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特開2022-35847シェアリング管理方法、サーバ、シェアリングシステム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022035847
(43)【公開日】2022-03-04
(54)【発明の名称】シェアリング管理方法、サーバ、シェアリングシステム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220225BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220225BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20220225BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06 350
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020140430
(22)【出願日】2020-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝日 洋充
(72)【発明者】
【氏名】福地 竹虎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB68
5L049CC11
5L055AA72
(57)【要約】
【課題】車両をシェアするシェアリングサービスにおいて、利用料金の決済をより簡単にする。
【解決手段】シェアリング管理方法は、車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付けるステップと、ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得するステップと、取得されたユーザ属性に基づいて、ユーザが所定のグループに属するか判断をするステップと、判断の結果に応じてシェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力するステップとを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付けるステップと、
ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得するステップと、
前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をするステップと、
前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力するステップと
を有するシェアリング管理方法。
【請求項2】
前記ユーザが所定のグループに属すると判断された場合、前記ユーザが前記車両を利用する状況が当該グループと前記シェアリングサービスの事業者との契約の範囲内であるか判断するステップを有し、
前記状況が前記契約の範囲内であると判断された場合、前記請求情報を出力するステップにおいて、前記請求情報が、前記グループに対して個別に設定された出力先に出力される
請求項1に記載のシェアリング管理方法。
【請求項3】
前記契約が、前記車両を利用する日付、曜日、時間帯、地域、及び累計利用料金のうち少なくとも1種を限定する第1条件において定額制又は従量制とする契約であり、
前記利用情報により示される利用の状況が前記第1条件の範囲を超えていた場合、前記請求情報を出力するステップにおいて、前記第1条件において設定された料金体系とは異なる体系に基づく請求情報を出力する
請求項2に記載のシェアリング管理方法。
【請求項4】
前記契約が、前記第1条件を満たす場合において定額制に基づく料金とする契約であり、
前記利用情報により示される利用の状況が前記第1条件の範囲を超えていた場合、前記請求情報を出力するステップにおいて、当該第1条件の範囲を超えた利用分について従量制に基づく請求情報を出力する
請求項3に記載のシェアリング管理方法。
【請求項5】
前記契約が、前記第1条件を満たす場合において従量制に基づく料金とする契約であり、
前記第1条件が、単位期間における累計利用料が基準値に達したという条件であり、
前記累計利用料が前記第1条件の範囲を超えていた場合、当該第1条件の範囲を超えた利用分について定額制に基づく請求情報を出力する
請求項3に記載のシェアリング管理方法。
【請求項6】
前記ユーザが所定のグループに属さないと判断された場合、前記請求情報を出力するステップにおいて、前記ユーザが前記車両を利用する状況又は利用した状況に応じた請求情報が、当該ユーザに対して個別に設定された出力先に出力される
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシェアリング管理方法。
【請求項7】
前記請求情報を出力するステップにおいて、統合された輸送プラットフォームのコンピュータ装置に前記請求情報が出力される
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシェアリング管理方法。
【請求項8】
車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付ける受け付け手段と、
ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得する取得手段と、
前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をする判断手段と、
前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力する出力手段と
を有するサーバ。
【請求項9】
シェアリングサービスでシェアされる車両と、
前記シェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付ける受け付け手段と、
ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得する取得手段と、
前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をする判断手段と、
前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力する出力手段と
を有するサーバと、
を含むシェアリングシステム。
【請求項10】
