μm~250μmである。
【0016】
中継基板20は、上面20Aと、上面20Aとは反対側の下面20Bとを備える。中継基板20の厚さは、リード17の厚さよりも小さく、ダイパッド16の凹部11が形成されていない部分の厚さよりも小さい。中継基板20は凹部11内に配置されている。中継基板20は上面20Aに配線21を有する。中継基板20は下面20Bが凹部11の底面11Aに対向するように配置されている。底面11Aと下面20Bとが接着剤61により接合されている。接着剤61としては、例えばダイアタッチフィルム、Agペースト等が用いられる。
図1では、配線21の図示を省略している。
【0017】
中継基板20の上面20Aの上に第1半導体チップ30が設けられている。第1半導体チップ30は上面に電極31を有する。中継基板20の上面20Aと第1半導体チップ30の下面とが接着剤62により接合されている。接着剤62としては、ダイアタッチフィルム、Agペースト等が用いられる。
図1では、電極31の図示を省略している。
【0018】
第1半導体チップ30の上に第2半導体チップ40が設けられている。第2半導体チップ40は上面に電極41を有する。第1半導体チップ30の上面と第2半導体チップの下面とが接着剤63により接合されている。接着剤63としては、ダイアタッチフィルム、Agペースト等が用いられる。
図1では、電極41の図示を省略している。
【0019】
半導体装置1は、第1ボンディングワイヤ51と、第2ボンディングワイヤ52と、第3ボンディングワイヤ53と、第4ボンディングワイヤ54とを有する。第1ボンディングワイヤ51は、リードフレーム10の金属膜13又は14と中継基板20の配線21とを接続する。第2ボンディングワイヤ52は、中継基板20の配線21と第1半導体チップ30の電極31とを接続する。第3ボンディングワイヤ53は、中継基板20の配線21と第2半導体チップ40の電極41とを接続する。第4ボンディングワイヤ54は、第1半導体チップ30の電極31と第2半導体チップ40の電極41とを接続する。1本又は複数本の第1ボンディングワイヤ51は、リード17の金属膜13と中継基板20の配線21とを接続し、他の1本又は複数本の第1ボンディングワイヤ51は、ダイパッド16の金属膜14と中継基板20の配線21とを接続する。半導体装置1は、リードフレーム10の金属膜13又は14と第1半導体チップ30の電極31とを接続するボンディングワイヤを含んでもよい。第1ボンディングワイヤ51は第1導電材の一例であり、第2ボンディングワイヤ52は第2導電材の一例であり、第3ボンディングワイヤ53は第3導電材の一例であり、第4ボンディングワイヤ54は第4導電材の一例である。ボンディングワイヤとしては、例えば、銅、金等の金属のワイヤが用いられる。
【0020】
第1ボンディングワイヤ51には、例えば、リード17の金属膜13と中継基板20の配線21とを接続する第1ボンディングワイヤ51Aと、ダイパッド16の金属膜14と中継基板20の配線21とを接続する第1ボンディングワイヤ51Bとが含まれる。例えば、第1ボンディングワイヤ51Aは信号の伝送に用いられ、第1ボンディングワイヤ51Bは接地電位の印加に用いられる。
【0021】
半導体装置1は、中継基板20、第1半導体チップ30、第2半導体チップ40、第1ボンディングワイヤ51、第2ボンディングワイヤ52、第3ボンディングワイヤ53及び第4ボンディングワイヤ54を封止する樹脂部70を有する。樹脂部70としては、例えば、エポキシ樹脂にフィラーを含有させた所謂モールド樹脂等が用いられる。
【0022】
ダイパッド16の下面と樹脂部70の下面とが面一になっており、ダイパッド16の下面が樹脂部70の下面から露出している。また、ダイパッド16の上面及び側面は樹脂部70により被覆されている。
【0023】
リード17の下面と樹脂部70の下面とが面一になっており、リード17の下面が樹脂部70の下面から露出している。また、リード17の上面は樹脂部70により被覆されている。リード17の側面のうち、ダイパッド16に対向する側面は樹脂部70により被覆され、この側面とは反対側の側面は樹脂部70の側面から露出している。また、リード17の側面のうち、ダイパッド16に対向する側面とこの側面とは反対側の側面との間の側面は樹脂部70により被覆されている。
【0024】
ここで、中継基板20の例について説明する。
図3は、中継基板20の例を示す断面図である。
【0025】