コンピュータに、
車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付けるステップと、
ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得するステップと、
前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をするステップと、
前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシェアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシェアリングを管理する技術が知られている。特許文献1には、車両レンタルフリート及び車両共用フリートで車両を共用する技術が記載されている。特許文献2には、車両の使用実績に基づいて、車両台数の適否を判断する技術が記載されている。特許文献3には、法人ユーザ及び個人ユーザに対して車両の割り当てをする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-519270号公報
【特許文献2】特開2012-181582号公報
【特許文献3】特開2019-148911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1乃至3には利用料金の決済に関する事項が記載されておらず、特にユーザグループ毎に料金体系が異なる場合において処理が煩雑になることがあった。
【0005】
これに対し本発明は、車両をシェアするシェアリングサービスにおいて、利用料金の決済をより簡単にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付けるステップと、ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得するステップと、前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をするステップと、前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力するステップとを有するシェアリング管理方法を提供する。
【0007】
本開示の別の一態様は、車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付ける受け付け手段と、ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得する取得手段と、前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をする判断手段と、前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力する出力手段とを有するサーバを提供する。
【0008】
本開示の別の一態様は、シェアリングサービスでシェアされる車両と、前記シェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付ける受け付け手段と、ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得する取得手段と、前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をする判断手段と、前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力する出力手段とを有するサーバとを含むシェアリングシステムを提供する。
【0009】
本開示の別の一態様は、コンピュータに、車両をシェアするシェアリングサービスのユーザを識別するユーザ識別情報を含む、当該車両の利用が開始又は終了されたことを示す利用情報を受け付けるステップと、ユーザ識別情報及び少なくともユーザ種別を含むユーザ属性が記録されたデータベースから、前記利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得するステップと、前記取得されたユーザ属性に基づいて、前記ユーザが所定のグループに属するか判断をするステップと、前記判断の結果に応じて前記シェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両をシェアするシェアリングサービスにおいて利用料金の決済をより簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るシェアリングシステムの概要を示す図。
図2】シェアリングシステムの機能構成を例示する図。
図3】車両のハードウェア構成を例示する図。
図4】サーバのハードウェア構成を例示する図。
図5】シェアリングシステムの動作を示すシーケンスチャート。
図6】サーバにおける認証処理を例示するシーケンスチャート。
図7】ユーザデータベースに記録されているデータを例示する図。
図8】利用履歴データベースに記録されているデータを例示する図。
図9】サーバにおける終了処理を例示するシーケンスチャート。
図10】変形例においてユーザデータベースに記録されるデータを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.構成
図1は、一実施形態に係るシェアリングシステム1の概要を示す図である。シェアリングシステム1は、車両20を複数のユーザでシェアするシェアリングサービスを提供するためのシステムである。法人99、ユーザ98、及びユーザ97は、シェアリングサービスのユーザである。ここでは法人99、ユーザ98、及びユーザ97はいずれも複数が図示されている。法人99の各々を区別するときは法人99[1]又は法人99[2]と表し、区別しないときは単に法人99と表す。車両20及びユーザ98等、他の要素についても同様である。
【0013】
この例において、シェアリングシステム1のユーザは法人ユーザ及び個人ユーザの2つのカテゴリに分けられる。法人ユーザとは、シェアリングシステム1の管理事業者と法人契約を結んでいる法人(グループの一例)に属するユーザをいう。個人ユーザとは法人ユーザ以外のユーザをいう。
【0014】
法人99[1]及び法人99[2]は、それぞれ、駐車場P[1]及び駐車場P[2]を有する。法人99[1]及び法人99[2]は、管理事業者と法人契約を結んでいる。法人99[1]は車両20[1]及び車両20[2]の2台の車両を、法人99[2]は車両20[3]の1台の車両を契約している。法人契約によれば、法人99[1]は、月額費用を支払い、かつ車両20[1]及び車両20[2]のために駐車場P[1]を提供することにより、平日において車両20[1]及び車両20[2]を占有することができる。すなわち、法人99[1]の従業員であるユーザ98[1]~98[4]は、平日であれば車両20[1]及び車両20[2]を自由に使うことができる。車両20[1]及び車両20[2]は休日も駐車場P[1]に停められる。同様に、法人99[2]は、月額費用を支払い、かつ車両20[3]のために駐車場P[2]を提供することにより、平日において車両20[3]を占有することができる。すなわち、法人99[2]の従業員であるユーザ98[5]~98[7]は、平日であれば車両20[3]を自由に使うことができる。車両20[3]は、休日も駐車場P[2]に停められる。
【0015】
休日において、個人ユーザであるユーザ97[1]~97[3]が車両20[1]~20[3]を利用可能となる。このように、平日は特定の法人の従業員が、休日は個人(すなわち特定の法人の従業員以外の人)が、同一の車両20を利用する。法人利用と個人利用とでは料金体系が異なっており、ユーザの種別に応じた処理が必要である。本実施形態ではこの問題に対処する。
【0016】
シェアリングシステム1は、サーバ10、車両20、及びユーザ端末30を有する。サーバ10は、シェアリングサービスの利用料に関する処理を行う。サーバ10は、その他、個人利用における車両20の予約を管理する。サーバ10は、シェアリングサービスの提供事業者により管理及び運営される。車両20は、シェアリングサービスにおけるシェアの対象物である。車両20は、例えば、普通自動車、小型自動車、軽自動車等の4輪車だけでなく、2輪自動車も含む。小型自動車としては、例えば、超小型EV(Electric Vehicle)も含む。本開示における超小型EVとは、乗車定員が4名以下、最高速度60km/h、定格出力0.6kw以上、排気量50cc以上660cc以下、長さ2.5m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下、最大積載量350kg以下の特徴を一例とする、軽自動車より小型の電気自動車をいう。ユーザ端末30は、個人ユーザが利用する端末装置である。ユーザ端末30は、シェアリングシステム1へのユーザ登録、車両20の検索又は予約に用いられる。
【0017】
図2は、シェアリングシステム1の機能構成を例示する図である。シェアリングシステム1は、ロック制御手段21,記憶手段11、受け付け手段12、取得手段13、判断手段14、出力手段15、記録手段16、認証手段17、及び計算手段18を有する。ロック制御手段21は、車両20の施錠及び解錠を制御する。また、ロック制御手段21は、車両20の利用情報を出力する。利用情報は、その車両の利用が開始又は終了されたことを示す情報であり、ユーザ識別情報を含む。ユーザ識別情報とは、シェアリングシステム1のユーザを識別するための情報をいう。ロック制御手段21は車両20と一対一に対応している。
【0018】
記憶手段11は、各種のデータを記憶する。この例において記憶手段11はデータベース111及びデータベース112を記憶する。データベース111は、ユーザ識別情報及びユーザ属性情報が記録されたユーザデータベースである。ユーザ属性情報とは、そのユーザの属性を示す情報をいう。データベース112は、車両20の利用履歴が記録された利用履歴データベースである。受け付け手段12は、ロック制御手段21から利用情報を受け付ける。取得手段13は、データベース111から、受け付け手段12が受け付けた利用情報に含まれるユーザ識別情報に対応するユーザ属性を取得する。判断手段14は、取得手段13により取得されたユーザ属性に基づいて、そのユーザが所定のグループに属するか判断をする。出力手段15は、判断手段14による判断の結果に応じてシェアリングサービスの利用に関する請求情報を出力する。
【0019】
ユーザが所定のグループに属すると判断された場合、判断手段14は、そのユーザが車両20を利用する状況がそのグループとシェアリングサービスの事業者との契約の範囲内であるか判断する。この場合、出力手段15は、契約の範囲内であるかの判断結果に応じた請求情報を、そのグループに対して個別に設定された出力先に出力する。
【0020】
図3は、車両20のハードウェア構成を例示する図である。詳細な説明は省略するが、車両20は、電気自動車としての基本的な構成、例えば、ボディ、モーター、タイヤ、ドア、シート、ステアリングホイール、及び計器等を有する。車両20は、さらにロック制御装置200(ロック制御手段21の一例)を有する。ロック制御装置200は、カードリーダー210、電気錠220、制御装置230、通信装置240、及びキーボックス250を有する。カードリーダー210は、ICカードからユーザ識別情報を読み取る。ここで用いられるICカードは、例えば、運転免許証(すなわちICカード免許証)及びこのシェアリングサービスの専用ICカードである。この例において、個人ユーザは運転免許証を用い、法人ユーザは専用ICカードを用いる。ロック制御装置200は、車両20において、例えばドアガラスの内側に設置される。ユーザは、ガラス越しにICカードをカードリーダー210にかざす。カードリーダー210は、かざされたICカードからユーザ識別情報を読み取る。ユーザ識別情報は、運転免許証の場合は免許証番号であり、専用ICカードの場合はシェアリングシステム1により付与された識別番号である。制御装置230は、ロック制御装置200の各要素を制御する装置であり、プロセッサ及びメモリを含む。制御装置230は、カードリーダー210が読み取ったユーザ識別情報を含む利用情報をサーバ10に送信する。サーバ10へのデータ送信には、通信装置240が用いられる。通信装置240は、所定の無線通信規格(例えばLTE(Long Term Evolution))に従ってサーバ10と通信する。利用情報が認証されたことを示す情報をサーバ10から通信装置240を介して受信すると、制御装置230は、電気錠220を制御してドアのロックを解錠させる。電気錠220は、車両20のドアを施錠及び解錠する。キーボックス250は、キーシリンダを有する。車両20を利用しないときは、車両20のモーターを起動するためのキーはキーシリンダに挿入されている。キーシリンダは、貸し出し位置と返却位置とを有する。貸し出し位置において、キーシリンダからキーに抜き差しが可能である。キーシリンダに挿入した状態でキーを回すと返却位置となる。貸し出し位置において、キーシリンダからキーを抜くことはできない。車両20のドアを解錠すると、ユーザはキーシリンダに刺さっているキーを貸し出し位置まで回転させる。ユーザはキーボックス250からキーを抜き、運転席にあるキーシリンダにキーを差し込んでモーターを起動する。