図3(a)に示すように、第1例に係る中継基板201では、絶縁性の基材22の上に、銅、銅合金等の金属を用いて配線21が形成されている。例えば、基材22の材料はガラスエポキシ樹脂である。すなわち、基材22と配線21とから片面配線基板が構成されている。基材22の材料は、半導体装置1の用途に応じて選択できる。
【0026】
図3(b)に示すように、第2例に係る中継基板202では、テープ基材81の上に、銅、銅合金等の金属を用いて配線21が形成されている。すなわち、テープ基材81と配線21とからTAB(tape automated bonding)テープ等のフレキシブル配線基板が構成されている。テープ基材81は下面に設けられた接着層82によりキャリア83に接合されている。例えば、テープ基材81の材料はポリイミド等の絶縁樹脂であり、キャリア83の材料は銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金等の金属である。第2例によれば、第1例よりも中継基板20を薄く構成しやすい。また、キャリア83をヒートシンクとして機能させることも可能である。キャリア83の材料が絶縁体であってもよい。なお、キャリア83の材料が導電性を有する場合、平面視で、キャリア83はテープ基材81の縁の内側にあることが好ましい。これは、詳細は後述するが、製造時におけるキャリア83と配線21との間の絶縁信頼性の低下を抑制するためである。
【0027】
中継基板20として、多層配線構造のコアレス基板等のモジュール基板が用いられてもよい。
【0028】
リードフレーム10の下面10Bと中継基板20の上面20Aとの間の距離L2が、リードフレーム10の下面10Bと上面10Aとの間の距離L1以下である。距離L2が距離L1と等しくてもよい。上面10Aは第1主面の一例であり、下面10Bは第2主面の一例であり、上面20Aは第3主面の一例であり、下面10Bは第4主面の一例である。
【0029】
このように、第1実施形態に係る半導体装置1では、中継基板20が凹部11内に配置され、リードフレーム10の下面10Bと中継基板20の上面20Aとの間の距離L2が、リードフレーム10の下面10Bと上面10Aとの間の距離L1以下である。また、第1半導体チップ30及び第2半導体チップ40が中継基板20の上に設けられている。このため、ボンディングワイヤ51~54として短いボンディングワイヤを用いることができる。例えば、距離L2が距離L1超であると、リードフレーム10と中継基板20とを接続する第1ボンディングワイヤ51が長くなり、その分だけ第1ボンディングワイヤ51が移動しやすくなる。本実施形態では、距離L2が距離L1以下であるため、第1ボンディングワイヤ51の移動を抑制できる。また、リードフレーム10と第2半導体チップ40とを1本のボンディングワイヤで接続しようとする場合、当該ボンディングワイヤは長くなりやすいが、第1実施形態では、第1ボンディングワイヤ51、配線21及び第3ボンディングワイヤ53を介してリードフレーム10と第2半導体チップ40とを互いに接続することができる。このため、長くなりやすいボンディングワイヤを用いる必要がなく、半導体装置1の内部での短絡を抑制しやすい。なお、距離L1に金属膜14の厚さが含まれると共に、距離L2に配線21の厚さが含まれ、距離L2が距離L1以下になっていてもよい。
【0030】
更に、距離L2が距離L1以下であるため、半導体装置1の厚さ(Z1-Z2方向の寸法)を小さくすることができる。
【0031】
[半導体装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。この方法では、複数のリードフレーム10を含むリードフレーム集合体を形成し、その後に中継基板20をリードフレーム10の凹部11に配置し、中継基板20の上に第1半導体チップ30及び第2半導体チップ40を設ける。
図4は、リードフレーム集合体のレイアウトを示す図である。
図5~
図10は、第1実施形態に係る半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0032】
まず、リードフレーム集合体90の平面構成について説明する。
図4に示すように、リードフレーム集合体90は、平面視略矩形状の基板フレーム91に、複数のリードフレーム領域群92が離間して配列された構造を有している。
【0033】
図4に示す例では、3つのリードフレーム領域群92を1列に配列しているが、配列するリードフレーム領域群92の数は任意に決定することができる。また、リードフレーム領域群92を複数列に配列しても構わない。また、