【0021】
図4は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、ストレージ130、通信IF(Interface)140を有するコンピュータ装置である。CPU110は、プログラムに従って各種の演算を行う処理装置である。メモリ120は、CPU110がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ130は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)を含む。通信IF140は、所定の通信規格に従って他の装置と通信するための装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0022】
この例において、ストレージ130が記憶するプログラムには、コンピュータ装置をシェアリングシステム1のサーバ10として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)が含まれる。CPU110がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ120及びストレージ130の少なくとも一方が記憶手段11の一例である。CPU110が、取得手段13、判断手段14、出力手段15、記録手段16、認証手段17、及び計算手段18の一例である。CPU110及び通信IF140が受け付け手段12の一例である。
【0023】
2.動作
図5は、シェアリングシステム1の動作を示すシーケンスチャートである。以下において、ユーザ登録が事前に完了している例を説明する。また以下の説明において、受け付け手段12等の機能要素が処理の主体として記載されることがあるが、これは、サーバプログラム等のソフトウェアを実行しているCPU110等のハードウェア要素が他のハードウェア要素と協働して処理を実行することを意味する。
【0024】
まず、車両20の貸し出し手続について説明する。車両20を利用しようとするユーザは、駐車場Pに行く。ユーザは、車両20のロック制御装置200に自身のICカードをかざす。ロック制御装置200は、ユーザのICカードからユーザ識別情報を読み取る(ステップS100)。ICカードからユーザ識別情報を読み取ると、ロック制御装置200は、認証要求(又は利用開始要求)をサーバ10に送信する(ステップS110)。この認証要求は車両20の利用を開始したことを示す利用情報の一例であり、ロック制御装置200がICカードから読み取ったユーザ識別情報、及び車両識別情報を含む。車両識別情報は、車両20を他の車両20と区別するための情報であり、シェアリングシステム1の管理者により付与される。車両識別情報は、ロック制御装置200のメモリに記憶される。
【0025】
ロック制御装置200から送信された認証要求に関し、サーバ10は、その認証要求に係る認証処理(又は利用開始処理)を行う(ステップS120)。具体的には以下のとおりである。
【0026】
図6は、サーバ10における認証処理を例示するフローチャートである。ステップS1201において、受け付け手段12は、ロック制御装置200から認証要求を受け付ける。ステップS1202において、取得手段13は、受け付け手段12が受け付けた認証要求からユーザ識別情報及び車両識別情報を取得する。ステップS1203において、取得手段13は、データベース111から、認証要求に含まれるユーザ識別情報を含むレコードを取得する。以下、認証要求に含まれるユーザ識別情報を「開始ユーザ識別情報」という。
【0027】
図7は、データベース111に記録されているデータを例示する図である。データベース111は、複数のレコードを含む。各レコードは、車両識別情報(法人ユーザの場合のみ)、ユーザ識別情報、及びユーザ属性情報を含む。ユーザ属性情報は、例えば、ユーザ種別(個人ユーザか法人ユーザか)、契約の有効性(ユーザ登録が現に有効か否か)、ユーザ名、契約条件(料金体系が複数ある場合には契約している料金体系を特定する情報)、身分証明書情報、及び請求先情報を含む。例えば、図7の最上行のレコードは以下の事項を示す。ここで示されるクレジットカード会社又は銀行のコンピュータ装置が、個別に設定された出力先の一例である。
・ユーザ識別情報「1285265469」を有するユーザが個人ユーザである。
・従量課金のプランで契約している。
・その契約は現時点で有効である。
・請求先としてクレジットカードが登録されている。
身分証明書情報は、ユーザ(個人ユーザの場合にはユーザ本人、法人ユーザの場合には代表者)の身分証明書に関する情報であり、例えば運転免許証の画像の保存場所を示す。
【0028】
図7の第2行のレコードは以下の事項を示している。
・ユーザ識別情報「50212351」を有するユーザが法人ユーザである。
・車両識別情報「105001001」及び「105001002」の2台の車両20を契約している。
・月額定額制の料金のプランで契約している。
・その契約は現時点で有効である。
・請求先として法人の銀行口座が登録されている。
【0029】
ユーザ登録は、例えば、ユーザの端末装置(個人ユーザの場合はユーザ端末30。法人ユーザの場合は図示しない端末装置)からユーザ登録用のウェブサイトにアクセスし、このウェブサイトからユーザ属性情報を入力することにより行われる。身分証明書情報及び請求先情報が適正なものであると確認できれば、サーバ10は、そのユーザのレコードにおいて、契約が有効である旨の情報を登録する。既に登録されたレコードにおいて不具合が発見された場合(例えば、請求先において請求が受け付けられなかった場合)、サーバ10は、そのユーザのレコードにおいて契約の有効性を、契約が無効である旨の情報に書き替える。
【0030】
再び図6を参照する。ステップS1204において、判断手段14は、開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されているか判断する。ステップS1203において中身が空でないレコードが取得された場合、判断手段14は、開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されていると判断する。ステップS1203において中身が空であるレコードが取得された場合、又は、レコードを取得できなかった場合、判断手段14は、開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されていないと判断する。開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されていないと判断された場合(S1204:NO)、判断手段14は処理をステップS1209に移行する。開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されていると判断された場合(S1204:YES)、判断手段14は処理をステップS1205に移行する。
【0031】
ステップS1205において、判断手段14は、開始ユーザ識別情報に対応する契約が現時点で有効であるか判断する。判断手段14は、この判断に際し、ステップS1203において取得されたレコードを参照する。開始ユーザ識別情報に対応する契約が現時点で有効でないと判断された場合(S1205:NO)、判断手段14は処理をステップS1209に移行する。開始ユーザ識別情報に対応する契約が現時点で有効であると判断された場合(S1206:YES)、判断手段14は処理をステップS1206に移行する。
【0032】
ステップS1206において、判断手段14は、開始ユーザ識別情報により識別されるユーザ(以下「開始ユーザ」という)が、所定のグループ(この例においては、法人契約を締結している法人の従業員)に属するか判断する。開始ユーザが所定のグループに属するか否かは、開始ユーザ識別情報から判断される。この例において、所定のグループ以外のユーザ(この例では個人ユーザ)はICカードとして運転免許証を使用しており、所定のグループのユーザは専用ICカードを使用しているので、ユーザ識別情報そのものにより、開始ユーザが所定のグループに属するか否かを判断することができる。開始ユーザが所定のグループに属すると判断された場合(S1206:YES)、判断手段14は、処理をステップS1207に移行する。開始ユーザが所定のグループに属さないと判断された場合(S1206:NO)、判断手段14は、処理をステップS1208に移行する。
【0033】
ステップS1207において、判断手段14は、車両20の利用状況が契約の範囲内であるか(すなわち契約に適合するか)判断する。記憶手段11は契約の内容を特定する情報が記録されたデータベース(図示略)を記憶しており、判断手段14はこのデータベースを参照して、車両20の利用状況が契約の範囲内であるか判断する。この例において、法人契約は、利用日時を平日(すなわち、土曜日、日曜日、及び祝日以外の日)に限定する契約である。判断手段14は、認証要求を取得した時刻を示すタイムスタンプが車両20の利用開始日時を示すと判断する。利用開始日時が平日でない場合、判断手段14は、車両20の利用状況が契約の範囲内でないと判断する。利用開始日時が平日である場合、判断手段14は、車両20の利用状況が契約の範囲内であると判断する。車両20の利用状況が契約の範囲内でないと判断された場合(S1207:NO)、判断手段14は、処理をステップS1210に移行する。車両20の利用状況が契約の範囲内であると判断された場合(S1207:YES)、判断手段14は、処理をステップS1208に移行する。
【0034】
ステップS1208において、記録手段16は、利用履歴、具体的には、開始ユーザが車両20の利用を開始したことを示す情報をデータベース112に書き込む。より具体的には、記録手段16は、開始ユーザのユーザ識別情報、車両20の車両識別情報、及び利用開始日時を示すタイムスタンプを、データベース111に書き込む。これらの情報がデータベース112に書き込まれると、記録手段16は、処理をステップS1209に移行する。
【0035】
ステップS1209において、判断手段14は、認証要求を許可すると判断する。認証手段17は、その認証要求を許可する旨の情報を含む認証応答を、認証要求の送信元であるロック制御装置200に送信する。
【0036】
ステップS1210において、判断手段14は、認証要求を許可しないと判断する。認証手段17は、その認証要求を許可しない旨の情報を含む認証応答を、認証要求の送信元であるロック制御装置200に送信する。
【0037】
図8は、データベース112に記録されているデータを例示する図である。データベース112は、複数のレコードを含む。各レコードは、車両識別情報、ユーザ識別情報、利用開始日時、及び利用終了日時を含む。利用開始日時及び利用終了日時は、それぞれ、車両20の利用を開始した日時及び終了した日時を示す。例えば、図8の第1行のレコードは、ユーザ識別情報「50212351」を有するユーザが、車両識別情報「105001001」の車両を、2020年7月22日の午前9時51分から利用開始し、午前10時25分に利用終了したことを示す。データベース112において利用終了日時が空欄(図では「未返却」と記載)のレコードがあるが、これは、この時点でまだ利用が終了していない(すなわち利用中)であることを示す。
【0038】
再び図5を参照する。ロック制御装置200は、サーバ10から認証応答を受信する(ステップS130)。ステップS140において、ロック制御装置200は、認証応答に応じた処理を行う。認証応答に認証要求を許可しない旨の情報が含まれていた場合、ロック制御装置200は、車両20のドアロックを解錠しない。このとき、ロック制御装置200は、認証要求が許可されなかった旨を、ビープ音を出力する等してユーザに通知してもよい。ロック制御装置200が通知をすることに加えて、又は代えて、サーバ10がユーザ端末30に通知をしてもよい。この通知は、例えば、電子メールメッセージ、ユーザ端末30において実行されるクライアントアプリケーション、又は音声通話により提供される。認証応答に認証要求を許可する旨の情報が含まれていた場合、ロック制御装置200は、車両20のドアロックを解錠する。ユーザは、車両20の車内にあるキーボックス250からキーを抜き取り、車両20の利用を開始する。
【0039】
次に、車両20の返却手続について説明する。車両20の利用が終わると、ユーザは車両20を駐車場Pに停車する。この例では、出発地点と同じ駐車場Pにおいて利用終了の手続をすることが、ユーザと管理事業者との間の契約により定められている。これは、個人契約の場合も法人契約の場合も同じである。
【0040】
駐車場Pにおいて、ユーザは、車両20のモーターを停止する。ユーザは、運転席にあるキーシリンダからキーを抜く。ユーザは、キーボックス250のキーシリンダにキーを刺し、返却位置まで回転させる。ユーザは、車両20のロック制御装置200に自身のICカードをかざす。ロック制御装置200は、ユーザのICカードからユーザ識別情報を読み取る(ステップS140)。ICカードからユーザ識別情報を読み取ると、ロック制御装置200は、終了要求をサーバ10に送信する(ステップS150)。この終了要求は車両20の利用が終了したことを示す利用情報の一例であり、ロック制御装置200がICカードから読み取ったユーザ識別情報、及び車両識別情報を含む。