図4に示す例では、互いに隣り合うリードフレーム領域群92の間にスリット91Xが設けられているが、これは必須ではない。
【0034】
リードフレーム領域群92には、複数のリードフレーム領域93がマトリクス状に配列されている。リードフレーム領域93は、最終的に第1半導体チップ30及び第2半導体チップ40が搭載され、切断位置C1で切断されて、個々のリードフレーム10となる領域である。なお、
図4に示す例では、リードフレーム領域群92が8行8列に配列されたリードフレーム領域93から構成されているが、リードフレーム領域群92を構成するリードフレーム領域93の数は任意に決定することができる。
【0035】
リードフレーム集合体90は、このような平面構成を備える。
【0036】
リードフレーム集合体90の形成に際して、まず、
図5(a)に示すように、金属板101を準備する。金属板101は、上面101Aと、上面101Aとは反対側の下面101Bとを備える。金属板101は、最終的にリードフレーム10となる部材であり、上面101Aがリードフレーム10の上面10Aとなり、下面101Bがリードフレーム10の下面10Bとなる。金属板101の材料としては、例えば、銅(Cu)、Cuをベースにした合金、鉄-ニッケル(Fe-Ni)、Fe-Niをベースにした合金、又はステンレス等を用いることができる。
【0037】
次に、
図5(b)に示すように、金属板101の上面101Aの全面に感光性のレジスト層111を形成し、金属板101の下面101Bの全面に感光性のレジスト層112を形成する。レジスト層111及び112は、例えばレジスト液の塗布及び乾燥により形成してもよく、レジストフィルムの貼り付けにより形成してもよい。レジスト層111及び112としては、例えば、ドライフィルムレジストや電着レジスト等を用いることができる。
【0038】
次に、
図5(c)に示すように、レジスト層111の露光及び現像により、レジスト層111に開口部111X及び111Yを形成し、レジスト層112の露光及び現像により、レジスト層112に開口部112Yを形成する。開口部111Xは、凹部11を形成する予定の領域に形成される。開口部111Y及び112Yは、ダイパッド16とリード17とを互いから離間させる貫通孔を形成する予定の領域に形成される。
【0039】
次に、
図6(a)に示すように、開口部111X及び111Y内に露出する金属板101を上面101A側からハーフエッチングすると共に、開口部112Y内に露出する金属板101を下面101B側からハーフエッチングする。これにより、上面101Aに凹部11が形成され、金属板101を貫通する貫通孔12が形成される。凹部11は底面11Aを有する。金属板101が銅である場合には、金属板101のハーフエッチングには、例えば、塩化第二鉄又は塩化第二銅の水溶液を用いることができる。
【0040】
次に、
図6(b)に示すように、レジスト層111及び112を剥離液により剥離する。
【0041】
次に、
図6(c)に示すように、金属板101の上面101A及び下面101Bと、凹部11の側壁面及び底面と、貫通孔12の側壁面とに感光性のめっきレジスト層113を形成する。
【0042】
次に、
図7(a)に示すように、めっきレジスト層113の露光及び現像により、めっきレジスト層113に開口部113X及び113Yを形成する。開口部113Xは上面101Aの金属膜13を形成する予定の領域に形成される。開口部113Yは上面101Aの金属膜14を形成する予定の領域に形成される。
【0043】
次に、
図7(b)に示すように、開口部113X内に金属膜13を形成し、開口部113Y内に金属膜14を形成する。金属膜13及び14は、例えば、金属板101を給電経路とする電解めっき法により形成できる。
【0044】
次に、
図7(c)に示すように、レジスト層113を剥離液により剥離する。
【0045】
このようにして、リードフレーム集合体90が形成される。
【0046】
次に、
図8(a)に示すように、中継基板20を凹部11内に配置する。中継基板20は下面20Bが凹部11の底面11Aに対向するように配置する。このとき、底面11Aと下面20Bとを接着剤61により接合する。接着剤61としては、ダイアタッチフィルム、Agペースト等が用いられる。
【0047】
次に、