【0041】
ロック制御装置200から送信された終了要求に関し、サーバ10は、その終了要求に係る終了処理を行う(ステップS160)。具体的には以下のとおりである。
【0042】
図9は、サーバ10における終了処理を例示するフローチャートである。ステップS1601において、受け付け手段12は、ロック制御装置200から終了要求を受け付ける。ステップS1602において、取得手段13は、受け付け手段12が受け付けた終了要求からユーザ識別情報及び車両識別情報を取得する。ステップS1603において、取得手段13は、データベース112から、終了要求に含まれるユーザ識別情報及び車両識別情報を含むレコードを取得する。以下、終了要求に含まれるユーザ識別情報及び車両識別情報を「終了ユーザ識別情報」及び「終了車両識別情報」という。終了ユーザ識別情報により特定されるユーザを終了ユーザという。終了車両識別情報により識別される車両20を終了車両という。
【0043】
ステップS1604において、判断手段14は、終了ユーザ識別情報及び終了車両識別情報を含み、かつ終了車両が利用中であることを示すレコード(以下「特定レコード」という)がデータベース112に記録されているか判断する。これはステップS1603において取得されたレコードを参照して判断される。特定レコードがデータベース112に記録されていないと判断された場合(S1604:NO)、判断手段14は処理をステップS1610に移行する。特定レコードがデータベース112に記録されていない場合とは、ステップS140において読み取らせたカード(すなわち終了時にカードリーダー210にかざしたカード)とステップS100において読み取ったカード(すなわち開始時にカードリーダー210にかざしたカード)とが異なる場合である。これは具体的には、予約者以外の人が返却しようとした、予約者が複数枚のカードを有する場合において開始時と終了時とで異なるカードをかざしてしまった、別の法人の専用ICカードが使われた、等の例が該当する。特定レコードがデータベース112に記録されていると判断された場合(S1604:YES)、判断手段14は処理をステップS1605に移行する。
【0044】
ステップS1605において、記録手段16は、利用履歴を記録する。具体的には、記録手段16は、終了要求を取得した時刻を示すタイムスタンプを、データベース112において特定レコードに書き込む。
【0045】
ステップS1606において、判断手段14は、特定ユーザが所定のグループ(この例においては、法人契約を締結している法人の従業員)に属するか判断する。特定ユーザが所定のグループに属するか否かは、特定ユーザ識別情報から判断される。特定ユーザが所定のグループに属すると判断された場合(S1606:YES)、判断手段14は、処理をステップS1608に移行する。特定ユーザが所定のグループに属さないと判断された場合(S1606:NO)、判断手段14は、処理をステップS1607に移行する。
【0046】
ステップS1607において、計算手段18は、終了ユーザ(この例においては個人ユーザ)が終了車両を利用したことについて料金を計算する。適用される料金体系は個人ユーザとシェアリングシステム1の管理事業者との契約又は利用規約により定められる。計算手段18は、特定レコードを参照して(すなわち、直近の利用履歴に基づいて)利用料金を計算する。ステップS1608において、出力手段15は、終了ユーザが終了車両を利用した料金を請求するための請求情報を出力する。請求情報は、終了ユーザの氏名及び利用料金を含む。出力手段15は、データベース111において終了ユーザの請求先情報を参照し、その請求先に対し請求情報を出力する。請求情報を受信したコンピュータ装置(例えば、決済サービスのサーバ、又はクレジットカード会社のサーバ)は、終了ユーザに対し利用料金を決済する処理を行う。なお法人ユーザへの定額の請求についてここでは詳しく説明しないが、所定のタイミング(例えば毎月末)において銀行口座から引き落としをしたり請求書を発行したりといった処理が行われる。
【0047】
ステップS1609において、判断手段14は、終了要求を許可すると判断する。認証手段17は、その認証要求を許可する旨の情報を含む終了応答を、終了要求の送信元であるロック制御装置200に送信する。
【0048】
ステップS1610において、判断手段14は、終了要求を許可しないと判断する。認証手段17は、その終了要求を許可しない旨の情報を含む終了応答を、終了要求の送信元であるロック制御装置200に送信する。
【0049】
再び図5を参照する。ロック制御装置200は、サーバ10から終了応答を受信する(ステップS170)。ステップS180において、ロック制御装置200は、終了応答に応じた処理を行う。終了応答に終了要求を許可しない旨の情報が含まれていた場合、ロック制御装置200は、車両20のドアロックを施錠しない。このとき、ロック制御装置200は、終了要求が許可されなかった旨を、ビープ音を出力する等してユーザに通知してもよい。ロック制御装置200が通知をすることに加えて、又は代えて、サーバ10がユーザ端末30に通知をしてもよい。この通知は、例えば、電子メールメッセージ、ユーザ端末30において実行されるクライアントアプリケーション、又は音声通話により提供される。この通知は、終了要求が許可されなかった理由(例えば、開始時に読み取ったカードと異なるカードが用いられた等)を含んでもよい。終了応答に終了要求を許可する旨の情報が含まれていた場合、ロック制御装置200は、車両20のドアロックを施錠する。これで、車両20の返却手続は終了である。
【0050】
サーバ10において終了要求が許可されなかった通知を受けた場合(一例としては、利用開始時と異なるカードをロック制御装置200にかざした場合)、ユーザは、別のカードをロック制御装置200にかざす。すると、図5のステップS140以降の処理(図9のフローを含む)が再度、実行される。
【0051】
トラブルに対処するため、シェアリングシステム1の運営事業者はコールセンターを設置してもよい。例えば、終了要求が許可されなかった通知を受けたユーザは、コールセンターに連絡をすることができる。この場合、例えば、判断手段14における判断後所定時間以内に連絡した等の条件を満たせば、コールセンターのオペレータが、コールセンターの端末装置を操作し、データベース112に特定車両の利用が終了した旨の利用履歴を書き込む。データベース112に利用履歴が書き込まれると、ステップS1606以降の処理が行われる。
【0052】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例に記載した事項のうち2つ以上の事項が組み合わせて適用されてもよい。
【0053】
3-1.ユーザ識別情報
ユーザ識別情報の具体例は実施形態において例示したものに限定されない。実施形態においては法人ユーザの従業員が専用ICカードを用いる例を説明したが、法人ユーザの従業員も個人ユーザと同様に運転免許証を使用してもよい。この場合、法人ユーザの従業員は、事前に自身の免許証番号をシェアリングシステム1、又は外部システム(一例としてはその法人の管理システム)に登録しておく。外部システムに運転免許証の情報が記録される場合、データベース111には、この外部システムを特定する情報が記録される。サーバ10は、開始要求を受け付けると、データベース111を参照し、指定される外部システムに対し、そのユーザの運転免許証が有効であるかの照会を行う。そのユーザの運転免許証が有効であると判断された場合、ステップS1204において開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されていると判断される。そのユーザの運転免許証が無効であると判断された場合、ステップS1204において開始ユーザ識別情報がデータベース111に記録されていないと判断される。単一の法人ユーザにおいて複数の従業員がシェアリングシステム1を利用する場合、これら複数の従業員の各々が、自身の免許証番号をシェアリングシステム1に登録する。この場合、データベース111には、これらの免許証番号と対応して法人名が記録される。
【0054】
図10は、この変形例においてデータベース111に記録されるデータを例示する図である。データベース111は、複数のレコードを含む。各レコードは、契約の種別(個人ユーザか法人ユーザか)、車両識別情報(法人ユーザの場合のみ)、ユーザ識別情報、及びユーザ属性情報を含む。法人ユーザの従業員の免許証番号には法人名が対応付けられている。判断手段14は、データベース111を参照し、特定ユーザが個人ユーザであるか法人ユーザであるか判断する。この例によれば、シェアリングシステム1は、法人ユーザに対して専用ICカードを発行することなく、ユーザ種別を特定することができる。
【0055】
なおこの例において、法人契約をしている法人の従業員が休日(すなわち法人契約の適用範囲外の利用状況)に車両20を利用しようとするときは、サーバ10はその従業員を個人ユーザとして扱う。
【0056】
ユーザ識別情報は免許証番号又はシェアリングシステム1により付与された識別番号に限定されない。例えばユーザの生体情報(指紋等)がユーザ識別情報として用いられてもよい。また、ユーザ識別情報を記録する媒体はICカードに限定されない。スマートフォン又はウェアラブルデバイスがユーザ識別情報を記録する媒体として用いられてもよい。
【0057】
なお法人の専用ICカードが用いられた場合、運転者が有効な運転免許証を所有しているかどうか、本システムでは確認することができない。そこで、シェアリングシステム1は、運転者を識別する他のシステム(例えば、生体認証又は顔の画像から運転者を識別するシステム)と連携して、法人の専用ICカードが用いられた場合は、他のシステムから運転者の情報を取得してもよい。サーバ10は、こうして取得した運転者の識別情報を用いて、その運転者の運転免許証が有効であるかデータベース111又は外部データベースを参照する。この例によれば、サーバ10は、有効な免許証を有している法人ユーザに対して、開始要求を認証することができる。
【0058】
3-2.契約の種別
ユーザグループすなわち契約の種別は、法人ユーザ及び個人ユーザの2種に限定されない。法人ユーザ及び個人ユーザは、利用時間帯により利用の可否を制限する区分(例えば法人ユーザは平日のみ、個人ユーザ休日のみ)である。時間帯による区分はこの2種に限定されない。例えば、ユーザグループは、平日日中、平日夜間、及び休日の3種に区分されてもよい。あるいは、ユーザグループは、車両20が属する地域により利用の可否を制限する区分(例えば第1種ユーザはA市X地区内のみ、第2種ユーザはA市全域)であってもよい。
【0059】
3-3.料金体系
料金体系は実施形態において例示したものに限定されない。料金体系は、従量制、定額制、及びこれらの組み合わせのいずれかであってもよい。また、料金体系は、シェアリングサービス単体の料金体系として提供されてもよいし、他のサービス(例えば旅行パック)と一体として、又は他のサービスの特典として提供されてもよい。旅行パック等の特典としてシェアリングサービスが提供される場合、旅行パックのユーザに対しては、従量制料金において通常料金よりも割引された料金(以下、割引後料金という。)が適用されてもよいし、前記割引後料金と通常料金の差額以上の額の電子クーポン、引換券や商品券等が発行された上で通常料金が適用されてもよい。この例によれば、他のサービスと組み合わせた料金体系を提供することができる。
【0060】
定額制の料金体系は、利用する日付、曜日、時間帯、及び地域のうち少なくとも1種を限定したものであってもよい。また、複数の料金体系のうち条件に応じて異なる料金体系が適用されてもよい。異なる料金体系、例えば従量制と定額制とを組み合わせるときは、例えば以下のいずれかの方式が採用される。以下において異なる料金体系が適用される条件をそれぞれ「第1条件」及び「第2条件」という。この例によれば、条件に応じて異なる料金体系を適用することができる。
(1)単位期間(例えば毎月)内において従量制による累計利用料金が基準金額(すなわち基準値)以下である(第1条件)ときは基準金額(すなわち定額)を請求し、基準金額を超えた場合(第2条件)は超過分(すなわち超えた利用分)について従量制により課金する。
(2)単位期間内において従量制による累計利用料金が基準金額以下である(第1条件)ときは従量制による金額を請求し、基準金額を超えた場合(第2条件)は基準金額を請求する。
(3)単位期間内において契約で規定された制限内(例えば平日のみ)(第1条件)の利用については定額を請求し、制限外(第2条件)の利用については従量制による利用料金を請求する。なおこの場合、制限内の利用が定額であり、制限外の利用が従量制である点まで含めて契約の範囲内であるということができる。図6のフローにおいては、利用状況が制限内の場合であっても制限外の場合であってもステップS1207において「契約の範囲内である」と判断される。法人従業員の利用履歴は「制限内」及び「制限外」の情報と共にデータベース112に記録される。計算手段18は、「制限外」の利用料金を、所定のタイミング(例えば毎月末)で集計し、その法人に対する請求処理を行う。