図8(b)に示すように、中継基板20の上に第1半導体チップ30を設ける。第1半導体チップ30は上面に電極31を有する。このとき、中継基板20の上面20Aと第1半導体チップ30の下面とを接着剤62により接合する。接着剤62としては、ダイアタッチフィルム、Agペースト等が用いられる。
【0048】
更に、同じく
図8(b)に示すように、第1半導体チップ30の上に第2半導体チップ40を設ける。第2半導体チップ40は上面に電極41を有する。このとき、第1半導体チップ30の上面と第2半導体チップの下面とを接着剤63により接合する。接着剤63としては、ダイアタッチフィルム、Agペースト等が用いられる。
【0049】
次に、
図9(a)に示すように、第1ボンディングワイヤ51(51A及び51B)と、第2ボンディングワイヤ52と、第3ボンディングワイヤ53と、第4ボンディングワイヤ54とを形成する。第1ボンディングワイヤ51は、リードフレーム集合体90の金属膜13又は14と中継基板20の配線21とを接続する。第2ボンディングワイヤ52は、中継基板20の配線21と第1半導体チップ30の電極31とを接続する。第3ボンディングワイヤ53は、中継基板20の配線21と第2半導体チップ40の電極41とを接続する。第4ボンディングワイヤ54は、第1半導体チップ30の電極31と第2半導体チップ40の電極41とを接続する。更に、リードフレーム10の金属膜13又は14と第1半導体チップ30の電極31とを接続するボンディングワイヤを形成してもよい。
【0050】
次に、
図9(b)に示すように、中継基板20、第1半導体チップ30、第2半導体チップ40、第1ボンディングワイヤ51、第2ボンディングワイヤ52、第3ボンディングワイヤ53及び第4ボンディングワイヤ54を封止する樹脂部70を形成する。金属板101の下面101Bが樹脂部70の下面から露出するようにして、金属板101も樹脂部70により封止される。例えば、金属板101は、その下面101Bと樹脂部70の下面とが面一になるように、樹脂部70により封止される。樹脂部70としては、例えば、エポキシ樹脂にフィラーを含有させた所謂モールド樹脂等を用いることができる。樹脂部70は、例えば、トランスファーモールド法やコンプレッションモールド法等により形成できる。
【0051】
次に、
図10(a)に示すように、金属板101の下面101Bに金属膜15を形成する。金属膜15は、例えば、金属板101を給電経路とする電解めっき法により形成できる。
【0052】
次に、
図10(b)に示すように、
図10(a)に示す構造体を切断位置C1で切断して個片化することにより、複数の半導体装置1が完成する。金属板101からリードフレーム10が得られる。切断は、例えば、スライサー等により実行できる。
【0053】
なお、半導体装置1を1つの製品として流通させてもよいし、リードフレーム集合体90を1つの製品として流通させてもよい。また、
図8(a)に示すようなリードフレーム集合体90に中継基板20が搭載された状態の中継基板搭載リードフレームを1つの製品として流通させてもよい。
【0054】
ここで、第2例に係る中継基板202の形成方法について説明する。
図11は、第2例に係る中継基板202の形成方法を示す断面図である。
【0055】
まず、
図11(a)に示すように、複数のテープ基材81が集合したテープ基材181と、テープ基材181の上面に形成された配線21とを備えるTABテープ等のフレキシブル基板を準備する。テープ基材181は、後に切断位置C2で切断されてテープ基材81となる。
【0056】
次に、
図11(b)に示すように、テープ基材181の下面に接着層182を形成する。
【0057】
次に、
図11(c)に示すように、テープ基材181のテープ基材81となる領域ごとにキャリア83を接着層182に貼り付ける。
【0058】
次に、
図11(d)に示すように、
図11(c)に示す構造体を切断位置C2で切断して個片化することにより、複数の中継基板202が完成する。テープ基材181からテープ基材81が得られ、接着層182から接着層82が得られる。
【0059】
図11(c)に示す工程では、テープ基材181のテープ基材81となる領域ごとにキャリア83を貼り付けているが、キャリア83が集合して構成された1つのキャリア集合体を貼り付け、
図11(d)に示す工程においてキャリア集合体を含む構造体を切断位置C2で切断してもよい。ただし、キャリア集合体が金属製である場合、キャリア集合体の切断時に金属バリが生じたり、金属の切断粉がテープ基材81の側面に付着したりするおそれがある。そして、金属バリや切断粉により、キャリア83と配線21とがショートするおそれがある。このため、キャリア83が金属製である場合は、絶縁信頼性の低下を抑制するために、キャリア83をテープ基材81となる領域ごとに準備し、その切断を行わないことが好ましい。そして、この場合には、結果的に、平面視で、キャリア83がテープ基材81の縁の内側に位置するようになる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として第1半導体チップ及び第2半導体チップの配置の点で第1実施形態と相違する。
図12は、第2実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
図13は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図13は、
図12中のXIII-XIII線に沿った断面図である。なお、
図12では、樹脂部70を透過してリードフレーム10、中継基板20、第1半導体チップ30及び第2半導体チップ40等を図示している。また、
図12では、配線21等の図示を省略している。
【0061】
図12及び
図13に示すように、第2実施形態に係る半導体装置2では、第2半導体チップ40が中継基板20の上に第1半導体チップ30と並んで設けられている。中継基板20の上面20Aと第2半導体チップ40の下面とが接着剤63により接合されている。
【0062】
半導体装置2は、第1ボンディングワイヤ51と、第2ボンディングワイヤ52と、第3ボンディングワイヤ53と、第4ボンディングワイヤ54とを有する。第1ボンディングワイヤ51は、リードフレーム10の金属膜13又は14と中継基板20の配線21とを接続する。第2ボンディングワイヤ52は、中継基板20の配線21と第1半導体チップ30の電極31とを接続する。第3ボンディングワイヤ53は、中継基板20の配線21と第2半導体チップ40の電極41とを接続する。第4ボンディングワイヤ54は、第1半導体チップ30の電極31と第2半導体チップ40の電極41とを接続する。
【0063】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0064】
例えば、平面視で、リードフレーム10は、平面形状が矩形のダイパッド16と、ダイパッド16の周囲に配置された複数のリード17とを有する。例えば、リード17の平面形状は矩形状であり、リード17は立方体状である。ダイパッド16の下面と、リード17の下面とが面一になっている。ダイパッド16の下面及びリード17の下面は、リードフレーム10の下面10Bを構成する。また、ダイパッド16の上面には凹部11が形成されている。ダイパッド16の上面のうち凹部が形成されていない部分の上面と、リード17の上面とが面一になっており、ダイパッド16の上面のうち凹部が形成されていない部分の上面及びリード17の上面は、リードフレーム10の上面10Aを構成する。
【0065】
ダイパッド16の下面と樹脂部70の下面とが面一になっており、ダイパッド16の下面が樹脂部70の下面から露出している。また、ダイパッド16の上面及び側面は樹脂部70により被覆されている。
【0066】
リード17の下面と樹脂部70の下面とが面一になっており、リード17の下面が樹脂部70の下面から露出している。また、リード17の上面は樹脂部70により被覆されている。リード17の側面のうち、ダイパッド16に対向する側面は樹脂部70により被覆され、この側面とは反対側の側面は樹脂部70の側面から露出している。また、リード17の側面のうち、ダイパッド16に対向する側面とこの側面とは反対側の側面との間の側面は樹脂部70により被覆されている。
【0067】
第2実施形態においても、ボンディングワイヤ51~54として短いボンディングワイヤを用いることができる。例えば、本実施形態でも、距離L2が距離L1以下であるため、第1ボンディングワイヤ51の移動を抑制できる。また、第2半導体チップ40の電極41に電気的に接続されるリード17と第2半導体チップ40との間に第1半導体チップ30が位置する場合でも、第1ボンディングワイヤ51、配線21及び第3ボンディングワイヤ53を介してリードフレーム10と第2半導体チップ40とを互いに接続することができる。つまり、第1半導体チップ30を跨ぎ、長くなりやすいボンディングワイヤを用いる必要がなく、半導体装置2の内部での短絡を抑制しやすい。