【0061】
3-4.決済タイミング
決済のタイミングすなわち請求情報を出力するタイミングは実施形態において例示したものに限定されない。決済のタイミングは、例えば料金体系に応じて異なっていてもよいし、ユーザ毎に個別に設定されてもよい。例えば定額制の法人契約の場合、単位期間(例えば月)毎の費用は前払いであってもよいし、後払いであってもよい。従量制の個人契約の場合、1回の利用毎にその利用料金の請求をしてもよいし、所定の単位期間内の利用料金を合算してその単位期間が終了したタイミング(例えば月末)にその利用料金の請求をしてもよい。また、1回の利用毎にその利用料金を支払う場合において、決済のタイミングは利用が終了したときに限定されない。例えば、1回の利用料金が利用時間や距離によらず一律に定められている場合、サーバ10が認証要求(すなわち利用開始を示す情報)を受信したことを契機として(終了要求を待たずに)、出力手段15はその利用料金に係る請求情報を出力してもよい。この例によれば、料金体系に応じたタイミングで、又はユーザの設定に応じたタイミングで、決済を行うことができる。
【0062】
これらの決済のタイミングはユーザ毎に設定されてもよい。この場合、決済のタイミングを特定する情報がデータベース111に記録され、出力手段15はこの情報を参照し、この情報により指定されるタイミングで請求情報を出力してもよい。
【0063】
3-5.決済方法
決済方法は実施形態において例示したものに限定されない。銀行口座からの自動引き落とし、電子マネー、クレジットカード、プリペイド、又は地方仮想通貨など、どのような手法が用いられてもよい。
【0064】
3-6.請求情報の出力先
請求情報の出力先は実施形態において例示したものに限定されない。特に個人契約の場合、出力手段15は、決済方法によらずにすべてのユーザに共通の請求先に請求情報を出力してもよい。例えば、シェアリングシステム1が、鉄道及び/又は路線バス等、複数の輸送手段が統合された輸送プラットフォームの一部を構成する場合、出力手段15は、請求情報をこの輸送プラットフォームを管理するコンピュータ装置に出力してもよい。輸送プラットフォームは、他の輸送手段(各輸送手段の事業主体は異なっていてもよい)の請求と合わせて、シェアリングシステム1の利用料金を請求する。鉄道から超小型EVへの乗り換えや、超小型EVから路線バスへの乗り換えなど、複数の輸送手段が統合されたシステムにおいてはこの例が有用である。
【0065】
また、単一のユーザに対し複数の請求先が登録されてもよい。例えば、法人ユーザに対し、制限内の定額料金は銀行引き落としで、制限外の従量料金はクレジットカード払いで、というように複数の請求先が使い分けられてもよい。この例によれば、単一のユーザにおいて、例えば料金体系に応じて請求先を使い分けることができる。
【0066】
3-7.他の変形例
シェアリングシステム1におけるグループ(すなわちステップS1206及びS1606における判断の対象となる「所定のグループ」)は法人に限定されない。法人格の無い任意団体等、法人以外の団体がシェアリングシステム1におけるグループとして取り扱われてもよい。この場合、上記の説明における「法人ユーザ」は「その団体の構成員」に読み替えられる。また、ここでいう「グループ」は、単にユーザが所属する団体により区分される団体のみを意味するものでなく、契約している料金体系より区分される団体を意味するものであってもよい。実施形態において例示した「法人ユーザ」は「定額制の料金体系で契約するユーザグループ」であるということができるし、「個人ユーザ」は「従量制の料金体系で契約するユーザグループ」ということができる。データベース111における「ユーザ種別」は、契約の種類すなわち適用される料金体系を示す情報であるということができる。例えば、所属団体によらず自由に料金体系を選択できる(すなわち個人であっても法人であっても複数の料金体系の中から所望のものを自由に選択できる)サービスにおいては、「第1の料金体系で契約するユーザグループ」及び「第2の料金体系で契約するユーザグループ」というようにグループ分けすることができる。この場合、ステップS1206及びS1606の処理は、それぞれ例えば「開始ユーザは第1の料金体系で契約するユーザグループに属するか?」及び「終了ユーザは第1の料金体系で契約するユーザグループに属するか?」と読み替えられる。
【0067】
データベース111及びデータベース112に記録されるデータは実施形態において例示したものに限定されない。実施形態で例示した項目の一部(例えば、契約の有効性)は省略されてもよいし、実施形態で例示していない項目が追加されてもよい。
【0068】
図6及び図9のフローは処理の一例であり、例示したステップの一部が省略されたり、一部の順番が入れ替えられたりしてもよい。
【0069】
シェアリングシステム1を構成する装置のハードウェア構成は実施形態において例示したものに限定されない。特にロック制御装置200については、車両20のキーを保管できるものであればどのような形態を有していてもよい。
【0070】
サーバ10は物理サーバであってもよいし、いわゆるクラウド上の仮想サーバであってもよい。物理的に複数の装置が協働してサーバ10の機能を有してもよい。
【0071】
サーバプログラム等のソフトウェアは、インターネット等のコンピュータネットワークを介してダウンロード可能な状態で提供されてもよいし、CD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…シェアリングシステム、10…サーバ、11…記憶手段、12…受け付け手段、13…取得手段、14…判断手段、15…出力手段、16…記録手段、17…認証手段、18…計算手段、20…車両、21…ロック制御手段、30…ユーザ端末、97…ユーザ、98…ユーザ、99…法人、110…CPU、111…データベース、112…データベース、120…メモリ、130…ストレージ、140…通信IF、200…ロック制御装置、210…カードリーダー、220…電気錠、230…制御装置、240…通信装置、250…キーボックス
図1
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図6
図7
図8
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図10