【0068】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として第1半導体チップの実装の形態の点で第1実施形態と相違する。
図14は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0069】
図14に示すように、第3実施形態に係る半導体装置3では、第1半導体チップ30が電極31に代えて電極331を有する。第1半導体チップ30は、電極331が形成された面が中継基板20の上面20Aに対向するようにして中継基板20に実装されている。すなわち、第1半導体チップ30は中継基板20にフリップチップ実装されている。配線21と電極331との間には導電バンプ352が設けられており、導電バンプ352により、配線21と電極331とが互いに接続されている。導電バンプ352は第2導電材の一例である。導電バンプ352としては、例えばはんだバンプが用いられる。
【0070】
第2半導体チップ40は、第1半導体チップ30の電極331が設けられた面とは反対側の面の上に設けられている。第1半導体チップ30と第2半導体チップ40とが接着剤63により接合されている。
【0071】
第1実施形態と同様に、半導体装置2は、第1ボンディングワイヤ51と、第3ボンディングワイヤ53とを有する。中継基板20の配線21と第1半導体チップ30の電極31とを接続する第2ボンディングワイヤ52は必要とされない。第1半導体チップ30の電極31と第2半導体チップ40の電極41とを接続する第4ボンディングワイヤ54も必要とされない。
【0072】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0073】
例えば、平面視で、リードフレーム10は、平面形状が矩形のダイパッド16と、ダイパッド16の周囲に配置された複数のリード17とを有する。例えば、リード17の平面形状は矩形状であり、リード17は立方体状である。ダイパッド16の下面と、リード17の下面とが面一になっている。ダイパッド16の下面及びリード17の下面は、リードフレーム10の下面10Bを構成する。また、ダイパッド16の上面には凹部11が形成されている。ダイパッド16の上面のうち凹部が形成されていない部分の上面と、リード17の上面とが面一になっており、ダイパッド16の上面のうち凹部が形成されていない部分の上面及びリード17の上面は、リードフレーム10の上面10Aを構成する。
【0074】
ダイパッド16の下面と樹脂部70の下面とが面一になっており、ダイパッド16の下面が樹脂部70の下面から露出している。また、ダイパッド16の上面及び側面は樹脂部70により被覆されている。
【0075】
リード17の下面と樹脂部70の下面とが面一になっており、リード17の下面が樹脂部70の下面から露出している。また、リード17の上面は樹脂部70により被覆されている。リード17の側面のうち、ダイパッド16に対向する側面は樹脂部70により被覆され、この側面とは反対側の側面は樹脂部70の側面から露出している。また、リード17の側面のうち、ダイパッド16に対向する側面とこの側面とは反対側の側面との間の側面は樹脂部70により被覆されている。
【0076】
第3実施形態においても、ボンディングワイヤ51及び53として短いボンディングワイヤを用いることができる。例えば、本実施形態でも、距離L2が距離L1以下であるため、第1ボンディングワイヤ51の移動を抑制できる。また、リードフレーム10と第2半導体チップ40とを1本のボンディングワイヤで接続しようとする場合、当該ボンディングワイヤは長くなりやすいが、第3実施形態では、第1ボンディングワイヤ51、配線21及び第3ボンディングワイヤ53を介してリードフレーム10と第2半導体チップ40とを互いに接続することができる。このため、長くなりやすいボンディングワイヤを用いる必要がなく、半導体装置3の内部での短絡を抑制しやすい。
【0077】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1、2、3 半導体装置
10 リードフレーム
10A 上面(第1主面)
10B 下面(第2主面)
11 凹部
11A 底面
16 ダイパッド
17 リード
20、201、202 中継基板
20A 上面(第3主面)
20B 下面(第4主面)
30、40 半導体チップ
51、52、53、54 ボンディングワイヤ